説明

清涼感を与える組成物

本発明の対象は、天然の状態を有する新規の清涼感を与える組成物である。前記組成物は、天然の同一成分および少なくとも1つの天然の抽出物と一緒のメントールの組合せ物を有する。前記組成物は、メントールの風味ノートなしに清涼感を与える風味付け組成物に添加することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は食品香料工業に関する。本発明は、より詳述すれば、風味付け組成物または食用製品に清涼感を与える効果を付与するために、風味付け組成物または食用製品に添加することができる新規の清涼感を与える組成物に関する。本発明の組成物は、一方で添加される組成物に強力なメントール風味付けノートを付与するのではない清涼感を与える効果を提供し、その上、全く自然のままであるという二重の利点を提供する。
【0002】
従来技術
三叉神経効果、例えば清涼感を与える効果を与えることができる成分は、風味付け工業において最高の重要性を有する化合物を構成する。清涼感を与える薬剤は、通常、人体、殊に口、鼻および喉の粘膜と接触した際に冷たいかまたは清涼感を与えるものとして評されている。前記成分は、食用製品、飲料、歯磨き剤、うがい薬、しかも化粧品、煙草製品、研磨剤またはローション液中に幅広く使用されている。メントールまたは(−)−(1R,3R,4S)−3−p−メンタノールは、幅広く記載されており、清涼感を与える薬剤として使用された。しかし、前記メンタノール化合物は、清涼感を与える効果と共に、殊に高い適用量で用途に使用した場合に渋い苦みおよび典型的なメントールの後味を有するという欠点を示す。この性質は、優性的にハッカでない風味付けの調性、例えば果実の風味付け用途を有する組成物または製品への使用を制限する。
【0003】
メントールの使用に関連したこの特殊な問題は、既に取り組まれてきた。殊に、米国特許第6627233号明細書は、主にメントールを含有し、ペパーミントノートを非ペパーミントの風味付け製品に付与するペパーミントを使用するという問題に対処している。より詳述すれば、前記の刊行物には、メントールが強力なメントール風味付けノートを示し、苦み、刺激および強烈な味として定義される"刺激ノート"を示すことが概説されている。この記載は、チューインガムへの用途の枠組みの中で述べられており、前記刊行物は、前記問題の解決として、メントールを、メンチルスクシネート、非環式カルボキサミド、メンチルラクテート、3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール、N−置換p−メンタンカルボキサミド、メントングリセロールケタールおよびその混合物から構成されている群から選択された所謂"生理的に清涼感を与える薬剤"と関連させて使用することを示唆している。しかしながら、後者の生理的に清涼感を与える薬剤は、全て人工的な清涼感を与える成分であり、したがって非天然の状態のために殊に菓子、飲料または香辛料への適用量に関連する使用が制限されている。
【0004】
それ故に、存在する従来技術に関連して、法的問題を起こさず、幅広い範囲の用途で制限のない適用量で使用されてよい清涼感を与える組成物を開発することが必要とされている。
【0005】
本発明は、メントールの有害なノートなしに優れた清涼感を展開する新規組成物を提供することによって上記問題を克服し、この場合この組成物は、同時に全く天然である。
【0006】
発明の記載
本発明は、第1に(−)−(1R,3R,4S)−3−p−メンタノールを、(−)−(1R,3R,4S)ー8−p−メンテン−3−オールまたは別の天然の同一の清涼感を与える成分および前記組成物に三叉神経効果を付与する少なくとも1つの天然の抽出物の有効量と関連させることを特徴とする、天然の清涼感を与える組成物、即ち風味付け組成物または添加される食用製品に清涼感を与える効果を付与することができる組成物から構成されている。
【0007】
また、本発明の対象は、風味付け基剤と一緒に上記に定義したような清涼感を与える組成物を有する風味付け組成物およびレトルト食品ならびに本発明による組成物を前記風味付け組成物または食用製品に添加することを特徴とする、組成物または製品の清涼感を与える効果を付与、増大または変性する方法である。
【0008】
従って、本発明の第1の対象は、(−)−(1R,3R,4S)−3−p−メンタノール0.1〜49.9質量%;天然の同一の清涼感を与える成分、殊に(−)−(1R,3R,4S)−8−p−メンテンー3−オール0.1〜49.9質量%;および前記組成物に三叉神経効果を付与することができる少なくとも1つの天然の抽出物0.1〜49.9%を含有する天然の清涼感を与える組成物である。百分率は、前記組成物の全質量に関連する質量によって記載されている。
【0009】
本発明の組成物の対象は、有利に、任意の人工的な清涼感を与える成分、例えば従来技術で使用される清涼感を与える成分を含有しない。前記組成物の天然の状態は、前記組成物を法的問題の提起から回避させ、したがって幅広い範囲の用途で制限のない適用量で前記組成物を使用させることができる。
【0010】
本発明による組成物は、感覚刺激性の性質に翻ってみれば、添加される組成物に任意のメントールの後味のない長時間持続する効果を有する優れた清涼感を与えるような組成物を提供する。従って、本発明による組成物は、有利に任意のタイプの風味付け調性と殊に固定タイプの調性との組合せに使用されてよい。
【0011】
それ故に、完全に天然の成分に加えて、3つの特殊な成分の前記の新規組合せ物は、有利に添加される組成物または製品に清涼感を与える効果を付与し、一方で、通常、メントールの使用に関連した強力なミントの調性または刺激性の調性を付与しない。その上、本発明による組成物は、天然状態のために世界中で受け入れることができ、任意の国の用途にも適用することができ、メントールタイプの製品にだけは適用することができず、これは、本発明による組成物が菓子類、医薬品、乳製品、大豆ベースの製品、飲料製品または香辛料製品として多様な分野で使用されることを意味する。
他の有益な点および利点は、下記の詳細な記載および実施例の記載によって明らかになるであろう。
【0012】
メントールは、本発明による組成物の第1の不可欠な成分である。メントール風味付けノートを自然に付与することは、公知であるけれども、この成分は、現在、清涼感を与える効果を付与するように2つの他の特殊な成分と有利に関連し、一方で、希薄化された天然の調性を有する。メントールは、前記組成物の全質量に対して0.1〜49.9質量%から構成された量で使用される。
【0013】
本発明による組成物中に使用される第2の成分、即ち(−)−(1R,3R,4S)−8−p−メンテンー3−オールは、天然の同一の清涼感を与える成分である。この第2の成分は、タカサゴ(Takasago)からIsopulegol(登録商標)Tak PilまたはCoolact P(登録商標)の商品名で商業的に入手可能である。この成分は、本発明による組成物中で該組成物の全質量に対して0.1〜49.9質量%、好ましくは0.1〜19.9質量%の間で変動する割合で使用される。(−)−(1R,3R,4S)−8−p−メンテンー3−オールに対して選択的に、天然の同一の状態を有する別の清涼感を与える成分が使用されてよかった。
【0014】
前記組成物の最後の不可欠な成分は、組成物に三叉神経効果を付与するのに必要とされる純粋なレベルを有する、抽出技術に由来する少なくとも1つの天然の抽出物である。本明細書中で三叉神経効果が意味することは、味覚または触覚に関連した感覚であり、三叉神経に影響を及ぼす。三叉神経効果は、食品工業で最もよく使用される感覚、例えば冷たさ、清涼感、刺激、唾液分泌、咀嚼、熱さ、温かさ、刺激臭、甘味、酸味、渋味および類似物を含む。本発明の目的に適した天然の抽出物は、前記組成物の全質量に対して0.1〜49.9質量%、好ましくは0.1〜19.9質量%の間で変動する割合で使用される。1つの特殊な実施態様において、天然の抽出物は、蒲桃(jambu)オレオレジン、ジャワガランガ(jawa galanga)オレオレジン、マニグエット(maniguette)オレオレジンまたはグレインズ・オブ・パラダイス(grains of paradise)、カルダモンオレオレジン、ジンジャーオレオレジン、ペッパーオレオレジン、セージオレオレジン、メイチャン(cubebe)およびその混合物から構成されている群から選択される。前記の抽出物は、商業的に入手可能である。
【0015】
本発明の好ましい実施態様によれば、(−)−(1R,3R,4S)−8−p−メンテン−3−オールと天然の抽出物との比は、4:1〜1:6の間で形成されている。好ましくは、この比は、3:1〜1:3である。例えば、前記比は、1:2である。好ましくは、(−)−(1R,3R,4S)−8−p−メンテン−3−オールと天然の抽出物との比は、4:1〜6:4の間で形成されている。
【0016】
本発明による清涼感を与える組成物は、有利に後者の天然の抽出物に冷たさの感覚を付与するために風味付け組成物に添加されてよい。"風味付け組成物"の場合、この風味付け組成物は、本明細書中で、風味付け成分、溶剤または補助剤または風味付け配合物の製造に常用されているものの混合物、即ち感覚刺激性の性質、殊に匂い、風味および/または味を付与、改善または変性するために食用製品に添加することが意図される成分の特殊な混合物を意味する。風味付け成分は、当業者に十分に公知であり、この風味付け成分の性質は、幾つかの場合に網羅していない本明細書中の詳細な記載を保証するものではなく、この場合当業者であれば、意図される使用または適用および達成が望まれる感覚刺激的効果により、一般的な知識に基づいて選択することができる。前記の風味付け成分の多くは、参考文献、例えばS. Arctander, Perfume and Flavour Chemicala, 1969, Montclair, New Jersey, USAまたはその最近の版、または同様の種類の他の書物、例えばFenaroli's Handbook of Flavour Ingredients, 1975, CRC Press or Synthetic Food Adjuncts, 1947, M.B. Jacobs, van Nostrand Co., Inc.中に記載されている。また、風味付け配合物の製造に常用されている溶剤および補助剤は、刊行物中に十分に公知である。前記の溶剤および補助剤は、工業的要件、例えば安定性または調性の持続性に適合させることができる。溶剤は、風味付け組成物の時間的部分の大部分を占める。この枠組みの中で通常使用される溶剤は、例えばベンジルアルコール、プロピレングリコール、トリアセチン、植物油、エタノールまたはリモネンを含む。他面、補助剤は、風味付け組成物中で多数の種々の機能を有することができる。この補助剤は、例えば安定剤を含む。現在、風味付けされる製品のタイプおよび製品の配合物の範囲は、製品による製品を基礎とする取り組みおよび使用されうる補助剤のそれぞれの場合の定義を基礎とする取り組みが実現不可能であるように広大になり、しばしば変化を生じている。これは、風味付け配合物中に通常使用される補助剤のリストが本明細書中に記載されていないことの理由である。しかしながら、当業者、即ちフレーバリストは、風味付けすべき製品の1つの機能および配合物中に含有された風味付け成分の性質の1つの機能として前記成分を選択することが可能である。
【0017】
他面、本発明による組成物は、レトルト製品または最終製品に直接の添加されてもよい。換言すれば、本発明による組成物は、上記に定義されたような風味付け組成物に最初に添加され、さらに生じる組成物は、最終製品に添加されてもよいし、風味付け組成物とは無関係に食用製品に添加されてもよい。
【0018】
本発明による組成物は、種々の形で使用されてよい。第1の実施態様において、3つの不可欠な成分の混合物は、液状の形で使用され、こうして上記に定義されたように液状の風味付け組成物に添加されてよいか、または直接に食用製品に添加されてよい。
【0019】
第2の実施態様において、本発明による組成物は、有利にカプセルに封入された形、即ち固体粒子組成物、粉末または顆粒状の形で使用されてよく、他の粉末状の固体成分に添加されることができ、無水ブレンドを形成する。また、この場合には、カプセルに封入すべき組成物は、簡単に本発明による対象の清涼感を与える混合物から構成されていてもよいし、上記に定義された清涼感を与える混合物を有するよりいっそう複雑な風味付け組成物から構成されていてよい。
【0020】
本発明による組成物が場合によっては風味付け組成物との混合物で保護されることができるカプセル封入法は、噴霧乾燥法、凝集法またはさらに押出技術からなることができ、この場合この押出技術は、マトリックスタイプの構造を導く。他面、本方法は、コーティングカプセル封入、例えばコアセルベーションおよび複雑なコアセルベーション技術から構成されていてもよく、この場合このコアセルベーションおよび複雑なコアセルベーション技術は、芯−殻型の構造を生じる。
【0021】
マトリックスに適した担持材料は、壁形成材料および可塑化材料、例えば単糖類、二糖類または三糖類、天然澱粉または変性された澱粉、ヒドロコロイド、セルロース誘導体、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、タンパク質またはペクチンである。特に有用なマトリックス材料の例は、スクロース、グルコース、ラクトース、レブロース、フルクトース、マルトース、リボース、デキストロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ラクチトール(lactitol)、マルチトール(maltitol)、ペンタトール、アラビノース、ペントース、キシロース、ガラクトース、マルトデキストリン、デキストリン、化学的に変性された澱粉、水素添加澱粉水解物、スクシニル化されたかまたは加水分解された澱粉、観点、カラゲーニン、アラビアゴム、アカシアゴム、トラガカント、アルギン酸塩、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、その誘導体および混合物を含む。
【0022】
他面、コーティングカプセル封入は、典型的にはゼラチン、寒天およびアルギン酸塩を含む薄手のキセロゲルキャリヤー系の使用を基礎とする。
【0023】
他の適当なキャリヤー成分は、参考文献、例えばH. Scherz, Hydrokolloids: stabilisatoren, Dickungs und Gehermittel in Lebensmittel, Schriftenreihe Lebensmittelchemieの第2巻, Lebensmittelqualitat, Behr's Verlag GmbH & Co., Hamburg中に記載されている。この場合、引用された材料は、実施例によって記載されており、本発明を制限するものとして解釈すべきではない。
【0024】
本発明による清涼感を与える混合物を含有する清涼感を与える組成物または風味付け組成物の粉末または顆粒の形は、有利に粉末状の食用製品を製造するために使用されてよい。
【0025】
本発明による組成物は、該組成物が添加される製品に清涼感を与えるために使用される。こうして、添加される組成物または生成物の清涼感を与える効果を付与、増大または変性するための本発明による組成物の使用は、本発明の対象である。
【0026】
本発明による清涼感を与える組成物は、菓子類、飲料または香辛料製品として変化する食品区分に属する食用最終製品の感覚刺激性の性質を変性させるために使用されることができる。よりいっそう詳述すれば、本発明による組成物は、製品、例えばチューイングガム、シュガーアーモンド(sugar almond)、圧縮ペレット、ハードボイルドキャンディーズ(hard-boiled candies)、チューイングキャンディーズ(chewing candies)および菓子製造分野のための類似物中に使用されることができる。飲料の場合、この飲料は、清涼感を与える効果を炭酸飲料および非炭酸飲料、アルコール飲料および類似物ならびに乳製品用途、例えばミルクドリンク、果実およびミルクで風味付けられた酸っぱい飲み物、ヨーグルトおよび類似物に付与するのに適当である。
【0027】
本発明による組成物は、清涼感を香辛料の用途、例えばドライブレンド調味料、スパイス、スープ、チーズ、バタースプレッドおよび類似物に付与するのに適当である。
【0028】
前記例は、本発明を制限するものとして解釈すべきではない。よりいっそう詳述すれば、本発明による清涼感を与える組成物は、香気の分野で清涼感を与える効果を有することが望まれている用途、例えばクレーム、軟膏、シャンプー、石鹸および類似物に簡単に使用されることができる。
【0029】
本発明による組成物を前記の最終製品中に配合することができる割合は、幅広い範囲の値で変動する。前記の値は、レトルト製品の性質および前記製品中に使用される風味付け組成物の性質ならびに達成するのが望ましい清涼感を与える効果の強さに依存する。
【0030】
殊に、食用製品の場合には、本発明による組成物は、液状の形で添加され、添加される食用組成物の全質量に対して典型的に0.1〜10質量%の変動する量で存在する。本発明による組成物がカプセル封入された形で使用される場合には、本発明による組成物は、好ましくは添加される食用組成物の全質量に対して0.1〜5質量%から構成された典型的な割合で添加される。
【0031】
更に、本発明は次の実施例により詳説されるが、これらの実施例に限定されるものではない。温度は摂氏であり、省略形は当業界で一般的な意味を有する。
【0032】
本発明の実施様式
実施例1
チューインガムへの用途の比較例
次の組成を有するチューインガムを種々の風味付け系を比較するために使用した:
成分 質量部
Balear(登録商標) 22.00、
結晶性ソルビトール粉末 57.70、
クエン酸 1.00、
75%固体でのマルチトールシロップ 12.00、
グリセリン 3.00、
77〜78%固体でのソルビトールシロップ 4.00、
Aspartame(登録商標) 0.10、
アセスルファムカリウム 0.12、
総和 100.00
1)出所:Cafosa Gum Base社, スペイン。
【0033】
結晶性ソルビトール、クエン酸、アセスルファムカリウムおよびAsparatame(登録商標)をTurbula(登録商標)配合機中で上記の割合で配合した。配合物の半分をWinkworthシグマブレードミキサー中の予熱したBalear(登録商標)Tガムベース中で50〜55℃で5分間混合した。次に、残りの粉末ブレンドを湿潤剤シロップ(マルチトールシロップ、ソルビトールシロップ、グリセリン)と一緒に添加し、さらに5分間混合した。
【0034】
3つの風味付け組成物を次の成分で調製した:
組成物A
液状レモン香味料(506060T参照;出所Firmenich SA, Geneva, Switzerland)。
【0035】
組成物B
成分 質量部
メントール 20.0、
Coolact(登録商標)1) 3.0、
蒲桃(jambu)オレオレジン2) 0.5、
ジャワガランガ(jawa galanga)オレオレジン3) 0.5、
レモン香味料4) 76.0、 総和 100.0。
【0036】
1)出所:Takasago社、日本、
2)出所:Robertet社、フランス、
3)出所:Robertet社、フランス、
4)506060T参照;出所Firmenich SA, Geneva, Switzerland。
【0037】
組成物C
成分 質量部
マルトデキストリン18DE 85、
組成物B 10、
水 5、
総和 100。
【0038】
組成物Cで述べた成分を、無水ブレンドを製造するように一緒に混合した。次に、この粉末ブレンドを、なお可塑性である間にダイ出口で溶融液を細断することができるカッターナイフを備えた二軸スクリュー押出機を用いてダイホールを通じて可塑剤としての水で押出した。低い含水量は、一定の試料組成物で40℃を上廻るガラス転移温度を保証するために必要とされた。
【0039】
それぞれの風味付け系、即ち組成物A、BおよびCをそれぞれ風味付けの等しい負荷量でチューインガム基剤に添加し、次の用量で2分間混合した。
【0040】
試料 組成物中での風味付け負荷量 適用における用量、
組成物A 100% 1.00%、
組成物B 100% 1.00%、
組成物C 6.40% 0.75%。
【0041】
製造されたチューインガム試料を20人のパネリストによって試験した。組成物BおよびCで風味付けされたチューインガム試料を、最初に噛んだ直後に、任意のメントールノートがないことを強調する新鮮で清涼感を与えるレモン香味が付与されたものと断定した。清涼感を与えるレモンの認識は、10分間噛んだ全体時間に亘って形成された。組成物BおよびCで風味付けされたチューインガム試料によって提供される清涼感の寿命は、組成物Aで風味付けされたチューインガムよりも長いことが測定された。
【0042】
実施例1を同じチューインガム基剤の組成物で繰り返したが、しかし、それぞれ組成物A、BおよびC中のレモン風味をオレンジ風味によって変え、次にストロベリー風味に変えた。同様のコメントが複数のパネリストによって為された。
【0043】
実施例2
ハードボイルドキャンディー(hard-boiled candie)への適用における比較例
ハードボイルドキャンディー(hard-boiled candie)基剤を使用し、種々の風味付け系を比較した。グルコースシロップ42DE(20%)およびスクロースシロップ65Brix(80%)を混合し、銅製の鍋中で145℃に加熱した。次に、この鍋をガス台から取出し、温水浴中に入れた。
【0044】
緩衝クエン酸50%溶液を添加し、引続き温度が130℃に到達した際に実施例1に記載された風味付け系、即ち組成物A、BおよびCを添加した。次に、調理された物質を環境温度で適当なTeflon(登録商標)金型中に注入した。
【0045】
試料 組成物中での風味付け負荷量 適用における用量、
組成物A 100% 0.20%、
組成物B 100% 0.20%、
組成物C 6.40% 0.75%。
【0046】
次に、レモン風味をそれぞれオレンジ風味によって変え、次にストロベリー風味によって変えた。ハードボイルドキャンディーズ(hard-boiled candies)を組成物A、BおよびCで風味の等しい負荷量で風味付けした。
【0047】
パネリストからのコメントは、次の通りであった:
組成物BおよびCで風味付けされたハードボイルドキャンディー(hard-boiled candie)の試料は、組成物Aで風味付けされた試料と比較して、よりいっそう新鮮で清涼感を与える風味を有していた。清涼感を与える風味付けされた認識は、テイスティングの全時間に亘って形成された。組成物BおよびCで風味付けされたハードボイルドキャンディー(hard-boiled candie)試料の清涼感の寿命は、組成物Aで風味付けされたハードボイルドキャンディー(hard-boiled candie)よりも長いことが測定された。
【0048】
実施例3
ハードボイルドキャンディー(hard-boiled candie)への適用における比較例
ハードボイルドキャンディー(hard-boiled candie)基剤を使用し、種々の風味付け系を比較した。グルコースシロップ42DE(20%)およびスクロースシロップ65Brix(80%)を混合し、銅製の鍋中で145℃に加熱した。次に、この鍋をガス台から取出し、温水浴中に入れた。緩衝クエン酸50%溶液(1.85%)を添加し、引続き温度が130℃に到達した際に下記した風味付け系を添加した。次に、調理された物質を環境温度で適当なTeflon(登録商標)金型中に注入した。
【0049】
4つの風味付け組成物を次の成分で調製した:
組成物W
液状ストロベリー香味料(506061T参照;出所Firmenich SA, Geneva, Switzerland)。
【0050】
組成物X
成分 質量部
メントール 15.0、
グリセロールトリアセテート 3.0、
ストロベリー香味料1) 82.0、
総和 100.0。
【0051】
1)506061T参照;出所Firmenich SA, Geneva, Switzerland。
【0052】
組成物Y
成分 質量部
メントール 15.0、
Coolact(登録商標)1) 2.0、
蒲桃(jambu)オレオレジン2) 0.7、
カラモン(Caramon)オレオレジン3) 0.3、
ストロベリー香味料4) 82.0、
総和 100.0。
【0053】
1)出所:Takasago社、日本、
2)出所:Robertet社、フランス、
3)出所:Kalsec Inc.社、米国、
4)506061T参照;出所Firmenich SA, Geneva, Switzerland。
【0054】
組成物Z
成分 質量部
マルトデキストリン18DE 85、
組成物Y 10、
水 5、
総和 100。
【0055】
組成物Zの成分を、無水ブレンドを製造するように一緒に混合した。次に、この粉末ブレンドを、なお可塑性である間にダイ出口で溶融液を細断することができるカッターナイフを備えた二軸スクリュー押出機を用いてダイホールを通じて可塑剤としての水で押出した。低い含水量は、一定の試料組成物で40℃を上廻るガラス転移温度を保証するために必要とされた。
【0056】
それぞれの風味付け系、即ち組成物W、X、YおよびZをそれぞれ次の用量でハードボイルドキャンディー(hard-boiled candie)試料に適用した:
試料 香味料負荷量 用量
組成物W 100% 0.12%、
組成物X 100% 0.12%、
組成物Y 100% 0.12%、
組成物Z 4.4% 0.75%。
【0057】
次に、ストロベリー風味をそれぞれオレンジ風味によって変え、次にレモン風味によって変えた。組成物W、X、YおよびZを等しい負荷量でハードボイルドキャンディー(hard-boiled candie)試料に適用した。
【0058】
パネリストからのコメントは、次の通りであった:組成物Xで風味付けされたハードボイルドキャンディー(hard-boiled candie)試料は、最初新鮮であり、次にメントール風味付けノートで清涼感を与え、この感覚をテイスティングの全体時間に亘って連続的に形成させた。組成物YおよびZで風味付けされたハードボイルドキャンディー(hard-boiled candie)試料は、よりいっそう新鮮であり、メントール風味付けノートなしの清涼感を与える風味を有していた。清涼感を与える風味付けされた認識は、テイスティングの全体時間に亘って形成された。組成物YおよびZを有するハードボイルドキャンディー(hard-boiled candie)試料の清涼感の寿命は、組成物XおよびWを有するハードボイルドキャンディー(hard-boiled candie)よりも良好であり、よりいっそう好ましいことが測定された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然の清涼感を与える組成物において、
a)(−)−(1R,3R,4S)−3−p−メンタノール0.1〜49.9質量%;
b)(−)−(1R,3R,4S)−8−p−メンテンー3−オール0.1〜49.9質量%;および
c)前記組成物に三叉神経効果を付与することができる少なくとも1つの天然の抽出物0.1〜49.9%を含有し;この場合、全ての百分率は、該組成物の全質量に対する質量で記載されている、天然の清涼感を与える組成物。
【請求項2】
天然の抽出物が、蒲桃(jambu)オレオレジン、ジャワガランガ(jawa galanga)オレオレジン、マニグエッテ(maniguette)オレオレジン、カルダモンオレオレジン、ジンジャーオレオレジン、ペッパーオレオレジン、セージオレオレジン、メイチャン(cubebe)およびその混合物から構成されている群から選択されている、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
(−)−(1R,3R,4S)−8−p−メンテンー3−オールと天然の抽出物との比が4:1〜1:6の間で構成されている、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
(−)−(1R,3R,4S)−8−p−メンテン−3−オールと天然の抽出物との比が4:1〜6:4の間で構成されている、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
風味付け組成物において、該風味付け組成物が風味付け成分からなる風味基剤と一緒に風味付け配合物の製造に常用されている溶剤または補助剤、請求項1記載の清涼感を与える組成物を含有することを特徴とする、風味付け組成物。
【請求項6】
風味基剤がミントおよび/または果実の風味ノートを付与する少なくとも1つの風味付け成分を含有する、請求項4記載の風味付け組成物。
【請求項7】
レトルト製品において、該レトルト製品が食用組成物の一部分として請求項1記載の清涼感を与える組成物を含有することを特徴とする、レトルト製品。
【請求項8】
レトルト製品において、該レトルト製品が食用組成物の一部分として請求項4記載の風味付け組成物を含有することを特徴とする、レトルト製品。
【請求項9】
チューイングガム、ハードボイルドキャンディー(hard-boiled candie)、圧縮ペレット、チューイングキャンディーズ(chewing candies)、発泡ペレット、ミルクで風味付けられた酸っぱい飲み物、ヨーグルト、果実調製物、ダイズをベースとする製品、炭酸飲料または非炭酸飲料、ティーベースのドリンク、アルコール飲料、粉末ドリンク、粉末状スープ、調味料、スパイス混合物、チーズまたはバタースプレッドの形である、請求項6または7記載の製品。
【請求項10】
添加される組成物または生成物の清涼感を与える効果を付与、改善または変性するための請求項1記載の組成物の使用。
【請求項11】
前記組成物が粉末状または顆粒の形である、請求項1記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が粉末状または顆粒の形である、請求項4記載の組成物。

【公表番号】特表2007−532126(P2007−532126A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−507863(P2007−507863)
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【国際出願番号】PCT/IB2005/000951
【国際公開番号】WO2005/099473
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(390009287)フイルメニツヒ ソシエテ アノニム (146)
【氏名又は名称原語表記】FIRMENICH SA
【住所又は居所原語表記】1,route des Jeunes, CH−1211 Geneve 8, Switzerland
【Fターム(参考)】