説明

温度センサと通信するコントローラを備えた温度調整アセンブリ

【課題】運搬用乗物(例えば自走式乗物、飛行機、列車等)のコンポーネント(例えばシートあるいはステアリングホイール)で使用するための温度調整されたアセンブリを提供する。
【解決手段】アセンブリ10は、典型的にはヒータ22、24及び/又はベンチレーションあるいは冷却システムを含む。また、コントローラ28及び温度センサ48がこのアセンブリ10に含まれる。好適には、このコントローラ28には、温度センサ48により検出された雰囲気温度に基づいたエネルギー出力シーケンスを実行するためのプログラムが含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の表示
本願は、2003年10月2日出願の米国仮出願第60/508,036号の優先権を主張するものであり、その内容は参照として本願に包含される。
本発明は温度調整されたアセンブリに関し、主に、温度センサと通信するコントローラを備えて温度調整されたアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
長年、産業界では、運搬用乗物あるいは他の製造物用の温度調整された(例えば、加熱、換気及び/又は冷却)シートおよびステアリングホイールアセンブリの設計が行われている。これらのアセンブリのうちのいくつかは、それらのヒータから出される熱の制御を支援するために、これらのアセンブリのヒータに隣接して一つあるいはそれ以上の温度センサを使用している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そのようなセンサを使用すると、センサ自体のコスト、センサ保護のためのコスト、センサへの配線あるいはその他の接続コスト、センサの取付けコスト等により、非常に高価になってしまう。
したがって、本発明は、ベンチレータ又はクーラーにおけるヒータ及び又は排出空気の出熱の調整、熱除去あるいはこれらの双方を支援するためのセンサを含む、温度調整されたシートアセンブリを提供し、かつ、その一方で、アセンブリ全体に対してセンサを追加するためのコストを比較的低く維持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以下、運搬用乗物のためのアセンブリを開示する。このアセンブリは、運搬用乗物の客室内にあるシートあるいはステアリングホイールのようなコンポーネントを含んでいる。コンディショナ(調整器)は、運搬用乗物コンポーネントに対して加熱、冷却、あるいは換気の少なくとも一つを行うよう構成される。
コントローラは、コンディショナとエネルギー源と通信する。また、コントローラは、一体化された温度センサを含む。
このコントローラは、温度センサが運搬用乗物のコンパートメント内の外気の温度を測定することができるように、コンディショナに隣接していない運搬用乗物のコンパートメント内にある。
さらに、コントローラは、そのコンディショナの起動時に、起動時における雰囲気の温度に基づいて、エネルギー源からコンディショナへの特定のエネルギー出力シーケンスを有効化するプログラムを有する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】本発明の一形態による典型的な加熱されたシートアセンブリの説明図である。
【図2】本発明のシートアセンブリの典型的な運転モードを示すグラフである。
【図3】本発明の一形態に係るコントローラの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の特徴および進歩性を有する形態は、以下の詳細な説明、クレーム及び図面を査読することでより明らかになるであろう。
【0007】
本発明は、運搬用乗物(例えば自走式乗物、飛行機、列車等)のコンポーネント(例えばシートあるいはステアリングホイール)で使用するための温度調整されたアセンブリを提供するものである。このアセンブリとしては、典型的にはバックレストクッションコンポーネント、ベースクッションコンポーネントあるいはその双方のような乗物用座席クッションコンポーネントを備えたステアリングホイールまたはシートのようなコンポーネントが含まれる。
【0008】
このアセンブリは、さらに典型的にはヒータ及び/又はベンチレーションあるいは冷却システムを含む。コントローラと温度センサもアセンブリに含まれ、また、必須ではないものの、好適にはコントローラは温度センサに一体化される。好ましい実施形態では、温度センサは、運搬用乗物のコンパートメント(例えば自走式乗物のキャビンや客室)内の周囲温度を検出するよう構成される。さらに、好ましい実施形態では、コントローラは、温度センサによって検出された周囲温度に基づくエネルギー出力シーケンスを達成するようにプログラムされる。
【0009】
図1に、本発明に係る典型的な温度調整された(例えば、熱された)シートアセンブリ10を示す。シートアセンブリ10は、一対のシートクッションコンポーネント16、18を備えたシート12を含み、これらは、ベースクッションコンポーネント16およびシートバックレストコンポーネント18として示される。シートアセンブリ10は、さらにコントローラ28と通信する第1の温度コンディショナ22(例えばヒータ)および別の温度コンディショナ24(例えばヒータ)を含む。コンディショナ22、24およびコントローラ28の各々は、好適にはエネルギー源30と通信可能となっている。
【0010】
シートクッションコンポーネント16および18は、運搬用乗物として用いられるいずれの典型的なあるいは従来のクッションあるいはクッションシステムとして提供することができる。好適に、シートクッションコンポーネント16および18はフォームクッションあるいは他の支持材及び緩衝部材を含む。シートクッションコンポーネント16および18は、さらに装飾用(例えばレザー)のカバーあるいはその他同種のものを含んでいてもよい。
【0011】
図1において、コンディショナ22および24の各々は、一方はベースクッションコンポーネント16の少なくとも一部(例えばクッション)を覆い、他方はシートバックレストコンポーネント18の一部を覆う、という点を除いては、互いに実質的に同じものとして示されている。コンディショナ22および24は、いずれも、装飾された層34とシート12のクッション36の間に配置される、ほぼフラットあるいは平面タイプのヒータである。好適に、ヒータは、発熱体40として示される、基板42に少なくとも部分的に支持された1つ又はそれ以上の熱交換器を有する。そのような平面ヒータの例として、この発熱体は電線導体、プリント導体メディア等を挙げることができ、これらは、ソーイング(sewing)、接着等によって基板に取り付けることができる。
【0012】
他の実施形態では、本発明に係るシートアセンブリのコンディショナとして、様々な異なるタイプのヒータを用いることができる。例えば、正温度係数(PTC: Positive thermal coefficient)ヒータ、カーボンファイバー(例えばカーボン層−ワイヤヒータ:carbon lay-wire heater)、導電性ゴムヒータ、ペイント/インクヒータ(paint/ink heater)及びこれらの組み合わせをシートアセンブリに使用してもよい。更に、シートアセンブリには、本発明に係る一つあるいはそれ以上のコンディショナとして換気システム、クーラーあるいは一体化ヒータ/クーラー又はヒータ/ベンチレータを、上記の形態に追加して、あるいは置換して使用することができる。
【0013】
ヒータ/クーラーシステムの例として、熱電気エアコンディショナシステムを空調(即ち加熱あるいは冷却)のために用いることができ、これにより空気を送付器あるいはその他のものを備えた自動車のシートのシート表面あるいは装飾層に向けて送ることができる。そのようなヒータ/クーラーシステムは米国再発行特許RE38,128 Eに示され、その内容は、すべての目的のために参照としてここに包含される。ヒータ/ベンチレータシステムの例として、シート表面を加熱してこのシート表面を通じて空気を移動させるために、平面タイプヒータを備えたインサートと、シート表面と流体的に連通しているブロワと、を用いることができる。そのようなヒータ/ベンチレータシステムは2003年5月9日に出願した、米国特許出願第10/434,890号に示され、その内容は、すべての目的のために参照によってここに包含される。
【0014】
なお、ここに議論されたコンディショナのいずれも、単独であるいはここに議論されたコンディショナの任意の他のものと組み合わせて使用できる。さらに、バックレストコンポーネントあるいはベースコンポーネントのいずれかの表面または装飾された層を調整(例えば、加熱あるいは冷却)するために、コンディショナを一つ、二つ、あるいはそれ以上用いることが可能であることは理解されよう。
【0015】
図1に示されたヒータは、乗物のシートヒータであり、上述したコントローラ及び温度センサをその他のヒータとともに用いることもできる。コントローラと温度センサは、好適には、参照としてここに包含される米国特許第6,727,467号に記載されたステアリングホイールヒータのようなステアリングホイールヒータと共に用いることができる。同様に、ここに示したように、ステアリングホイールヒータあるいは他の自走式乗物に対するコントローラと温度センサも同様に構成されて同様に動作できる。
【0016】
コントローラ28が様々な構成により提供可能であることから、アセンブリ10のコントローラ28はブロックとして示される。図示されるように、コントローラ28は、温度センサ48(例えばNtcタイプあるいは他のタイプの温度センサ)に一体化されている。しかしながら、温度センサがバス、配線、通信波(例えばラジオ波)その他を通じて通信可能な限り、コントローラ28又は温度センサ48、あるいはその双方は、乗物内のどの位置に設けてもよい。
【0017】
典型的には、コントローラ28又は温度センサ48あるいはその双方は、乗物のキャビン内に、1つ以上のコンディショナのいずれにも隣接しないように配置され、より詳細には、一つ以上のコンディショナにおけるいずれの熱交換器、例えば加熱、冷却あるいは換気における排出部(例えば発熱体、誘導された空気流あるいはその他)にも隣接しないように配置される。ここでは、「隣接していない」という用語は、温度センサ、コントローラ、コンディショナ、熱交換器あるいはこれに類するものが少なくとも4cm離間して設けられることを意味し、好適には少なくとも8cm、そしてさらに好適には少なくとも15cm離間して設けられることを意味する。
【0018】
もちろん、特に記載しない限り、温度センサ又はコントローラ、あるいはその双方は、そのような加熱、冷却あるいは換気の排出部に接近して設けてもよく、さらに、直接それに隣接させてもよい。さらに、センサが一体化された制御モジュールをヒータ(例えば基板または発熱体)に取り付けてもよい。温度センサは乗物のキャビン内の、あるいは乗物のキャビンに隣接する、様々なコンポーネントに一体化させてもよく、この温度センサは、コントローラ以外の通信可能な他のコンポーネント(例えばディジタル温度計出力)と通信するようにしてもよい。温度センサ48は、コントローラ28内(例えばコントローラ28のハウジング52内)に設けてもよい。あるいは、温度センサ48は、コントローラ28の外表面(例えばコントローラ28のハウジング52の外側表面54上)に設けてもよい。特に好ましい実施形態では、コントローラ28は一つ以上の回路基盤を有し、また、温度センサ48は、1つ以上の回路基盤(例えば抵抗センサ、Ntcセンサまたはこれらに類するもの)にプリント、はんだ付けあるいはその他の方法で取り付けられる。
【0019】
アセンブリ10のエネルギー源30は、必須ではないが、自走式乗物のバッテリーとすることが好適である。エネルギー源30は、典型的には、1つ以上のコンディショナと電気的に接続されており、かつ、少なくともコントローラ28と通信を行う。ここに示された好ましい実施形態では、エネルギー源30は、1つ以上の電気的バス50、51を通じてコントローラ28と電気的に接続され、コンディショナ22、24は、1つ以上の電気的バス56,58を通じてコントローラ28及びエネルギー源と電気的に接続されている。
【0020】
動作時において、1つ以上のコンディショナが加熱、冷却、換気あるいはこれらの組み合わせを提供するようアクティベートされる。ここでは、用語「アクティベート」は、コンディショナのアクティベートあるいはアクティベーションによって、コンディショナが加熱、冷却、換気あるいはこれらの組み合わせを提供させることを意味し、コンディショナにより提供される加熱、冷却、換気及びこれらの組み合わせの度合いを上昇あるいは下降させるいずれの動作も含まれる。したがって、用語「アクティベート」は、コンディショナを「オン」にすることを表すことができ、かつ、コンディショナに供給されるエネルギーレベルを変化させることをも含むことができる。
【0021】
アクティベートに際して、温度センサ48は、コントローラ28に対して信号をおくり、センサ48における温度をコントローラ28に対して通知する。この温度は乗物の内のいずれの位置で検出してもよい。好適には、この温度は、乗物のキャビン内において1つ以上のコンディショナのいずれにも隣接せずに検出され、特に、いずれの熱交換器、例えば加熱、冷却又は換気排出部(例えば発熱体、引き起こされた空気流等)のいずれにも隣接しないようにして検出される。もちろん、特に記載がない限り、そのような熱交換器に接近して、さらに、直接それに隣接して温度を検出することも可能である。
【0022】
図示された実施形態では、温度センサ48はコントローラ28に一体化され、温度センサ48がコントローラ28に、コントローラ28の周囲の空気温を少なくとも部分的に示す信号を送る。図1では、コントローラ28およびセンサ48は、シート12のシートクッションコンポーネント16の後ろに位置する。また、信号は、好適には、乗物のキャビン内における雰囲気の温度を示す。しかしながら、その配置場所は、ここに議論された配置場所のいずれとしてもよい。
【0023】
温度センサ48から信号を受け取る際、コントローラ28は、エネルギー源30が1つ以上のコンディショナに対しての特定のエネルギー出力シーケンスを与えるようにプログラミングされている。好適には、この特定のエネルギー出力シーケンスは、温度センサによって検出された温度に基づく。
【0024】
ここでは、エネルギー出力シーケンスとは、特定の期間におけるエネルギーレベル出力、あるいは同じあるいは異なる期間におけるエネルギー出力レベルのいずれのシーケンスを含むものとすることができる。特定のエネルギー出力シーケンスは、エネルギー源30から1つ以上のコンディショナへのいずれのエネルギーシーケンスをも含むことができる。例えば、エネルギーシーケンスには、エネルギー出力の最高値に達するまで、コンディショナに対して徐々により大きなエネルギー量を与えることが含まれる。これに代えて、エネルギー源は、1つ以上のコンディショナに対して最大エネルギー出力を与え、その後に与えるエネルギー量を落としていくようにしてもよい。
【0025】
一実施形態において、コントローラは、第1エネルギー量あるいはこれより高いエネルギー量(例えば最大量)を1つ以上のコンディショナに与え、その後に第2エネルギー量あるいはこれより低いエネルギー量(例えば動作維持エネルギー(operational energy)を1つ以上のコンディショナに与える。好適には、温度センサからの温度信号に基づいて、第1エネルギー量あるいはより高いエネルギー量が、イニシャル期間、つまり最初の期間において供給される。
【0026】
従って、コンディショナが加熱の場合、検出された温度が比較的低い場合は最初の期間における時間長が長くなり、検出された温度が比較的高い場合、最初の期間は短くなるであろう。逆に、コンディショナが冷却あるいは換気(ベンチレータ)である場合、検出された温度が比較的高い場合は初期の期間は長くなり、検出された温度が比較的低い場合、最初の期間は短くなる。好適には、最初の期間の長さは、コントローラにプログラムされた、一つ以上のアルゴリズムあるいは数学的関数を参照して決定される。好適には、そのような数学的関数は、シートアセンブリに対して実験を行ない、個々のシートアセンブリについて経験的データを積み重ねていくことによって開発される。
【0027】
図1のアセンブリ10及び図2のグラフを更に参照すると、アセンブリ10のヒータ22、24に対して実験が行われている。好適には、これらの実験によって、温度センサ48によって検出された温度(Ts)(つまりシート12周囲の雰囲気)に依存して、典型的な乗客(例えば160ポンド、つまり約72.5Kgの人)についてシート12の表面62を所望の温度(Td)に到達させるために必要とされるエネルギー源30からの最大エネルギー供給期間における時間を決定する。その後、所望の温度(Td)と検出された温度(Ts)とに対して、時間長(tj)が数学的関数(例えば(t)=f(Td、Ts))を通じて関連付けられ、この数学的関数はコントローラ28にプログラムされる。
【0028】
したがって、シートヒータ22,24の一方あるいは双方のアクティベーション時に、温度センサ48により検出された温度(Ts)は、コントローラに送信される。検出された温度(T3)に基づいて、コントローラ28は、所望の温度(Ta)に到達するためにヒータ22,24に供給する加熱(heat up)エネルギー量あるいは最大エネルギー量を提供する時間(tj)を計算し、エネルギー源30に、この計算された時間においてそのようなエネルギーを供給させる。図2のグラフに示されるように、計算された初期時間(tj)の時間長は、通常は検出された温度が高温のときは平均値(例えば(tj1))よりも短く(例えば(tj2))、かつ検出された温度が低温であるときは平均値(例えば(tj1))よりも長い。
【0029】
エネルギーの初期加熱あるいはエネルギー供給を終えた後に、コントローラ28は、エネルギー源に対して、第2のエネルギー量あるいは動作エネルギー量をヒータ22,24に与えることを許可あるいはコマンドする。この場合のエネルギー量は、好ましくは上述の加熱あるいは最大エネルギー量よりも小さい。もちろん、ヒータのアクティベート後において、エネルギー出力を変動あるいは維持することが可能であり、このような変化や維持は、その後の温度センサで読み出された温度の値に依存するものである。
【0030】
一実施形態において、初期加熱を行った後に、コントローラは、これらのヒータに対して異なるレベルでエネルギーを供給するか、あるいは、ベンチレータに対して異なるエネルギーレベルでエネルギーを供給するようプログラムされる。このエネルギー供給は、所定の期間で連続的に複数回検出される温度に基づいてなされる。例えば、図1および2において、コントローラ28は、所定の期間が経過する毎に(例えば10秒経過毎に)、検出された温度に依存して、ヒータ22および24に与えるエネルギー量を調整する(つまり、最大エネルギーに対するパーセンテージを変えるか、デューティーサイクルを変更する)ようプログラムされる。もちろん、提供されるエネルギー量は、複数期間にわたって同じ値としてもよく、特に、最初の二期間あるいはそれ以上の期間において温度に実質的変更が見られない場合には同じ値とされる。上述のヒータにおけるコントローラ及び温度センサに記述したことは、クーラー又はベンチレータにおいても、同様に当てはまる。特に、コントローラは、クーラーあるいはベンチレータを最初の期間においてある出力レベルで動作させ、その後にクーラーあるいはベンチレータを第2の、好ましくはより低い出力レベルで動作させる。さらに、ヒータの場合と同様、最初の期間は、実測データに基づいて実験的に数学的関数に寄って決定される。
【0031】
更なる実施形態あるいは変形例においては、コントローラは、シャットダウンフィーチャがプログラムされており、これによりコントローラは、ヒータ、ベンチレータのいずれかあるは双方を、所定の時間連続運転した後にシャットダウンすることできる。例えば、コントローラは、電源ヒータ又はベンチレータにエネルギーを約10分を超えて、より典型的には20分を超えて、更に典型的には30分を超えて提供あるいは循環した場合に、シャットダウンあるいはエネルギーの供給停止を行うようプログラムすることができる。
【0032】
典型的には、温度センサの少なくとも一部は、コントローラのハウジング又は外周に隣接(即ち、2cm以内、より典型的には1.2cm以内、更に典型的には0.7cm以内)して配置されるが、これは必須ではない。図3に示されるように、温度センサ48は回路基盤70にプリントあるいは配置され、センサ48がハウジング52から0.7cm以内となるようにされている。そのような配置は、通常、センサがより正確に雰囲気音を検出可能となるという点で有利である。
【0033】
さらに、典型的には、実質的に温度センサ全体をコントローラのメイン基板(例えばソリッドステートスイッチあるいはトランジスタ)全体から離間して設ける。その距離は、例えば1.5cmを超え、より典型的には2.0cmを超え、更に典型的には2.5cmを超えるようにされるが、これは必須ではない。図3に示されるように、温度センサ48のどの部分も、メイントランジスタ74から2.0cmより近く配置されることはない。より接近して捜し出されない。メイントランジスタ74は、コントローラ28、ヒータ22、24のそれぞれあるいはこれらを組み合わせにおけるオン/オフ機能をコントロールする。そのような構成により、センサがより正確に雰囲気温度を検出することが可能となるという利点を有する。
【0034】
さらに、温度センサ周囲の雰囲気と、室内雰囲気あるいはコントローラハウジング周囲の雰囲気と、を流体的に連通可能とするように、コントローラのハウジングに1つ以上の開口部を設けることも可能である。図3に示されるように、ハウジング52は温度センサ48の少なくとも一部に隣接(即ち2cm以内、より典型的には1.2cm以内、更に典型的には0.7cm以内)したこのような複数の開口部78(例えば貫通口)が設けられている。そのような配置は、センサがより正確に雰囲気温度を検出可能となるという利点を有する。
【0035】
温度センサあるいはハウジングの開口部の位置にかかわらず、温度センサとコントローラの一方あるいは双方に対して試験あるいは実験が行われ、温度センサで読み取られる値が乗物内の実際の雰囲気温度にどれだけ近いかが測定され、これらの試験に基づいて実験データが構築される。その後、実験データを用いて、センサ読み取り値と実際の雰囲気温度との間の差異に対応するようにコントローラをプログラムすることが可能である。したがって、ここに議論されるような雰囲気の測定は、雰囲気温度の近似値に近づくように意図された測定を意図していることを理解されたい。
【0036】
特に記載がない限り、ここに記載した種々の構造における寸法及び形状は、本発明を限定するものではなく、その他の寸法及び形状とすることも可能である。複数の構造的コンポーネントを単一の一体化構造として提供することができる。あるいは、単一の一体化構造を、個別の複数コンポーネントに分割することも可能である。さらに、例示された一実施形態により本発明の特徴を説明したが、このような特徴は、他の形態や用途における他の特徴と組み合わせて用いることもできる。さらに、以上の記載から、独特の構造の形成及び動作から、本発明に係る方法が構築されることが理解されよう。
【0037】
以上、本発明の好適実施形態を記載したが、当業者であれば、本発明の教示内で種々の変更を行うことが可能であることは理解されよう。したがって、本発明の真の範囲及び内容は、添付した請求項により定められるものである。
【符号の説明】
【0038】
16,18 シートクッションコンポーネント
22,24 ヒータ
28 コントローラ
30 エネルギー源
48 温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬用乗物のコンパートメント内に配置されたコンポーネントと、
シートまたはステアリングホイールから選択される運搬用乗物のコンポーネントの加熱、冷却あるいは換気のうち少なくとも1つを行うよう構成され、それと一体化され、または組み込まれ、または伝導可能に取り付けられるコンディショナと、
コンディショナおよびエネルギー源と通信可能で、前記コンディショナを直接制御するためにその中に温度センサが一体化されて設けられたコントローラとを備え、
i)前記コントローラおよび一体化された温度センサは、前記運搬用乗物のコンパートメント内に、前記温度センサによる前記運搬用乗物の前記コンパートメント内の雰囲気温度の測定を可能にするように、前記コンディショナの温度変更部または出力部分に隣接しないよう配置され、かつ、
ii)前記コントローラは、前記コンディショナのアクティベーション時に、前記アクティベーション時における雰囲気の温度のみに基づいて、前記エネルギー源から前記コンディショナへと特定のエネルギー出力シーケンスを実行させるためのプログラムを有する、運搬用乗物のためのアセンブリ
【請求項2】
前記コントローラの周縁は少なくともその一部がハウジングによって形成される、請求項1記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記ハウジングは、雰囲気空気と前記温度センサ周囲の空気とを流体的に連通させるための開口部を有し、前記開口部は前記温度センサから2cmから0.7cmの距離に設けられる、請求項2記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記エネルギー出力シーケンスには、前記雰囲気空気の温度に基づいて、最初の所定時間において所定量のエネルギーを前記コンディショナに供給することが含まれる、請求項3記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記エネルギー出力シーケンスには、前記最初の所定時間の後に、所定間隔で検出された前記雰囲気空気の温度に依存した種々のレベルで前記コンディショナにエネルギーを供給することが含まれる、請求項4記載のアセンブリ。
【請求項6】
自走式乗物の客室内に配置されるとともに、シートまたはステアリングホイールのいずれかであるコンポーネントと、
前記コンポーネントと一体化され、または組み込まれ、または加熱可能に取り付けられたヒータと、
前記ヒータ及びエネルギー源と通信するとともに、その中に温度センサが配置されたコントローラとを備え
i)前記コントローラは、自走式乗物の前記コンパートメント内に、前記温度センサが前記自走式乗物の前記コンパートメント内の雰囲気温度を測定できるように、前記ヒータまたは前記ヒータの出力部分と隣接しないように配置され、
ii)前記コントローラは、前記ヒータのアクティベーション時に、前記アクティベーション時における雰囲気温度のみに基づいて、前記エネルギー源から前記コンディショナへと特定のエネルギー出力シーケンスを実行させるためのプログラムを有し、
iii)前記温度センサは、前記コントローラの回路基盤にプリントされ、またはハンダ付けされている自走式乗物のためのアセンブリ。
【請求項7】
前記コントローラの周縁は少なくともその一部がハウジングによって形成される、請求項6記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記ハウジングは、雰囲気空気と前記温度センサ周囲の空気とを流体的に連通させるための開口部を有する、請求項7記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記エネルギー出力シーケンスには、前記雰囲気空気の温度に基づいて、最初の所定時間において所定量のエネルギーを前記コンディショナに供給することが含まれる、請求項6記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記エネルギー出力シーケンスには、前記最初の所定時間の後に、所定間隔で検出された前記雰囲気空気の温度に依存した種々のレベルで前記コンディショナにエネルギーを供給することが含まれる、請求項9記載のアセンブリ。
【請求項11】
シート表面を備えるとともに、バックレストクッションコンポーネントまたはベースクッションコンポーネントのいずれかから選択されるシートクッションコンポーネントと、
前記シートクッションコンポーネントのシート表面あるいはこのシート表面の近隣に熱を供給するよう構成された少なくとも一つの発熱体を備え、概ね平らであって、前記シートクッションコンポーネントのクッションに重ねられ、トリム層と前記クッションとの間に配置されるヒータと、
前記ヒータ及びエネルギー源と通信するとともに、前記ヒータを直接制御するために温度センサを備えたコントローラとを備え
i)前記コントローラは、前記自走式乗物のキャビン内に、前記温度センサが前記自走式乗物の前記キャビン内の雰囲気温度の測定が可能となるように、前記ヒータ、または温度変更部分、またはヒータの出力部分に隣接しないよう配置され、
ii)前記コントローラは、前記ヒータのアクティベーション時に、前記アクティベーション時における雰囲気温度のみに基づいて、前記エネルギー源から前記ヒータへと特定のエネルギー出力シーケンスを実行させるプログラムを有する、自走式乗物のためのシートアセンブリ。
【請求項12】
前記ヒータは前記シートクッションコンポーネントのクッションを覆い、前記ヒータは、基板及び少なくとも一つの発熱体を有する、請求項11記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記温度センサは、コントローラの周縁から2.0cm以内に配置される、請求項11記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記コントローラの周縁は、少なくともその一部がハウジングによって形成される、請求項11記載のアセンブリ。
【請求項15】
前記ハウジングは、雰囲気空気と前記温度センサ周囲の空気とを流体的に連通させるための開口部を有する、請求項14記載のアセンブリ。
【請求項16】
前記エネルギー出力シーケンスには、前記雰囲気空気の温度に基づいて、最初の所定時間において所定量のエネルギーを前記ヒータに供給することが含まれる、請求項11記載のアセンブリ。
【請求項17】
前記エネルギー出力シーケンスには、前記最初の所定時間の後に、所定間隔で検出された前記雰囲気空気の温度に依存した種々のレベルで前記コンディショナにエネルギーを供給することが含まれる、請求項16記載のアセンブリ。
【請求項18】
前記温度センサは前記コンディショナから少なくとも15cm離れている、請求項1記載のアセンブリ。
【請求項19】
前記温度センサは前記ヒータから少なくとも15cm離れている、請求項6記載のアセンブリ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−66819(P2012−66819A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242992(P2011−242992)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【分割の表示】特願2007−532999(P2007−532999)の分割
【原出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(504135893)べー.エー.テー. オートモーティブ システムズ アーゲー (10)
【Fターム(参考)】