説明

清掃用具および清掃シート

【課題】洗浄剤が含浸された内層シートを挟んで両側に外層シートが配置されているウェットシートにおいて、清掃時に外層シートに皺が発生するのを防止しながら内層シートと外層シートの間に中間層シートを配置することができる技術を提供する。
【解決手段】親水性を有し、洗浄剤が含浸される内層シート210を挟んで両側に、疎水性を有する外層シート220と230が配置されている。中間層シート240と250は、開口している空間を有するように折り畳まれている。内層シート210の両端部は、それぞれ中間層シート240と250の空間内に挿入されている。内層シート210は、中間層シート240と250との間の空間210aを介して外層シート220に接触可能である。これにより、内層シート210と外層シート220の間に十分な大きさの摩擦力が作用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃用具および清掃シートに係り、特に、床面等の清掃対象の拭き掃除等に好適に用いることができる清掃シートおよび清掃用具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内層シートと、内層シートを挟んで両側に配置されている外層シートを有する清掃シートが開示されている。内層シートと外層シートは、略同じ面積を有しており、エンボス加工によって形成された接合部により一体化されている。また、内層シートには洗浄剤が含浸されている。このような清掃シートは、例えば、清掃シート装着部材に装着された状態で使用される。清掃シートを清掃シート装着部材に装着する方法としては、典型的には、清掃シートの中央部を清掃シート装着部材の清掃面に配置し、中央部の両側の端部を清掃シート装着部材の保持部材に着脱自在に保持させる方法が用いられる。このような清掃シートを用いることにより、清掃対象をウェット状態(湿潤状態)で清掃することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−198066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
清掃対象をウェット状態で清掃する清掃シート(「ウェットシート」と呼ばれている)では、外層シートの外側の表面からの洗浄剤の放出特性を適切に設定する必要がある。特に、外層シートと、外層シートの間に配置され、洗浄剤が含浸される内層シートにより構成されている清掃シートでは、外層シートの外側の表面からの洗浄剤の放出特性は、内層シートから外層シートへの洗浄剤の放出特性によって変化する。
特許文献1に記載されている清掃シートでは、内層シートと外層シートが、エンボス加工により形成された多くの接合部によって接合されている。洗浄剤は接合部を介して放出されるため、このように内層シートと外層シートが多くの接合部によって接合されていると、接合部を介して内層シートから外層シートに多量の洗浄剤が放出される。このため、内層シートと外層シートを接合する接合部は、最小限に抑制するのが好ましい。また、外層シートの外側の表面からの洗浄剤の放出特性を適切に設定するには、親水性を有する内層シートと疎水性を有する外層シートを用いるのが好ましい。
ところで、内層シートと外層シートの間に、中間層シートを挿入することが要望されることがある。例えば、清掃シートの中央部を清掃シート装着部材の清掃面に容易に配置することができるようにするために、清掃シートの中央部に対応する箇所に、着色した中間層シートを配置することが要望されることがある。この場合、中間層シートを、内層シートと外層シートとの間に配置し、また、内層シートと中間層シートおよび外層シートを接合する接合部の数を最小限に抑制することが考えられる。
ここで、中間層シートとして、中間層シートと外層シートとの間に作用する摩擦力が小さいシートが用いられ、また、内層シートと中間層シートおよび外層シートを接合する接合部の数が抑制されていると、清掃作業時に、外層シートに皺が発生するおそれがある。すなわち、清掃対象と外層シートとの間に作用する摩擦力によって、外層シートの一部が中間層シートに対して移動し、それによって、外層シートに皺が発生する。外層シートに皺が発生すると、良好に清掃作業を行うことができなくなるおそれがある。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、清掃作業時に外層シートに皺が発生するのを防止しながら、中間層シートを外層シートと内層シートとの間に配置することができる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの発明は、清掃シート装着部材と清掃シートを有する清掃物品に関する。清掃シート装着部材は、清掃面と、保持部材を有している。また、清掃シートは、清掃シート装着部材の清掃面に配置される中央部と、中央部を挟んで、一方向に沿った少なくとも一方側に設けられ、保持部材によって着脱自在に保持される端部を有している。典型的には、端部は、中央部の両側に設けられる。
本発明では、清掃シートの中央部は、疎水性を有する第1のシートと、疎水性を有する第2のシートと、親水性を有する第3のシートと、第4のシートを有している。第3のシートは、洗浄剤が含浸されるとともに、第1のシートと第2のシートの間に配置されている。そして、第4のシートの少なくとも一部は、第3のシートの一部が第1のシートと接触可能に、第1のシートと第3のシートの間に配置されている。
第1のシートおよび第2のシートは、全体として疎水性を有していればよく、疎水性を有する素材と親水性を有する素材により形成されていてもよい。典型的には、第1のシートおよび第2のシートとして、不織布シートが用いられる。また、第3のシートは、全体として親水性を有していればよく、親水性を有する素材と疎水性を有する素材により形成されていてもよい。好適には、第3のシートは、親水性を有する素材のみで形成される。典型的には、第3のシートとして不織布シートが用いられる。第4のシートとしては、全体として疎水性を有するシートを用いることもできるし、あるいは、全体として疎水性を有するシートを用いることもできる。また、第4のシートとしては、不織布シートを用いることもできるし、合成樹脂製のシート(フィルム)を用いることもできる。合成樹脂製のフィルムを用いる場合には、第3のシートに含浸されている洗浄剤を第1のシートに放出可能に構成する必要がある。例えば、洗浄剤が通過可能な開口を有するフィルムを用いる。洗浄剤は、第1のシート、第2のシートや第4のシートに含浸されていてもよい。第1のシートは、清掃シートの中央部が清掃シート装着部材の清掃面に配置された状態において、清掃対象に当接するシート(清掃面と反対側に配置されるシート)が対応する。
第1〜第4のシートは、適宜の接合方法により、適宜の箇所で接合される。典型的には、第1〜第4のシートは、熱エンボス加工によって形成される接合部により接合される。なお、接合箇所は、親水性を有する第3のシートに含浸されている洗浄剤が接合部を介して第1および第2のシート(特に、第1のシート)に放出される放出量(放出特性)を考慮して設定するのが好ましい。
清掃シートの端部は、第1〜第3のシートを用いて構成することができる。例えば、第1および第2のシートを用いて、あるいは、第1〜第3のシートを用いて構成することができる。清掃シートの端部が第1および第2のシートにより構成されている場合には、清掃シートの端部を保持部材に保持させる際および清掃シートの端部を保持部材から取り外す際に使用者の手等に洗浄剤が付着し難くなる。清掃シートの端部を構成するシートは、適宜の接合方法により、適宜の接合箇所で結合される、なお、清掃シートの端部における接合箇所の数や接合面積については、第3のシートからの洗浄剤の放出量をそれほど考慮しないで設定してもよい。
本発明では、親水性を有する第3のシートと疎水性を有する第1のシートとの間に作用する摩擦力が大きいため、第4のシートと第1のシートとの間に作用する摩擦力が、清掃対象と第1のシートとの間に作用する摩擦力より小さい場合でも、清掃時に第1のシートに皺が発生するのを防止することができる。
【0006】
第4のシートを第1のシートと第3のシートの間に配置する態様としては適宜の態様を用いることができる。
一つの態様では、第4のシートが、開口している空間を有するように(断面形状がU字状あるいはV字状を有するように)、折り返し線に沿って折り畳まれ、第3のシートの端部が第4のシートの空間に挿入されることにより、第4のシートの一部が第3のシートに重ねられる。この場合、第3のシートの、一方向に沿った両端部の一方を1つの第4のシートの空間に挿入してもよいし、両端部をそれぞれ2つの第4のシートの空間に挿入してもよい。この態様では、第3のシートは、第4のシートと重ねられていない部分が第1のシートに接触可能である。
異なる態様では、開口が形成されている第4のシートが、第1のシートと第3のシートとの間に配置される。第4のシートは、第3のシートと同じ表面積を有していてもよいし、第1のシートと異なる(大きい、あるいは、小さい)表面積を有していてもよい。また、第4のシートに形成する開口の形状や数は、適宜選択可能である。この態様では、第3のシートは、第4のシートの開口に対向する部分が当該開口を介して第1のシートに接触可能である。第4のシートを第3のシートより小さい表面積を有するように形成し、第3のシートの、第4のシートと重なっていない部分を第1のシートに接触させてもよい。
他の態様では、第3のシートより小さい表面積を有する複数の第4のシートが設けられ、複数の第4のシートが、第1のシートと第3のシートとの間に、互いに間隔を空けて配置される。複数の第4のシートの形状や大きさ等は適宜設定可能である。この態様では、第3のシートは、隣接して配置されている2つの第4のシートの間に係止される空間を介して第1のシートに接触可能である。
【0007】
他の発明は、清掃シート装着部に装着される清掃シートに関する。清掃シートは、中央部と、中央部を挟んで、一方向に沿った少なくとも一方側に設けられている端部を有している。また、清掃シートの中央部は、清掃シート装着部材の清掃面に配置され、清掃シートの端部は、清掃シート装着部材の保持部材によって着脱自在に保持される。
本発明の清掃シートの中央部は、前述した第1〜第4のシートを有している。第3のシートは、洗浄剤が含浸されるとともに、第1のシートと第2のシートの間に配置されている。また、第4のシートの少なくとも一部は、第3のシートの一部が第1のシートと接触可能に、第1のシートと第3のシートの間に配置されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の清掃用具および清掃シートでは、清掃時に第1のシートに皺が発生するのを防止しながら、第4のシートを第1のシートと第3のシートとの間に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】清掃用具の一実施の形態の斜視図である。
【図2】ヘッドの平面図である。
【図3】第1の実施の形態の清掃シート200の概略構成を示す図である、
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】第1の実施の形態の清掃シート200を展開した状態を示す図である。
【図6】図5のVI−VI線断面図である。
【図7】図5のVII−VII線断面図である。
【図8】図5のVIII−VIII線断面図である。
【図9】図5のIX−IX線断面図である。
【図10】図5のX−X線断面図である。
【図11】図2のXI−XI線断面図である。
【図12】第1の実施の形態の清掃シート200の動作を説明する図である。
【図13】第2の実施の形態の清掃シート300を展開した状態を示す図である。
【図14】図13のXIV−XIV線断面である。
【図15】第3の実施の形態の清掃シート400を展開した状態を示す図である。
【図16】図15のXVI−XVI線断面図である。
【図17】第4の実施の形態の清掃シート500を展開した状態を示す図である。
【図18】図17のXVIII−XVIII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。以下では、清掃シート装着部材と、清掃シート装着部材に装着される清掃シートを備える清掃用具について説明する。また、清掃対象をウェット状態で清掃する清掃シートについて説明する。
勿論、以下で説明する清掃シートは、単独で(清掃シート装着部材に装着することなく)清掃対象を清掃することもできる。また、本発明の清掃シートあるいは清掃用具は、平面状、曲面状、凹凸状、段差状等の種々の形状を有する清掃対象を清掃することができる。
なお、以下では、図2および図3における左右方向(折り返し線201、202、220b、230bに沿った方向)、すなわち、矢印yに沿った方向を「長さ方向」とよび、上下方向(折り返し線201、202、220b、230bと交差する方向)、すなわち矢印xに沿った方向を「幅方向」とよぶ。「幅方向」が、本発明の「一方向」に対応する。
【0011】
本発明の清掃用具の一実施の形態100の斜視図が図1に示されている。本実施の形態の清掃用具100は、清掃シート200が装着されるヘッド110と、パイプ130と、ハンドル150を有している。パイプ130は、複数のパイプ部材133が連結機構によって連結されて構成されている。連結機構としては、例えば、一方のパイプ部材の一方側端部に設けられたオス側の連結部材と、他方のパイプ部材の他方側端部に設けられたメス側の連結部材により構成される連結機構が用いられる。オス側の連結部材とメス側の連結部材とが連結された連結箇所は、カバー部材132によって覆われる。パイプ130の一方側の端部は、ハンドル150に接続される。また、パイプ130の他方側の端部は、ヘッド110に設けられている接続機構131に接続される。本実施の形態では、ヘッド110が本発明の「清掃シート装着部材」に対応し、ハンドル150が本発明の「把持部材」に対応し、パイプ130が本発明の「ヘッドとハンドルを接続する接続部材」に対応する。なお、パイプ130を構成するパイプ部材133の数は適宜選択可能である。また、ハンドル150は、ヘッド110に設けられている接続機構131に直接接続することもできる。
【0012】
ヘッド110は、図2に示されているように、平板状に形成されており、接続機構131が取り付けられる上面112と、上面112と反対側の下面(「装着面」あるいは「清掃面」という)111(図11参照)を有している。上面112には、保持部材120が設けられている。保持部材120は、図2に示されているように、切り込み線によって区分されている複数の保持片121を有している。保持片121は、弾性を有している。
清掃シート200は、詳しくは後述するが、図5および図6に示されているように、中央部200b(「清掃部」という)と、中央部200bを挟んで幅方向(x方向)に沿って両側に設けられている端部200aおよび200c(「装着部」という)を有している。
清掃シート200の中央部200bは、ヘッド110の下面111に配置され、端部200aおよび200cは、上面112に配置される。すなわち、清掃シート200は、中央部200bと両端部200aおよび200cによってヘッド110を覆うようにヘッド110に装着される。そして、清掃シート200の端部200aおよび200cをヘッド110の上面112上に配置した状態で、保持部材120(保持片121)に対応する箇所を指で押し込んで離す。これにより、清掃シート200の端部200aおよび200cは、隣接する(対向する)保持片121の間に一部が挟まれた状態で、着脱自在に保持される。本実施の形態では、保持部材120が本発明の「保持部材」に対応し、保持片121が本発明の「保持片」に対応する。
なお、本実施の形態の清掃用具100を用いて清掃を行う際には、一般的には、ヘッド110を、中央部200bと端部200aあるいは200bとの境界線(例えば、後述する折返し線201、202)に沿った方向(長さ方向)に交差する方向(幅方向)に移動させる。勿論、これ以外の方向に移動させて清掃を行うこともできる。
【0013】
次に、本実施の形態の清掃用具100で使用される清掃シートの一実施の形態200を説明する。
本実施の形態の清掃シート200は、図3および図4に示されているように、内層シート210と、内層シート210を挟んで両側に配置されている外層シート220および230と、内層シート210と外層シート220との間(あるいは、内層シート210と外層シート220および230との間)に配置されている中間層シート240および250により多層構造の清掃シートとして構成される。なお、「多層構造の清掃シート」という記載は、全ての箇所が多層構造を有している清掃シートだけでなく、主要清掃箇所(例えば、中央部200b)は多層構造を有しているが、他の箇所は単層構造を有する清掃シートを包含する。
【0014】
内層シート210としては、親水性を有する不織布シートが用いられる。親水性を有する不織布シートは、総合的に親水性を有していればよく、親水性繊維と疎水性繊維により形成される不織布シートを用いることもできる。親水性繊維としては、例えば、レーヨン繊維、コットン繊維、パルプ繊維等を用いることができる。本実施の形態では、吸水性および保水性が優れているレーヨン繊維のみにより形成されている不織布シートが用いられている。
また、内層シート210として、ウォータージェット法(水流交絡法)を用いて製造された不織布シート(スパンレース不織布シート)が用いられている。ウォータージェット法は、例えば、繊維がランダムに並べられたウェブに対して、ウェブの移送方向に交差する方向に配置された複数のノズルから高圧水流を噴射することによって、繊維が絡み合ったスパンレース不織布を製造する方法である。本実施の形態では、高圧水流を噴射するノズルとして、口径92μmのオリフィスが幅2.0mmに亘って連続的に配置されており、更に、これが3.0mmの間隔(オリフィスピッチ)で配置されているノズルを用いている。このようなノズルを用いることにより、スパンレース不織布にエアースルー部分が形成され、仕上がり時に筋状の模様が発生する。これにより、内層シート210の比容積比が大きくなり、内層シート210の含浸量(保水量)が増大する。筋状の模様が、本発明の「内層シートの表面に形成された凹凸」に対応する。なお、オリフィスピッチ(凹凸の間隔)は、2.0〜10.0mmの範囲内、好適には2.0〜3.0mmの範囲内に設定される。オリフィスピッチが10.0mmを超えると、繊維同士の絡みが弱くなり、繊維の毛羽抜けが増加する。また、強度が低下するため、親水性繊維のみで不織布シートを構成するのが困難となる。勿論、内層シート210は、これ以外の製造方法、例えば、エアースルー法、スパンボンド法、サーマルボンド法、ポイントボンド法、メルトブロー法、ケミカルボンド法、エアレイド法等を用いて製造された不織布シートを用いることもできる。
内層シート210の坪量は、洗浄剤放出量等の観点から30gsm〜100gsmの範囲内、好適には50gsm〜70gsmの範囲内に設定される。
内層シート210が本発明の「第3のシート」に対応する。
【0015】
外層シート220および230としては、疎水性を有する不織布シートが用いられる。疎水性を有する不織布シートは、総合的に疎水性を有していればよく、疎水性繊維と親水性繊維により形成される不織布シートを用いることもできる。疎水性繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリプロピレン(PP)繊維、ポリエチレン(PE)繊維、ナイロン繊維等を用いることができる。
また、本実施の形態では、外層シート220および230として、ウォータージェット法(水流交絡法)を用いて製造されたスパンレース不織布シートが用いられている。勿論、外層シート220および230は、これ以外の種々の方法を用いて製造された不織布シートを用いることができる。
外層シート220および230の一方が本発明の「第1のシート」に対応し、他方が本発明の「第2のシート」に対応する。なお、「第1のシート」は、外層シート220と230のうち、清掃シート200がヘッド110に装着された状態で清掃を行う際に、清掃対象と当接するシートが対応する。
【0016】
また、本実施の形態の清掃シート200では、外層シート220(230)は、図4に示されているように、内層シート210と対向する側の層(内側層)222(232)と、内層シート210と対向する側と反対側の層(外側層)221(231)の2層構造に形成されている。
本実施の形態では、外層シート220および230は、熱可塑性繊維を主成分とする繊維により形成されている。また、内側層222および232は、外側層221および231を形成している熱可塑性繊維の融点より低い融点を有する熱可塑性繊維により形成されている。
外側層221および231は、例えば、熱可塑性繊維であるポリエチレンテレフタレート(PET)繊維を主成分とし、残りはレーヨン繊維で構成されている。ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維とレーヨン繊維の配合割合は、例えば、[ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維:レーヨン繊維=80重量%:20重量%]である。好適には、外側層221および231は、10〜30%の範囲内の親水性繊維と、90〜70%の範囲内の疎水性繊維により構成される。また、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維は、繊度が1.1dtexのものが30重量%、3.3dtexのものが50重量%の割合で混合されている。
一方、内側層222および232は、熱可塑性繊維として、繊度が2.2dtexのポリエチレン(PE)繊維/ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維(芯鞘構造)を用いている。ポリエチレン(PE)繊維/ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維とレーヨン繊維の配合割合は、例えば、[ポリエチレン(PE)繊維/ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維:レーヨン繊維=70重量%:30重量%]である。好適には、内側層222および232は、20〜60%の範囲内の親水性繊維と、80〜40%の範囲内の疎水性繊維により構成される。
外層シート220および230の坪量は、洗浄剤放出量等の観点から、30gsm以上であれば特に問題はないが、機能、生産性、コスト等の観点から、35gsm〜40gsmの範囲内であるのが好ましい。
【0017】
中間層シート240および250としては、疎水性を有する不織布シートあるいは親水性を有する不織布シートを用いることができる。疎水性を有する不織布シートは、総合的に疎水性を有していればよく、疎水性繊維と親水性繊維により形成される不織布シートを用いることもできる。疎水性繊維としては、例えば、前述した繊維を用いることができる。また、親水性を有する不織布シートは、総合的に親水性を有していればよく、親水性繊維と疎水性繊維により形成される不織布シートを用いることもできる。本実施の形態では、中間層シート240および250として疎水性を有する不織布シートが用いられている。また、中間層シート240および250として、スパンボンド法を用いて製造されたスパンボンド不織布シートが用いられている。勿論、中間層シート240および250は、これ以外の種々の方法を用いて製造された不織布シートを用いることができる。なお、中間層シート240および250として、合成樹脂製のフィルム(シート)を用いることもできる。この場合には、内層シート210から外層シート220および230への洗浄剤の放出を可能とするために、開口が形成されたフィルムが用いられる。
中間層シート240および250が、本発明の「第4のシート」に対応する。
【0018】
このように、外層シート220および230の内側層222および232に、外側層221および231に配置されている熱可塑性繊維の融点より低い融点を有する熱可塑性繊維を配置することにより、内層シート210が熱融着性繊維を含んでいない場合にも、外層シート220の内側層222および外層シート230の内側層232に配置されている低融点の熱可塑性繊維によって、内層シート210と外層シート220および230とを接合することができる。
なお、内側層222(232)と外側層221(231)を有する外層シート220(230)を、内側層222(232)に配置されている熱可塑性繊維の融点より高く、外側層221(231)に配置されている熱可塑性繊維の融点より低い温度で加熱すると、内側層222(232)に熱融着層が形成される。これにより、外層シート220(230)の内側層222(232)に配置されている繊維の殆どが融着によって繋がれ、内層シート210から外層シート220(230)に放出される洗浄剤の量が抑制される。すなわち、洗浄剤放出特性を調整することができる。
【0019】
ここで、従来の清掃シート(特開2007−20615号公報参照)は、中央部に低交絡部が形成されているが、伸張率がほぼ同じである。このため、清掃シートの端部を清掃用具のヘッドの保持部材によって保持している状態で清掃作業を行っている時に、清掃シートが保持部材から外れ易い。
そこで、本実施の形態では、清掃シートの端部に、第1の伸張率を有する第1の部分と、第1の部分より高い伸張率を有する第2の部分を設けている。そして、第2の部分を第1の部分より中央部側に配置するとともに、第1の部分と第2の部分との境界部を、清掃用具のヘッド110の保持部材120によって保持される箇所に配置している。
【0020】
内層シート210、外層シート220および230、中間層シート240および250が配設された状態が図3および図4に示されている。図4は、図3のIV−IV線断面図である。
図3に示されているように、清掃シート200は、x方向の幅M(例えば、205mm)とy方向の長さS(例えば、275mm)を有する四角形に形成されている。内層シート210は、幅N(例えば、90mm)と長さSを有する四角形に形成されている。外層シート220および230は、Mより短い幅(例えば、190mm)と長さSを有する四角形に形成されている。
外層シート220(230)は、基部220c(230c)と、幅方向(x方向)の一方側の縁部から所定長さの折り返し部220a(230a)を有している。折り返し部220a(230a)は、折返し線220b(230b)の箇所で内側層222(232)側に折り返され、基部220c(230c)の一部と重ねられている。そして、図4に示されているように、内層シート210の両面側に、それぞれ折り返し部220a、230aが折り返された外層シート220、230が配置される。この時、外層シート220の内側層222および外層シート230の内側層232が、内層シート210側に配置される(対向するように配置される)。また、内層シート210は、幅方向に沿って、幅Mの中央に配置される。また、外層シート220の折り返し部220aおよび外層シート230の折返し部230aが、それぞれ、内層シート210を挟んで幅方向に沿って両側に配置される。また、清掃シート200には、幅方向の中央に、内層シート210の幅Nより長い間隔R(R≧N)離れた箇所に折返し線201および202が設けられている。
これにより、図3に示されているように、清掃シート200は、折返し線201および202によって、幅方向の両側に端部200aおよび200cを有し、中央に中央部200bを有する。また、端部200a(200c)には、幅方向の一方の端部側(他方の端部側)から、外層シート220(230)の折返し部220a(230a)と基部220c(230c)の一部が重ねられた2層構造の第1の部分200a1(200c1)、外層シート220(230)の基部220c(230c)により構成される1層構造の第2の部分200a2(200c2)、外層シート220の基部220cと外層シート230の基部230cが重ねられた2層構造の第3の部分200a3(200c3)を有する。なお、中央部200bは、外層シート220の基部220c、外層シート230の基部230c、内層シート210、中間層シート240および250が重ねられた多層構造を有している。
折り返し線201および202は、清掃シート200をヘッド110に装着する際に、清掃シート200の中央部200bをヘッド110の下面(清掃面)111に対向する箇所に位置決めするための目安となる。清掃シート200の中央部200bの幅(折り返し線201と202の間隔)Rは、清掃用具100のヘッド110の下面(清掃面)111の幅W以上(R≧W)に設定するのが好ましい。また、内層シート210の幅Nは、清掃用具100のヘッド110の下面(清掃面)111の幅W以下(N≦W)に設定するのが好ましい。勿論、間隔R、幅N、幅Wの関係は、これに限定されない。
【0021】
ところで、清掃シート200をヘッド110に容易に装着することができるようにするために、清掃シート200の中央部200bの箇所を容易に判別できるように構成することが要望される。この解決方法として、内層シート210に顔料を練り込む方法を用いることが考えられる。しかしながら、この方法を用いると、所望の特性を有する内層シート210を得るのが困難である。そこで、本実施の形態では、疎水性を有し、着色した中間層シートを内層シート210と外層シート220との間(あるいは、内層シート210と外層シート220および230との間)に配置する方法を用いている。
ここで、外層シート220と中間層シートとの間に作用する摩擦力が、内層シート210と外層シート220との間に作用する摩擦力より小さくなることがある。また、接合部を介して内層シート210から外層シート220に放出される洗浄剤の量を低減するために接合箇所が抑制されると、外層シート220と中間層シートとの間の接合力が小さくなる。この場合、清掃作業時に、清掃対象と外層シート220との間に作用する摩擦力によって、外層シート220が中間層シートに対して部分的に移動し、外層シート220に皺が発生するおそれがある。
【0022】
そこで、本実施の形態では、中間層シートを、内層シート210の少なくとも一部が外層シート220に接触可能となるように、内層シート210と外層シート220の間に配置している。
本実施の形態では、中間層シートとして、着色された第1の中間層シート240と第2の中間層シート250を用いている。第1の中間層シート240と第2の中間層シート250は、図4に示されているように、開口している空間を有するように折り返されている。すなわち、断面形状がV字状あるいはU字状を有している。そして、内層シート210の幅方向(x方向)の両端部を、それぞれ第1の中間層シート240の空間および第2の中間層シート250の空間に挿入している。これにより、内層シート210の幅方向の両端部において、内層シート210と中間層シートが重なった状態となる。
本実施の形態では、内層シート210の幅方向(x方向)の両端部に、着色された第1の中間層シート240と第2の中間層シート250が配置されているため、清掃シート200の中央部200bの箇所を容易に判別することができる。また、内層シート210の一部が、第1の中間層シート240と第2の中間層シート250との間の空間210aを介して外層シート220に接触するため、内層シート210と外層シート220との間に大きい摩擦力が作用する。すなわち、外層シート210が第1の中間層シート240および第2の中間層シート250に対して移動し難くなる。これにより、外層シート220と第1の中間層シート240および第2の中間層シート250との間に作用する摩擦力が小さくても、清掃作業時に、清掃対象と外層シート220との間に作用する摩擦力によって外層シート220に皺が発生するのを防止することができる。
【0023】
内層シート210、外層シート220および230、第1の中間層シート240および第2の中間層シート250が図3および図4に示されているように配置されている状態で接合処理を行うことにより、図5〜図10に示される清掃シート200が得られる。なお、図5には、清掃シート200が展開された状態が示されている。また、図6〜図10は、それぞれ図5のVI−VI線断面図、VII−VII線断面図、VIII−VIII線断面図、IX−IX線断面図、X−X線断面図である。
ここで、内層シート210が外層シート220および230に接合部で接合されていると、接合部を介して内層シート210から外層シート220および230に洗浄剤が放出される。このため、内層シート210と外層シート220、230および中間層シート240、250との接合箇所は最小限に抑えるのが好ましい。本実施の形態では、中央部200bでは、内層シート210と外層シート220、230および中間層シート240、250は、図5および図6に示されているように、熱エンボス加工により形成される熱エンボス加工部203と接合部203aによって接合されている。
【0024】
また、清掃シート200の端部200aと200cでは、内層シート210に含浸されている洗浄剤が幅方向(x方向)の両端部から流れ出るのを防止するために、外層シート220と230が接合される。本実施の形態では、図6に示されているように、端部200a(200c)の第3の部分200a3(200c3)において、外層シート220と230が接合されている。本実施の形態では、凹凸部を有するローラーを用いた熱エンボス加工方法を用いて接合されている。図9に示されているように、外層シート220と230は、熱エンボス加工によって形成される熱エンボス加工部204と接合部204aによって接合されている。
本実施の形態では、外層シート220および230には、低融点を有する熱可塑性繊維が配置されている。また、第3の部分200a3および200c3には、内層シート210が配置されていない。したがって、第3の部分200a3および200c3において、外層シート220と230を熱エンボス加工によって容易に接合することができる。
熱エンボス加工による外層シート220と230の接合によって、第3の部分200a3および200c3の強度が向上する。
【0025】
また、本実施の形態では、第1の部分200a1(200c1)の伸張率を、第2の部分200a2(200c2)の伸張率より低くするために、第1の部分200a1(200c1)において、外層シート220の折返し部220aと基部220cの一部(外層シート230の折返し部230aと基部230cの一部)が接合されている。本実施の形態では、接合方法として、凹凸部を有するローラーを用いた熱エンボス加工方法を用いている。
本実施の形態では、外層シート220(230)には、低融点を有する熱可塑性繊維が配置されている。また、外層シート220の折返し部220aと基部220cの間(外層シート230の折返し部230aと基部230cの間)には、内層シート210が配置されていない。したがって、第1の部分200a1(200c1)において、外層シート220の折返し部220aと基部220cの一部(外層シート230の折返し部230aと基部230cの一部)を熱エンボス加工によって容易に接合することができる。
この熱エンボス加工によって、外層シート220の折返し部220aと基部220cの一部によって形成される第1の部分200a1、外層シート230の折返し部230aと基部230cの一部によって形成される第1の部分200c1の伸張率が、第2の部分200a2、200c2の伸張率より低くなる。すなわち、第1の部分200a1および200c1は、第2の部分200a2および200c2より伸び難くなる。
なお、シートの伸張率(mm/N)は、伸び易さの指標であり、伸張率が高いほど、シートは伸び易い。
【0026】
また、清掃シート200の端部200aおよび200cには、スリット205が形成されている。スリット205は、清掃シート200の端部200aおよび200cを保持部材120の保持片121によって保持させる時に、保持片121に保持可能に形成されている。スリット205の形状、配設位置、数等は、適宜設定される。このスリット205が形成されていることにより、清掃シート200の端部200aおよび200cをヘッド110の保持部材120(保持片121)に保持させる操作が容易となる。
【0027】
また、内層シート210には、洗浄剤が含浸される。洗浄剤としては、清掃対象の汚れを除去することができる適宜の洗浄剤を用いることができる、例えば、水を主成分とし、アルコール、界面活性剤、溶剤、防腐剤等が配合された洗浄剤を用いることができる。また、洗浄剤には、床保護剤、研磨剤、消臭剤、香料等を添加してもよい。内層シート210に含浸させる洗浄剤の量は、適宜設定することができる。例えば、含浸前の清掃シート200(内層シート210、外層シート220および230、中間層シート240および250)の重量に対して2.0倍〜5.0倍の量の洗浄剤を含浸させる。洗浄剤を内層シート210に含浸させる方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、予め洗浄剤が含浸された内層シート210を用いて清掃シート200を形成する方法を用いることができる。あるいは、清掃シート200を形成した後、外層シート220および230の中央部200bに洗浄剤を塗布し、外層シート220および230、中間層シート240および250を介して内層シート210に洗浄剤を含浸させる方法を用いることができる。
【0028】
本実施の形態の清掃シート200をヘッド110に装着した状態が図11に示されている。なお、図11は、図2のXI−XI線断面図である。
図11に示されているように、清掃シート200の中央部200bは、ヘッド110の下面(清掃面)111に配置される。また、清掃シート200の端部200aおよび200cは、それぞれ折り返し線201および202に沿って折り返され、ヘッド110の上面112上に配置される。本実施の形態では、第1の部分200a1および200c1の長さ(折返し部220aおよび230aの長さ)が20mmに設定されている。このため、清掃シート200の中央部100bをヘッド110の下面(清掃面)112に配置するとともに、端部200aおよび200cをヘッド110の上面112上に配置すると、第1の部分200a1と第2の部分200a2との境界部200P1、および、第1の部分200c1と第2の部分200c2との境界部200Q1の一部が、保持部材120(保持片121)に対向する箇所に配置される。そして、この状態で、保持片121と対向する箇所を保持片121の間に指で押し込んで離すと、境界部200P1および200Q1の一部が、保持片121の間に挟持されて保持される。なお、境界部200P1および200Q1の、保持片121によって挟持されている部分の間の部分は、対向する保持片121の間を通って押し込まれる(図12参照)。これにより、図11に示されているように、第1の部分200a1および200c1が、第2の部分200a2および200c2より、ヘッド110の中央側(中央部200bと反対側)に配置された状態で保持片121によって保持される。
【0029】
本実施の形態では、伸張率が低い第1の部分200a1(200c1)と伸張率が高い第2の部分200a2(200c2)との境界部200P1(200Q1)の一部が、対向する保持片121に挟持されている。すなわち、伸張率が変化する変局点が保持されている。これにより、清掃を行っている時に、清掃対象と外層シート220との間に作用する摩擦力によって、清掃シート200にヘッド110の移動方向(例えば、図11の左右方向)と逆方向の引張応力が作用しても、伸張率が高い第2の部分200a2あるいは200c2によって引張応力を効果的に吸収することができ、清掃作業時に、清掃シート200の端部200aあるいは200cが保持片121から外れるのを防止することができる。
また、清掃シート200をヘッド110から取り外す際には、伸張率が低い第1の部分200a1(200c1)を引っ張ることによって、境界部200P1(200Q1)を係止片121の間から容易に引き抜くことができる。これにより、清掃シート200を容易にヘッド110から取り外すことができる。
また、本実施の形態では、伸張率が高い第2の部分200a2(20c2)を、1層構造とし、伸張率が低い第1の部分200a1(200c1)を、シート部材を折り返して重ねた2層構造としている。これにより、伸張率が異なる第1の部分200a1(200c1)と第2の部分200a2(200c2)を有する清掃シートを容易に、低コストで製造することができる。
また、本実施の形態では、第1の部分200a1(200c1)の層数(2層)と第2の部分200a2(200c2)の層数(1層)が異なっているため、第1の部分200a1(200c1)と第2の部分200a2(200c2)との境界部200P1(200Q1)を容易に視認することができる。これにより、清掃シート200をヘッド110に容易に装着することができる。
【0030】
本実施の形態の清掃シート200作用を、図12を参照して概念的に説明する。なお、図12では、説明を簡単にするために、清掃シート200の端部200aの第1の部分200a1と第2の部分200a2のみが示されている。そして、端部200aの第1の部分200a1と第2の部分200a2との境界部200P1の一部がヘッド110の保持部材120(保持片121)によって保持されている状態で、ヘッド110が図11の矢印Gの方向(右方向)に移動するものとする。境界部200P1の、保持片121によって保持されている部分の間の部分は、保持片121の間を介して押し込まれている。
ヘッド110が矢印G方向に移動すると、図12(1)に示されているように、清掃対象と外層シート120との間に作用する摩擦力によって、矢印G側に配置されている端部200aの第2の部分200a2に矢印F方向に引張応力が作用する。
従来例では、清掃シートの中央部に低交絡部が形成され、端部に高交絡部が形成されているが、端部の伸張率が全体でほぼ同じであるため、低交絡部による引張応力Fの吸収効果が低い。このため、保持部材120(保持片121)に保持されている部材が均一に伸び、清掃シート200の端部200a(200c)が保持部材120(保持片121)から外れ易い。
これに対して、本実施の形態では、図12(2)に示されているように、伸張率が低い第1の部分200a1と伸張率が高い第2の部分200a2との境界部200P1の一部が保持片121によって保持されているため、伸張率が高い第2の部分200a2が伸び易くなり、引張応力を効果的に吸収することができる。この場合、第1の部分200a1と第2の部分200a2との境界部200P1の一部が保持片121に保持されている状態が維持される。
なお、清掃シート200の端部200a(200c)に作用する引張応力が増大すると、図12(3)に示されているように、第1の部分200a1と第2の部分200a2との境界部200P1が引っ張られて、保持片121の間から抜け出る。この場合には、清掃シート200の端部200a(200c)の保持状態が解除される。
なお、伸張率が低い第1の部分200a1を引っ張ることにより、清掃シート200の端部200a(200c)の保持状態を容易に解除することができる。
【0031】
中間層シートを、内層シート210の一部が外層シート120に接触可能に、内層シート110と外層シート120との間に配置する方法は、前記した方法に限定されない。
第2の実施の形態の清掃シート300を、図13、図14を参照して説明する。図13は、第2の実施の形態の清掃シート300を展開した状態を示す図であり、図14は、図13のXIV−XIV線断面図である。
第2の実施の形態の清掃シート300は、中間層シートの構成が第1の実施の形態の清掃シート200と相違しているだけである。したがって、以下では、第2の実施の形態の清掃シート300の中間層シートの構成のみを説明する。
本実施の形態の清掃シート300は、中間層シート340を有している。中間層シート340は、前述した中間層シート240および250と同様の素材により構成することができる。中間層シート340は、内層シート340の表面積と同じ(略同じを含む)表面積を有しているとともに、幅方向(x方向)と交差する長さ方向(y方向)に沿って、複数の開口340aが形成されている。そして、中間層シート340は、内層シート310と外層シート320との間に配置されている。中間層シート340は、熱エンボス加工部303aと接合部303によって内層シート310と外層シート320、330に接合されている。
本実施の形態では、着色されている中間層シート340によって、清掃シート300の中央部300bの箇所を容易に判別することができる。また、内層シート310は、中間層シート340に形成されている開口340aを介して外層シート320に接触可能である。
【0032】
第3の実施の形態の清掃シート400を、図15、図16を参照して説明する。図15は、第3の実施の形態の清掃シート400を展開した状態を示す図であり、図16は、図15のXVI−XVI線断面図である。
第3の実施の形態の清掃シート400は、中間層シートの構成が第1の実施の形態の清掃シート200と相違しているだけである。したがって、以下では、第3の実施の形態の清掃シート400の中間層シートの構成のみを説明する。
本実施の形態の清掃シート400は、第1の中間層シート440、第2の中間層シート450、第3の中間層シート460を有している。第1〜第3の中間層シート440、450、460は、前述した中間層シート240および250と同様の素材により構成することができる。第1〜第3の中間層シート440、450、460は、内層シート410より小さい表面積を有している。そして、第1〜第3の中間層シート440、450、460は、内層シート410と外層シート420の間に、幅方向(x方向)に沿って、互いに間隔を空けて配置されている、第1〜第3の中間層シート440、450、460は、熱エンボス加工部403aと接合部403によって内層シート410と外層シート420、430に接合されている。
本実施の形態では、着色されている第1〜第3の中間層シート440、450、460によって、清掃シート400の中央部400bの箇所を容易に判別することができる。また、内層シート410は、第1〜第3の中間層シート440、450、460の間の空間410a、420bを介して外層シート420と接触可能である。
【0033】
第4の実施の形態の清掃シート500を、図17、図18を参照して説明する。図17は、第4の実施の形態の清掃シート500を展開した状態を示す図であり、図18は、図17のXVII−XVII線断面図である。
第4の実施の形態の清掃シート500は、中間層シートの構成が第1の実施の形態の清掃シート200と相違しているだけである。したがって、以下では、第4の実施の形態の清掃シート500の中間層シートの構成のみを説明する。
本実施の形態の清掃シート500は、中間層シート540を有している。中間層シート540は、前述した中間層シート240および250と同様の素材により構成することができる。中間層シート540は、内層シート510より小さい表面積を有している。そして、中間層シート540は、内層シート510と外層シート520の間に、幅方向(x方向)と交差する長さ方向(y方向)の中央に配置されている。中間層シート540は、熱エンボス加工部503aと接合部503によって内層シート510と外層シート520、530に接合されている
本実施の形態では、着色されている中間層シート540によって、清掃シート500の中央部500bの箇所を容易に判別することができる。また、内層シート510は、中間層シート540の幅方向両側の空間510a、510bを介して外層シート520と接触可能である。
【0034】
本発明は、実施の形態で説明した構成に限定されず、種々の変更、追加、削除が可能である。
実施の形態で説明した各構成は、単独で用いることもできるし、適宜選択した複数を組み合わせて用いることもできる。
内層シートを外層シートと中間層シートに接合する方法や外層シート同士を接合する方法としては、熱エンボス加工方法に限定されず、種々の接合方法を用いることができる。
清掃シートの使用形態としては、清掃シート装着部材に装着して使用する形態や、清掃シートを手で持って使用する形態等を選択することができる。
清掃シートの構成は、実施の形態で説明した構成に限定されない。例えば、清掃シートを構成するシートの数は、適宜選択可能である。清掃シートを構成するシートとしては、種々の素材により形成されたシートや、種々の製造方法を用いて製造されたシートを用いることができる。
清掃シート装着部材の構成は、実施の形態で説明した構成に限定されない。
清掃シートとして、端部に伸張率が低い第1の部分、伸張率が高い第2の部分、伸張率が低い第3の部分を有する清掃シートを用いたが、第1の部分と第2の部分のみを有する清掃シートを用いることもできる。さらに、伸張率がほぼ同じである清掃シートを用いることもできる。
表面積が異なる内層シートと外層シートを用いて清掃シートを構成したが、同じ表面積を有する内層シートと外層シートを用いて清掃シートを構成することもできる。
伸張率を変える方法としては、シートの重ね枚数を変える方法、異なる伸張率を有するシートを用いる方法等種々の方法を用いることができる。
中間層シートは、内層シートと一方の外層シート(第1のシート)との間に配置してもよいし、内層シートと両方の外層シート(第1のシートおよび第2のシート)との間に配置してもよい。
【0035】
本発明は、以下の構成の少なくとも1つを備える清掃用具または清掃シートとして構成することもできる。
[態様1]
「第1のシートに熱融着層が形成されており、当該熱融着層により、第3のシートに含浸された洗浄剤の、第1のシートの外側表面からの放出量が抑制される」構成を備える清掃用具または清掃シート。
本構成を備えることにより、第1のシートの外側表面からの洗浄剤の放出量を抑制することができる。
[態様2]
「前記熱融着層は、第1のシートにおいて、第3のシートと対向する側に形成されている」構成を備える清掃用具または清掃シート。
本構成を備えることにより、第1のシートの外側表面からの洗浄剤の放出量をより効果的に抑制することができる。
[態様3]
「第1のシートおよび第2のシートに熱融着層が形成されており、第1のシートに形成された熱融着層により、第3のシートに含浸された洗浄剤の、第1のシートの外側表面からの放出量が抑制され、第2のシートに形成された熱融着層により、第3のシートに含浸された洗浄剤の、第2のシートの外側表面からの放出量が抑制される」構成を備える清掃用具または清掃シート。
本構成を備えることにより、第1のシートおよび第2のシートの外側表面からの洗浄剤の放出量を抑制することができる。
[態様4]
「前記熱融着層は、第1のシートにおいて、第3のシートと対向する側に形成され、第2のシートにおいて、第3のシートと対向する側に形成されている」構成を備える清掃用具または清掃シート。
本構成を備えることにより、第1のシートおよび第2のシートの外側表面からの洗浄剤の放出量をより効果的に抑制することができる。
[態様5]
「少なくとも一方の端部は、第1の伸張率を有する第1の部分と、第1の部分より高い伸張率を有する第2の部分を有し、第2の部分は、一方向に沿って、第1の部分より中央部側に設けられており、また、第1の部分と第2の部分との境界部の少なくとも一部が保持部材によって着脱可能に保持される」構成を備える清掃用具または清掃シート。
本構成を備えることにより、清掃作業時に清掃シートが保持部材から外れるのを防止することができるとともに、清掃シートを保持部材から容易に取り外すことができる
[態様6]
「少なくとも一方の端部は、第2の部分より低い伸張率を有する第3の部分を有し、第3の部分は、一方向に沿って、第2の部分より中央部側に設けられている」構成を備える清掃用具または清掃シート。
本構成を備えることにより、清掃シートの中央部の強度をたかめることができる。
【符号の説明】
【0036】
100 清掃用具
110 ヘッド(清掃シート装着部材)
120 保持部材
121 保持片
130 パイプ
131 接続機構
150 ハンドル
200、300、400、500 清掃シート
200a、200c 端部
200b、300b 中央部(清掃部)
201、202、301、302、401、402、501、502 折り返し線
205、305、405、505 スリット
210、310、410、510 内層シート(第3のシート)
220、320、420、520 外層シート(第1のシート)
230、330、430、530 外層シート(第2のシート)
221、231、321、331、421、431、521、531 外側層
222、232、322、332、422、432、522、532 内側層(熱融着層)
204、304、404、504 接合部
204a、304a、404a、504a 熱エンボス加工部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
清掃シート装着部材と、清掃シートを備え、前記清掃シート装着部材は、清掃面と、保持部材を有しており、前記清掃シートは、前記清掃シート装着部材の清掃面に配置される中央部と、前記中央部を挟んで、一方向に沿った少なくとも一方側に設けられ、前記保持部材によって着脱自在に保持される端部を有する清掃用具であって、
前記清掃シートの中央部は、
疎水性を有する第1のシートと、
疎水性を有する第2のシートと、
親水性を有する第3のシートと、
第4のシートを有し、
前記第3のシートは、洗浄剤が含浸されるとともに、前記第1のシートと前記第2のシートの間に配置されており、
前記第4のシートの少なくとも一部は、前記第3のシートの一部が前記1のシートと接触可能に、前記第1のシートと前記第3のシートの間に配置されていることを特徴とする清掃用具。
【請求項2】
請求項1に記載の清掃用具であって、
前記第4のシートは、開口している空間を有するように折り畳まれており、
前記第3のシートの端部が前記第4のシートの空間に挿入されることにより、前記第4のシートの一部が前記第3のシートと重ねられており、
前記第3のシートは、前記第4のシートと重ねられていない部分が前記第1のシートに接触可能であることを特徴とする清掃用具。
【請求項3】
請求項1に記載の清掃用具であって、
前記第4のシートは、開口を有しており、前記第3のシートの一部が、前記第4のシートの開口を介して前記第1のシートに接触可能であることを特徴とする清掃用具。
【請求項4】
中央部と、前記中央部を挟んで、一方向に沿った少なくとも一方側に設けられている端部を有しており、前記中央部は、清掃シート装着部材の清掃面に配置され、前記端部は、前記清掃シート装着部材の保持部材によって着脱自在に保持される清掃シートであって、
前記中央部は、
疎水性を有する第1のシートと、
疎水性を有する第2のシートと、
親水性を有する第3のシートと、
疎水性を有する第4のシートを有し、
前記第3のシートは、洗浄剤が含浸されるとともに、前記第1のシートと前記第2のシートの間に配置されており、
前記第4のシートの少なくとも一部は、前記第3のシートの一部が前記1のシートと接触可能に、前記第1のシートと前記第3のシートの間に配置されていることを特徴とする清掃シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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