減衰装置付き切開器具
【課題】減衰装置付き切開器具を提供する。
【解決手段】切開器具は、ハウジングと、ランセットホルダを保持するように構成された可動ランセットホルダと、発射機構体と、深さ停止具インターフェイス面を備えた深さ停止具と、切開中の音および振動のうち少なくとも一方を減衰させる減衰装置と、を含む。可動ランセットホルダ、深さ停止具、および減衰装置は各々、例えば、少なくとも部分的にハウジング内に配置される。加うるに、可動ランセットホルダと発射機構体とは、ランセットで標的部位を切開するよう作動的に連結される。減衰装置は、ランセットホルダ第1深さ停止具インターフェイス面と深さ停止具インターフェイス面との間に設けられる。
【解決手段】切開器具は、ハウジングと、ランセットホルダを保持するように構成された可動ランセットホルダと、発射機構体と、深さ停止具インターフェイス面を備えた深さ停止具と、切開中の音および振動のうち少なくとも一方を減衰させる減衰装置と、を含む。可動ランセットホルダ、深さ停止具、および減衰装置は各々、例えば、少なくとも部分的にハウジング内に配置される。加うるに、可動ランセットホルダと発射機構体とは、ランセットで標的部位を切開するよう作動的に連結される。減衰装置は、ランセットホルダ第1深さ停止具インターフェイス面と深さ停止具インターフェイス面との間に設けられる。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔クロスレファレンス〕
本願は、2006年1月20日に出願された米国仮特許出願第60/760,497号明細書の権益主張出願であり、この米国仮特許出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書に組み入れる。
【0002】
〔発明の背景〕
1.発明の分野
本発明は、一般に、医療器具、特に、切開器具およびこれらと関連した方法に関する。
【0003】
2.関連技術の説明
従来型の切開器具(lancing devices)は、一般に、剛性ハウジング、種々の作動機構体および簡単に切開器具の一端から突き出るようにねらい付けされると共に発射されることができるランセットを有している。例えば、従来型切開器具は、ランセットを有する場合があり、このランセットは、剛性ハウジングに対してその長手方向軸線沿いに動くことができるよう剛性ハウジング内に設けられる。典型的には、ランセットは、ばね押しされており、ばねの解除時に、発射されて標的部位(例えば、皮膚組織標的部位)を穿通する(すなわち、「切開」する)。次に、体液サンプル(例えば、全血サンプル)を収集および分析のために穿通標的部位から圧出するのがよい。従来型切開器具は、例えば、モリタ(Morita)に付与された米国特許第5,730,753号明細書、テイラ等(Taylor et al.)に付与された米国特許第6,045,567号明細書、ダグラス等(Douglas et al.)に付与された米国特許第6,071,250号明細書、シュラーガ(Schraga)に付与された米国特許第6,156,051号明細書、ル・ヴォーン等(Le Vaughn et al.)に付与された米国特許第6,197,040号明細書およびパーセル等(Purcell et al.)に付与された米国特許第6,607,543号明細書に記載されており、これら米国特許の各々を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書に組み込む。
【0004】
従来型切開器具は典型的には、ユーザが切開器具のねらいを付け、切開器具を標的部位に押し付け、次に、ボタンまたは他のスイッチを押して切開器具を手動で作動させて切開器具内のランセットを標的部位に向かって発射する(launched)こと(このことは、「発火する(fired)」とも呼ばれる)が必要である。ランセットは、標的部位を穿通し(例えば、切開し(lances))、それにより体液サンプルの圧出のための開口を形成する。
【0005】
本発明の特徴および利点は、本発明の原理を利用した例示の実施形態についての以下の詳細な説明および添付の図面を参照すると一層よく理解されよう。
【0006】
〔発明の詳細な説明〕
本発明の種々の実施形態としての切開器具は、ハウジングと、ランセットを保持するよう構成された可動ランセットホルダと、発射機構体と、深さ停止具インターフェイス面を備えた深さ停止具と、切開中の音および振動のうち少なくとも一方を減衰(dampening)させる減衰装置(damper)と、を有する。可動ランセットホルダは、ランセットホルダ第1深さ停止具インターフェイス面を含む。可動ランセットホルダ、深さ停止具、および減衰装置は各々、例えば、少なくとも部分的にハウジング内に配置されるのがよい。加うるに、可動ランセットホルダと発射機構体とは、ランセットで標的部位(例えば、皮膚組織標的部位)を切開するように作動的に連結され、かつ、減衰装置は、ランセットホルダ第1深さ停止具インターフェイス面と深さ停止具インターフェイス面との間に設けられている。さらに、標的部位の切開中、可動ランセットホルダの前方運動は、ランセットホルダ第1深さ停止具インターフェイス面と減衰装置と深さ停止具インターフェイス面との間の係合により止められる。
【0007】
図1は、従来型切開器具で使用できると考えられるランセットホルダおよび深さ停止具の形態100の単純化された概略断面図である。形態100は、可動ランセットホルダ102および深さ停止具104を含む。可動ランセットホルダ102は、針Nを含むランセットLを保持するよう構成されている。さらに、可動ランセットホルダ102は、ランセットホルダ深さ停止具インターフェイス面106を含み、深さ停止具104は、深さ停止具インターフェイス面108を含んでいる。可動ランセットホルダ102は、例えば、熱可塑性エラストマー、例えば、アセタル(acetal)、ナイロンおよびポリカーボネートとポリエステルの混合物(polycarbonate-polyester blends)から形成されるのがよい。深さ停止具104は、例えば、熱可塑性材料、例えば、アセタルおよびポリカーボネートから形成されるのがよい。
【0008】
図1の形態では、矢印Aの方向における可動ランセットホルダ102の運動は、ランセットホルダ深さ停止具インターフェイス面106が深さ停止具インターフェイス面108と接触する(すなわち、係合する)と、急に止められる。かかる急停止によりユーザを不安にさせ、ユーザに苦痛の知覚を生じさせる、振動および/または騒音を生じる場合がある。
【0009】
図2Aは、本発明の種々の実施形態に従って切開器具で使用できるランセットホルダ、減衰装置および深さ停止具の形態200をこれらの係合前の状態で示す単純化された概略断面図である。図2Bは、ランセットホルダ、減衰装置および深さ停止具の形態200をこれらの係合中で示す単純化された概略断面図である。
【0010】
形態200は、可動ランセットホルダ202、減衰装置203および深さ停止具204を含んでいる。可動ランセットホルダ202は、針Nを含むランセットLを保持するよう構成されている。さらに、可動ランセットホルダ202は、ランセットホルダ深さ停止具インターフェイス面206を含み、深さ停止具204は、深さ停止具インターフェイス面208を含んでいる。
【0011】
減衰装置203を、適当な任意の、音および/または振動減衰材料から形成するのがよく、かかる減衰材料としては、例えば、エラストマー材料、ブタジエンおよびアクリロニトリルのコポリマー(copolymer of butadiene and acrylonitrile)、シリコーンゴム、粘弾性ポリマー(visco-elastic polymer)(例えば、熱硬化性ポリエーテル系ポリウレタン(thermoset polyether-based polyurethane))またはこれらの組合せが挙げられる。減衰装置203を例えば、Oリングとして形作るのがよい。適当な材料としては、デュロメーター(durometer)のショアーAスケールで60〜80の範囲を有する材料が挙げられるが、これらには限定されない。
【0012】
図2Aおよび図2Bの形態では、矢印A′の方向における可動ランセットホルダ202の運動は、はじめに遅くなり(すなわち、減速され)、それから、ランセットホルダ深さ停止具インターフェイス面206、減衰装置203、および深さ停止具インターフェイス面208の係合により止められる(図2B参照)。かかる係合の際、可動ランセットホルダ202は、ランセットホルダ深さ停止具インターフェイス面206と深さ停止具インターフェイス面208との間での減衰装置203の圧縮により減速される(図2Aと図2Bを比較参照)。すぐ前に述べた仕方での可動ランセットホルダの減速および減速後の停止は、図1の形態と比較して振動および騒音を減少させるのに役立つ。振動および/または騒音のかかる減少はまた、切開中におけるユーザの知覚される苦痛を軽減するのに役立ち得る。
【0013】
図3Aは、本発明の種々の他の実施形態に従って切開器具で使用できる別のランセットホルダ、減衰装置および深さ停止具の形態300をこれらの係合前の状態で示す単純化された概略断面図である。図3Bは、ランセットホルダ、減衰装置および深さ停止具の形態300をこれらの係合中で示す単純化された概略断面図である。
【0014】
形態300は、可動ランセットホルダ302、減衰装置303および深さ停止具304を含んでいる。可動ランセットホルダ302は、針Nを含むランセットLを保持するよう構成されている。さらに、可動ランセットホルダ302は、ランセットホルダ第1深さ停止具インターフェイス面306およびランセットホルダ第2深さ停止具インターフェイス面307を含む。また、深さ停止具304は、深さ停止具インターフェイス面308を含んでいる。
【0015】
図3Aおよび図3Bの形態では、矢印A″の方向における可動ランセットホルダ302の運動は、ランセットホルダ第1深さ停止具インターフェイス面306と深さ停止具インターフェイス面308との間での減衰装置303の圧縮により最初は、遅くなる(すなわち、減速される)。次に、矢印A″の方向における可動ランセットホルダ302の運動は、ランセットホルダの第2の深さ停止具インターフェイス面307と深さ停止具インターフェイス面308との間の係合により止められる(図3B参照)。
【0016】
すぐ前に述べた仕方での可動ランセットホルダの減速および減速後の停止は、図1の形態と比較して振動および騒音を減少させるのに役立つ。振動および/または騒音のかかる減少はまた、切開中におけるユーザの知覚される苦痛を軽減するのに役立ち得る。
【0017】
矢印A′の方向における可動ランセットホルダ202の運動は、最終的には、減衰装置203の圧縮により止められる。従って、減衰装置203の圧縮特性に、例えば劣化または製造上の公差に起因してばらつきがある場合、可動ランセットホルダ202を停止させるポイントもまた、ばらつきがあることになる。しかしながら、図3Aおよび図3Bの形態では、矢印A″の方向における可動ランセットホルダ302の運動は、最終的にはランセットホルダの第2の深さ停止具インターフェイス面307と深さ停止具インターフェイス面308との間の直接的な接触により止められ、かくして、可動ランセットホルダ302を停止させるポイントに関してばらつきが生じる可能性が無くなる。形態300のこの特性にも関わらず、形態200が好ましい場合がある。これは、減衰装置203の圧縮によってのみ可動ランセットホルダ202の最終的な停止を行う結果として、ランセットホルダの第2の深さ停止具インターフェイス面307と深さ停止具インターフェイス面308との間の接触による可動ランセットホルダ302の最終的な停止よりも騒音が少ないことがあるからである。
【0018】
図4は、図1、図2A、図2B、図3Aおよび図3Bの形態に関して、相対的なランセット速度をランセット位置の関数として表した単純化されたグラフ図である。図4は、性格上仮説に基づいて作成されたものであって必ずしも縮尺通りには作成されておらず、記述目的および説明目的であることが意図されている。線L1は、減衰装置が設けられていない場合のランセット速度を表している(すなわち、図1の形態100)。線L2は、形態200に関するランセット速度を表し、線L3は、形態300に関するランセット速度を表している。
【0019】
形態100の結果としてランセット速度は、ランセットホルダ深さ停止具インターフェイス面106が深さ停止具インターフェイス面108に直接係合したとき(図4の線L1を参照)本質的に瞬時にゼロにまで低下することになる。形態200(線L2)の場合、減衰装置203が圧縮され、可動ランセットホルダの運動が止められるまで可動ランセットホルダの減速が生じる。形態300(線L3)の場合、減衰装置303と深さ停止具インターフェイス面308との接触により、ランセットホルダの第2の深さ停止具インターフェイス面307が深さ停止具インターフェイス面308と接触するまで(図3B参照)可動ランセットホルダ302の減速が生じ、かかる接触時点で、ランセット速度は、迅速にゼロに近づく。上述したように、可動ランセットホルダのその停止前における減速は、切開中における振動および/または騒音を効果的に減少させるのに役立つ。形態200および300の減速に関する代表的であるが非限定的な持続時間は、約300マイクロ秒(approximately 300 micro-seconds)である。
【0020】
図5、図6および図7は、本発明の例示の実施形態によるコンパクトな切開器具500の種々の単純化された略図である。図5は、コンパクトな切開器具500の単純化された斜視図である。図6は、コンパクトな切開器具500の単純化された分解組立て斜視図であり、図7は、コンパクトな切開器具500の単純化された断面図である。
【0021】
図8は、使用中において、切開器具の減衰装置が切開器具の深さ停止具に係合する(接触する)前における使用中のコンパクトな切開器具500の単純化された断面図である。図9は、減衰装置が深さ停止具に係合した(接触した)後における図1のコンパクトな切開器具の別の単純化された断面図である。図10は、図8の二点鎖線で示された両方向を指し示す矢印B−B内からの図8の一部の単純化された断面図である。図11は、図9の二点鎖線で示された両方向を指し示す矢印C−C内からの図9の一部の単純化された断面図である。
【0022】
図5〜図11を参照すると、コンパクトな切開器具500はハウジング502、エンドキャップ503、フィンガキャップ504、深さ調整機構体506(特に図6参照)、ねらい付け機構体508、トリガ機構体510、発射機構体512および減衰装置513を含んでいる。
【0023】
以下に詳細に説明するように、発射機構体512、ねらい付け機構体508、およびトリガ機構体510は、標的部位(例えば、ユーザの皮膚組織標的部位)をコンパクトな切開器具500内に保持されたランセット(図5〜図11には示さず)で切開できるよう作動的に連結されている。この点に関し、発射機構体512は、ランセットの針が標的部位を切開するようにランセットを発射するように構成され、一方、ねらい付け機構体508は、切開器具を発火する前に(すなわち、ランセットを発射する前に)コンパクトな切開器具500をねらい付けするよう構成され、かつ、トリガ機構体510は、コンパクトな切開器具500の発火を作動させるよう構成されている。さらに、深さ調整機構体506は、ユーザが標的部位中への針の穿通深さを選択する(すなわち、あらかじめ定める)ために構成されている。
【0024】
コンパクトな切開器具500は、任意で適当なサイズのものであってよいが、有利には、ユーザの掌に納まるように寸法決めされるのがよく、従って、代表的であるが、非限定的な長さが、70mm〜90mmの範囲であり、代表的であるが、非限定的な幅は、約10mm〜約20mmの範囲である。かかるコンパクトなサイズは、必要な保管スペースが少なくかつ従来サイズの切開器具よりも目立ち具合が少ないので有利である。
【0025】
ハウジング502は、形状が全体として円筒形であり、このハウジングは、近位端部514、遠位端部516、第1の表面518、ねらい付け機構体オリフィス520、トリガ機構体オリフィス522、第2の表面526および把持特徴部528を含んでいる。第2の表面526は、例えば、コンパクトな切開器具500が表面上に配置された時に転がることがないように平らであるのがよい。
【0026】
ハウジング502は、例えば、硬質材料で形成されるのがよく、かかる硬質材料としては、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリアセタル(polyacetal)、ポリイミド、ポリケトン(polyketone)、ポリウレタン、ポリブチレンテレフタレート(polybutyleneteraphthalate)およびこれらの組合せが挙げられるが、これらには限定されない。ハウジング502は、半硬質材料で形成されてもよく、かかる半硬質材料としては、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリウレタン、エチレンプロピレンゴム、ポリメチルペンテン(polymethylpentene)およびこれらの組合せが挙げられる。所望ならば、ハウジング502は2つの細長い部品から容易に製造することができ、かかる2つの細長い部品を互いに膠着し、超音波溶接するか、またはスナップ嵌めして、ハウジング502を形成する。ハウジング502の近位端部514は、エンドキャップ503で閉鎖されており、このエンドキャップもまた、例えば、グルー(glue)、超音波溶接特徴部またはスナップ嵌め特徴部を用いて取り付けられるのがよい。
【0027】
フィンガキャップ504は、カラー540に取外し可能に連結されている。フィンガキャップ504は、開口部532(ランセットの針が切開中にこの開口部を通過する)が設けられた皮膚組織(すなわち、皮膚)係合面530、隆起特徴部536を備えたカラー係合端534および凹み538を含んでいる。
【0028】
深さ調整機構体506は、カラー540および案内部材542を含んでいる。カラー540は、カラーリム546を備えたカラー第1端部544、カラー第2端部548、深さ設定標識(図示せず)、凹部551および内部螺旋雌ねじ554を含んでいる。さらに、案内部材542は、孔556、螺旋雄ねじ558、案内部材溝560および外部突起562を含んでいる。深さ調整機構体506は、深さ停止具644に設けられた深さ停止具インターフェース面(以下に説明する要素624)をさらに含んでいる。
【0029】
ねらい付け機構体508は、取っ手564、内側溝(図示せず)および内側隆起部分(これまた図示せず)を含んでいる。トリガ機構体510は、本体574、トリガボタン576、ばね要素578およびラッチリム580を含んでいる。
【0030】
発射機構体512は、可動ランセットホルダ582、発射ばね584(発射ばね第1端部586および第2端部588をそれぞれ備えている)および引っ込みばね590を含んでいる。
【0031】
可動ランセットホルダ582は、近位端部592、遠位端部594、第1の中空部分596、第2の中空部分598、第1の表面600、第2の表面602、半径方向外方に拡張可能な部分606、スリット608、保持特徴部610、カム面(cam surface)612、窪み614、内面616および細長い突起618(突起端620を備えている)を含んでいる。可動ランセットホルダ582は、減衰装置513を保持する突起621をさらに含んでいる(特に、図8、図9、図10および図11参照)。
【0032】
コンパクトな切開器具500の構成要素の大部分を説明したので、次に、図5〜図11を参照してかかる構成要素の相互作用および機能に関する詳細を説明する。ねらい付け機構体508の一部が、ハウジング502のねらい付け機構体オリフィス520を介してユーザに見える。ねらい付け機構体508の取っ手564は、ハウジング502の近位端部514の近くで、ねらい付け機構体オリフィス520を通って、ハウジングの第1の表面518上に突き出ている。ユーザが、取っ手564を近位側へスライドさせてコンパクトな切開器具500のねらいを付ける。
【0033】
トリガ機構体510は、ハウジング502の第1の表面518上に設けられたトリガ部材オリフィス522を介してユーザに接近可能である。トリガ部材オリフィス522は、ユーザがトリガ機構体510とねらい付け機構体508との両方を、片手を用いて操作できるようにするために、ハウジングのねらい付け機構体オリフィス520にきわめて近接すると共にこのオリフィス520と同一のハウジング表面(すなわち、ハウジングの第1の表面518)上に設けられている。
【0034】
切開のための深さ設定標識(図示せず)は、ハウジング502の第1の表面518上の遠位端部516の近くに設けられているトリガ部材オリフィス522を介してユーザに見える。加うるに、ハウジング502は、ハウジング502の第2の表面526上に設けられた把持特徴部528を含んでいる。第2の表面526と把持特徴部528とは、ユーザがコンパクトな切開器具500を片手で容易に握り、かつ、操作できるように取っ手564およびトリガボタン576とは逆の関係にある。
【0035】
コンパクトな切開器具500の実施形態では、把持特徴部528は、ハウジング502の第2の表面526に設けられた凹みである。しかしながら、当業者であれば、本発明の開示をいったん理解すると、把持特徴部528がハウジング502の表面上に設けられた1つまたは2つ以上の突起または凹部を含むが、これらには限定されない任意で適当な形態、形状またはテキスチャ(texture)を取ることができる(そして、任意で適当な材料で形成できる)。
【0036】
可動ランセットホルダ582は、形状が全体として円筒形であり、第1の中空部分596および第2の中空部分598は、可動ランセットホルダ582の近位端部592および遠位端部594のところにそれぞれ設けられている(例えば、図7参照)。第1の中空部分596は、近位端部592から遠位端部594までの距離のほぼ1/3にわたって可動ランセットホルダ582中へ延びている。第2の中空部分598は、遠位端部594から近位端部592までの距離のほぼ1/3にわたって可動ランセットホルダ582中へ延びている。発射ばね584は、少なくとも部分的に第1の中空部分596内に設けられている。さらに、可動ランセットホルダ582は、ランセット(これは図示されていないが、このランセットは針を含む)を少なくとも部分的に第2の中空部分598内に取外し可能に保持できるよう構成されている。
【0037】
遠位端部594は、半径方向外方に拡張可能な部分606を含み、この部分は、ランセット(例えば、適当な市販のランセット)を可動ランセットホルダ582に容易に出し入れできるよう構成されたスリット608を備えている。
【0038】
近位端部592は、保持特徴部610を含み、この保持特徴部は、引っ込みばね590が可動ランセットホルダ582の近位端部592を包囲する関係となるように、この引っ込みばねを保持している。第1の表面600は、窪み614に隣接して設けられていて、トリガ機構体510のばね要素578と協働可能な(例えば、これに応動する)カム面612を含んでいる。第2の表面602には、カム面612および窪み614と共に、ねらい付け操作およびトリガ操作中、以下に説明するように機能する細長い突起618を含んでいる。
【0039】
発射ばね584は、可動ランセットホルダ582の運動を制御するように構成されている。発射ばねの第1の端部586は、エンドキャップ503の内面に係合し、一方、発射ばねの第2の端部588は、可動ランセットホルダ582の内面616に係合する(例えば、図7参照)。発射ばね584は代表的には、ランセットの発射の際、可動ランセットホルダ582に、約0.11〜0.91kg(約0.25〜2ポンド)、および、好ましくは約0.23〜0.45kg(約0.5〜1ポンド)のばね力を加える。コンパクトな切開器具500の実施形態では、引っ込みばね590は、発射ばね584と本質的に同心であり、それにより、コンパクトな切開器具500のコンパクトさに寄与する。
【0040】
引っ込みばね590は実質的に、ねらい付け機構体508と可動ランセットホルダ582との間の周方向空間内に位置している。引っ込みばね590は、ランセットを標的部位中に発射した後、可動ランセットホルダ582を引き戻し、コンパクトな切開器具500の使用中における可動ランセットホルダ582からの振動を減衰させ、ランセットの針が標的部位に2回目の穿通をするのを阻止する。引っ込みばね590はまた、発射後にねらい付け機構体508を休止位置に戻す。引っ込みばね590の一端部はまた、コンパクトな切開器具500のねらい付け中、ねらい付け機構体508と係合する。引っ込みばね590を任意で適当な材料で形成することができ、かかる材料としては、プラスティック材料(例えば、ポリプロピレンおよびポリエステル)、金属材料またはこれらの任意の組合せが挙げられる。
【0041】
発射ばね584および/または引っ込みばね590を切開中の音および振動のうち少なくとも一方を減衰させるのを助ける減衰材料で被覆するのがよい。かかるばね被覆材料としては、例えば、ポリマー材料、例えば、テフロン(Teflon:登録商標)、シリコーン、ナイロンまたはこれらの任意の組合せが挙げられる。発射ばね584および引っ込みばね590に、ばねの巻(turns)の形成前または後のいずれかにおいて、当業者に知られている方法、例えば、浸漬被覆法または噴霧被覆法によって、約0.005ミリメートル〜約0.015ミリメートルの厚さの範囲で完全または部分的な被覆を施すのがよい。少なくとも部分的に減衰材料(dampening material)で被覆された発射ばねおよび引っ込みばねを以下、減衰ばね(dampened spring)と呼ぶ。
【0042】
ねらい付け機構体508は、全体として中空であり、かつ、細長く、このねらい付け機構体は、可動ランセットホルダ582に対し可動ランセットホルダを包囲する関係をなして配置されている。ねらい付け機構体508の内側隆起部分572は、以下に説明するように、コンパクトな切開器具500のねらい付け中、引っ込みばね590の一端部に係合する。
【0043】
可動ランセットホルダ582の細長い突起618は、細長い突起618と係合する案内部材542の中の内部溝560内でスライド可能に動くよう構成されている。従って、内部溝は、コンパクトな切開器具500の使用中、可動ランセットホルダ582の相対回転運動を制限し、それにより、ユーザによって知覚される振動および/または苦痛が軽減される。
【0044】
トリガ機構体510は、内側が全体として細長く、リングの形をしており、かつ、このトリガ機構体は、可動ランセットホルダ582に対して可動ランセットホルダを包囲する関係をなして配置されている。トリガ機構体510は、ハウジング502に対して側方に動くことができるが、縦方向には動くことができない。
【0045】
ばね要素578が、トリガボタン576の内面577から内方に突き出ている。ばね要素578は、コンパクトな切開器具500のねらいを付けた時(図示せず)、カム面612に係合し、可動ランセットホルダ582がハウジング502の遠位端部516に向かって動いているときにランセットが発射されると、窪み614にスライド可能に係合する。可動ランセットホルダ582のねらい付け位置と発射位置との両方において、ばね要素578は、ねらい付け位置または加重位置を保持した状態で最小限の加重状態にあるが、トリガボタン576が押されて可動ランセットホルダ582をラッチ解除したとき、一時的に大きな程度まで加重される。従って、ばね要素578に加わる代表的な荷重は、コンパクトな切開器具500をねらい付けしたときでも、低く(例えば、20グラム未満)、かくして、コンパクトな切開器具500の耐久性は向上する。トリガ機構体510を一体型として形成(例えば、成形)されるのがよく、かくして、コンパクトな切開器具500の部品数は減少すると共にその製造が単純化される。
【0046】
コンパクトな切開器具500のねらいを付けると、トリガ機構体510のラッチリム580が、細長い突起618の突出端620に係合し、かつ、トリガボタン576が、トリガ位置まで側方に動く。ランセットを発射すると(すなわち、トリガボタン576を押し下げると)、ラッチリム580は、細長い突起610上をスライドし、可動ランセットホルダ582は、ハウジング502の遠位端部516に向かって動くことができる。
【0047】
深さ調整機構体506により、ユーザは、標的部位中への針の穿通の深さをあらかじめ定めることができる。フィンガキャップ504は、ランセットの針を挿通させる開口部532およびユーザがフィンガキャップ504を握り、かつ回転させ、ランセットの交換時にはエンドキャップをハウジング502から傾けるか、または引き離すことができるようにする、複数個の凹み538を含んでいる。フィンガキャップ504を任意で適当な材料で形成することができ、かかる材料としては、フィンガキャップ504を取り外した時、フィンガキャップ504が任意的に内方に変形してランセットを掴むことができ、それによりランセットをフィンガキャップ504と共に取り外すことができるように部分的に軟質なポリマー、例えば、ポリカーボネートもしくはABSまたはエラストマー材料、例えば、ゴム、ラテックス(latex)もしくはシリコーンが挙げられるが、これらには限定されない。
【0048】
フィンガキャップ504のカラー係合端部534は、カラーの第1の端部544と嵌合するよう形作られている。カラー係合端部534は、カラー540の複数個の凹部551と対応関係をなして、嵌合する複数個の隆起特徴部536を含んでいる。隆起特徴部536および凹部551は、ユーザがフィンガキャップを回して深さ設定値を調整できるようにフィンガキャップ504からカラー540へのトルク伝達を可能にする。フィンガキャップ504の内側近位端部に設けられたアンダーカット552およびカラー540の遠位端部に設けられた複数個の突起553は、わずかな機械的締め代(slight mechanical interference)で互いに係合してフィンガキャップ504の戻り止めを利用した保持(detent-based retention)を可能にするが、例えば一方の側に傾けるか、または引き離すことにより、フィンガキャップ504の取外しを容易にする。
【0049】
カラー540は、案内部材542に設けられた螺旋雄ねじ558(これは、本質的に螺旋雄ねじカム面である)と対応関係をなして係合する螺旋雌ねじ554、カラーの第1の端部544に設けられたカラーリム546およびカラーの第2の端部548を含んでいる。カラー540は、ハウジング502および案内部材542に対する回転およびスライドが可能であり、このカラーは、全体として中空円筒形の形を有している。
【0050】
案内部材542は、案内部材542をハウジング502の内面に設けられた凹部(図示せず)と嵌合する外側突起(図示せず)を介してハウジング502の内面に取り付けることにより、可動ランセットホルダ582に対して静止状態に保持されている。しかしながら、当業者に知られている任意の取付け手段を利用して案内部材542をハウジング502に固定してもよく、かかる取付け手段としては、ピン、ねじ、接着剤および超音波溶接が挙げられるが、これらには限定されない。
【0051】
フィンガキャップ504を回すことにより、針の穿通の深さが調節される。フィンガキャップ504を回すと、隆起特徴部536が、スプラインインターフェイス方式(spline interface methodology)を介してカラーの凹部551と係合する。これにより、カラー540の螺旋雌ねじ554が案内部材542の螺旋雄ねじ558と係合し、それにより、フィンガキャップ504をハウジング502から遠ざけるか、またはこれに近づけ、針が標的部位中に穿通する距離を変化させる。
【0052】
ねらい付け機構体508、トリガ機構体510、可動ランセットハウジング582、カラー540および案内部材542は、例えば、硬質材料で形成されるのがよく、かかる硬質材料としては、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリアセタル、ポリイミド、ポリケトン、ポリウレタン、ポリブチレンテレフタレートまたはこれらの組合せが挙げられるが、これらには限定されない。ねらい付け機構体508、トリガ機構体510、可動ランセットホルダ582、カラー540および案内部材542は、これら相互の摩擦(および結果としての摩擦、摩耗もしくは振動)を減少させる減摩性添加剤を任意に含むことができるが、かかる減摩性添加剤としては、例えば、シリコーン油、テフロン(Teflon:登録商標)または黒鉛が挙げられる。
【0053】
特に図8、図9、図10および図11を参照すると、コンパクトな切開器具500の使用中およびランセットの発射後、可動ランセットホルダ582の前方運動は、減衰装置513と深さ停止具インターフェイス面624の係合により止められる。減衰装置513は、ランセットの速度がゼロになるまでランセットの速度を遅らせ(すなわち、ランセットを減速させ)、かくして、有利には、ユーザが知覚する痛みが少ないように生じる振動および/または騒音を減少する。
【0054】
減衰装置513は、例えば、エラストマー材料、ブタジエンおよびアクリロニトリルのコポリマー、シリコーンゴム、ソルボタン(Sorbothane)またはこれらの組合せで形成されるのがよく、かつ、この減衰装置は、Oリングとして形成されるのがよい。厳しい公差(例えば、0.013mm〜0.076mm(0.0005インチ〜0.003インチ)の範囲の厳しい公差)もまた、振動の減少を助ける。
【0055】
図5〜図11に示す実施形態では、深さ停止具インターフェイス面が、深さ調節機構体506の一部品として示されており、減衰装置は、可動ランセットホルダ582に保持されるものとして示されている。しかしながら、当業者であれば当然理解されるように、深さ停止具インターフェイス面および減衰装置を切開器具の別の適当な表面、例えば、ハウジングまたはねらい付け取っ手に設けてもよい。
【0056】
図12は、本発明の例示の実施形態に従って減衰状態で切開を行う方法700を示す流れ図である。方法700は、ステップ710に記載しているように、切開器具を標的部位、例えば、皮膚組織標的部位に押し付けるステップを有する。
【0057】
次に、ステップ720に記載されているように、切開器具の可動ランセットホルダを発射して可動ランセットホルダが標的部位に向かって動くようにする。次に、音および振動のうち少なくとも一方の減衰が切開器具のランセットホルダ深さ停止具インターフェイスと減衰装置と深さ停止具インターフェイス面との係合により生じている状態で、標的部位を可動ランセットホルダにより保持されたランセットで切開する(ステップ730参照)。
【0058】
当業者であれば、本願の開示内容をいったん理解すると、方法700を含む本発明の方法を、図5〜図11の切開器具および図2A、図2B、図3Aおよび図3Bの形態を採用した切開器具を含むがこれらには限定されない、本発明の切開器具を用いて達成できることは理解されよう。また、加うるに、所望ならば、かかる切開器具の有利な特徴および有利な作動特徴部のうち任意のものを、例えば、方法700を含む本発明の方法に、組み込むことができる。
【0059】
本明細書において記載した本発明の実施形態の種々の変形例を本発明の実施にあたって採用できることは理解されるべきである。添付の特許請求の範囲は、本発明の範囲を定めており、特許請求の範囲およびその均等範囲に属する構造および方法は、本発明に含まれるものである。
【0060】
本発明の具体的な実施態様は、次の通りである。
(1)切開器具において、
ハウジングと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置されていて、かつ、ランセットを保持するように構成されている、可動ランセットホルダであって、ランセットホルダ第1深さ停止具インターフェイス面を含む、前記可動ランセットホルダと、
発射機構体と、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置されている深さ停止具であって、深さ停止具インターフェイス面を含む、前記深さ停止具と、
減衰装置であって、前記ランセットホルダ第1深さ停止具インターフェイス面と前記深さ停止具インターフェイス面との間に設けられており、切開中における音および振動のうち少なくとも一方を減衰させる、前記減衰装置と、
を含み、
前記可動ランセットホルダと前記発射機構体とは、前記ランセットで標的部位を切開するよう作動的に連結され、
標的部位の切開中における前記可動ランセットホルダの運動は、前記ランセットホルダ第1深さ停止具インターフェイス面と前記減衰装置と前記深さ停止具インターフェイス面との間の係合により止められる、
器具。
(2)実施態様(1)記載の器具において、
前記減衰装置は、エラストマー材料で形成されている、器具。
(3)実施態様(1)記載の器具において、
前記減衰装置は、エラストマーOリングである、器具。
(4)実施態様(1)記載の器具において、
前記減衰装置は、粘弾性ポリマーで形成されている、器具。
(5)実施態様(1)記載の器具において、
前記減衰装置は、デュロメーターのショアーAスケールで60〜80の範囲を有する、器具。
(6)実施態様(1)記載の器具において、
前記減衰装置は、前記運動の停止の前に前記可動ランセットホルダの速度を減速させる、器具。
(7)実施態様(6)記載の器具において、
前記減衰装置は、約300マイクロ秒の持続時間の間、前記速度を減速させる、器具。
(8)実施態様(1)記載の器具において、
ランセットホルダ第2深さ停止具インターフェイス面、
をさらに含み、
前記可動ランセットホルダの運動は、前記減衰装置と前記ランセットホルダ第1深さ停止具インターフェイス面と前記深さ停止具インターフェイス面との係合により減速され、
前記可動ランセットホルダの運動は、前記減衰装置と前記ランセットホルダ第1深さ停止具インターフェイス面と前記深さ停止具インターフェイス面との係合が前記ランセットホルダ第2深さ停止具インターフェイス面と前記深さ停止具インターフェイス面との係合と組み合わさることにより止められる、
器具。
(9)実施態様(8)記載の器具において、
前記減衰装置は、約300マイクロ秒の持続時間、前記速度を減速させる、器具。
(10)実施態様(1)記載の器具において、
前記減衰装置は、前記可動ランセットホルダに保持される、器具。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】ランセットホルダおよび深さ停止形態の単純化された断面略図である。
【図2A】本発明の種々の例示の実施形態に従って切開器具で利用できるランセットホルダ、減衰装置および深さ停止具(これらの係合前)の形態の単純化された断面略図である。
【図2B】図2Aのランセットホルダ、減衰装置および深さ停止具(これらの係合の際)の形態の別の単純化された断面略図である。
【図3A】本発明の種々の他の例示の実施形態に従って切開器具で用いることができる別のランセットホルダ、減衰装置および深さ停止具(これらの係合前)の形態の単純化された断面略図である。
【図3B】図3Aのランセットホルダ、減衰装置および深さ停止具(これらの係合の際)の形態の別の単純化された断面略図である。
【図4】図1、図2A、図2B、図3Aおよび図3Bの形態に関し、ランセット速度をランセット位置の関数として表した単純化されたグラフ図である。
【図5】本発明の例示の実施形態によるコンパクトな切開器具の単純化された斜視図である。
【図6】図5のコンパクトな切開器具の単純化された分解組立て斜視図である。
【図7】図5のコンパクトな切開器具の単純化された断面図である。
【図8】使用中において、切開器具の減衰装置が切開器具の深さ停止具に係合する(接触する)前における図5のコンパクトな切開器具の単純化された断面図である。
【図9】減衰装置が深さ停止具に係合した(接触した)後における図5のコンパクトな切開器具の別の単純化された断面図である。
【図10】図8の一部の単純化された断面図である。
【図11】図9の一部の単純化された断面図である。
【図12】本発明の例示の実施形態に従って減衰状態で切開する方法における一連のステップを示す流れ図である。
【開示の内容】
【0001】
〔クロスレファレンス〕
本願は、2006年1月20日に出願された米国仮特許出願第60/760,497号明細書の権益主張出願であり、この米国仮特許出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書に組み入れる。
【0002】
〔発明の背景〕
1.発明の分野
本発明は、一般に、医療器具、特に、切開器具およびこれらと関連した方法に関する。
【0003】
2.関連技術の説明
従来型の切開器具(lancing devices)は、一般に、剛性ハウジング、種々の作動機構体および簡単に切開器具の一端から突き出るようにねらい付けされると共に発射されることができるランセットを有している。例えば、従来型切開器具は、ランセットを有する場合があり、このランセットは、剛性ハウジングに対してその長手方向軸線沿いに動くことができるよう剛性ハウジング内に設けられる。典型的には、ランセットは、ばね押しされており、ばねの解除時に、発射されて標的部位(例えば、皮膚組織標的部位)を穿通する(すなわち、「切開」する)。次に、体液サンプル(例えば、全血サンプル)を収集および分析のために穿通標的部位から圧出するのがよい。従来型切開器具は、例えば、モリタ(Morita)に付与された米国特許第5,730,753号明細書、テイラ等(Taylor et al.)に付与された米国特許第6,045,567号明細書、ダグラス等(Douglas et al.)に付与された米国特許第6,071,250号明細書、シュラーガ(Schraga)に付与された米国特許第6,156,051号明細書、ル・ヴォーン等(Le Vaughn et al.)に付与された米国特許第6,197,040号明細書およびパーセル等(Purcell et al.)に付与された米国特許第6,607,543号明細書に記載されており、これら米国特許の各々を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書に組み込む。
【0004】
従来型切開器具は典型的には、ユーザが切開器具のねらいを付け、切開器具を標的部位に押し付け、次に、ボタンまたは他のスイッチを押して切開器具を手動で作動させて切開器具内のランセットを標的部位に向かって発射する(launched)こと(このことは、「発火する(fired)」とも呼ばれる)が必要である。ランセットは、標的部位を穿通し(例えば、切開し(lances))、それにより体液サンプルの圧出のための開口を形成する。
【0005】
本発明の特徴および利点は、本発明の原理を利用した例示の実施形態についての以下の詳細な説明および添付の図面を参照すると一層よく理解されよう。
【0006】
〔発明の詳細な説明〕
本発明の種々の実施形態としての切開器具は、ハウジングと、ランセットを保持するよう構成された可動ランセットホルダと、発射機構体と、深さ停止具インターフェイス面を備えた深さ停止具と、切開中の音および振動のうち少なくとも一方を減衰(dampening)させる減衰装置(damper)と、を有する。可動ランセットホルダは、ランセットホルダ第1深さ停止具インターフェイス面を含む。可動ランセットホルダ、深さ停止具、および減衰装置は各々、例えば、少なくとも部分的にハウジング内に配置されるのがよい。加うるに、可動ランセットホルダと発射機構体とは、ランセットで標的部位(例えば、皮膚組織標的部位)を切開するように作動的に連結され、かつ、減衰装置は、ランセットホルダ第1深さ停止具インターフェイス面と深さ停止具インターフェイス面との間に設けられている。さらに、標的部位の切開中、可動ランセットホルダの前方運動は、ランセットホルダ第1深さ停止具インターフェイス面と減衰装置と深さ停止具インターフェイス面との間の係合により止められる。
【0007】
図1は、従来型切開器具で使用できると考えられるランセットホルダおよび深さ停止具の形態100の単純化された概略断面図である。形態100は、可動ランセットホルダ102および深さ停止具104を含む。可動ランセットホルダ102は、針Nを含むランセットLを保持するよう構成されている。さらに、可動ランセットホルダ102は、ランセットホルダ深さ停止具インターフェイス面106を含み、深さ停止具104は、深さ停止具インターフェイス面108を含んでいる。可動ランセットホルダ102は、例えば、熱可塑性エラストマー、例えば、アセタル(acetal)、ナイロンおよびポリカーボネートとポリエステルの混合物(polycarbonate-polyester blends)から形成されるのがよい。深さ停止具104は、例えば、熱可塑性材料、例えば、アセタルおよびポリカーボネートから形成されるのがよい。
【0008】
図1の形態では、矢印Aの方向における可動ランセットホルダ102の運動は、ランセットホルダ深さ停止具インターフェイス面106が深さ停止具インターフェイス面108と接触する(すなわち、係合する)と、急に止められる。かかる急停止によりユーザを不安にさせ、ユーザに苦痛の知覚を生じさせる、振動および/または騒音を生じる場合がある。
【0009】
図2Aは、本発明の種々の実施形態に従って切開器具で使用できるランセットホルダ、減衰装置および深さ停止具の形態200をこれらの係合前の状態で示す単純化された概略断面図である。図2Bは、ランセットホルダ、減衰装置および深さ停止具の形態200をこれらの係合中で示す単純化された概略断面図である。
【0010】
形態200は、可動ランセットホルダ202、減衰装置203および深さ停止具204を含んでいる。可動ランセットホルダ202は、針Nを含むランセットLを保持するよう構成されている。さらに、可動ランセットホルダ202は、ランセットホルダ深さ停止具インターフェイス面206を含み、深さ停止具204は、深さ停止具インターフェイス面208を含んでいる。
【0011】
減衰装置203を、適当な任意の、音および/または振動減衰材料から形成するのがよく、かかる減衰材料としては、例えば、エラストマー材料、ブタジエンおよびアクリロニトリルのコポリマー(copolymer of butadiene and acrylonitrile)、シリコーンゴム、粘弾性ポリマー(visco-elastic polymer)(例えば、熱硬化性ポリエーテル系ポリウレタン(thermoset polyether-based polyurethane))またはこれらの組合せが挙げられる。減衰装置203を例えば、Oリングとして形作るのがよい。適当な材料としては、デュロメーター(durometer)のショアーAスケールで60〜80の範囲を有する材料が挙げられるが、これらには限定されない。
【0012】
図2Aおよび図2Bの形態では、矢印A′の方向における可動ランセットホルダ202の運動は、はじめに遅くなり(すなわち、減速され)、それから、ランセットホルダ深さ停止具インターフェイス面206、減衰装置203、および深さ停止具インターフェイス面208の係合により止められる(図2B参照)。かかる係合の際、可動ランセットホルダ202は、ランセットホルダ深さ停止具インターフェイス面206と深さ停止具インターフェイス面208との間での減衰装置203の圧縮により減速される(図2Aと図2Bを比較参照)。すぐ前に述べた仕方での可動ランセットホルダの減速および減速後の停止は、図1の形態と比較して振動および騒音を減少させるのに役立つ。振動および/または騒音のかかる減少はまた、切開中におけるユーザの知覚される苦痛を軽減するのに役立ち得る。
【0013】
図3Aは、本発明の種々の他の実施形態に従って切開器具で使用できる別のランセットホルダ、減衰装置および深さ停止具の形態300をこれらの係合前の状態で示す単純化された概略断面図である。図3Bは、ランセットホルダ、減衰装置および深さ停止具の形態300をこれらの係合中で示す単純化された概略断面図である。
【0014】
形態300は、可動ランセットホルダ302、減衰装置303および深さ停止具304を含んでいる。可動ランセットホルダ302は、針Nを含むランセットLを保持するよう構成されている。さらに、可動ランセットホルダ302は、ランセットホルダ第1深さ停止具インターフェイス面306およびランセットホルダ第2深さ停止具インターフェイス面307を含む。また、深さ停止具304は、深さ停止具インターフェイス面308を含んでいる。
【0015】
図3Aおよび図3Bの形態では、矢印A″の方向における可動ランセットホルダ302の運動は、ランセットホルダ第1深さ停止具インターフェイス面306と深さ停止具インターフェイス面308との間での減衰装置303の圧縮により最初は、遅くなる(すなわち、減速される)。次に、矢印A″の方向における可動ランセットホルダ302の運動は、ランセットホルダの第2の深さ停止具インターフェイス面307と深さ停止具インターフェイス面308との間の係合により止められる(図3B参照)。
【0016】
すぐ前に述べた仕方での可動ランセットホルダの減速および減速後の停止は、図1の形態と比較して振動および騒音を減少させるのに役立つ。振動および/または騒音のかかる減少はまた、切開中におけるユーザの知覚される苦痛を軽減するのに役立ち得る。
【0017】
矢印A′の方向における可動ランセットホルダ202の運動は、最終的には、減衰装置203の圧縮により止められる。従って、減衰装置203の圧縮特性に、例えば劣化または製造上の公差に起因してばらつきがある場合、可動ランセットホルダ202を停止させるポイントもまた、ばらつきがあることになる。しかしながら、図3Aおよび図3Bの形態では、矢印A″の方向における可動ランセットホルダ302の運動は、最終的にはランセットホルダの第2の深さ停止具インターフェイス面307と深さ停止具インターフェイス面308との間の直接的な接触により止められ、かくして、可動ランセットホルダ302を停止させるポイントに関してばらつきが生じる可能性が無くなる。形態300のこの特性にも関わらず、形態200が好ましい場合がある。これは、減衰装置203の圧縮によってのみ可動ランセットホルダ202の最終的な停止を行う結果として、ランセットホルダの第2の深さ停止具インターフェイス面307と深さ停止具インターフェイス面308との間の接触による可動ランセットホルダ302の最終的な停止よりも騒音が少ないことがあるからである。
【0018】
図4は、図1、図2A、図2B、図3Aおよび図3Bの形態に関して、相対的なランセット速度をランセット位置の関数として表した単純化されたグラフ図である。図4は、性格上仮説に基づいて作成されたものであって必ずしも縮尺通りには作成されておらず、記述目的および説明目的であることが意図されている。線L1は、減衰装置が設けられていない場合のランセット速度を表している(すなわち、図1の形態100)。線L2は、形態200に関するランセット速度を表し、線L3は、形態300に関するランセット速度を表している。
【0019】
形態100の結果としてランセット速度は、ランセットホルダ深さ停止具インターフェイス面106が深さ停止具インターフェイス面108に直接係合したとき(図4の線L1を参照)本質的に瞬時にゼロにまで低下することになる。形態200(線L2)の場合、減衰装置203が圧縮され、可動ランセットホルダの運動が止められるまで可動ランセットホルダの減速が生じる。形態300(線L3)の場合、減衰装置303と深さ停止具インターフェイス面308との接触により、ランセットホルダの第2の深さ停止具インターフェイス面307が深さ停止具インターフェイス面308と接触するまで(図3B参照)可動ランセットホルダ302の減速が生じ、かかる接触時点で、ランセット速度は、迅速にゼロに近づく。上述したように、可動ランセットホルダのその停止前における減速は、切開中における振動および/または騒音を効果的に減少させるのに役立つ。形態200および300の減速に関する代表的であるが非限定的な持続時間は、約300マイクロ秒(approximately 300 micro-seconds)である。
【0020】
図5、図6および図7は、本発明の例示の実施形態によるコンパクトな切開器具500の種々の単純化された略図である。図5は、コンパクトな切開器具500の単純化された斜視図である。図6は、コンパクトな切開器具500の単純化された分解組立て斜視図であり、図7は、コンパクトな切開器具500の単純化された断面図である。
【0021】
図8は、使用中において、切開器具の減衰装置が切開器具の深さ停止具に係合する(接触する)前における使用中のコンパクトな切開器具500の単純化された断面図である。図9は、減衰装置が深さ停止具に係合した(接触した)後における図1のコンパクトな切開器具の別の単純化された断面図である。図10は、図8の二点鎖線で示された両方向を指し示す矢印B−B内からの図8の一部の単純化された断面図である。図11は、図9の二点鎖線で示された両方向を指し示す矢印C−C内からの図9の一部の単純化された断面図である。
【0022】
図5〜図11を参照すると、コンパクトな切開器具500はハウジング502、エンドキャップ503、フィンガキャップ504、深さ調整機構体506(特に図6参照)、ねらい付け機構体508、トリガ機構体510、発射機構体512および減衰装置513を含んでいる。
【0023】
以下に詳細に説明するように、発射機構体512、ねらい付け機構体508、およびトリガ機構体510は、標的部位(例えば、ユーザの皮膚組織標的部位)をコンパクトな切開器具500内に保持されたランセット(図5〜図11には示さず)で切開できるよう作動的に連結されている。この点に関し、発射機構体512は、ランセットの針が標的部位を切開するようにランセットを発射するように構成され、一方、ねらい付け機構体508は、切開器具を発火する前に(すなわち、ランセットを発射する前に)コンパクトな切開器具500をねらい付けするよう構成され、かつ、トリガ機構体510は、コンパクトな切開器具500の発火を作動させるよう構成されている。さらに、深さ調整機構体506は、ユーザが標的部位中への針の穿通深さを選択する(すなわち、あらかじめ定める)ために構成されている。
【0024】
コンパクトな切開器具500は、任意で適当なサイズのものであってよいが、有利には、ユーザの掌に納まるように寸法決めされるのがよく、従って、代表的であるが、非限定的な長さが、70mm〜90mmの範囲であり、代表的であるが、非限定的な幅は、約10mm〜約20mmの範囲である。かかるコンパクトなサイズは、必要な保管スペースが少なくかつ従来サイズの切開器具よりも目立ち具合が少ないので有利である。
【0025】
ハウジング502は、形状が全体として円筒形であり、このハウジングは、近位端部514、遠位端部516、第1の表面518、ねらい付け機構体オリフィス520、トリガ機構体オリフィス522、第2の表面526および把持特徴部528を含んでいる。第2の表面526は、例えば、コンパクトな切開器具500が表面上に配置された時に転がることがないように平らであるのがよい。
【0026】
ハウジング502は、例えば、硬質材料で形成されるのがよく、かかる硬質材料としては、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリアセタル(polyacetal)、ポリイミド、ポリケトン(polyketone)、ポリウレタン、ポリブチレンテレフタレート(polybutyleneteraphthalate)およびこれらの組合せが挙げられるが、これらには限定されない。ハウジング502は、半硬質材料で形成されてもよく、かかる半硬質材料としては、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリウレタン、エチレンプロピレンゴム、ポリメチルペンテン(polymethylpentene)およびこれらの組合せが挙げられる。所望ならば、ハウジング502は2つの細長い部品から容易に製造することができ、かかる2つの細長い部品を互いに膠着し、超音波溶接するか、またはスナップ嵌めして、ハウジング502を形成する。ハウジング502の近位端部514は、エンドキャップ503で閉鎖されており、このエンドキャップもまた、例えば、グルー(glue)、超音波溶接特徴部またはスナップ嵌め特徴部を用いて取り付けられるのがよい。
【0027】
フィンガキャップ504は、カラー540に取外し可能に連結されている。フィンガキャップ504は、開口部532(ランセットの針が切開中にこの開口部を通過する)が設けられた皮膚組織(すなわち、皮膚)係合面530、隆起特徴部536を備えたカラー係合端534および凹み538を含んでいる。
【0028】
深さ調整機構体506は、カラー540および案内部材542を含んでいる。カラー540は、カラーリム546を備えたカラー第1端部544、カラー第2端部548、深さ設定標識(図示せず)、凹部551および内部螺旋雌ねじ554を含んでいる。さらに、案内部材542は、孔556、螺旋雄ねじ558、案内部材溝560および外部突起562を含んでいる。深さ調整機構体506は、深さ停止具644に設けられた深さ停止具インターフェース面(以下に説明する要素624)をさらに含んでいる。
【0029】
ねらい付け機構体508は、取っ手564、内側溝(図示せず)および内側隆起部分(これまた図示せず)を含んでいる。トリガ機構体510は、本体574、トリガボタン576、ばね要素578およびラッチリム580を含んでいる。
【0030】
発射機構体512は、可動ランセットホルダ582、発射ばね584(発射ばね第1端部586および第2端部588をそれぞれ備えている)および引っ込みばね590を含んでいる。
【0031】
可動ランセットホルダ582は、近位端部592、遠位端部594、第1の中空部分596、第2の中空部分598、第1の表面600、第2の表面602、半径方向外方に拡張可能な部分606、スリット608、保持特徴部610、カム面(cam surface)612、窪み614、内面616および細長い突起618(突起端620を備えている)を含んでいる。可動ランセットホルダ582は、減衰装置513を保持する突起621をさらに含んでいる(特に、図8、図9、図10および図11参照)。
【0032】
コンパクトな切開器具500の構成要素の大部分を説明したので、次に、図5〜図11を参照してかかる構成要素の相互作用および機能に関する詳細を説明する。ねらい付け機構体508の一部が、ハウジング502のねらい付け機構体オリフィス520を介してユーザに見える。ねらい付け機構体508の取っ手564は、ハウジング502の近位端部514の近くで、ねらい付け機構体オリフィス520を通って、ハウジングの第1の表面518上に突き出ている。ユーザが、取っ手564を近位側へスライドさせてコンパクトな切開器具500のねらいを付ける。
【0033】
トリガ機構体510は、ハウジング502の第1の表面518上に設けられたトリガ部材オリフィス522を介してユーザに接近可能である。トリガ部材オリフィス522は、ユーザがトリガ機構体510とねらい付け機構体508との両方を、片手を用いて操作できるようにするために、ハウジングのねらい付け機構体オリフィス520にきわめて近接すると共にこのオリフィス520と同一のハウジング表面(すなわち、ハウジングの第1の表面518)上に設けられている。
【0034】
切開のための深さ設定標識(図示せず)は、ハウジング502の第1の表面518上の遠位端部516の近くに設けられているトリガ部材オリフィス522を介してユーザに見える。加うるに、ハウジング502は、ハウジング502の第2の表面526上に設けられた把持特徴部528を含んでいる。第2の表面526と把持特徴部528とは、ユーザがコンパクトな切開器具500を片手で容易に握り、かつ、操作できるように取っ手564およびトリガボタン576とは逆の関係にある。
【0035】
コンパクトな切開器具500の実施形態では、把持特徴部528は、ハウジング502の第2の表面526に設けられた凹みである。しかしながら、当業者であれば、本発明の開示をいったん理解すると、把持特徴部528がハウジング502の表面上に設けられた1つまたは2つ以上の突起または凹部を含むが、これらには限定されない任意で適当な形態、形状またはテキスチャ(texture)を取ることができる(そして、任意で適当な材料で形成できる)。
【0036】
可動ランセットホルダ582は、形状が全体として円筒形であり、第1の中空部分596および第2の中空部分598は、可動ランセットホルダ582の近位端部592および遠位端部594のところにそれぞれ設けられている(例えば、図7参照)。第1の中空部分596は、近位端部592から遠位端部594までの距離のほぼ1/3にわたって可動ランセットホルダ582中へ延びている。第2の中空部分598は、遠位端部594から近位端部592までの距離のほぼ1/3にわたって可動ランセットホルダ582中へ延びている。発射ばね584は、少なくとも部分的に第1の中空部分596内に設けられている。さらに、可動ランセットホルダ582は、ランセット(これは図示されていないが、このランセットは針を含む)を少なくとも部分的に第2の中空部分598内に取外し可能に保持できるよう構成されている。
【0037】
遠位端部594は、半径方向外方に拡張可能な部分606を含み、この部分は、ランセット(例えば、適当な市販のランセット)を可動ランセットホルダ582に容易に出し入れできるよう構成されたスリット608を備えている。
【0038】
近位端部592は、保持特徴部610を含み、この保持特徴部は、引っ込みばね590が可動ランセットホルダ582の近位端部592を包囲する関係となるように、この引っ込みばねを保持している。第1の表面600は、窪み614に隣接して設けられていて、トリガ機構体510のばね要素578と協働可能な(例えば、これに応動する)カム面612を含んでいる。第2の表面602には、カム面612および窪み614と共に、ねらい付け操作およびトリガ操作中、以下に説明するように機能する細長い突起618を含んでいる。
【0039】
発射ばね584は、可動ランセットホルダ582の運動を制御するように構成されている。発射ばねの第1の端部586は、エンドキャップ503の内面に係合し、一方、発射ばねの第2の端部588は、可動ランセットホルダ582の内面616に係合する(例えば、図7参照)。発射ばね584は代表的には、ランセットの発射の際、可動ランセットホルダ582に、約0.11〜0.91kg(約0.25〜2ポンド)、および、好ましくは約0.23〜0.45kg(約0.5〜1ポンド)のばね力を加える。コンパクトな切開器具500の実施形態では、引っ込みばね590は、発射ばね584と本質的に同心であり、それにより、コンパクトな切開器具500のコンパクトさに寄与する。
【0040】
引っ込みばね590は実質的に、ねらい付け機構体508と可動ランセットホルダ582との間の周方向空間内に位置している。引っ込みばね590は、ランセットを標的部位中に発射した後、可動ランセットホルダ582を引き戻し、コンパクトな切開器具500の使用中における可動ランセットホルダ582からの振動を減衰させ、ランセットの針が標的部位に2回目の穿通をするのを阻止する。引っ込みばね590はまた、発射後にねらい付け機構体508を休止位置に戻す。引っ込みばね590の一端部はまた、コンパクトな切開器具500のねらい付け中、ねらい付け機構体508と係合する。引っ込みばね590を任意で適当な材料で形成することができ、かかる材料としては、プラスティック材料(例えば、ポリプロピレンおよびポリエステル)、金属材料またはこれらの任意の組合せが挙げられる。
【0041】
発射ばね584および/または引っ込みばね590を切開中の音および振動のうち少なくとも一方を減衰させるのを助ける減衰材料で被覆するのがよい。かかるばね被覆材料としては、例えば、ポリマー材料、例えば、テフロン(Teflon:登録商標)、シリコーン、ナイロンまたはこれらの任意の組合せが挙げられる。発射ばね584および引っ込みばね590に、ばねの巻(turns)の形成前または後のいずれかにおいて、当業者に知られている方法、例えば、浸漬被覆法または噴霧被覆法によって、約0.005ミリメートル〜約0.015ミリメートルの厚さの範囲で完全または部分的な被覆を施すのがよい。少なくとも部分的に減衰材料(dampening material)で被覆された発射ばねおよび引っ込みばねを以下、減衰ばね(dampened spring)と呼ぶ。
【0042】
ねらい付け機構体508は、全体として中空であり、かつ、細長く、このねらい付け機構体は、可動ランセットホルダ582に対し可動ランセットホルダを包囲する関係をなして配置されている。ねらい付け機構体508の内側隆起部分572は、以下に説明するように、コンパクトな切開器具500のねらい付け中、引っ込みばね590の一端部に係合する。
【0043】
可動ランセットホルダ582の細長い突起618は、細長い突起618と係合する案内部材542の中の内部溝560内でスライド可能に動くよう構成されている。従って、内部溝は、コンパクトな切開器具500の使用中、可動ランセットホルダ582の相対回転運動を制限し、それにより、ユーザによって知覚される振動および/または苦痛が軽減される。
【0044】
トリガ機構体510は、内側が全体として細長く、リングの形をしており、かつ、このトリガ機構体は、可動ランセットホルダ582に対して可動ランセットホルダを包囲する関係をなして配置されている。トリガ機構体510は、ハウジング502に対して側方に動くことができるが、縦方向には動くことができない。
【0045】
ばね要素578が、トリガボタン576の内面577から内方に突き出ている。ばね要素578は、コンパクトな切開器具500のねらいを付けた時(図示せず)、カム面612に係合し、可動ランセットホルダ582がハウジング502の遠位端部516に向かって動いているときにランセットが発射されると、窪み614にスライド可能に係合する。可動ランセットホルダ582のねらい付け位置と発射位置との両方において、ばね要素578は、ねらい付け位置または加重位置を保持した状態で最小限の加重状態にあるが、トリガボタン576が押されて可動ランセットホルダ582をラッチ解除したとき、一時的に大きな程度まで加重される。従って、ばね要素578に加わる代表的な荷重は、コンパクトな切開器具500をねらい付けしたときでも、低く(例えば、20グラム未満)、かくして、コンパクトな切開器具500の耐久性は向上する。トリガ機構体510を一体型として形成(例えば、成形)されるのがよく、かくして、コンパクトな切開器具500の部品数は減少すると共にその製造が単純化される。
【0046】
コンパクトな切開器具500のねらいを付けると、トリガ機構体510のラッチリム580が、細長い突起618の突出端620に係合し、かつ、トリガボタン576が、トリガ位置まで側方に動く。ランセットを発射すると(すなわち、トリガボタン576を押し下げると)、ラッチリム580は、細長い突起610上をスライドし、可動ランセットホルダ582は、ハウジング502の遠位端部516に向かって動くことができる。
【0047】
深さ調整機構体506により、ユーザは、標的部位中への針の穿通の深さをあらかじめ定めることができる。フィンガキャップ504は、ランセットの針を挿通させる開口部532およびユーザがフィンガキャップ504を握り、かつ回転させ、ランセットの交換時にはエンドキャップをハウジング502から傾けるか、または引き離すことができるようにする、複数個の凹み538を含んでいる。フィンガキャップ504を任意で適当な材料で形成することができ、かかる材料としては、フィンガキャップ504を取り外した時、フィンガキャップ504が任意的に内方に変形してランセットを掴むことができ、それによりランセットをフィンガキャップ504と共に取り外すことができるように部分的に軟質なポリマー、例えば、ポリカーボネートもしくはABSまたはエラストマー材料、例えば、ゴム、ラテックス(latex)もしくはシリコーンが挙げられるが、これらには限定されない。
【0048】
フィンガキャップ504のカラー係合端部534は、カラーの第1の端部544と嵌合するよう形作られている。カラー係合端部534は、カラー540の複数個の凹部551と対応関係をなして、嵌合する複数個の隆起特徴部536を含んでいる。隆起特徴部536および凹部551は、ユーザがフィンガキャップを回して深さ設定値を調整できるようにフィンガキャップ504からカラー540へのトルク伝達を可能にする。フィンガキャップ504の内側近位端部に設けられたアンダーカット552およびカラー540の遠位端部に設けられた複数個の突起553は、わずかな機械的締め代(slight mechanical interference)で互いに係合してフィンガキャップ504の戻り止めを利用した保持(detent-based retention)を可能にするが、例えば一方の側に傾けるか、または引き離すことにより、フィンガキャップ504の取外しを容易にする。
【0049】
カラー540は、案内部材542に設けられた螺旋雄ねじ558(これは、本質的に螺旋雄ねじカム面である)と対応関係をなして係合する螺旋雌ねじ554、カラーの第1の端部544に設けられたカラーリム546およびカラーの第2の端部548を含んでいる。カラー540は、ハウジング502および案内部材542に対する回転およびスライドが可能であり、このカラーは、全体として中空円筒形の形を有している。
【0050】
案内部材542は、案内部材542をハウジング502の内面に設けられた凹部(図示せず)と嵌合する外側突起(図示せず)を介してハウジング502の内面に取り付けることにより、可動ランセットホルダ582に対して静止状態に保持されている。しかしながら、当業者に知られている任意の取付け手段を利用して案内部材542をハウジング502に固定してもよく、かかる取付け手段としては、ピン、ねじ、接着剤および超音波溶接が挙げられるが、これらには限定されない。
【0051】
フィンガキャップ504を回すことにより、針の穿通の深さが調節される。フィンガキャップ504を回すと、隆起特徴部536が、スプラインインターフェイス方式(spline interface methodology)を介してカラーの凹部551と係合する。これにより、カラー540の螺旋雌ねじ554が案内部材542の螺旋雄ねじ558と係合し、それにより、フィンガキャップ504をハウジング502から遠ざけるか、またはこれに近づけ、針が標的部位中に穿通する距離を変化させる。
【0052】
ねらい付け機構体508、トリガ機構体510、可動ランセットハウジング582、カラー540および案内部材542は、例えば、硬質材料で形成されるのがよく、かかる硬質材料としては、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリアセタル、ポリイミド、ポリケトン、ポリウレタン、ポリブチレンテレフタレートまたはこれらの組合せが挙げられるが、これらには限定されない。ねらい付け機構体508、トリガ機構体510、可動ランセットホルダ582、カラー540および案内部材542は、これら相互の摩擦(および結果としての摩擦、摩耗もしくは振動)を減少させる減摩性添加剤を任意に含むことができるが、かかる減摩性添加剤としては、例えば、シリコーン油、テフロン(Teflon:登録商標)または黒鉛が挙げられる。
【0053】
特に図8、図9、図10および図11を参照すると、コンパクトな切開器具500の使用中およびランセットの発射後、可動ランセットホルダ582の前方運動は、減衰装置513と深さ停止具インターフェイス面624の係合により止められる。減衰装置513は、ランセットの速度がゼロになるまでランセットの速度を遅らせ(すなわち、ランセットを減速させ)、かくして、有利には、ユーザが知覚する痛みが少ないように生じる振動および/または騒音を減少する。
【0054】
減衰装置513は、例えば、エラストマー材料、ブタジエンおよびアクリロニトリルのコポリマー、シリコーンゴム、ソルボタン(Sorbothane)またはこれらの組合せで形成されるのがよく、かつ、この減衰装置は、Oリングとして形成されるのがよい。厳しい公差(例えば、0.013mm〜0.076mm(0.0005インチ〜0.003インチ)の範囲の厳しい公差)もまた、振動の減少を助ける。
【0055】
図5〜図11に示す実施形態では、深さ停止具インターフェイス面が、深さ調節機構体506の一部品として示されており、減衰装置は、可動ランセットホルダ582に保持されるものとして示されている。しかしながら、当業者であれば当然理解されるように、深さ停止具インターフェイス面および減衰装置を切開器具の別の適当な表面、例えば、ハウジングまたはねらい付け取っ手に設けてもよい。
【0056】
図12は、本発明の例示の実施形態に従って減衰状態で切開を行う方法700を示す流れ図である。方法700は、ステップ710に記載しているように、切開器具を標的部位、例えば、皮膚組織標的部位に押し付けるステップを有する。
【0057】
次に、ステップ720に記載されているように、切開器具の可動ランセットホルダを発射して可動ランセットホルダが標的部位に向かって動くようにする。次に、音および振動のうち少なくとも一方の減衰が切開器具のランセットホルダ深さ停止具インターフェイスと減衰装置と深さ停止具インターフェイス面との係合により生じている状態で、標的部位を可動ランセットホルダにより保持されたランセットで切開する(ステップ730参照)。
【0058】
当業者であれば、本願の開示内容をいったん理解すると、方法700を含む本発明の方法を、図5〜図11の切開器具および図2A、図2B、図3Aおよび図3Bの形態を採用した切開器具を含むがこれらには限定されない、本発明の切開器具を用いて達成できることは理解されよう。また、加うるに、所望ならば、かかる切開器具の有利な特徴および有利な作動特徴部のうち任意のものを、例えば、方法700を含む本発明の方法に、組み込むことができる。
【0059】
本明細書において記載した本発明の実施形態の種々の変形例を本発明の実施にあたって採用できることは理解されるべきである。添付の特許請求の範囲は、本発明の範囲を定めており、特許請求の範囲およびその均等範囲に属する構造および方法は、本発明に含まれるものである。
【0060】
本発明の具体的な実施態様は、次の通りである。
(1)切開器具において、
ハウジングと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置されていて、かつ、ランセットを保持するように構成されている、可動ランセットホルダであって、ランセットホルダ第1深さ停止具インターフェイス面を含む、前記可動ランセットホルダと、
発射機構体と、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置されている深さ停止具であって、深さ停止具インターフェイス面を含む、前記深さ停止具と、
減衰装置であって、前記ランセットホルダ第1深さ停止具インターフェイス面と前記深さ停止具インターフェイス面との間に設けられており、切開中における音および振動のうち少なくとも一方を減衰させる、前記減衰装置と、
を含み、
前記可動ランセットホルダと前記発射機構体とは、前記ランセットで標的部位を切開するよう作動的に連結され、
標的部位の切開中における前記可動ランセットホルダの運動は、前記ランセットホルダ第1深さ停止具インターフェイス面と前記減衰装置と前記深さ停止具インターフェイス面との間の係合により止められる、
器具。
(2)実施態様(1)記載の器具において、
前記減衰装置は、エラストマー材料で形成されている、器具。
(3)実施態様(1)記載の器具において、
前記減衰装置は、エラストマーOリングである、器具。
(4)実施態様(1)記載の器具において、
前記減衰装置は、粘弾性ポリマーで形成されている、器具。
(5)実施態様(1)記載の器具において、
前記減衰装置は、デュロメーターのショアーAスケールで60〜80の範囲を有する、器具。
(6)実施態様(1)記載の器具において、
前記減衰装置は、前記運動の停止の前に前記可動ランセットホルダの速度を減速させる、器具。
(7)実施態様(6)記載の器具において、
前記減衰装置は、約300マイクロ秒の持続時間の間、前記速度を減速させる、器具。
(8)実施態様(1)記載の器具において、
ランセットホルダ第2深さ停止具インターフェイス面、
をさらに含み、
前記可動ランセットホルダの運動は、前記減衰装置と前記ランセットホルダ第1深さ停止具インターフェイス面と前記深さ停止具インターフェイス面との係合により減速され、
前記可動ランセットホルダの運動は、前記減衰装置と前記ランセットホルダ第1深さ停止具インターフェイス面と前記深さ停止具インターフェイス面との係合が前記ランセットホルダ第2深さ停止具インターフェイス面と前記深さ停止具インターフェイス面との係合と組み合わさることにより止められる、
器具。
(9)実施態様(8)記載の器具において、
前記減衰装置は、約300マイクロ秒の持続時間、前記速度を減速させる、器具。
(10)実施態様(1)記載の器具において、
前記減衰装置は、前記可動ランセットホルダに保持される、器具。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】ランセットホルダおよび深さ停止形態の単純化された断面略図である。
【図2A】本発明の種々の例示の実施形態に従って切開器具で利用できるランセットホルダ、減衰装置および深さ停止具(これらの係合前)の形態の単純化された断面略図である。
【図2B】図2Aのランセットホルダ、減衰装置および深さ停止具(これらの係合の際)の形態の別の単純化された断面略図である。
【図3A】本発明の種々の他の例示の実施形態に従って切開器具で用いることができる別のランセットホルダ、減衰装置および深さ停止具(これらの係合前)の形態の単純化された断面略図である。
【図3B】図3Aのランセットホルダ、減衰装置および深さ停止具(これらの係合の際)の形態の別の単純化された断面略図である。
【図4】図1、図2A、図2B、図3Aおよび図3Bの形態に関し、ランセット速度をランセット位置の関数として表した単純化されたグラフ図である。
【図5】本発明の例示の実施形態によるコンパクトな切開器具の単純化された斜視図である。
【図6】図5のコンパクトな切開器具の単純化された分解組立て斜視図である。
【図7】図5のコンパクトな切開器具の単純化された断面図である。
【図8】使用中において、切開器具の減衰装置が切開器具の深さ停止具に係合する(接触する)前における図5のコンパクトな切開器具の単純化された断面図である。
【図9】減衰装置が深さ停止具に係合した(接触した)後における図5のコンパクトな切開器具の別の単純化された断面図である。
【図10】図8の一部の単純化された断面図である。
【図11】図9の一部の単純化された断面図である。
【図12】本発明の例示の実施形態に従って減衰状態で切開する方法における一連のステップを示す流れ図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切開器具において、
ハウジングと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置されていて、かつ、ランセットを保持するように構成されている、可動ランセットホルダであって、ランセットホルダ第1深さ停止具インターフェイス面を含む、前記可動ランセットホルダと、
発射機構体と、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置されている深さ停止具であって、深さ停止具インターフェイス面を含む、前記深さ停止具と、
減衰装置であって、前記ランセットホルダ第1深さ停止具インターフェイス面と前記深さ停止具インターフェイス面との間に設けられており、切開中における音および振動のうち少なくとも一方を減衰させる、前記減衰装置と、
を含み、
前記可動ランセットホルダと前記発射機構体とは、前記ランセットで標的部位を切開するよう作動的に連結され、
標的部位の切開中における前記可動ランセットホルダの運動は、前記ランセットホルダ第1深さ停止具インターフェイス面と前記減衰装置と前記深さ停止具インターフェイス面との間の係合により止められる、
器具。
【請求項2】
請求項1記載の器具において、
前記減衰装置は、エラストマー材料で形成されている、器具。
【請求項3】
請求項1記載の器具において、
前記減衰装置は、エラストマーOリングである、器具。
【請求項4】
請求項1記載の器具において、
前記減衰装置は、粘弾性ポリマーで形成されている、器具。
【請求項5】
請求項1記載の器具において、
前記減衰装置は、デュロメーターのショアーAスケールで60〜80の範囲を有する、器具。
【請求項6】
請求項1記載の器具において、
前記減衰装置は、前記運動の停止の前に前記可動ランセットホルダの速度を減速させる、器具。
【請求項7】
請求項6記載の器具において、
前記減衰装置は、約300マイクロ秒の持続時間の間、前記速度を減速させる、器具。
【請求項8】
請求項1記載の器具において、
ランセットホルダ第2深さ停止具インターフェイス面、
をさらに含み、
前記可動ランセットホルダの運動は、前記減衰装置と前記ランセットホルダ第1深さ停止具インターフェイス面と前記深さ停止具インターフェイス面との係合により減速され、
前記可動ランセットホルダの運動は、前記減衰装置と前記ランセットホルダ第1深さ停止具インターフェイス面と前記深さ停止具インターフェイス面との係合が、前記ランセットホルダ第2深さ停止具インターフェイス面と前記深さ停止具インターフェイス面との係合と、組み合わさることにより止められる、
器具。
【請求項9】
請求項8記載の器具において、
前記減衰装置は、約300マイクロ秒の持続時間の間、前記速度を減速させる、器具。
【請求項10】
請求項1記載の器具において、
前記減衰装置は、前記可動ランセットホルダに保持される、器具。
【請求項1】
切開器具において、
ハウジングと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置されていて、かつ、ランセットを保持するように構成されている、可動ランセットホルダであって、ランセットホルダ第1深さ停止具インターフェイス面を含む、前記可動ランセットホルダと、
発射機構体と、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置されている深さ停止具であって、深さ停止具インターフェイス面を含む、前記深さ停止具と、
減衰装置であって、前記ランセットホルダ第1深さ停止具インターフェイス面と前記深さ停止具インターフェイス面との間に設けられており、切開中における音および振動のうち少なくとも一方を減衰させる、前記減衰装置と、
を含み、
前記可動ランセットホルダと前記発射機構体とは、前記ランセットで標的部位を切開するよう作動的に連結され、
標的部位の切開中における前記可動ランセットホルダの運動は、前記ランセットホルダ第1深さ停止具インターフェイス面と前記減衰装置と前記深さ停止具インターフェイス面との間の係合により止められる、
器具。
【請求項2】
請求項1記載の器具において、
前記減衰装置は、エラストマー材料で形成されている、器具。
【請求項3】
請求項1記載の器具において、
前記減衰装置は、エラストマーOリングである、器具。
【請求項4】
請求項1記載の器具において、
前記減衰装置は、粘弾性ポリマーで形成されている、器具。
【請求項5】
請求項1記載の器具において、
前記減衰装置は、デュロメーターのショアーAスケールで60〜80の範囲を有する、器具。
【請求項6】
請求項1記載の器具において、
前記減衰装置は、前記運動の停止の前に前記可動ランセットホルダの速度を減速させる、器具。
【請求項7】
請求項6記載の器具において、
前記減衰装置は、約300マイクロ秒の持続時間の間、前記速度を減速させる、器具。
【請求項8】
請求項1記載の器具において、
ランセットホルダ第2深さ停止具インターフェイス面、
をさらに含み、
前記可動ランセットホルダの運動は、前記減衰装置と前記ランセットホルダ第1深さ停止具インターフェイス面と前記深さ停止具インターフェイス面との係合により減速され、
前記可動ランセットホルダの運動は、前記減衰装置と前記ランセットホルダ第1深さ停止具インターフェイス面と前記深さ停止具インターフェイス面との係合が、前記ランセットホルダ第2深さ停止具インターフェイス面と前記深さ停止具インターフェイス面との係合と、組み合わさることにより止められる、
器具。
【請求項9】
請求項8記載の器具において、
前記減衰装置は、約300マイクロ秒の持続時間の間、前記速度を減速させる、器具。
【請求項10】
請求項1記載の器具において、
前記減衰装置は、前記可動ランセットホルダに保持される、器具。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−190394(P2007−190394A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−10635(P2007−10635)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(596159500)ライフスキャン・インコーポレイテッド (100)
【氏名又は名称原語表記】Lifescan,Inc.
【住所又は居所原語表記】1000 Gibraltar Drive,Milpitas,California 95035,United States of America
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−10635(P2007−10635)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(596159500)ライフスキャン・インコーポレイテッド (100)
【氏名又は名称原語表記】Lifescan,Inc.
【住所又は居所原語表記】1000 Gibraltar Drive,Milpitas,California 95035,United States of America
【Fターム(参考)】
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