説明

温冷ミスト器

【課題】1つの装置で温ミストと冷ミストを自由に組み合わせて使用できる温冷ミスト器を提供する。
【解決手段】1つの水タンク1と、水タンク1に接続する温ミスト発生部2と、水タンク1と一体の冷ミスト発生部3で構成し、マイコン制御により温ミストと冷ミストを同時または交互または選択的に2つのノズル4、5から排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つのノズルを設けて温ミストと冷ミストを同時または交互または選択的に排出する温冷ミスト器に関する。
【背景技術】
【0002】
温ミストを皮膚に当てると毛穴を開いて肌の汚れを取り除く効果があり、冷ミストを皮膚に当てると毛穴を閉じて肌を引き締める効果がある。また、温ミストと冷ミストを交互に皮膚に当て、それを繰り返すと肌につやを出す効果がある。
このように温のみ、冷のみ、温冷同時、またはそれらを自由に組み合わせることで温冷のミストを個々に使用する以上の効果を期待できる。
【0003】
しかしながら1つの装置で温ミストと冷ミストを自由に組み合わせて使用できるものは未だ製品化されておらず、温冷のミストを組み合わせて使用する場合、従来は温ミストを排出するスチーマと冷却した金属片を併用して交互に使うことで温冷の組み合わせを実現していた。
この場合、金属片を手に持って使用する必要がある、金属アレルギーを発症する可能性がある、温冷の切り替えに時間を要するなどの理由で使用が難しかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は以上のような点であり、本発明は、1つの装置で温ミストと冷ミストを自由に組み合わせて使用できる温冷ミスト器を提供することを目的になされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのため本発明は、1つの水タンクの外側と内側に水タンクに接続する温ミスト発生部と水タンクと一体の冷ミスト発生部をそれぞれ配置し、温ミスト発生部にはヒータで加熱するボイラー室を備え、このボイラー室に水タンクの水を導き、沸騰させて温ミストを生成すると共に、冷ミスト発生部には超音波素子を備えて超音波で水タンクの水を気化させて冷ミストを生成し、生成した温ミストと冷ミストをそれぞれ温ミスト発生部と冷ミスト発生部の先端に取り付けた個別のノズルから同時または交互または選択的に排出することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、水タンクに接続する温ミスト発生部と水タンクと一体の冷ミスト発生部で生成した温ミストと冷ミストをそれぞれ温ミスト発生部と冷ミスト発生部の先端に取り付けた個別のノズルから同時または交互または選択的に排出するので、1つの装置で温ミストと冷ミストの両方を自由に組み合わせて使用できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0008】
図1に、本発明を実施した温冷ミスト器の構成図を示す。
温冷ミスト器は、1つの水タンク1と、水タンク1に接続する温ミスト発生部2と、水タンク1と一体の冷ミスト発生部3で構成し、マイコン制御により温ミストと冷ミストを同時または交互または選択的に2つのノズル4、5から排出する。
ノズル4、5は回転可能に取り付けて手動で排出するミストの方向を変えられるようにする。
水タンク1は、天井から2枚の仕切り板11を垂下して冷ミスト発生部3とそれ以外の区画に区分し、それ以外の区画の上面を開口して給水口12を設け、底面を開口して縦方向の給水路13に接続する。
また、冷ミスト発生部3を形成する水タンク1の底面を開口して縦方向の残水の排水路14に接続する。
さらに縦方向の給水路13の先端を左右に分岐して横方向の通水路15を設け、通水路15の一方を温ミスト発生部2のボイラー室21の入口に接続し、他方を水抜き弁Vを介して縦方向の排水路14の途中に合流接続する。
これより残水を排水する際、ボイラー室21の高温水と冷ミスト発生部3の低温水を混合した上で外部に排出するので、排水の温度をやけどしない程度まで下げることができ、安全性を高めることができる。
水タンク1には図示しないナノ銀抗菌剤含有の樹脂から成るナノ銀フィルタを設置してタンク内の水(原水)を滅菌する。
【0009】
仕切り板11は、上端を水タンク1の天井に接し、下端を水タンク1の床から浮いた状態で取り付け、冷ミスト発生部3とそれ以外の区画の水面から下を連通させる。
これにより1つの水タンク1から温ミスト発生部2と冷ミスト発生部3の両方へ同時に水を供給できるようになり、水タンク1を個別に設けた場合、片方が空になるとミストの一方が出なくなる不具合を回避できる。
給水口12には、逆さまに取り付けた給水ボトル6の開口部を接続する。
給水路13は、冷ミスト発生部3から離れた位置に設置し、給水路13と冷ミスト発生部3の間を2枚の仕切り板11で隔離する。
水タンク1の冷ミスト発生部3以外の区画には、水位センサ7を取り付けてタンク内の水の有無を電気的に検知する。
水位センサ7は、2つの金属端子でスイッチを構成し、2つの金属端子が水で短絡状態のときは「水あり」と判断する。
【0010】
水タンク1を仕切り板11で区切ることにより、次のような効果が得られる。
(1)冷ミスト発生部3の水面から上の容積を狭くして冷ミストの散逸を防ぎ、ノズル5からの冷ミスト噴き出しまでの時間を短縮する。
(2)温ミスト発生部2のボイラー室21との間を空けて対流による冷ミスト発生部3の水温の上昇を抑える。
(3)超音波によって発生する泡の冷ミスト発生部3以外の区画への侵入を防ぐ。
(4)外部からの振動や衝撃によって起こる波による水面の変動を抑える。
(5)(3)、(4)により泡や波などのノイズによる誤作動を防止して水位センサ7の精度を高める。
【0011】
温ミスト発生部2は、ボイラー室21の入口に水タンク1に連通する通水路15の一端を接続する構造で、ボイラー室21に導いた水をヒータ22で沸騰させて温ミストを生成し、蒸気圧で送風して通気管23の先のノズル4から噴出させる。
ボイラー室21と通気管23の間には湯溜り室24を設け、湯滴がノズル4から放出しないようにして安全性を高める。
湯溜り室24は、底面を開口して湯滴をノズル4に上げずにボイラー室21に戻す湯路25に接続し、湯路25の終端を通水路15を介してボイラー室21の入口に接続する。
ヒータ22には、速熱性、省エネ性、均一性に優れ、PTC抵抗体を配置した面状のPTCヒータを用い、それをボイラー室21の壁面に張り付けて使用する。
さらにボイラー室21を薄型化して沸騰時間を短縮し、ノズル4からの温ミストの噴出を迅速にする。
ヒータ22には温度センサ26を取り付けてボイラー室21が過度に熱せられないようにする。
通気管23の内側には一対の電極27を取り付け、電極27間に高電圧を印加して放電を発生し、通気管23を通る温ミストの脱臭と滅菌を行う。
また、図示しない遮蔽板を設けて電極27に温ミスト以外の沸騰水などが直接触れないようにする。
【0012】
冷ミスト発生部3は、水タンク1の底面に超音波素子31を取り付ける構造で、超音波でタンク内の水を気化させて冷ミストを生成する。
また水タンク1の底面に、冷却手段としてペルチェ素子34を設けている。このペルチェ素子34の冷却側を水タンク1に取り付けてタンク内の水を冷却し、ペルチェ素子34の放熱側にはヒートシンクなどからなる放熱部材35を取り付ける。
水タンク1に冷却手段を設けたことにより、充分に冷やした水を気化させて冷ミストを生成し、この冷ミストによって効果的な肌の引き締め作用を得ることができる。
図1においては、ペルチェ素子を水タンク1の底面に取り付けているが、側面に取り付ける構成としてもよい。
【0013】
冷ミストは、図2に示すように、ファン8で送風して通気管32の先のノズル5から噴出させる。
通気管32または水タンク1の内側にはUVランプ33を取り付け、紫外線により冷ミストを滅菌する。
【0014】
また、図3に示すように、ファン8からの送風路を分岐して放熱部材35にも送風するように構成してもよい。図3は、ファンの別の実施形態を示す側面視構成図である。
放熱部材35への送風は、図3に示したような、ファン8から通気管32への送風路を分岐して送風する構成としてもよいし、ファン8とは別のファンを設けて、この別のファンで送風してもよい。
ファンで送風することにより、放熱部材35に空気をあてて放熱を促進し、ペルチェ素子による充分な冷却効果を得ることができる。
【0015】
また、図4に示すように、ファン8によって放熱部材35に送風した空気を、さらに温ミスト発生部2に送風するように構成してもよい。図4はファンのさらに別の実施形態を示す正面視構成図である。
温ミスト発生部2の周囲に、放熱部材35により温められた空気を送風することにより、ヒータ22の温度立上り特性の向上を図ると共に、温ミストを効率的に生成してノズルより噴出させることができる。
【0016】
図5は、別の実施形態の温冷ミスト器の正面視構成図である。この図5に示すごとく、通水路15にはボイラー室21の入口側から水抜き弁Vに向かって下りの傾斜を設けてもよい。
これにより、水抜き弁Vより残水を排水する際に、温ミスト発生部2の高温水を確実に全て排出することができると共に、ボイラー室21で熱された高温水の水タンク1への逆流を抑制して、効率よく温ミストと冷ミストを発生させることができる。
【0017】
また、図5においては、ペルチェ素子34と放熱部材35からなる冷却手段を通気筒32に設けている。通気筒3に冷却手段を設けたことにより、生成した冷ミストを効率的に冷やすと共に、充分に冷やした冷ミストによって効果的な肌の引き締め作用を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明を実施した温冷ミスト器の正面視構成図である。
【図2】冷ミスト発生部の側面視構成図である。
【図3】ファンの別の実施形態を示す側面視構成図である。
【図4】ファンのさらに別の実施形態を示す正面視構成図である。
【図5】温冷ミスト器の別の実施形態を示す正面視構成図である。
【符号の説明】
【0019】
1 水タンク
11 仕切り板
12 給水口
13 給水路
14 排水路
15 通水路
2 温ミスト発生部
21 ボイラー室
22 ヒータ
23 通気管
24 湯溜り室
25 湯路
26 温度センサ
27 電極
3 冷ミスト発生部
31 超音波素子
32 通気管
33 UVランプ
34 ペルチェ素子
35 放熱部材
4 温ミスト用ノズル
5 冷ミスト用ノズル
6 給水ボトル
7 水位センサ
8 ファン
V 水抜き弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの水タンクの外側と内側に、水タンクに接続する温ミスト発生部と、水タンクと一体の冷ミスト発生部をそれぞれ配置し、
温ミスト発生部にはヒータで加熱するボイラー室を備え、
このボイラー室に水タンクの水を導き、沸騰させて温ミストを生成すると共に、
冷ミスト発生部には超音波素子を備えて超音波で水タンクの水を気化させて冷ミストを生成し、
生成した温ミストと冷ミストをそれぞれ温ミスト発生部と冷ミスト発生部の先端に取り付けた個別のノズルから同時または交互または選択的に排出することを特徴とする温冷ミスト器。
【請求項2】
前記ボイラー室とノズルの間には湯溜り室を設け、
この湯溜り室の底面を開口して湯滴をボイラー室の入口に戻す湯路に接続することを特徴とする請求項1記載の温冷ミスト器。
【請求項3】
前記ボイラー室が薄型の箱の壁面に面状のヒータを張り付けたものであることを特徴とする請求項1記載の温冷ミスト器。
【請求項4】
前記ヒータがPTCヒータであることを特徴とする請求項1記載の温冷ミスト器。
【請求項5】
前記冷ミスト発生部が水タンクの天井から垂下した仕切り板によって冷ミスト発生部とその他の区画に区切られ、
仕切り板の下端を水タンクの底面よりも浮かせて冷ミスト発生部とその他の区画を下部で連通するようにしたことを特徴とする請求項1記載の温冷ミスト器。
【請求項6】
前記水タンクに給水路と排水路を接続し、
給水路の先を分岐させて一方をボイラー室の入口に接続し、
他方を排水路の途中に接続して排水時にボイラー室の高温水と水タンクの低温水を混合させることを特徴とする請求項1記載の温冷ミスト器。
【請求項7】
前記水タンク内に水の有無を検知するセンサを設置し、
このセンサが水タンクの冷ミスト発生部以外の区画に配置されるものであることを特徴とする請求項1記載の温冷ミスト器。
【請求項8】
前記ボイラー室とノズルの間には放電用の電極を取り付け、
この電極に温ミスト以外の沸騰水が触れるのを防ぐ遮蔽板が備えられていることを特徴とする請求項1記載の温冷ミスト器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−295467(P2008−295467A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−138373(P2007−138373)
【出願日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(000114628)ヤーマン株式会社 (31)
【Fターム(参考)】