説明

清潔爼

【目 的】 主として肉や魚の調理に向いた洗濯性と乾燥性の好い清潔な爼の開発。
【構 成】 爼を陶磁やガラスやステンレスなどの防水防創性体にして、洗濯性と乾燥性を良好にした詰り清潔性を良好にした、クリーン爼(清潔爼)と呼ぶべき、爼。

【考案の詳細な説明】
【見解】
従来、特許法と実用新案法とはその守備範囲が高度さによって異なると解されゝば宜しいものが、それだけでは無いように解されて来た嫌いがある。即ち発明は自然法則を利用した技術的思想の創作のうち「高度のもの」と定義されており、高度であれば、技術的思想の創作の全領域をカバーしているものと解されて来たが、考案は物品の形状、構造又は組合せに係るものと定義されているので、「高度でない」技術的思想の創作の一部しかカバーしていないと言うようにである。
これでは、高度でない技術的思想の創作には実用新案権を受けるものと受けないものとが制度的にあることになる。即ら高度でない技術的思想の創作のうちこの範疇のものには実用新案権を与えるが、この範疇のものにはそれを与えないと言うようにである。即ち実用新案法は高度でない技術的思想の創作をその属する範 によって差別していると言うのである。
これは明らかに可笑しい。このような法律の適応領域上の差別が立法において忌み嫌われて来たことに対しては誰も普遍性を認めている。従って従来一部においてか全部においてか知らないが、採られて来た実用新案法の読み方にはどこか誤解がある。
それは、「構造」と言う言葉の解釈にあるのではあるまいか。即らその言葉の真意を知らずして、簡単単純に字面だけを読み当て嵌めているのではあるまいか。
「構造」は「構成」と同義に解されるべきではあるまいか。この場合絶対にそう解されるべきである。英語ではconstructはcomporseと同義となっている。強いて言えば、前者はbuild−upと大きく、後者はmake−upと小さい。
従って、「構造」は「構成」を大きく構えたものであろう。大きな柄や構えの技術的思想の創作にも小さな柄や構えのその創作にも即ち建築物のようなものに関する考案にも時計にようなものに関する考案にも「make−up」ではなく「build−up(構造)」で以って臨んだものと思われる。
ところで、一般に「構成」は詰まるところ「ある特定の質象を成している」こと即ち「特徴を示している」ことを(特に法律概念としては)言うが、その場合の「構造」も同じことを言っていると解して宜しい訳である。そうでなくては、「構造」と「組合せ」の二義を並べる必要はあるまい。
「組合せ」は英語ではconbinationであり、combine(結合)から来ている。数学で言えば、組合せ的な概念であろう。今三要素からなる並べ方は6通りであり、四要素から成る並べ方は24通りであるが、組合せの概念ではどちらも1通りである。即ち質象の特定度が「構造」に比べて極めて稀薄なのである。「構造」の概念ではその並べ方の一つ一つを対象とする。従って「順列的な概念」と言えるのである。即ら前の例で言えば、6通り或いは24通りの可能性の中から最も宜しい特徴的可能性に収斂させることを言う。即ち化学反応などは、例えばアルコールを採る場合にはメチルもエチルも採れることが多いが、その与件の特定を厳しくすればエチルに特定されるのは、その宜い例である。
「方法」とか「性質」とかに係わる技術的思想の創作は実用新案法の適応外にあると考えられているようであるが、今の上述の場合のように、それらはある質象の特定を成した即ち特徴を示したのであり、矢張り「構造(build−up)
」したのである。当然実用新案法の対象である。即ち「物品の構造」とは「物と物と」からbuild−upされたものばかりを言うのでは無く、「物と質(性質、性能、性象など)と」からbuild−upされたものであっても即ちqualifyされたものであっても宜しい訳である。そのことは、化粧することをmake−upすると言うが、この言葉の使い方を深く考えてみて貰えば、宜く理解して貰えよう。
斯くて、実用新案法は自然法則を利用した技術的思想の創作のうち「高度で無い」ものの全領域(全範疇)をカバーしていることが判る。この理解判明は「法律は決して対象を差別しない(法のFの平等)」と言う近代法の精神から見て正統であり正当であり、決して度を越した拡大解釈では無い筈である。
尚アインシユタインの原理のような発明的発見は特許法でも実用新案法でも対象としない。即ち技術的思想の創作とは言わないのである。その真理は誰もが直らに使用しなくてならない普遍的有用性であり、特定の企業だけに専有されて宜しい訳がないからである。然し勿論「著作」であり、有償で公開されるべきことになっている。
一般に著作された思想は広く一般国民の日々の生活に有用性なものが多く、有償公開性を原則としている。然しその思想の創作の中の技術的思想の創作は物品の在り方やその作り方を著作しているものであるから実施実用化即ち企業化されねば何の役にも立たない。人の日常生活上の心構えを説いた著作などとはその有用性の在り方が異なるのである。従ってその企業化をドライブするために著作利益権に加えてある一定期間実施利益権即ち独占営業利益権を認めたのである。
尚今日技術的思想の創作は著作では無い即ち著作権法上の著作された思想には入らないと言い張る向きもあるが、決してそうではなく、当然著作権法上の著作された思想の創作に入る。そして著作された瞬間にその著作者に著作権が発生する。何人たりとも無償で他人の著作思想を使用することは出来ない。必らず代価を支払わなくてはならない。
尚又思想の創作即ち著作の使用とはその創作された思想をどんな方法で以って使用しても使用に当たる。例えば一つの絵画論の中に創作(独自性)があれば、それを採り入れて絵とした場合、それは明らかに著作の使用となる。
念のために述べ添えた次第である。
扨以上の見解から、本考案を特許ではなく実用新案として登録請求する次第である。
【産業上の利用分野】
食物調理に用いる爼の一である。
【従来の技術】
従来の殆どの爼は木製であった。そして中にはプラスチック製もあった。
【考案が解決しようとする課題】
従って木製のものには使用時水分や食物の汁などが泌み込み又包丁傷が付き、洗濯と乾燥が容易に気持ちよく行かなかった。又プラスチック製のものにも包丁傷がだんだんに複雑に付いて行き、そのために洗濯が十分に行かなくなって行く。
こういう爼で以って肉や魚を調理すると、その肉や魚に爼から黴菌が移るように思えて、気持ちが悪いし、又その爼を奇麗に洗い濯ぐことが難しい。
【課題を解決するための手段】
そこで、私は爼を陶磁などにして、陶磁の器のように、使用後洗剤を用いてすっきり洗濯できるものとすることを思い付いた。それまで肉や魚を爼上にする場合には、広い洋皿を用いて来たが、洋食のナイフを使うように引いて切れば、包丁でも上手に切れる。そして意外に包丁の刃が傷まない。これは陶磁爼が好いとなった次第である。その本考案の構成は少し対象物質の範囲を拡大して「実用新案登録請求の範囲」に簡潔に述べてある。
【作用】
兎角清潔な爼となる。但し引き切りをしなくてはならないので、ネギや大根などを細小に刻むような場合には矢張り従来の木製のものが好ましい。本考案に添えて従来の木製のものも用意して置くことになろう。
【実施例】
陶磁のものは瓦くらいの厚さが宜しかろう。この厚さだと焼く場合に火が十分通ることが証明されているし、扱い上の強度も証明されている。ガラスのものも同じくらいの厚さで宜しかろう。又ステンレスのものは3ミリくらいの厚さにすると、撓みに対する強度が出よう。
爼は従来調理台の上にぺッタリ置いて使用するのが普通であった。しかしこれがどうも気持ち悪い。爼台と言うものが欲しい。本考案には兎も角木製のものには絶対と言っても宜い程必要である。私は現在針金製の鍋敷きを使っているが、これでは少し狭いので、必要にして十分な大きさの針金製の爼台を作ると宜いと考えている。これだと、洗濯性が宜しいからである。
【考案の効果】
本考案によって、爼は極めて清潔なものとなる。木製の爼は長い間使用していると、黴で真っ黒になったものであるが、本考案によって常にぴかぴかの爼が家庭の台所を占めることになったのである。市場規模から見ると、大した考案ではないが、台所改善と言う点から見ると、矢張り相当な革新をもたらすものである。
尚本考案の商品名は「陶磁爼」、「陶爼」、「磁爼」、「焼物爼」、「ガラス爼」、「ステンレス爼」などとしたい。勿論「登録」して置きたい。
【実施例補】
尚鮨店の鮨を盛る爼も本考案で行きたい。これは平爼でも宜いが、脚付き爼でも宜い。その場合脚は爼の左右の両端に設けるのが最もすっきりしよう。四本脚としても宜しいし、両端一杯の二本脚としても宜しい。
勿論台所用のものも鮨店用のものと同じように脚を付けても宜しい。場合によってはこの脚付き本考案が主流となるかも判らない。
尚本考案には平爼にも脚付き爼にも左右両端か片端の中央に釘孔を設けて、釘に掛けうるようにしたい。
尚本考案の台所用は陶磁物では或いは場合によってはガラス物でも白物が主流となろうが、鮨店用では夫々の店の雰囲気に合った芸術的な色物・柄物が主流となろう。
尚又鮨店用物には形にも若干の工夫を凝らすこともあろう。
【提出日】平成8年12月10日

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】爼を陶磁やガラスやステンレスなどの防水防創性体にして、洗濯性と乾燥性を良好にした詰り清潔性を良好にした、クリーン爼(清潔爼)と呼ぶべき、爼。

【図 1】
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【登録番号】第3040366号
【登録日】平成9年(1997)6月4日
【発行日】平成9年(1997)8月19日
【考案の名称】清潔爼
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平8−8993
【出願日】平成8年(1996)8月1日
【出願人】(594052526)