説明

清浄機能を有するコンベヤローラ

本発明はコンベヤローラを有するベルトコンベヤに関し、このコンベヤローラはドラム外殻、流体接続部、およびコンベヤローラをコンベヤフレームに固定する少なくとも1つの第1の固定部材を有し、ドラム外殻には第1の固定部材の周りに回転自在に支持された外管があり、外管にはその外周面に複数の流体排出口があり、流体接続部はそれら流体排出口と連通している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンベヤローラとベルトコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
コンベヤ装置には様々なものが存在するが、コンベヤローラや、コンベヤローラに支持されたコンベヤベルトで物品が搬送される。一部では、前記のコンベヤローラが駆動される。
【0003】
また、上記のコンベヤ装置は、例えば食品産業など、衛生に関して厳しい要件を満たさなければならない産業部門でも使用される。コンベヤ装置の部品を洗浄する必要があり、場合によってはシフトごとに洗浄しなければいけない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が取り組む課題は、コンベヤ装置が確実に作動し、且つコンベヤ装置の部品が簡単に洗浄できるコンベヤローラおよびベルトコンベヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
独立請求項に記載の装置によってこの課題を解決する。好適な実施形態は従属請求項に開示する。
【0006】
本発明の一態様はコンベヤローラに関するが、このコンベヤローラにはドラム外殻、流体接続部、およびコンベヤローラをコンベヤフレームに固定する少なくとも1つの第1の固定部材が含まれる。ドラム外殻には、第1の固定部材の周りに回転自在に支持された外管があり、外管にはその外周面に複数の流体排出口があり、流体接続部は流体排出口と通じている。前記のコンベヤローラは、流体排出口を介して洗浄液を外側に噴出できるという利点があり、またそのため、コンベヤローラの周りを走行するベルトまたはコンベヤローラを通過して走行するベルトで、望ましくはリンクチェーンとして構成されたベルトおよび/またはコンベヤローラを清浄できるという利点がある。
【0007】
また、このコンベアローラの好適な一実施例では、外管と、少なくとも一部において外管内に配置される内管との間に流路空間が形成される。本実施例では、液体を通さない領域が内管の中に作られる。このような内部構成によって、液体に接触させてはいけないコンベヤローラの部材を収容することができる。
【0008】
更なる好適な一実施例は、外管と内管がドラム外殻の構成部材となっているコンベアローラに関する。外管と内管の間で相対運動が生じないため、この設計では外管と内管が簡単に密封できるという利点がある。このようなドラム外殻は製造が容易であり、ドラム外殻の外周面にある流体排出口の全てに洗浄液を均等に供給することができる。
【0009】
上記のコンベヤローラは、内管の内部が流路領域から流体密封式に分離されている構成であることが望ましい。この構成には、洗浄液に接触させてはいけないコンベヤローラの部材を内管の内部に収容できるという利点もある。
【0010】
また、ドラム外殻の中に配置される駆動装置を有するコンベヤローラが望ましいが、その駆動装置は、ドラム外殻が第1の固定部材の周りを回転自在に駆動できるように、第1の固定部材に回転固定式に接続され、ドラム外殻に接続されることが望ましい。このよう
なコンベヤローラは、ベルトコンベヤにおいて本発明のコンベヤローラを、変向ローラまたは支持ローラの領域だけでなく駆動ローラとしても設けることができるという利点がある。これには、本発明のコンベヤローラを両変曲点に設けることができるという利点がある。これらの領域ではベルトがコンベヤローラの周りに巻き付く角度が大きく、巻付角度が大きいとベルトに洗浄液を噴出して洗浄できる領域が大きくなるため、これらの領域においてベルトを特に効率的に洗浄することができる。これは特に、ベルトがリンクチェーンとして構成された場合やベルトがリンクを有する場合に該当する。この場合、変曲域において隣り合うリンクが互いに対して相対的に軸回転することになり、この軸回転は個々のリンク間の接合部が更に効果的に洗浄できることを意味する。
【0011】
また更なる好適な一実施例は、駆動装置に電力を供給する電気ケーブル用のケーブル貫通部を第1の固定部材に有するコンベアローラに関する。このような実施例は、必要な接続部の全部または少なくとも一部をコンベヤローラの片側に配置できるという利点がある。
【0012】
また、第1の固定部材および/または第2の固定部材に流体接続部を設けたコンベヤローラの構成が望ましい。このような構成は、固定部材の直径を減らせるという利点があり、この場合コンベヤローラの直径を全体的に小さくできる。
【0013】
更に上記のコンベヤローラは、互いに分離された2つの流体接続部を持って構成することが望ましい。2つの流体接続部が設けられた場合、流体処理量が多くなる一方で最適な動的圧力分布を得ることが可能であり、これによって、管の全長に渡って均等な噴流を形成することが可能になる。また、異なる洗浄液を使用できるようになる。よって、一方の接続部を通して例えば水、または洗浄剤を混合した水を送り込み、他方の接続部を通して殺菌剤を送り込むことが可能になる。また、一方の接続部を通して水のみを送り込み、他方の接続部を通して洗浄剤を送り込むことも考えられる。更なる好適な一実施例では、接続部に逆止め弁が設けられており、例えば一方の接続部を通して送り込まれた殺菌剤が他方の接続部を通して供給される水の中に逆流することがない。逆止め弁を使用した構成では、一方の接続部を介して洗浄液を供給し、洗浄が行われたら洗浄液の流出を止め、他方の接続部を介して圧縮空気を噴き込むことが可能であり、この場合ベルトとコンベヤローラが乾かされる。
【0014】
また、コンベヤローラによって支持されるベルト用の軸受位置を有するスペーサ部材をドラム外殻の外周に設け、その結果軸受位置によって定められる包絡面が、外管の外面からある距離を置いて延びるといった、コンベアローラの一実施例が望ましい。このようなスペーサ部材には、ベルトがコンベヤローラの周りで、ある所定の距離をおいて回転するという利点があり、結果としてその巻き付き領域においてベルトに洗浄液を噴出することも可能になる。
【0015】
更なる好適な一実施例は、スペーサ部材が、歯が歯車から外側に伸びる歯車型円盤として設計されているコンベアローラに関する。このように構成された円盤は、ベルト(望ましくはリンクチェーンとして構成されたベルト)がリニア軸受部または点状軸受部のみを介してコンベヤローラに接触するという利点があり、ベルトまたはリンクチェーンを軸受部間で効率良く洗浄することができる。
【0016】
本発明の更なる一態様はベルトコンベヤに関するが、このベルトコンベヤは前記請求項の1つで主張したコンベヤローラを有し、そのコンベヤローラによって支持されたベルトを有する。このようなベルトは、例えばゴムで覆われた表面またはその他の表面処理によって簡単に洗浄できる表面を有する布ベルトで構成され得る。その他のベルトも可能であり、例えばリンクチェーンまたはリンクチェーンと布ベルトの組み合わせなどが挙げられ
る。例えばIntraloxなど、市販のモジュール式プラスチックチェーンで構成されるベルトが望ましい。
【0017】
上記のベルトコンベヤは、コンベヤローラがベルトの変曲点に配置される構成であることが望ましい。変曲点ではコンベヤローラの周りのベルトの巻付角度が最大になり、広い巻付角度に渡ってベルトに洗浄液を噴出できるため、最適な洗浄作用を得ることができる。これは特に、リンクチェーンを使用する場合に該当する。この場合、変曲域で隣接するリンクが互いに対して軸回転する、および/またはリンク蝶番が開くことになり、従ってこれらの軸回転・開放は、個々のリンク間の接合部および/またはリンクの蝶番が効率良く洗浄できることを意味する。
【0018】
本発明の特に好適な個別の実施例を、以下に一例として説明する。説明する個々の実施例には、本発明を講ずるために絶対的に必要というわけではない特徴が含まれる場合があるが、それらは通常望ましいと考えられる。また、以下に説明する実施例の全特徴が含まれていない実施例についても、本発明の教示内で開示されていると見なされるべきである。同様に、異なる実施例との関連で説明された特徴を互いに選択的に組み合わせることが考えられる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、コンベヤ装置が確実に作動し、且つコンベヤ装置の部品が簡単に洗浄できるコンベヤローラおよびベルトコンベヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明によるコンベヤフレーム3にコンベヤローラ5を有するコンベヤ装置1の、ベルト4の変曲点2における側面図である。
【図2】図1のJ−Jで示される断面に沿った、図1のコンベヤフレームおよびコンベヤローラの断面図である。
【図3】本発明によるコンベヤローラがコンベヤフレームにはめ込まれた等角図である。
【図4】更なる一実施例による、第1の固定部材の領域における 図1のコンベヤフレームおよびコンベヤローラの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は本発明によるコンベヤフレーム3にコンベヤローラ5を有するコンベヤ装置1の、ベルト4の変曲点2における側面図である。
【0022】
この説明図において、流入する一連のベルト4は180度まで屈曲され、流入ベルトに対して実質的に並行になってコンベヤローラから再び出発する。しかし、「変曲点」という言葉はこの構成に制限されるべきではなく、むしろ流入ベルトの走行方向が流出ベルトの走行方向と違う全構成が含まれる。
【0023】
図1は流体接続部55およびケーブル貫通部57の両方が配置されたコンベヤローラ5の側面を示す。例えば洗浄添加物を加えた水もしくは洗浄添加物を加えていない水などの洗浄液、またはその他の流体をコンベヤローラに供給するホースが流体接続部55に差し込まれる。
【0024】
ケーブル貫通部57は流体接続部55と並んで配置される。図1において、ケーブル貫通部57と流体接続部55は両方ともそれぞれ電気ケーブル58と流体接続部55に差し込まれたホースによって隠れている。電気ケーブル58は一接続部を介してコンベヤローラ5の側面にある対応する接続部に接続される。図示の実施例において、流体接続部55
は、コンベヤローラ5の末端側面にある流体口に差し込まれるかネジ留めされる別個の短い突出部(stub−like part)を有する。この個別部分が取り除かれると、流体接続部55にはこの第1の固定部材52の接触面領域で末端面を越えて突出する部材がなくなり、コンベヤフレームへのコンベヤローラの取り付けや、コンベヤフレームからのコンベヤローラの取り外しを流体接続部が妨げることがなくなる。また、電気ケーブル58とコンベヤローラ5間の差し込み接続部が、第1の固定部材52の表面と同一平面になるように構成されることが望ましく、この場合、接続装置を取り外した際のコンベヤローラ5の着脱が容易になる。
【0025】
第2の固定部材53の領域における接続部も同様に構成されることが望ましい。
【0026】
本発明によるコンベヤローラの固定部材52、53の直径は、従来のコンベヤローラまたはドラムモータの車軸に関して著しく大きいことが望ましく、この場合、電気差し込み接続部と、ネジ接続部用および流体接続部55用の止まり穴との両方が固定部材52、53の内1つの末端面に設けられることが望ましい。ここで固定部材52、53は、ドラム外殻を超えて僅かに突き出す程度の長さに構成される。各側面から突き出る程度は1〜2ミリメートルであることが望ましい。
【0027】
更に、(ネジ)接続部を取り囲むOリング用の溝が固定部材52、53の両方または片方の末端面に設けられることが望ましい。この溝に挿入されたOリングは、隣接するコンベヤフレームに関して固定部材を密封して、Oリング溝の内部に濡れない領域を形成する。この濡れない領域はドラム外殻の側面にある濡れる領域から分離されている。接続部領域はこの濡れない領域に含まれることが望ましい。少なくともこの領域においては、コンベヤフレームが滑らかな金属薄壁で構成されることが望ましい。
【0028】
また、図1にはケーブル貫通部57および流体接続部55と並んで、コンベヤローラ5をコンベヤフレーム3に固定する4つの六角穴付きネジが示されている。
【0029】
図示の好適な実施例の場合、コンベヤローラ5は複数のスペーサ部材56を有し、図1ではその一部が見えている。図示のスペーサ部材は歯車と似たように構成されており、各場合において、歯車の放射状の末端に形成される軸受位置562とともに、歯561を有する。スペーサ部材56はドラム外殻54の外周面543に押圧され、または押し付けられ、そして例えば溶接によってそこに固定される。ある好適な実施例の場合、ドラム外殻54は、フェザーキーを挿入するフェザーキー溝を外周面543に有する。フェザーキーはスペーサ部材56の対応する溝に係合し、スペーサ部材56を介してドラム外殻からベルト4にトルクが伝わる。フェザーキー溝はドラム外殻54に渡ってある程度伸びていてもよい。フェザーキー溝はドラム外殻54の全幅に渡って伸びていることが望ましい。フェザーキー溝を介してのトルク伝達のため、フェザーキーと、スペーサ部材56の対応する溝とによって、スペーサ部材が望ましい浮遊方法で取り付けできるようになり、コンベヤローラとベルト間で異なる膨張率を補正することが可能になる。
【0030】
ベルト4は、ゴムで覆われた表面、または簡単に洗浄できるその他の表面を有する布ベルトであることが望ましい。前記のベルトはスペーサ部材56の歯561によってベルト4が破損されないように十分強く構成されることが望ましい。そのような抵抗力が保証されない場合、もし比較的高いベルト張力が掛かるようであれば、図示のスペーサ部材56の実施例を、リニア軸受面または平面軸受面を提供するスペーサ部材で置き替えてもよく、この場合ベルト4の表面負荷が減少する。
【0031】
図示のベルト4の代わりに例えばリンクチェーンを使用する場合、個々のリンク部材をスペーサ部材56の歯561の合間に係合できるため、コンベヤローラ5とリンクチェー
ンの間に確実な嵌合が生じ、コンベヤローラ5を介して更に高い駆動力を伝達することが可能になる。モジュール式のプラスチックチェーンは、例えばIntraloxなど、市販のものを利用することができる。
【0032】
図2は、図1のJ−Jで示された断面に沿った、図1のコンベヤフレームおよびコンベヤローラの断面図である。
【0033】
第1の固定部材52がコンベヤローラ5の右側に図示されている。この第1の固定部材52は、図1に関して説明したネジを介してコンベヤフレーム3に回転固定式に取り付けられている、または固定されている。第2の固定部材53は図2の左側に図示されており、同様にコンベヤフレーム3に回転固定式に固定されている。この2つの固定部材はコンベヤローラの車軸の役割を果たす。
【0034】
コンベヤローラが内部駆動装置を有する場合、駆動装置のトルクは固定部材の片方または両方を介してコンベヤフレームに吸収され得る。このような駆動装置は電気モータ、液圧モータ、および/または歯車機構を有していてもよい。駆動装置は図示されていないが、図示のコンベヤローラは駆動装置の収容に適している。
【0035】
図示の実施例において、第1の固定部材52および第2の固定部材53の両方にそれぞれ流体接続部55が設けられている。この好適な実施例では、流路空間に均等な流圧が生じることになり、これは特に、比較的長いコンベヤローラの場合に有利である。
【0036】
ドラム外殻54は、2つの固定部材52、53に回転自在に支持されている。図示の実施例においてドラム外殻は、外管541として設計された外側管と、内管542として設計されたドラム管とを有することが望ましい。外管541と内管542は管状部材を介して各軸端で密封されていることが望ましく、それと同時に管状部材によって2つの管が互いに対して固定される。流路空間544が2つの管の間に形成される。
【0037】
ドラム外殻54は様々な中間部材を介して第1の固定部材52および第2の固定部材53に回転自在に支持される。この目的のために、とりわけ、転がり接触軸受と軸封とが中間部材と固定部材の間に設けられる。複数の軸封は、流体接続部55と中間部材とを介して流路空間544に送り込まれた洗浄液が2つの固定部材52、53の間に形成された内管542の内部に流れ込まないようにする。これらの軸封は管状の軸封または軸面シールであることが望ましい。また、これらの軸封は高圧にも耐えられるように構成することが望ましい。
【0038】
固定部材において流体接続部は止まり穴として設計することが望ましい。これらの止まり穴からドラム外殻の方に向かって外側に穴が伸びる。前記の穴は中間部材にも設けられる。洗浄液が少なくとも1つの固定部材の穴からそれぞれ対応する中間部材の穴へと連続して流れることができるように、好ましくは囲繞している溝であって、各場合においてそれらの穴と通じている溝が固定部材52、53および/または中間部材のどちらかに設けられることが望ましい。これによって、それらの穴は固定部材と中間部材間の角度位置に関係なく連通することができる。
【0039】
固定部材と中間部材の間でコンベヤフレーム3の方向にできる隙間も同様に密封することができる。これは通常必要ではないが、それは洗浄液がこの隙間を通してコンベヤローラ5の軸方向に外側にコンベヤフレーム3まで押し出され、そこから放射状に外側に中間部材とコンベヤフレーム3の間に押し出されると、それらの表面の洗浄に役立つことにもなるので、洗浄効果に有利であるためである。従って、これらの領域は密封されないほうが望ましい。
【0040】
更なる好適な一実施例を図4に示す。本発明のこの好適な実施例の場合、第1の固定部材52とドラム外殻54との間に滑り部材59が設けられる。この滑り部材59は、ドラム外殻54の方を向いている滑り部材の外周面とドラム外殻54の内面とが滑りばめするように構成されており、それによって滑り部材59が、ドラム軸の方向に移動できるようにドラム外殻54の内部に収容される。滑り部材の内側であって、第1の固定部材の方を向いている内側には、滑り部材と第1の固定部材の間に流体隙間が形成される。
【0041】
滑り部材59は、コンベヤフレーム側の末端面が本質的に平面で滑らかな表面であることが望ましく、この場合、滑り部材は、出来る限り外側に押し出された場合にコンベヤフレームの表面に対して、基本的に表面接触で接触することになる。
【0042】
滑り部材59は、超高密度ポリエチレン、好ましくはPE1000で製造されることが望ましい。摩擦係数が低いその他の素材も同様に使用することができる。
【0043】
図4に示す好適な実施例の場合、第1の固定部材52とドラム外殻54と中間部材と滑り部材59との間に管状流路室51が形成される。第1の固定部材においてドラム外殻に向かって外側に延びる穴は、この流路室51に向かって直接開いていることが望ましい。流路室51は接続口を介してドラム外殻部の流路空間544に接続する。この穴と接続口の寸法は、洗浄作業中その穴を通して流路室51に流れ込み且つ後者から接続口を通して流路空間544に流れ込む液体が、動圧を生み出すような寸法に作られており、この動圧は滑り部材59の、コンベヤフレームから離れた方の側面に作用し、また、この滑り部材をコンベヤフレームに向かって軸方向に押し出す。同時にその液体は滑り部材59と第1の固定部材52の間の隙間を通って外側に流れ、滑り部材59とコンベヤフレームの合間を通って流れ出る。これで液体が高圧で流れる流体力学的隙間が生み出され、従ってコンベヤフレームと滑り部材間の表面が洗浄される。
【0044】
ここで滑り部材と隣接する部品の寸法は、洗浄作業中、滑り部材59とコンベヤフレーム間の方が流路室51内よりも液体の流速が早くなるような寸法に作られることが望ましい。その結果、流路室51の領域における流圧が滑り部材59とコンベヤフレーム間より大きくなり、滑り部材59が外側に押し出される。
【0045】
通常の作業中(洗浄媒体なし)、滑り部材とコンベヤフレーム間の摩擦係数が低いことは、滑り部材が最低限しか消耗されないことを意味する。
【0046】
同様に、コンベヤローラの反対側も、同様に滑り部材で構成されることが望ましい。
【0047】
図面に示されている実施例において、第2の固定部材53の領域においては、第1の固定部材52の方を向いている第2の固定部材53の側面に、内側に歯が形成された歯車が設けられる。この歯車は中間部材の1つを介してドラム外殻54に回転固定式に接続される。この断面図には図示されていないが、2つの固定部材間の、望ましくは内管542の内側に設けられる駆動装置は、この歯車を介してドラム外殻54を駆動できる。この駆動装置は、図示の実施例において、内側に向かって設けられる軸受ジャーナルを介して第1の固定部材52に支持されてもよい。図示のように、軸受ジャーナルはフェザーキーを挿入できる溝を有する。トルクを伝達できるシャフト/ハブ接続についてはその他の構成も考えられる。
【0048】
図面に示されているように、ドラム外殻54の外管541は、基本的に放射状に外側を向いている細かい流体排出口545を有する。流体接続部55を介して固定部材52、53を通って中間部材そして流路空間544へと押し出された洗浄液は、これらの流体排出
口545を介して排出され、ベルト4の上に噴出される。
【0049】
図示の実施例では、スペーサ部材56がドラム外殻54に設けてあるため、スペーサ部材56によって作られた、ドラム外殻とベルト4間のある程度の距離に渡って、ベルト4に洗浄液を噴出することができ、その結果、この領域における洗浄作用が向上する、または初めて可能になる。
【0050】
図3は本発明によるコンベヤローラがコンベヤフレームにはめ込まれた等角図である。
【0051】
この図で分かるように、流体排出口545は、ドラム外殻54の外面と、コンベヤローラ5のドラム軸に対して直角に位置する面とが交差してできる架空の縁に沿って、スペーサ部材56に基本的に平行な列に配置される。
【0052】
他の好適な一実施例において、流体排出口545は、ドラム外殻54の外面に沿って走行する1つまたはそれ以上のらせん状の線に沿って配置されてもよい。
【0053】
また、流体排出口545を放射状に設置するよりむしろ、少なくともその一部がドラム外殻54に接する面に関して斜めになるように設置することも望ましい。これは液体噴流がベルト4に対して斜めの角度で当たることを意味し、よってベルト4の表面が一定方向の液体の流れにさらされるため、洗浄効果を更に向上させることができる。
【0054】
その他にも、望ましい流体排出口の配置が同様に考えられる。
【符号の説明】
【0055】
1 ベルトコンベヤ
2 変曲点
3 コンベヤフレーム
4 ベルト
5 コンベヤローラ
51 流路室
52 第1の固定部材
53 第2の固定部材
54 ドラム外殻
541 外管
542 内管
543 外周面
544 流路空間
545 流体排出口
55 流体接続部
56 スペーサ部材
561 歯
562 軸受位置
57 ケーブル貫通部
58 電気ケーブル
59 滑り部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドラム外殻と、流体接続部と、前記コンベヤローラをコンベヤフレームに固定する少なくとも1つの第1の固定部材とを含むコンベヤローラであって、
前記ドラム外殻は、前記第1の固定部材の周りに回転自在に支持される外管を有し、
前記外管はその外周面に複数の流体排出口を有し、
前記流体接続部は前記流体排出口と連通しているコンベヤローラ。
【請求項2】
前記外管と、少なくとも一部において前記外管内に配置される内管との間に流路空間が形成されている、請求項1に記載のコンベヤローラ。
【請求項3】
前記外管および内管は前記ドラム外殻の構成部材である、請求項2に記載のコンベヤローラ。
【請求項4】
前記内管の内側が液体密封式に流路領域から分離されている、請求項2または3に記載のコンベヤローラ。
【請求項5】
前記ドラム外殻が前記第1の固定部材の周りを回転自在に駆動できるように、前記ドラム外殻の中に配置され、前記第1の固定部材に回転固定式に接続され、前記ドラム外殻に接続される駆動装置を更に有する、前記請求項のうちの1つに記載のコンベヤローラ。
【請求項6】
前記第1の固定部材において、駆動装置に電力を供給する電気ケーブル用のケーブル貫通部を更に有する、前記請求項のうちの1つに記載のコンベヤローラ。
【請求項7】
前記第1の固定部材および/または第2の固定部材に前記流体接続部が設けられる、前記請求項のうちの1つに記載のコンベヤローラ。
【請求項8】
互いに分離した2つの流体接続部を有する、前記請求項のうちの1つに記載のコンベヤローラ。
【請求項9】
前記コンベヤローラによって支持されるベルトの軸受位置を有するスペーサ部材を、前記ドラム外殻の外周に有し、その結果、前記軸受位置によって定められる包絡面が、前記外管の外面からある距離をおいて延びている、前記請求項のうちの1つに記載のコンベヤローラ。
【請求項10】
前記スペーサ部材は、歯が歯車から外側に向かって伸びる歯車型円盤として設計されている、請求項9に記載のコンベヤローラ。
【請求項11】
前記請求項のうちの1つに記載のコンベヤローラと、前記コンベヤローラによって支持されるベルトとを有するベルトコンベヤ。
【請求項12】
前記コンベヤローラが前記ベルトの変曲点に配置されている、請求項11に記載のドリフトコンベヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−510145(P2010−510145A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536656(P2009−536656)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際出願番号】PCT/EP2007/009888
【国際公開番号】WO2008/061667
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Intralox
【出願人】(506301427)インターロール・ホールディング・アーゲー (13)
【Fターム(参考)】