説明

清掃用積層体

【課題】種々の形状の清掃用把持具に脱落不能及び突抜不能な状態で装着して用いることができる清掃用積層体を提供すること。
【解決手段】清掃用把持具に装着して用いられる取り替え可能な清掃用積層体100は、(1)複数枚の基布を積層してなる基布層102と、(2)基布104の長手方向に沿って形成された融着部CL1と、当該長手方向に沿って基布104の幅方向両端側に形成された融着部DL1,DL2とを備えた下側挿入層106Lと、(3)基布104の長手方向に沿って基布104の幅方向両端側に形成された融着部DL1,DL2を備えた上側挿入層106Uと、(4)基布の第一長手方向端部に形成された着脱孔108と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃用積層体に関し、更に詳しくは、種々の形状の清掃用把持具に脱落不能及び突抜不能な状態で装着して用いることができる清掃用積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の清掃用具は実用品として日常生活で用いられ需要者層も広いため多種多様のものが提案されている。
例えば、特許文献1に記載の清掃具は、把手具が清掃用物品に入れやすく且つ外しやすく、挿入された把手具が清掃用物品に安定的に固定されることを目的として提案されたものである。そして、特許文献1に記載の清掃具は、被挿入部を有する清掃用物品と、該被挿入部に挿入して清掃用物品を取り付ける把手具とからなる。清掃用物品は、前記被挿入部として把手具の挿入方向の一端に形成された挿入用開口部と他端との途中領域に被挿入衝合部とが設けられる。把手具は、把持部と、該把持部の先端から延びて清掃用物品の被挿入部に挿入する挿入部と、該挿入部を被挿入部に挿入したときに清掃用物品の挿入用開口部近傍を保持する保持部とを有する。把手具の挿入部は、清掃用物品の被挿入部に挿入したときに、被挿入衝合部と衝合するまで実質的に障害なく挿入され、該被挿入衝合部と衝合する衝合位置から先への該挿入部のそれ以上の挿入を規制する把手具衝合部を有し、挿入部が被挿入部に挿入されており、保持部にて清掃用物品が保持されたときに、把手具衝合部と保持部との間の清掃用物品の移動が実質的に抑制されている構成を備える。
【0003】
特許文献2に記載の清掃用物品は、ゴミの収集が容易で部品点数が少ないものとすることを目的として提案されたものである。そして、特許文献2に記載の清掃用物品は、繊維束からなる一対の繊維層を備え、扁平で筒状の把手挿入部を有し、把手を該把手挿入部内に挿入して取り付け可能になされている。その繊維束は、熱融着性繊維から形成されており、一対の繊維層が熱融着性繊維の溶融により部分的に融着されている。把手挿入部は、一対の繊維層以外の部材を用いずに、一対の繊維層における融着されている部分同士が、把手の挿入方向に延びる複数の接合部で接合されて形成されている。一対の繊維層における融着されている部分それぞれは、把手挿入部の全域に亘って形成されているか、又は一対の繊維層それぞれに複数形成されており、複数の融着されている部分それぞれは、把手の挿入方向に延びる帯状に形成されており、複数の該接合部は、一対の繊維層における融着されている部分同士が重なる位置に配されており、把手の挿入方向と直交する方向に離間している。
【0004】
特許文献3に記載の清掃用製品は、清掃用保持具の弾性変形を利用してワイプスを確実に保持させることができるようにしたものであり、ワイプスを取り付ける際に摺動抵抗を最小にでき、ワイプスを装着しやすくすることを目的として提案されたものものである。特許文献3に記載の清掃用製品は、清掃用保持具及びこれに装着されるワイプスからなる。清掃用保持具は、ワイプスの保持空間に挿入される対を成す支持板が分岐形成された合成樹脂製の本体部と、本体部から延びて手で保持可能なハンドル部とが設けられ、支持板は、その断面の幅寸法が板厚寸法よりも大きく且つ細長の板形状で、対を成す支持板が互いに平行に延び、支持板のそれぞれの外側部に、縁部が凸曲面形状の突部が一体に形成されており、対を成す支持板は、その先端どうしの間隔が狭まる方向へ弾性変形可能である。ワイプスには、平行に延びる2つの保持空間が形成され、保持空間の内幅寸法が清掃用保持具の支持板の幅寸法よりも広く形成されており、2つの保持空間のそれぞれに支持板が挿入されるときに、支持板に形成された突部が保持空間の内部を摺動して、支持板がその間隔が狭まるように変形するとともに、ワイプスの2つの保持空間の長手方向の中間部分に、保持空間の内幅寸法が減少する狭内幅部が設けられており、支持板に設けられた突部が狭内幅部を通過する際に一対の支持板はその間隔が狭まるように変形し、支持板が完全に挿入され突部が狭内幅部から外れたときに一対の支持板の間隔が広がって、ワイプスが清掃用保持具から外れないように保持される。そして、本体部とハンドル部との間に着脱自在な連結部が設けられており、表面側で本体部とハンドル部とが組み合わされる第1の組み合わせ部と、裏面側で本体部とハンドル部とが組み合わされる第2の組み合わせ部とが異なる形状であり、本体部に対してハンドル部が表裏逆向きに連結不能とされており、突部は、内部に空間を形成するリブを有しており、リブが弾性変形可能に構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−136156
【特許文献2】特許第4545086号公報
【特許文献3】特許第4132730号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された清掃具の被挿入衝合部は、接合部分とその間の隙間という2つの構成からなるため、把手の形状が当該被挿入衝合部に衝合する必要があり適用しうる把手が限られるという問題がある。
また、特許文献2に記載された清掃用物品は、把手挿入部が一対の繊維層以外の部材を用いずに、一対の繊維層における融着されている部分同士が、把手の挿入方向に延びる複数の接合部で接合されて形成されているため、やはり、把手の形状が当該把手挿入部の形状に適合する必要があり適用しうる把手が限られるという問題がある。
更に、特許文献3に記載された清掃用製品は、そのワイプスに平行に延びる2つの保持空間が形成され、保持空間の内幅寸法が清掃用保持具の支持板の幅寸法よりも広く形成されており、2つの保持空間のそれぞれに支持板が挿入される構成をとるため、上記と同様に支持板の形状が当該保持空間の形状に適合する必要があり適用しうる支持板が限られるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その第一の目的は、種々の形状の清掃用把持具に脱落不能な状態で装着して用いることができる清掃用積層体を提供することにある。本発明の第二の目的は、種々の形状の清掃用把持具に突抜不能な状態で装着して用いることができる清掃用積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明に係る清掃用積層体は、清掃用把持具に装着して用いられる取り替え可能な清掃用積層体であって、
複数枚の基布を積層してなる基布層と、
前記基布層の長手方向に沿って形成された連続線状融着部と、当該長手方向に沿って当該基布層の幅方向両端側に形成された不連続線状融着部とを備えた第一挿入層と、
前記基布層の長手方向に沿って当該基布層の幅方向両端側に形成された不連続線状融着部を備えた第二挿入層と、
前記基布層の第一長手方向端部に形成された着脱孔と、
を備えたことを要旨とする。
【0009】
上記構成を備えた本発明に係る清掃用積層体によれば、(1)第一挿入層は前記基布層の長手方向に沿って形成された連続線状融着部と、当該長手方向に沿って当該基布層の幅方向両端側に形成された不連続線状融着部とを備え、(2)第二挿入層は前記基布層の長手方向に沿って当該基布層の幅方向両端側に形成された不連続線状融着部を備えるため、第一挿入層は先端が複数に分岐した清掃用把持具を装着するのに好適であり、第二挿入層は先端が分岐しない清掃用把持具を装着するのに好適である。一方で第一及び第二挿入層は装着される清掃用把持具が限定されない。従って、本発明に係る清掃用積層体は種々の形状の清掃用把持具に装着できる。
【0010】
更に、上記構成を備えた本発明に係る清掃用積層体によれば、着脱孔は前記基布層の第一長手方向端部に形成される。そのため、清掃用把持具に突起部及び嵌合孔を形成し、清掃用積層体の着脱孔に清掃用把持具の突起部を通した上でその嵌合孔をその突起部と嵌合させれば、清掃用積層体は抜脱不能に清掃用把持具に装着される。これにより、清掃用積層体は固定されるため突抜不能に清掃用把持具に装着される。
【0011】
この場合に、前記清掃用把持具は、挿入手段と把持手段とが着脱可能に連結されたものからなり、
前記挿入手段は、前記着脱孔を通す突起部を備え、
当該把持手段は、当該突起部と嵌合する嵌合孔を備えることが好ましい。
【0012】
当該構成を備えた本発明に係る清掃用積層体によれば、これが装着される清掃用把持具に突起部及び嵌合孔が形成される。従って、清掃用積層体の第一長手方向端部に形成された着脱孔に清掃用把持具の突起部を通した上で、その嵌合孔をその突起部と嵌合させれば、清掃用積層体は抜脱不能に清掃用把持具に装着される。これにより、清掃用積層体は固定されるため突抜不能に清掃用把持具に装着される。
【0013】
この場合に、前記挿入手段には前記不連続線状融着部に係合する又は前記第一又は第二挿入層内を動きにくくする膨出部又は突出部が形成されていることが好ましい。
【0014】
当該構成を備えた本発明に係る清掃用積層体によれば、当該不連続線状融着部に挿入手段の膨出部又は突出部が係合し、あるいは、当該膨出部又は突出部が第一若しくは第二挿入層内において当該挿入手段を動きにくくするため、清掃用積層体は抜脱不能に清掃用把持具に装着される。これにより、清掃用積層体は固定されるため突抜不能に清掃用把持具に装着される。
【0015】
この場合に、前記基布層の第二長手方向端部が封止されていることが好ましい。当該構成を備えた本発明に係る清掃用積層体によれば、これが装着された清掃用把持具は使用中に何らかの衝撃等で第二長手方向端部に向かって動いても当該第二長手方向端部の封止された部分で止まる。従って、通常の使用状態では清掃用積層体は清掃用把持具に突抜不能に装着される。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る清掃用積層体は、(1)前記基布層の長手方向に沿って形成された連続線状融着部と、当該長手方向に沿って当該基布層の幅方向両端側に形成された不連続線状融着部とを備えた第一挿入層と、(2)前記基布層の長手方向に沿って当該基布層の幅方向両端側に形成された不連続線状融着部を備えた第二挿入層と、(3)前記基布層の第一長手方向端部に形成された着脱孔と、を備えたものであるから、種々の形状の清掃用把持具に脱落不能及び突抜不能な状態で装着して用いることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る清掃用積層体100の分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る清掃用積層体100の着脱孔108の周辺を拡大した部分拡大斜視図である。
【図3A】同図(a)は清掃用積層体100が装着される清掃用把持具200の斜視図であり、同図(b)は清掃用把持具200を折り曲げた状態を示す斜視図である。
【図3B】清掃用積層体100を清掃用把持具200に装着する装着方法を説明するための斜視図である。
【図3C】清掃用積層体100を清掃用把持具200に装着する装着方法を説明するための斜視図である。
【図3D】清掃用積層体100を清掃用把持具200に装着した状態を示す斜視図である。
【図4A】同図(a)は清掃用積層体100が装着される清掃用把持具300の斜視図であり、同図(b)は清掃用把持具300を折り曲げた状態を示す斜視図である。
【図4B】清掃用積層体100を清掃用把持具300に装着する装着方法を説明するための斜視図である。
【図4C】清掃用積層体100を清掃用把持具300に装着する装着方法を説明するための斜視図である。
【図4D】清掃用積層体100を清掃用把持具300に装着した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0018】
100 清掃用積層体
102 基布層
104(104L、104M、104U) 基布(下側基布、中央基布、上側基布)
106(106L、106U) 挿入層(下側挿入層、上側挿入層)
108 着脱孔
110 (110L、110U) 糸状繊維束(下側糸状繊維束、上側糸状繊維束)
200,300 清掃用把持具
202,302 挿入部
204,304 把持部
206,306 突起部
208,308 嵌合孔
210 膨出部
310 突出部
212,312 清掃具
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
(清掃用積層体100)
図1は清掃用積層体100の分解斜視図、図2は清掃用積層体100の着脱孔108の周辺を拡大した部分拡大斜視図、図3A〜図3D及び図4A〜図4Dはそれぞれ清掃用積層体100が装着される清掃用把持具200,300の斜視図、装着方法、装着状態等を示す図である。尚、以下の説明において下側、上側とあるがこれらは便宜上のものであり逆でもよい。
【0020】
清掃用積層体100は、複数枚の基布を積層してなる基布層102、すなわち、下側基布104L、中央基布104M、上側基布104Uの複数枚の基布をこの順番で積層してなる基布層102の表面に塵埃その他の汚れを取るための糸状繊維束110を熱融着したもの、すなわち、下側基布104Lの表面に下側糸状繊維束110Lを熱融着するとともに、上側基布104Uの表面に上側糸状繊維束110Uを熱融着したものからなる。
ここで、基布104は、下側基布104L、中央基布104M、上側基布104Uを総称したものであり、糸状繊維束110は、下側糸状繊維束110L、上側糸状繊維束110Uを総称したものである。基布104は不織布からなる。糸状繊維束110は、基布層102の幅方向に目視では判別できない程無数に並べられた糸状繊維の束からなる(図1参照)。糸状繊維束110は、中央部分等の融着部分を元にして先端部分が適度にばらけることによって綿状の外観手触りを呈する。図1において、清掃繊維用110は便宜上扁平な状態で示されるが、実際には図3D等に示したように丸みを帯びたふわっとした外観を呈する。
【0021】
基布層102及び糸状繊維束110において熱融着される箇所は特に限定されないが、本実施形態においては、
(1)融着部CL1,CL2(図1において同じ符号で示すところを互いに融着した部分)、
(2)融着部DL1,DL2(図1において同じ符号で示すところを互いに融着した部分)、
(3)糸状繊維束110の両上下表面の先端部分の糸状繊維を一部持ち上げて表から見えないところと基布104とをその幅方向又は長手方向の線状その他の線状(例えば、曲線状)又は点状に熱融着させた部分(図示省略)が挙げられる。
尚、上記(3)のように糸状繊維束110の中央部分以外を全て熱融着するわけではない構成をとるために、毛先がばらけて毛羽立ち全体として丸みを帯びた外観を呈することができる。そして、毛羽立ちにより繊維と繊維の間に塵埃が捉えられる。
【0022】
挿入層106は、下側挿入層106Lと、上側挿入層106Uとを総称したものであり、把持部204,304が挿入される中空状の空間である。挿入層106Lは、
(1)基布104Lと基布104Mとの間に形成され、基布層102の長手方向に沿って形成された融着部CL1と、
(2)当該長手方向に沿って基布層102の幅方向両端側に形成された融着部DL1,DL2とを備える。
【0023】
融着部CL1は、糸状繊維束110Lと、基布104Lと、基布104Mとをこの順番で積層して熱融着することにより形成された、基布層102の長手方向に沿った融着部である。融着部CL1は、本実施形態では図1に示すように連続した線状の熱融着部であるが不連続又は点線状でもよい。
融着部DL1,DL2は、糸状繊維束110Lと、基布104Lと、基布104Mと、基布104Uと、糸状繊維束110Uとをこの順番で積層して熱融着することにより形成された融着部であって、基布層102の長手方向に沿って基布層102の幅方向両端側に形成された融着部である。融着部DL1,DL2は、本実施形態では図1に示すように不連続の線状の熱融着部である。この不連続部分の空隙g(図2参照)には後述するように膨出部210や突出部310が入りこみ最近接の融着部DL1,DL2に係止される。もっとも、融着部DL1,DL2は連続した線状の融着部でもよい。
【0024】
挿入層106Lは、中央の融着部CL1と両端の融着部DL1,DL2とにより、2つの空間(複数の空間)が形成され、各空間に清掃用把持具200,300の分岐した挿入部202,302がそれぞれ挿入される。従って、挿入層106Lは先端が複数に分岐した清掃用把持具に装着するのが好適であるが、装着する清掃用把持具は特に限定されない。
【0025】
挿入層106Uは、基布層102の長手方向に沿って基布層102の幅方向両端側に形成された不融着部DL1,DL2を備える。挿入層Uは、挿入層106Lと共通の融着部DL1,DL2を備える。上記のように、融着部DL1,DL2は糸状繊維束110Lと、基布104Lと、基布104Mと、基布104Uと、糸状繊維束110Uとをこの順番で積層して熱融着することにより形成されるからである。
従って、挿入層106Uは、対向して形成される不融着部DL1,DL2によって形成される単一の空間からなる。そのため、挿入層106Uは、あらゆる形状の清掃用把持具(例えば、先端が分岐しないもの、あるいは、先端が3つ以上に分岐しているもの等)の挿入部に装着することができる。
【0026】
尚、挿入層106Lと挿入層106Uはそれぞれ下側、上側としているが逆でもよい。すなわち、空間形状又は空間サイズの異なる又は同一の複数の挿入層があればよい。従って、下側がm分岐、上側がn分岐(m≠n、m,nは自然数)又はこの逆であればよい。
【0027】
融着部DL1,DL2は数ミリ〜数センチ間隔で形成される。本実施形態においては、挿入部202には、外側(両端側)に向かって膨らんだ膨出部210(図3A参照)が形成されている。膨出部210に代えて突き出た突出部(図示省略)を形成してもよい。膨出部210や突出部は、これを空隙gを形成する融着部DL1,DL2に係合させると清掃用積層体100の清掃用把持具200への装着状態をより抜けにくいものとする。
また、挿入部302には、上側に向かって起立した突出部310(図4A参照)が形成されている。突出部310に代えて膨らんだ膨出部(図示省略)を形成してもよい。突出部310や膨出部は、挿入部302を嵩高くするため挿入層106L内で挿入部302を動きにくくする。このため、突出部310や膨出部は、清掃用積層体100の清掃用把持具300への装着状態をより抜けにくいものとする。
【0028】
着脱孔108は、基布層102の第一の長手方向端部に形成される。着脱孔108は、基布層102を構成する全ての基布104に形成される。従って、着脱孔108に突起部206,306を通した上で、嵌合孔208、308をそれぞれ突起部206,306と嵌合させれば、清掃用積層体100は抜脱不能に清掃用把持具200,300に装着される。
【0029】
尚、本実施形態では形成されていないが、基布層102の第二の長手方向端部(着脱孔108に対向する対辺部分)に封止部(図示省略)を形成してもよい。封止部は、挿入層106を構成する各基布104を重ね合わせて基布層102の第二の長手方向端部に熱融着により形成することができる。これにより、清掃用把持具100が使用中に何らかの衝撃等で第二の長手方向端部に向かって動いても第二の長手方向端部の封止部で止まる。従って、通常の使用状態では清掃用積層体100は清掃用把持具200,300に突抜不能に装着される。
【0030】
(清掃用積層体100の製造方法)
以下の(1)〜(4)の工程を実施することにより清掃用積層体100が得られる。
(1)各基布104、及び、糸状繊維束110を図1に示すように所定の形状(長方形状その他の多角形状、楕円、円形状等)・大きさにカットする。
【0031】
(2)糸状繊維束110Uと上側基布104Uとを図1に示す位置関係で重ね合わせて幅方向中心線に沿って熱融着し、融着部CL2を形成する。ここで、糸状繊維束110Uは全てを熱融着するのではなく、表面が毛羽立つように基布層102に近い側だけを熱融着し表面側は熱融着しないようにするとよい。
【0032】
(3)糸状繊維束110Lと下側基布104Lと中間基布104Mとを図1に示す位置関係で重ね合わせて幅方向中心線に沿って熱融着し、融着部CL1を形成する。ここで、糸状繊維束110Lは全てを熱融着するのではなく、表面が毛羽立つように基布層102に近い側だけを熱融着し表面側は熱融着しないようにするとよい。
【0033】
(4)上側糸状繊維束110U、上側基布104U、中間基布104M、下側基布104L、下側糸状繊維束110Lをこの順番になるように重ね合わせて、基布層102の幅方向両端側に任意の間隔(図1参照)を空けて空隙gを形成できるように、基布層102の長手方向に沿って熱融着する。これにより、下側挿入層106L、上側挿入層106Uが形成される。尚、封止部を形成する場合には着脱孔108と反対側の端を重ね合わせて熱融着すればよい。
【0034】
(清掃用把持具200,300)
図3A〜図3D、図4A〜図4Dに示す清掃用把持具200,300は、それぞれ、挿入部202,302と、把持部204,304とを備え、各挿入部と各把持部とが着脱可能、かつ、回動可能に連結されたものからなる。挿入部202,302の端部に対向して形成された一対の連結孔に把持部204,304の端部に互いに反対を向いて形成された一対の連結片が嵌め込まれることにより連結部分が構成される。
【0035】
挿入部202,302は、着脱孔108を通す突起部206,306を備え、把持部204,304は、突起部206,306と嵌合する嵌合孔208,308を備える。突起部206は四角柱状の形状であり胴体に比べて根本部分が凹み、嵌合孔208は突起部206に嵌合する四角形状である。突起部206の凹み部分に嵌合孔208が嵌合する。また、突起部306は略円柱状(又は略球状)の形状であり胴体に比べて根本部分が凹み、嵌合孔308は突起部306に嵌合する。突起部306の凹み部分に嵌合孔308が嵌合する。嵌合孔208,308は貫通したタイプのものでも、貫通しないタイプのものでもよい。
【0036】
膨出部210は、挿入部202に形成される外側(両端側)に向かって膨らんだ係止片である。膨出部210に代えて突き出た突出部(図示省略)を形成してもよい。膨出部210や突出部は、空隙g(図2、図3B参照)を形成する融着部DL1,DL2に係合させられる。これにより、清掃用積層体100の清掃用把持具200への装着状態をより抜けにくいものとする。
突出部310は、挿入部302に形成される上側に向かって起立した係止片である。突出部310に代えて膨らんだ膨出部(図示省略)を形成してもよい。突出部310や膨出部は、挿入部302を嵩高くするため挿入層106L内で挿入部302を動きにくくする。このため、突出部310や膨出部は、清掃用積層体100の清掃用把持具300への装着状態をより抜けにくいものとする。
【0037】
清掃用積層体100と、これが装着される清掃用把持具200,300とは、分離して構成されるが、使用時においては図3D及び図4Dに示すように清掃具212、312として合体して用いられ、いずれも取り替えて用いることができる。
【0038】
(清掃用把持具200,300の製造方法)
清掃用把持具200,300は、挿入部202,302、把持部204,304を模った金型内に加熱溶融させた高分子樹脂を射出注入し、冷却・固化させることによって製造される。
【0039】
(装着方法)
図3A〜図3D及び図4A〜図4Dは、清掃用積層体100がそれぞれ図3Aに示す清掃用把持具200、図4Aに示す清掃用把持具300に取り付けられる一連の装着手順を示す。図3B又は図4Bに示すように挿入部202,302をその先端から下側挿入層106Lに挿入し、挿入部の付け根(把持部とのジョイント部分)まできたら、図3C(a)又は図4C(a)に示すように突起部206,306を着脱孔108に通す。次いで、図3C(b)又は図4C(b)に示すように突起部206,306と嵌合孔208,308とを嵌合させる。これにより、図3Dに示す清掃具212、図4Dに示す清掃具312が得られる。
【0040】
(作用効果)
本発明に係る清掃用積層体100は、(1)基布層102の長手方向に沿って形成された融着部CL1と、当該長手方向に沿って基布層102の幅方向両端側に形成された融着部DL1,DL2とを備えた下側挿入層106Lと、(2)基布層102の長手方向に沿って基布層102の幅方向両端側に形成された融着部DL1,DL2を備えた上側挿入層106Uと、(3)基布層102の第一長手方向端部に形成された着脱孔108と、
を備えたものであるから、種々の形状の清掃用把持具に脱落不能及び突抜不能な状態で装着して用いることができる。
【0041】
以上本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の改変が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明に係る清掃用積層体は、着脱孔が設けられるとともに第一挿入層と第二挿入層とが形成されたものであるため種々の形状の清掃用把持具が適用でき、利便性が高く産業上利用価値が極めて高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
清掃用把持具に装着して用いられる取り替え可能な清掃用積層体であって、
複数枚の基布を積層してなる基布層と、
前記基布層の長手方向に沿って形成された連続線状融着部と、当該長手方向に沿って当該基布層の幅方向両端側に形成された不連続線状融着部とを備えた第一挿入層と、
前記基布層の長手方向に沿って当該基布層の幅方向両端側に形成された不連続線状融着部を備えた第二挿入層と、
前記基布層の第一長手方向端部に形成された着脱孔と、
を備えたことを特徴とする清掃用積層体。
【請求項2】
前記清掃用把持具は、挿入手段と把持手段とが着脱可能に連結されたものからなり、
前記挿入手段は、前記着脱孔を通す突起部を備え、
当該把持手段は、当該突起部と嵌合する嵌合孔を備えたことを特徴とする請求項1に記載の清掃用積層体。
【請求項3】
前記挿入手段は、前記不連続線状融着部に係合する、あるいは、前記第一又は第二挿入層内を動きにくくする膨出部又は突出部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の清掃用積層体。
【請求項4】
前記基布層の第二長手方向端部が封止されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の清掃用積層体。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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