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清涼飲料水及びその製造方法
説明

清涼飲料水及びその製造方法

【課題】微生物が混入しても、その微生物の増殖がしにくい清涼飲料水及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ミネラルウォーター類にアミノ基を持つ水溶性ビタミンを添加することにより、炭水化物を有さない系においては、抗菌性の向上が認めらる。当該ビタミン類としては、チアミン塩酸塩、リホフラビン、ピリドキシン塩酸塩、ナイアシンの内少なくとも1種類を用いることが好ましい。また、その製造工程は、アミノ基を持つ水溶性ビタミンを溶解した水溶液を、限外濾過又は、セラミックフィルターによる除菌工程を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清涼飲料水及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ミネラルウォーター類として、ナチュラルミネラルウォーター、ミネラルウォーター、ボトルドウォーターの3種類の分類がある。
【0003】
前記ナチュラルミネラルウォーターとは、鉱水など特定の水源からミネラル分を含む原水を採取した後に、殺菌または除菌、濾過したものである。
【0004】
前記ミネラルウォーターとは、前記ナチュラルミネラルウォーターに含まれるミネラル分を一定とする為に、ミネラル成分を調整したり、爆気をしたり、複数の原水を混合したりしたものである。
【0005】
前記ボトルドウォーターとは、海水、水道水、井戸水、ナチュラルミネラルウォーターなどを、活性炭処理、又は逆浸透膜処理、又はイオン交換処理してイオン成分や不純物を除去したもの、及び、このイオン等を除去したものに、再度ミネラル分を添加したものである。
【0006】
このミネラルウォーター類の販売方法としては、宅配用の比較的大きな容量(4L〜20L)のものと、小売り用の小容量(350mL〜2L)のものがある。宅配用の容器としては、ポリカーボネート製ボトルが主流であるが、他にもポリエチレン(PE)バック型のものや、ポリエチレンテレフタレート(PET)ボトルなど多くの種類がある。
【0007】
近年、水道水への次亜塩素酸ナトリウム殺菌での副生成物であるトリハロメタン類などの発癌性物質への不安や、放射性物質への不安などから、宅配のミネラルウォーター類のマーケットが大幅に拡大している。
【0008】
この宅配のミネラルウォーター類の消費方法は、専用サーバーによる消費が大多数である。しかし、多くのサーバーでは、ミネラルウォーター類を容器から排出する際に、容器内に外気を吸い込んでしまう。この外気を吸い込む際に浮遊菌も吸い込んでしまう恐れがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来、宅配のミネラルウォーター類には、有機物の栄養成分が入っていない事により、サーバーでの消費中において、ミネラルウォーター類が常温に置かれ、その消費中に、容器内のミネラルウォーター類に、浮遊菌等の微生物が混入しても微生物は増殖しにくいと考えられていた。
【0010】
一般に、水に有機物の栄養成分を加えると、開封時や飲用時の微生物の混入により菌が増殖してしまうため、場合によっては腐敗する事が知られている。その為、通常、栄養成分を含む清涼飲料水は、開封後は冷蔵庫保管か数時間での飲用が推奨されている。
【0011】
そのため、従来では、宅配用のミネラルウォーター類においては、開封後の消費期間が長く常温保管であり、サーバーから外気とともに浮遊菌も混入するので、微生物制御の観点から有機物の添加は、不可能であるとされている。
【0012】
更に、小容量ミネラルウォーター類では、PETボトルの普及により、リシール性が付与され、消費期間が伸びる傾向にある。しかし、小容量ミネラルウォーター類の場合、容器に直接口をつけて飲むことが多いため、飲み残したミネラルウォーター類において、微生物事故の発生は少なく無い。
【0013】
そこで、本発明は、有機物であるビタミンを含有するが、微生物が混入しても、その微生物の増殖がしにくい清涼飲料水及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、ミネラルウォーター類に、少なくともアミノ基を持つ水溶性ビタミンを添加したもので、炭水化物を含有しないことを特徴とする清涼飲料水である。
【0015】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記アミノ基を持つ水溶性ビタミンは、水溶性のチアミン塩酸塩、ピリドキシン塩酸塩、リホフラビン、ナイアシンのうち少なくとも1種であることを特徴とするものである。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記清涼飲料水を、飲料水サーバを用いて消費することを特徴とするものである。
【0017】
請求項4記載の発明は、前記請求項1乃至3の清涼飲料水の製造方法であって、
アミノ基を持つ水溶性ビタミンを溶解した水溶液を、限外濾過又はセラミックフィルターにより除菌する工程を有することを特徴とする清涼飲料水の製造方法である。
【0018】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、ミネラル成分のみが溶解し、かつ、水分活性が0.9以下の水溶液に、前記アミノ基を持つ水溶性ビタミンを溶解する工程を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本願は、少なくともアミノ基を持つ水溶性ビタミンを添加し、炭水化物を含有しない条件下では、抗菌性が高まり、宅配水としても小容量PET飲料として用いた場合にも、菌における安全性をより高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明を実施するための形態を説明する。
本発明の清涼飲料水は、ナチュラルミネラルウォーター、ミネラルウォーター、ボトルドウォーターのミネラルウォーター類に、水溶性のチアミン塩酸塩(ビタミンB1)、リホフラビン(ビタミンB2)、ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6)、ナイアシンであるニコチン酸又はニコチン酸アミド等のアミノ基を持つ水溶性ビタミンを少なくとも1種以上添加したものであり、炭水化物を含有しない。
【0021】
なお、本発明の清涼飲料水は、炭水化物以外のものであれば、前記水溶性のチアミン塩酸塩(ビタミンB1)、リホフラビン(ビタミンB2)、ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6)、ナイアシンであるニコチン酸又はニコチン酸アミド以外にも、葉酸、ビタミン12、ビオチン、パントテン酸等の水溶性ビタミンや、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等のミネラル成分を含有してもよい。なお、アミノ基を持つ水溶性ビタミンの溶解量は、夫々任意に設定するが、本実施例においては、アミノ基を持つ水溶性ビタミンの総溶解量を20ppm以下とした。
【0022】
次に、本発明の清涼飲料水の製造方法について説明する。
予め、水道水等の水に、塩化マグネシウムと塩化カルシウムと水酸化カルシウムを溶解し、所定の温度・時間で熱殺菌処理した水溶液中に、水溶性ビタミンを溶解する。本実施例においては、水溶性ビタンミンとして、水溶性のチアミン塩酸塩(ビタミンB1)、ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6)、リホフラビン(ビタミンB2)、ナイアシン(ビタミンB3)を添加・溶解した混合液1を準備する。なお、混合液1の水分活性値は任意に設定することができるが、一般細菌の多くは、水分活性0.9以下で増殖しないが、カビについては、0.7以上だと増殖するものもあるため、混合液1の水分活性値を0.9以下とし、更に0.7以下とすることが望ましい。
【0023】
また、前記混合液1とは別に、水道水等の水に、重曹、精製塩、炭酸カルシウムを溶解し、所定の温度・時間で熱殺菌処理した混合液2を準備する。
【0024】
先ず、特定の水源から採取した原水、水道水、井戸水、海水等の非処理水を、殺菌又は除菌、及びろ過等により不純物を除去する。実施例では、水道水を活性炭でろ過した後、逆浸透膜にて不純物の除去と除菌を実施した。
【0025】
次に、本殺菌又は除菌された処理水に、前記混合液1及び混合液2を混合する。
次に、この混合した液を、限外濾過又はセラミックフィルターにより除菌を行う。除菌の方法として、食品衛生法では、清涼飲料水もミネラルウォーターも加熱殺菌も濾過による除菌は認められている。一方、ビタミン類は、概して熱やpH(酸、アルカリ)、光などにより分解が促進される事が知られているため、熱処理を行うものでなければ、ろ過等の任意の除菌手段を用いることができる。
【0026】
次に、適宜方法により殺菌された容器と蓋を用いて、充填機により容器に所定量充填することにより、本発明の清涼飲料水を得ることができる。例えば、アセプティク充填においては、容器を、過酢酸などの殺菌剤で殺菌した後、無菌水で濯いで使用し、キャップについては過酸化水素などで殺菌後無菌水で濯いで使用する。
【0027】
上記製造方法を用いて実際に、表1に示す組成となる本発明の飲料水1及び飲料水2と、対象1を製造した。なお、製造にあたり、水道水を活性炭でろ過した後に、逆浸透膜で処理したものを用いた。また、除菌方法として、0.22μmのメンブランフィルターにより除菌を行った。
【0028】
【表1】

【0029】
なお、この飲料水1と2の製造の際に用いた前記混合液1と2を表2に示す。
【0030】
【表2】

【0031】
この飲料水1と、ミネラルのみを添加した対象1(硬度30相当)と、無糖飲料でありアミノ酸などの有機物を少量含有(可溶性固形分0.3%)しているとされているS社市販PET緑茶に、一般細菌(Bacillus Subtilis)、真菌(Aspergillus Niger)、大腸菌(E.cole)を植菌して、菌の増殖性を確認した結果を表3に示す。
【0032】
この試験方法は、Bucillus Subtilis、E.coleは、SCD培地にて37℃×20時間培養して、3×10とし、1mlを200mlの検液に植菌して即時(攪拌均一化後)、25℃保管にて、1日後、7日後に菌数をSA培地で測定して行った。
【0033】
また、Aspergillus Nigerについては、PDA培地にて25℃×7日培養し、3×10となる様に希釈して、200ml検疫に1ml植菌して、25℃保管にて即時(攪拌均一後)、1日後、7日後の菌数をPDA培地を用いて混釈平板培養法にて菌数を測定した。
【0034】
【表3】

【0035】
なお、表3における飲料水1のBucillus Subtilisの植菌直後は、攪拌などの極短時間で死滅したものと推定される。また、S社市販PET緑茶は、植菌後カビは、7日で多量の菌糸が発生して飲用不可の状態であった。
【0036】
ミネラルのみが添加されている対象1は、表3から分かるように、栄養源である有機物を含有しないために、一般細菌と大腸菌で菌数が減少し、黒黴においても、ほとんど増殖が認められなかった。
【0037】
また、本発明の飲料水1は、有機物であるビタミンが含まれているにもかかわらず、対象1と同様に、黒黴においては、ほとんど増殖が認められず、一般細菌、大腸菌においては、対象1よりも抗菌性が向上していることが分かる。
【0038】
また、一般的に緑茶は抗菌性があるといわれているが、対象としたPET緑茶では、一般細菌では菌が減少したが、大腸菌では、1日後、カビでは7日後で飲用不可の結果となった。
【0039】
次に、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ナイアシンの個々における菌の増殖性を調べるために、精製水に、水溶性のチアミン塩酸塩(ビタミンB1)、リホフラビン(ビタミンB2)、ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6)、ナイアシンを、夫々2.5ppmを溶解した水溶液と、精製水に、大腸菌(E.cole)と、一般細菌(Bacillus Subtilis)を植菌して、菌の増殖性を確認した結果を表4に示す。
【0040】
この試験方法は、Bucillus Subtilis、E.coleは、SCD培地にて37℃×20時間培養して、3×10とし、1mlを200mlの検液に植菌して即時(攪拌均一化後)、25℃保管にて、1日後、7日後に菌数をSA培地で測定して行った。
【0041】
【表4】

【0042】
表4より、栄養成分である有機物を含まない精製水と比較して、有機物であるビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ナイアシンを添加した水溶液の方が、何れにおいても抗菌力が上がることが分かる。抗菌力の強さは、ビタミンB6>ナイアシン>ビタミンB1>ビタミンB2の順であることが分かった。
【0043】
【化1】

【0044】
化1に、水溶性ビタミンB群を示す、この化1から分かるように、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ナイアシンは、アミン構造している(アミノ基を有しており)。
【0045】
【化2】

【0046】
また、化2に示す抗菌剤である塩化ベンザルコニウムは、第四アンモニウム態構造を有し、プラスに荷電した窒素が微生物の表面のマイナスに荷電している部分と結合して、微生物の活動を不活性化することにより抗菌力を発揮する。
【0047】
チアミン塩酸塩(ビタミンB1)は、この塩化ベンザルコニウムと類似構造であり、他のアミノ基を有する水溶性ビタミンにおいても、アミノ結合が電気的には、窒素がプラス荷電する傾向にあり、微生物の表面電位のマイナスと結合して、抗菌力を有すると考えられる。
【0048】
また、飲料水1と2の各組成の経日変化を表5に示す。
【0049】
【表5】

【0050】
本試験では、熱履歴は受けていないものの初期のビタミン類のロスが多いが、これは保管時の紫外線の影響と推定される。なお、表5における括弧書きは、ポリカーボネート容器保管品でのデータである。このポリカーボネート品は、着色ボトルなので紫外線の影響が少ないと予想される。
【0051】
表5より、殺菌方法として熱履歴を受けない0.22μmメンブランフィルターにより除菌とした事により、ビタミンの高い残存率が確保されたことが分かる。また、製造後1週間目から2カ月の期間でビタミン含量の低下は認められない事が確認できる。チアミン塩酸塩(ビタミンB1)の残存率は、7日後(半屋外放置)でも65%の残存率で1カ月、2カ月経過しても室温放置で60%の残存率であり、加熱殺菌を行わない事により、熱履歴による分解が大幅に抑制され、高い残存率である事が確認できた。
【0052】
また、前記結果より、飲料水1、2の製造の際に用いた、ミネラルとビタミンの混合液である混合液1の水分活性を0.84としたことで、微生物の増殖を抑制できていることが分かる。
【0053】
以上より、宅配用のミネラルウォーター類は、開封後の消費期間が長く常温保管であり、サーバーから外気とともに浮遊菌も混入するので、従来は、微生物制御の観点から有機物の添加は、不可能であるとされてきた。しかし、有機物であるアミノ基を持つ水溶性ビタミンを添加した本発明の清涼飲料水は、既存のミネラルだけ添加しているミネラルウォーター類等よりも、抗菌性が高まることから、宅配水としても小容量PET飲料として用いた場合にも、菌における安全性をより高めることができることが分かった。
【0054】
また、前記飲料水1、2におけるビタミンB1、ビタミンB6、ナイアシンビタミン含有量は、1L当たりで1日の必要量を採取することができるようになっている。
【0055】
宅配用の水を、専用サーバーによって消費する場合には、開封後、常温での消費期間が長いが、この宅配用の飲料水として本発明の清涼飲料水を用いれば、長期消費期間において微生物的な安全性が向上するとともに、体内に蓄える事の出来ないビタミンであるビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ナイアシンを本発明の清涼飲料水から摂取することができる。
【0056】
宅配の水事業においては、ユーザーニーズに合わせたビタミンの種類や組み合わせを変更したものの商品展開が可能になり、消費者の健康向上や新たなニーズ開拓の可能性を広げることができる。
【0057】
更に、小容量(200ml〜2L)のミネラルウォーター類においても、PETボトルの普及により、リシール性が付与され、消費期間も長くなって来ており、これらについても、抗菌力のあるアミノ基をもつ水溶性ビタミン類を添加する事により、飲み残しなどの常温保管品の腐敗を抑止することが期待できる。
【0058】
また、食生活の欧米化により、不足しがちなビタミン類も添加する事で、微生物的な安全性の高い栄養素等表示基準値のビタミンも摂取出来るノンカロリーの水を低価格で提供することが可能になり、カロリーの過剰栄養摂取による肥満リスクを回避し、国民の健康向上に寄与出来るものと期待される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミネラルウォーター類に、少なくともアミノ基を持つ水溶性ビタミンを添加したもので、炭水化物を含有しないことを特徴とする清涼飲料水。
【請求項2】
前記アミノ基を持つ水溶性ビタミンは、水溶性のチアミン塩酸塩、ピリドキシン塩酸塩、リホフラビン、ナイアシンのうち少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の清涼飲料水。
【請求項3】
前記清涼飲料水を、飲料水サーバを用いて消費することを特徴とする請求項1又は2記載の清涼飲料水。
【請求項4】
前記請求項1乃至3の飲料水の製造方法であって、
アミノ基を持つ水溶性ビタミンを溶解した水溶液を、限外濾過又はセラミックフィルターにより除菌する工程を有することを特徴とする清涼飲料水の製造方法。
【請求項5】
ミネラル成分のみが溶解し、かつ、水分活性が0.9以下の水溶液に、前記アミノ基を持つ水溶性ビタミンを溶解する工程を有することを特徴とする請求項4記載の清涼飲料水の製造方法。

【公開番号】特開2013−94095(P2013−94095A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238846(P2011−238846)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(511264560)ビクトリージャパン株式会社 (1)
【出願人】(511264054)
【出願人】(511264065)
【Fターム(参考)】