説明

渋滞判定装置及びコンピュータプログラム

【課題】交差点付近を走行する車両による渋滞要因を判定することができる渋滞判定装置及び該渋滞判定装置を実現するためのコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】通信部12は、車両の走行状態に関する車両情報を取得する。車両判定部13は、車両情報に基づいて、交差点に向かって走行する車両が左折車両か否かを判定する。渋滞判定部14は、車両判定部13で判定した左折車両の歩行者青信号(歩行者青点滅信号を含んでもよい)での速度が、歩行者赤信号での速度より遅い場合、左折車両と歩行者との交錯による左折渋滞と判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交差点付近に存在する車両による渋滞要因を判定する渋滞判定装置及び該渋滞判定装置を実現するためのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
交差点では、処理容量が低下することで渋滞が発生する。そして、交差点での処理容量の最適化を図るために種々の信号制御方法が行われている。
【0003】
交差点の各流入路に対してどのような時間比率で交通権を与えるかは、通常、交差点への流入交通量に応じて決定される。ここで、交通権のことを現示、時間比率のことをスプリットという。スプリットは、信号灯器の表示サイクル1回分の時間における各現示の青時間の比率に相当する。スプリットは、各信号灯器の灯色切替タイミングの決定に用いられる。通常、スプリットは、負荷率比配分等のアルゴリズムによって決定される。
【0004】
負荷率比配分方式は、流入台数、待ち行列及び飽和交通流率から得られる負荷率を現示毎に求め、負荷率の比に応じてスプリットを配分するアルゴリズムであり、このようなアルゴリズムを用いた信号制御システムが開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−27024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のような従来の信号制御システムにあっては、交差点への流入台数を計測するため、通常は、交差点の上流地点に車両感知器を設置しておき、車両感知器で感知した信号に基づいて流入台数を計測している。しかし、横断歩道を歩行する歩行者と左折車両との交錯による左折渋滞が発生している場合、青信号時間を長くしても、左折車両の歩行者待ちにより左折の処理容量は増加せず、却って無駄な青信号時間が増大し、渋滞に拍車をかけるという問題があった。また、車両感知器で計測した計測結果だけでは、渋滞の要因が歩行者と左折車両との交錯であるのかどうかを判別することができなかった。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、交差点付近に存在する車両による渋滞要因を判定することができる渋滞判定装置及び該渋滞判定装置を実現するためのコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明に係る渋滞判定装置は、交差点付近に存在する車両による渋滞要因を判定する渋滞判定装置において、車両の走行状態に関する車両情報を取得する車両情報取得手段と、該車両情報取得手段で取得した車両情報に基づいて左折車両を判定する車両判定手段と、該車両判定手段で判定した左折車両の歩行者青信号での速度が、歩行者赤信号での速度より遅い場合、左折車両と歩行者との交錯による左折渋滞と判定する渋滞判定手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
第2発明に係る渋滞判定装置は、第1発明において、前記渋滞判定手段で左折渋滞と判定した場合、歩行者赤信号時間を延長する信号制御手段を備えることを特徴とする。
【0010】
第3発明に係る渋滞判定装置は、第2発明において、前記信号制御手段は、歩行者青信号時間が最小保証時間となるように構成してあることを特徴とする。
【0011】
第4発明に係る渋滞判定装置は、第1発明乃至第3発明のいずれか1つにおいて、前記車両判定手段で判定した左折車両の交差点流出領域での渋滞を判定する流出領域渋滞判定手段を備え、前記渋滞判定手段は、前記流出領域渋滞判定手段で渋滞がないと判定した場合、左折車両と歩行者との交錯による左折渋滞と判定するように構成してあることを特徴とする。
【0012】
第5発明に係る渋滞判定装置は、第4発明において、前記流出領域渋滞判定手段は、前記交差点流出領域での左折車両の速度が、左折前の交差点流入領域での左折車両の速度より速い場合、前記交差点流出領域での渋滞がないと判定するように構成してあることを特徴とする。
【0013】
第6発明に係る渋滞判定装置は、第1発明乃至第5発明のいずれか1つにおいて、前記車両判定手段で判定した左折車両の停止位置が、交差点より上流側の所定位置より上流にある場合、前記渋滞判定手段の判定処理を起動する起動手段を備えることを特徴とする。
【0014】
第7発明に係る渋滞判定装置は、第1発明乃至第5発明のいずれか1つにおいて、前記車両判定手段で判定した左折車両の歩行者青信号での速度が速度閾値より遅い場合、前記渋滞判定手段の判定処理を起動する起動手段を備えることを特徴とする。
【0015】
第8発明に係る渋滞判定装置は、第1発明乃至第7発明のいずれか1つにおいて、前記渋滞判定手段は、前記車両判定手段で判定した左折車両の歩行者青信号での速度と歩行者赤信号での速度との差分が第1閾値以上である場合、左折車両と歩行者との交錯による左折渋滞と判定するように構成してあることを特徴とする。
【0016】
第9発明に係る渋滞判定装置は、第1発明乃至第7発明のいずれか1つにおいて、前記渋滞判定手段は、前記車両判定手段で判定した左折車両の歩行者青信号での速度が第2閾値以下であり、左折車両の歩行者赤信号での速度が前記第2閾値より大きい第3閾値以上である場合、左折車両と歩行者との交錯による左折渋滞と判定するように構成してあることを特徴とする。
【0017】
第10発明に係る渋滞判定装置は、第5発明において、前記流出領域渋滞判定手段は、前記交差点流出領域での左折車両の速度と、左折前の交差点流入領域での左折車両の速度との差分が第4閾値以上である場合、前記交差点流出領域での渋滞がないと判定するように構成してあることを特徴とする。
【0018】
第11発明に係る渋滞判定装置は、第5発明において、前記流出領域渋滞判定手段は、前記交差点流出領域での左折車両の速度が第5閾値以上であり、左折前の交差点流入領域での左折車両の速度が前記第5閾値より小さい第6閾値以下である場合、前記交差点流出領域での渋滞がないと判定するように構成してあることを特徴とする。
【0019】
第12発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、交差点付近に存在する車両による渋滞要因を判定するステップを実行させるためのコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、車両の走行状態に関する車両情報に基づいて左折車両を判定するステップと、該判定ステップで判定した左折車両の歩行者青信号での速度が、歩行者赤信号での速度より遅い場合、左折車両と歩行者との交錯による左折渋滞と判定するステップとを実行させることを特徴とする。
【0020】
第1発明及び第12発明にあっては、車両の走行状態に関する車両情報を取得する。車両情報の取得は、例えば、車車間通信により車両間で送受信されている車両情報を取得することができる。車両情報は、例えば、車両固有の識別子である車両ID、車両の位置及び速度、ウインカースイッチの状態(左又は右ウインカーのオン/オフ)、アクセルの状態(アクセルのオン/オフ)、ブレーキの状態(ブレーキのオン/オフ)などである。取得した車両情報に基づいて左折車両を判定する。左折車両の判定は、ウインカースイッチの状態により判定してもよく、あるいは予め交差点付近の道路情報を記憶しておき、左折専用車線に存在する車両を左折車両と判定することもできる。また、交差点付近の車両の走行軌跡(所定時間毎又は所定距離毎の複数の車両位置)に基づいて、車両が流入路からどの流出路に走行したかを判定し、左折方向の流出路に走行した車両を左折車両と判定することもできる。
【0021】
歩行者用灯器の歩行者青信号での左折車両の速度が、歩行者赤信号での速度より遅い場合、左折車両と歩行者との交錯による左折渋滞と判定する。歩行者青信号は、歩行者青点滅信号を含んでもよい。歩行者青信号で歩行者が横断歩道を横断している場合、左折車両は歩行者の横断を優先させるべく停止又は比較的遅い速度で走行することになる。また、歩行者赤信号では、歩行者が横断歩道を横断していないので、左折車両が歩行者の横断を待つ必要はなく比較的速い速度で左折することができる。従って、左折車両の歩行者青信号での速度が、歩行者赤信号での速度より遅い場合、左折車両は歩行者の横断を待っていると判定することができ、渋滞の要因が左折車両と歩行者との交錯による左折渋滞と判定することができる。
【0022】
第2発明にあっては、左折渋滞と判定した場合、歩行者赤信号時間を延長する。歩行者赤信号時間を延長することにより、左折車両が歩行者待ちをすることなく交差点を通過することができ、無駄な青信号時間が発生することなく、渋滞の早期解消を図ることができる。
【0023】
第3発明にあっては、歩行者青信号時間が最小保証時間となる。最小保証時間は、横断する道路の幅員を歩行者の歩行速度で除算して算出される値以上の時間である。横断歩道を横断する歩行者の歩行速度は1m/sとし、例えば、道路の幅員が10mであれば、最小保証時間は10秒以上とすることができる。これにより、左折渋滞を解消しつつ歩行者の安全を確保することができる。
【0024】
第4発明にあっては、左折車両の交差点流出領域での渋滞を判定し、渋滞がないと判定した場合、左折車両と歩行者との交錯による左折渋滞と判定する。交差点流出領域は、左折車両が交差点を通過して進入する交差側の道路の領域であって、例えば、交差点から所定の距離(例えば、交差点から20m)内の領域とすることができる。交差点の流出先で渋滞(先詰まり)が発生しているか否かを判定し、渋滞が発生していないことを左折渋滞の条件とすることにより、渋滞の要因から先詰まりを除外した状態で渋滞要因を判定することができ、精度良く渋滞要因を判定することができる。
【0025】
第5発明にあっては、交差点流出領域での左折車両の速度が、左折前の交差点流入領域での左折車両の速度より速い場合、交差点流出領域での渋滞がないと判定する。交差点流入領域は、例えば、左折車両が交差点を進入する道路の領域であって、交差点から所定の距離(例えば、交差点から20m)内の領域とすることができる。交差点流入領域において渋滞中の左折車両は停止しているか、あるいは左折車両の速度は比較的遅いのに対し、交差点流出領域で渋滞(先詰まり)がない場合には、交差点流出領域で比較的速い速度で走行できるので、交差点流出領域での左折車両の速度が、左折前の交差点流入領域での左折車両の速度より速い場合、交差点流出領域での渋滞(先詰まり)はないと判定することができる。
【0026】
第6発明にあっては、左折車両の停止位置が、交差点より上流側の所定位置より上流にある場合、渋滞判定の処理を起動する。所定位置は、例えば、飽和交通流率、青信号時間(直進用及び右折用を含む)及び平均車頭間隔を積算した値とすることができる。ここで、飽和交通流率は、常時青信号であった場合に、1車線・1時間当たりに最大で流れる交通量であり、一般的に2秒に1台程度である。これにより、信号灯器の1回の青信号時間の間に交差点を流出することができる台数を超えた台数の車両が交差点の上流側にあるときに渋滞が発生していると判定し渋滞要因の判定処理を起動することができるので、渋滞時にだけ渋滞要因の判定処理を行うことができ、処理労力を低減することができる。
【0027】
第7発明にあっては、左折車両の歩行者青信号での速度が速度閾値(例えば、5km/h)より遅い場合、渋滞判定処理を起動する。歩行者用灯器が歩行者青信号のときに左折車両の速度が遅いのは、左折車両が横断歩道を横断中の歩行者待ちをするため停止又は徐行している可能性があるため、渋滞判定処理を起動する。これにより、渋滞時にだけ渋滞要因の判定処理を行うことができ、処理労力を低減することができる。
【0028】
第8発明にあっては、左折車両の歩行者青信号での速度と歩行者赤信号での速度との差分が第1閾値以上である場合、左折車両と歩行者との交錯による左折渋滞と判定する。例えば、歩行者赤信号での左折車両の速度と歩行者青信号での左折車両の速度との速度差が第1閾値である速度閾値Vth1(例えば、5km/h)以上である場合、左折車両と歩行者との交錯による左折渋滞と判定する。これにより、渋滞の要因が左折車両と歩行者との交錯による左折渋滞と判定することができる。
【0029】
第9発明にあっては、左折車両の歩行者青信号での速度が第2閾値以下であり、左折車両の歩行者赤信号での速度が第3閾値以上である場合、左折車両と歩行者との交錯による左折渋滞と判定する。ここで、第2閾値<第3閾値とする。例えば、歩行者赤信号での左折車両の速度が第3閾値である速度閾値Vth3(例えば、10km/h)以上(速く)であり、歩行者青信号での左折車両の速度が第2閾値である速度閾値Vth2(例えば、5km/h)以下(遅い)である場合、左折車両と歩行者との交錯による左折渋滞と判定する。これにより、渋滞の要因が左折車両と歩行者との交錯による左折渋滞と判定することができる。
【0030】
第10発明にあっては、交差点流出領域での左折車両の速度と、左折前の交差点流入領域での左折車両の速度との差分が第4閾値以上である場合、交差点流出領域での渋滞がないと判定する。交差点流入領域は、例えば、左折車両が交差点を進入する道路の領域であって、交差点から所定の距離(例えば、交差点から20m)内の領域とすることができる。交差点流入領域において渋滞中の左折車両は停止しているか、あるいは左折車両の速度は比較的遅いのに対し、交差点流出領域で渋滞(先詰まり)がない場合には、交差点流出領域で比較的速い速度で走行できるので、交差点流出領域での左折車両の速度と、左折前の交差点流入領域での左折車両の速度との差分が第4閾値以上となる場合、交差点流出領域での渋滞(先詰まり)はないと判定することができる。
【0031】
第11発明にあっては、交差点流出領域での左折車両の速度が第5閾値以上であり、左折前の交差点流入領域での左折車両の速度が第6閾値以下である場合、交差点流出領域での渋滞がないと判定する。ここで、第5閾値>第6閾値とする。交差点流入領域は、例えば、左折車両が交差点を進入する道路の領域であって、交差点から所定の距離(例えば、交差点から20m)内の領域とすることができる。交差点流入領域において渋滞中の左折車両は停止しているか、あるいは左折車両の速度は比較的遅いのに対し、交差点流出領域で渋滞(先詰まり)がない場合には、交差点流出領域で比較的速い速度で走行できるので、交差点流出領域での左折車両の速度が第5閾値以上であり、左折前の交差点流入領域での左折車両の速度が第5閾値より大きい第6閾値以下である場合、交差点流出領域での渋滞(先詰まり)はないと判定することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、交差点付近に存在する車両による渋滞要因が左折車両と歩行者との交錯による左折渋滞と判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施の形態に係る渋滞判定装置による交差点の渋滞要因判定の模式図である。
【図2】車車間通信の一例を示す説明図である。
【図3】本実施の形態の渋滞判定装置により渋滞判定を行う交差点の一例を示す模式図である。
【図4】本実施の形態に係る渋滞判定装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図5】本実施の形態の渋滞判定装置による左折渋滞判定の一例を示す模式図である。
【図6】本実施の形態の渋滞判定装置による左折渋滞判定の一例を示す模式図である。
【図7】本実施の形態の渋滞判定装置による左折渋滞判定の他の例を示す模式図である。
【図8】本実施の形態の渋滞判定装置の渋滞判定処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明を実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本実施の形態に係る渋滞判定装置10による交差点の渋滞要因判定の模式図である。渋滞判定装置10は、交差点を含む所要の範囲の通信領域S内を走行する車両同士が行う車車間通信により送受信される車両情報を取得することにより、交差点の渋滞要因を判定する。渋滞判定装置10は、渋滞要因が左折車両と歩行者との交錯による左折渋滞であると判定した場合、歩行者灯器の歩行者赤信号を延長することにより、左折車両と歩行者との交錯を防止して渋滞解消を図る。
【0035】
図2は車車間通信の一例を示す説明図である。車車間通信では、車両の前方又は後方を走行する周辺車両との間で車両情報の送受信を行うことができる。車両情報は、車両の走行状態に関する情報であり、例えば、車両固有の識別子である車両ID、車両の位置及び速度、ウインカースイッチの状態(左又は右ウインカーのオン/オフ)、アクセル状態(アクセルのオン/オフ)、ブレーキ状態(ブレーキのオン/オフ)などの情報を含む。
【0036】
図3は本実施の形態の渋滞判定装置10により渋滞判定を行う交差点の一例を示す模式図である。図3に示すように、交差点には車両用の信号灯器1を設けてある。交差点に交差する道路上の上流側には、渋滞が発生しているか否かを判定するための基準としての所定地点Aを設けている。所定地点Aは、例えば、飽和交通流率、信号灯器1の青信号時間及び平均車頭間隔をそれぞれ積算した値とすることができる。ここで、飽和交通流率は、常時青信号であった場合に、1車線・1時間当たりに最大で流れる交通量であり、一般的に2秒に1台程度である。
【0037】
交差点に進入する道路には交差点流入領域Bを設けてある。交差点流入領域Bは、例えば、交差点から所定の距離(例えば、20m程度)の範囲内の領域である。交差点流入領域Bを通過した左折車両が交差点で左折して進入する道路には、交差点流出領域Cを設けてある。交差点流出領域Cは、交差点から所定の距離(例えば、20m程度)の範囲内の領域である。交差点流出領域Cは、交差点を左折した左折車両が交差点の流出先で渋滞(先詰まり)しているか否かを判定するための領域である。
【0038】
交差点付近には、横断歩道3を設けてあり、横断歩道3に対して歩行者用灯器2を設置してある。歩行者用灯器2は、歩行者青信号(PG)、歩行者青点滅信号(PF)、歩行者赤信号(PR)で1サイクルを構成している。なお、車両用の信号灯器1の青信号時間は、歩行者青信号時間、歩行者青点滅信号時間及び歩行者赤信号時間で構成されている。なお、図3の例では、簡略化のため、交差点に交差する4つの道路のうち1つの道路を走行する左折車両に対応させて、車両用信号灯器1、交差点流入領域B、交差点流出領域C、歩行者用灯器2、横断歩道3などを例示しているが、かかる構成に限定されるものではなく、交差する各道路についても同様の構成とすることができる。また、図3の例では、直進車線と左折車線とが共通の車線であるが、左折専用車線を設けた構成でもよい。
【0039】
図4は本実施の形態に係る渋滞判定装置10の構成の一例を示すブロック図である。渋滞判定装置10は、装置全体を制御するための制御部11、通信部12、車両の走行状態を判定する車両判定部13、渋滞要因を判定する渋滞判定部14、歩行者用灯器2の灯色表示時間を調整するための信号制御部15、渋滞判定部14の処理を起動する起動部16、流出領域渋滞判定部17、交差点付近の位置情報を含む道路情報を記憶する記憶部18などを備える。
【0040】
交通信号制御機が渋滞判定装置10であってもよい。すなわち、本実施の形態の渋滞判定装置10は、交通信号制御機そのものである。あるいは、交通信号制御機に対して指令を与える上位装置である中央の信号制御装置が渋滞判定装置10であってもよい。すなわち、本実施の形態の渋滞判定装置10は、中央の信号制御装置であってもよい。
【0041】
通信部12は、車両の走行状態に関する車両情報を取得する車両情報取得手段としての機能を有する。通信部12は、例えば、中域通信としてUHF帯における無線通信機能を備える。なお、UHF帯に限定されるものではなく、VHF帯における通信機能、無線LANなどの通信機能を備えるものでもよい。通信部12は、図1に例示した通信領域S内に存在する車両同士の車車間通信で送受信される車両情報を取得(受信)する。通信部12が取得する車両情報は、例えば、車両固有の識別子である車両ID、車両の位置及び速度、ウインカースイッチの状態(左又は右ウインカーのオン/オフ)、アクセル状態(アクセルのオン/オフ)、ブレーキ状態(ブレーキのオン/オフ)などの情報である。
【0042】
車両判定部13は、通信部12で取得した車両情報に基づいて、交差点に向かう車両が左折車両であるか否かを判定する車両判定手段としての機能を有する。左折車両であるか否かの判定は、例えば、左ウインカーがオンである車両を左折車両と判定することができる。また、左折専用車線が設けられている場合には、左折車両であるか否かの判定は、交差点付近の道路地図を参照して、車両の位置が左折専用車線にあるか否かによっても判定することができる。また、車両判定部13は、交差点付近の車両の走行軌跡(所定時間毎又は所定距離毎の複数の車両位置)に基づいて、車両が流入路からどの流出路に走行したかを判定し、左折方向の流出路に走行した車両を左折車両と判定することもできる。
【0043】
渋滞判定部14は、車両判定部13で判定した左折車両の歩行者青信号(歩行者青点滅信号を含んでもよい)での速度が、歩行者赤信号での速度より遅い場合、左折車両と歩行者との交錯による左折渋滞と判定する渋滞判定手段としての機能を有する。
【0044】
起動部16は、渋滞判定部14による渋滞判定処理を起動する起動手段としての機能を有する。以下、交差点における左折車両と歩行者との交錯による左折渋滞の判定方法及び渋滞判定処理の起動条件について説明する。
【0045】
図5及び図6は本実施の形態の渋滞判定装置10による左折渋滞判定の一例を示す模式図である。図5は歩行者用灯器2が歩行者青信号(PG)又は歩行者青点滅信号(PF)である場合を示し、図6は歩行者用灯器2が歩行者赤信号(PR)である場合を示す。また、図5、図6において、模様を付した車両は左折車両であり、模様のない車両は直進車両を表す。
【0046】
左折車両と歩行者との交錯による左折渋滞であるか否かの判定は、歩行者用灯器2の歩行者青信号(PG、PF)での左折車両の速度が、歩行者赤信号(PR)での速度より遅い場合、左折車両と歩行者との交錯による左折渋滞と判定する。図5に示すように、歩行者用灯器2が歩行者青信号(PG又はPF)で歩行者が横断歩道を横断している場合、左折車両203は歩行者の横断を優先させるべく停止又は比較的遅い速度で走行することになる。一方、図6に示すように、歩行者用灯器2が歩行者赤信号(PR)では、歩行者が横断歩道を横断していないので、左折車両204、205が歩行者の横断を待つ必要はなく比較的速い速度で左折することができる。従って、左折車両の歩行者青信号(歩行者青点滅信号を含んでもよい)での速度が、歩行者赤信号での速度より遅い場合、左折車両は歩行者の横断を待っていると判定することができ、渋滞の要因が左折車両と歩行者との交錯による左折渋滞と判定することができる。なお、歩行者青信号での左折車両と、歩行者赤信号での左折車両とは、異なる車両でもよく、あるいは同一の車両であってもよい。
【0047】
上述の例では、歩行者との交錯による左折渋滞の判定条件として、左折車両の歩行者青信号(歩行者青点滅信号を含んでもよい)での速度が、歩行者赤信号での速度より遅い場合としたが、かかる判定条件には、次の条件も含む。例えば、歩行者赤信号での左折車両の速度と歩行者青信号での左折車両の速度との速度差が第1閾値としての速度閾値Vth1(例えば、5km/h)以上とすることができる。また、別の条件として、歩行者赤信号での左折車両の速度が第3閾値としての速度閾値Vth3(例えば、10km/h)以上(速く)であり、歩行者青信号での左折車両の速度が第2閾値としての速度閾値Vth2(例えば、5km/h)以下(遅い)とすることもできる。ここで、第2閾値<第3閾値とする。
【0048】
また、歩行者との交錯による左折渋滞の判定条件として、左折車両の歩行者青信号(歩行者青点滅信号を含んでもよい)での速度が、歩行者赤信号での速度より遅い場合との条件に、次の第2条件を加味することも可能である。すなわち、左折車両の交差点流出領域Cでの渋滞を判定し、渋滞がないと判定した場合、左折車両と歩行者との交錯による左折渋滞と判定する。
【0049】
流出領域渋滞判定部17は、左折車両の交差点流出領域での渋滞を判定する流出領域渋滞判定手段として機能を有する。交差点の流出先で渋滞(先詰まり)が発生しているか否かを判定し、渋滞が発生していないことを左折渋滞の条件とすることにより、渋滞の要因から先詰まりを除外した状態で渋滞要因を判定することができ、精度良く渋滞要因を判定することができる。
【0050】
流出領域渋滞判定部17は、交差点流出領域Cでの左折車両の速度が、左折前の交差点流入領域Bでの左折車両の速度より速い場合、交差点流出領域Cでの渋滞がないと判定する。図6に示すように、交差点流入領域Bにおいて渋滞中の左折車両202は停止しているか、あるいは左折車両204の速度は比較的遅いのに対し、交差点流出領域Cで渋滞(先詰まり)がない場合には、交差点流出領域Cでは左折車両205は比較的速い速度で走行できるので、交差点流出領域Cでの左折車両の速度が、左折前の交差点流入領域Bでの左折車両の速度より速くなる場合、交差点流出領域Cでの渋滞(先詰まり)はないと判定することができる。
【0051】
また、別の方法として、流出領域渋滞判定部17は、交差点流出領域Cでの左折車両の速度と、左折前の交差点流入領域Bでの左折車両の速度との差分が第4閾値としての速度閾値Vth4(例えば、5km/h)以上である場合、交差点流出領域Cでの渋滞がないと判定する。図6に示すように、交差点流入領域Bにおいて渋滞中の左折車両202は停止しているか、あるいは左折車両204の速度は比較的遅いのに対し、交差点流出領域Cで渋滞(先詰まり)がない場合には、交差点流出領域Cでは左折車両205は比較的速い速度で走行できるので、交差点流出領域Cでの左折車両の速度と、左折前の交差点流入領域Bでの左折車両の速度との差分が第4閾値としての速度閾値Vth4以上となる場合、交差点流出領域Cでの渋滞(先詰まり)はないと判定することができる。
【0052】
さらに、別の方法として、流出領域渋滞判定部17は、交差点流出領域Cでの左折車両の速度が第5閾値としての速度閾値Vth5(例えば、10km/h)以上であり、左折前の交差点流入領域Bでの左折車両の速度が第6閾値としての速度閾値Vth6(例えば、5km/h)以下である場合、交差点流出領域Cでの渋滞がないと判定する。ここで、第5閾値>第6閾値とする。図6に示すように、交差点流入領域Bにおいて渋滞中の左折車両202は停止しているか、あるいは左折車両204の速度は比較的遅いのに対し、交差点流出領域Cで渋滞(先詰まり)がない場合には、交差点流出領域Cでは左折車両205は比較的速い速度で走行できるので、交差点流出領域Cでの左折車両の速度が第5閾値としての速度閾値Vth5以上であり、左折前の交差点流入領域Bでの左折車両の速度が第6閾値としての速度閾値Vth6以下である場合、交差点流出領域Cでの渋滞(先詰まり)はないと判定することができる。
【0053】
次に、渋滞判定処理の起動条件について説明する。起動部16は、車両判定部13で判定した左折車両の停止位置が、交差点より上流側の所定位置Aより上流にある場合、渋滞判定の処理を起動する。図5及び図6の例では、停止中の左折車両201が所定地点Aより上流側に存在しているので、渋滞判定部14による渋滞判定処理が行われる。これにより、信号灯器の1回の青信号時間の間に交差点を流出することができる台数を超えた台数の車両が交差点の上流側に停止しているときに渋滞が発生していると判定し渋滞要因の判定処理を起動することができるので、渋滞時にだけ渋滞要因の判定処理を行うことができ、処理労力を低減することができる。
【0054】
また、別の起動条件を設けることもできる。すなわち、起動部16は、左折車両の歩行者青信号での速度が速度閾値(例えば、5km/h)より遅い場合、渋滞判定処理を起動する。歩行者用灯器2が歩行者青信号のときに左折車両の速度が遅いのは、左折車両が横断歩道を横断中の歩行者待ちをするため停止又は徐行している可能性があるため、渋滞判定処理を起動する。これにより、渋滞時にだけ渋滞要因の判定処理を行うことができ、処理労力を低減することができる。
【0055】
図7は本実施の形態の渋滞判定装置10による左折渋滞判定の他の例を示す模式図である。図7の例は、交差点で左折した左折車両206が、交差点流出領域Cで渋滞している場合を示す。このような場合、歩行者用灯器2の歩行者赤信号時間を延長しても、左折先の道路で渋滞しているため、交差点での歩行者との交錯による左折渋滞を解消することができない。そこで、図7の例で示すような状態、すなわち、左折車両が交差点を左折して交差点流出領域Cで渋滞している場合には、渋滞判定部14による渋滞判定処理を行わないようにする。
【0056】
信号制御部15は、渋滞判定部14で左折渋滞と判定した場合、歩行者用灯器2の歩行者赤信号時間を延長する信号制御手段としての機能を有する。歩行者との交錯による左折渋滞が渋滞の要因であると判明した場合に歩行者灯器2の歩行者赤信号時間を延長することにより、無駄な青信号時間が発生することなく、渋滞の早期解消を図ることができる。
【0057】
また、信号制御部15は、歩行者青信号時間が最小保証時間となるように歩行者用灯器2を制御してもよい。最小保証時間は、横断する道路の幅員を歩行者の歩行速度で除算して算出される値以上の時間である。横断歩道を横断する歩行者の歩行速度は1m/sとし、例えば、道路の幅員が10mであれば、最小保証時間は10秒以上とすることができる。これにより、左折渋滞を解消しつつ歩行者の安全を確保することができる。
【0058】
次に、本実施の形態の渋滞判定装置10の動作について説明する。図8は本実施の形態の渋滞判定装置10の渋滞判定処理の手順を示すフローチャートである。制御部11が渋滞判定装置10内の各部を制御するので、以下では、制御部11が処理を行うものとして説明する。
【0059】
制御部11は、通信領域S内の車両から走行状態に関する車両情報を取得し(S11)、取得した車両情報に基づいて、左折車両を判定する(S12)。制御部11は、左折車両の停止位置が所定地点Aより上流にあるか否かを判定し(S13)、停止位置が所定地点Aより上流にない場合(S13でNO)、渋滞要因の判定を行う必要がないとして、ステップS11以降の処理を続ける。
【0060】
右折車両の停止位置が所定地点Aより上流にある場合(S13でYES)、制御部11は、歩行者青信号時の左折車両の速度が速度閾値より遅いか否かを判定する(S14)。歩行者青信号時の左折車両の速度が速度閾値より遅くない場合(S14でNO)、制御部11は、左折車両が横断歩道を横断中の歩行者待ちをすることなく円滑に交差点を左折しているとして、渋滞要因の判定を行うことなくステップS11以降の処理を続ける。
【0061】
歩行者青信号時の左折車両の速度が速度閾値より遅い場合(S14でYES)、制御部11は、左折車両が横断歩道を横断中の歩行者待ちをするため停止又は徐行している可能性があるとして、渋滞要因を判定すべく、左折車両の歩行者青信号時の速度が歩行者赤信号時の速度より遅いか否かを判定する(S15)。
【0062】
左折車両の歩行者青信号時の速度が歩行者赤信号時の速度より遅い場合(S15でYES)、制御部11は、左折車両と歩行者との交錯による左折渋滞が発生しているとして、歩行者赤信号時間を延長する(S16)。左折車両の歩行者青信号時の速度が歩行者赤信号時の速度より遅くない場合(S15でNO)、制御部11は、左折車両と歩行者との交錯による左折渋滞ではないとして、ステップS16の処理を行わずに後述のステップS17の処理を行う。
【0063】
制御部11は、処理を終了するか否かを判定し(S17)、処理を終了しない場合(S17でNO)、ステップS11以降の処理を繰り返し、処理を終了すると判定した場合(S17でYES)、処理を終了する。
【0064】
上述の処理手順では、ステップS13及びステップS14における判定がいずれもYESの場合に、渋滞判定処理を行うが、これに限定されるものではなく、ステップS14の処理を省略することもできる。
【0065】
渋滞判定装置10は、CPU、RAMなどを備えた汎用コンピュータを用いて実現することもできる。すなわち、図8に示すような処理手順を定めたプログラムコードをコンピュータに備えられたRAMにロードし、プログラムコードをCPUで実行することにより、コンピュータ上で渋滞判定装置を実現することができる。
【0066】
上述の実施の形態で、交差点流出領域Cで渋滞が発生している場合、渋滞判定装置10が、交差点流出領域Cの下流側の交差点における渋滞要因を判定した結果を用いて、下流側の交差点の青信号時間を延長して、交差点流出領域Cでの渋滞を解消させるようにすることもできる。
【0067】
上述の実施の形態において、渋滞判定の処理は、交差点の車両用の信号灯器1の灯色の表示時間、切替タイミングなどの信号情報を取得しておき、信号灯器1の灯色の切替タイミングに同期させて行うこともできる。例えば、交差点の信号灯器1の灯色が青信号(右折用の青信号も含む)である時間帯において、渋滞判定を行ってもよい。これにより、青信号の時間帯における渋滞を解消することができる。また、複数のサイクルを含む所定の時間の間、繰り返し渋滞判定を行って、左折渋滞が繰り返し継続する場合に、歩行者用灯器2の歩行者赤信号時間を延長するようにしてもよい。これにより、過渡的な左折渋滞を除外して歩行者用の灯色時間が頻繁に変化することによる車両用の信号灯器1の灯色時間も頻繁に変化する事態を抑制しつつ、慢性的な左折渋滞を解消させることができる。
【0068】
上述の実施の形態では、渋滞判定装置10は、交通信号制御機又は中央の信号制御装置であったが、これに限定されるものではない。例えば、渋滞判定装置10を交通信号制御機又は信号制御装置と別の装置とし、渋滞判定装置10が交通信号制御機又は信号制御装置に歩行者赤信号時間の延長の指示を出力し、交通信号制御機又は信号制御装置がこの指示に従って歩行者赤信号時間を延長してもよい。
【0069】
開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0070】
11 制御部
12 通信部(車両情報取得手段)
13 車両判定部(車両判定手段)
14 渋滞判定部(渋滞判定手段)
15 信号制御部(信号制御手段)
16 起動部(起動手段)
17 流出領域渋滞判定部(流出領域渋滞判定手段)
18 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差点付近に存在する車両による渋滞要因を判定する渋滞判定装置において、
車両の走行状態に関する車両情報を取得する車両情報取得手段と、
該車両情報取得手段で取得した車両情報に基づいて左折車両を判定する車両判定手段と、
該車両判定手段で判定した左折車両の歩行者青信号での速度が、歩行者赤信号での速度より遅い場合、左折車両と歩行者との交錯による左折渋滞と判定する渋滞判定手段と
を備えることを特徴とする渋滞判定装置。
【請求項2】
前記渋滞判定手段で左折渋滞と判定した場合、歩行者赤信号時間を延長する信号制御手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の渋滞判定装置。
【請求項3】
前記信号制御手段は、
歩行者青信号時間が最小保証時間となるように構成してあることを特徴とする請求項2に記載の渋滞判定装置。
【請求項4】
前記車両判定手段で判定した左折車両の交差点流出領域での渋滞を判定する流出領域渋滞判定手段を備え、
前記渋滞判定手段は、
前記流出領域渋滞判定手段で渋滞がないと判定した場合、左折車両と歩行者との交錯による左折渋滞と判定するように構成してあることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の渋滞判定装置。
【請求項5】
前記流出領域渋滞判定手段は、
前記交差点流出領域での左折車両の速度が、左折前の交差点流入領域での左折車両の速度より速い場合、前記交差点流出領域での渋滞がないと判定するように構成してあることを特徴とする請求項4に記載の渋滞判定装置。
【請求項6】
前記車両判定手段で判定した左折車両の停止位置が、交差点より上流側の所定位置より上流にある場合、前記渋滞判定手段の判定処理を起動する起動手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の渋滞判定装置。
【請求項7】
前記車両判定手段で判定した左折車両の歩行者青信号での速度が速度閾値より遅い場合、前記渋滞判定手段の判定処理を起動する起動手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の渋滞判定装置。
【請求項8】
前記渋滞判定手段は、
前記車両判定手段で判定した左折車両の歩行者青信号での速度と歩行者赤信号での速度との差分が第1閾値以上である場合、左折車両と歩行者との交錯による左折渋滞と判定するように構成してあることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の渋滞判定装置。
【請求項9】
前記渋滞判定手段は、
前記車両判定手段で判定した左折車両の歩行者青信号での速度が第2閾値以下であり、左折車両の歩行者赤信号での速度が前記第2閾値より大きい第3閾値以上である場合、左折車両と歩行者との交錯による左折渋滞と判定するように構成してあることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の渋滞判定装置。
【請求項10】
前記流出領域渋滞判定手段は、
前記交差点流出領域での左折車両の速度と、左折前の交差点流入領域での左折車両の速度との差分が第4閾値以上である場合、前記交差点流出領域での渋滞がないと判定するように構成してあることを特徴とする請求項5に記載の渋滞判定装置。
【請求項11】
前記流出領域渋滞判定手段は、
前記交差点流出領域での左折車両の速度が第5閾値以上であり、左折前の交差点流入領域での左折車両の速度が前記第5閾値より小さい第6閾値以下である場合、前記交差点流出領域での渋滞がないと判定するように構成してあることを特徴とする請求項5に記載の渋滞判定装置。
【請求項12】
コンピュータに、交差点付近に存在する車両による渋滞要因を判定するステップを実行させるためのコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータに、
車両の走行状態に関する車両情報に基づいて左折車両を判定するステップと、
該判定ステップで判定した左折車両の歩行者青信号での速度が、歩行者赤信号での速度より遅い場合、左折車両と歩行者との交錯による左折渋滞と判定するステップと
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−192050(P2011−192050A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58013(P2010−58013)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】