説明

清掃具用のホルダ、および清掃具

【課題】保持部に装着する清掃部材としてサイズが大きいものを用いるのに際し、使い勝手が良好な清掃具用のホルダを提供すること。
【解決手段】本発明の清掃用具のホルダは、清掃部材3の筒部31に挿入可能であり、かつ長棒状の弾性撓み変形可能なロッド部12を有する保持部1と、この保持部1の基端につながる柄2と、を備える。ロッド部12は、基端側から先端側に向かうにつれて断面積が漸次的に減少するテーパ状とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃具用のホルダ、およびこのホルダを備えた清掃具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の清掃具には、たとえば柄の先端部にモップなどの清掃部材を保持する保持部(清掃部)を備えたものがある(たとえば、特許文献1を参照)。同文献に開示された清掃具は、柄の基端側部分が剛性を有する一方、保持部を固定した柄の先端側部分が、棒状にまっすぐ延びており、弾性的に撓むようになっている。このような清掃具によれば、たとえば室内の壁や床、天井といった清掃対象面に対し、使用者は、清掃部材を装着した保持部を押し付けた状態で柄の先端側部分を撓ませることができ、清掃対象面に対して清掃部材を十分接触させることができる。
【0003】
しかしながら、上記従来の清掃具では、清掃部材が装着される保持部の軸方向の長さは比較的に短くされており、清掃部材についてはサイズが比較的に小さいものとなっている。このため、広範囲の清掃対象面を清掃する場合、従来の清掃具を用いた清掃作業では、その作業効率が悪く、このような点において使い勝手を良くする余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−19018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、保持部に装着する清掃部材としてサイズが大きいものを用いるのに際し、使い勝手が良好な清掃具用のホルダ、およびこのホルダを備えた清掃具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0007】
本発明の第1の側面によって提供される清掃用具のホルダは、筒部を有する清掃部材を保持するための清掃具用のホルダであって、上記清掃部材の筒部に挿入可能であり、かつ長棒状の弾性撓み変形可能なロッド部を有する保持部と、この保持部の基端につながる柄と、を備え、上記ロッド部は、基端側から先端側に向かうにつれて断面積が漸次的に減少するテーパ状とされていることを特徴としている。
【0008】
好ましい実施の形態においては、上記保持部は、上記ロッド部に対して上記柄寄りに隣接し、かつ上記柄につながっており、基端側から先端側に向けて先細り状の錐形部を有し、上記錐形部のテーパ率は、上記ロッド部のテーパ率よりも大とされている。
【0009】
好ましい実施の形態においては、上記錐形部の軸方向の長さは、上記ロッド部の軸方向の長さよりも小とされている。
【0010】
好ましい実施の形態においては、上記錐形部の軸方向の長さは、上記ロッド部の軸方向の長さの1/30〜1/10の範囲である。
【0011】
好ましい実施の形態においては、上記ロッド部のテーパ率は、1/200〜1/50の範囲である。
【0012】
好ましい実施の形態においては、上記錐形部のテーパ率は、上記ロッド部のテーパ率の10倍〜100倍の範囲である。
【0013】
好ましい実施の形態においては、上記保持部の先端は、丸みを帯びている。
【0014】
本発明の第2の側面によって提供される清掃具は、筒部を有する清掃部材と、上記第1の側面に係るホルダとを備えることを特徴としている。
【0015】
好ましい実施の形態においては、上記柄の側面の適部には、上記保持部側が開放する屈曲状のフック部が延出して形成されている。
【0016】
好ましい実施の形態においては、上記清掃部材には、上記保持部を挿入した状態で上記筒部の挿入口を絞るための口紐が設けられており、上記口紐は、上記柄の適部に設けられた係止片に掛け止められている。
【0017】
好ましい実施の形態においては、上記係止片は、上記フック部の外面から突出して形成されている。
【0018】
本発明によれば、清掃部材を装着した保持部の先端を清掃対象面に押し付けることにより、長棒状のロッド部を撓ませることができる。このロッド部は、基端側から先端側に向かうにつれて断面積が漸次的に減少するテーパ状とされているので、保持部の先端を清掃対象面に押しつける際には、比較的小さな荷重を付与することによってロッド部の先端寄りの部分をスムーズに撓ませることができる。そして、保持部を押しつける荷重を徐々に大きくすることにより、ロッド部の略全域を撓ませて、比較的にサイズの大きな清掃部材の広範囲を、清掃対象面に接触させることができる。したがって、上記構成によれば、荷重を調節することにより、清掃部材については先端寄りの狭い範囲ないし略全体にわたる広い範囲を適宜切り替えて清掃対象面に接触させることができ、優れた使用感をもって使い勝手良く用いることができる。
【0019】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る清掃具の一例を示す縦断面図である。
【図2】保持部の平面図である。
【図3】清掃部材の平面図である。
【図4】図1に示す清掃具の使用状態の一例を示す縦断面図である。
【図5】図1に示す清掃具の使用状態の一例を示す縦断面図である。
【図6】図1に示す清掃具の使用状態の一例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0022】
図1〜図3は、本発明に係る清掃具の一例を示している。図1に表れているように、本実施形態の清掃具Aは、たとえば壁や床、天井といった平面状の清掃対象面を清掃するのに適したものであり、保持部1、柄2、および清掃部材3を備える。保持部1および柄2は、互いに連結されて一体となり、清掃部材3を保持するホルダとして用いられる。
【0023】
図1および図2に表れているように、保持部1は、全体として長尺な棒状とされており、基端側に位置する錐形部11と、この錐形部11に対して先端側に隣接してつながるロッド部12と、ロッド部12の先端に設けられた球状部13とを有する。保持部1は、たとえば熱可塑性エラストマー(TPE)などの樹脂により一体形成されたものである。
【0024】
ロッド部12は、保持部1の長手軸方向Xの寸法の大半を占める長棒状とされている。ロッド部12は、基端側から先端側に向かうにつれて断面積が漸次的に減少するテーパ状の円錐形とされている。ロッド部12の各部の寸法の一例を挙げると、長手軸方向Xの寸法L1が400〜450mm程度とされ、基端断面の直径D1が12〜15mm程度とされ、先端断面の直径D2が9〜11mm程度とされる。また、ロッド部12のテーパ率((D1−D2)/L1)は、たとえば1/200〜1/50程度とされる。このような構成のロッド部12は、曲げ方向への荷重によって撓みながら弾性変形し、当該荷重を解放するともとの直線状の姿勢に復元する。
【0025】
球状部13は、保持部1の先端に位置する丸みを帯びた部分であり、ロッド部12の先端断面の直径D2よりも大きな直径を有する球面状とされている。球状部13の直径D3は、たとえば12〜15mm程度とされる。
【0026】
錐形部11は、基端側から先端側に向けて先細りテーパ状となっており、たとえば円錐形状あるいは外側に凸となるように緩やかに膨らむ錐形状とされている。錐形部11の長手軸方向Xの寸法L2は、たとえば15〜25mm程度とされており、たとえばロッド部12の長手軸方向Xの寸法L1の1/30〜1/10程度と小さくされている。錐形部11の基端断面の直径D4は、たとえば18〜22mm程度とされ、錐形部11の先端断面の直径D5(D1)は、たとえば12〜15mm程度とされる。また、錐形部11のテーパ率((D4−D1)/L2)は、たとえば1/10〜1/2程度とされている。錐形部11のテーパ率は、ロッド部12のテーパ率の10〜100倍程度とされる。
【0027】
錐形部11には、基端側に延びる連結軸14が一体的に設けられている。この連結軸14が後述する柄2の連結部21に内挿された状態にて、ビス止めなどの適宜手段によって保持部1(連結軸14)と柄2とが互いに連結される。この連結時において、錐形部11は、柄2につながっている。
【0028】
柄2は、保持部1を連結して使用者が手で握るものであり、全体として筒状を呈している。図1に表れているように、柄2の先端側には、保持部1を連結するための連結部21が設けられており、この連結部21から柄2の基端側へと延びる部分は、使用者が手で握る把持部22として設けられている。柄2は、たとえばポリプロピレンなどの樹脂により一体形成されたものである。
【0029】
連結部21の外側面には、フック部23が設けられている。フック部23は、保持部1側に開放するように屈曲状に延出して形成されている。また、柄2の適部には、後述する清掃部材3の口紐33を掛け止めるための係止片24が設けられている。本実施形態では、係止片24は、フック部23の外面から突出して形成されている。
【0030】
把持部22は、使用者が手で握るための部分であり、この把持部22の外側面の適部には、手に馴染むように凹部221が形成されている。また、把持部22には、図示しないさらに別の柄を差し込んで連結するための連結孔222が設けられている。使用者は、把持部22に別の柄を継ぎ足すことにより、柄全体の長さを伸ばして比較的高い位置の清掃対象面にも清掃具Aを用いることができる。
【0031】
清掃部材3は、清掃対象面に付着した塵埃を払拭するのに適したものである。図3に表れているように、清掃部材3は、先端側が閉じられた筒部31と、筒部31の周囲全体に設けられた払拭材32と(同図において仮想線で輪郭のみを示す)、筒部31の挿入口311を絞るための口紐33とを有する。清掃部材3のサイズは、保持部1が長尺であることに対応して、比較的に大とされている。
【0032】
筒部31は、たとえば帯状の不織布を重ね合わせ、これらの先端側縁および両側縁どうしを接合することによって細長筒状に形成されたものである。筒部31の基端側は、保持部1を挿入する挿入口311として用いられる。挿入口311の縁周りには、口紐33を環状に通す縁取り部34が設けられている。口紐33は、たとえば紐を環状に結んだものであり、図示しない結び目部分には、解けないようにするためのキャップ体35が取り付けられている。縁取り部34から外部に出た口紐33の一部ないしキャップ体35を引っ張ると、挿入口311が絞られる。払拭材32は、塵埃を払い取るのに適した乾式のものであり、たとえば多数のマイクロファイバー糸からなる。
【0033】
清掃部材3は、柄2に連結された保持部1を筒部31の先端側まで挿入した後、口紐33を引っ張って挿入口311を絞り、さらに縁取り部34から外部に出て輪状になった口紐33の部分を柄2の係止片24に引っ掛けることにより、保持部1に確実に装着される(図1参照)。これにより、清掃時には、保持部1から清掃部材3が抜けるといったことはなく、使用者は、清掃部材3の脱落に気を使うことなく清掃作業を行うことができる。
【0034】
次に、上記清掃具Aの作用について説明する。
【0035】
この清掃具Aを用いて清掃作業を行う際には、図4および図5に表れているように、たとえば室内の壁や床、天井などの清掃対象面Sに対し、清掃部材3を装着した保持部1の先端を押しつけることにより、ロッド部12を撓ませることができる。このため、清掃対象面Sに対して清掃部材3を十分に接触させて清掃することができる。
【0036】
保持部1の大半を占める長棒状のロッド部12は、基端側から先端側に向かうにつれて断面積が漸次的に減少する緩やかなテーパ状とされており、弾性撓み変形可能となっている。このようにロッド部12が緩やかなテーパ状であることにより、保持部1の先端を清掃対象面Sに押しつける際には、比較的小さな荷重Pを付与することによってロッド部12の先端寄りの部分をスムーズに撓ませることができる(図4参照)。そして、保持部1を押しつける荷重Pを徐々に大きくすることにより、ロッド部12の略全域を撓ませて、比較的にサイズの大きな清掃部材3の広範囲を、清掃対象面Sに接触させることができる(図5参照)。したがって、上記構成によれば、荷重Pを調節することにより、清掃部材3については先端寄りの狭い範囲ないし略全体にわたる広い範囲を適宜切り替えて清掃対象面Sに接触させることができ、優れた使用感をもって使い勝手良く用いることができる。また、ロッド部12のテーパ率が1/200〜1/50程度の緩やかなテーパ状とされていることにより、上記した使い勝手の良さが適切に発揮される。
【0037】
また、ロッド部12がテーパ状とされていることにより、清掃対象面Sに対して保持部1の先端を押し付けて、清掃部材3の広範囲を清掃対象面Sに接触させた際に、ロッド部12の長手軸方向の各所における曲げ応力は、ロッド部の断面が一様である場合に比べて、より均一となる。したがって、清掃対象面Sに保持部1を押し付けながら行う清掃において、清掃対象面Sに対し、ロッド部12の長手軸方向の各所においてより均一な押圧力を付与することができる。これにより、清掃部材3の略全体にわたる広い範囲を清掃対象面Sに接触させて清掃する場合においても、当該接触部分を万遍なく清掃することが可能であり、使い勝手がより良い。
【0038】
さらに、長棒状のロッド部12がテーパ状とされていることにより、たとえば図6に表れているように、入り組んだ狭い隙間Gに囲まれた清掃対象面Sを清掃する際においても、ロッド部12の先端を当該隙間Gに追従させて進入させることが可能である。したがって、本実施形態の清掃具Aによれば、種々の清掃対象面Sに対して使い勝手良く用いることができる。
【0039】
保持部1の先端には、丸みを帯びた球状部13が設けられているため、保持部1の先端を清掃対象面Sに押し付ける際の感触が柔らかく、使い勝手が良い。また、たとえば意図せずに保持部1の先端で清掃対象面S等を突いてしまった場合において、清掃対象面S等を傷付けるといった不都合は防止され、安全面においても優れている。
【0040】
ロッド部12の基端側に隣接する錐形部11は、柄2とロッド部12との間に挟まれており、これら柄2およびロッド部12をつなぐ役割を果たしている。この錐形部11の長手軸方向Xにおける寸法L2は、ロッド部12の長手軸方向Xにおける寸法L1よりも十分に小さくされており、また、錐形部11は、ロッド部12に比べて急なテーパ状とされている。このようなコンパクトな錐形部11を設けることにより、柄2およびロッド部12間を所望の径方向寸法に調整しつつ、適度な剛性をもたせてつなぐことができる。
【0041】
本実施形態において、柄2の外側面には、保持部1側に開放する屈曲状のフック部23が延出して形成されている。これにより、清掃具Aの不使用時には、たとえばフック部23を使用者のベルトや清掃用カートの縁などの適所に引っ掛けることにより、保持部1の先端が下を向く姿勢で吊下げておくことが可能であり、便利である。
【0042】
清掃部材3の口紐33を掛け止めるための係止片24は、フック部23の外面から突出して設けられている。このような構成によれば、口紐33をフック部23の外側に回り込ませることで係止片24に引っ掛けることが可能であり、口紐33を掛け止める作業を容易に行うことができる。
【0043】
以上、本発明の具体的な実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の思想から逸脱しない範囲内で種々な変更が可能である。本発明に係る清掃具用のホルダ、および清掃具の各部の具体的な形状や材質なども、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態において、ロッド部12は円錐形とされていたが、たとえばロッド部として角錐形などの他の形状を採用してもよい。
【符号の説明】
【0044】
A 清掃具
S 清掃対象面
X 長手軸方向
1 保持部
11 錐形部
12 ロッド部
13 球状部
14 連結軸
2 柄
21 連結部
22 把持部
221 凹部
222 連結孔
23 フック部
24 係止片
3 清掃部材
31 筒部
311 挿入口
32 払拭材
33 口紐
34 縁取り部
35 キャップ体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒部を有する清掃部材を保持するための清掃具用のホルダであって、
上記清掃部材の筒部に挿入可能であり、かつ長棒状の弾性撓み変形可能なロッド部を有する保持部と、この保持部の基端につながる柄と、を備え、
上記ロッド部は、基端側から先端側に向かうにつれて断面積が漸次的に減少するテーパ状とされていることを特徴とする、清掃具用のホルダ。
【請求項2】
上記保持部は、上記ロッド部に対して上記柄寄りに隣接し、かつ上記柄につながっており、基端側から先端側に向けて先細り状の錐形部を有し、
上記錐形部のテーパ率は、上記ロッド部のテーパ率よりも大とされている、請求項1に記載の清掃具用のホルダ。
【請求項3】
上記ロッド部のテーパ率は、1/200〜1/50の範囲である、請求項2に記載の清掃具用のホルダ。
【請求項4】
上記錐形部のテーパ率は、上記ロッド部のテーパ率の10倍〜100倍の範囲である、請求項2または3に記載の清掃具用のホルダ。
【請求項5】
上記保持部の先端は、丸みを帯びている、請求項1ないし4のいずれかに記載の清掃具用のホルダ。
【請求項6】
筒部を有する清掃部材と、請求項1ないし5のいずれかに記載のホルダとを備えることを特徴とする、清掃具。
【請求項7】
上記柄の側面の適部には、上記保持部側が開放する屈曲状のフック部が延出して形成されている、請求項6に記載の清掃具。
【請求項8】
上記清掃部材には、上記保持部を挿入した状態で上記筒部の挿入口を絞るための口紐が設けられており、
上記口紐は、上記柄の適部に設けられた係止片に掛け止められている、請求項7に記載に清掃具。
【請求項9】
上記係止片は、上記フック部の外面から突出して形成されている、請求項8に記載の清掃具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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