渦流ブレーカ及び流体ダイバータを有する容器並びにシステム
使い捨ての流体容器を提供する。前記容器は、容器出口に隣接する渦流ブレーカ、及び前記容器への各入口に隣接する流体ダイバータを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願へのクロスリファレンス
本出願は、2008年5月30日に出願された米国仮特許出願番号:61/130,358の利益、即ち本明細書の言及によって取り込まれる全ての内容を享受することを宣言する。
【0002】
本発明は、出口に渦流ブレーカを、及び入口に流体ダイバータを有する使い捨て容器並びにその容器を使用するシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
本発明以前では、流体はステンレス鋼の容器を用いたシステムで処理されてきた。これらの容器は、再使用できるように、使用後滅菌される。前記滅菌工程は、時として効果が無いだけでなく、費用がかかり煩雑である。
【0004】
製造の際により柔軟性をもたせるため、及び有効な再生をもたらすのに必要な時間を減少させるために、製造機械は、各製品バッチとともに使用される使い捨ての滅菌されたバッグを用い始めてきた。これら使い捨てバッグの使用例として、溶液中のタンパク質がクロスフロー濾過(tangential flow filtration、TFF)によって濃縮されたタンパク質溶液を処理するためのシステムが挙げられる。別の使用例として、緩衝液の交換によるタンパク質溶液のpHを変更するためのシステムが挙げられる。TFFを使用し、新しい緩衝液でタンパク質溶液の緩衝液を置き換える。これらの各処理中、濃縮液はTFF工程から使い捨てのバッグまで再循環する。TFF再循環用のバッグ中の低い流動レベルでは、流体が濃縮液を戻すラインからバッグへ入ることが懸念されている。バッグへ戻る際に、流体は飛散(splash)しないことが理想的である。飛散すると、本願では望ましくない泡を生じることになる。他に懸念される事として、流入してくる流体が、既にタンク中にある流体と、あまりよく混合しない事が挙げら得れる。もし、前記戻ってくる流体が、戻ってくる際に、方向転換(divert)しなければ、流体は袋の出口へ直接流れ、既にバッグにある流体との混合を通過してしまう危険がある。この状況は、「短絡」(short−circuiting)として知られており、処理される流体の適切な混合の妨げとなる。戻入している流体に関連する別の問題として、飛散して泡を形成する噴水を生じうるという点が挙げれる。
【0005】
流体がバッグから除去されるバッグ出口では、他の問題が生じる。流体が除去される際、1つ又は複数の円錐形の渦が、バッグ中に存在する気体の円錐形の管から形成される。これは渦が流体と気体とを混合して望ましくない泡を生じさせるという理由から、望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、容器の入口及び出口での泡を最小にする又は防止するための手段を備える使い捨ての流体容器を設けることが望ましい。さらには、入口に入る流体が出口とは異なる方向に向けられて、それによって容器中にある流体と入ってくる流体との混合をもたらす容器などの物を設けることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
出口及び1つ又は複数の入口を有する使い捨ての流体容器を提供し、前記容器は出口及び1つ又は複数の入口での流体の泡を最小にする又は防止するための装置を有する。さらには、前記容器は、容器に入ってくる流体を出口とは異なる方向に向け、それによって容器中の流体と入ってくる流体との混合をもたらす、流体ダイバータ(flow diverter,fluid diverter)を1つまたは複数の入口に備える。
【0008】
また、前記容器をTFFユニットなどの流体処理工程とともに使用して、処理された流体が前記容器へリサイクルされるシステムも提供する。
【0009】
1つ又は複数の入口に、1つ又は複数の、通常は2つの開口端を有するコンジットを備える流体ダイバータを設ける。前記コンジットは、各入口に隣接し、開口端は出口とは異なる方向に流体を向かわせるために配置される。出口には、最初に流体を出口とは異なる方向に向かわせる固体表面(solid surface)を備える渦流ブレーカを設ける。開口部は、出口へ流体を入れることができる固体表面に隣接して設けられる。最初に出口とは異なる方向へ流体が向かうことにより、出口での1つ又は複数の渦の形成を最小にする、或いは防止する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明のシステムの概念図である。
【図2】図2は、本発明の別のシステムの概念図である。
【図3】図3は、先行技術の容器の入口での流体の流れを示す。
【図4】図4は、先行技術の容器の入口での先行技術の飛散の問題を示す。
【図5】図5は、本発明の容器の入口に隣接している流体ダイバータの透視図である。
【図6】図6は、本発明の容器の出口に隣接している渦流ブレーカの透視図である。
【図7】図7は、本発明の別の流体ダイバータを示す。
【図8】図8は、本発明の別の流体ダイバータを示す。
【図9】図9は、本発明の別の流体ダイバータを示す。
【図10】図10は、本発明の別の流体ダイバータを示す。
【図11】図11は、本発明の別の流体ダイバータを示す。
【図12】図12は、本発明の別の流体ダイバータを示す。
【図13】図13は、本発明の別の流体ダイバータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
超高分子量ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、若しくは低密度若しくは中密度ポリエチレンを含むポリエチレン;ポリプロピレン;エチレンビニルアセテート(EVOH);塩化ポリビニル(PVC);ポリビニルアセテート(PVA);エチレンビニルアセテートコポリマー(EVAコポリマー);様々な熱可塑性物質のブレンド;異なる熱可塑性物質の共押出成形;異なる熱可塑性物質の多層ラミネート;又はそれらに類するものなどのポリマー組成物から形成される、単層又は多層である可撓性の壁から、本発明の使い捨て容器は、形成される。「異なる」とは、同一のポリマータイプだが、充填材(fillers)若しくはそれに類するものの分子量、直鎖状・分岐状ポリマーなどの特性が異なることのみならず、ポリエチレン層に1つ又は複数のEVOH層などの異なるポリマータイプも包含することを意味する。一般的には医療用、及び好ましくは動物フリーなプラスチックが用いられる。これらは通常、蒸気、エチレンオキサイド、又はβ線やγ線のような放射線などのもので滅菌することができる。たいていのものは、優れた引張強度、低いガス透過性(gas transfer)を有し、透明性又は少なくとも半透明性のいずれかを有する。容器は1つ又は複数の入口、1つの出口、及び任意で通気孔経路を備える。上記で明らかなように、各入口には、各入口に隣接する流体ダイバータを設け、該流体ダイバータは熱シーリング又は接着剤などのもので容器の内壁に固着される。任意で、流体ダイバータは入口構造に成形される。
【0012】
出口は、該出口に隣接した渦流ブレーカを備え、該渦流ブレーカは熱シーリング又は接着剤などのもので容器の内表面に固着される。任意で、渦流ブレーカは出口構造に成形される。
【0013】
好ましい実施形態では、使い捨て容器は、簡単に前記液体容器を充填したり空にしたりできるように、固体支持体容器内に配置される。
【0014】
図1に関して、流体(12)を含有する本発明の容器(10)は、出口(11)部で容器(10)の内表面(16)に固着した渦流ブレーカ(14)を含み、そして、入口(20)部で容器(10)の内表面(16)に固着した流体ダイバータ(18)を含み、任意で通気孔(9)を含む。ポンプ(22)は、流体(12)を、出口(11)を経由して、図に示すようにTFFユニット(24)などの下流のユニットへ向かわせるために設けられる。前記TFFユニット(24)には、限外濾過フィルタ膜やマイクロポア膜(26)などの膜を設ける。前記膜(26)は流体(12)を濾液(28)と濃縮液(30)に分離する。濃縮液(30)は、バルブ(34)が開いてコンジット(32)を経由し、さらに容器(10)の底表面を貫通するように配置された入口(20)を経由して、容器(10)へリサイクルされる。濾液(28)は、コンジット(36)を経由して、使用又は廃棄されるポイントへ向かう。こうした操作によって、タンパク質などの濃縮液中の流体(12)の一部は、容器(10)中で濃縮される。
【0015】
図2に関して、図1と同じ要素については同じ番号で参照する。流体(12)を含有する本発明の容器(10)は、出口(11)部で容器(10)の内表面(16)に固着した渦流ブレーカ(14)を含み、及び入口(20)部で容器(10)の内表面(16)に固着した流体ダイバータ(18)を含み、任意で通気孔(9)を含む。ポンプ(22)は、流体(12)を、出口(11)を経由して、図に示すようにTFFユニット(24)などのオペレーションユニットへ向かわせるために設けられる。前記TFFユニット(24)には、限外濾過フィルタ膜やマイクロポア膜(26)などの膜を設ける。前記膜(26)は流体(12)を濾液(28)と濃縮液(30)に分離する。濃縮液(30)は、バルブ(34)が開いてコンジット(32)を経由し、さらに入口(20)を経由して、容器(10)へリサイクルされる。濾液(28)は、コンジット(36)を経由して、使用又は廃棄されるポイントへ向かう。こうした操作によって、タンパク質などの濃縮液中の流体(12)の一部は、容器(10)中で濃縮される。第二の容器(29)が設けられ、例えば第二の緩衝液を含有する。前記第二の緩衝液は、ポンプ(31)によって、流体ダイバータ(35)を備える入口(33)を経由して容器(10)へ向かう。第二の緩衝液は容器(10)内の流体中の第一の緩衝液と混合される。TFFユニット(24)中の多重リサイクルによって、第二の緩衝液は実質的に、第一の緩衝液を繰り返し置換して、それによって、容器(10)内の流体のpH、イオン強度、若しくは塩、又はそれらに類するものを変化させる。
【0016】
図3にて、先行技術の容器の問題点を示す。先行技術では、流体ダイバータが存在しない。稼動中は、流体は、容器(15)中の流体(21)と混合するよりは、むしろ容器(15)の入口(13)に入って、経路(17)をたどって直接出口(19)に向かう。こうした稼動様式は、非均一な流体組成物が生じることから望ましくない。
【0017】
図4にて、先行技術の第二の問題点を示す。容器(15)中の流体のレベルが低いとき、入口(13)に入ってくる流体は、容器(15)内の流体表面(23)を破壊して、蒸気(25)を形成する。そして、蒸気(25)は、表面(23)に接触して、流体を飛散させ、それによって望ましくない泡を促進することになる。
【0018】
図5にて、本発明の流体ダイバータ(40)を示す。流体ダイバータ(40)は、容器(10)の内壁(16)にシールされる。流体ダイバータ(40)は、入口(20)の上に位置するコンジットを備える。前記ダイバータ(40)は、矢印46及び48で表されるように、入口(20)に入ってきた流体が出口(11)とは異なる方向に向けられるように、2つの開口端(42及び44)を有する。この構造によって、容器(10)の流体と入口(20)に入ってくる流体の所望の混合を促進する。
【0019】
任意で、前記ダイバータ(40)は、ダイバータのデザインによっては、1つの開口端、又は2を超える開口端を有していてもよい。例えば、正方形又は長方形のデザインを使用する場合、図に示すように2つの開口端(42及び44)を用いてもよい。或いは、単に一方の開口端(42)を選択して、もう一方の開口端(44)は普通にシールすることができる。
【0020】
さらには、三角形のダイバータ(40)(図7)を用いるときには、2つの開口端(70及び71)をシールして、矢印61で表されるような流れが起こる1つの開口部(72)を開くこともできる。
【0021】
図8の6角形のダイバータ(40)などの、4辺を超える多角形を用いて、矢印63で表されるような流体の流れが起こる3つ若しくはそれを超える開口端(76、77、78)、又は閉口端(73、74、75)とすることができる。
【0022】
さらには、円形状のダイバータ(40)(図9)、又は楕円形のダイバータ(40)(図10)を用いることができる。そして、矢印65及び67に表されるような流体の流れをもたらすために不要に圧力を上げることなく、所望の効果的な流れ及び方向転換をもたらすように、開口部(81)及び閉口部(80)の数を変化させることができる。
【0023】
対称的に配置した開口部を示したが、必ずしもそのようにする必要はなく、所望の流体の流れをもたらすように調整できる。
【0024】
同様に、図11に示すように、ポート(20)に結合した固体ダイバータ(100)か、ポート(20)の一部を形成する固体ダイバータ(100)かのいずれかを用いることができる。ダイバータ(100)は、1つ又は複数の開口部(104)、1つ又は複数の固体閉口部(102)、及び閉口蓋(106)を有している。前記ダイバータ(100)に入る流体は、前記流体が直接出口に向かうことを防ぐように、閉口部(102)からではなく、開口部(104)から流出する。
【0025】
図12に示すように、ダイバータ(108)は3つの開口部(110、112、114)を有する階段状のダイバータを含む。
【0026】
図13に示すように、ダイバータ(116)は3つの開口部及びカーブした表面(124)を有する階段状のダイバータを含む。カーブした表面によって、本発明の容器からの流体の徐流性を向上させる。
【0027】
図6に、本発明の渦流ブレーカ(50)を示す。渦流ブレーカは、図に示すように円形を包含する、又は多角形を包含する如何なる形にもなり得る固体表面(52)を備えている。底部(54)は、容器(10)の内壁(16)にシールされている。渦流ブレーカ(50)は、出口(11)に隣接している。固体表面(52)は、固体表面(52)及び底部(54)に取り付けられた支持体(56)によって支えられている。渦流ブレーカ(50)は最初に、矢印58及び60で示されるように、出口(11)とは異なる方向に流体を向かわせ、その後支持体(56)の間の空間を経由して出口(11)へ向かう。この渦流ブレーカを用いた操作により、渦の形成を最小にするか又は防止する。
【0028】
また、ダイバータと同様に、渦流ブレーカは出口(11)の一部を形成してもよい。
【技術分野】
【0001】
関連出願へのクロスリファレンス
本出願は、2008年5月30日に出願された米国仮特許出願番号:61/130,358の利益、即ち本明細書の言及によって取り込まれる全ての内容を享受することを宣言する。
【0002】
本発明は、出口に渦流ブレーカを、及び入口に流体ダイバータを有する使い捨て容器並びにその容器を使用するシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
本発明以前では、流体はステンレス鋼の容器を用いたシステムで処理されてきた。これらの容器は、再使用できるように、使用後滅菌される。前記滅菌工程は、時として効果が無いだけでなく、費用がかかり煩雑である。
【0004】
製造の際により柔軟性をもたせるため、及び有効な再生をもたらすのに必要な時間を減少させるために、製造機械は、各製品バッチとともに使用される使い捨ての滅菌されたバッグを用い始めてきた。これら使い捨てバッグの使用例として、溶液中のタンパク質がクロスフロー濾過(tangential flow filtration、TFF)によって濃縮されたタンパク質溶液を処理するためのシステムが挙げられる。別の使用例として、緩衝液の交換によるタンパク質溶液のpHを変更するためのシステムが挙げられる。TFFを使用し、新しい緩衝液でタンパク質溶液の緩衝液を置き換える。これらの各処理中、濃縮液はTFF工程から使い捨てのバッグまで再循環する。TFF再循環用のバッグ中の低い流動レベルでは、流体が濃縮液を戻すラインからバッグへ入ることが懸念されている。バッグへ戻る際に、流体は飛散(splash)しないことが理想的である。飛散すると、本願では望ましくない泡を生じることになる。他に懸念される事として、流入してくる流体が、既にタンク中にある流体と、あまりよく混合しない事が挙げら得れる。もし、前記戻ってくる流体が、戻ってくる際に、方向転換(divert)しなければ、流体は袋の出口へ直接流れ、既にバッグにある流体との混合を通過してしまう危険がある。この状況は、「短絡」(short−circuiting)として知られており、処理される流体の適切な混合の妨げとなる。戻入している流体に関連する別の問題として、飛散して泡を形成する噴水を生じうるという点が挙げれる。
【0005】
流体がバッグから除去されるバッグ出口では、他の問題が生じる。流体が除去される際、1つ又は複数の円錐形の渦が、バッグ中に存在する気体の円錐形の管から形成される。これは渦が流体と気体とを混合して望ましくない泡を生じさせるという理由から、望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、容器の入口及び出口での泡を最小にする又は防止するための手段を備える使い捨ての流体容器を設けることが望ましい。さらには、入口に入る流体が出口とは異なる方向に向けられて、それによって容器中にある流体と入ってくる流体との混合をもたらす容器などの物を設けることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
出口及び1つ又は複数の入口を有する使い捨ての流体容器を提供し、前記容器は出口及び1つ又は複数の入口での流体の泡を最小にする又は防止するための装置を有する。さらには、前記容器は、容器に入ってくる流体を出口とは異なる方向に向け、それによって容器中の流体と入ってくる流体との混合をもたらす、流体ダイバータ(flow diverter,fluid diverter)を1つまたは複数の入口に備える。
【0008】
また、前記容器をTFFユニットなどの流体処理工程とともに使用して、処理された流体が前記容器へリサイクルされるシステムも提供する。
【0009】
1つ又は複数の入口に、1つ又は複数の、通常は2つの開口端を有するコンジットを備える流体ダイバータを設ける。前記コンジットは、各入口に隣接し、開口端は出口とは異なる方向に流体を向かわせるために配置される。出口には、最初に流体を出口とは異なる方向に向かわせる固体表面(solid surface)を備える渦流ブレーカを設ける。開口部は、出口へ流体を入れることができる固体表面に隣接して設けられる。最初に出口とは異なる方向へ流体が向かうことにより、出口での1つ又は複数の渦の形成を最小にする、或いは防止する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明のシステムの概念図である。
【図2】図2は、本発明の別のシステムの概念図である。
【図3】図3は、先行技術の容器の入口での流体の流れを示す。
【図4】図4は、先行技術の容器の入口での先行技術の飛散の問題を示す。
【図5】図5は、本発明の容器の入口に隣接している流体ダイバータの透視図である。
【図6】図6は、本発明の容器の出口に隣接している渦流ブレーカの透視図である。
【図7】図7は、本発明の別の流体ダイバータを示す。
【図8】図8は、本発明の別の流体ダイバータを示す。
【図9】図9は、本発明の別の流体ダイバータを示す。
【図10】図10は、本発明の別の流体ダイバータを示す。
【図11】図11は、本発明の別の流体ダイバータを示す。
【図12】図12は、本発明の別の流体ダイバータを示す。
【図13】図13は、本発明の別の流体ダイバータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
超高分子量ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、若しくは低密度若しくは中密度ポリエチレンを含むポリエチレン;ポリプロピレン;エチレンビニルアセテート(EVOH);塩化ポリビニル(PVC);ポリビニルアセテート(PVA);エチレンビニルアセテートコポリマー(EVAコポリマー);様々な熱可塑性物質のブレンド;異なる熱可塑性物質の共押出成形;異なる熱可塑性物質の多層ラミネート;又はそれらに類するものなどのポリマー組成物から形成される、単層又は多層である可撓性の壁から、本発明の使い捨て容器は、形成される。「異なる」とは、同一のポリマータイプだが、充填材(fillers)若しくはそれに類するものの分子量、直鎖状・分岐状ポリマーなどの特性が異なることのみならず、ポリエチレン層に1つ又は複数のEVOH層などの異なるポリマータイプも包含することを意味する。一般的には医療用、及び好ましくは動物フリーなプラスチックが用いられる。これらは通常、蒸気、エチレンオキサイド、又はβ線やγ線のような放射線などのもので滅菌することができる。たいていのものは、優れた引張強度、低いガス透過性(gas transfer)を有し、透明性又は少なくとも半透明性のいずれかを有する。容器は1つ又は複数の入口、1つの出口、及び任意で通気孔経路を備える。上記で明らかなように、各入口には、各入口に隣接する流体ダイバータを設け、該流体ダイバータは熱シーリング又は接着剤などのもので容器の内壁に固着される。任意で、流体ダイバータは入口構造に成形される。
【0012】
出口は、該出口に隣接した渦流ブレーカを備え、該渦流ブレーカは熱シーリング又は接着剤などのもので容器の内表面に固着される。任意で、渦流ブレーカは出口構造に成形される。
【0013】
好ましい実施形態では、使い捨て容器は、簡単に前記液体容器を充填したり空にしたりできるように、固体支持体容器内に配置される。
【0014】
図1に関して、流体(12)を含有する本発明の容器(10)は、出口(11)部で容器(10)の内表面(16)に固着した渦流ブレーカ(14)を含み、そして、入口(20)部で容器(10)の内表面(16)に固着した流体ダイバータ(18)を含み、任意で通気孔(9)を含む。ポンプ(22)は、流体(12)を、出口(11)を経由して、図に示すようにTFFユニット(24)などの下流のユニットへ向かわせるために設けられる。前記TFFユニット(24)には、限外濾過フィルタ膜やマイクロポア膜(26)などの膜を設ける。前記膜(26)は流体(12)を濾液(28)と濃縮液(30)に分離する。濃縮液(30)は、バルブ(34)が開いてコンジット(32)を経由し、さらに容器(10)の底表面を貫通するように配置された入口(20)を経由して、容器(10)へリサイクルされる。濾液(28)は、コンジット(36)を経由して、使用又は廃棄されるポイントへ向かう。こうした操作によって、タンパク質などの濃縮液中の流体(12)の一部は、容器(10)中で濃縮される。
【0015】
図2に関して、図1と同じ要素については同じ番号で参照する。流体(12)を含有する本発明の容器(10)は、出口(11)部で容器(10)の内表面(16)に固着した渦流ブレーカ(14)を含み、及び入口(20)部で容器(10)の内表面(16)に固着した流体ダイバータ(18)を含み、任意で通気孔(9)を含む。ポンプ(22)は、流体(12)を、出口(11)を経由して、図に示すようにTFFユニット(24)などのオペレーションユニットへ向かわせるために設けられる。前記TFFユニット(24)には、限外濾過フィルタ膜やマイクロポア膜(26)などの膜を設ける。前記膜(26)は流体(12)を濾液(28)と濃縮液(30)に分離する。濃縮液(30)は、バルブ(34)が開いてコンジット(32)を経由し、さらに入口(20)を経由して、容器(10)へリサイクルされる。濾液(28)は、コンジット(36)を経由して、使用又は廃棄されるポイントへ向かう。こうした操作によって、タンパク質などの濃縮液中の流体(12)の一部は、容器(10)中で濃縮される。第二の容器(29)が設けられ、例えば第二の緩衝液を含有する。前記第二の緩衝液は、ポンプ(31)によって、流体ダイバータ(35)を備える入口(33)を経由して容器(10)へ向かう。第二の緩衝液は容器(10)内の流体中の第一の緩衝液と混合される。TFFユニット(24)中の多重リサイクルによって、第二の緩衝液は実質的に、第一の緩衝液を繰り返し置換して、それによって、容器(10)内の流体のpH、イオン強度、若しくは塩、又はそれらに類するものを変化させる。
【0016】
図3にて、先行技術の容器の問題点を示す。先行技術では、流体ダイバータが存在しない。稼動中は、流体は、容器(15)中の流体(21)と混合するよりは、むしろ容器(15)の入口(13)に入って、経路(17)をたどって直接出口(19)に向かう。こうした稼動様式は、非均一な流体組成物が生じることから望ましくない。
【0017】
図4にて、先行技術の第二の問題点を示す。容器(15)中の流体のレベルが低いとき、入口(13)に入ってくる流体は、容器(15)内の流体表面(23)を破壊して、蒸気(25)を形成する。そして、蒸気(25)は、表面(23)に接触して、流体を飛散させ、それによって望ましくない泡を促進することになる。
【0018】
図5にて、本発明の流体ダイバータ(40)を示す。流体ダイバータ(40)は、容器(10)の内壁(16)にシールされる。流体ダイバータ(40)は、入口(20)の上に位置するコンジットを備える。前記ダイバータ(40)は、矢印46及び48で表されるように、入口(20)に入ってきた流体が出口(11)とは異なる方向に向けられるように、2つの開口端(42及び44)を有する。この構造によって、容器(10)の流体と入口(20)に入ってくる流体の所望の混合を促進する。
【0019】
任意で、前記ダイバータ(40)は、ダイバータのデザインによっては、1つの開口端、又は2を超える開口端を有していてもよい。例えば、正方形又は長方形のデザインを使用する場合、図に示すように2つの開口端(42及び44)を用いてもよい。或いは、単に一方の開口端(42)を選択して、もう一方の開口端(44)は普通にシールすることができる。
【0020】
さらには、三角形のダイバータ(40)(図7)を用いるときには、2つの開口端(70及び71)をシールして、矢印61で表されるような流れが起こる1つの開口部(72)を開くこともできる。
【0021】
図8の6角形のダイバータ(40)などの、4辺を超える多角形を用いて、矢印63で表されるような流体の流れが起こる3つ若しくはそれを超える開口端(76、77、78)、又は閉口端(73、74、75)とすることができる。
【0022】
さらには、円形状のダイバータ(40)(図9)、又は楕円形のダイバータ(40)(図10)を用いることができる。そして、矢印65及び67に表されるような流体の流れをもたらすために不要に圧力を上げることなく、所望の効果的な流れ及び方向転換をもたらすように、開口部(81)及び閉口部(80)の数を変化させることができる。
【0023】
対称的に配置した開口部を示したが、必ずしもそのようにする必要はなく、所望の流体の流れをもたらすように調整できる。
【0024】
同様に、図11に示すように、ポート(20)に結合した固体ダイバータ(100)か、ポート(20)の一部を形成する固体ダイバータ(100)かのいずれかを用いることができる。ダイバータ(100)は、1つ又は複数の開口部(104)、1つ又は複数の固体閉口部(102)、及び閉口蓋(106)を有している。前記ダイバータ(100)に入る流体は、前記流体が直接出口に向かうことを防ぐように、閉口部(102)からではなく、開口部(104)から流出する。
【0025】
図12に示すように、ダイバータ(108)は3つの開口部(110、112、114)を有する階段状のダイバータを含む。
【0026】
図13に示すように、ダイバータ(116)は3つの開口部及びカーブした表面(124)を有する階段状のダイバータを含む。カーブした表面によって、本発明の容器からの流体の徐流性を向上させる。
【0027】
図6に、本発明の渦流ブレーカ(50)を示す。渦流ブレーカは、図に示すように円形を包含する、又は多角形を包含する如何なる形にもなり得る固体表面(52)を備えている。底部(54)は、容器(10)の内壁(16)にシールされている。渦流ブレーカ(50)は、出口(11)に隣接している。固体表面(52)は、固体表面(52)及び底部(54)に取り付けられた支持体(56)によって支えられている。渦流ブレーカ(50)は最初に、矢印58及び60で示されるように、出口(11)とは異なる方向に流体を向かわせ、その後支持体(56)の間の空間を経由して出口(11)へ向かう。この渦流ブレーカを用いた操作により、渦の形成を最小にするか又は防止する。
【0028】
また、ダイバータと同様に、渦流ブレーカは出口(11)の一部を形成してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を備える使い捨ての流体容器:
可撓性の壁から形成される閉じた容積;
前記壁を貫通する1つ又は複数の入口;
前記壁を貫通する出口;
流体ダイバータ(fluid diverter)であって、前記各入口に隣接し、前記壁の内表面に固着し、前記流体ダイバータは、前記1つ又は複数の入口に入ってくる流体を、前記出口とは異なる方向に向かわせるために使用される、流体ダイバータ;及び
渦流ブレーカ(vortex breaker)であって、前記出口に隣接し、前記壁の内表面に固着し、前記渦流ブレーカは最初に流体を前記出口と異なる方向へ向かわせ、次に前記出口を経由させるために使用される、渦流ブレーカ。
【請求項2】
請求項1に記載の容器であって、通気孔を有する該容器。
【請求項3】
以下を備える流体処理システム:
請求項1に記載の容器;
クロスフロー濾過(tangential flow filtration)ユニット;及び
コンジットであって、前記容器から前記クロスフロー濾過ユニットへ向かい、さらに前記容器へ戻す流れを引き起こす、該コンジット。
【請求項4】
以下を備える流体処理システム:
請求項2に記載の容器;
クロスフロー濾過ユニット;及び
コンジットであって、前記容器から前記クロスフロー濾過ユニットへ向かい、さらに前記容器へ戻す流れを引き起こす、該コンジット。
【請求項5】
請求項3に記載のシステムであって、さらに第二の流体用の第二容器を備え、第二の入口を経由して前記容器に第二の流体を向かわせる手段を備え、
前記第二の入口は、前記第二の入口に隣接した流動ダイバータを有し、前記容器の内表面に固着している、該システム。
【請求項6】
請求項1に記載の容器であって、前記流動ダイバータが2つの開口端を有するコンジットを備える、該容器。
【請求項7】
請求項2に記載の容器であって、前記流動ダイバータが2つの開口端を有するコンジットを備える、該容器。
【請求項8】
請求項3に記載のシステムであって、前記流動ダイバータが2つの開口端を有するコンジットを備える、該システム。
【請求項9】
請求項4に記載のシステムであって、前記流動ダイバータが2つの開口端を有するコンジットを備える、該システム。
【請求項10】
請求項5に記載のシステムであって、前記流動ダイバータが2つの開口端を有するコンジットを備える、該システム。
【請求項11】
請求項1に記載の容器であって、前記渦流ブレーカが空離した固体支持体によって、底部に固着している固体表面(solid surface)を備える、該容器。
【請求項12】
請求項2に記載の容器であって、前記渦流ブレーカが空離した固体支持体によって、底部に固着している固体表面を備える、該容器。
【請求項13】
請求項3に記載のシステムであって、前記渦流ブレーカが空離した固体支持体によって、底部に固着している固体表面を備える、該システム。
【請求項14】
請求項4に記載のシステムであって、前記渦流ブレーカが空離した固体支持体によって、底部に固着している固体表面を備える、該システム。
【請求項15】
請求項5に記載のシステムであって、前記渦流ブレーカが空離した固体支持体によって、底部に固着している固体表面を備える、該システム。
【請求項16】
請求項1に記載のシステムであって、前記流体ダイバータが少なくとも1つの開口端を有するコンジットを備える、該システム。
【請求項17】
請求項1に記載のシステムであって、前記流体ダイバータが少なくとも1つの開口端を有するコンジットを備え、前記開口端の数は2を超える、該システム。
【請求項18】
請求項1に記載のシステムであって、前記流体ダイバータが少なくとも1つの開口端を有するコンジットを備え、前記開口端の数は3を超える、該システム。
【請求項1】
以下を備える使い捨ての流体容器:
可撓性の壁から形成される閉じた容積;
前記壁を貫通する1つ又は複数の入口;
前記壁を貫通する出口;
流体ダイバータ(fluid diverter)であって、前記各入口に隣接し、前記壁の内表面に固着し、前記流体ダイバータは、前記1つ又は複数の入口に入ってくる流体を、前記出口とは異なる方向に向かわせるために使用される、流体ダイバータ;及び
渦流ブレーカ(vortex breaker)であって、前記出口に隣接し、前記壁の内表面に固着し、前記渦流ブレーカは最初に流体を前記出口と異なる方向へ向かわせ、次に前記出口を経由させるために使用される、渦流ブレーカ。
【請求項2】
請求項1に記載の容器であって、通気孔を有する該容器。
【請求項3】
以下を備える流体処理システム:
請求項1に記載の容器;
クロスフロー濾過(tangential flow filtration)ユニット;及び
コンジットであって、前記容器から前記クロスフロー濾過ユニットへ向かい、さらに前記容器へ戻す流れを引き起こす、該コンジット。
【請求項4】
以下を備える流体処理システム:
請求項2に記載の容器;
クロスフロー濾過ユニット;及び
コンジットであって、前記容器から前記クロスフロー濾過ユニットへ向かい、さらに前記容器へ戻す流れを引き起こす、該コンジット。
【請求項5】
請求項3に記載のシステムであって、さらに第二の流体用の第二容器を備え、第二の入口を経由して前記容器に第二の流体を向かわせる手段を備え、
前記第二の入口は、前記第二の入口に隣接した流動ダイバータを有し、前記容器の内表面に固着している、該システム。
【請求項6】
請求項1に記載の容器であって、前記流動ダイバータが2つの開口端を有するコンジットを備える、該容器。
【請求項7】
請求項2に記載の容器であって、前記流動ダイバータが2つの開口端を有するコンジットを備える、該容器。
【請求項8】
請求項3に記載のシステムであって、前記流動ダイバータが2つの開口端を有するコンジットを備える、該システム。
【請求項9】
請求項4に記載のシステムであって、前記流動ダイバータが2つの開口端を有するコンジットを備える、該システム。
【請求項10】
請求項5に記載のシステムであって、前記流動ダイバータが2つの開口端を有するコンジットを備える、該システム。
【請求項11】
請求項1に記載の容器であって、前記渦流ブレーカが空離した固体支持体によって、底部に固着している固体表面(solid surface)を備える、該容器。
【請求項12】
請求項2に記載の容器であって、前記渦流ブレーカが空離した固体支持体によって、底部に固着している固体表面を備える、該容器。
【請求項13】
請求項3に記載のシステムであって、前記渦流ブレーカが空離した固体支持体によって、底部に固着している固体表面を備える、該システム。
【請求項14】
請求項4に記載のシステムであって、前記渦流ブレーカが空離した固体支持体によって、底部に固着している固体表面を備える、該システム。
【請求項15】
請求項5に記載のシステムであって、前記渦流ブレーカが空離した固体支持体によって、底部に固着している固体表面を備える、該システム。
【請求項16】
請求項1に記載のシステムであって、前記流体ダイバータが少なくとも1つの開口端を有するコンジットを備える、該システム。
【請求項17】
請求項1に記載のシステムであって、前記流体ダイバータが少なくとも1つの開口端を有するコンジットを備え、前記開口端の数は2を超える、該システム。
【請求項18】
請求項1に記載のシステムであって、前記流体ダイバータが少なくとも1つの開口端を有するコンジットを備え、前記開口端の数は3を超える、該システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2011−523922(P2011−523922A)
【公表日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511607(P2011−511607)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/003077
【国際公開番号】WO2009/148499
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(390019585)ミリポア・コーポレイション (212)
【氏名又は名称原語表記】MILLIPORE CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/003077
【国際公開番号】WO2009/148499
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(390019585)ミリポア・コーポレイション (212)
【氏名又は名称原語表記】MILLIPORE CORPORATION
【Fターム(参考)】
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