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温室用フィルム張設方法及びその装置
説明

温室用フィルム張設方法及びその装置

【課題】極めて簡易な構成により、温室用フィルムの全体にテンションを付与しすることができ、温室に展張されたフッ素樹脂製温室用フィルムに皺が発生しない温室用フィルム張設方法及びその装置を提供すること。
【解決手段】温室の屋根面又は壁面に位置する温室用部材1の任意の一方の端部に温室用フィルム6の一端を固定する第1工程と、温室用フィルムの他端にフィルム定着部材4を定着する第2工程と、温室の屋根面又は壁面に位置する温室用部材の任意の他方の端部に耐張力部材3を取付ける第3工程と、前記フィルム定着部材を前記耐張力部材方向に引っ張り、前記フィルム定着部材の係合部を前記耐張力部材の係止部31に係止する第4工程と、からなり、前記第1乃至第3工程を順不同に実施した後、前記第4工程を実施する温室の屋根面及び壁面の開口部を除く全面に引張力を付与して温室用フィルムを張設する温室用フィルム張設方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温室用フィルム張設方法及びその装置に関し、より詳しくは、フッ素樹脂製温室用フィルムの張設方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、温室用フィルムを張設して構成する温室は、その骨組にフィルム受部材を設け、このフィルム受部材上に温室用フィルムを押さえ部材により押さえ込んで固定している。
【0003】
フッ素樹脂製の温室用フィルムは一般に、広範囲な光の波長に対して高い透過率を有し、耐薬品性、離型性、耐候性に優れていることから、近年農業界において幅広く採用されつつある。
反面フッ素樹脂製の温室用フィルムは、ビニル系、オレフィン系、エステル系等の合成樹脂フィルムから成る一般の温室用フィルムに比べて温度変化による伸縮率が大きいため、所定の緊張力を与えて張設したとしても、温度変化により大きく伸張し、温室用フィルムに皺が発生するという問題が惹起している。
【0004】
特開平06−153707号公報には、フィルム受部材71のフィルム受面Rに対向し、フィルム受面との間でフィルムを挟着する挟着部をもった部材本体72と、挟着部の幅方向外側に位置し、部材本体からフィルム受部材とのフィルム挟着側に向かって突出し、フィルムを押圧する1対の第1押圧脚部721と、挟着部の幅方向内側に位置し、挟着部からフィルム受部材に向かって突出し、フィルムを押圧する1対の第2押圧脚部722とを備えた、温室におけるフィルム受部材上に温室用フィルムを押さえ込み、フィルムをフィルム受部材上に固定する温室用フィルムの押さえ部材7が開示されている。
【特許文献1】特開平06−153707号公報
【0005】
また、特開2002−176861号公報には、一対の側板部がハウスパイプ9を挟んで対向して配設されるようにスライド部材8を位置させ、該一対の側板部の前方部位に各々形成した切り欠き部に温室用プラスチックフィルムの止め材を構成するベース部材10を係合させた後、前記一対の側板部に各々形成された挿通部にくさび部材11を挿通して、前記くさび部材11が、前記スライド部材の挿通部に挿通された際、ハウスパイプ9に対向する対向部の中途に凹部111を有して形成され、該凹部を挟んだ両側の隆起部112のうちの挿通方向先端側の隆起部をハウスパイプに当接させ、スライド部材8をハウスパイプ9に仮止めする工程と、前記くさび部材11をさらに押し込み、その凹部111にハウスパイプを対峙させて仮止めを解除し、ハウスパイプの適宜位置に取り外し可能に取り付けられるベース部121と、該ベース部に対して回動可能に支持されるハンドル部122と、該ハンドル部に一端が係合され、他端がスライド部材の一対の側板部に各々形成された被係合部に係合される連結部123とを備える操作部材12を用い、そのベース部をハウスパイプの適宜位置に係合させ、ハンドル部を下方に回動させることにより、スライド部材8をハウスパイプ9に沿って下方にスライドさせて、温室用プラスチックフィルム(図示省略)を展張する工程と、前記工程により展張した位置において、前記くさび部材11をさらに押し込み、挿通方向後端側の隆起部112をハウスパイプ9に当接させることにより、スライド部材8をハウスパイプに本止めする工程とを具備する温室用プラスチックフィルムの張設方法が記載されている。
【特許文献2】特開2002−176861号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記第1の従来技術にあっては、温室用フィルムの押さえ部材72の外側に位置する1対の第1押圧脚部721と、内側に位置する1対の第2押圧脚部722とが、温室用フィルム6の展張方向に対して直交する方向に突出している関係から、フィルム受部材71上に温室用フィルムを上方から押さえ込んだとしても、その展張方向への有効な引張力を作用させることが困難である。このため、温室用フィルム6に与えられるテンションが、温室用フィルムに対して必要とされるテンションに達しないという問題がある。
【0007】
また、前記第2の従来技術は、ハウスパイプ9の適宜位置に取り外し可能に取付けられるベース部121と、該ベース部に対して回動可能に支持されるハンドル部122と、該ハンドル部に一端が係合され、他端がスライド部材8の一対の側板部に各々形成された被係合部に係合される連結部123とを備える操作部材12を用い、そのベース部121をハウスパイプ9の適宜位置に係合させ、ハンドル部122を下方に回動させることにより、スライド部材8をハウスパイプ9に沿って下方にスライドさせて、温室用プラスチックフィルムを展張方向に引張ることができるから、フッ素樹脂製温室用フィルムに対して必要とされるテンションを与えることが可能である。
【0008】
しかしながら、図6、図7に示されるように、スライド部材8を一旦ハウスパイプ9に仮止めした後、くさび部材11をさらに押込んでその凹部111にハウスパイプを対峙させて仮止めを解除し、さらにハウスパイプ9の適宜位置に操作部材12のベース部121を係合させてからそのハンドル部122を下方に回動させ、スライド部材8をハウスパイプ9に沿って下方にスライドさせて温室用フィルムを展張する、という複雑な展張作業を繰返す必要がある。
【0009】
さらに、操作部材12のベース部121は、スライド部材8を仮止めした位置よりも展張方向先側のハウスパイプ9の適宜位置に係合させる必要があることから、スライド部材8をハウスパイプの端部に取付けることができない。
このため、図6、図7に示した第2の従来技術では、フィルム止め材10と温室下端部との間に張設するフッ素樹脂製温室用フィルムにはテンションを付与することはできない。
【0010】
上記したように、従来技術はいずれも、温室に張設する温室用フィルムの全体に必要とするテンションを付与することは不可能である。このため、温室に展張されたフッ素樹脂製温室用フィルムは、夏季において温度変化により大きく伸張し、フッ素樹脂製温室用フィルムに皺が発生するという問題を充分に解決することができない。
【0011】
以上の実状に鑑み、本発明は前記従来技術の欠点を克服することを目的とするものであり、極めて簡易な構成により、温室用フィルムの全体にテンションを付与しすることができ、温室に展張されたフッ素樹脂製温室用フィルムに皺が発生しない温室用フィルム張設方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明は、温室用フィルム張設方法を、温室の屋根面又は壁面に位置する温室用部材の任意の一方の端部に温室用フィルムの一端を固定する第1工程と、温室用フィルムの他端にフィルム定着部材を定着する第2工程と、温室の屋根面又は壁面に位置する温室用部材の任意の他方の端部に耐張力部材を取付ける第3工程と、前記フィルム定着部材を前記耐張力部材方向に引っ張り、前記フィルム定着部材の係合部を前記耐張力部材の係止部に係止する第4工程と、から構成し、前記第1乃至第3工程を順不同に実施した後、前記第4工程を実施する温室の屋根面及び壁面の開口部を除く全面に引張力を付与して温室用フィルムを張設するものとした。
【0013】
また、請求項2に係る発明は、温室用フィルム張設装置を、フィルム受け部材とフィルム定着具とからなる温室用フィルムの端部を定着する長尺のフィルム定着部材と、温室用部材、好ましくはその端部に取付けられた耐張力部材と、から構成し、フィルム受け部材は、フィルム定着具と協同して温室用フィルムを定着するフィルム定着部と、増力装置付引寄金具の第一の係合部を位置決めする位置決め部と、一方向に引っ張られた状態で前記耐張力部材の係止部に係合する係合部とを備え、耐張力部材は、温室用部材、好ましくはその端部に取付ける取付固定部と、増力装置付引寄金具の第二の係合部を位置決めする位置決め部と、フィルム受け部材に設けられた係合部を受け入れて温室用フィルムに付与された引張力に対抗する係止部とを備えるものとした。
【0014】
さらに、請求項3に係る発明は、請求項2に係る温室用フィルム張設装置において、耐張力部材は、温室構造材である谷樋の上方に沿って離間して延在する長尺の樋部材であって、谷樋の両端部に谷樋との間に断熱空間を形成しつつ固定されて谷樋とで二重樋を構成して、谷樋内面に結露することを防止するとともに雨水を排水するものとする一方、谷樋は温室内面に付着した結露水を排水するものとした。
【0015】
さらにまた、請求項4に係る発明は、フィルム定着部材をフィルム受け部材とフィルム定着具とから構成し、フィルム受け部材は、両端部がアール凹部とされた蟻溝414を有し、一方の側壁はその上端部に抜止兼補強用膨出部が形成され、他方の側壁はアール凹部に続いて逆向アール凸部とされたフィルム定着部と、フィルム定着部の他方の側壁の外上方に形成された増力装置付引寄金具用位置決め部と、他方の側壁の外下方に形成された係合部とから構成され、フィルム定着具は、一方の端部に嵌合用膨出部を備えるとともに他方の端部に内方に傾斜する傾斜側壁を備えた底板からなり、傾斜側壁下端部の外部形状はアール凸部とされ、フィルム定着具の嵌合用膨出部は、フィルム受け部材の抜止兼補強用膨出部が形成された側のアール凹部に押し込まれて嵌合抜止され、他端部は、他側の側壁の逆向アール凸部の内面に沿って下方に押し込まれて他側のアール凹部に嵌合するものとした。
【発明の効果】
【0016】
請求項1、2に係る発明によれば、単に、温室の屋根面又は壁面に位置する温室用部材の任意の端部に耐張力部材を取付け、温室用フィルムの一端を固定したフィルム定着部材を耐張力部材方向に引っ張って、フィルム定着部材の係合部を耐張力部材の係止部に係止するだけであるから、温室用フィルム取付け作業を著しく簡素化することができ、温室用フィルム張設コストを低減することができる。
また、温室用フィルムの一端を温室の屋根面又は壁面に位置する温室用部材の任意の一方の端部に固定する一方、耐張力部材を温室用部材の任意の他方の端部に取付ける作業を基本的な作業単位としているので、温室の表面に張設されるフィルム全体に必要とされるテンションを充分に付与することができる。よって、温室表面に張設されたフィルムの如何なる場所にも皺が発生することなく、日当たり不良による生育不良が生ずることがない。
しかも、温室用フィルム張設装置自体を小型化・軽量化できるから、その取扱いを容易化でき、フィルム張設作業を複数人が取組むことなく一人で行うことができる。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、耐張力部材を温室構造材である谷樋の上方に沿って離間して延在する長尺の樋部材としたので、温室用フィルムに付与されたテンションに充分に耐えうる耐力を備えたものとすることができる。
また、耐張力部材を谷樋の両端部に谷樋との間に断熱空間を形成しつつ固定して谷樋とで二重樋を構成したから、谷樋内面に結露することを防止するとともに雨水を排水可能とすることができ、さらに、谷樋は耐張力部材との間に形成された空隙から温室フィルム内面に付着した結露水を排水することができる。
【0018】
請求項4に係る発明によれば、フィルム受け部材が、両端部がアール凹部とされた蟻溝を有し、一方の側壁はその上端部に抜止兼補強用膨出部が形成され、他方の側壁は前記アール凹部に続いて逆向アール凸部とされたフィルム定着部を有する一方、フィルム定着具は、一方の端部に嵌合用膨出部を備えるとともに他方の端部に内方に傾斜する傾斜側壁を備えた底板からなり、傾斜側壁下端部の外部形状はアール凸部とされているから、フィルム定着具の嵌合用膨出部は、フィルム受け部材の抜止兼補強用膨出部が形成された側のアール凹部に押し込まれて確実に嵌合抜止され、他端部は、他側の側壁の逆向アール凸部の内面に沿って下方に押し込まれて他側のアール凹部に容易に嵌合する。
したがって、温室用フィルムの端部は、容易且つ確実にフィルム定着部材に定着することができ、温室用フィルムに高張力が印加されてもフィルムが定着部材から脱出することはない。
また、増力装置付引寄金具の第1及び第2の係合部を、フィルム受け部材に形成された位置決め部と、耐張力部材に形成された位置決め部に係合させ、緊締具を緊締しつつフィルム定着部材を引寄せ、フィルム受け部材の係合部を耐張力部材の係止部に係止すればよいから、簡単な作業内容にてフッ素樹脂製温室用フィルムに強力なテンションを印加することが可能である。
【実施例】
【0019】
図1乃至図4に、本発明に係る温室用フィルム張設装置を、柱、谷樋及び垂木を構造材とする連棟型温室に適用した実施例を示す。
図1は、本発明に係る温室用フィルム張設装置の要部を拡大して示す温室の部分拡大正面図、図2は、本発明に係るフィルム定着部材のフィルム受け部材の実施例の正面図、図3は、本発明に係フィルム定着部材のフィルム定着具の実施例の正面図、図4は、増力装置付引寄金具の斜視図である。なお、柱材については図示を省略してある。
【0020】
以下、図1及び図4を参照して、本発明に係る温室用フィルム張設装置について詳細に説明する。
図1において、1は垂木、2は谷樋であり、ともに温室構造材である。この谷樋は複数立設された柱の上端に固定されている。
谷樋2は、鋼板の折曲材からなり、拡開V字状の底板22と底板両端から上方へ立上がる側壁23と側壁上端から斜め外方に延在する垂木固定部24とから構成されている。この垂木固定部24に垂木1の一方の端部が金具にて取付け固定される。
【0021】
3はアルミ押型材からなる長尺の耐張力部材で、温室用フィルム表面を流下する雨水を排水する樋部と、その両端上方に連続する取付部とからなっており、その取付部外面に形成された取付固定部33が、垂木1の一端部に固定された谷樋2の垂木固定部24の内面に取付けられている。
この取付固定部33は、角形のボルトヘッドを軸方向移動自在で回転不能に収容する短尺の収容室34を備えており、この収容室下壁にはボルトを軸方向に移動自在に受入れるスリット35が形成されている。
耐張力部材3は、この廻り止めされたボルトにナットを締付けることにより、垂木1と谷樋2に固定されている。
なお、この取付固定部33は、長尺の耐張力部材3に温室の構造材としての垂木1の棟方向の間隔と同一の間隔で取付けられている。このため、温室に張設された温室用フィルム6の裏面を流下する結露水は、谷樋2の垂木固定部24の内面と耐張力部材3の取付部の外面との間に形成された間隙から谷樋2の樋部に浸入する。
【0022】
また、耐張力部材3の取付部内面には、温室用フィルムの一方の端部を定着したフィルム定着部材4を係止するための、樋部方向へ傾斜した係止部31が突設されている。さらに樋部と取付部との境界には、取付部と垂直に壁が立設されており、この壁の樋部に面する壁のほぼ中央高さ位置に長手方向に連続する突起が形成され、この突起が増力装置付引寄金具5の一方の第2の係合部52を位置決めする位置決め部32として機能する。
【0023】
4は一端が温室用部材に固定された温室用フィルムの他端を定着するためのフィルム定着部材である。
図2、3を参照して、フィルム定着部材4について説明する。
フィルム定着部材4は、フィルム受け部材41とフィルム定着具42から構成されている。
フィルム受け部材41は、両端部がアール凹部とされた蟻溝414を有していて、一方の側壁はその上端部に抜止兼補強用膨出部415が形成されるとともに、他方の側壁は前記した蟻溝414の両端部のアール凹部に続いて逆向きのアール凸部416とされている。温室用フィルム6は、後述するフィルム定着具42と協同して蟻溝414に沿って定着されるから、結局この蟻溝414がフィルム定着部411を構成している。
413は、フィルム定着部411の逆向アール凸部416を有する他方の側壁の外上方に形成され、増力装置付引寄金具5の第1の係合部51を位置決めする位置決め部であり、前述した耐張力部材3の位置決め部32と対向する位置関係にある。
また、係合部412は、逆向アール凸部を有する側壁の外下方に形成され、温室用フィルム6にテンションをかけた状態で前述の耐張力部材3の係止部31に係合される。テンションのかけ方については後述する。
【0024】
図3に示されたフィルム定着具42は、一方の端部に嵌合用膨出部421を備えるとともに他方の端部に内方に傾斜する傾斜側壁422を備えた底板423からなり、傾斜側壁下端部の外部形状はアール凸部とされている。424は前述の嵌合用膨出部421の内方において傾斜側壁422と対称の補強傾斜壁である。
このフィルム定着具42は、先ず、嵌合用膨出部421がフィルム受け部材41の抜止兼補強用膨出部が形成された側のアール凹部に押し込まれて嵌合して抜止めされ、次いで、フィルム定着具42の他端部が他側の側壁の逆向アール凸部416の内面に沿って下方に押し込まれると、他側の側壁を外方に若干変形させながらそのアール凹部に嵌合するものである。
【0025】
フィルム受け部材41とフィルム定着具42はともに、アルミ押型材にて形成されており、フィルム受け部材41の蟻溝414の幅とフィルム定着具42の外幅とは同一寸法とされ、フィルム定着具42の嵌合用膨出部421と他側のアール凸部の外半径は、フィルム受け部材41の蟻溝414半径よりも若干小さく設定されている。
このため、フィルム受け部材の側壁は、先端部に形成された抜止兼補強用膨出部415により補強されてその変形が防止され、温室用フィルムの厚み分だけフィルム受け部材が伸びる一方フィルム定着具が縮んだ状態で両者が強力に一体化されているから、温室用フィルムの端部が定着されたフィルム定着部材が耐張力部材の方向に引寄せられる結果、温室用フィルムに強力なテンションがかかったとしても、フィルム定着具42がフィルム受け部材41から脱け出る恐れはない。
また、フィルム受け部材41は、耐張力部材3内面をスムースに移動できるように、フィルム受け部材41のフィルム定着部411と係合部412のそれぞれの底面は面一とされ、さらに、フィルム受け部材41とフィルム定着具42のそれぞれの底板上面には、フィルム定着具を温室に固定するビス止め作業を容易にするために、V溝が形成されている。
【0026】
図4に、増力装置付引寄金具5を示す。この増力装置付引寄金具は、鋼材からなる平板を1種類の型枠を用いてプレス加工して製作された折曲材からなっており、平板部の下方部に断面コ字状膨出部が形成された短尺の折曲材を、互いに膨出部を外側に位置させた状態で組合せ、平板部の長さ方向両端部近傍の互いに対向する位置に増力装置としての増力装置53挿通用の孔が穿設されたものである。
この増力装置付引寄金具5の断面コ字状膨出部のそれぞれの内側下縁は、一方がフィルム定着部材の位置決め部413に係合する第1の係合部51と、他方が耐張力部材の位置決め部32に係合する第2の係合部52として機能するものである。
【0027】
以上、温室用フィルム張設装置について説明したが、次いでこの張設装置を用いて温室用フィルムを温室表面に張設する方法について説明する。
【0028】
(準備作業1)
温室の外面に温室用フィルムを張設するとき、張設の基端部となる温室用フィルムの一端部は、温室の屋根面に位置する合掌の斜材や垂木や柱材のような、温室用フィルムの張設方向と同一の方向の温室用部材にあってはその一端部に、また、同じく温室の屋根面に位置する棟木や母屋材のような、温室用フィルムの張設方向と直交する方向の温室用部材にあってはその部材に、固定される。
【0029】
このとき使用する温室用フィルム基端の定着部材としては、従来より一般的に用いられている公知のフィルム定着部材を使用することも可能であるが、温室用フィルムに強力なテンションがかかるので、上述したフィルム受け部材41とフィルム定着具42を用いることが好ましい。
このフィルム受け部材41を温室の温室用部材に固定するには、部材の部材フィルム定着部411に長手方向に形成されたV溝に沿って温室用部材にビス止めすればよい。そして、温室用部材に固定されたフィルム受け部材のフィルム定着部411に温室用フィルムの基端を載置して、その上からフィルム定着具42を押し込む。このとき、フィルム受け部材の抜止兼補強用膨出部415とフィルム定着具の嵌合用膨出部421とは、強力な張力によって抜け出ることのないようにするため、テンションが付加される方向側に位置させるとよい。
【0030】
(準備作業2)
上述の温室用フィルムの基端を温室用部材に固定する作業とは別に、温室用フィルムの先端にフィルム定着部材を定着する作業がある。
この作業内容は、前述した温室用フィルムの一端を温室用部材に固定する作業とほぼ同じである。ただし、フィルム受け部材41を温室の温室用部材に固定する必要はなく、フィルム定着部材は単に温室用フィルムの端部に定着するだけでよい。
【0031】
このとき、温室用フィルムに与えるテンションは1方向であるので、フィルムを定着するために必要な定着代を除くテンションを付与する方向の実質的な長さは、テンションを付与しない自然状態では被覆しようとする温室の要被覆長さよりも短く設定されている。
したがって、温室用フィルムの一端に定着されたフィルム定着部材と耐張力部材との間には、テンションを付加することによって延伸する長さ分だけ間隙が存在する。
【0032】
(準備作業3)
その他の作業内容として、耐張力部材3を温室用部材に取付ける作業がある。
この作業は、温室用構造材である柱(図示せず)と谷樋2と垂木1とを、互いに連結固定する際に、行ってもよいし、3者を連結固定後において、垂木1と谷樋2の固定金具を緩めて取付けてもよい。
耐張力部材3を取付ける際には、耐張力部材3に谷樋2の間隔ごとに短尺に形成された取付固定部33のスリット35を介して固定金具のボルトヘッドを収容室34に臨ませ、廻り止めしてナットを締付け、耐張力部材3を谷樋2と垂木1に固定するのである。
以上の準備作業1乃至3は、そのいずれを先に行うべきであるという関係になく、順不同に実行すればよいものであり、これをもって準備作業は完了する。
次いで、次の張設作業を行うこととなる。
【0033】
(張設作業)
準備作業が完了した時点では、フィルム定着部材4と耐張力部材と3は一体化されておらず、両者は拘束されない自由状態にある。
したがって次の作業内容は、温室用フィルムを引張ってテンションを付与し、フィルム受け部材41の係合部412を耐張力部材3の係止部31に係合させるものとなる。
このとき使用する簡易な引張り装置、すなわちテンション付与装置が、図4に示された増力装置付引寄金具5である。
この増力装置付引寄金具5のボルトナットからなる増力装置53を緩めて、第1の係合部51と第2の係合部52の間隔を広げて、第1の係合部51をフィルム受け部材41の位置決め部413に係合させるとともに、第2の係合部52を耐張力部材の係止部31に係合させ、増力装置53を締付けて両係合部51、52の間隔を狭めてフィルム定着部材4を耐張力部材3方向に引寄せる。
【0034】
このテンション付与作業は、幅数メートル乃至十数メートルにも及ぶ長尺の温室用フィルムに対して行うものである。
したがって、同時に複数台、通常は同時に3台、の増力装置付引寄金具5を使用して、1台毎に少しずつ幅寄せを行うようにして引寄せていく。
この作業を複数台の増力装置付引寄金具5に対して繰り返し行うことにより、温室用フィルムに強力なテンションを付与していくのである。
【0035】
そして最後に、フィルム受け部材の係合部412を耐張力部材の係止部31に係合させて、温室用フィルムの張設作業を終了する。
なお、温室に展張されたフッ素樹脂製温室用フィルムが、長年の使用や温度変化等により伸張し、フッ素樹脂製温室用フィルムに皺が発生するような事態が生じたときは、フィルム定着部材4と耐張力部材3の係合を一旦解除して、フィルム定着部材4の位置を温室用フィルムのテンション付与方向の長さを短くした上で、再度この張設作業をやり直せばよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る温室用フィルム張設装置を温室谷部に適用した実施例の部分正面図である。
【図2】本発明に係るフィルム受け部材の拡大正面図である。
【図3】本発明に係るフィルム定着具の拡大正面図である。
【図4】本発明に係る増力装置付引寄金具の拡大斜視図である。
【図5】第1の従来例の断面図である。
【図6】第2の従来例の平面図である。
【図7】第2の従来例の斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
1 垂木
2 谷樋(結露水用樋部材)
21 断熱空間
22 拡開V字状の底板
23 側板23
24 垂木固定部
3 耐張力部材(雨水用樋部材)
31 係止部
32 位置決め部
33 取付固定部
34 収容室
35 スリット
4 フィルム定着部材
41 フィルム受け部材
411 フィルム定着部
412 係合部
413 位置決め部
414 蟻溝
415 抜止兼補強用膨出部
416 逆向アール部
42 フィルム定着具
421 嵌合用膨出部
422 傾斜側壁
423 底板
424 補強傾斜壁
5 増力装置付引寄金具
51 第1の係合部
52 第2の係合部
53 増力装置
6 温室用フィルム
7 第1の従来例の温室用フィルムの押さえ部材
71 フィルム受部材
72 部材本体
721 第1押圧脚部
722 第2押圧脚部
8 第2の従来例のスライド部材
9 ハウスパイプ
10 ベース部材
11 くさび部材
111 凹部
112 隆起部
12 操作部材
121 ベース部
122 ハンドル部
123 連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温室の屋根面又は壁面に位置する温室用部材の任意の一方の端部に温室用フィルムの一端を固定する第1工程と、
温室用フィルムの他端にフィルム定着部材を定着する第2工程と、
温室の屋根面又は壁面に位置する温室用部材の任意の他方の端部に耐張力部材を取付ける第3工程と、
前記フィルム定着部材を前記耐張力部材方向に引っ張り、前記フィルム定着部材の係合部を前記耐張力部材の係止部に係止する第4工程と、からなり、
前記第1乃至第3工程を順不同に実施した後、前記第4工程を実施する温室の屋根面及び壁面の開口部を除く全面に引張力を付与して温室用フィルムを張設する温室用フィルム張設方法。
【請求項2】
フィルム受け部材とフィルム定着具とにより温室用フィルムの端部を定着する長尺のフィルム定着部材と、温室用部材に取付けられた耐張力部材と、からなる温室用フィルム張設装置であって、
前記フィルム受け部材は、前記フィルム定着具と協同して温室用フィルムを定着するフィルム定着部と、増力装置付引寄金具の第一の係合部を位置決めする位置決め部と、一方向に引っ張られた状態で前記耐張力部材の係止部に係合する係合部とを具備し、
前記耐張力部材は、温室用部材に取付ける取付固定部と、前記増力装置付引寄金具の第二の係合部を位置決めする位置決め部と、前記フィルム受け部材に設けられた前記係合部を受け入れて温室用フィルムに付与された引張力に対抗する係止部とを具備することを特徴とする温室用フィルム張設装置。
【請求項3】
前記耐張力部材は、温室構造材である谷樋の上方に沿って離間して延在する長尺の樋部材であり、前記谷樋の両端部に谷樋との間に断熱空間を形成しつつ固定されて該谷樋とで二重樋を構成し、前記谷樋内面に結露することを防止するとともに雨水を排水し、前記谷樋は温室内面に付着した結露水を排水するものであることを特徴とする請求項2に記載された温室用フィルム張設装置。
【請求項4】
前記フィルム受け部材は、両端部がアール凹部とされた蟻溝を有し、一方の側壁はその上端部に抜止兼補強用膨出部が形成され、他方の側壁は前記アール凹部に続いて逆向アール凸部とされたフィルム定着部と、該フィルム定着部の前記他方の側壁の外上方に形成された増力装置付引寄金具用位置決め部と、前記他方の側壁の外下方に形成された係合部とから構成され、
前記フィルム定着具は、一方の端部に嵌合用膨出部を備えるとともに他方の端部に内方に傾斜する傾斜側壁を備えた底板からなり、前記傾斜側壁下端部の外部形状はアール凸部とされ、
前記フィルム定着具の嵌合用膨出部は、前記フィルム受け部材の前記抜止兼補強用膨出部が形成された側のアール凹部に押し込まれて嵌合抜止され、他端部は、他側の側壁の逆向アール凸部の内面に沿って下方に押し込まれて他側のアール凹部に嵌合するものであることを特徴とするフィルム定着部材。

【図3】
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【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−187224(P2006−187224A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−326(P2005−326)
【出願日】平成17年1月5日(2005.1.5)
【出願人】(000218362)渡辺パイプ株式会社 (20)
【Fターム(参考)】