説明

温室効果ガス排出枠管理システム、及び温室効果ガス排出枠管理方法

【課題】個人に対して温室効果ガスの抑制の意識を促す。
【解決手段】店舗100の商品には、予め、商品の種別を特定するためのICタグ10が付与されている。また、各商品には、店舗が購入した温室効果ガス排出枠を小分けにした量が付与され、その情報は管理サーバ30で管理されている。顧客が商品を購入すると、POS端末20によりICタグ10が読み取られ、購入商品の種別が特定される。そして、管理サーバ30は、購入商品に割り当てられている排出枠を、購入者である顧客のものとして、顧客ごとに集計して記憶する。また、このように顧客毎に集計された排出枠は、顧客が自身のユーザ端末40から管理サーバ30にアクセスすることにより、取得して表示させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温室効果ガス排出枠管理システム、及び温室効果ガス排出枠管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化の原因となる二酸化炭素等の温室効果ガスの排出量を抑制するための制度作りが全世界的に試みられている。例えば、国家や企業毎に温室効果ガスの排出枠(キャップ)を定め、排出枠が余った国や企業と、排出枠を超えて排出してしまった国や企業との間で取引(トレード)する排出権取引制度が試みられている。
【0003】
特許文献1は、二酸化炭素排出権をデータ通信網上で取引することを特徴とする二酸化炭素排出権の取引方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−306839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1が開示する排出権取引制度は、国家間、企業間での取引を主対象とする制度である。従って、個人レベルでの温室効果ガスの抑制に寄与する効果は低いのが実情である。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、個人に対して温室効果ガスの抑制の意識を促すことができる温室効果ガス排出枠管理システム、及び温室効果ガス排出枠管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る温室効果ガス排出枠管理システムは、
商品に付与され、該商品の種別を特定する種別特定情報を記憶するICタグと、
前記ICタグに記憶されている情報を読み取る読取手段と、
商品の種別毎に、該種別の商品各々に割り当てられている温室効果ガス排出枠の量を示す情報を記憶する商品排出枠記憶手段と、
ユーザの識別情報と、該ユーザが取得した温室効果ガス排出枠の量を示す情報とを対応付けて記憶するユーザ排出枠記憶手段と、
ユーザが前記商品を購入する際に、該ユーザの識別情報を受け付けるとともに、前記読取手段が該商品に付与されているICタグから読み取った種別特定情報を取得する取得手段と、
前記商品排出枠記憶手段を参照して、前記取得手段が受け付けた種別特定情報で特定される種別の商品に割り当てられている温室効果ガス排出枠の量を特定する温室効果ガス排出枠特定手段と、
前記取得手段が受け付けたユーザの識別情報に対応付けられている温室効果ガス排出枠の量を示す情報を前記ユーザ排出枠記憶手段から取得し、当該情報が示す当該温室効果ガス排出枠の量に前記温室効果ガス排出枠特定手段が特定した温室効果ガス排出枠の量を加算した量を示す情報に当該情報を更新する加算手段と、
前記ユーザからの要求を受けて、該ユーザが購入した商品に割り当てられている温室効果ガス排出枠の量を示す情報を前記ユーザ排出枠記憶手段から取得し、該ユーザが参照可能に表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
また、前記商品に、該商品に割り当てられている排出枠の量が記載されたラベルを添付してもよい。
【0009】
また、前記商品は青果物であってもよい。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る温室効果ガス排出枠管理方法は、
商品の種別毎に、該種別の商品各々に割り当てられている温室効果ガス排出枠の量を示す情報を記憶する商品排出枠記憶と、ユーザの識別情報と、該ユーザが取得した温室効果ガス排出枠の量を示す情報とを対応付けて記憶するユーザ排出枠記憶手段と、を備えたコンピュータを用いた温室効果ガス排出枠管理方法であって、
商品に付与され、該商品の種別を特定する種別特定情報を記憶するICタグに記憶されている情報を読み取る読取ステップと、
ユーザが前記商品を購入する際に、該ユーザの識別情報を受け付けるとともに、前記読取ステップで該商品に付与されているICタグから読み取った種別特定情報を取得する取得ステップと、
前記商品排出枠記憶手段を参照して、前記取得ステップで受け付けた種別特定情報で特定される種別の商品に割り当てられている温室効果ガス排出枠の量を特定する温室効果ガス排出枠特定ステップと、
前記取得ステップで受け付けたユーザの識別情報に対応付けられている温室効果ガス排出枠の量を示す情報を前記ユーザ排出枠記憶手段から取得し、当該情報が示す当該温室効果ガス排出枠の量に前記温室効果ガス排出枠特定ステップで特定した温室効果ガス排出枠の量を加算した量を示す情報に当該情報を更新する加算ステップと、
前記ユーザからの要求を受けて、該ユーザが購入した商品に割り当てられている温室効果ガス排出枠の量を示す情報を前記ユーザ排出枠記憶手段から取得し、該ユーザが参照可能に表示する表示ステップと、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、温室効果ガス排出枠を付与して商品を販売することで、個人に対して温室効果ガスの抑制の意識を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る温室効果ガス排出枠管理システムの構成を示す図である。
【図2】POS端末の構成を示すブロック図である。
【図3】管理サーバの構成を示すブロック図である。
【図4】商品排出枠記憶テーブルの構成例を示す図である。
【図5】顧客排出枠記憶テーブルの構成例を示す図である。
【図6】ユーザ端末の構成を示すブロック図である。
【図7】前処理の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】排出枠登録処理の動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】POS端末の表示部に表示される画面の例を示す図である。
【図10】排出枠確認処理の動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】ユーザ端末の表示部に表示される画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は下記の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で下記の実施形態及び図面に変更を加えることが出来るのはもちろんである。また、図中同一または相当部分には同一符号を付す。
【0014】
本発明の実施形態に係る温室効果ガス排出枠管理システム1は、図1に示すように、店舗100内の個々の商品に付与されているICタグ10と、該ICタグ10から情報を読み取り可能なPOS端末20と、POS端末20とインターネットを介して接続されている管理サーバ30と、管理サーバ30とインターネットを介して接続されているユーザ端末40とを備える。なお、本実施形態では、店舗100は青果店であり、商品は青果物であるものとして以下説明する。
【0015】
商品(青果物)に取り付けられているICタグ10は、メモリを備えたICチップとアンテナ(何れも図示せず)を搭載し、RFID方式にて、ICカードと無線通信を行う。このICチップのメモリには、当該商品の種別を示すタグID(商品種別特定情報)が記憶されている。
【0016】
POS端末20は、店舗100内のPOSシステムにおいて売り上げ情報処理に用いられるキャッシュレジスタ等から構成されるコンピュータである。POS端末20は、図2に示すように、通信部21と、ICタグ読取部22と、操作部23と、表示部24と、記憶部25と、制御部26とを備える。
【0017】
通信部21は、NIC(Network Interface Card)等を備え、制御部26からの指示に従い、インターネットを介して管理サーバ30と通信を行う。
【0018】
ICタグ読取部22は、アンテナ等を備え、近接されたICタグ10と、RFID方式の無線通信を行い、ICタグ10に記憶されているタグIDを読み取る。
【0019】
操作部23は、各種のボタンなどから構成され、操作者(主に店員)からの操作に対応した操作信号を制御部26に供給する。例えば、店員は、顧客が商品を購入した際に、当該顧客のIDである顧客番号を操作部を操作して入力する。
【0020】
表示部24は、POS端末20の筐体表面に設置された表示パネル等であり、制御部26からの指示に従い、メニュー画面や各種の情報を表示する。
【0021】
記憶部25は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置等の記憶装置によって構成され、各種のデータや、画面を定義する画像データ、および、プログラム等を記憶する。
【0022】
制御部26は、CPU(Central Processing Unit)やマイクロプロセッサユニット、ソフトウェアタイマ等から構成され、記憶部25に記憶されているプログラムを実行することで、POS端末20全体の動作(各部の動作)を制御する。
【0023】
また、制御部26は、顧客が商品を購入する際に、該商品に付与されているICタグ10からICタグ読取部22が読み取ったタグIDと、操作部23から入力された当該顧客の顧客番号とを含む排出枠登録要求をインターネットを介して管理サーバ30に送信させる処理を行う。
【0024】
図1に戻り、管理サーバ30は、インターネットを介して、店舗100のPOS端末20と接続し、店舗100に会員登録されている顧客に関する各種の情報を管理するサーバである。また、管理サーバ30は、インターネットを介して、ユーザ端末40と接続し、ユーザ端末40に各種の情報を提供する。管理サーバ30は、図3(A)に示すように、通信部31と、操作部32と、表示部33と、記憶部34と、制御部35とを備える。
【0025】
通信部31は、NIC等を備え、制御部35からの指示に従い、インターネットを介して、POS端末20やユーザ端末40と通信を行う。
【0026】
操作部32は、各種のボタンやマウスなどから構成され、店員やオーナーからの操作に対応した操作信号を制御部35に供給する。
【0027】
表示部33は、液晶ディスプレイ等であり、制御部35からの指示に従い、メニュー画面や各種の情報を表示する。例えば、表示部は、商品1個当たりの排出枠の量を登録するための画面を表示する。
【0028】
記憶部34は、RAM、ROM、補助記憶装置等の記憶装置によって構成され、各種固定データや各種プログラム等を記憶する。
【0029】
また、記憶部34は、図3(B)に示すように、商品排出枠記憶テーブル341と、顧客排出枠記憶テーブル342とを備える。
【0030】
商品排出枠記憶テーブル341には、図4に示すように、商品の種別毎に、種別を示すタグIDと、商品名と、商品1個に割り当てられている二酸化炭素の排出枠(以下、単に排出枠とする)の量とが対応付けられて記憶される。例えば、図4の先頭のエントリから、タグID「V000001」が付与されている「レタス」1個には、「30グラム」の排出枠が割り当てられていることがわかる。
【0031】
顧客排出枠記憶テーブル342には、図5に示すように、顧客(ユーザ)毎に、顧客番号と、顧客名と、顧客が商品を購入したことにより取得した排出枠の量とが対応付けられて記憶される。例えば、図5の先頭エントリから、顧客番号「U000001」の「特許太郎」が取得した排出枠の総量は「100グラム」であることがわかる。
【0032】
図3(A)に戻り、制御部35は、CPUやマイクロプロセッサユニット等から構成され、記憶部34に記憶されているプログラムを実行することで、管理サーバ30全体の動作(各部の動作)を制御する。
【0033】
また、制御部35は、商品排出枠記憶テーブル341を参照して、POS端末20から受信したタグIDが付与されている商品に割り当てられている排出枠の量を特定する。そして、制御部は、POS端末20から受信した顧客番号で特定される顧客の排出枠の量を加算する処理を実行する。
【0034】
また、制御部35は、ユーザのユーザ端末40から受信した排出枠確認の要求に応答して、顧客排出枠記憶テーブル342から当該ユーザの排出枠を取得し、ユーザ端末40に送信する処理を実行する。
【0035】
図1に戻り、ユーザ端末40は、店舗100に会員登録されている顧客(ユーザ)によって操作される、PC(Personal Computer)や携帯電話等のコンピュータである。ユーザ端末40は、図6に示すように、通信部41と、操作部42と、表示部43と、記憶部44と、制御部45と、を備える。
【0036】
通信部41は、NIC等を備え、制御部45からの指示に従い、インターネットを介して、管理サーバ30と通信を行う。
【0037】
操作部42は、各種のボタンやマウスなどから構成され、ユーザからの操作に対応した操作信号を制御部45に供給する。例えば、ユーザは、購入した商品から取得した排出枠の総量を表示させるための指示を操作部42を介して入力する。
【0038】
表示部43は、液晶ディスプレイ等であり、制御部45からの指示に従い、メニュー画面や各種の情報を表示する。例えば、表示部は、ユーザの取得した排出枠の量を表示する。
【0039】
記憶部44は、RAM、ROM、補助記憶装置等の記憶装置によって構成され、各種のデータや画面データやプログラム等を記憶する。
【0040】
制御部45は、CPUやマイクロプロセッサユニット、ソフトウェアタイマ等から構成され、記憶部44に記憶されているプログラムを実行することで、ユーザ端末40全体の動作(各部の動作)を制御する。
【0041】
続いて、温室効果ガス排出枠管理システム1で実施される処理の動作について説明する。
【0042】
(前処理)
始めに、二酸化炭素排出量管理システムで必要となる情報を設定登録するための前処理の流れについて、図7を参照して説明する。なお、店舗100の各商品には、予め、商品種別毎に異なるタグIDが記憶されているICタグ10が付与されているものとする。
【0043】
まず、店舗100のオーナーは、企業を対象とした排出枠取引を仲介している機関等から二酸化炭素の排出枠を購入する(ステップS101)。
【0044】
続いて、オーナーは、商品1個当たりに付与する排出枠の量を決定する(ステップS102)。例えば、購入した排出枠が30キログラムであり、それを1000個のレタスに均等に割り当てたい場合、1個あたりのレタスに割り当てる排出量は30グラムと決定される。なお、各商品に均等に排出枠を割り当てる必要はなく、商品種別毎に異なる量の排出枠を割り当ててもよい。また、購入した排出枠を全て割り当てなくてもよい。
【0045】
そして、オーナーは、管理サーバ30の操作部32から決定した商品の排出枠の量を商品排出枠記憶テーブル341に登録するための操作を行い、制御部35は当該操作に基づいて商品排出枠記憶テーブル341にデータの登録(又は更新)を行う(ステップS103)。
【0046】
続いて、オーナーは、商品に割り当てた分の排出枠が償却されたことを、排出量取引を仲介している機関等に報告する。当該機関では、この報告を受けて、排出枠を償却するための所定の処理を行う(ステップS104)。以上で前処理は終了する。前処理により、購入した排出枠が適切に各商品に配分され、以降の処理が実施可能となる。
【0047】
(排出枠登録処理)
続いて、ユーザが商品を購入する際に、当該商品に割当てられている排出枠を当該ユーザのものとして登録する排出枠登録処理について、図8のフローチャートを参照して説明する。
【0048】
ユーザは、店舗100内で所望の商品を手に取り、自分の顧客番号とともに、該商品を購入する旨をPOS端末20を操作する店員に告げる。なお、ユーザは、顧客番号が印字された会員カードなどを提示することで顧客番号を告げてもよい。続いて、店員は、所定の決済処理を行い当該商品を販売する。またこの際、店員は、POS端末20の操作部23を操作し、表示部24に表示されている所定のアイコンをクリックする。このクリック操作に応答して、制御部26は、排出枠を登録するために、図9(A)に示すような画面(排出枠登録画面)を表示部24に表示させる(ステップS201)。
【0049】
図8に戻り、続いて、店員は、POS端末20の操作部23を操作して、この排出枠登録画面上の所定欄に顧客から告げられた顧客番号を入力するとともに、購入商品に付与されているICタグ10をPOS端末20に近接させる。そして、ICタグ読取部22は、近接されたICタグ10に記憶されているタグIDを読み出す(ステップS202)。そして、制御部26は、通信部21を制御して、読み出したタグIDと、入力された顧客番号とを含む排出枠登録要求を、管理サーバ30に送信する(ステップS203)。
【0050】
管理サーバ30の通信部31がPOS端末20から排出枠登録要求を受信すると(ステップS204)、制御部35は、当該要求に含まれるタグIDに対応付けられている排出枠の量を商品排出枠記憶テーブル341から取得する(ステップS205)。この排出枠の量は、今回顧客が購入した商品に割り当てられている排出枠の量となる。
【0051】
続いて、制御部35は、ステップS204で受信した排出枠登録要求に含まれる顧客番号を有する顧客排出枠記憶テーブル342のエントリの排出枠の量に取得した排出枠の量を加算する(ステップS206)。以上で排出枠登録処理は終了する。
【0052】
このように、顧客が商品を購入した際、当該商品に付されているICタグ10を読み取ることにより、当該商品に割り当てられている排出枠の量が、当該ユーザのものとして加算(登録)される。
【0053】
(排出枠確認処理)
続いて、顧客であるユーザが、自分の獲得した排出枠の量を確認する排出枠確認処理について、図10のフローチャートを参照して説明する。
【0054】
まず、ユーザは、ユーザ端末40の操作部42を操作して、表示部43に表示されている所定のアイコンをクリックする。このクリック操作に応答して、制御部45は、図9(B)に示すような画面(排出枠確認画面)を表示部43に表示させる(ステップS301)。
【0055】
図10に戻り、続いて、ユーザは、ユーザ端末40の操作部42を操作して、排出枠確認画面上の入力欄に自身の顧客番号を入力して所定のボタン(図9(B)に示す画面例では確認ボタン)をクリックする。この入力操作に応答して、制御部45は、通信部41を制御して、入力された顧客番号を含む排出枠確認要求を、管理サーバ30に送信する(ステップS302)
【0056】
管理サーバ30の通信部31が排出枠確認要求を受信すると(ステップS303)、制御部35は、当該排出枠確認要求に含まれる顧客番号を有する顧客排出枠記憶テーブル342のエントリを特定する。そして、制御部35は、特定したエントリに含まれる排出枠の量を取得する(ステップS304)。そして、制御部35は、通信部31を制御して、特定した排出枠の量を示す情報を排出枠確認要求を受信したユーザ端末40に送信(返信)する(ステップS305)。
【0057】
ユーザ端末40の通信部41が管理サーバ30から排出枠の量を示す情報を受信すると(ステップS306)、制御部45は、受信した排出枠の量を示す情報を表示するための画面データを作成する(ステップS307)。そして、制御部45は、作成した画面データを図11に示すように表示部に表示させる(ステップS308)。ユーザはこの画面を確認することで、自身がどれだけ二酸化炭素を削減する取り組みに参加しているのかを容易に把握することができる。以上で排出枠表示処理は終了する。
【0058】
このように、本実施形態では、店舗100が購入した排出枠が各商品に割当てられる。そして、顧客が商品を購入すると、当該商品に割当てられている排出枠が、顧客毎に集計されて記憶される。顧客は、商品を購入したことでどれだけの量の排出量を取得したのかを、自身の端末から容易に確認することができる。
【0059】
従って、通常は国家間、企業間での取引を主対象にした排出権取引制度に、個人にすぎない顧客が間接的に参加することができる。さらに、顧客は自身が獲得した排出枠の量を定量的に確認することもできる。従って、本発明では、個人に対して温室効果ガスの抑制の意識を向上させることが可能となる。
【0060】
また、各商品には商品種別を識別するためのICタグ10が付されているため、本システムはメンテナンス性においてもすぐれている。例えば、商品に割り当てられている排出枠の量を変更したい場合には、商品排出枠記憶テーブル341の内容を更新するだけで容易に変更が可能である。
【0061】
なお、上記実施形態は、種々の変形、および、応用が可能である。
【0062】
例えば、上記実施形態では、温室効果ガスとして二酸化炭素の排出枠を例に説明したが、メタンや亜酸化チッソなどの他の温室効果ガスの排出枠を対象にしてもよい。
【0063】
また、商品にICタグ10を付与するだけでなく、「この商品には30グラムの排出枠が付与されています」などといった、商品に割り当てられている排出枠の量を表示するラベルを添付してもよい。このようにすることで、顧客は購入する商品を選ぶ際にラベルの表示を確認することにより、自分が温室効果ガスを削減する取り組みに参加していることを実感することができ、当該商品に対する購買意欲を向上させることが可能となる。
【0064】
また、ユーザが取得した排出枠の量に応じて、店舗100で使用可能な商品割引券やクーポンを発行したもよい。このようにすることで、顧客は、排出枠付きの商品をより積極的に購入するようになるので、温室効果ガスの抑制により貢献することが可能となる。
【0065】
また、POS端末20と管理サーバ30とは別々の装置である必要はなく、両装置の機能を統合して1つの装置から構成してもよい。
【0066】
また、本実施形態のPOS端末20、管理サーバ30、及び、ユーザ端末40は、専用のハードウェアに限られるものではなく、通常のコンピュータシステムによっても実現することができる。
【0067】
具体的には、上記実施形態では、POS端末20、管理サーバ30、及び、ユーザ端末40が実行するプログラムが、それぞれ、記憶部25、記憶部34、及び、記憶部44に予め記憶されているものとして説明した。しかし、上述の処理動作を実行させるためのプログラムを、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto-Optical disk)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、そのプログラムをコンピュータにインストールすることにより、上述の処理を実行するPOS端末20、管理サーバ30、及び、ユーザ端末40を構成してもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 温室効果ガス排出枠管理システム
10 ICタグ
20 POS端末
30 管理サーバ
40 ユーザ端末
100 店舗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品に付与され、該商品の種別を特定する種別特定情報を記憶するICタグと、
前記ICタグに記憶されている情報を読み取る読取手段と、
商品の種別毎に、該種別の商品各々に割り当てられている温室効果ガス排出枠の量を示す情報を記憶する商品排出枠記憶手段と、
ユーザの識別情報と、該ユーザが取得した温室効果ガス排出枠の量を示す情報とを対応付けて記憶するユーザ排出枠記憶手段と、
ユーザが前記商品を購入する際に、該ユーザの識別情報を受け付けるとともに、前記読取手段が該商品に付与されているICタグから読み取った種別特定情報を取得する取得手段と、
前記商品排出枠記憶手段を参照して、前記取得手段が受け付けた種別特定情報で特定される種別の商品に割り当てられている温室効果ガス排出枠の量を特定する温室効果ガス排出枠特定手段と、
前記取得手段が受け付けたユーザの識別情報に対応付けられている温室効果ガス排出枠の量を示す情報を前記ユーザ排出枠記憶手段から取得し、当該情報が示す当該温室効果ガス排出枠の量に前記温室効果ガス排出枠特定手段が特定した温室効果ガス排出枠の量を加算した量を示す情報に当該情報を更新する加算手段と、
前記ユーザからの要求を受けて、該ユーザが購入した商品に割り当てられている温室効果ガス排出枠の量を示す情報を前記ユーザ排出枠記憶手段から取得し、該ユーザが参照可能に表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする、温室効果ガス排出枠管理システム。
【請求項2】
前記商品に、該商品に割り当てられている排出枠の量が記載されたラベルを添付する、
ことを特徴とする請求項1に記載の温室効果ガス排出枠管理システム。
【請求項3】
前記商品は青果物である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の温室効果ガス排出枠管理システム。
【請求項4】
商品の種別毎に、該種別の商品各々に割り当てられている温室効果ガス排出枠の量を示す情報を記憶する商品排出枠記憶と、ユーザの識別情報と、該ユーザが取得した温室効果ガス排出枠の量を示す情報とを対応付けて記憶するユーザ排出枠記憶手段と、を備えたコンピュータを用いた温室効果ガス排出枠管理方法であって、
商品に付与され、該商品の種別を特定する種別特定情報を記憶するICタグに記憶されている情報を読み取る読取ステップと、
ユーザが前記商品を購入する際に、該ユーザの識別情報を受け付けるとともに、前記読取ステップで該商品に付与されているICタグから読み取った種別特定情報を取得する取得ステップと、
前記商品排出枠記憶手段を参照して、前記取得ステップで受け付けた種別特定情報で特定される種別の商品に割り当てられている温室効果ガス排出枠の量を特定する温室効果ガス排出枠特定ステップと、
前記取得ステップで受け付けたユーザの識別情報に対応付けられている温室効果ガス排出枠の量を示す情報を前記ユーザ排出枠記憶手段から取得し、当該情報が示す当該温室効果ガス排出枠の量に前記温室効果ガス排出枠特定ステップで特定した温室効果ガス排出枠の量を加算した量を示す情報に当該情報を更新する加算ステップと、
前記ユーザからの要求を受けて、該ユーザが購入した商品に割り当てられている温室効果ガス排出枠の量を示す情報を前記ユーザ排出枠記憶手段から取得し、該ユーザが参照可能に表示する表示ステップと、
を備えることを特徴とする、温室効果ガス排出枠管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−108597(P2012−108597A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254868(P2010−254868)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(502458110)イー・キャッシュ株式会社 (1)
【Fターム(参考)】