説明

清掃体用収容袋、清掃体パッケージ

【課題】 不織布及び繊維を含む複数の清掃体を収容するための清掃体用収容袋において、清掃体収容状態で清掃体本来の形状の変化を抑えるのに有効な技術を提供する。
【解決手段】 本発明に係る清掃体用収容袋10は、不織布及び繊維を含む複数の清掃体100を収容するための収容袋であって、当該収容袋は、所定のフィルムによって略直方体に形成されており、また各辺のうち互いに平行に延在する4つの長辺14上に設けられたエッジシール部21と、4つの長辺14を結ぶ辺15上に設けられた第2折り線25と、複数の清掃体100が収容される収容空間10aと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不織布及び繊維を含む複数の清掃体を収容するための清掃体用収容袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2007−29136号公報には、繊維層と例えば不織布からなるシートとを含む清掃体に把手が装着されるように構成された清掃用具が開示されている。この清掃体は、一般的にその複数が所定の包装袋等に収容された状態で運搬や販売が行われる。一方、特開2002−179164号公報には、シート状部材を収容するシート収容容器が開示されている。このシート収容容器は、シート状部材として特にテッシュペーパーを収容するように構成されているが、不織布及び繊維を含む上記の清掃体のように比容積の大きい被収容物を収容する場合には、外部から収容袋に作用する荷重等によって収容状態の被収容物が潰れてしまい、使用時にそのまま本体の機能を発揮できないという問題が生じる。そこでこの種の清掃体用収容袋の設計に際しては、清掃体収容状態で清掃体本来の形状が変化するのを抑えるための構成が要請される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−29136号公報
【特許文献2】特開2002−179164号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、不織布及び繊維を含む複数の清掃体を収容するための清掃体用収容袋において、清掃体収容状態で清掃体本来の形状の変化を抑えるのに有効な技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するため、各請求項に記載の発明が構成される。
【0006】
本発明にかかる清掃体用収容袋は、不織布及び繊維を含む複数の清掃体を収容するための収容袋として構成される。この収容袋は、所定のフィルムによって略直方体に形成され、第1の剛性領域、第2の剛性領域及び収容空間を備える。第1の剛性領域は、収容袋を構成する各辺のうち互いに平行に延在する4つの長辺上に設けられた剛性領域として構成される。第2の剛性領域は、4つの長辺を結ぶ辺上に設けられた剛性領域として構成される。収容空間は、複数の清掃体が収容される領域として構成される。このような構成によれば、長辺の延在方向に関しても長辺と交差する方向に関しても、第1の剛性領域及び第2の剛性領域を介して清掃体用収容袋の剛性を高められることで、清掃体用収容袋の保形性ないし耐久性が高まり、これにより収容空間に収容された状態の清掃体本来の形状の変化を抑えることが可能となる。また、軽量化を実現するべく相対的に薄手のフィルムを用いても収容袋全体に張りをもたせることができ、また収容袋にシワがより難い。また、清掃体用収容袋が略直方体であるため、当該収容袋を搬送時や保管時に自立させ易い。
【0007】
また本発明に係る更なる形態の清掃体用収容袋では、第1の剛性領域及び第2の剛性領域はいずれも、フィルム厚みを厚くする剛性化処理とフィルム硬度を高める剛性化処理のうちの少なくとも一方の処理によって形成されている。即ち、第1の剛性領域及び第2の剛性領域はいずれも、フィルム厚みを厚くする剛性化処理とフィルム硬度を高める剛性化処理のいずれか一方の処理によって形成されてもよいし、或いはフィルム厚みを厚くする剛性化処理とフィルム硬度を高める剛性化処理の双方の処理によって形成されてもよい。この場合、フィルム硬度を高める剛性化処理として、典型的には、溶着性フィルムを溶融・硬化させることによって剛性を高める第1の処理、溶着性フィルムに折り目を付けることで、当該フィルムの構造上の強度をアップさせ、乃至は当該フィルムの性状を化学的に変化させて剛性を高める第2の処理、また第1の処理と第2の処理とを組み合わせた第3の処理等を用いることができる。このような構成によれば、第1の剛性領域及び第2の剛性領域を形成する際に、フィルム厚みを厚くする剛性化処理やフィルム硬度を高める剛性化処理を適宜選択することが可能となる。
【0008】
また本発明に係る更なる形態の清掃体用収容袋は、溶着性フィルムによって構成され、第1の剛性領域は、溶着性フィルムを長辺に沿って山折りし、その折り重なり部分を溶着することで長辺全体のフィルム厚みが厚くなり、且つ長辺全体のフィルム硬度が高くなる剛性化処理がなされた山折り部として構成されるのが好ましい。このような構成によれば、溶着性フィルムを用いて第1の剛性領域を簡便に形成することが可能となる。また、長辺全体にわたって剛性化処理がなされるため、清掃体用収容袋の保形性をより確実に高めることが可能となる。
【0009】
また本発明に係る更なる形態の清掃体用収容袋は、互いに隣接する2つの長辺によって区画された4つの延在面を含み、4つの延在面のうちの互いに対向する2つの対向面は、当該対向面が収容袋内側へと凹むように長辺の延在方向に形成された折り線を備え、山折り部は、対向面と交差する方向へと突出するように構成されるのが好ましい。このような構成によれば、いずれか一方の対向面を収容袋の底面とした場合に、山折り部を当該収容袋の脚部として構成することができ、当該収容袋の自立性を向上させることが可能となる。このような特徴は、特に清掃体が収容された収容袋を店頭に陳列する際に有効である。
【0010】
また本発明に係る更なる形態の清掃体用収容袋では、2つの対向面のうちのいずれか一方の対向面は、当該対向面を折り線に沿って開裂させるための開裂部を有するのが好ましい。このような構成によれば、2つの対向面のうち開裂部を有している一方の対向面を収容袋の上面とし、開裂部を有している他方の対向面を収容袋の下面とすることで、収容袋から清掃体を取り出し易い設置態様を実現することができる。
【0011】
また本発明に係る更なる形態の清掃体用収容袋では、2つの対向面のうちのいずれか一方の対向面は、当該対向面が開裂部にて開裂したときに形成される長尺状の開口部と、開口部を挟んでその両側に形成される分断片を含み、分断片は山折り部の剛性によって収容袋内側へと延在した状態が維持されるように構成されるのが好ましい。このような構成によれば、分断片が開口部を通じて取り出し中の清掃体とは別の清掃体と干渉することによって、別清掃体を収容空間に留まらせる保持機能、或いは別清掃体が収容空間外へと離脱するのを規制するストッパー機能を果たす。これにより、使用者の意図に反して一度に多くの清掃体が取り出されるのを阻止でき、清掃体を一枚ずつ(1シートずつ)確実に取り出すことが可能となる。
【0012】
また本発明に係る更なる形態の清掃体用収容袋は、収容空間に比容積が10〜60cm/gの清掃体が収容されるのが好ましい。このような構成によれば、比容積が比較的大きい清掃体であっても、当該清掃体の嵩やふわふわ感を維持した状態での収容が可能となる。
【0013】
本発明に係る清掃体パッケージは、前記の清掃体用収容袋と、当該清掃体用収容袋の収容空間に収容された複数の清掃体とを有し、複数の清掃体は、不織布及び繊維を含む所定厚みの複数のシート状部材が積層された1又は複数の積層体を形成する構成であるのが好ましい。このような構成によれば、清掃体用収容袋の剛性を高めることで収容空間に収容された複数の清掃体の本来の形状の変化を抑えることが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、不織布及び繊維を含む複数の清掃体を収容するための清掃体用収容袋において、清掃体収容状態で清掃体本来の形状の変化を抑えることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施の形態の清掃体用収容袋10の全体構造を示す斜視図である。
【図2】図1中の清掃体用収容袋10の平面図である。
【図3】図1中の清掃体用収容袋10を矢印A方向から視た様子を示す図である。
【図4】図1中の清掃体用収容袋10を矢印B方向から視た様子を示す図である。
【図5】図2中の清掃体用収容袋10のC−C線に関する断面構造を示す図である。
【図6】図5中の断面構造において、一方の第3折り線26が開裂部26aに沿って開裂した開裂状態を示す図である。
【図7】図6中の一方の第3折り線26の開裂状態を、図1中の矢印A方向から視た様子を示す図である。
【図8】図1中の清掃体用収容袋10の収容空間10aに収容される清掃体100の断面構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る「清掃体用収容袋」の一実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0017】
本実施の形態の清掃体用収容袋10の全体構造については、図1〜図4が参照される。図1に示すように、清掃体用収容袋10は、複数の清掃体100のための密閉状の収容空間10aを有し、少なくとも12の辺を含む略直方体(断面形状が略長方形)の袋状部材として構成されている。この袋状部材は、まち付の「ガセット袋」とも称呼される。この清掃体用収容袋10は略直方体であるため、当該収容袋を搬送時や保管時に自立させ易いという作用効果を奏する。この清掃体用収容袋10は、収容状態の清掃体100が視認可能となるように、透明ないし半透明のフィルム(薄膜体)によって構成されるのが好ましい。
【0018】
上記の収容空間10aは、互いに対向する3組の対向面、即ち第1の方向D1に関して互いに対向する第1延在面11,11、第2の方向D2に関して互いに対向する第2延在面12,12、及び第3の方向D3に関して互いに対向する第3延在面13,13によって区画される。本実施の形態では、清掃体用収容袋10の収容空間10aに、平面視が略長方形の複数の清掃体100が第1の方向D1に関して積層されて、第3の方向D3に2列で収容されている。この収容状態では、複数の清掃体100の積層体の上面及び下面がいずれも第1延在面11と対向しており、また当該積層体の短辺側が第2延在面12と対向し、且つ当該積層体の長辺側が第3延在面13と対向している。ここでいう収容空間10aは、複数の清掃体100が収容される領域であり、本発明における「収容空間」に相当する。
【0019】
清掃体用収容袋10は、エッジシール部21、背張りシール部22、エンドシール部23、第1折り線24、第2折り線25及び第3折り線26を含むように構成されている。
【0020】
エッジシール部21は、特に図1が参照されるように、第1延在面11と第2延在面12との境界部に形成されたシール部分(接合部分)として構成されている。本実施の形態では、このエッジシール部21は、いずれも第3の方向D3へと互いに平行に延在する4つの長辺14(直方体の長辺)上にそれぞれ設けられている。即ち、長辺14上の全体にわたってエッジシール部21が連続的に形成されている。背張りシール部22は、特に図1及び図2が参照されるように、一方の第1延在面11とその両側の2つの第3延在面13,13にわたって第3の方向D3へと延在するシール部分(接合部分)として構成される。エンドシール部23は、特に図1及び図4が参照されるように、各第3延在面13において第2の方向D2へと延在するシール部分(接合部分)として構成される。上記の各シール部21,22,23は、所定のシール幅を有する1又は複数の直線、刃形、鋸刃形、非連続状のドット形のような形状を用いて、連続的又は断続的に構成されるのが好ましい。
【0021】
第1折り線24は、特に図1が参照されるように、各第3延在面13においてエンドシール部23を規定するべく第2の方向D2へと延在する折り目(山折り処理がなされた「山折りの罫線」ともいう)として構成される。第2折り線25は、特に図1及び図3が参照されるように、第1延在面11と第3延在面13との境界部において第2の方向D2へと延在し、且つ第2延在面12と第3延在面13との境界部において第1の方向D1へと延在する折り目(山折り処理がなされた「山折りの罫線」ともいう)として構成される。即ち、この第2折り線25は、4つの長辺14を結ぶ辺15上に第3延在面13に沿って(長辺14の延在方向と交差する方向に)環状に形成されている。第3折り線26は、特に図1及び図3が参照されるように、各第2延在面12の第1の方向D1に関する中央部分において、第3の方向D3へと延在する折り目(山折り処理がなされた「山折りの罫線」ともいう)として構成される。これら第1折り線24、第2折り線25及び第3折り線26はいずれも、典型的には溶着性フィルムに対して山折り処理によって折り目を付与した上で、更に当該溶着性フィルムの表面を熱ないし超音波で溶融・硬化させて形付けすることによって形成されている。これらの折り線24,25,26には、清掃体用収容袋10の各平面部分よりもフィルム硬度が高められる剛性化処理がなされており、結果的に相対的の剛性が高い高剛性領域を形成している。即ち、これらの折り線24,25,26を含む領域は、溶着性フィルムに折り目が付けられる第1の処理によって、当該フィルムの構造上の強度がアップし、乃至は当該フィルムの性状が化学的に変化することによって剛性が高まり、更に溶着性フィルムを溶融・硬化させる第2の処理によって剛性が高まることとなる。この場合、本実施の形態では、折り線24,25,26のための剛性化処理として、上記の第1の処理及び第2の処理の少なくとも一方の処理を適宜に用いるのが好ましい。特に第2折り線25は、4つの長辺14を結ぶ辺15上に設けられた剛性領域であり、本発明における「第2の剛性領域」に相当する。
【0022】
また、図1及び図2が参照されるように、上記構成の清掃体用収容袋10では、エンドシール部23に、1又は複数のノッチ31及びフック穴32を設けるのが好ましい。ノッチ31は、典型的にはV字状に形成された切り欠き部分として構成されており、清掃体用収容袋10の開封を容易に行うための開封用として使用される。フック穴32は、典型的には円形の貫通孔として構成されており、店頭での陳列時等に清掃体用収容袋10を吊り下げるのに使用される。なお、これらのノッチ31やフック穴32は、必要に応じて省略することもできる。
【0023】
ここで、上記構成のエッジシール部21及び第3折り線26の更なる具体的な構成については、図2中の清掃体用収容袋10のC−C線に関する断面構造を示す図5が参照される。図5に示すように、各エッジシール部21は、溶着性フィルムをその内壁面同士が互いに密着するように長辺14に沿って合掌状に山折りして、その折り重なり部分を熱ないし超音波で溶着・硬化させることで形成された山折り部として構成されている。これにより、このエッジシール部21は、清掃体用収容袋10の各平面部分よりもフィルム厚みを厚くし、且つフィルム硬度を高めるような剛性化処理がなされており、結果的に相対的の剛性が高い高剛性領域を形成している。ここでいうエッジシール部21が、本発明における「第1の剛性領域」に相当する。その結果、清掃体用収容袋10を略直方体に保持することができ、保形性ないし耐久性を高めることが可能となる。特に軽量化を実現するべく相対的に薄手のフィルムを用いても収容袋全体に張りをもたせることでき、また当該収容袋にシワがより難い。また、溶着性フィルムを用いてエッジシール部21を簡便に形成することが可能となる。また、長辺14全体にわたって剛性化処理がなされるため、清掃体用収容袋10の保形性をより確実に高めることが可能となる。この場合、溶着性シートとして典型的には、溶着が可能な樹脂、例えばPET/CPP、OPP/CPP、HSOPP/CPP、PET/PE等の合成樹脂を主体としたフィルム材料、アート紙やコート紙等の紙材、紙材とPE或いはAL等を組み合わせた紙ラミネート材を好適に用いることができる。
【0024】
各エッジシール部21は、その山折り部が第2延在面12と交差する方向に突出した突出構造を有するのが好ましい。各エッジシール部21のこの突出構造は、第2延在面12が収容袋内側へとU字状ないしV字状に凹んだ形状となるように、第3折り線26を構成することによって実現できる。即ち、第1延在面11,11及び第2延在面12,12は、略直方体のうち隣接する2つの長辺14によって区画された延在面として構成されているが、これら4つの延在面のうち互いに対向する2つの第1延在面11,11が、当該延在面が収容袋内側へと凹むように長辺14の延在方向に形成された第3折り線26を含む。ここでいう2つの第2延在面12,12が、本発明における「2つの対向面」に相当し、また第3折り線26が、本発明における「折り線」に相当する。これにより、各第2延在面12の2つのエッジシール部21,21が、清掃体用収容袋10を自立させる際の脚部としての機能を果たすことになり、清掃体用収容袋10の自立性を向上させることが可能となる。この場合、当該自立性の向上効果を高めるべく、各エッジシール部21のシール幅(図5中のシール幅d)を1〜10mmに設定するのが好ましい。このような特徴は、特に清掃体100が収容された収容袋10を店頭に陳列する際に有効である。必要に応じては、各エッジシール部21のシール幅を1mm以下に設定することもできる。
【0025】
一方では、図5に示すように、2つの第2延在面12の一方では更に、第3折り線26上に開裂部26aが設けられており、当該第3折り線26はこの開裂部26aに沿って開裂できるように構成されている。即ち、第3折り線26上の全体にわたって開裂部26aが連続的に形成されている。この結果、図6及び図7に示すように、開裂部26aを含む一方の第2延在面12に、所定の清掃体100を優先的に取り出すための開口部10bが形成される。この開口部10bは、特に図7が参照されるように、長辺14の延在方向(第3の方向D3)に沿って長尺状に延在する開口部分として構成される。ここでいう開裂部26a及び開口部10bがそれぞれ、本発明における「開裂部」及び「開口部」に相当する。なお、第3折り線26上の開裂部26aは、清掃体用収容袋10の一部によって構成され、当該収容袋と同一材料によって形成されるか、或いは清掃体用収容袋10とは別体として構成され、当該収容袋とは別材料によって形成される。
【0026】
上記のように、互いに対向する2つの第2延在面12,12のうち、一方の第2延在面12がエッジシール部21を介して清掃体用収容袋10の自立性向上機能を実現し、他方の第2延在面12が第3折り線26の開裂部26aを介して清掃体100の取り出し機能を実現する。従って、清掃体用収容袋10は、陳列時や保管時等においては、図5が参照されるように、第3折り線26に開裂部26aが設けられている側の第2延在面12が上面(「天面」ともいう)となり、第3折り線26に開裂部26aが設けられていない側の第2延在面12が下面(「底面」ないし「接地面」ともいう)となるように配置されるのが好ましい。これにより、清掃体用収容袋10から清掃体100を取り出し易い設置態様を実現することができる。
【0027】
上記構成の第3折り線26上の開裂部26aは、当該第3折り線26の延在方向に沿って貫通部と非貫通部が交互に配置され、全体として連続状に延在するミシン目によって構成されるのが好ましい。より好ましくは、このミシン目において貫通部が概ね3.0mmに設定され、且つ非貫通部が概ね1.0mmに設定される。特に、開裂部26aをこのようなミシン目を用いて構成することで、開口部10bを収容袋に簡便に設けることが可能となる。この場合、一方の第2延在面12は、長尺状の開口部10bを挟んでその両側に2つの分断片12a,12bに分断されるが、当該分断片は、エッジシール部(山折り部)21の剛性によって収容袋内側へと延在した状態が維持されるように構成されている。従って、これら分断片12a,12bは、開口部10bを通じて取り出し中の清掃体とは別の清掃体と干渉することによって、別清掃体を収容空間10aに留まらせる保持機能、或いは別清掃体が収容空間10a外へと離脱するのを規制するストッパー機能を果たす。ここでいう分断片12a,12bが、本発明における「分断片」に相当する。これにより、使用者の意図に反して一度に多くの清掃体100が取り出されるのを阻止でき、清掃体100を一枚ずつ(1シートずつ)確実に取り出すことが可能となる。
【0028】
上記構成の清掃体用収容袋10を製造する場合、例えば以下のステップを用いることができる。まず、平坦状の1片のフィルムの4箇所(後に第1延在面11と第2延在面12との境界部となる部位)に前記のエッジシール部21を設けるステップ(第1のステップ)を行う。このステップでは、前述のように溶着性フィルムを合掌状に山折りして溶着することによってエッジシール部21が形成される。
【0029】
第1のステップに引き続いて、或いは並行して、フィルムの2箇所(後に第2延在面12となる部位)に前記の第3折り線26を設けるとともに、更に一方の第3折り線26に開裂部26aを設けるステップ(第2のステップ)を行う。この第2のステップでは、前述のように溶着性フィルムを溶融・硬化させて形付けすることによって第3折り線26が形成され、ミシン目加工によって開裂部26aが形成される。
【0030】
第2のステップに引き続いて、平坦状の1片のフィルムを筒状に丸めて重なり部分を溶着することによって、後に第1延在面11となる部位に前記の背張りシール部22を備える筒状部材を形成しつつ、複数の清掃体100を積層させた積層体を当該筒状部材の筒内に挿入するステップを行う(第3のステップ)。この場合、背張りシール部22は、第2の方向D1に関する第1延在面11の中央部分にて第3の方向D3に延在するように構成されるのが好ましい。これにより、清掃体100が背張りシール部22に噛み込まれにくい。
【0031】
第3のステップの後に、筒状部材の2つの開口端部を密封するべく前記のエンドシール部23を形成するステップ(第4のステップ)を行う。この第4のステップでは、筒状部材の開口端部を溶着することによってエンドシール部23を形成し、また前記の第1折り線24を形成した上で、エンドカットを行う。上記の各ステップを経て製造された清掃体用収容袋10は、廃棄時等において解体する必要がなく捨て易い。
【0032】
清掃体100は、不織布及び繊維を含む所定厚みのシート状部材(シート状の清掃体シート)として構成される。ここでいう清掃体100が、本発明における「清掃体」に相当する。また、この清掃体100が前記構成の清掃体用収容袋10に収容された収容体(パッケージ)が、本発明における「清掃体パッケージ」に相当する。この清掃体100は、具体的には、図8に示すように、所定の長手方向(長辺の延在方向)に長尺状に延在するような平面視が略長方形ないし略正方形のシート体として構成される。この清掃体100では、繊維束からなる三層構造の繊維シート101,101,101の片面に不織布からなる不織布シート102が重ねられて、当該繊維シート及び不織布シートが接合線103を介して互いに接合されている。この清掃体100として、典型的には比容積が比較的大きい10〜60cm/gの範囲のものを用いることができる。本実施の形態によれば、前述のエッジシール部21により清掃体用収容袋10の保形性を高める効果によって、このように比容積が比較的大きい清掃体100であっても、当該清掃体100の嵩やふわふわ感を維持した状態での収容が可能となる。なお、図8に示す清掃体100の変更の実施形態として、三層構造の繊維シート101,101,101の両面のうち、不織布シート102が重ねられている一方の面とは反対側の面に、不織布シート102と同様の不織布シートを設けるように構成することもできる。
【0033】
本実施の形態では、複数の清掃体100は、不織布及び繊維を含む所定厚みの複数のシート状部材が積層された1又は複数の積層体を形成している。特に図1が参照されるように、上記構成の清掃体100の複数が積層された積層体が第3の方向D3(長辺14の延在方向)に2列で収容されているが、当該積層体が1列又は3列以上で収容されてもよい。この場合、清掃体100による積層体の配列方向と長辺14の延在方向とが合致しているため、清掃体用収容袋10の長辺14の寸法を適宜に設定することによって、清掃体100(積層体)の数を容易に変更することが可能となる。
【0034】
なお上記構成の清掃体100には、当該清掃体を保持するホルダを挿入するための挿入部が設けられるのが好ましい。また、この清掃体100は、清掃対象における被清掃領域のごみ、埃、塵ないし汚れを拭き取る拭き取り機能、被清掃物を掃き取る掃き取り機構、或いは被清掃物を掻き取る掻き取り機能を有するのが好ましい。また、この掃シート100は、一回使用を目安とした使い捨てタイプとして、清掃対象における被清掃領域から除去した被清掃物を刷毛部において保持しつつ複数回の使用を目安として交換を行う使い捨てタイプとして、或いは洗濯などを行ったうえで繰り返し使用することが可能なタイプとして構成され得る。
【0035】
(他の実施の形態)
なお、本発明は上記の実施の形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記実施の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
【0036】
上記実施の形態では、略直方体の4つの長辺14上の全体にわたって、山折り部としてのエッジシール部21を連続的に設ける場合について記載したが、本発明ではエッジシール部21を長辺14上の全体にわたって断続的に設けることもでき、また長辺14上の一部にエッジシール部21を連続的或いは断続的に設けてもよい。
【0037】
また本実施の形態では、長辺14上にフィルム厚みを厚くし、且つフィルム硬度を高めるような剛性化処理によってエッジシール部21を形成する場合について記載したが、本発明では、長辺14上や辺15上に付与される剛性化処理は、フィルム厚みを厚くする剛性化処理と、フィルム硬度を高める剛性化処理のうちの少なくとも一方の処理によって行うことができる。このため、例えば長辺14上にエッジシール部21に代えて第2折り線25のような折り線を設けることもでき、また辺15上に第2折り線25に代えてエッジシール部21のような山折り部を設けることもできる。
【0038】
また上記実施の形態では、清掃体用収容袋10を1片の溶着性フィルムによって形成する場合について記載したが、本発明では、複数片の溶着性フィルムによって清掃体用収容袋10を形成することもできる。また、溶着性フィルム以外の非溶着性フィルムを用い、当該非溶着性フィルムを接着剤等によって接合する構成を採用することもできる。
【0039】
また上記実施の形態では、第3折り線26上の全体にわたって開裂部26aが連続的に形成される場合について記載したが、本発明では開裂部26aを第3折り線26上の全体にわたって断続的に設けることもでき、また第3折り線26上の一部に開裂部26aを連続的或いは断続的に設けてもよい。
【0040】
また上記実施の形態では、開裂部26aを貫通部と非貫通部が交互に配置されたミシン目によって構成する場合について記載したが、本発明では開裂部26aを、溝深さが第3折り線26に沿って一定或いは可変とされた薄肉部(減肉部)として構成することもできる。また、ミシン目に代えて、マイクロジッパーやイージーオープン性を有する、異素材を張り合わせた構造を用いることもできる。
【0041】
また上記実施の形態では、第2延在面12に第3折り線26或いは開裂部26aを含む第3折り線26を設ける場合について記載したが、本発明では第1延在面11に当該第3折り線を設けることもできる。また、当該第3折り線が第2延在面12の第1の方向D1に関する中央部分において第3の方向D3へと延在する構成に代えて、この中央部分か外れた位置に当該第3折り線を設けることもできる。
【0042】
また上記実施の形態では、2つの第2延在面12,12のうちの一方の第3折り線26上のみに開裂部26aを設ける場合について記載したが、本発明では、2つの第2延在面12,12の双方の第3折り線26上に開裂部26aを設けることもできる。また、本発明では、第3折り線26から外れた位置に開裂部26aを設けるようにすることもできる。
【0043】
上記実施の形態や種々の変更例の記載に基づいた場合、本発明では、以下の各態様を採用することができる。
【0044】
(態様1)
「不織布及び繊維を含む複数の清掃体を収容するための清掃体用収容袋であって、
当該収容袋は、所定のフィルムによって略直方体に形成されており、また各辺のうち互いに平行に延在する4つの長辺上に設けられた第1の剛性領域と、前記4つの長辺を結ぶ辺上に設けられた第2の剛性領域と、前記複数の清掃体が収容される収容空間と、を備えることを特徴とする清掃体用収容袋」という態様(態様1)を採り得る。
【0045】
(態様2)
「態様1に記載の清掃体用収容袋であって、
前記第1の剛性領域及び前記第2の剛性領域はいずれも、フィルム厚みを厚くする剛性化処理とフィルム硬度を高める剛性化処理のうちの少なくとも一方の処理によって形成されていることを特徴とする清掃体用収容袋」という態様(態様2)を採り得る。
【0046】
(態様3)
「態様1又は2に記載の清掃体用収容袋であって、
当該収容袋は、溶着性フィルムによって構成され、
前記第1の剛性領域は、前記溶着性フィルムを前記長辺に沿って山折りし、その折り重なり部分を溶着することでフィルム厚みが厚くなり、且つフィルム硬度が高くなるような剛性化処理がなされた山折り部として構成されていることを特徴とする清掃体用収容袋」という態様(態様3)を採り得る。
【0047】
(態様4)
「態様3に記載の清掃体用収容袋であって、
互いに隣接する2つの前記長辺によって区画された4つの延在面を含み、前記4つの延在面のうちの互いに対向する2つの対向面は、当該対向面が収容袋内側へと凹むように前記長辺の延在方向に形成された折り線を備え、前記山折り部は、前記対向面と交差する方向へと突出するように構成されていることを特徴とする清掃体用収容袋」という態様(態様4)を採り得る。
【0048】
(態様5)
「態様4に記載の清掃体用収容袋であって、
前記2つの対向面のうちのいずれか一方の対向面は、当該対向面を前記折り線に沿って開裂させるための開裂部を有することを特徴とする清掃体用収容袋」という態様(態様5)を採り得る。
【0049】
(態様6)
「態様5に記載の清掃体用収容袋であって、
前記2つの対向面のうちのいずれか一方の対向面は、当該対向面が前記開裂部にて開裂したときに形成される長尺状の開口部と、前記開口部を挟んでその両側に形成される分断片を含み、前記分断片は前記山折り部の剛性によって収容袋内側へと延在した状態が維持されるように構成されていることを特徴とする清掃体用収容袋」という態様(態様6)を採り得る。
【0050】
(態様7)
「態様1から6のうちのいずれかに記載の清掃体用収容袋であって、
前記収容空間に比容積が10〜60cm/gの前記清掃体が収容されることを特徴とする清掃体用収容袋」という態様(態様7)を採り得る。
【0051】
(態様8)
「態様1から7のうちのいずれかに記載の清掃体用収容袋と、前記清掃体用収容袋の前記収容空間に収容された前記複数の清掃体とを有し、前記複数の清掃体は、不織布及び繊維を含む所定厚みの複数のシート状部材が積層された1又は複数の積層体を形成していることを特徴とする清掃体パッケージ」という態様(態様8)を採り得る。
【0052】
(態様9)
「不織布及び繊維を含む複数の清掃体を収容するための清掃体用収容袋であって、
当該収容袋は、所定のフィルムによって略直方体に形成されており、また各辺のうち互いに平行に延在する4つの長辺上に設けられた第1の剛性領域と、前記複数の清掃体が収容される収容空間と、を備えることを特徴とする清掃体用収容袋」という態様(態様9)を採り得る。
【0053】
(態様10)
「態様9に記載の清掃体用収容袋であって、
更に、前記4つの長辺を結ぶ辺上に設けられた第2の剛性領域を備えることを特徴とする清掃体用収容」という態様(態様10)を採り得る。
【0054】
(態様11)
「態様9又は10に記載の清掃体用収容袋と、前記清掃体用収容袋の前記収容空間に収容された前記複数の清掃体とを有し、前記複数の清掃体は、不織布及び繊維を含む所定厚みの複数のシート状部材が積層された1又は複数の積層体を形成していることを特徴とする清掃体パッケージ」という態様(態様11)を採り得る。
【符号の説明】
【0055】
10 清掃体用収容袋
10a 収容空間
10b 開口部
11 第1延在面
12 第2延在面
12a,12b 分断片
13 第3延在面
14 長辺
15 辺
21 エッジシール部(第1の剛性領域)
22 背張りシール部
23 エンドシール部
24 第1折り線
25 第2折り線(第2の剛性領域)
26 第3折り線
26a 開裂部
31 ノッチ
32 フック穴
100 清掃体
101 繊維シート
102 不織布シート
103 接合線
D1 第1の方向
D2 第2の方向
D3 第3の方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布及び繊維を含む複数の清掃体を収容するための清掃体用収容袋であって、
当該収容袋は、所定のフィルムによって略直方体に形成されており、また各辺のうち互いに平行に延在する4つの長辺上に設けられた第1の剛性領域と、前記4つの長辺を結ぶ辺上に設けられた第2の剛性領域と、前記複数の清掃体が収容される収容空間と、を備えることを特徴とする清掃体用収容袋。
【請求項2】
請求項1に記載の清掃体用収容袋であって、
前記第1の剛性領域及び前記第2の剛性領域はいずれも、フィルム厚みを厚くする剛性化処理とフィルム硬度を高める剛性化処理のうちの少なくとも一方の処理によって形成されていることを特徴とする清掃体用収容袋。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の清掃体用収容袋であって、
当該収容袋は、溶着性フィルムによって構成され、
前記第1の剛性領域は、前記溶着性フィルムを前記長辺に沿って山折りし、その折り重なり部分を溶着することで前記長辺全体のフィルム厚みが厚くなり、且つ前記長辺全体のフィルム硬度が高くなる剛性化処理がなされた山折り部として構成されていることを特徴とする清掃体用収容袋。
【請求項4】
請求項3に記載の清掃体用収容袋であって、
互いに隣接する2つの前記長辺によって区画された4つの延在面を含み、前記4つの延在面のうちの互いに対向する2つの対向面は、当該対向面が収容袋内側へと凹むように前記長辺の延在方向に形成された折り線を備え、前記山折り部は、前記対向面と交差する方向へと突出するように構成されていることを特徴とする清掃体用収容袋。
【請求項5】
請求項4に記載の清掃体用収容袋であって、
前記2つの対向面のうちのいずれか一方の対向面は、当該対向面を前記折り線に沿って開裂させるための開裂部を有することを特徴とする清掃体用収容袋。
【請求項6】
請求項5に記載の清掃体用収容袋であって、
前記2つの対向面のうちのいずれか一方の対向面は、当該対向面が前記開裂部にて開裂したときに形成される長尺状の開口部と、前記開口部を挟んでその両側に形成される分断片を含み、前記分断片は前記山折り部の剛性によって収容袋内側へと延在した状態が維持されるように構成されていることを特徴とする清掃体用収容袋。
【請求項7】
請求項1から6のうちのいずれか一項に記載の清掃体用収容袋であって、
前記収容空間に比容積が10〜60cm/gの前記清掃体が収容されることを特徴とする清掃体用収容袋。
【請求項8】
請求項1から7のうちのいずれか一項に記載の清掃体用収容袋と、前記清掃体用収容袋の前記収容空間に収容された前記複数の清掃体とを有し、前記複数の清掃体は、不織布及び繊維を含む所定厚みの複数のシート状部材が積層された1又は複数の積層体を形成していることを特徴とする清掃体パッケージ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−75717(P2013−75717A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218129(P2011−218129)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】