説明

清掃部材、帯電装置、転写装置、組立体、画像形成装置、清掃部材の製造方法

【課題】螺旋状に芯材に固定された発泡体で構成される清掃部材の清掃の性能を向上させることができる清掃部材、帯電装置、転写装置、組立体、画像形成装置、清掃部材の製造方法を得る。
【解決手段】帯電部材20の外周面に付着した外添剤等の異物は、従動回転する清掃部材64に備えられた複数条の発泡体72、80における端部72A、80Aが帯電部材20の外周面に押されて発泡体72、80の厚さ方向と、幅方向とに弾性変形(弾性圧縮)することで発泡体72、80に押圧されて凝集する。そして、凝集した外添剤等の異物は、従動回転する清掃部材64の発泡体72、80における端部72A、80Aが復元することで、この復元力より、密な状態からほぐされたり、帯電部材20の外周面からはじかれたりするこれにより、清掃部材64の清掃性能が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃部材、帯電装置、転写装置、組立体、画像形成装置、清掃部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、帯電部材の回転に伴って従動回転することで帯電部材の外周面を清掃するクリーニング装置(清掃部材)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−137208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、螺旋状に芯材に固定された発泡体で構成される清掃部材の清掃の性能を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る清掃部材は、芯材と、螺旋状に前記芯材に固定され、清掃の対象である被清掃部材と接触する複数条の発泡体と、を備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る清掃部材は、請求項1に記載の清掃部材において、前記芯材の長手方向と直交する前記発泡体の断面において、前記発泡体の幅方向で前記複数条の前記発泡体が繋がっていることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係る清掃部材は、請求項1又は2に記載の清掃部材において、前記発泡体の長手方向に切れ目が形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に係る清掃部材は、請求項1〜3の何れか1項に記載の清掃部材において、複数条の前記発泡体の少なくとも1条は、他の前記発泡体の材質と異なることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5に係る清掃部材は、請求項1〜4の何れか1項に記載の清掃部材において、前記芯材の長手方向と直交する前記発泡体の断面において、複数条の前記発泡体の少なくとも1条の幅方向の寸法は、他の前記発泡体の幅方向と異なることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項6に係る清掃部材は、請求項1〜5の何れか1項に記載の清掃部材において、前記芯材の長手方向と直交する発泡体の断面において、複数条の前記発泡体の少なくとも1条の厚さ方向の寸法は、他の前記発泡体の厚さ方向の寸法と異なることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項7に係る帯電装置は、像を保持する像保持体の表面を、回転しながら帯電する帯電部材と、複数条の発泡体が前記帯電部材の表面に接触して前記帯電部材を清掃する請求項1〜6の何れか1項に記載された清掃部材と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項8に係る転写装置は、像が転写される対象である被転写部材に、回転しながら像を転写する転写部材と、複数条の発泡体が前記転写部材の表面に接触して前記転写部材を清掃する請求項1〜6の何れか1項に記載された清掃部材と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項9に係る組立体は、像を保持する像保持体と、前記像保持体の表面を帯電する請求項7に記載の帯電装置と、を備え、本体に対して交換可能に組み付けられることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項10に係る画像形成装置は、請求項9に記載の組立体と、前記帯電装置により帯電された前記像保持体の表面を露光して静電潜像を形成する露光装置と、前記像保持体に形成された静電潜像を現像数現像装置と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項11に係る画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体の表面を帯電する請求項7に記載の帯電装置と、前記帯電装置によって帯電した前記像保持体の表面を露光して静電潜像を形成する露光装置と、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像する現像装置と、前記像保持体の表面に現像された像を、像が転写される対象である被転写部材に転写する転写装置と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項12に係る清掃部材の製造方法は、長手方向に切れ目が入れられた発泡体を芯材に対して巻きつけ、前記芯材に前記発泡体を螺旋状に固定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の清掃部材によれば、芯材に固定された発泡体が1条である場合と比して、螺旋状に芯材に固定された発泡体で構成される清掃部材の清掃の性能が向上する。
【0018】
請求項2の清掃部材によれば、芯材に固定された発泡体が1条である場合と比して、螺旋状に芯材に固定された発泡体で構成される清掃部材の清掃の性能が向上する。
【0019】
請求項3の清掃部材によれば、芯材に固定された発泡体が1条である場合と比して、螺旋状に芯材に固定された発泡体で構成される清掃部材の清掃の性能が向上する。
【0020】
請求項4の清掃部材によれば、複数条の発泡体の材質が全て同じである場合と比して、螺旋状に芯材に固定された発泡体で構成される清掃部材の清掃の性能が向上する。
【0021】
請求項5の清掃部材によれば、複数条の発泡体の幅方向の寸法が全て同じである場合と比して、螺旋状に芯材に固定された発泡体で構成される清掃部材の清掃の性能が向上する。
【0022】
請求項6に記載の清掃部材によれば、複数条の発泡体の厚さ方向の寸法が全て同じである場合と比して、螺旋状に芯材に固定された発泡体で構成される清掃部材の清掃の性能が向上する。
【0023】
請求項7に記載の帯電装置によれば、請求項1〜6の何れか1項に記載された清掃部材を備えない場合と比して、帯電部材に対する清掃部材の清掃の能力が向上する。
【0024】
請求項8に記載の転写装置によれば、請求項1〜6の何れか1項に記載された清掃部材を備えない場合と比して、転写部材に対する清掃部材の清掃の能力が向上する。
【0025】
請求項9に記載の組立体によれば、請求項7に記載の帯電装置を備えていない場合と比して、帯電部材に対する清掃部材の清掃の性能が向上する。
【0026】
請求項10に記載の画像形成装置によれば、請求項9の組立体を備えていない場合と比して、帯電部材に対する清掃部材の清掃の性能が向上する。
【0027】
請求項11に記載の画像形成装置によれば、請求項7に記載の帯電装置を備えていない場合と比して、帯電部材に対する清掃の性能が向上する。
【0028】
請求項12に記載の清掃部材の製造方法によれば、独立した複数条の発泡体を芯材に巻きつける場合と比して、生産コストが安価な清掃部材を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態に係る清掃部材等を示した正面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る清掃部材、帯電装置及び交換カートリッジを示した正面図である。
【図3】(A)(B)(C)(D)本発明の第1実施形態に係る清掃部材等を示した側面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る清掃部材を示した斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置を示した概略構成図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る清掃部材を示した断面図である。
【図7】(A)(B)本発明の第2実施形態に係る清掃部材を示した断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る清掃部材等を示した正面図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る清掃部材等を示した正面図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係る清掃部材等を示した正面図である。
【図11】本発明の第5実施形態に係る清掃部材及び転写ベルト等を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の第1実施形態に係る清掃部材、清掃装置、組立体及び画像形成装置の一例を図1〜図6に従って説明する。なお図中に示す矢印UPは鉛直方向上方を示す。
【0031】
(全体構成)
図5に示されるように、画像形成装置10の本体10Aの内部には、入力される画像データに対して画像処理を行なう画像処理部12が設けられている。
【0032】
この画像処理部12は、入力された画像データをイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の階調データに処理するようになっており、この処理された階調データを受け取って、レーザ光LBによる画像露光を行う露光装置14が本体10A内の中央に設けられている。
【0033】
また、露光装置14の上方には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4つの画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kが、水平方向に間隔をおいて配置されている。なお、Y,M,C,Kを区別して説明する必要が無い場合は、Y,M,C,Kを省略して記載することがある。
【0034】
これらの4つの画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kは、すべて同様に構成されており、予め決められた速度で回転駆動される円柱状の像保持体18と、この像保持体18の外周面を帯電する一次帯電用の帯電部材20と、前述した露光装置14の画像露光によって帯電した像保持体18の外周面に形成された静電潜像を、予め決められた色のトナーで現像してトナー画像として可視化する現像部材22と、像保持体18の外周面を清掃する清掃ブレード24とを含んで構成されている。また、帯電部材20の下側には、円柱状の帯電部材20と接して帯電部材20の外周面を清掃する清掃部材64が設けられている。
【0035】
そして、画像形成ユニット16を構成する被清掃部材の一例としての帯電部材20及び清掃部材64により、帯電装置68が構成されており、像保持体18、帯電部材20及び清掃部材64により、組立体の一例としての交換カートリッジ66(図2参照)が構成されており、この交換カートリッジ66は、夫々本体10Aに対して交換可能とされている。なお、清掃部材64については詳細を後述する。
【0036】
また、露光装置14には、4つの画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kに共通に構成された、図示しない4つの半導体レーザが設けられており、これらの半導体レーザからレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kが階調データに応じて出射されるようになっている。
【0037】
なお、半導体レーザから出射されたレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、図示しないf−θレンズを介して回転多面鏡であるポリゴンミラー26に照射され、このポリゴンミラー26によって偏向走査されるようになっている。そして、このポリゴンミラー26によって偏向走査されたレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、図示しない結像レンズ及び複数枚のミラーを介して、像保持体18上の露光ポイントに、斜め下方から走査露光されるようになっている。
【0038】
また、この露光装置14は、下方から像保持体18上に画像を走査露光するものであるため、この露光装置14には、上方に位置する4つの画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kの現像部材22等からトナー等が落下する虞が有る。そのため、露光装置14は、その周囲が直方体状のフレーム28によって密閉されている。そして、フレーム28の上部には、4本のレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kを、各画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kの像保持体18上に向けて透過させる透明なガラス製のウインドウ30Y、30M、30C、30Kが設けられている。
【0039】
一方、各画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kの上方には、一次転写ユニット21が設けられている。そして、この一次転写ユニット21は、無端状の中間転写ベルト32と、中間転写ベルト32が巻き掛けられ、回転駆動して中間転写ベルト32を矢印方向に周回させる駆動ロール40と、中間転写ベルト32が巻き掛けられ、中間転写ベルト32に張力を付与する張力付与ロール36と、中間転写ベルト32の外周面を清掃する清掃ブレード38と、中間転写ベルト32を挟んで像保持体18Y、18M、18C、18Kの反対側に配置される一次転写ロール34Y、34M、34C、34Kと、を含んで構成されている。
【0040】
そして、この4つの一次転写ロール34Y、34M、34C、34Kによって、画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kの像保持体18上に順次形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像が、中間転写ベルト32上に、多重に転写される構成となっている。
【0041】
また、中間転写ベルト32を挟んで駆動ロール40の反対側には、二次転写ロール42が設けられている。中間転写ベルト32上に多重に転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像は、中間転写ベルト32により搬送され、駆動ロール40と二次転写ロール42に挟まれ、用紙搬送経路56に沿って搬送される記録媒体としてのシート部材Pに二次転写されるようになっている。
【0042】
さらに、二次転写ロール42に対してシート部材Pの搬送方向下流側(以下単に下流側と言う)には、シート部材Pに転写されたトナー画像を熱及び圧力によりシート部材Pに定着する定着装置44が設けられている。
【0043】
また、定着装置44の下流側には、トナー画像が定着したシート部材Pを画像形成装置10の本体10Aの上部に設けられた排出部48に排出する排出ロール46が設けられている。
【0044】
一方、画像形成装置10の本体10A内の下側には、シート部材Pが積載される給紙部材50が設けられている。さらに、この給紙部材50に積載されたシート部材Pを用紙搬送経路56へ送り出す給紙ロール52が設けられ、給紙ロール52の下流側には、シート部材Pを1枚ずつ分離して搬送る分離ロール54が設けられている。また、分離ロール54の下流側には、搬送タイミングを合わせる位置合せロール58が設けられている。これにより、給紙部材50から供給されたシート部材Pは、予め決められたタイミングで回転する位置合せロール58によって中間転写ベルト32と二次転写ロール42とが接する位置(二次転写位置)へ送り出される構成となっている。
【0045】
さらに、排出ロール46の隣りには、定着装置44によって片面に画像が定着されたシート部材Pを、排出ロール46によって排出部48上にそのまま排出せずに、両面用搬送経路62に搬送する搬送ロール60が設けられている。これにより、両面用搬送経路62に沿って搬送されるシート部材Pは、 表裏が反転された状態で、位置合せロール58へと再度搬送され、今度は、シート部材Pの裏面にトナー画像が転写・定着されて排出部48上に排出されるようになっている。
【0046】
この構成により、以下のようにシート部材Pに画像が形成される。
【0047】
先ず、画像処理部12から露光装置14に各色の階調データが順次出力され、この露光装置14から階調データに応じて出射されたレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、帯電部材20によって帯電した像保持体18の外周面に走査露光され、像保持体18の外周面に静電潜像が形成される。像保持体18上に形成された静電潜像は、現像部材22Y、22M、22C、22Kによって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像として可視化される。
【0048】
さらに、各画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kの上方に渡って配置された一次転写ユニット21の一次転写ロール34によって、像保持体18上に形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像が、周回する中間転写ベルト32上に多重に転写される。
【0049】
また、周回する中間転写ベルト32上に多重に転写された各色のトナー画像は、二次転写ロール42により、給紙部材50から給紙ロール52、分離ロール54、位置合せロール58によって用紙搬送経路56に予め決められたタイミングで搬送されたシート部材Pに二次転写される。
【0050】
さらに、トナー画像が転写されたシート部材Pは、定着装置44へと搬送される。シート部材Pに転写されたトナー画像は、定着装置44によってシート部材Pに定着され、定着された後、画像形成装置10の本体10Aの上部に設けられた排出部48に排出ロール46によって排出される。
【0051】
さらに、シート部材Pの両面に画像を形成させる場合は、定着装置44によって片面に画像が定着されたシート部材Pを、排出ロール46によって排出部48上にそのまま排出せずに、搬送方向を切り替え、搬送ロール60を介して両面用搬送経路62へと搬送する。そして、両面用搬送経路62に沿ってシート部材Pを搬送することで、シート部材Pの表裏が反転され、シート部材Pが再度位置合せロール58へと搬送される。今度は、シート部材Pの裏面にトナー画像が転写・定着され、転写・定着された後、排出部48上に排出ロール46によって排出される。
【0052】
(要部構成)
次ぎに、円柱状の帯電部材20の外周面を清掃する清掃部材64について説明する。
【0053】
図1、図2に示されるように、帯電部材20に対向して、帯電部材20の軸方向(以下単に、軸方向と言う)に延びる清掃部材64が設けられている。そして、清掃部材64は、軸方向に延びる円柱状の芯材70と、芯材70に螺旋状に配置された複数条(本実施形態では一例として二条)の発泡体72、80とを備えている。本実施形態では、発泡体72、80は、一例として弾性変形可能なウレタン樹脂の発泡材により形成されており、両面テープ(図示省略)を用いることで、芯材70の外周面に固定されるようになっている。
【0054】
さらに、図1、図4に示されるように、発泡体72の両方の端部には、芯材70との間で発泡体72の端部を挟んで、発泡体72の端部が芯材70から剥離するのを防ぐ筒状の保持材78が設けられている。
【0055】
また、清掃部材64の両方の端部は、清掃部材64の両方の端部に設けられた保持材78の外側から軸受部材74により回転自在に支持されており、軸受部材74は、発泡体72、80が帯電部材20の外周面に予め決められた量圧縮された状態で清掃部材64を支持している。この構成により、発泡体72と帯電部材20との間に報じる摩擦力によって、帯電部材20の回転に伴い清掃部材64が従動回転するようになっている。
【0056】
さらに、図1、図3(A)に示されるように、二条の発泡体72、80の長手方向に直交する断面は、同一形状とされており、発泡体72、80の両方の端部72A、80Aは、中央部よりも芯材70の径方向(以下単に、径方向と言う)に突出している(反り立っている)。そして、発泡体72と発泡体80との材質は異なっており、例えば、硬度、発泡倍率、圧縮反発力等の物性値が異なる値となっている。
【0057】
図6に示されるように、外力が作用しない状態である自由状態の発泡体72の長手方向に直交する断面において、発泡体72の両方の端部72Aは、中央部よりも芯材70の径方向(以下単に、径方向と言う)に突出し、長手方向に直交する断面の両辺72Bが、端部72が近接する方向に反り立っている。
【0058】
(作用)
図5に示されるように、回転する像保持体18の外周面に形成されたトナー画像は、周回する中間転写ベルト32に転写される。さらに、中間転写ベルト32に転写されずに像保持体18の外周面に残留したトナー等の異物は、清掃ブレード24によって像保持体18の外周面から除去される。
【0059】
ここで、現像剤に含まれる粒子径が小さい外添剤等の異物は、清掃ブレード24をすり抜ける。そして、清掃ブレード24をすり抜けた外添剤等の異物は、帯電部材20の外周面に付着する。
【0060】
図3(A)(B)(C)に示されるように、矢印方向に回転する帯電部材20の外周面に付着した外添剤等の異物は、従動回転する清掃部材64の発泡体72における端部72Aが帯電部材20の外周面に押されて発泡体72の厚さ方向(図3(A)に示すG方向)と、幅方向(図3(A)に示すH方向)とに弾性変形(弾性圧縮)することで発泡体72に押圧されて凝集する。そして、図3(D)に示されるように、従動回転する清掃部材64の発泡体72における端部72Aが、帯電部材20との接触から解放されることで弾性変形が復元し、この復元力より、凝集した外添剤等の異物は密な状態からほぐされたり、帯電部材20の外周面からはじかれたりする。
【0061】
さらに、清掃部材64が従動回転すると、発泡体72と同様に、発泡体80が弾性変形して復元することで、この復元力より、凝集した外添剤等の異物が密な状態からほぐされたり、帯電部材20の外周面からはじかれたりする。
【0062】
なお、図3の図面においては、発泡体72の径方向の変形が容易に理解されるように、発泡体72の径方向の寸法を誇張して記載している。
【0063】
以上説明したように、発泡体72、80の端部72A、80Aを中央部よりも突出した形状として、端部72A、80Aを発泡体72、80の厚さ方向と、幅方向とに弾性変形(弾性圧縮)させることで、厚さ方向だけに弾性変形させる場合と比して、端部72A、80Aの復元力を効果的に利用して、帯電部材20に付着した異物が帯電部材20の外周面からはじかれる(除去される)。これにより、清掃部材64の清掃性能が向上する。
【0064】
ここで、発泡体72,80は芯材70に螺旋状に配置されているため、幅方向の変形が復元されることで、帯電部材20に付着した異物が軸方向への分力も作用する。
【0065】
そして、除去された異物の一部は発泡体の内部に溜められ、また一部は落下して清掃部材100の重力方向下方に設けられた異物溜り(図示省略)に捕捉される。さらに、密な状態からほぐされたままたい帯電部材20の表面に存在する異物は、像保持体18に移動して像保持体クリーニング装置(図示省略)に回収される場合もある。
【0066】
また、複数条(本実施形態では二条)の発泡体72、80を用いることで、一条の場合と比して、清掃部材64の清掃性能が向上する。
【0067】
また、前述したように、発泡体72と発泡体80との材質が異なるため、発泡体72と発泡体80との物性値が異なる。このため、清掃対象(帯電部材20に付着した異物)又は清掃環境が異なる場合でも、物性値が同一の場合と比して、清掃部材64が、効率良く清掃対象を帯電部材20の外表面から除去する。例えば、清掃対象をトナーと現像剤に含まれる外添剤とした場合に、それぞれの清掃対象に合わせて材質が選定される。
【0068】
また、清掃部材64が帯電部材20の外周面に付着した外添剤等の異物をはじくこと(除去すること)で、像保持体18の帯電不良が抑制される。このため、像保持体18に形成されるトナー画像の品質が向上する。
【0069】
また、像保持体18に形成されるトナー画像の品質が向上することで、シート部材Pに形成される出力画像の品質が向上する。
【0070】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、発泡体72、80の両方の端部72A、80Aを中央部よりも突出させたが、特に両方に限定されることなく、どちらか一方の発泡体におけるどちらか一方の端部であってもよい。なお、一方の端部の場合には、清掃部材が従動回転する際に、最初に帯電部材と当る方の発泡体の端部を突出させる方が、効果的に外添剤等の異物が帯電部材からはじかれる(除去される)。
【0071】
また、上記実施形態では、二条の発泡体72、80を例にとって説明したが、特にこれに限定されることなく、三条以上であってもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、発泡体72、80の材料として、弾性変形可能なウレタン樹脂の発泡体を採用したが、特にこれに限定されることなく、ゴム材料の発泡材等の他の材料を採用してもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、像保持体18、帯電部材20及び清掃部材64により、交換カートリッジ66が構成されたが、現像部材等の他の部材が、交換カートリッジ66の構成部品として追加されてもよい。
【0074】
次ぎに、本発明の第2実施形態に係る清掃部材の一例を図7、図8に従って説明する。なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0075】
図8に示されるように、第2実施形態の清掃部材100の芯材102に螺旋状に配置される二条の発泡体104,106の幅方向の寸法は異なっている。
【0076】
詳細には、発泡体104の幅方向の寸法を寸法Aとし、発泡体106の幅方向の寸法を寸法Bとすると、寸法Bが寸法Aより大きくなっている。
【0077】
このように、二条の発泡体104,106の幅方向の寸法を異ならせることで、幅方向の寸法が同一の場合と比して、清掃対象(帯電部材20に付着した異物)又は清掃環境が異なる場合でも、清掃部材100が、効率良く清掃対象を帯電部材20の外表面から除去する。
【0078】
ここで、発泡体104は芯材102に螺旋状に巻き付けられることで構成される。図7(A)に示されるように、第2実施形態の清掃部材100の芯材102に螺旋状に巻き付けられる発泡体104の長手方向に直交する断面は、芯材に巻き付け付けられる前の自由状態で、矩形状とされている。
【0079】
そして、この発泡体104を芯材102に螺旋状に巻きつけて、発泡体104の底部104Cを芯材102の外周面に固定すると、底部104Cと中央部104Bとで、芯材102の軸心からの距離が異なることにより、中央部104Bが長手方向に引っ張られた状態となる。そして、本実施の形態においては、芯材102の半径、発泡体104の厚さや硬度等を最適化することにより、芯材102に巻きつけた後の発泡体104の断面が次のような状態となるように構成している。
【0080】
すなわち、図7(B)の実線で示されるように、発泡体104が芯材102に巻き付けられた状態で、長手方向に直交する発泡体102の断面における端部104Aが、巻き付けられる前の発泡体104(図7(A)に示す2点鎖線)の両方の端部104Aより径方向に突出している。さらに、発泡体104が芯材102に螺旋状に巻き付けられた状態で、長手方向に直交する発泡体104の断面における中央部104Bは、巻き付けられる前の発泡体104の中央部104Bより凹んでいる。なお、発泡体104を、その長手方向に適度な張力が付与された状態で芯材に巻き付けることにより、端部104Aの突出量、中央部104Bの凹み量、端部104A間の距離等を調整することができる。
【0081】
本実施例においては、径がφ4mmの芯材を用いて、自由状態時の厚さ及び幅が夫々2.5mm、6mmである発泡ウレタンを、芯材の軸心に対して25°で巻き付けて、底面102Cを両面テープで芯材に接着することにより、端部104Aの高さが約3mm、中央部102Bの高さが約2mmとなるように構成している。
【0082】
以上説明したように、発泡体104の両方の端部104Aを自由状態の形状よりも径方向に突出させ、中央部104Bを自由状態の形状よりも凹ませることで、変形による内部応力が発生し、端部104Aが圧縮された後に圧縮状態が解放された際の復元力が強くなる。このため、清掃部材100が帯電部材20の外周面に付着した外添剤等の異物が、密な状態からほぐされたり、帯電部材20の外周面からはじかれたりする。
【0083】
これは次のメカニズムが推定される。図7(B)の状態において、芯剤102に巻き付けられた発泡体104の端部104Aには、中央部104Bに向かうa方向の応力が作用している。そして、帯電部材20の回転に伴って清掃部材100が回転し、発泡体104の端部104Aが帯電部材20の外周面に接触して押されることで、a方向と逆側の方向に変形(伸張)する。そして、端部104Aが帯電部材20との接触から解放される際に、a方向に急激に復元される。そしてこの復元力により、凝集した外添剤等の異物は密な状態からほぐされたり、帯電部材20の外周面からはじかれたりするので、内部応力が存在しない場合に比べて効果的に清掃することができると考えられる。
【0084】
そして、発泡体104は芯材102に螺旋状に配置されているため、変形が復元されることで、帯電部材20に付着した異物には軸方向への分力も作用する。
【0085】
上記実施形態では、発泡体104の断面における両方の端部104Aを中央部104Bに比べて径方向に突出させたが、一方の端部のみを突出させてもよい。
【0086】
なお、一方の場合には、清掃部材が従動回転する際に、最初に帯電部材と当る方の発泡体の端部を突出させる方が、効果的に外添剤等の異物が帯電部材からはじかれる(除去される)。一方の端部104Aのみを径方向に突出させるには、発泡体104を芯材に接着する範囲、張力を付与する部分や方向等を調整することで実現できる。
また、上記実施形態では、発泡体104の材料として、弾性変形可能なウレタン樹脂の発泡体、すなわち発泡ウレタンを採用したが、特にこれに限定されることなく、他の材料を採用してもよい。ただし、端部104Aを突出させるには、内部応力によって変形すること必要であることから、比較的柔らかい素材が好ましく、発泡ウレタンであれば端部を突出させ易い。
本実施例においては、発泡体104について説明したが、発泡体106についても発泡体104と同様に構成してもよいし、二条の発泡体のうちの一方を第1の実施形態のように構成してもよい。
【0087】
次ぎに、本発明の第3実施形態に係る清掃部材の一例を図9に従って説明する。なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0088】
図9に示されるように、第3実施形態の清掃部材110の芯材112に螺旋状に配置させる二条の発泡体114,116の厚さ方向の寸法は異なっている。
【0089】
詳細には、帯電部材20と接触しない部分の発泡体114の厚さ方向の寸法を寸法Cとし、発泡体116の厚さ方向の寸法を寸法Dとすると、寸法Dが寸法Cより大きくなっている。
【0090】
このように、二条の発泡体114,116の厚さ方向の寸法を異ならせることで、厚さ方向の寸法が同一の場合と比して、清掃対象(帯電部材20に付着した異物)又は清掃環境が異なる場合でも、清掃部材110が、効率良く清掃対象を帯電部材20の外表面から除去する。
【0091】
次ぎに、本発明の第4実施形態に係る清掃部材の一例を図10に従って説明する。なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0092】
図10に示されるように、第4実施形態の清掃部材120の芯材122に螺旋状に巻き付けられる三条の発泡体124,126、128が設けられている。
【0093】
そして、発泡体124,126、128の巻き掛け部分(芯材122に貼り付けられる基端部分)129は、幅方向で繋がっている。
【0094】
このような構成とすることで、一枚のシート材にスリット(切れ目)を入れることで発泡体124,126、128が形成され、このスリットを設けた発泡体を芯材122に巻きつけることで、発泡体124,126、128のそれぞれの端部が径方向に突出する。
このように一枚のシートを巻きつけることで多数の端部を突出させることができるので、独立した発泡体を巻き付ける場合に比べて生産コストが安価となる。
【0095】
次ぎに、本発明の第5実施形態に係る清掃部材の一例を図11に従って説明する。なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0096】
図11に示されるように、第5実施形態の清掃部材130の芯材132の外周面には、螺旋状に巻き付けられた二条の発泡体134、136が、清掃ブレード38に代えて、又は加えて設けられており、中間転写ベルト32の周回に伴って清掃部材130が従動回転するようになっている。そして、清掃部材120と、中間転写ベルト32とで、転写装置138が構成されている。
【0097】
これにより、中間転写ベルト32の外周面に付着したトナー及び外添剤等の異物が中間転写ベルト32の外周面からはじかれる(除去される)。
【0098】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、中間転写ベルト32の清掃に清掃部材130を用いたが、特に中間転写ベルト32に限定されるものではなく、中間転写ロール、転写ベルト、転写ロール、像保持体等の清掃に清掃部材を用いてもよい。
【符号の説明】
【0099】
10 画像形成装置
14 露光装置(露光部材)
18 像保持体
20 帯電部材(被清掃部材の一例)
22 現像部材
32 中間転写ベルト(転写部材、被清掃部材の一例)
64 清掃部材
66 交換カートリッジ
68 帯電装置
70 芯材
72 発泡体
72A 端部
80 発泡体
80A 端部
100 清掃部材
102 芯材
104 発泡体
108 発泡体
110 清掃部材
112 芯材
114 発泡体
116 発泡体
118 発泡体
120 清掃部材
122 芯材
124 発泡体
126 発泡体
128 発泡体
129 巻き掛け部分
130 清掃部材
132 芯材
134 発泡体
136 発泡体
138 転写装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯材と、
螺旋状に前記芯材に固定され、清掃の対象である被清掃部材と接触する複数条の発泡体と、
を備えた清掃部材。
【請求項2】
前記芯材の長手方向と直交する前記発泡体の断面において、前記発泡体の幅方向で前記複数条の前記発泡体が繋がっている請求項1に記載の清掃部材。
【請求項3】
前記発泡体の長手方向に切れ目が形成されている請求項1又は2に記載の清掃部材。
【請求項4】
複数条の前記発泡体の少なくとも1条は、他の前記発泡体の材質と異なる請求項1〜3の何れか1項に記載の清掃部材。
【請求項5】
前記芯材の長手方向と直交する前記発泡体の断面において、複数条の前記発泡体の少なくとも1条の幅方向の寸法は、他の前記発泡体の幅方向と異なる請求項1〜4の何れか1項に記載の清掃部材。
【請求項6】
前記芯材の長手方向と直交する発泡体の断面において、複数条の前記発泡体の少なくとも1条の厚さ方向の寸法は、他の前記発泡体の厚さ方向の寸法と異なる請求項1〜5の何れか1項に記載の清掃部材。
【請求項7】
像を保持する像保持体の表面を、回転しながら帯電する帯電部材と、
複数条の発泡体が前記帯電部材の表面に接触して前記帯電部材を清掃する請求項1〜6の何れか1項に記載された清掃部材と、
を備えた帯電装置。
【請求項8】
像が転写される対象である被転写部材に、回転しながら像を転写する転写部材と、
複数条の発泡体が前記転写部材の表面に接触して前記転写部材を清掃する請求項1〜6の何れか1項に記載された清掃部材と、
を備えた転写装置。
【請求項9】
像を保持する像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する請求項7に記載の帯電装置と、
を備え、本体に対して交換可能に組み付けられる組立体。
【請求項10】
請求項9に記載の組立体と、
前記帯電装置により帯電された前記像保持体の表面を露光して静電潜像を形成する露光装置と、
前記像保持体に形成された静電潜像を現像数現像装置と、
を備えた画像形成装置。
【請求項11】
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する請求項7に記載の帯電装置と、
前記帯電装置によって帯電した前記像保持体の表面を露光して静電潜像を形成する露光装置と、
前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像する現像装置と、
前記像保持体の表面に現像された像を、像が転写される対象である被転写部材に転写する転写装置と、
を備えた画像形成装置。
【請求項12】
長手方向に切れ目が入れられた発泡体を芯材に対して巻きつけ、前記芯材に前記発泡体を螺旋状に固定することを特徴とする清掃部材の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2013−65050(P2013−65050A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−284459(P2012−284459)
【出願日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【分割の表示】特願2010−5267(P2010−5267)の分割
【原出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】