説明

清掃具

【課題】多様な使用形態に対応でき、「はたき」としての使用に加えて、網戸の清掃、自動車の洗浄等の用途にも使用可能な清掃具を提供する。
【解決手段】基台11の先端に複数の叩き棒5,5…を取付けてあり、把手12を把持して基台11を振り動かして「はたき」として使用するように構成された清掃具において、叩き棒5,5…、基台11及び把手12を中空とし、把手12の端部に交換可能な接続具22を取付け、真空掃除機の吸気パイプ、給水ホース又は洗剤液ボトルに選択的に接続して使用できるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内及び室外の広範な用途での掃除に用いられる清掃具に関する。
【背景技術】
【0002】
古来から清掃具として使用されている「はたき」は、棒状をなす把手の先端に、布、毛等の柔軟性を有する叩き片を多数取付けてなり、把手を把持する使用者の振り操作により叩き片が清掃か所を叩き、当該箇所に堆積する塵埃を叩き落とすようにしたものである。
【0003】
この種の「はたき」は、床,天井のコーナ、窓,障子の桟及びレール、家具の表面等、複雑な凹凸形状を有する清掃か所の清掃に、場所を選ばずに好便に用い得るという利点を有する反面、叩き落とされた塵埃の捕集作業が別途必要となるという難点がある。
【0004】
この点に着目して本願発明者は、真空掃除機の吸気パイプに取付け、該吸気パイプに吸込まれる吸気を塵埃の捕集に利用することを意図した清掃具を提案している(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
この清掃具は、吸気パイプへの取付けにより該吸気パイプと連続する風路を形成する筒形の基台の先端に、可撓性を有する細径中空の中空棒として構成された叩き棒を多数本取付け、該叩き棒の先端により清掃か所の塵埃を叩き出す一方、叩き出された塵埃を、夫々の叩き棒の中空部を経て吸気パイプ内に吸引して、該吸気パイプに接続された掃除機に捕集させる構成としたものである。
【特許文献1】特開2000−166822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように特許文献1に開示された清掃具は、古来から使用されている「はたき」に塵埃の捕集機能を併せ持たせたものであり、効率的な清掃を実施することができる反面、前述したように、真空掃除機の吸気パイプの先端に装着して使用する使用形態に限られるという問題があった。
【0007】
また近年においては、多種の真空掃除機が存在し、吸気パイプの先端の口径及び形状が一様でないことから、特許文献1に開示された清掃具は、掃除機の吸気パイプに装着する本来の使用形態での使用も限定されるという問題があった。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、「はたき」としての使用形態に限らず、多様な使用形態に対応でき、例えば、網戸の清掃、自動車の洗浄等の用途にも使用可能な清掃具を提供し、また「はたき」としての使用に際しても、塵埃捕集用の真空掃除機の種類を選ばずに適用可能な清掃具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1発明に係る清掃具は、把手を備える基台に可撓性を有する複数本の叩き棒を取付けてなり、前記把手を把持して前記基台と共に振り動かされる前記叩き棒の先端により清掃か所を叩くべく用いられる清掃具において、前記複数本の叩き棒の少なくとも一部は、軸心部を貫通して先端部に開口する貫通孔を有し、前記基台及び把手は、前記貫通孔に連通し、前記把手の基部に開口する中空部を有しており、前記把手は、吸気パイプ、給水ホース又は洗剤液ボトルに各別の接続具を介して接続可能に構成してあることを特徴とする。
【0010】
本発明においては、基台の把手を、吸気パイプ、給水ホース又は洗剤液ボトルに各別の接続具を介して接続することができる。吸気パイプを接続した場合には、叩き棒により叩き出された塵埃は、叩き棒、基台及び把手の中空部を経て吸気パイプに吸引されて捕集され、「はたき」としての使用が可能となる。給水ホースに接続した場合、該給水ホースからの給水が、把手、基台及び叩き棒の中空部を経て、各叩き棒の先端から噴出し、噴出水による洗浄を伴う清掃が可能となる。洗剤液ボトルに接続した場合には、洗剤液ボトル中の洗剤液が、把手、基台及び叩き棒の中空部を経て、各叩き棒の先端から漏れ出し、該洗剤液での洗浄を伴う清掃が可能となる。
【0011】
また前記複数本の叩き棒の少なくとも一部は、先端に取り付けたブラシを備えることを特徴とする。
【0012】
この発明においては、叩き棒の先端のブラシが清掃か所に接触し、塵埃の叩き出し及び洗浄か所の清掃を確実に実施することができる。
【0013】
また前記ブラシは、前記叩き棒に固定される根元部から先端を開いた状態に分岐する複数本のブラシ毛を備えることを特徴とする。
【0014】
この発明においては、各ブラシのブラシ毛が先端を開いた状態に設けてある。このように設けたブラシ毛は、凹凸面等の複雑な形状を有する清掃面に確実に当り、塵埃の叩き出し及び洗浄か所の清掃を良好に実施することができる。
【0015】
また前記吸気パイプの接続具は、接続すべき吸気パイプの口径及び端部形状に応じて組み変えて前記把手に接続される複数の接続管を備えることを特徴とする。
【0016】
この発明においては、複数の接続管の組み変えにより、口径及び形状が異なる吸気パイプへの接続に対応する。口径が異なる吸気パイプに対しては、基部及び先端部の外径が異なる接続管を組み合わせて使用し、また異形の端面を有する吸気パイプに対しては、端面から離れた内奥の円形断面部にまで達する長寸の接続管(延長管)を組み合わせて使用して確実な接続を実現する。
【0017】
また前記給水ホースの接続具は、前記把手に接続される基部及び先端把持部を有する第1の連結管と、該第1の連結管への挿入が可能な外径及び前記給水ホースの差し込みが可能な内径を有する第2の連結管とを備え、前記第1の連結管に挿入した前記第2の連結管を前記先端把持部の把持により縮径させ、該第2の連結管の内側に差し込まれた前記給水ホースを抜け止め固定する構成としてあることを特徴とする。
【0018】
給水ホースは、把手に接続された第1の連結管に挿入した第2の連結管に差し込み、第1の連結管の先端把持部により第2の連結管を把持して縮径させ、内側の給水ホースを押えて抜け止めすることにより接続する。使用者は、第2の連結管に給水ホースを差し込み、第1の連結管の先端把持部を把持操作をするだけでよく、簡易な操作で確実な接続を実現することができる。第2の連結管は、塩化ビニル等の軟質樹脂製とし、先端把持部の把持による縮径を確実に行わせる。第2の連結管の内周には、一又は複数の突起部を周設し、該突起部により給水ホースを局所的に押えて確実な抜け止めを実現する。
【0019】
また前記洗剤液ボトルの接続具は、前記把手に接続される基部及び先端把持部を有する第1の連結管と、該第1の連結管への挿入が可能な外径を有し、前記洗剤液ボトルの口栓ねじに螺合するねじ環を先端部に有する第2の連結管と、前記洗剤液ボトルの首部内に挿入され、該洗剤液ボトルから洗剤液の流出量を制限する制限部材とを備え、前記第1の連結管に挿入した前記第2の連結管を前記先端把持部に把持固定し、前記制限部材を装着した前記洗剤液ボトルを前記ねじ環への口栓ねじのねじ込みにより固定する構成としてあることを特徴とする。
【0020】
洗剤液ボトルは、首部の内側に制限部材を差し込み、口部の外周に設けた口栓ねじを第2の連結管の先端に設けたねじ環にねじ込み固定して、第2の連結管及び第1の連結管を介して把手に接続する。第1、第2の連結管は、給水ホース用の接続具の第1、第2の連結管と兼用することができる。制限部材は、洗剤液ボトル内の洗剤液の過剰な流出を制限する作用をなす。
【0021】
また前記制限部材は、前記洗剤液ボトルの首部内面の全周に軸長方向に相互に離れた位置で弾接する複数枚の弾接片を備え、前記洗剤液ボトルの傾き及び振れ動きに伴う前記弾接片の変形により内部の洗剤液を流出させるように構成してあることを特徴とする。
【0022】
制限部材は、洗剤液ボトルの首部内面に軸長方向に離れた位置で弾接する複数枚の弾接片を有する。各弾接片は、洗剤液ボトルを傾け、また振り動かすことにより洗剤液の作用により変形し、洗剤液は、各弾接片と首部内面との間に生じた隙間により制限された状態で流出する。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る清掃具においては、真空掃除機の吸気パイプ、給水ホース又は洗剤液ボトルに選択的に接続可能であり、清掃か所の塵埃を叩き出し、真空掃除機に捕集する「はたき」としての使用に限らず、網戸の清掃、自動車の洗浄等、水又は洗剤液を使用する清掃を含めた多様な使用形態に対応することができ、広範な用途において良好な使い勝手にて使用し得る等、本発明は優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、本発明に係る清掃具の外観斜視図、図2は、同じく分解斜視図である。これらの図に示すように、本発明に係る清掃具は、基台11の一面に取付けた多数の叩き棒5,5…を備えている。夫々の叩き棒5,5…の先端には、後述するブラシ部1,1…が設けてある。
【0025】
基台11の他側には、把手12が連設されている。図2に示すように、把手12の端部には大径の接続環15が連設してあり、基台11及び把手12の内側には、接続環15の端部開口13に連なる中空部が設けてある。接続環15の外周には、ねじ部が形成してあり、該ねじ部に締め付け環20が螺合されている。
【0026】
図1及び図2中の25,26は、接続管であり、後述のように同軸上に相互に連結され、真空掃除機等の吸気パイプ32(図4参照)に接続するために接続具22を構成している。この接続具22は、接続管25の端部を大径として設けた連結環23を接続環15に差し込み、締め付け環20を締め付けることにより、図1に示すように把手12に接続されている。
【0027】
図3は、吸気パイプ32用の接続具22の接続部分を破断して示す斜視図である。図示のように接続具22は、接続環15に螺合する締め付け環20を回転操作し、該締め付け環20の内周の段差部21により連結環23の段差部33を押圧して、該連結環23の先端を、接続環15の内奥側に設けた段差部59(図2参照)に押し付けた状態で固定される。
【0028】
図4は、吸気パイプ32の接続状態を示す斜視図である。接続管25,26を連結して構成された接続具22は、先端に向けてわずかに縮径するテーパ管となっており、図4に示すように吸気パイプ32は、接続管26の側から差し込まれ、接続管25又は接続管26の中途に達した位置で固定される。図示の接続具22を使用した場合、接続管25の最大径部(基端部)から接続管26の最小径部(先端部)の範囲の口径を有する吸気パイプ32の接続が可能である。接続管25,26は、塩化ビニル等の軟質樹脂製の管であり、吸気パイプ32の押し込みにより変形し、該吸気パイプ32との間に気密を保って接続することができる。
【0029】
図5〜図7は、接続管25,26の接続構造の説明図である。基端側の接続管25は、先端近傍の内周面に内向きに突出する係合突起27を備えている。先端側の接続管26は、接続管25への差し込みが可能な外径を有する小径部を有しており、該小径部には、端面に開口を有して軸長方向に延び、延長端で略直角に屈曲して周方向に延びるL字形の係合溝28が形成してある。
【0030】
接続管25,26は、係合突起27と係合溝28の開口端とが周方向に整合するように位置決めし、接続管25の内部に接続管26の小径部を押し込み、係合突起27が係合溝28の屈曲部に達した時点で接続管26を回転操作することにより、係合突起27が係合溝28の末端部に達して係合し、軸長方向への抜け出し不可に拘束された状態で連結される。係合溝28は、末端部近傍の側壁に内向きに突出する突起29を有しており、係合溝28の末端部に達した係合突起27は、前記突起29と係合溝28の端部壁との間に挟まれて拘束されるようになしてある。図7には、接続後の状態が示してあり、接続管25,26は、外面が面一に連続した状態で一体に連結される。
【0031】
接続対象となる吸気パイプ32の口径が、接続管25の外径範囲内にある場合には、接続管26を取り外して使用すればよい。また吸気パイプ32の口径が、接続管25の外径以上である場合には、図8に示すように、接続管25にカバー管35を被着し、最大外径を増すことにより対応する。図9に示すように、接続管25,26の全長を覆い得る長さのカバー管36を用いるようにしてもよい。この場合、接続管26が不要であるときには、カバー管36を中間部に設けた割り線37により2つ割りし、図8に示す形態での使用に対応することができる。厚さの異なるカバー管36を複数用意しておけば、広範な口径の吸気パイプ32を接続することが可能である。
【0032】
更に、図10に示すような延長管73を使用することができる。延長管73は、接続管26に外嵌可能な連結管部74と、該連結管部74の他側に連設されたテーパ管部75とを備えている。この延長管73は、図10に示すような異形断面の接続端を有する吸気パイプ70との接続のために使用する。図10に示す吸気パイプ70は、周方向の一箇所にコネクタ部71を設けるために、図示のような異形断面を有している。コネクタ部71は、掃除機の吸い込みノズルに設けられた回転ブラシ等の補機への給電線及びアース線の接続に使用される。
【0033】
図10及び図11は、延長管73を用いた使用形態の説明図である。図10,11に示すように延長管73は、連結管部74を接続管26に強く差し込み、接続管25,26と一体化されて接続具22を構成し、テーパ管部75の側を先として異形断面の吸気パイプ70に差し込んで使用する。図10に示すような異形断面の接続端を有する吸気パイプ70であっても、接続端から離れた位置の断面形状は円形である。図11に示すように延長管73は、吸気パイプ70の内側に深く入り込み、先端側のテーパ管部75が円形断面部分に嵌まり込むことにより吸気パイプ70に接続される。このように延長管73を用いることにより、異形の接続端を有する吸気パイプ70への接続も可能である。
【0034】
以上のように本願発明においては、複数の接続管(接続管25,26、カバー管35,36及び延長管73を含む)を用い、接続すべき吸気パイプの口径及び端部形状に応じて適宜に組み変えて使用するから、種々の口径を有する吸気パイプ32及び異形の端部断面を有する吸気パイプ70に接続することができる。
【0035】
図2に示すように基台11の一面は、蓋板10によって閉止されており、前記叩き棒5,5…は、蓋板10に取付けてある。図12は、叩き棒5,5…の取付け状態を示す斜視図である。本図に示すように蓋板10の表面には、裏面に連通する複数の支持管8,8…が縦横に並べて立設されており、叩き棒5,5…は、夫々の基端に設けた大径部7を各別の支持管8,8…に外嵌し、蓋板10の一面に垂直に立ち上がる状態に取付けてある。
【0036】
図13は、叩き棒5の斜視図である。叩き棒5は、軸心部を全長に亘って貫通する貫通孔6を有する薄肉中空のパイプであり、塩化ビニル等の軟質樹脂製とし、適宜の可撓性を有して構成されている。叩き棒5の先端には、前記貫通孔6の開口端の外側にブラシ台46が設けてあり、該ブラシ台46に、ブラシ1が取付けてある。
【0037】
図14は、ブラシ1の斜視図である。図示のようにブラシ1は、根元部4と、該根元部4に一体に連設された多数本のブラシ毛2,2…とを備えている。ブラシ毛2,2…は、根元部4から先端を開いた状態で分岐されており、このようなブラシ1は、根元部4をブラシ台46に差し込み、図13に示すように、先端を開いたブラシ毛2,2…が、叩き棒5を貫通する貫通孔6の先端開口の近傍に位置するように固定されている。
【0038】
このように取付けられた叩き棒5,5…は、把手12を把持して基台11を振り動かすことにより、蓋板10への取付け部を支えとして柔軟に撓み変形し、先端に近接する清掃か所を叩くように作用する。図15、図16は、叩き棒5の他の実施の形態を示す斜視図である。図15に示す叩き棒5は、外面にリング形をなして周設された複数の補強リブ9が一体成形されており、図16に示す叩き棒5は、外面に軸長方向に延びる波形の補強リブ9が一体成形されている。補強リブ9は、叩き棒5の強度を増す作用をなし、一部又は全部の叩き棒5に補強リブ9を設けることにより、叩き棒5の撓み程度を加減し、叩き棒5による清掃か所の叩き強さを適宜に設定することができる。補強リブ9は、図15,図16に示す形状に限らず、適宜の形状とすることができる。
【0039】
叩き棒5,5…が撓み変形して清掃か所を叩くとき、各叩き棒5,5…の先端に設けたブラシ1,1…は、清掃か所に接触して掃くように作用し、当該清掃か所に堆積、付着した塵埃を掻き出す作用をなす。
【0040】
図17は、ブラシ1の作用説明図である。前述したようにブラシ1は、根元部4から先端を開いた状態で分岐するブラシ毛2,2…を有している。このように設けられたブラシ毛2,2…の先端は、図示のように、コーナー及び凹凸を含む複雑な形状の清掃か所62に対しても種々の方向から良好に接触して塵埃を掻き出すことができる。
【0041】
図18は、比較例としてのブラシの作用説明図である。このブラシ1は、先端を開かずに設けられたブラシ毛2,2…を有している。このようなブラシ毛2,2…の先端は、清掃か所62に凹凸及びコーナーが存在する場合、図示のようにまとまった状態で接触することとなり、塵埃の掻き出しが不十分となる虞れがある。
【0042】
以上のように動作する叩き棒5,5…は、各別の貫通孔6,6…及び各別の支持管8,8…を介して基台11及び把手12の内側中空部に連通している。前述のように把手12の端部に吸気パイプ32を接続し、該吸気パイプ32を備える真空掃除機を運転した場合、該真空掃除機の吸気により、複数の叩き棒5,5…において、夫々の先端周辺の空気が吸い込まれる。
【0043】
本発明に係る清掃具は、把手12を把持して振り動かし、基台11の先端部にて撓み変形する叩き棒5,5…により清掃か所を叩き、清掃か所に堆積及び付着する塵埃を叩き出すように使用する。叩き出された塵埃は、各叩き棒5,5…の吸気と共に吸い込まれ,基台11及び把手12の内側中空部、並びに吸気パイプ32を経て真空掃除機に回収される。また叩き棒5,5…の先端に設けられたブラシ1は、前述したように、清掃か所の塵埃を良好に掻き出すから、複雑な形状を有する清掃か所を速やかに清掃することができる。
【0044】
本発明に係る清掃具は、以上のように真空掃除機の吸気パイプ32を接続した形態だけでなく、給水ホース31を接続した形態、及び洗剤液を収容する洗剤液ボトル49を接続した形態での使用が可能である。図19は、給水ホース31を接続した状態を示す斜視図、図20は、給水ホースの接続具を含めた本発明に係る清掃具の分解斜視図である。図21は、洗剤液ボトル49を接続した状態を示す斜視図、図22は、洗剤液ボトル49の接続具を含めた本発明に係る清掃具の分解斜視図である。
【0045】
給水ホース31を接続する場合、図19及び図20に示すように、第1の連結管16及び第2の連結管30を使用する。第1の連結管16は、把手12の端部に設けた接続環15への差し込みが可能な外径を有する管であり、差し込み側となる基部には、テーパ状に縮径されたテーパ管17が設けられ、先端部には、周方向に等配された割り溝により分割された複数の把持片を有する先端把持部18が設けてある。
【0046】
第2の連結管30は、第1の連結管16への差し込みが可能な外径と、接続対象となる給水ホース31の差し込みが可能な内径とを有する管であり、中途部外周には、ストッパ環58が周設され、先端部には、内周面にねじ部48が形成されたねじ環63が設けてある。
【0047】
第1の連結管16は、図19に示すように、テーパ管17の側から接続環15に差し込み、第2の連結管30を差し込んだ後、接続環15の外周のねじ部に螺合する締め付け環20を回転操作し、該締め付け環20の内周の段差部23により内奥側に向かう押し付け力を加えて固定される。締め付け環20内周の段差部23は、図示のように、第1の連結管16の先端把持部18に当接しており、該先端把持部18の複数の把持片は、締め付け環20の締め付けに応じて相互間の割り溝の幅を減じながら縮径し、第1の連結環16の内側に差し込まれた第2の連結管30を外側から把持して抜け止め固定する作用をなす。
【0048】
図23は、第2の連結管30の側面図である。第2の連結管30は、塩化ビニル等の軟質樹脂製の管であり、その内面には、図23中に破線により示すように、ストッパ環58とねじ環63との間に内向きに突出する押え突起44が周設されている。押え突起44の周設位置は、前記先端把持部18による外側からの把持位置に略整合させてある。また押え突起44の内径は、第2の連結管30の内側への給水ホース31の差し込みを阻害しない程度に設定されている。
【0049】
以上の構成を有する第2の連結管30は、前述した締め付け環20の回転による締め付け操作によって縮径する。この縮径により内面に周設された押え突起44が、図23中に2点鎖線により示すように内部に通した給水ホース31に食い込み、該給水ホース31を外側から押えて抜け出し不可に固定する作用をなす。なお、第2の連結環30の内周の押え突起44は、図23に示す1か所に限らず、複数か所に設けてもよい。
【0050】
図19に示すような給水ホース31の接続は、締め付け環20を緩め、先端把持部18による把持を解除した第2の連結環30の内部に給水ホース31を差し込んだ後、前記締め付け環20を締め付け操作することにより、簡易に、しかも確実に実施することができる。
【0051】
このように給水ホース31を接続した清掃具は、水道の給水栓等の給水源に給水ホース31をつなぎ、給水ホース31からの給水を行わせる一方、把手12を把持して叩き棒5,5…を振り動かし、各叩き棒5,5…先端のブラシ1,1…により清掃か所を掃くように使用する。この場合、給水ホース31への給水が、把手12及び基台11の中空部を経て各叩き棒5.5…の貫通孔6,6…の先端開口から噴出するから、例えば、洗車、窓面の洗浄等、噴出水による洗浄を伴う清掃に好便に使用することができる。
【0052】
洗剤液ボトル49を接続する場合、図21、図22に示すように、給水ホース31の場合と共通の第1の連結管16及び第2の連結管30を接続具として使用する。洗剤液ボトル49は、締め付け環20の締め付けにより、把手12の先端に第1,第2の連結管16,30を接続した後、洗剤液ボトル49の口部外周に設けた口栓ねじ50を第2の連結管30の先端に設けたねじ環63内周のねじ部48に螺合し、洗剤液ボトル49を回し、該洗剤液ボトル49の口部をねじ環63にねじ込むことにより、図21に示すように固定される。
【0053】
洗剤液ボトル49は、専用のボトルを用意し、内部に洗剤液を適宜収容して使用するようにしてもよいが、洗剤、飲料等を収容して市販されているPET(ポリエチレンテレフタレート)ボトルを使用することも可能である。この種のPETボトルは、規格化された口栓ねじ50を有しており、ねじ環63の内周には、このような口栓ねじ50に合わせたねじ部48が形成されている。
【0054】
なお以上の実施の形態においては、給水ホース31用の接続具と洗剤液ボトル49用の接続具とを共用する目的で、内周の押え突起44と先端部のねじ環63との両方を備える第2の連結管30を使用しているが、押え突起44だけを備える第2の連結管30を給水ホース31用として用い、ねじ環63だけを備える第2の連結管30を洗剤液ボトル49用として用いることも可能である。
【0055】
洗剤液ボトル49を接続する場合、第1,第2の連結管16,30と共に制限部材51を使用する。図24は、制限部材51の外観斜視図、図25は、制限部材51の使用状態の説明図である。図24に示すように制限部材51は、適宜の直径を有する心棒79と、該心棒79の外周に周設された複数枚の弾接片57,57…を備えてなる。弾接片57,57…は、塩化ビニル等の軟質樹脂製の薄肉の円板であり、心棒79の一端部(先端部)から中途部までの間に、軸長方向に適宜の間隔を隔てて複数並設してある。弾接片57,57…の外周には、周方向の一か所に、先端に向けて徐々に拡幅する漏洩溝54が設けられている。また弾接片57,57…が設けられていない心棒79の基端部には、滑り止め用の環状突起52,52…が複数並設されている。
【0056】
以上のように構成された制限部材51は、図25に示すように、先端部の側から洗剤液ボトル49の口部に押し込み、弾接片57,57…の夫々を洗剤液ボトル49の首部内面に弾接せしめて使用する。弾接片57,57…は、軟質樹脂製の薄板であり、制限部材51を押し込んだ洗剤液ボトル49を傾けて振り動かした場合、各弾接片57,57…が洗剤液の作用力によって撓み変形し、洗剤液ボトル49の首部内面との間に隙間が生じ、洗剤液ボトル49内の洗剤液は、漏洩溝54と、各弾接片57,57…の外周隙間とにより制限された状態で流出する。洗剤液の流出量は、洗剤液ボトル49の傾きの大小、及び振り動きの強弱によって調節することができる。漏洩溝54の溝幅は、先端側から基端側に向けて小さくしてあるから、洗剤液の流出量は、制限部材51の押し込み量を大きくし、洗剤液ボトル49の首部内面との弾接位置を基端側に移行させるに従って小となる。
【0057】
洗剤液ボトル49を接続した本発明に係る清掃具は、把手12を把持し、洗剤液ボトル49の取付け側を上とした状態に傾けて叩き棒5,5…を振り動かし、各叩き棒5,5…先端のブラシ1,1…により清掃か所を掃くように使用する。このとき、洗剤液ボトル49の内部の洗剤液は、把手12及び基台11の中空部を経て各叩き棒5,5…の先端から適量漏れ出して清掃面に供給され、該洗剤液での洗浄を伴う清掃が可能となる。この清掃は、例えば、網戸の清掃等、汚れがひどく、形状が複雑な清掃か所の清掃に有効である。
【0058】
洗剤液ボトル49内部の洗剤液は、制限部材51の作用により制限された状態で流出し、この流出量は、洗剤液ボトル49の傾きの大小、及び振り動かしの強弱によって調節できるから、適正な量の洗剤液を供給しながら清掃を実施することができる。
【0059】
以上の如き制限部材51を使用して得られる洗剤液の流出量が不足する場合、制限部材51に前述の如く設けられた弾接片57,57…の周面の一部を切除すればよい。この切除は、心棒79の軸長方向の両端に位置する弾接片57,57に対して実施するのが有効である。また前記切除は、如何なる形態で実施してもよいが、弾接片57の周縁を弓形に切除するのが容易である。またこの弾接片57,57…の切除は、必要に応じて使用者が実施することができるが、予め弾接片57,57…の一部を切除してある大流量用の制限部材51を別途付属させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係る清掃具の外観斜視図である。
【図2】本発明に係る清掃具の分解斜視図である。
【図3】吸気パイプ用の接続具の接続部分を破断して示す斜視図である。
【図4】吸気パイプの接続状態を示す斜視図である。
【図5】接続管の接続構造の説明図である。
【図6】接続管の接続構造の説明図である。
【図7】接続管の接続構造の説明図である。
【図8】吸気パイプ用の接続具の使用形態の説明図である。
【図9】吸気パイプ用の接続具の使用形態の説明図である。
【図10】延長管を用いた使用形態の説明図である。
【図11】延長管を用いた使用形態の説明図である。
【図12】叩き棒の取付け状態を示す斜視図である。
【図13】叩き棒の斜視図である。
【図14】ブラシの斜視図である。
【図15】叩き棒の他の実施の形態を示す斜視図である。
【図16】叩き棒の他の実施の形態を示す斜視図である。
【図17】ブラシの作用説明図である。
【図18】ブラシの作用説明図である。
【図19】給水ホースを接続した状態を示す斜視図である。
【図20】給水ホースの接続具を含めた本発明に係る清掃具の分解斜視図である。
【図21】洗剤液ボトルを接続した状態を示す斜視図である。
【図22】洗剤液ボトルの接続具を含めた本発明に係る清掃具の分解斜視図である。
【図23】第2の連結管の側面図である。
【図24】制限部材の外観斜視図である。
【図25】制限部材の使用状態の説明図である。
【符号の説明】
【0061】
1 ブラシ
2 ブラシ毛
4 根元部
5 叩き棒
6 貫通孔
11 基台
12 把手
16 第1の連結管
18 先端把持部
22 接続具
25 接続管
26 接続管
30 第2の連結管
31 給水ホース
32 吸気パイプ
35 カバー管(接続管)
36 カバー管(接続管)
49 洗剤液ボトル
73 延長管(接続管)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
把手を備える基台に可撓性を有する複数本の叩き棒を取付けてなり、前記把手を把持して前記基台と共に振り動かされる前記叩き棒の先端により清掃か所を叩くべく用いられる清掃具において、
前記複数本の叩き棒の少なくとも一部は、軸心部を貫通して先端部に開口する貫通孔を有し、前記基台及び把手は、前記貫通孔に連通し、前記把手の基部に開口する中空部を有しており、前記把手は、吸気パイプ、給水ホース又は洗剤液ボトルに各別の接続具を介して接続可能に構成してあることを特徴とする清掃具。
【請求項2】
前記複数本の叩き棒の少なくとも一部は、先端に取り付けたブラシを備える請求項1記載の清掃具。
【請求項3】
前記ブラシは、前記叩き棒に固定される根元部から先端を開いた状態に分岐する複数本のブラシ毛を備える請求項2に記載の清掃具。
【請求項4】
前記吸気パイプの接続具は、接続すべき吸気パイプの口径及び端部形状に応じて組み変えて前記把手に接続される複数の接続管を備える請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の清掃具。
【請求項5】
前記給水ホースの接続具は、前記把手に接続される基部及び先端把持部を有する第1の連結管と、該第1の連結管への挿入が可能な外径及び前記給水ホースの差し込みが可能な内径を有する第2の連結管とを備え、前記第1の連結管に挿入した前記第2の連結管を前記先端把持部の把持により縮径させ、該第2の連結管の内側に差し込まれた前記給水ホースを抜け止め固定する構成としてある請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の清掃具。
【請求項6】
前記洗剤液ボトルの接続具は、前記把手に接続される基部及び先端把持部を有する第1の連結管と、該第1の連結管への挿入が可能な外径を有し、前記洗剤液ボトルの口栓ねじに螺合するねじ環を先端部に有する第2の連結管と、前記洗剤液ボトルの首部内に挿入され、該洗剤液ボトルから洗剤液の流出量を制限する制限部材とを備え、前記第1の連結管に挿入した前記第2の連結管を前記先端把持部に把持固定し、前記制限部材を装着した前記洗剤液ボトルを前記ねじ環への口栓ねじのねじ込みにより固定する構成としてある請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の清掃具。
【請求項7】
前記制限部材は、前記洗剤液ボトルの首部内面の全周に軸長方向に相互に離れた位置で弾接する複数枚の弾接片を備え、前記洗剤液ボトルの傾き及び振れ動きに伴う前記弾接片の変形により内部の洗剤液を流出させるように構成してある請求項6に記載の清掃具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2010−119494(P2010−119494A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294507(P2008−294507)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(397039322)エヌケーグループ販売株式会社 (2)
【Fターム(参考)】