説明

渦流ポンプ

【課題】昇圧通路の入口部と出口部との間に形成した顎部の間隙に空気が溜まることを防止できる渦流ポンプを提供する。
【解決手段】ポンプ本体11に、駆動軸12を挿入する中央ボックス部13を設け、この中央ボックス部13の周囲にC形の昇圧通路15を形成する。ポンプ本体11の表面に、昇圧通路15の一端の入口部16に連通した吸込口17と、昇圧通路15の他端の出口部18に連通した第1の吐出口19aおよび第2の吐出口19bを開口する。昇圧通路15の入口部16と出口部18との間に、ポンプ本体11から突出する顎部を形成し、昇圧通路15と、顎部25に切欠形成した凹溝とに、縦方向の駆動軸12により回転される羽根車28を回転可能に嵌合する。この羽根車28と顎部との間の間隙に溜まった空気を外部へ抜き出す空気抜き穴32を、顎部の下面から、第1の吐出口19aにわたって穿設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇圧通路の入口部と出口部との間に顎部を有する渦流ポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
渦流ポンプとしては、駆動軸が横方向に配置された横型のものが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この渦流ポンプは、ポンプ本体にC形の昇圧通路が形成され、この昇圧通路の一端の入口部に連通された吸込口と、昇圧通路の他端の出口部に連通された吐出口とが、それぞれポンプ本体に開口され、さらに、昇圧通路の入口部と出口部との間に顎部が形成され、ポンプ本体内の昇圧通路および顎部に切欠形成された凹溝に、外周部に多数の羽根溝が形成された羽根車が回転可能に嵌合され、この羽根車の中心に横方向の駆動軸が嵌着された渦流ポンプがある。
【0004】
そして、外部のモータによって駆動軸を介し羽根車を回動すると、ポンプ本体の吸込口から昇圧通路の入口部に吸込まれた液は、羽根車と共に昇圧通路を移動しながら、羽根車の各羽根溝内と昇圧通路との間で渦流となり、これが各羽根溝内で同時に行なわれながら昇圧通路内を進み、昇圧通路を進むにつれて昇圧されて、昇圧通路の出口部から吐出口を経て外部へ吐出される。
【0005】
このような渦流ポンプを、モータなどの設置スペースなどの関係で、駆動軸が縦方向になるように配置された縦型の渦流ポンプとして用いる場合は、例えば図8および図9に示されるようになる。
【0006】
この図8および図9に示された縦型の渦流ポンプは、運転開始時の自吸時において、ポンプ本体1に開口された吸込口2より液とともに空気を吸込む。そして、羽根車3の回転にともなって発生する渦流が、C形に形成された昇圧通路4に沿って移動する際に、遠心力の作用で、液より比重の軽い空気は昇圧通路4の内側を、空気より比重の重い液は昇圧通路4の外側を通って、ポンプ本体1に開口された吐出口5より排出される。
【0007】
その際、昇圧通路4の内側を通る空気は、ポンプ本体1の中央部に設けられ羽根車3の駆動軸6が挿入される中央ボックス部7に漏れ出して溜まり、さらに、この中央ボックス部7から、図9に示されるように吸込口2および吐出口5にそれぞれ連なる昇圧通路4の入口部4aと出口部4bとを仕切る顎部8と、羽根車3との間の間隙9に溢れ出て溜まる現象が発生することが分かった。
【特許文献1】特開平6−323288号公報(第3−4頁、図1−2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このようにして、顎部8と羽根車3との間の間隙9に空気が溜まると、羽根車3によるポンプ作用が有効に働かなくなることが明らかになった。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、昇圧通路の入口部と出口部との間に形成された顎部の間隙に空気が溜まることを防止できる渦流ポンプを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は、駆動軸が縦方向に配置された縦型の渦流ポンプであって、ポンプ本体と、このポンプ本体の中央部に設けられ駆動軸が挿入される中央ボックス部と、この中央ボックス部の周囲にポンプ本体と一体の環状の隔壁部を介して形成されたC形の昇圧通路と、ポンプ本体の表面に開口され昇圧通路の一端の入口部に連通された吸込口と、ポンプ本体の表面に開口され昇圧通路の他端の出口部に連通された吐出口と、昇圧通路の入口部と出口部との間にポンプ本体から突出するように形成された顎部と、ポンプ本体の中央ボックス部から環状の隔壁部に切欠形成された周溝を経て昇圧通路および顎部に切欠形成された凹溝に回転可能に嵌合され縦方向の駆動軸により回転される羽根車と、この羽根車と顎部との間の間隙に溜まった空気を外部へ抜き出す空気抜き穴とを具備した渦流ポンプであって、そして、昇圧通路の外側を通る液に対し内側を通る空気が、中央ボックス部に漏れ出して溜まり、この中央ボックス部から、昇圧通路の入口部と出口部との間に形成された顎部と羽根車との間の間隙に溢れ出ることがあっても、その空気を空気抜き穴により外部へ抜き出すことで、顎部の間隙に空気が溜まることを防止すると、この顎部の間隙は常に液で満たされ、羽根車によるポンプ作用が有効に働くようになる。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の渦流ポンプにおける吐出口が、上方へ開口された第1の吐出口と、外側方へ開口された第2の吐出口とを具備したものであって、そして、ポンプ本体から吐出される液中に空気が混入している場合、軽い空気は、上方へ開口された第1の吐出口から排出されやすく、空気より重く遠心力により昇圧通路の外側へ片寄った液は、外側方へ開口された第2の吐出口から排出されやすいので、液中から分離された空気を効率良く外部へ排出して、顎部と羽根車との間の間隙に空気が溜まり難くすることで、羽根車によるポンプ作用が有効に働くようになる。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の渦流ポンプにおける空気抜き穴が、ポンプ本体の表面に開口され、吐出口に接続された外部吐出配管と、空気抜き穴の開口から外部吐出配管にわたって接続された外部連結配管とを具備したものであり、そして、ポンプ本体の表面に空気抜き穴を開口しても、この空気抜き穴から、吐出口に接続された外部吐出配管にわたって外部連結配管を接続すれば良いので、空気抜き穴をポンプ本体の表面から容易に形成することが可能となる。
【0013】
請求項4記載の発明は、駆動軸が縦方向に配置された縦型の渦流ポンプであって、ポンプ本体と、このポンプ本体の中央部に設けられ駆動軸が挿入される中央ボックス部と、この中央ボックス部の周囲にポンプ本体と一体の環状の隔壁部を介して形成されたC形の昇圧通路と、ポンプ本体の表面に開口され昇圧通路の一端の入口部に連通された吸込口と、ポンプ本体の表面に開口され昇圧通路の他端の出口部に連通された吐出口と、昇圧通路の入口部と出口部との間にポンプ本体から突出するように形成された顎部と、ポンプ本体の中央ボックス部から環状の隔壁部に切欠形成された周溝を経て昇圧通路および顎部に切欠形成された凹溝に回転可能に嵌合され縦方向の駆動軸により回転される羽根車と、中央ボックス部に溜まった空気を中央ボックス部から排出する空気排出穴とを具備した渦流ポンプであって、そして、昇圧通路の外側を通る液に対し内側を通る空気が、中央ボックス部に漏れ出すことがあっても、この中央ボックス部から空気排出穴により空気を排出することで、中央ボックス部に空気が溜まり難くなるので、この中央ボックス部から、昇圧通路の入口部と出口部との間に形成された顎部と羽根車との間の間隙に空気が溢れ出て溜まることも抑制され、この顎部の間隙は常に液で満たされ、羽根車によるポンプ作用が有効に働くようになる。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の渦流ポンプにおいて、環状の隔壁部に嵌着された環状の固定シール部材と、この固定シール部材に対向して羽根車に嵌着され固定シール部材に接触して摺動する可動シール部材とを具備したものであり、そして、昇圧通路の外側を通る液に対し内側を通る空気が、中央ボックス部に漏れ出すことを、固定シール部材と可動シール部材とにより抑制することで、中央ボックス部に空気が溜まり難くなるので、この中央ボックス部から、昇圧通路の入口部と出口部との間に形成された顎部と羽根車との間の間隙に空気が溢れ出て溜まることも抑制され、この顎部の間隙は常に液で満たされ、羽根車によるポンプ作用が有効に働くようになる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、昇圧通路の外側を通る液に対し内側を通る空気が、中央ボックス部に漏れ出して溜まり、この中央ボックス部から、昇圧通路の入口部と出口部との間に形成された顎部と羽根車との間の間隙に溢れ出ることがあっても、その空気を空気抜き穴により外部へ抜き出すことで、顎部の間隙に空気が溜まることを防止でき、この顎部の間隙を常に液で満たして、羽根車によるポンプ作用を有効に働かせることができる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、ポンプ本体から吐出される液中に空気が混入している場合、軽い空気は、上方へ開口された第1の吐出口から排出されやすく、空気より重く遠心力により昇圧通路の外側へ片寄った液は、外側方へ開口された第2の吐出口から排出されやすいので、液中から分離された空気を効率良く外部へ排出して、顎部と羽根車との間の間隙に空気が溜まることを防止でき、羽根車によるポンプ作用を有効に働かせることができる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、ポンプ本体の表面に空気抜き穴を開口しても、この空気抜き穴から、吐出口に接続された外部吐出配管にわたって外部連結配管を接続すれば良いので、空気抜き穴をポンプ本体の表面から容易に形成できる。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、昇圧通路の外側を通る液に対し内側を通る空気が、中央ボックス部に漏れ出すことがあっても、この中央ボックス部から空気排出穴により空気を排出することで、中央ボックス部に空気が溜まり難くなるので、この中央ボックス部から、昇圧通路の入口部と出口部との間に形成された顎部と羽根車との間の間隙に空気が溢れ出て溜まることも抑制でき、この顎部の間隙を常に液で満たして、羽根車によるポンプ作用が有効に働かせることができる。
【0019】
請求項5記載の発明によれば、昇圧通路の外側を通る液に対し内側を通る空気が、中央ボックス部に漏れ出すことを、固定シール部材と可動シール部材とにより抑制することで、中央ボックス部に空気が溜まり難くなるので、この中央ボックス部から、昇圧通路の入口部と出口部との間に形成された顎部と羽根車との間の間隙に空気が溢れ出て溜まることも抑制でき、この顎部の間隙を常に液で満たして、羽根車によるポンプ作用を有効に働かせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を、図1乃至図4に示された一実施の形態、図5に示された他の実施の形態、図6および図7に示されたさらに別の実施の形態を参照して詳細に説明する。
【0021】
図1乃至図4は、駆動軸が縦方向に配置された縦型の渦流ポンプを示し、図1および図3に示されるように、ポンプ本体11の中央部下側に、駆動軸12が挿入される中央ボックス部13が設けられ、この中央ボックス部13の周囲に、ポンプ本体11と一体の環状の隔壁部14を介してC形の昇圧通路15が形成されている。
【0022】
さらに、図1および図2に示されるように、ポンプ本体11の表面に、昇圧通路15の一端の入口部16に連通された吸込口17が上方へ開口され、また、ポンプ本体11の表面に、昇圧通路15の他端の出口部18に連通された吐出口19が開口されている。
【0023】
この吐出口19としては、垂直に上方へ開口された第1の吐出口19aと、斜め上方へ向って外側方へ開口された第2の吐出口19bとが設けられている。
【0024】
さらに、図2および図3に示されるように、昇圧通路15の入口部16と出口部18との間に、顎部25がポンプ本体11から突出するように形成され、ポンプ本体11の中央ボックス部13から環状の隔壁部14に切欠形成された周溝26を経て、昇圧通路15と、顎部25に切欠形成された凹溝27とに、縦方向の駆動軸12により回転される羽根車28が回転可能に嵌合されている。この羽根車28は、図3および図4に示されるように、外周部に多数の羽根溝29が形成されている。
【0025】
図3に示されるように、ポンプ本体11の中央ボックス部13は、モータ側の部材30により塞がれている。
【0026】
さらに、図1乃至図3に示されるように、この羽根車28と顎部25との間の間隙31に溜まった空気を外部へ抜き出す空気抜き穴32が、顎部25の下面から、第1の吐出口19aにわたって穿設されている。
【0027】
次に、この図1乃至図4に示された実施の形態の作用効果を説明する。
【0028】
渦流ポンプは、ポンプ本体11の下側に配置されたモータによって、羽根車28の中心に嵌着された駆動軸12を回動すると、羽根車28の羽根溝29が、羽根車28と同心円の昇圧通路15内を回転し、ポンプ本体11の吸込口17から昇圧通路15の入口部16に液を吸込む。この液は、羽根車28と共に昇圧通路15を移動しながら、羽根車28の各羽根溝29内と昇圧通路15との間で渦流となり、これが各羽根溝29で同時に行なわれながら昇圧通路15内を進み、昇圧通路15を進むにつれて昇圧されて、昇圧通路15の出口部18から吐出口19を経て外部へ吐出される。
【0029】
ポンプ運転開始時の自吸時は、ポンプ本体11の吸込口17から昇圧通路15の入口部16に液とともに多量の空気を吸込むので、遠心力の作用で昇圧通路15の外側を通る液に対し、内側を通る空気が、中央ボックス部13に漏れ出して溜まり、この中央ボックス部13から、昇圧通路15の入口部16と出口部18との間に形成された顎部25と羽根車28との間の間隙31に溢れ出ることがあっても、その空気は、空気抜き穴32により外部へ抜き出されるので、顎部25の間隙31に空気が溜まることは防止される。したがって、この顎部25の間隙31は常に液で満たされ、羽根車28によるポンプ作用が有効に働くようになる。
【0030】
さらに、ポンプ本体11から吐出される液中に空気が混入している場合、軽い空気は、上方へ開口された第1の吐出口19aから排出されやすく、空気より重く遠心力により昇圧通路15の外側へ片寄った液は、外側方へ開口された第2の吐出口19bから排出されやすいので、液中から分離された空気を効率良く外部へ排出して、顎部25と羽根車28との間の間隙31に空気が溜まり難くすることで、羽根車28によるポンプ作用が有効に働くようになる。
【0031】
次に、図5に示された他の実施の形態を説明すると、空気抜き穴32は、ポンプ本体11の表面に開口されている。
【0032】
この場合は、吸込口17に外部吸込配管35が接続され、吐出口19aに外部吐出配管36が接続され、さらに、空気抜き穴32の開口から外部吐出配管36にわたって外部連結配管37が接続されている。
【0033】
この図5に示された実施の形態において、他の構造は、図1乃至図4に示された実施の形態と同様であるから、同様の部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
【0034】
この実施の形態は、ポンプ本体11の表面に空気抜き穴32を開口しても、この空気抜き穴32から、吐出口19aに接続された外部吐出配管36にわたって外部連結配管37を接続すれば良いので、空気抜き穴32をポンプ本体11の表面から容易に形成できる。
【0035】
次に、図6および図7に示された他の実施の形態を説明する。
【0036】
図6および図7は、駆動軸が縦方向に配置された縦型の渦流ポンプを示し、ポンプ本体11の中央部下側に、駆動軸12が挿入される中央ボックス部13が設けられ、この中央ボックス部13の周囲に、ポンプ本体11と一体の環状の隔壁部14を介してC形の昇圧通路15が形成されている。
【0037】
さらに、ポンプ本体11の表面に、昇圧通路15の一端の入口部16に連通された吸込口17と、昇圧通路15の他端の出口部18に連通された吐出口19とが、それぞれ上方へ開口されている。
【0038】
さらに、昇圧通路15の入口部16と出口部18との間に、顎部25がポンプ本体11から突出するように形成され、ポンプ本体11の中央ボックス部13から環状の隔壁部14に切欠形成された周溝26を経て、昇圧通路15と、顎部25に切欠形成された凹溝27とに、縦方向の駆動軸12により回転される羽根車28が回転可能に嵌合されている。この羽根車28は、外周部に多数の羽根溝29が形成されている。
【0039】
図6に示されるように、ポンプ本体11の中央ボックス部13は、モータ側の部材30により塞がれている。
【0040】
さらに、図6に示されるように、中央ボックス部13と昇圧通路15との間に形成された環状の隔壁部14には、環状の固定シール部材41が嵌着され、この固定シール部材41に対向して羽根車28のサイドプレート部42には、固定シール部材41に接触して摺動する可動シール部材43が嵌着されている。
【0041】
さらに、中央ボックス部13に溜まった空気を中央ボックス部13から排出する空気排出穴44が、中央ボックス部13の内面から吸込口17にわたって穿設されている。
【0042】
次に、この図6および図7に示された実施の形態の作用効果を説明する。
【0043】
ポンプ本体11の下側に配置されたモータによって、羽根車28の中心に嵌着された駆動軸12を回動すると、羽根車28の羽根溝29が、羽根車28と同心円の昇圧通路15内を回転し、ポンプ本体11の吸込口17から昇圧通路15の入口部16に液を吸込み、この液は、羽根車28と共に昇圧通路15を移動しながら、羽根車28の各羽根溝29内と昇圧通路15との間で渦流となり、これが各羽根溝29で同時に行なわれながら昇圧通路15内を進み、昇圧通路15を進むにつれて昇圧されて、昇圧通路15の出口部18から吐出口19を経て外部へ吐出される作用は、図1乃至図4に示されたものと同様である。
【0044】
ポンプ運転開始時の自吸時は、ポンプ本体11の吸込口17から昇圧通路15の入口部16に液とともに多量の空気を吸込むが、遠心力の作用で昇圧通路15の外側を通る液に対し、内側を通る空気が、中央ボックス部13に漏れ出すことを、固定シール部材41と可動シール部材43とにより抑制することで、中央ボックス部13に空気が溜まり難くなるので、この中央ボックス部13から、昇圧通路15の入口部16と出口部18との間に形成された顎部25と羽根車28との間の間隙31に空気が溢れ出て溜まることも抑制され、この顎部25の間隙31は常に液で満たされ、羽根車28によるポンプ作用が有効に働くようになる。
【0045】
さらに、固定シール部材41と可動シール部材43とによる気密性能の劣化などにより、遠心力の作用で昇圧通路15の外側を通る液に対し、内側を通る空気が、中央ボックス部13に漏れ出すことがあっても、この中央ボックス部13の空気を空気排出穴44により吸込口17に排出し、さらに液とともに吐出口19より外部へ排出することで、中央ボックス部13に空気が溜まり難くなるので、この中央ボックス部13から、昇圧通路15の入口部16と出口部18との間に形成された顎部25と羽根車28との間の間隙31に空気が溢れ出て溜まることも抑制され、この顎部25の間隙31は常に液で満たされ、羽根車28によるポンプ作用が有効に働くようになる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る渦流ポンプの一実施の形態を示す平面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】本発明に係る渦流ポンプの他の実施の形態を示す断面図である。
【図6】本発明に係る渦流ポンプのさらに別の実施の形態を示す断面図である。
【図7】図6のVII−VII線断面図である。
【図8】従来の渦流ポンプを示す平面図である。
【図9】図8のIX−IX線断面図である。
【符号の説明】
【0047】
11 ポンプ本体
12 駆動軸
13 中央ボックス部
14 隔壁部
15 昇圧通路
16 入口部
17 吸込口
18 出口部
19 吐出口
19a 第1の吐出口
19b 第2の吐出口
25 顎部
26 周溝
27 凹溝
28 羽根車
31 間隙
32 空気抜き穴
36 外部吐出配管
37 外部連結配管
41 固定シール部材
43 可動シール部材
44 空気排出穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸が縦方向に配置された縦型の渦流ポンプであって、
ポンプ本体と、
このポンプ本体の中央部に設けられ駆動軸が挿入される中央ボックス部と、
この中央ボックス部の周囲にポンプ本体と一体の環状の隔壁部を介して形成されたC形の昇圧通路と、
ポンプ本体の表面に開口され昇圧通路の一端の入口部に連通された吸込口と、
ポンプ本体の表面に開口され昇圧通路の他端の出口部に連通された吐出口と、
昇圧通路の入口部と出口部との間にポンプ本体から突出するように形成された顎部と、
ポンプ本体の中央ボックス部から環状の隔壁部に切欠形成された周溝を経て昇圧通路および顎部に切欠形成された凹溝に回転可能に嵌合され縦方向の駆動軸により回転される羽根車と、
この羽根車と顎部との間の間隙に溜まった空気を外部へ抜き出す空気抜き穴と
を具備したことを特徴とする渦流ポンプ。
【請求項2】
吐出口は、
上方へ開口された第1の吐出口と、
外側方へ開口された第2の吐出口と
を具備したことを特徴とする請求項1記載の渦流ポンプ。
【請求項3】
空気抜き穴は、ポンプ本体の表面に開口され、
吐出口に接続された外部吐出配管と、
空気抜き穴の開口から外部吐出配管にわたって接続された外部連結配管と
を具備したことを特徴とする請求項1または2記載の渦流ポンプ。
【請求項4】
駆動軸が縦方向に配置された縦型の渦流ポンプであって、
ポンプ本体と、
このポンプ本体の中央部に設けられ駆動軸が挿入される中央ボックス部と、
この中央ボックス部の周囲にポンプ本体と一体の環状の隔壁部を介して形成されたC形の昇圧通路と、
ポンプ本体の表面に開口され昇圧通路の一端の入口部に連通された吸込口と、
ポンプ本体の表面に開口され昇圧通路の他端の出口部に連通された吐出口と、
昇圧通路の入口部と出口部との間にポンプ本体から突出するように形成された顎部と、
ポンプ本体の中央ボックス部から環状の隔壁部に切欠形成された周溝を経て昇圧通路および顎部に切欠形成された凹溝に回転可能に嵌合され縦方向の駆動軸により回転される羽根車と、
中央ボックス部に溜まった空気を中央ボックス部から排出する空気排出穴と
を具備したことを特徴とする渦流ポンプ。
【請求項5】
環状の隔壁部に嵌着された環状の固定シール部材と、
この固定シール部材に対向して羽根車に嵌着され固定シール部材に接触して摺動する可動シール部材と
を具備したことを特徴とする請求項4記載の渦流ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−170159(P2006−170159A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−367029(P2004−367029)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(000226002)株式会社ニクニ (25)