渡り通路
【課題】上部階の渡り通路の目地装置部より落下してくる水が下部階の渡り通路の目地装置内へ落下したり、跳ね返ったりした水や横降り雨の浸入を効率よく阻止でき、安全に下部階の渡り通路を通行することができる渡り通路を提供する。
【解決手段】目地部2を介して設けられた左右の建物3の上部位置の階を接続する一対のL字状の手摺21、床用目地プレート16を有する上部目地装置4を備える上部の渡り通路5と、上部の渡り通路5の下部に位置する一対のL字状の手摺21、床用目地プレート16を有する下部目地装置6を備える下部の渡り通路7と、下部目地装置6に固定され、かつ上部が上部目地装置4の底面近傍に位置する二対の支柱22と、この二対の支柱22の上部に固定された上部の渡り通路5の上部目地装置4から落下する水を受けることができる受け皿24とでわたり通路1を構成している。
【解決手段】目地部2を介して設けられた左右の建物3の上部位置の階を接続する一対のL字状の手摺21、床用目地プレート16を有する上部目地装置4を備える上部の渡り通路5と、上部の渡り通路5の下部に位置する一対のL字状の手摺21、床用目地プレート16を有する下部目地装置6を備える下部の渡り通路7と、下部目地装置6に固定され、かつ上部が上部目地装置4の底面近傍に位置する二対の支柱22と、この二対の支柱22の上部に固定された上部の渡り通路5の上部目地装置4から落下する水を受けることができる受け皿24とでわたり通路1を構成している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は目地部を介して設けられた左右の建物を接続する渡り通路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、渡り通路は一方の建物の外側通路の外壁面に開口部を形成し、他方の建物に該開口部へ目地部を介して突出するように渡り通路本体を設け、該渡り通路本体の先端部と前記開口部との間の目地部を、前記一方の建物と他方の建物とが地震で異なる前後左右方向に揺れ動いても、その揺れ動きを吸収することができる一対のL字状の手摺と床用目地プレートを用いた目地装置を用いて覆っている。
このように構成された渡り通路は、左右の建物の各階を接続するように設けられることがある。
【0003】
この場合、上の階の目地装置の手摺や床用目地プレートより、下の階の目地装置の手摺や床用目地プレートへ雨水等の水が落下して、下部階の渡り通路を通過する人が落下水や跳ね返り水が衣服や身体に付着し、汚れるという欠点があった。
また、横降り雨の場合も、渡り通路内へ浸入して、渡り通路を通行する人を濡らしてしまうという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2906374号公報
【特許文献2】特許第3095359号公報
【特許文献3】特許第3154957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、上部階の渡り通路の目地装置部より落下してくる水が下部階の渡り通路の目地装置内へ落下したり、跳ね返ったりした水や横降り雨の浸入を効率よく阻止でき、安全に下部階の渡り通路を通行することができ、かつ設置コストが高くなる側壁等を備えなくても良い渡り通路を提供することを目的としている。
【0006】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は目地部を介して設けられた左右の建物の上部位置の階を接続する一対の一体あるいは別体に形成されたL字状の手摺、床用目地プレートを有する上部目地装置を備える上部の渡り通路と、前記左右の建物の上部位置の階の下部位置の階を接続する、前記上部の渡り通路の下部に位置する一対の一体あるいは別体に形成されたL字状の手摺、床用目地プレートを有する下部目地装置を備える下部の渡り通路と、この下部の渡り通路の左右方向に位置する下部目地装置の一対の一体あるいは別体に形成されたL字状の手摺あるいは床用目地プレートに固定され、かつ上部が前記上部目地装置の底面近傍に位置する少なくとも二対の支柱と、この二対の支柱の上部に固定された前記上部の渡り通路の上部目地装置から落下する水を受けることができる、該上部目地装置の両側より外方へ突出する受け皿とでわたり通路を構成している。
【発明の効果】
【0008】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1により、上部位置の階を接続する上部の渡り通路の、上部目地装置の手摺や床用目地プレート部より下方へ落下する雨水等の水を下方に位置する受け皿で受けることができる。
したがって、下部の渡り通路を通行しても、上部から落下する水が衣服や身体に付着して汚れるのを確実に防止でき、安全に使用することができる。
(2)前記(1)によって、受け皿は上部の目地装置の両側より外方へ突出しているので、横降り雨が下部の目地装置内へ浸入するのを効率よく阻止でき、安全に使用することができる。
(3)前記(1)により、受け皿を下部目地装置の一対の手摺あるいは床用目地プレートに固定された少なくとも二対の支柱で支持しているので、左右の建物が異なる前後左右方向に揺れ動いても、上部の目地装置の下部位置に受け皿が位置して、確実に上部目地装置から落下する水を受けることができる。
(4)前記(1)により、上部目地装置からの落下する水を受け皿で確実に受けることができるので、渡り通路全体を覆って、コスト高となったり、開放感を損なったりするのを防止することができる。
(5)請求項2も前記(1)〜(4)と同様な効果が得られるとともに、回転プレートによって、鳥が上部目地装置の両側より突出している部位に止まるのを阻止できるとともに、該部位にゴミが入り込むのを効率よく阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明を実施するための第1の形態の正面図。
【図2】本発明を実施するための第1の形態の平面図。
【図3】図1の3−3線に沿う断面図。
【図4】図2の4−4線に沿う断面図。
【図5】本発明を実施するための第1の形態の目地部が広くなった動作説明図。
【図6】本発明を実施するための第1の形態の目地部が狭くなった動作説明図。
【図7】本発明を実施するための第1の形態の左右の建物の異なる前後方向の動作説明図。
【図8】本発明を実施するための第1の形態の横降り雨が降った時の説明図。
【図9】本発明を実施するための第2の形態の正面図。
【図10】本発明を実施するための第2の形態の平面図。
【図11】図10の11−11線に沿う断面図。
【図12】本発明を実施するための第3の形態の正面図。
【図13】本発系を実施するための第3の形態の平面図。
【図14】図13の14−14線に沿う断面図。
【図15】本発明を実施するための第4の形態の平面図。
【図16】図15の16−16線に沿う断面図。
【図17】本発明を実施するための第4の形態の異なる前後方向の動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0011】
図1ないし図9に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は本発明の渡り通路で、この渡り通路1は目地部2を介して設けられた左右の建物3、3の上部位置の階を接続する上部目地装置4を備える上部の渡り通路5および、前記上部位置の階の下の下部位置の階を接続する下部目地装置6を備える下部の渡り通路7が設けられている。
【0012】
前記上部の渡り通路5は前記左右の建物3、3の一方の建物3の外側通路8の外壁9に形成された開口部10と、この開口部10と対応する前記左右の建物3、3の他方の建物3より突出する、該開口部10との間に目地部2を有する断面チャンネル状の渡り通路本体11と、前記開口部10の下部位置の外壁9にほぼ水平となるように固定され、かつ内底に所定間隔で多数個のローラ12が設けられたガイドレール13、このガイドレール13の多数個のローラ12上に設けられた移動土台14、この移動土台14に後端部が固定され、先端部が渡り通路本体11の先端部寄りの床面11aに、前記目地部2の寸法Lとほぼ同じ寸法だけ重なり合い、かつ先端部が傾斜面15に形成された長方形状の床用目地プレート16、この床用目地プレート16の両端部の前記移動土台14に内側端部および中央部に設けた支持脚17、18を介して壁面側手摺19、19が固定され、該壁面側手摺19、19の内側部と一体あるいは固定された前記床用目地プレート16の両端部の上面および、前記渡り通路本体11の内側壁11b、11b近傍に位置する渡り通路側手摺20、20とからなる一対の一体に形成された平面視L字状の手摺21、21からなる上部目地装置4とで構成されている。
【0013】
前記下部の渡り通路7も前記上部の渡り通路5と同様に構成されている。
前記下部の渡り通路7の下部目地装置6の床用目地プレート16の壁面側端部および、前記下部の渡り通路7の渡り通路本体11の先端部寄りの部位に固定され、上面が前記上部目地装置4の底面近傍に位置する少なくとも二対の支柱22、22、22、22が設けられ、該二対の支柱22、22、22、22の上部には枠状の桁23を介して前記上部の渡り通路5の上部目地装置4から落下する雨水や、掃除時の水を受けることができる、該上部目地装置4の両側より外方へ突出するとともに、一方の建物3側の底面が少し低くなる傾斜面で、かつ一方の建物3の外側通路8躯体の下部へ入り込むように設置される受け皿24が固定されている。
なお、二対の支柱22、22、22、22は下部目地装置6の一対のL字状の手摺21、21に固定しても同様な作用効果が得られる。
【0014】
また、受け皿24内には落下した水の跳ね返りを阻止したり、該受け皿24と上部目地装置4との間より内部に鳥が侵入して巣作りされるのを防止できるスポンジやゴム等のクッション材25や侵入防止板を設置したり、上部目地装置4の両側より外方へ突出する部位には鳥が止まろうとすると回転する鳥止め用の回転プレート26を設置してもよい。
なお、受け皿24で受けた水は縦樋27で外部へ排水する。
【0015】
また、受け皿24の一端部は一方の建物3の外壁9のガイドレール13からの水を受けることができる下部に配置し、他端部は渡り通路本体11の目地部側の端部からの水を受けることができる位置に配置されている。
上記構成の渡り通路1は地震で左右の建物3、3が異なる左右方向に揺れ動いた場合、図5および図6に示すように上部の渡り通路5の上部目地装置4と、下部の渡り通路7の下部目地装置6は同様な動作をする。
【0016】
すなわち、床用目地プレート16、16および一対のL字状の手摺21、21、21、21の先端部は渡り通路本体11、11の先端部寄りの底面11aあるいは床用目地プレート16上をスライド移動して、その揺れ動きを吸収する。
このため、受け皿24も上部目地装置4の揺れ動きと同じとなり、該上部目地装置4から落下する水を確実に受けることができる。
【0017】
また、地震で左右の建物3、3が異なる前後方向に揺れ動いた場合、図7に示すように他方の建物3の渡り通路本体11、11の前後方向の揺れ動きよって、床用目地プレート16、16および一対のL字状の手摺21、21、21、21は一方の建物3に取付けられたガイドレール13の移動土台14によって前後方向に移動して、その揺れ動きを吸収する。
【0018】
すなわち、上部の渡り通路5の上部目地装置4と下部の渡り通路7の下部目地装置6は同様な動作となるので、受け皿24と同じ動作となり、上部目地装置4から落下する水を確実に受け皿24で受けることができる。
横降り雨の場合、図8に示すように上部目地装置4の両側より外方へ突出している受け皿24の部位によって雨水を受け取り、下部目地装置6を通行しても、雨に濡れたりするのを効率よく阻止できる。
【0019】
なお、一対のL字状の手摺21、21の壁面側手摺19、19の内側端部と中央部に支持脚17、17、18、18を設けて移動土台14に取付けることにより、短い移動土台14とガイドレール13を用いることができるとともに、一対のL字状の手摺21、21が支持脚17、17、18、18で移動土台14に取付けられているため、一対のL字状の手摺21、21の上部を支持する支持金具が不要となり、コストの低減と美観の向上を図ることができる。
【0020】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図9ないし図17に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0021】
図9ないし図11に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、一方の建物3の外側通路8の床面8aよりも他方の建物3の渡り通路本体11の床面11a高さを100ミリメートル程高く設定して、上部の渡り通路5Aと下部の渡り通路7Aを設け、床目地プレート16と一対のL字状の手摺21、21との間に隙間28、28を有する上部目地装置4Aおよび下部目地装置6Aを用いた点で、このように構成した渡り通路1Aにしても、上部目地装置4Aより落下する水を受け皿24で確実に受けることができる。
【0022】
図12ないし図14に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、渡り通路本体11、11の先端部の床面11a、11aに床用目地プレート16、16がスライド移動可能に支持する床用目地プレートスライド支持凹部29、29を形成し、該床用目地プレートスライド支持凹部29、29に床用目地プレート16、16の先端部を支持させるとともに、前記床用目地プレートスライド支持凹部29、29を床用目地プレート16、16がスライド移動できるようにカバープレート30、30で覆った上部目地装置4Bと下部目地装置6Bを用いる上部の渡り通路5Bと下部の渡り通路7Bとを用いるとともに、下部目地装置6Bの一対のL字状の手摺21、21、21、21に二対の支柱22、22、22、22を固定した点で、このように構成した渡り通路1Bにしても前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0023】
図15ないし図17に示す本発明を実施するための第4の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、開口部10の両側の外壁9面に床用目地プレート16の上面よりの上部位置に底面が位置するように固定された戸袋31、31と、この戸袋31、31内にそれぞれスライド移動できるように取付けられた壁面側手摺19A、19Aと、この壁面側手摺19A、19Aの前記開口部10側の端部に固定された係止片32、32と、前記壁面側手摺19A、19Aを常時収納方向に付勢する付勢スプリング33、33と、左右の建物3、3が地震で揺れ動き、前記係止片32、32が前記開口部10側への移動時には係止し、反開口部10側への移動時には係止されない床用目地プレート16の両側後端部側に係合支柱としての一方の支柱22、22が位置する2対の支柱22、22、22、22と、この2対の支柱22、22、22、22間に設けられた渡り通路側手摺20とからなる別体に形成されたL字状の手摺21Aを用いた点で、このような別体に形成されたL字状の手摺21Aを用いて構成した渡り通路1Cにしても前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。本実施例においては床用目地プレート16の両側後端部側に係合支柱を固定し、この係合支柱の近傍に渡り通路側手摺20の端部の支柱を設けてもよい。
【0024】
なお、前記本発明を実施するための各形態では一対のL字状の手摺21、2121A、21Aとして、パネルや板状部材で形成したものについて説明したが、本発明はこれに限らず、手摺部材として使用できる格子枠や枠部を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は渡り通路に使用される目地装置等を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0026】
1、1A、1B、1C:渡り通路、
2:目地部、 3:建物、
4、4A、4B:上部目地装置、
5、5A、5B:上部の渡り通路、
6、6A、6B:下部目地装置、
7、7A、7B:下部の渡り通路、
8:外側通路、 9:外壁、
10:開口部、 11:渡り通路本体、
12:ローラ、 13:ガイドレール、
14:移動土台、 15:傾斜面、
16:床用目地プレート、 17、18:支持脚、
19、19A:壁面側手摺、 20:渡り通路側手摺、
21、21A:L字状の手摺、 22:支柱、
23:桁、 24:受け皿、
25:クッション材、 26:回転プレート、
27:縦樋、 28:隙間、
29:床用目地プレートスライド支持凹部、
30:カバープレート、 31:戸袋、
32:係止片、 33:付勢スプリング。
【技術分野】
【0001】
本発明は目地部を介して設けられた左右の建物を接続する渡り通路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、渡り通路は一方の建物の外側通路の外壁面に開口部を形成し、他方の建物に該開口部へ目地部を介して突出するように渡り通路本体を設け、該渡り通路本体の先端部と前記開口部との間の目地部を、前記一方の建物と他方の建物とが地震で異なる前後左右方向に揺れ動いても、その揺れ動きを吸収することができる一対のL字状の手摺と床用目地プレートを用いた目地装置を用いて覆っている。
このように構成された渡り通路は、左右の建物の各階を接続するように設けられることがある。
【0003】
この場合、上の階の目地装置の手摺や床用目地プレートより、下の階の目地装置の手摺や床用目地プレートへ雨水等の水が落下して、下部階の渡り通路を通過する人が落下水や跳ね返り水が衣服や身体に付着し、汚れるという欠点があった。
また、横降り雨の場合も、渡り通路内へ浸入して、渡り通路を通行する人を濡らしてしまうという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2906374号公報
【特許文献2】特許第3095359号公報
【特許文献3】特許第3154957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、上部階の渡り通路の目地装置部より落下してくる水が下部階の渡り通路の目地装置内へ落下したり、跳ね返ったりした水や横降り雨の浸入を効率よく阻止でき、安全に下部階の渡り通路を通行することができ、かつ設置コストが高くなる側壁等を備えなくても良い渡り通路を提供することを目的としている。
【0006】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は目地部を介して設けられた左右の建物の上部位置の階を接続する一対の一体あるいは別体に形成されたL字状の手摺、床用目地プレートを有する上部目地装置を備える上部の渡り通路と、前記左右の建物の上部位置の階の下部位置の階を接続する、前記上部の渡り通路の下部に位置する一対の一体あるいは別体に形成されたL字状の手摺、床用目地プレートを有する下部目地装置を備える下部の渡り通路と、この下部の渡り通路の左右方向に位置する下部目地装置の一対の一体あるいは別体に形成されたL字状の手摺あるいは床用目地プレートに固定され、かつ上部が前記上部目地装置の底面近傍に位置する少なくとも二対の支柱と、この二対の支柱の上部に固定された前記上部の渡り通路の上部目地装置から落下する水を受けることができる、該上部目地装置の両側より外方へ突出する受け皿とでわたり通路を構成している。
【発明の効果】
【0008】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1により、上部位置の階を接続する上部の渡り通路の、上部目地装置の手摺や床用目地プレート部より下方へ落下する雨水等の水を下方に位置する受け皿で受けることができる。
したがって、下部の渡り通路を通行しても、上部から落下する水が衣服や身体に付着して汚れるのを確実に防止でき、安全に使用することができる。
(2)前記(1)によって、受け皿は上部の目地装置の両側より外方へ突出しているので、横降り雨が下部の目地装置内へ浸入するのを効率よく阻止でき、安全に使用することができる。
(3)前記(1)により、受け皿を下部目地装置の一対の手摺あるいは床用目地プレートに固定された少なくとも二対の支柱で支持しているので、左右の建物が異なる前後左右方向に揺れ動いても、上部の目地装置の下部位置に受け皿が位置して、確実に上部目地装置から落下する水を受けることができる。
(4)前記(1)により、上部目地装置からの落下する水を受け皿で確実に受けることができるので、渡り通路全体を覆って、コスト高となったり、開放感を損なったりするのを防止することができる。
(5)請求項2も前記(1)〜(4)と同様な効果が得られるとともに、回転プレートによって、鳥が上部目地装置の両側より突出している部位に止まるのを阻止できるとともに、該部位にゴミが入り込むのを効率よく阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明を実施するための第1の形態の正面図。
【図2】本発明を実施するための第1の形態の平面図。
【図3】図1の3−3線に沿う断面図。
【図4】図2の4−4線に沿う断面図。
【図5】本発明を実施するための第1の形態の目地部が広くなった動作説明図。
【図6】本発明を実施するための第1の形態の目地部が狭くなった動作説明図。
【図7】本発明を実施するための第1の形態の左右の建物の異なる前後方向の動作説明図。
【図8】本発明を実施するための第1の形態の横降り雨が降った時の説明図。
【図9】本発明を実施するための第2の形態の正面図。
【図10】本発明を実施するための第2の形態の平面図。
【図11】図10の11−11線に沿う断面図。
【図12】本発明を実施するための第3の形態の正面図。
【図13】本発系を実施するための第3の形態の平面図。
【図14】図13の14−14線に沿う断面図。
【図15】本発明を実施するための第4の形態の平面図。
【図16】図15の16−16線に沿う断面図。
【図17】本発明を実施するための第4の形態の異なる前後方向の動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0011】
図1ないし図9に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は本発明の渡り通路で、この渡り通路1は目地部2を介して設けられた左右の建物3、3の上部位置の階を接続する上部目地装置4を備える上部の渡り通路5および、前記上部位置の階の下の下部位置の階を接続する下部目地装置6を備える下部の渡り通路7が設けられている。
【0012】
前記上部の渡り通路5は前記左右の建物3、3の一方の建物3の外側通路8の外壁9に形成された開口部10と、この開口部10と対応する前記左右の建物3、3の他方の建物3より突出する、該開口部10との間に目地部2を有する断面チャンネル状の渡り通路本体11と、前記開口部10の下部位置の外壁9にほぼ水平となるように固定され、かつ内底に所定間隔で多数個のローラ12が設けられたガイドレール13、このガイドレール13の多数個のローラ12上に設けられた移動土台14、この移動土台14に後端部が固定され、先端部が渡り通路本体11の先端部寄りの床面11aに、前記目地部2の寸法Lとほぼ同じ寸法だけ重なり合い、かつ先端部が傾斜面15に形成された長方形状の床用目地プレート16、この床用目地プレート16の両端部の前記移動土台14に内側端部および中央部に設けた支持脚17、18を介して壁面側手摺19、19が固定され、該壁面側手摺19、19の内側部と一体あるいは固定された前記床用目地プレート16の両端部の上面および、前記渡り通路本体11の内側壁11b、11b近傍に位置する渡り通路側手摺20、20とからなる一対の一体に形成された平面視L字状の手摺21、21からなる上部目地装置4とで構成されている。
【0013】
前記下部の渡り通路7も前記上部の渡り通路5と同様に構成されている。
前記下部の渡り通路7の下部目地装置6の床用目地プレート16の壁面側端部および、前記下部の渡り通路7の渡り通路本体11の先端部寄りの部位に固定され、上面が前記上部目地装置4の底面近傍に位置する少なくとも二対の支柱22、22、22、22が設けられ、該二対の支柱22、22、22、22の上部には枠状の桁23を介して前記上部の渡り通路5の上部目地装置4から落下する雨水や、掃除時の水を受けることができる、該上部目地装置4の両側より外方へ突出するとともに、一方の建物3側の底面が少し低くなる傾斜面で、かつ一方の建物3の外側通路8躯体の下部へ入り込むように設置される受け皿24が固定されている。
なお、二対の支柱22、22、22、22は下部目地装置6の一対のL字状の手摺21、21に固定しても同様な作用効果が得られる。
【0014】
また、受け皿24内には落下した水の跳ね返りを阻止したり、該受け皿24と上部目地装置4との間より内部に鳥が侵入して巣作りされるのを防止できるスポンジやゴム等のクッション材25や侵入防止板を設置したり、上部目地装置4の両側より外方へ突出する部位には鳥が止まろうとすると回転する鳥止め用の回転プレート26を設置してもよい。
なお、受け皿24で受けた水は縦樋27で外部へ排水する。
【0015】
また、受け皿24の一端部は一方の建物3の外壁9のガイドレール13からの水を受けることができる下部に配置し、他端部は渡り通路本体11の目地部側の端部からの水を受けることができる位置に配置されている。
上記構成の渡り通路1は地震で左右の建物3、3が異なる左右方向に揺れ動いた場合、図5および図6に示すように上部の渡り通路5の上部目地装置4と、下部の渡り通路7の下部目地装置6は同様な動作をする。
【0016】
すなわち、床用目地プレート16、16および一対のL字状の手摺21、21、21、21の先端部は渡り通路本体11、11の先端部寄りの底面11aあるいは床用目地プレート16上をスライド移動して、その揺れ動きを吸収する。
このため、受け皿24も上部目地装置4の揺れ動きと同じとなり、該上部目地装置4から落下する水を確実に受けることができる。
【0017】
また、地震で左右の建物3、3が異なる前後方向に揺れ動いた場合、図7に示すように他方の建物3の渡り通路本体11、11の前後方向の揺れ動きよって、床用目地プレート16、16および一対のL字状の手摺21、21、21、21は一方の建物3に取付けられたガイドレール13の移動土台14によって前後方向に移動して、その揺れ動きを吸収する。
【0018】
すなわち、上部の渡り通路5の上部目地装置4と下部の渡り通路7の下部目地装置6は同様な動作となるので、受け皿24と同じ動作となり、上部目地装置4から落下する水を確実に受け皿24で受けることができる。
横降り雨の場合、図8に示すように上部目地装置4の両側より外方へ突出している受け皿24の部位によって雨水を受け取り、下部目地装置6を通行しても、雨に濡れたりするのを効率よく阻止できる。
【0019】
なお、一対のL字状の手摺21、21の壁面側手摺19、19の内側端部と中央部に支持脚17、17、18、18を設けて移動土台14に取付けることにより、短い移動土台14とガイドレール13を用いることができるとともに、一対のL字状の手摺21、21が支持脚17、17、18、18で移動土台14に取付けられているため、一対のL字状の手摺21、21の上部を支持する支持金具が不要となり、コストの低減と美観の向上を図ることができる。
【0020】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図9ないし図17に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0021】
図9ないし図11に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、一方の建物3の外側通路8の床面8aよりも他方の建物3の渡り通路本体11の床面11a高さを100ミリメートル程高く設定して、上部の渡り通路5Aと下部の渡り通路7Aを設け、床目地プレート16と一対のL字状の手摺21、21との間に隙間28、28を有する上部目地装置4Aおよび下部目地装置6Aを用いた点で、このように構成した渡り通路1Aにしても、上部目地装置4Aより落下する水を受け皿24で確実に受けることができる。
【0022】
図12ないし図14に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、渡り通路本体11、11の先端部の床面11a、11aに床用目地プレート16、16がスライド移動可能に支持する床用目地プレートスライド支持凹部29、29を形成し、該床用目地プレートスライド支持凹部29、29に床用目地プレート16、16の先端部を支持させるとともに、前記床用目地プレートスライド支持凹部29、29を床用目地プレート16、16がスライド移動できるようにカバープレート30、30で覆った上部目地装置4Bと下部目地装置6Bを用いる上部の渡り通路5Bと下部の渡り通路7Bとを用いるとともに、下部目地装置6Bの一対のL字状の手摺21、21、21、21に二対の支柱22、22、22、22を固定した点で、このように構成した渡り通路1Bにしても前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0023】
図15ないし図17に示す本発明を実施するための第4の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、開口部10の両側の外壁9面に床用目地プレート16の上面よりの上部位置に底面が位置するように固定された戸袋31、31と、この戸袋31、31内にそれぞれスライド移動できるように取付けられた壁面側手摺19A、19Aと、この壁面側手摺19A、19Aの前記開口部10側の端部に固定された係止片32、32と、前記壁面側手摺19A、19Aを常時収納方向に付勢する付勢スプリング33、33と、左右の建物3、3が地震で揺れ動き、前記係止片32、32が前記開口部10側への移動時には係止し、反開口部10側への移動時には係止されない床用目地プレート16の両側後端部側に係合支柱としての一方の支柱22、22が位置する2対の支柱22、22、22、22と、この2対の支柱22、22、22、22間に設けられた渡り通路側手摺20とからなる別体に形成されたL字状の手摺21Aを用いた点で、このような別体に形成されたL字状の手摺21Aを用いて構成した渡り通路1Cにしても前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。本実施例においては床用目地プレート16の両側後端部側に係合支柱を固定し、この係合支柱の近傍に渡り通路側手摺20の端部の支柱を設けてもよい。
【0024】
なお、前記本発明を実施するための各形態では一対のL字状の手摺21、2121A、21Aとして、パネルや板状部材で形成したものについて説明したが、本発明はこれに限らず、手摺部材として使用できる格子枠や枠部を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は渡り通路に使用される目地装置等を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0026】
1、1A、1B、1C:渡り通路、
2:目地部、 3:建物、
4、4A、4B:上部目地装置、
5、5A、5B:上部の渡り通路、
6、6A、6B:下部目地装置、
7、7A、7B:下部の渡り通路、
8:外側通路、 9:外壁、
10:開口部、 11:渡り通路本体、
12:ローラ、 13:ガイドレール、
14:移動土台、 15:傾斜面、
16:床用目地プレート、 17、18:支持脚、
19、19A:壁面側手摺、 20:渡り通路側手摺、
21、21A:L字状の手摺、 22:支柱、
23:桁、 24:受け皿、
25:クッション材、 26:回転プレート、
27:縦樋、 28:隙間、
29:床用目地プレートスライド支持凹部、
30:カバープレート、 31:戸袋、
32:係止片、 33:付勢スプリング。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目地部を介して設けられた左右の建物の上部位置の階を接続する一対の一体あるいは別体に形成されたL字状の手摺、床用目地プレートを有する上部目地装置を備える上部の渡り通路と、前記左右の建物の上部位置の階の下部位置の階を接続する、前記上部の渡り通路の下部に位置する一対の一体あるいは別体に形成されたL字状の手摺、床用目地プレートを有する下部目地装置を備える下部の渡り通路と、この下部の渡り通路の左右方向に位置する下部目地装置の一対の一体あるいは別体に形成されたL字状の手摺あるいは床用目地プレートに固定され、かつ上部が前記上部目地装置の底面近傍に位置する少なくとも二対の支柱と、この二対の支柱の上部に固定された前記上部の渡り通路の上部目地装置から落下する水を受けることができる、該上部目地装置の両側より外方へ突出する受け皿とからなることを特徴とする渡り通路。
【請求項2】
受け皿の目地装置の両側より外方へ突出する部位の上面に鳥止め用の回転プレートが設置されていることを特徴とする請求項1記載の渡り通路。
【請求項1】
目地部を介して設けられた左右の建物の上部位置の階を接続する一対の一体あるいは別体に形成されたL字状の手摺、床用目地プレートを有する上部目地装置を備える上部の渡り通路と、前記左右の建物の上部位置の階の下部位置の階を接続する、前記上部の渡り通路の下部に位置する一対の一体あるいは別体に形成されたL字状の手摺、床用目地プレートを有する下部目地装置を備える下部の渡り通路と、この下部の渡り通路の左右方向に位置する下部目地装置の一対の一体あるいは別体に形成されたL字状の手摺あるいは床用目地プレートに固定され、かつ上部が前記上部目地装置の底面近傍に位置する少なくとも二対の支柱と、この二対の支柱の上部に固定された前記上部の渡り通路の上部目地装置から落下する水を受けることができる、該上部目地装置の両側より外方へ突出する受け皿とからなることを特徴とする渡り通路。
【請求項2】
受け皿の目地装置の両側より外方へ突出する部位の上面に鳥止め用の回転プレートが設置されていることを特徴とする請求項1記載の渡り通路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−108326(P2013−108326A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256194(P2011−256194)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000110365)ドーエイ外装有限会社 (152)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000110365)ドーエイ外装有限会社 (152)
【Fターム(参考)】
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