説明

減震装置

【課題】様々な種類の支持脚を有する負荷や、支持脚を持たない負荷に対して一種類で対応することができる減震装置を提供すること。
【解決手段】負荷Mが載置される載置プレート3と、その上面4aに前記載置プレート3が載置されてスライドする支持プレート部4、及び該支持プレート部4の上面4aに設けられ、載置プレート3の載置側の側面6aに載置プレート3の端部3aが挿入可能なストッパー溝7が形成されたストッパー壁部6とで構成された支持基台1と、支持プレート部4の下面4bに敷設された床面設置用の弾性部材5と、ストッパー壁部6内に配置された軟質部材8とで構成されたことを特徴とする減震装置A。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震の運動エネルギーを軽減する減震装置に係り、特に自由度系上に支持された動力機械、作業機械、計測機械、情報・知能機械、医療用機器等の保護対象機器に装着し、地震の破壊的エネルギーをわずかな移動距離内の運動を通じてエネルギーを消費させることにより、保護対象機器の破壊を防止する減震装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より工場やビル、マンションは勿論、これらの内部に設置された機械設備やキャビネット、家具などには、地震のような外部からの大きな振動入力に対してダメージを受けないようにするために免震装置が設置されている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1は、弾性ゴムと下向受皿部材の凹面部との摩擦により、電子機器や自動販売機等の筐体等に対する振動を減震して倒壊を防止し、被害を低減することができる免震用支持装置に関するもので、筐体、商品陳列用置棚又は躯体の下面に下向受皿部材を固定し、床面又は建築用基礎に支持台を固定し、該支持台に取り付けた先端部材を下向受皿部材の凹面部に可動的に単数又は複数当接させる免震装置において、弾性ゴムを介して該支持台に取り付けること、首振り構造部を介して支持したこと、キャスターを取付け、キャスターにより支持したこと、及び、下向受皿部材の凹面部の周縁の曲率を内側より小さくしてストッパー部を形成したことによって、反復作用時の強力な減震力と共振現象をなくす作用を起こすものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−2047
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
処が、特許文献1は荷重を担持する下向受皿部材を弾性ゴム材で支持しているという非常に特殊な形状をしており、負荷に対して専用のもので、キャスターで支持された負荷や、レベリングボルト式の負荷或いは単なるゴム製の滑り止めマットの上に載置されている負荷など様々な負荷に対して一つの種類で対応することができなかった。
【0006】
本発明の課題は、様々な種類の支持脚を有する負荷や、支持脚を持たない負荷に対して一種類で対応することができる減震装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の本発明の減震装置(A)は、
負荷(M)が載置される載置プレート(3)と、
その上面(4a)に前記載置プレート(3)が載置されてスライドする支持プレート部(4)、及び該支持プレート部(4)の上面(4a)に設けられ、載置プレート(3)の載置側の側面(6a)に載置プレート(3)の端部(3a)が挿入可能なストッパー溝(7)が形成されたストッパー壁部(6)とで構成された支持基台(1)と、
支持プレート部(4)の下面(4b)に敷設された床面設置用の弾性部材(5)と、
ストッパー壁部(6)内に配置された軟質部材(8)とで構成されたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の本発明の減震装置(A)は、
負荷(M)が載置される載置プレート(3)と、
その上面(4a)の直上にて載置プレート(3)が配置され、且つ、前記上面(4a)には凹球面状の凹部(4c)が形成され、凹部(4c)と載置プレート(3)との間には載置プレート(3)をスライド可能に保持する球体(9)が配設された支持プレート部(4)並びに該支持プレート部(4)の上面(4a)に設けられ、載置プレート(3)の載置側の側面(6a)に載置プレート(3)の端部(3a)が挿入可能なストッパー溝(7)が形成されたストッパー壁部(6)とで構成された支持基台(1)と、
前記球体(9)と、
支持プレート部(4)の下面(4b)に敷設された床面設置用の弾性部材(5)と、
ストッパー壁部(6)内に配置された軟質部材(8)とで構成されたことを特徴とする。
【0009】
請求項3は請求項2は凹部(4c)の構造に関し、凹部(4c)は支持プレート部(4)の上面(4g)部分を構成する凹球面状の皿部材(4d)と、皿部材(4d)と支持プレート部(4)との間に設けられた減衰層(4e)とで構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4は皿部材(4d)の形状に関し、皿部材(4d)の下面(4h)は下方に膨出する凸球面状に形成され、該凸球面の半径が皿部材(4d)の凹球面状の上面(4g)の半径より大であり、2つの球面中心(O)が一致していることを特徴とする。
【0011】
請求項5は皿部材(4d)の他の形状に関し、皿部材(4d)の下面(4h)は下方に膨出する凸球面状に形成され、該凸球面の半径が皿部材(4d)の凹球面状の上面(4g)の半径より大であり、2つの球面中心(O1)(O2)が球面の中心軸(CL)上で離間していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の減震装置(A)は、負荷(M)を載置した状態で載置プレート(3)が支持基台(1)の支持プレート部(4)の上面(4a)をスライドするので、載置プレート(3)を負荷(M)に合わせて適切なものを選べば、どのようなタイプの支持脚(20a)に対しても対応することができる。そして、このように減震装置(A)に支持された負荷(M)を設置した建物に地震が入力した場合、その入力により、負荷(M)を搭載した載置プレート(3)に対して支持基台(1)の支持プレート部(4)の上面(4a)が摩擦を生じながら水平方向において相対移動して負荷(M)の転倒を防止する。
【0013】
地震の振幅が大きくて載置プレート(3)の端部(3a)が軟質部材(8)に衝突するような場合、衝突時の衝撃が軟質部材(8)の圧縮変形により緩衝されつつ載置プレート(3)が停止することになるが、この時、なお衝突方向の慣性力が軟質部材(8)の変形だけで吸収できなかった場合には、弾性部材(5)は水平方向に変形してその慣性力を吸収する事になり、これにより負荷(M)の転倒や振動の入力による被害を二重に防止することになる。
【0014】
また、支持プレート部(4)に凹球面状の凹部(4c)が形成され、その上に球体(9)が配設され、該球体(9)に載置プレート(3)が支持されている構造の場合では、地震の入力により該載置プレート(3)に対して支持基台(1)が前述のように相対移動した時に、凹部(4c)の中心から周縁部に移動するにつれて転動する球体(9)を介して載置プレート(3)が競り上がって位置エネルギーを高め、凹球面状の凹部(4c)と球体(9)との間で摩擦が起こり熱に変換されることによって地震のエネルギーを減殺する。地震の収斂によって球体(9)は凹部(4c)の中心に戻り、負荷(M)は元の位置に戻る。
【0015】
また、凹部(4c)が支持プレート部(4)の上面部分を構成する凹球面状の皿部材(4d)と、皿部材(4d)と支持プレート部(4)との間に設けられた減衰層(4e)とで構成されている場合には、載置プレート(3)を介して負荷(M)を支持している球体(9)が皿部材(4d)上を転動すると、この転動により減衰層(4e)が変形してこの部分でも地震のエネルギーを吸収・減殺する。この時、皿部材(4d)の凸球面状の下面(4h)の半径が、凹球面状の上面(4g)より大であり、2つの球面中心(O1)(O2)が球面の中心軸(CL)上で離間している場合には、前記減衰効果が顕著であるだけでなく球体(9)が皿部材(4d)の中央に戻りやすい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明にその四隅が支持された負荷の平面図である。
【図2】本発明の第1実施例の斜視図である。
【図3】図2の断面図である。
【図4】本発明の第1実施例の変形例の断面図である。
【図5】図4の実施例にアジャスタタイプの支持脚を持つ負荷を保持している状態の断面図である。
【図6】本発明の第2実施例の斜視図である。
【図7】図6の断面図である。
【図8】第2実施例の変形例の断面図である。
【図9】本発明に使用する軟質部材の他の実施例の断面図である。
【図10】本発明に使用する軟質部材の更に他の実施例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の減震装置(A)を図示実施例に従って詳述する。本発明にかかる減震装置(A)の第1実施例は、載置プレート(3)と、支持基台(1)、弾性部材(5)及び軟質部材(8)とで構成され、第2実施例は支持基台(1)の上面(4g)部分の構造が第1実施例に対して相違し且つこれに球体(9)が更に加わっている。
【0018】
本発明が適用される負荷(M)は、工場の機械設備を始め、事務機、家具その他、地震による破損を免れたいようなものであって、その支持方法は、図3のように支持脚がなく、床面(2)に単に設置するだけのものや、図4のようにキャスター形式のもの、図5のようにアジャスタタイプのもの、その他図示していない種々のものがあり、本発明の減震装置(A)を装着又は同装置(A)に載置できるようなものであればどのようなものでもよい。通常、負荷(M)の底面の四隅が本発明に係る減震装置(A)に支持される。
【0019】
図2〜3は本発明にかかる第1実施例で、適用される負荷(M)は、支持脚がなく、床面(2)に単に設置するだけのものである。従って、これに適用される載置プレート(3)は正方形又は長方形の板状のもので、金属製あるいは硬質樹脂製である。通常、負荷(M)と載置プレート(3)の間には厚手のゴムシート(30)が敷かれている。
【0020】
支持基台(1)は支持プレート部(4)とストッパー壁部(6)とで構成されている。支持プレート部(4)は長方形または正方形の板状部材で、その上面(4a)の2辺にストッパー壁部(6)が突設されおり、ストッパー壁部(6)の載置プレート(3)の載置側の側面(6a)に全長に亙ってストッパー溝(7)が形成されている。ストッパー溝(7)の下端は支持プレート部(4)の上面(4a)に一致しており、ストッパー溝(7)内に載置プレート(3)の端部(3a)がスムーズに挿入できるようになっている。
【0021】
支持プレート部(4)の下面(4b)は全面にわたって弾性部材(5)が敷設されている。弾性部材(5)としては、粘弾性体(低反発ゴムやウレタンゴム或いは高減衰性エラストマや発泡性ゴムの場合はより好ましい。)が使用され、その底面には静摩擦力又は動摩擦力を高めるために縦横に溝(5a)や模様が多数形成されている。
【0022】
軟質部材(8)も弾性部材(5)と同様、粘弾性体(低反発ゴムやウレタンゴム或いは高減衰性エラストマや発泡性ゴムなど熱エネルギー変換効率が良い材料が好ましい。)が使用されている。軟質部材(8)はストッパー溝(7)内の全長に亙って或いは必要箇所に配設され、ストッパー溝(7)を構成するストッパー壁部(6)の側面(6a)が軟質部材(8)より外側に突き出している(即ち、この部分は載置プレート(3)の端部(3a)が挿入される溝となっている。)。軟質部材(8)の断面形状は、図面に示すように断面形状は長方形または正方形或いは図9、10に示すように先端部分が断面三角形(即ち、楔形)、ストッパー溝(7)の開口部側に溝条(8a)が形成された断面横向き凹など種々のものが考えられる。
【0023】
このような減震装置(A)は、図1のように例えば負荷(M)の四隅に配置され、例えばゴムシート(30)を介して載置プレート(3)上にセットされる。載置プレート(3)の端部(3a)と軟質部材(8)の間には間隙(K)が設けてあり、且つ、プレート(3)の端部(3a)はストッパー壁部(6)の側面(6a)を超えてストッパー溝(7)内に若干入り込んでいる。
【0024】
しかして、地震が発生すると建物に弱い縦波が入力し、続いて強い水平横波が入力する。水平横波の波形は千差万別であるが、負荷(M)は例えばゴムシート(30)を介して載置プレート(3)上に一体的にセットされているため、横波の振動エネルギーが載置プレート(3)と支持プレート部(4)との間の静摩擦力を越えた時、横波の波形に合わせて載置プレート(3)が支持プレート部(4)上で摩擦を生じつつスライドする。この間、載置プレート(3)と支持プレート部(4)の摩擦により地震の振動エネルギーの全部または一部が熱に変換されて吸収される。地震の振幅が大きくなると、載置プレート(3)と支持プレート部(4)との相対移動量が大きくなり、載置プレート(3)の端部(3a)が軟質部材(8)に衝突する。
【0025】
軟質部材(8)はこの衝突により圧縮されるが、この時、ダンパーと同じ働きをして振動エネルギーの全部又は一部を熱に変換してこれを吸収する。軟質部材(8)が振動エネルギーを全部又はほぼ吸収する場合、弾性部材(5)の変形はゼロか小さい。前記衝突により軟質部材(8)が大きく凹んで硬くなり、前記振動エネルギーの全部を吸収できなかった場合には、支持基台(1)全体が載置プレート(3)によって押し出され、弾性部材(5)が大きく撓む。弾性部材(5)の底面には多数の溝(5a)が刻設され、床面(2)との静摩擦力を高めてあるので、通常は弾性部材(5)が床面(2)上を滑ることはない。然る後、地震の波形の反転により載置プレート(3)は反対方向に移動し、反対側の減震装置(A)で同じことが生じる。
【0026】
なお、軟質部材(8)の断面形状を前述のように三角形、或いは横向き凹などとした場合には、軟質部材(8)が押し込まれるにつれて圧縮される部分の体積が増加し、載置プレート(3)の押し込みに対する抵抗力が漸増して減衰量が漸増する。
【0027】
図4、5は載置プレート(3)の他の実施例で、載置プレート(3)の上面(3b)にリング状の凸畝(3d)を形成して平面視円形で穴底がフラットな凹穴(3c)を設けた例で、この凹穴(3c)にキャスターやレべリングボルトのような支持脚(20a)を収納した例である。凸畝(3d)の外部には端部(3a)が突出している。
【0028】
図6、7は本発明の減震装置(A)の第2実施例で、支持プレート部(4)の上面(4a)には凹球面状で平面視円形の皿部材(4d)が設けられ、皿部材(4d)の表面が凹部(4c)となっている。皿部材(4d)は硬い金属または樹脂製で、その縁は支持プレート部(4)の上面(4a)に至る。なお、図6の2点鎖線は図8の場合を示す。そして皿部材(4d)には鋼球製の球体(9)が転動自在に配設されており、その上に載置プレート(3)が載置されている。球体(9)の直径は皿部材(4d)の深さより若干大きく、載置プレート(3)と支持プレート部(4)の上面との間に若干の隙間(T1)が設けられている。
【0029】
この場合、載置プレート(3)の端部(3a)の上面とストッパー溝(7)の下面との間の間隙(T2)は、載置プレート(3)の端部(3a)が軟質部材(8)方向に移動してこれに衝突したときに、前記端部(3a)の上面がストッパー溝(7)の下面に接触しないだけの大きさに形成されている。
【0030】
しかして、前述のように地震が入力すると、千差万別の水平横波の波形に合わせて球体(9)を介しての載置プレート(3)に対する支持プレート部(4)の相対移動が生じ、皿部材(4d)のセンターから周辺部へ球体(9)が移動することにより、負荷(M)と共に載置プレート(3)が持ち上げられ、位置エネルギーが増加し、その分だけ地震の振幅が抑制される。地震の振幅が大きいと、載置プレート(3)の端部(3a)が軟質部材(8)に衝突してそのダンパー効果により振動エネルギーが吸収され、更には弾性部材(5)が変形する。
【0031】
然る後、前述同様、振動方向が反転して支持プレート部(4)が載置プレート(3)に対して反対方向に移動し、反対側の減震装置(A)で同じことが生じる。このような往復運動を地震が収束するまで繰り返し、地震の収束に伴って球体(9)は皿部材(4d)のセンターに戻り、同時に球体(9)に載置されている負荷(M)も元の位置に戻る。なお、軟質部材(8)の断面形状とその挙動は前述の第1実施例と同様であるし、大きな衝突による弾性部材(5)の撓みを生じる場合も同様であるし、床面(2)との静摩擦力を高めてあるので、通常は弾性部材(5)が床面(2)上を滑ることはないことも同じである。
【0032】
図8は第2実施例の変形例で、皿部材(4d)の下に減衰層(4e)となる減衰部材が設けられている。以下、減衰部材も減衰層と同じ(4e)を使用する。減衰部材(4e)の材質は、ゴム或いは高減衰性エラストマのような軟質材、粘性部材或いは粘弾性部材が使用されている。減衰部材(4e)は、その上面に収納用窪み(4f)が形成されており、この収納用窪み(4f)内に皿部材(4d)が嵌め込まれている。皿部材(4d)は図7のように凸球面の半径が皿部材(4d)の凹球面状の上面(4g)の半径より大であり、2つの球面中心(O)が一致して全体的に同じ肉厚にしてもよいし、図8のように凸球面の半径が皿部材(4d)の凹球面状の上面(4g)の半径より大であり、2つの球面中心(O1)(O2)が球面の中心軸(CL)上で離間して中央が薄く、周縁部に近づくにつれて次第に肉厚となるようにしてもよい。即ち、上面(4g)は凹球面状となり、下面(4h)は上面(4g)より半径の大きい凸球面状となる。
【0033】
この場合、皿部材(4d)の下面の凸球面に合うように減衰部材(4e)の収納用窪み(4f)の上面が形成される。勿論、図示しないが、皿部材(4d)の下面を平面にし、これに合うように減衰部材(4e)の収納用窪み(4f)の上面も平面に形成するようにしてもよい。
【0034】
しかして、前述のように地震が入力すると、図7の場合と同様、球体(9)を介して載置プレート(3)に対して支持プレート部(4)が相対移動する。この時、球体(9)の移動に伴ってその直下の減衰部材(4e)が撓むと同時にその部分を中心にして皿部材(4d)が僅かに押し込まれて撓み、皿部材(4d)のセンターを中心として該部分の反対側が若干浮き上がるようになるシーソー状態を現出する。この撓みによって減衰部材(4e)による地震エネルギーの一部の吸収がなされる。
【0035】
この場合、皿部材(4d)の上面(4g)と下面(4h)とが断面において同心円を示す場合は、皿部材(4d)の上面(4g)を転動して持ち上がる分だけ載置プレート(3)が持ち上げられ、前述の減衰部材(4e)による地震エネルギーの一部の吸収がなされる。
【0036】
一方、皿部材(4d)の上面(4g)が凹球面状で、下面(4h)が上面(4g)より半径の大きい凸球面状である場合には、皿部材(4d)の凹球面上を球体(9)が転動することで、皿部材(4d)と球体(9)とが連成した振り子状の運動が生じ、これにより負荷質量に依存せず、凹球面状上面(4g)の半径と、凸球面状下面(4h)の半径及び球体(9)の半径とで負荷(M)の復元力が決まると同時に皿部材(4d)の減衰部材(4e)上での運動に対して減衰力を生じさせることが出来る。
【0037】
そして地震の振幅が大きい場合には、前述同様、載置プレート(3)の端部(3a)が軟質部材(8)に衝突し、更には弾性パッド(5)が変形し、然る後、反転して反対側の減震装置(A)で同じことが生じる。このような往復運動を地震が収束するまで繰り返し、地震の収束に伴って球体(9)は皿部材(4d)のセンターに戻り、同時に球体(9)に載置されている負荷(M)も元の位置に戻る。なお、図8のようにすれば、球体(9)が周縁部に向かうにつれて皿部材(4d)を傾ける量が大きくなって皿部材(4d)の揺れが大きくなり、球体(9)が皿部材(4d)の中央に戻りやすくなる。
【符号の説明】
【0038】
(A)・・・減震装置
(M)・・・負荷
(1)・・・支持基台
(3)・・・載置プレート
(3a)・・・端部
(4)・・・支持プレート部
(4a)・・・上面
(4b)・・・下面
(4c)・・・凹部
(4d)・・・皿部材
(4e)・・・減衰層
(5)・・・弾性部材
(6)・・・ストッパー壁部
(6a) ・・・載置側の側面
(7)・・・ストッパー溝
(8)・・・軟質部材
(9)・・・球体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷が載置される載置プレートと、
その上面に前記載置プレートが載置されてスライドする支持プレート部、及び該支持プレート部の上面に設けられ、載置プレートの載置側の側面に載置プレートの端部が挿入可能なストッパー溝が形成されたストッパー壁部とで構成された支持基台と、
支持プレート部の下面に敷設された床面設置用の弾性部材と、
ストッパー壁部内に配置された軟質部材とで構成されたことを特徴とする減震装置。
【請求項2】
負荷が載置される載置プレートと、
その上面の直上にて載置プレートが配置され、且つ、前記上面には凹球面状の凹部が形成され、凹部と載置プレートとの間には載置プレートをスライド可能に保持する球体が配設された支持プレート部並びに該支持プレート部の上面に設けられ、載置プレートの載置側の側面に載置プレートの端部が挿入可能なストッパー溝が形成されたストッパー壁部とで構成された支持基台と、
前記球体と、
支持プレート部の下面に敷設された床面設置用の弾性部材と、
ストッパー壁部内に配置された軟質部材とで構成されたことを特徴とする減震装置。
【請求項3】
凹部は支持プレート部の上面部分を構成する凹球面状の皿部材と、皿部材と支持プレート部との間に設けられた減衰層とで構成されていることを特徴とする請求項2に記載の減震装置。
【請求項4】
皿部材の下面は下方に膨出する凸球面状に形成され、該凸球面の半径が皿部材の凹球面状の上面の半径より大であり、2つの球面中心が一致していることを特徴とする請求項3に記載の減震装置。
【請求項5】
皿部材の下面は下方に膨出する凸球面状に形成され、該凸球面の半径が皿部材の凹球面状の上面の半径より大であり、2つの球面中心が球面の中心軸上で離間していることを特徴とする請求項3に記載の減震装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−108523(P2013−108523A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251864(P2011−251864)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000224994)特許機器株式会社 (59)
【Fターム(参考)】