説明

清掃装置および画像形成装置

【課題】転写位置における転写ベルトからの記録媒体の剥離性を確保しつつ転写ベルトの清掃を安定的に行う。
【解決手段】転写位置における記録媒体の搬送方向に対して角度をなして移動される転写ベルト34のおもて面に接し、おもて面を清掃するクリーニングブレード202と、クリーニングブレードに対向する位置において転写ベルトの裏面に接触するブレード対向ロール212と、クリーニングブレードの転写ベルトの移動方向における上流側に配置され、転写ベルトのおもて面に接し、おもて面を清掃するクリーニングブラシ204と、クリーニングブラシに対向する位置において転写ベルトの裏面に接触するブラシ対向ロール218と、ブレード対向ロールとブラシ対向ロールとの間に配置され、転写ベルトのおもて面に接触し、ブレード対向ロールとブラシ対向ロールとの間における転写ベルトをおもて面側から裏面側へと押圧する押圧ロール224とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、図2に示されるように、クリーニングバックアップロール(73)に転写ベルト(11)を巻き掛け、クリーニングバックアップロール(73)と転写ベルト(11)とが接触する領域を増加させることで、クリーニングブレード(71)による清掃を安定的に行うようにした技術が記載されている。
【0003】
特許文献2には、図1に示されるように、クリーニングブレード(5)の転写ベルト(1)の移動方向における上流側にシールロール(3)を設け、シールロール(3)によって転写ベルト(1)を変形させ、クリーニングブレード(5)の対向ロールと転写ベルト(1)とが接触する領域を増加させることで、クリーニングブレード(5)による清掃を安定的に行うようにした技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−216316号公報
【特許文献2】特開平9−237021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
転写位置における転写ベルトからの記録媒体の剥離性を確保しつつ転写ベルトの清掃を安定的に行うことができるようにした清掃装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1の清掃装置は、記録媒体への転写位置における前記記録媒体の搬送方向に対して角度をなして移動される転写ベルトのおもて面に接し、前記おもて面を清掃する第1清掃部材と、前記第1清掃部材に対向する位置において前記転写ベルトの裏面に接触する第1対向部材と、前記転写ベルトの前記角度をなして移動される範囲であって前記第1清掃部材の前記転写ベルトの移動方向における上流側に配置され、前記転写ベルトのおもて面に接し、前記おもて面を清掃する第2清掃部材と、前記第2清掃部材に対向する位置において前記転写ベルトの裏面に接触する第2対向部材と、前記第1対向部材と前記第2対向部材との間に配置され、前記転写ベルトのおもて面に接触し、前記第1対向部材と前記第2対向部材との間における前記転写ベルトをおもて面側から裏面側へと押圧する押圧部材と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項2の清掃装置は、さらに、前記第1清掃部材の前記ベルトの移動方向における下流側に配置され、前記転写ベルトが巻き掛けられる巻掛ロールに対向する位置において前記転写ベルトのおもて面に接触し、前記おもて面を清掃する第3清掃部材、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項3の画像形成装置は、静電潜像が形成される像保持体と、前記像保持体に形成された静電潜像をトナーで現像する現像装置と、前記現像装置によって現像されたトナー画像を前記転写ベルトを介して前記転写位置で記録媒体に転写する転写装置と、前記転写ベルトを清掃する請求項1または請求項2に記載の清掃装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1に記載の清掃装置によれば、第1対向部材と第2対向部材との間における転写ベルトをおもて面側から裏面側へと押圧する押圧部材を備えない場合に比べて、転写位置における転写ベルトからの記録媒体の剥離性を確保しつつ転写ベルトの清掃を安定的に行うことができる。
【0010】
本発明の請求項2に記載の清掃装置によれば、巻掛ロールに対向する位置において転写ベルトに接触する第3清掃部材を備える構成でおいて、転写位置における転写ベルトからの記録媒体の剥離性を確保しつつ第1清掃部材および第2清掃部材によるベルトの清掃を安定的に行うことができる。
【0011】
本発明の請求項3に画像形成装置によれば、請求項1または請求項2に記載の清掃装置を備えない場合に比べて、画質の優れた画像を記録媒体に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】図1の画像形成ユニットの構成を示す図である。
【図3】本発明に係る清掃装置の構成を示す図である。
【図4】本発明に係る清掃装置に対する比較例としての清掃装置の構成を示す図である。
【図5】本発明に係る清掃装置に対する比較例としての清掃装置の構成であって、ブレード対向ロールを転写ベルトの内周面側から外周面側に向けて押圧した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る清掃装置および画像形成装置の実施形態の一例について、添付の図面を用いて説明する。
【0014】
(全体構成)
本実施形態に係る画像形成装置10は、フルカラー画像又は白黒画像を形成するものであり、図1に示されるように、水平方向一側(図1における左側)部分を構成する第1処理部が収容された第1筐体10Aと、第1筐体10Aと分割可能に接続され、水平方向+側(図1における右側)部分を構成する第2処理部が収容された第2筐体10Bとを備えている。
【0015】
第2筐体10Bの上部には、コンピュータ等の外部装置から送られてくる画像データに画像処理を施す画像信号処理部13が設けられている。
【0016】
一方、第1筐体10Aの上部には、第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各トナーを収容するトナーカートリッジ14V、14W、14Y、14M、14C、14Kが水平方向に沿って交換可能に設けられている。
【0017】
なお、第1特別色及び第2特別色としては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外の色(透明を含む)から適宜選択される。また、以後の説明では、各構成部品について第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を区別する場合は、数字の後にV、W、Y、M、C、Kのいずれかの英字を付して説明し、第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を区別しない場合は、V、W、Y、M、C、Kを省略する。
【0018】
さらに、トナーカートリッジ14の下側には、各色のトナーに対応する6つの画像形成ユニット16が、各トナーカートリッジ14と対応するように水平方向に沿って設けられている。
【0019】
画像形成ユニット16毎に設けられた露光装置40は、前述した画像信号処理部13によって画像処理を施された画像データを画像信号処理部13から受け取り、この画像データに応じて変調した光ビームLを後述の像保持体18へ照射するように構成されている(図2参照)。
【0020】
各画像形成ユニット16は、図2に示されるように、一方向(図2における時計回り方向)に回転駆動される像保持体18を備えている。各露光装置40から各像保持体18へ光ビームLが照射されることにより、各像保持体18には静電潜像が形成される。
【0021】
各像保持体18の周囲には、像保持体18を帯電するコロナ放電方式(非接触帯電方式)のスコロトロン帯電器20と、露光装置40によって像保持体18に形成された静電潜像を現像剤で現像する現像装置22と、転写後の像保持体18に残留する現像剤を除去する除去部材としてのブレード24と、転写後の像保持体18に光を照射して除電を行う除電装置26とが設けられている。
【0022】
スコロトロン帯電器20、現像装置22、ブレード24、除電装置26は、像保持体18の表面と対向して、像保持体18の回転方向上流側から下流側へ向けてこの順番で配置されている。
【0023】
現像装置22は、トナーを含んだ現像剤Gを収容する現像剤収容部材22Aと、現像剤収容部材22Aに収容された現像剤Gを像保持体18に供給する現像ロール22Bとを含んで構成されている。現像剤収容部材22Aは、トナーカートリッジ14(図1参照)とトナー供給路(図示省略)を通して接続されており、トナーカートリッジ14からトナーが供給されるようになっている。
【0024】
図1に示されるように、各画像形成ユニット16の下側には、転写装置32が設けられている。転写装置32は、各像保持体18と接触する環状の転写ベルト34と、各像保持体18に形成されたトナー画像を転写ベルト34に多重転写させる一次転写ロール36とを含んで構成されている。
【0025】
転写ベルト34は、図示しないモータで駆動される巻掛ロールの一例としての駆動ロール38と、転写ベルト34に張力を付与する張力付与ロール41と、後述する二次転写ロール62に対向する対向ロール42と、複数のロール44とに巻き掛けられており、駆動ロール38により、一方向(図1における反時計回り方向)に循環移動されるようになっている。
【0026】
各一次転写ロール36は、転写ベルト34を挟んでそれぞれの各画像形成ユニット16の像保持体18と対向配置されている。また、一次転写ロール36は、給電ユニット(図示省略)によって、トナー極性とは逆極性の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。この構成により、像保持体18に形成されたトナー画像が転写ベルト34に転写されるようになっている。
【0027】
駆動ロール38の付近には、後述のクリーニングブレード202、クリーニングブラシ204およびスクレーパ206を転写ベルト34に接触させて転写ベルト34上の残留トナーや紙粉等を除去することで、転写ベルト34の外周面(おもて面)を清掃する清掃装置46が設けられている。清掃装置46についての詳細は後述する。
【0028】
転写装置32の下方には、用紙等の記録媒体Pが収容される記録媒体収容部48が水平方向に沿って2個設けられている。
【0029】
各記録媒体収容部48は、第1筐体10Aから引き出し自在とされている。各記録媒体収容部48の一端側(図1における右側)の上方には、各記録媒体収容部48から記録媒体Pを搬送経路60へ送り出す送出ロール52が設けられている。
【0030】
各記録媒体収容部48内には、記録媒体Pが載せられる底板50が設けられている。この底板50は、記録媒体収容部48が第1筐体10Aから引き出されると、図示せぬ制御手段の指示によって下降するようになっている。底板50が下降することで、ユーザーが記録媒体Pを補充する空間が記録媒体収容部48に形成される。
【0031】
第1筐体10Aから引き出された記録媒体収容部48を第1筐体10Aに装着すると、底板50が、制御手段の指示によって上昇するようになっている。底板50が上昇することで、底板50に載せられた最上位の記録媒体Pと送出ロール52とが当るようになっている。
【0032】
送出ロール52の記録媒体搬送方向下流側(以下、単に「下流側」という場合がある)には、記録媒体収容部48から重なって送り出された記録媒体Pを1枚ずつに分離する分離ロール56が設けられている。分離ロール56の下流側には、記録媒体Pを搬送方向下流側に搬送する複数の搬送ロール54が設けられている。
【0033】
記録媒体収容部48と転写装置32との間に設けられる搬送経路60は、記録媒体収容部48から送り出された記録媒体Pを第1折返部60Aで図1における左側に折り返し、さらに、第2折返部60Bで図1における右側に折り返すように、二次転写ロール62と対向ロール42との間の転写位置Tへ延びている。
【0034】
二次転写ロール62は、給電部(図示省略)によって、トナー極性とは逆極性の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。この構成により転写ベルト34に多重転写された各色のトナー画像が、二次転写ロール62によって、搬送経路60に沿って搬送されてきた記録媒体Pに二次転写される構成となっている。
【0035】
搬送経路60の第2折返部60Bへ合流するように、第1筐体10Aの側面から延びる予備経路66が設けられている。第1筐体10Aに隣接して配置される別の記録媒体収容部(図示省略)から送り出された記録媒体Pが予備経路66を通って搬送経路60に入り込まれるようになっている。
【0036】
転写位置Tの下流側には、トナー画像が転写された記録媒体Pを第2筐体10Bに向けて搬送する複数の搬送ベルト70が第1筐体10Aに設けられ、搬送ベルト70に搬送された記録媒体Pを下流側に搬送する搬送ベルト80が第2筐体10Bに設けられている。
【0037】
複数の搬送ベルト70及び搬送ベルト80のそれぞれは、環状に形成されており、一対のロール72に巻き掛けられている。一対のロール72は、記録媒体Pの搬送方向上流側と下流側とにそれぞれ配置されており、一方が回転駆動することにより、搬送ベルト70(搬送ベルト80)を一方向(図1における時計回り方向)に循環移動させる。搬送ベルト70及び搬送ベルト80の内側には、記録媒体Pを吸引する吸引装置(図示省略)が備えられており、搬送ベルト70及び搬送ベルト80は記録媒体Pを表面に吸着させながら搬送するようになっている。
【0038】
搬送ベルト80の下流側には、記録媒体Pの表面に転写されたトナー画像を記録媒体Pに熱と圧力で定着させる定着ユニット82が設けられている。
【0039】
定着ユニット82は、定着ベルト84と、定着ベルト84に対して下側から接触するように配置された加圧ロール88と、を備えている。定着ベルト84と加圧ロール88との間には、記録媒体Pを加圧加熱してトナー画像を定着させる定着部Nが形成されている。
【0040】
定着ベルト84は、環状に形成されており、駆動ロール89及び従動ロール90に巻き掛けられている。駆動ロール89は、加圧ロール88に対して上側から対向しており、従動ロール90は、駆動ロール89よりも上側に配置されている。
【0041】
駆動ロール89及び従動ロール90は、それぞれに、ハロゲンヒータ等の加熱部が内蔵されている。これにより、定着ベルト84が加熱される。
【0042】
定着ユニット82の下流側には、定着ユニット82から送り出された記録媒体Pを下流側へ搬送する搬送ベルト108が設けられている。搬送ベルト108は、搬送ベルト70と同様に形成されている。
【0043】
搬送ベルト108の下流側には、定着ユニット82によって加熱された記録媒体Pを冷却する冷却ユニット110が設けられている。
【0044】
冷却ユニット110は、記録媒体Pの熱を吸収する吸収装置112と、記録媒体Pを吸収装置112に押し付ける押付装置114とを備えている。吸収装置112は、搬送経路60に対する一方側(図1における上側)に配置され、押付装置114は、他方側(図1における下側)に配置されている。
【0045】
吸収装置112は、記録媒体Pと接触し、記録媒体Pの熱を吸収する環状の吸収ベルト116を備えている。吸収ベルト116は、吸収ベルト116へ駆動力を伝達する駆動ロール120と、複数のロール118とに巻き掛けられている。
【0046】
吸収ベルト116の内周側には、吸収ベルト116と面状に接触して吸収ベルト116が吸収した熱を放熱させるアルミニウム材料で形成されたヒートシンク122が設けられている。
【0047】
さらに、ヒートシンク122から熱を奪い熱気を外部へ排出させるためのファン128が、第2筐体10Bの裏側(図1に示す紙面奥側)に配置されている。
【0048】
記録媒体Pを吸収装置112に押し付ける押付装置114は、記録媒体Pを吸収ベルト116へ押し付けながら記録媒体Pを搬送する環状の押付ベルト130を備えている。押付ベルト130は、複数のロール132に巻き掛けられている。
【0049】
冷却ユニット110の下流側には、記録媒体Pを挟んで搬送し、記録媒体Pの湾曲(カール)を矯正する矯正装置140が設けられている。
【0050】
矯正装置140の下流側には、記録媒体Pに定着されたトナー画像のトナー濃度欠陥、画像欠陥、画像位置欠陥、及び記録媒体Pの位置や形状等を検知するインラインセンサ200が設けられている。
【0051】
インラインセンサ200の下流側には、片面に画像が形成された記録媒体Pを第2筐体10Bの側面に取り付けられた排出部196に排出する排出ロール198が設けられている。
【0052】
一方、両面に画像を形成させる場合は、インラインセンサ200から送出された記録媒体Pは、インラインセンサ200の下流側に設けられた反転経路194に搬送されるようになっている。
【0053】
反転経路194には、搬送経路60から分岐する分岐パス194Aと、分岐パス194Aに沿って搬送される記録媒体Pを第1筐体10A側に向けて搬送する用紙搬送パス194Bと、用紙搬送パス194Bに沿って搬送される記録媒体Pを逆方向に向けて折返してスイッチバック搬送させて表裏を反転させる反転パス194Cが設けられている。
【0054】
この構成により、反転パス194Cでスイッチバック搬送された記録媒体Pは、第1筐体10Aに向けて搬送され、さらに、記録媒体収容部48の上方に設けられた搬送経路60に入り込み、転写位置Tへ再度送り込まれるようになっている。
【0055】
次に、画像形成装置10の画像形成工程について説明する。
【0056】
画像信号処理部13で画像処理が施された画像データが、各露光装置40に送られる。各露光装置40では、画像データに応じて各光ビームLを出射して、スコロトロン帯電器20によって帯電した各像保持体18に露光し、静電潜像が形成される。
【0057】
図2に示されるように、像保持体18に形成された静電潜像は、現像装置22によって現像され、第1特別色(V)、第2特別色(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像が形成される。
【0058】
図1に示されるように、各画像形成ユニット16V、16W、16Y、16M、16C、16Kの像保持体18に形成された各色のトナー画像は、6つの一次転写ロール36V、36W、36Y、36M、36C、36Kによって転写ベルト34に順次多重転写される。
【0059】
転写ベルト34に多重転写された各色のトナー画像は、二次転写ロール62によって、記録媒体収容部48から搬送されてきた記録媒体P上に二次転写される。トナー画像が転写された記録媒体Pは、搬送ベルト70によって第2筐体10Bの内部に設けられた定着ユニット82に向けて搬送される。
【0060】
記録媒体P上の各色のトナー画像が定着ユニット82により加熱・加圧されることで記録媒体Pに定着する。さらに、トナー画像が定着された記録媒体Pは、冷却ユニット110を通過して冷却された後、矯正装置140に送り込まれ、記録媒体Pに生じた湾曲が矯正される。
【0061】
湾曲が矯正された記録媒体Pは、インラインセンサ200によって画像欠陥等が検出された後、排出ロール198によって排出部196に排出される。
【0062】
一方、画像が形成されていない非画像面に画像を形成させる場合(両面印刷の場合)は、インラインセンサ200を通過後に、記録媒体Pが反転経路194で反転され、記録媒体収容部48の上方に設けられた搬送経路60に送り込まれて、前述した手順で裏面にトナー画像が形成される。
【0063】
なお、本実施形態に係る画像形成装置10では、第1特別色及び第2特別色の画像を形成するための部品(画像形成ユニット16V・16W、露光装置40V・40W、トナーカートリッジ14V・14W、一次転写ロール36V・36W)は、ユーザーの選択により、追加部品として第1筐体10Aに装着可能に構成されている。従って、画像形成装置10としては、第1特別色及び第2特別色の画像を形成するための部品を有さない構成、第1特別色及び第2特別色のうちいずれか1色の画像を形成するための部品を有する構成としてもよい。
【0064】
(清掃装置)
次に、清掃装置46について説明する。
【0065】
図3は、清掃装置46の構成を示している。図中の仮想線は転写位置T(図1参照)における記録媒体Pの搬送方向と平行な方向を示しており、転写ベルト34の一部分はこの搬送方向に対して角度θ0をなして移動されている。清掃装置46は、記録媒体Pの搬送方向に対して角度θ0をなして移動する範囲における転写ベルト34を清掃するものである。
【0066】
清掃装置46は、それぞれ転写ベルト34の外周面(おもて面)に接し外周面を清掃する第1清掃部材の一例としてのクリーニングブレード202と、第2清掃部材の一例としてのクリーニングブラシ204と、第3清掃部材の一例としてのスクレーパ206とを備えている。
【0067】
クリーニングブレード202は、例えばゴムや樹脂などの可撓性および弾性を有する材料から構成されており、一端側が転写ベルト34の外周面に接触しており、他端側が清掃装置46の本体ケース208に支持部材210を介して支持されている。クリーニングブレード202と対向する位置には、転写ベルト34を挟んで第1対向部材の一例としてのブレード対向ロール212が配置されている。ブレード対向ロール212は、転写ベルト34の内周面(裏面)に接触し、転写ベルト34の移動に伴って従動回転されている。
【0068】
クリーニングブラシ204は、芯材214に繊維質の毛材216が多数植え付けられて構成されており、本体ケース208に回転自在に支持され、駆動モータ(図示省略)により回転駆動されるようになっている。クリーニングブラシ204は毛材216の先端が転写ベルト34の外周面に接触するように配置されている。クリーニングブラシ204と対向する位置には、転写ベルト34を挟んで第2対向部材の一例としてのブラシ対向ロール218が配置されている。ブラシ対向ロール218は、転写ベルト34の内周面と接触し、転写ベルト34の移動に伴って従動回転されている。
【0069】
スクレーパ206は、例えばアルミニウムやステンレスなどの金属材から構成されており、転写ベルト34が巻き掛けられている巻掛ローラとしての駆動ロール38に対向する位置において転写ベルト34の外周面に接触している。スクレーパ206は、一端側で転写ベルト34の外周面に接触するように他端側において清掃装置46の本体ケース208に支持されている。
【0070】
これらクリーニングブレード202、クリーニングブラシ204およびスクレーパ206を備える清掃装置46では、先ず転写ベルト34の移動方向において最も上流側に配置されるクリーニングブラシ204によって、転写ベルト34に静電気力などで比較的弱い付着力で付着している残留トナーや紙粉等が掻き落とされる。次いで、転写ベルト34の移動方向においてクリーニングブラシ204の下流側に設けられるクリーニングブレード202によって、転写位置T(図1参照)における二次転写ロール62と対向ロール42との転写圧力により転写ベルト34に比較的強い付着力で付着している残留トナーや紙粉等が掻き落とされる。次いで、転写ベルト34の移動方向においてクリーニングブレード202の下流側に設けられるスクレーパ206によって、転写ベルト34の表層を薄く削り取ることで転写ベルト34に化学的に固着した残留トナーや紙粉等が除去される。
【0071】
なお、クリーニングブレード202およびクリーニングブラシ204によって掻き落とされた残留トナーや紙粉等は、クリーニングブレード202およびクリーニングブラシ204の下方に配置されるオーガ式の搬送装置220によって清掃装置46の外部へと搬送される。また、スクレーパ206によって削り取られた転写ベルト34の削り粉は、スクレーパ206の下方に設けられる収容部222に収容される。
【0072】
清掃装置46は、クリーニングブレード202およびクリーニングブラシ204による転写ベルト34の清掃を安定化させるための押圧部材の一例としての押圧ロール224を備えている。押圧ロール224は、ブレード対向ロール212とブラシ対向ロール218との間に配置され、転写ベルト34の外周面に接触し、ブレード対向ロール212とブラシ対向ロール218との間における転写ベルト34を外周面側から内周面側へと押圧している。なお、押圧ロール224は、本体ケース208に回転自在に支持され、転写ベルト34の移動に伴って従動回転される。
【0073】
押圧ロール224によってブレード対向ロール212とブラシ対向ロール218との間における転写ベルト34を外周面側から内周面側へと押圧することで、ブレード対向ロール212と転写ベルト34とが接触する領域の広さを示すラップ角θ1およびブラシ対向ロール218と転写ベルト34とが接触する領域の広さを示すラップ角θ2はそれぞれ、約40°となっている。
【0074】
転写ベルト34は、ブレード対向ロール212のラップ角θ1の範囲にわたっては振動することなく安定して移動する。従って、安定して移動する転写ベルト34にクリーニングブレード202を接触させることで、クリーニングブレード202による清掃の安定化が図られている。別言すると、転写ベルト34のブレード対向ロール212と接触しない領域においてクリーニングブレード202が接触すると、転写ベルト34(およびクリーニングブレード202)が振動してしまい清掃の安定化が図られないが、ラップ角θ1が比較的大きな約40°とされているので、転写ベルト34のブレード対向ロール212と接触しない領域においてクリーニングブレード202が接触する可能性が低くなっている。
【0075】
同様に、転写ベルト34は、ブラシ対向ロール218のラップ角θ2の範囲にわたっては振動することなく安定して移動する。従って、安定して移動する転写ベルト34にクリーニングブラシ204を接触させることで、クリーニングブラシ204による清掃の安定化が図られている。別言すると、転写ベルト34のブラシ対向ロール218と接触しない領域においてクリーニングブラシ204が接触すると、転写ベルト34(およびクリーニングブラシ204)が振動してしまい清掃の安定化が図られないが、ラップ角θ2が比較的大きな約40°とされているので、転写ベルト34のブラシ対向ロール218と接触しない領域においてクリーニングブラシ204が接触する可能性が低くなっている。
【0076】
なお、駆動ロール38には転写ベルト34が巻き掛けられているので、駆動ロール38と転写ベルト34とが接触する領域の広さを示すラップ角θ3は、約135°となっている。従って、転写ベルト34は、駆動ロール38のラップ角θ3にわたっては振動することなく安定して移動しており、スクレーパ206をこの安定移動域の転写ベルト34に接触させることで、スクレーパ206による清掃の安定化が図られている。
【0077】
図4は、清掃装置46に対する比較例としての清掃装置300を示している。清掃装置300は、清掃装置46に対して押圧ロール224を備えていない点で異なる。
【0078】
清掃装置300においては、押圧ロール224を備えない故、ブレード対向ロール212と転写ベルト34とが接触する領域を示すラップ角θ1およびブラシ対向ロール218と転写ベルト34とが接触する領域を示すラップ角θ2はそれぞれ、清掃装置46におけるラップ角θ1およびラップ角θ2に比べて小さい。従って、清掃装置300においては、クリーニングブレード202およびクリーニングブラシ204による清掃は清掃装置46に比べて不安定なものとなり易い。
【0079】
そこで、図5に示すように、例えばブレード対向ロール212を転写ベルト34の内周面側から外周面側に向けて押圧することで、ブレード対向ロール212におけるラップ角θ1を増加させることが考えられる。しかし、この場合、記録媒体Pの搬送方向と転写ベルト34の移動方向とがなす角度θ0が小さくなってしまう。角度θ0が小さくなると、転写位置T(図1参照)における転写ベルト34からの記録媒体Pの剥離性が低下することとなる。
【0080】
また、図示しないが、ブラシ対向ロール218におけるラップ角θ2を増加させるべく、ブラシ対向ロール218を転写ベルト34の内周面側から外周面側に向けて押圧すると、さらに角度θ0が小さくなってしまう。角度θ0がさらに小さくなると、転写位置Tにおける転写ベルト34からの記録媒体Pの剥離性がさらに低下することとなる。
【0081】
図3および図4を対比すると分かるように、清掃装置46にあっては、押圧ロール224によってブレード対向ロール212とブラシ対向ロール218との間における転写ベルト34を外周面側から内周面側へと押圧することで、記録媒体Pの搬送方向に対する転写ベルト34の移動方向である角度θ0を変化させることなく、ブレード対向ロール212と転写ベルト34とが接触する領域を示すラップ角θ1およびブラシ対向ロール218と転写ベルト34とが接触する領域を示すラップ角θ2が増加させられている。従って、清掃装置46では、転写位置Tにおける転写ベルト34からの記録媒体Pの剥離性を確保しつつクリーニングブレード202およびクリーニングブラシ204による転写ベルト34の清掃の安定化が図られている。
【0082】
また、清掃装置46にあっては、クリーニングブレード202の下流側であって、転写ベルト34が巻き掛けられる駆動ロール38に対向する位置にスクレーパ206が備えられている。即ち、転写ベルト34が巻き掛けられる駆動ロール38に対向する位置においてスクレーパ206が配置される構成では、その上流側に配置されるクリーニングブレード202およびクリーニングブラシ204は角度θ0をなして移動される転写ベルト34に沿って配置させなければならないという制約を受ける。そこで、清掃装置46にあっては、押圧ロール224を追加することで角度θ0を変化させることなくラップ角θ1およびラップ角θ2を増加させるように構成している。即ち、清掃装置46にあっては、転写ベルト34が巻き掛けられる駆動ロール38に対向する位置においてスクレーパ206が配置される構成であっても、転写位置Tにおける転写ベルト34からの記録媒体Pの剥離性を確保しつつクリーニングブレード202およびクリーニングブラシ204による転写ベルト34の清掃の安定化が図られている。
【0083】
また、清掃装置46では、クリーニングブラシ204、クリーニングブレード202およびスクレーパ206による3段階で転写ベルト34を清掃する構成とされている。それにより、転写ベルト34の清掃性能が高くなり、次の画像形成工程において転写ベルト34に残留する残留物に起因する画像欠陥が抑制され、結果として画質に優れた画像が形成可能となっている。
【0084】
なお、上記の清掃装置46では、第1清掃部材としてクリーニングブレード202、第2清掃部材としてクリーニングブラシ204、第3清掃部材としてスクレーパ206を採用したがその他の形式の清掃部材、例えばクリーニングウェブなどを採用してもよい。
【0085】
また、押圧部材として押圧ロール224を採用したが、転写ベルト34を押圧可能なものであればロール状のものに限られない。
【符号の説明】
【0086】
10 画像形成装置
16 画像形成ユニット
18 像保持体
22 現像装置
32 転写装置
34 転写ベルト
38 駆動ロール(巻掛ロールの一例)
40 露光装置
46 清掃装置
202 クリーニングブレード(第1清掃部材の一例)
204 クリーニングブラシ(第2清掃部材の一例)
206 スクレーパ(第3清掃部材の一例)
212 ブレード対向ロール(第1対向部材の一例)
218 ブラシ対向ロール(第2対向部材の一例)
224 押圧ロール(押圧部材の一例)
P 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体への転写位置における前記記録媒体の搬送方向に対して角度をなして移動される転写ベルトのおもて面に接し、前記おもて面を清掃する第1清掃部材と、
前記第1清掃部材に対向する位置において前記転写ベルトの裏面に接触する第1対向部材と、
前記転写ベルトの前記角度をなして移動される範囲であって前記第1清掃部材の前記転写ベルトの移動方向における上流側に配置され、前記転写ベルトのおもて面に接し、前記おもて面を清掃する第2清掃部材と、
前記第2清掃部材に対向する位置において前記転写ベルトの裏面に接触する第2対向部材と、
前記第1対向部材と前記第2対向部材との間に配置され、前記転写ベルトのおもて面に接触し、前記第1対向部材と前記第2対向部材との間における前記転写ベルトをおもて面側から裏面側へと押圧する押圧部材と、
を備える清掃装置。
【請求項2】
さらに、
前記第1清掃部材の前記ベルトの移動方向における下流側に配置され、前記転写ベルトが巻き掛けられる巻掛ロールに対向する位置において前記転写ベルトのおもて面に接触し、前記おもて面を清掃する第3清掃部材、
を備える請求項1に記載の清掃装置。
【請求項3】
静電潜像が形成される像保持体と、
前記像保持体に形成された静電潜像をトナーで現像する現像装置と、
前記現像装置によって現像されたトナー画像を前記転写ベルトを介して前記転写位置で記録媒体に転写する転写装置と、
前記転写ベルトを清掃する請求項1または請求項2に記載の清掃装置と、
を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−113994(P2013−113994A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259374(P2011−259374)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】