説明

温度センサ

【課題】ケースを分解することなく着脱可能とする温度センサを提供する。
【解決手段】ケース11内に収容される熱交換器12の表面温度を検出する温度センサにおいて、表面温度を検出する棒状の棒状部111、および棒状部111の長手方向の一端側に設けられた鍔部112を有するセンサ本体部110と、弾性材料から筒状に形成されており、筒状の長手方向の一端側に設けられて棒状部111を外方に突出させて鍔部112の少なくとも外周部を覆うように固定する固定部121、および筒状の長手方向の他端側に設けられてケース11に設けられた孔部11aへの嵌合を可能とする嵌合部122を有する支持部120と、を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両用空調装置の空調ケース内に収容される熱交換器の温度検出用に用いて好適な温度センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の温度センサ取付け装置として、例えば、特許文献1に示されるものが知られている。即ち、特許文献1の温度センサは、空調装置用のエバポレータの温度を検出する筒状のセンサケースと、センサケースの先端側を突出させた状態でセンサケースを保持するケース保持部材と、ケース保持部材に設けられて、センサケースに対して平行かつ同一方向に突出する支持棒部とを備えている。
【0003】
特許文献1の温度センサは、センサケースの先端部がエバポレータの隣り合う放熱フィンの間に差し込まれると同時に、支持棒部も隣り合う放熱フィンの間に差し込まれ、センサケースだけでなく支持棒部と放熱フィンとの摩擦力も付加されて、温度センサが放熱フィンから抜けにくくなるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−303469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、温度センサをエバポレータに組付けた後に、このエバポレータを空調ケース内に収容して空調装置を形成する必要があり、この後に温度センサを交換する際には、空調装置(空調ケース)を分解する必要があった。
【0006】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、ケースを分解することなく着脱可能とする温度センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
【0008】
請求項1に記載の発明では、ケース(11)内に収容される熱交換器(12)の表面温度を検出する温度センサにおいて、
表面温度を検出する棒状の棒状部(111)、および棒状部(111)の長手方向の一端側に設けられて長手方向と交差する方向に突出する鍔部(112)を有するセンサ本体部(110)と、
弾性材料から筒状に形成されており、筒状の長手方向の一端側に設けられて棒状部(111)の鍔部(112)の少なくとも外周部を覆うように外周部に固定される固定部(121)、および筒状の長手方向の他端側に設けられてケース(11)に設けられた孔部(11a)への嵌合を可能とする嵌合部(122)を有する支持部(120)と、を備えることを特徴としている。
【0009】
本発明の温度センサ(100)は、センサ本体部(110)の鍔部(112)が、支持部(120)の固定部(121)に固定されて形成されている。そして、温度センサ(100)をセンサ本体部(110)側からケース(11)の孔部(11a)に挿入して、センサ本体部(110)が熱交換器(12)の表面に接触するようにし、更に、嵌合部(122)を孔部(11a)に嵌合することで、温度センサ(100)を熱交換器(12)およびケース(11)に対して組付けすることができる。逆に、嵌合部(122)を孔部(11a)から外して、温度センサ(100)をケース(11)内から引き出すことで、温度センサ(100)を取り外すことができる。よって、初期段階でケース(11)に温度センサ(100)を組付けた後も、ケース(11)を分解することなく、温度センサ(100)の着脱が可能となる。
【0010】
ここで、ケース(11)および熱交換器(12)が外部からの振動を受けて、両者(11、12)の間で相対動きを伴うような場合でも、温度センサ(100)の支持部(120)は、弾性材料から形成されるようにしているので、熱交換器(12)側となるセンサ本体部(110)と、ケース(11)側となる支持部(120)との間の相対動きを支持部(120)によって吸収することができる。よって、ケース(11)と熱交換器(12)との間で相対動きのある振動を受ける場合でも、温度センサ(100)が早期に破損してしまうことを防止することができる。
【0011】
また、センサ本体部(110)は、ケース(11)の孔部(11a)に嵌合固定される支持部(120)の弾性によって、熱交換器(12)側に押圧される状態を維持できるので、背景技術の項で説明した特許文献1のような支持棒部を余分に設けることなく、センサ本体部(110)が熱交換器(12)から外れてしまうことを防止することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明では、棒状部(111)の鍔部(112)側には、棒状部(111)で検出した温度信号を出力するリードワイヤ(113)が接続されており、
リードワイヤ(113)は、支持部(120)の筒状内部を通り、嵌合部(122)側の外部へ取り回しされていることを特徴としている。
【0013】
この発明によれば、リードワイヤ(113)をケース(11)の内側から外側に取り回しする際に、ケース(11)にリードワイヤ(113)専用の挿通孔を設ける必要がなく、更にはこの挿通孔へのリードワイヤ(113)の位置決めや取り回しの工数が不用となり、組付け工数を低減できる。
【0014】
請求項3に記載の発明では、支持部(120)の長手方向中間部には、支持部(120)を長手方向へ変形可能とする蛇腹状に形成された蛇腹部(123)が設けられていることを特徴としている。
【0015】
この発明によれば、支持部(120)は、蛇腹部(123)によって、筒状の長手方向に対して伸縮しやすくなるので、振動を受けたときのケース(11)と熱交換器(12)との間の相対動きを吸収する効果を高めることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明では、熱交換器(12)は、ケース(11)内の空気を冷却する冷却用の熱交換器(12)であり、
鍔部(112)と固定部(121)との間は、液密にシールされていることを特徴としている。
【0017】
この発明によれば、冷却用の熱交換器(12)によって冷却される空気から凝縮水が発生される場合でも、鍔部(112)と固定部(121)との間が液密にシールされているので、凝縮水が鍔部(112)と固定部(121)との間を通って、更に支持部(120)の筒状内部を通ってケース(11)の外部に漏れることを防止できる。
【0018】
請求項5に記載の発明では、熱交換器(12)は、ケース(11)内の空気を冷却する冷却用の熱交換器(12)であり、
嵌合部(122)と孔部(11a)との間は、液密にシールされていることを特徴としている。
【0019】
この発明によれば、冷却用の熱交換器(12)によって冷却される空気から凝縮水が発生される場合でも、嵌合部(122)と孔部(11a)との間が液密にシールされているので、凝縮水が嵌合部(122)と孔部(11a)との間を通って、ケース(11)の外部に漏れることを防止できる。
【0020】
請求項6に記載の発明では、鍔部(112)の支持部(120)の筒状内部に向かう面には、フック状の引掛け部(112a)が形成されたことを特徴としている。
【0021】
この発明によれば、温度センサ(100)をケース(11)から取り外す際に、所定の工具を引掛け部(112a)に引掛けて、ケース(11)の外側に引張ることで、センサ本体部(110)のみを取り外すことができる。
【0022】
尚、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態において、空調ケースに組付けされた温度センサを示す断面図である。
【図2】第1実施形態の温度センサにおいて、センサ本体部と支持部とが組付けされた状態を示す断面図である。
【図3】第1実施形態において、温度センサを空調ケースに組付ける際の要領を示す断面図である。
【図4】第1実施形態における押込み用冶具を示す正面図および側面図である。
【図5】第2実施形態における温度センサを示す断面図である。
【図6】第3実施形態において、空調ケースに組付けされた温度センサを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0025】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態における温度センサ100について図1〜図4を用いて説明する。図1は空調ケース11に組付けされた温度センサ100を示す断面図、図2は温度センサ100においてセンサ本体部110と支持部120とが組付けされた状態を示す断面図、図3は温度センサ100を空調ケース11に組付ける際の要領を示す断面図、図4は押込み用冶具200を示す正面図および側面図である。
【0026】
温度センサ100は、図1に示すように、空調装置10における空調ケース11内に収容される蒸発器12の表面温度を検出する温度検出装置である。
【0027】
ここで、空調装置10は、例えば車両に搭載される車両用空調装置10である。空調ケース11は、空調用の空気を流通させる空気通路を形成する樹脂製のケースである。空調ケース11の側壁には、温度センサ100を取り付けるための円形の孔部11aが穿設されている。
【0028】
また、蒸発器12は、冷凍サイクル中に設けられる熱交換器(冷却用熱交換器)であり、空調ケース11内の空気通路を横断するように配置されている。蒸発器12は、例えば水平方向に流れる空調用空気の流れ方向に対して熱交換部が交差するように、縦置き配置されている。蒸発器12の熱交換部は、内部を流通する低温冷媒と、空調用空気との間で熱交換して、空調用空気を冷却するようになっている。熱交換部は、フィン12aおよびチューブ(図示省略)から形成されている。フィン12aは、例えば薄肉の帯板材が波状に形成されたコルゲートフィンが使用されている。
【0029】
温度センサ100は、蒸発器12の表面温度を検出するセンサ本体部110、およびセンサ本体部110を支持する支持部120を備えている。
【0030】
センサ本体部110は、更に棒状部111、鍔部112、リードワイヤ113、およびコネクタ114を有している。
【0031】
棒状部111は、温度を検出する部位であり、先端側が閉塞されたアルミニウム製の円筒状の外部ケース111aの内部に、温度検出用のサーミスタ(図示省略)が配設されると共に、外部ケース111aの内部に例えばエボキシ系の樹脂材料が充填されて形成されている。棒状部111は、先端側が先細り形状となっており、温度検出の対象となるフィン12aの隣り合う波形状部の間に容易に挿入できるようになっている。
【0032】
鍔部112は、支持部120における溝部121に固定される円形鍔状の平面板部である。鍔状部112は、棒状部111の長手方向において、先細り形状となる先端側とは反対側の一端側の外周部から、長手方向に対してほぼ直交する外方に拡がるように形成されている。鍔部112の外径は、棒状部111の外径の3倍程度に設定されている。鍔部112は、後述する溝部121に、はめられて固定されている。
【0033】
リードワイヤ113は、サーミスタで検出された温度信号を出力する信号出力線である。リードワイヤ113の一端側は、棒状部111内に配設されたサーミスタに接続されており、他端側が、支持部120の筒状内部を通り、支持部120の外部に至るように取り回されている。リードワイヤ113の他端側には、空調装置10の作動を制御する空調制御装置(図示省略)に接続されるためのコネクタ114が設けられている。
【0034】
次に、支持部120は、例えばゴム材のような弾性材料から筒状に形成されており、溝部121、嵌合部122、および蛇腹部123を有している。
【0035】
溝部121は、センサ本体部110の鍔部112を支持部120に固定する固定部であり、支持部120の長手方向の一端側に設けられている。溝部121は、支持部120の一端側で径方向外方に突出する突出部の内側に、長手方向に対してほぼ直交する外方に向けてへこむように設けられている。溝部121には、鍔部112がはめられており、溝部121の弾性によって、鍔部112を板厚方向および径方向に挟み込むように鍔部112を固定している。よって、鍔部112と溝部121との間は密着された状態となっており、液密にシールされている。
【0036】
嵌合部122は、空調ケース11に穿設された孔部11aへの嵌合を可能とする部位であり、支持部120の長手方向の他端側に形成されている。支持部120は、長手方向の略中央部から他端側に向けて肉厚が順次厚くなるように形成されている。嵌合部122は、厚肉となる支持部120の他端側において周方向に渡ってへこむ溝として形成されている。この溝の底部における外径は、孔部11aの内径にほぼ等しく形成されており、また溝の幅は、孔部11aの穿設された空調ケース11の側壁の板厚にほぼ等しく形成されている。
【0037】
孔部11aには、嵌合部122が嵌合されるようになっており、嵌合部122の弾性によって、孔部11aの周りの部位は、板厚方向に挟み込まれ、また径方向に押圧されるようになっている。よって、孔部11aと嵌合部122との間は密着された状態となっており、液密にシールされている。
【0038】
蛇腹部123は、支持部120の筒状の壁部が波状に形成された部位であり、溝部121と嵌合部122との間に設けられている。蛇腹部123によって、支持部120の長手方向の収縮、あるいは他の方向におけるたわみ等が容易に実現できるようになっている。
【0039】
次に、温度センサ100の組立て、および空調装置10(ケース11、蒸発気12)への組付け方法について簡単に説明する。
【0040】
1.温度センサの組立て
まず、センサ本体部110と支持部120とを準備する。そして、センサ本体部110の先端側を支持部120の嵌合部122側から挿入し、センサ本体部110を筒状内部に通していく。このとき、例えば図4に示す押込み用治具200を使用すると良い。押込み用治具200は、円筒状部材の周面において、長手方向に連続するスリット210が設けられた治具である。押込み用治具200の長手方向寸法は、支持部120の長手方向寸法よりも長くなるように設定されている。
【0041】
そして、押込み用治具200の一端側でセンサ本体部110を支持部120の溝部121側に向けて押込んでいく。このとき、リードワイヤ113は、押込み用治具200の内部に入るようにすると共に、コネクタ114側においては、スリット210を介してリードワイヤ113が押込み用冶具200の外部に取り出されるようにする。
【0042】
支持部120は、弾性材料から形成されていることから、鍔部112が支持部120の内径を拡大させながら、センサ本体部110は筒状内部を通過していくことになる。そして、棒状部111が完全に支持部120から突出した状態で、鍔部112を溝部121にはめる。これにより、図2に示すように、温度センサ100が形成される。
【0043】
2.温度センサの組付け
図3に示すように、センサ本体部110の先端側を、空調ケース11の孔部11aから内部の蒸発器12のフィン12aに向けて挿入していく。このとき、上記と同様に押込み用治具200を使用する。
【0044】
つまり、押込み用治具200を支持部120の筒状内部に挿入する。このとき、リードワイヤ113は、大半の部位が押込み用治具200の内部に入るようにすると共に、コネクタ114側においては、スリット210を介してリードワイヤ113が押込み用冶具200の外部に取り出されるようにする。
【0045】
そして、押込み用治具200を用いて、温度センサ100を空調ケース11内に挿入していき、棒状部111をフィン11aの隣り合う波形状部の間に挿入すると共に、嵌合部122を孔部11aに嵌合させる。そして、押込み用治具200を温度センサ100から取り外す。
【0046】
次に、上記構成に基づく温度センサ100の作動および作用効果について説明する。
【0047】
センサ本体部110は、蒸発器12のフィン12aにおける表面温度を内部のサーミスタによって検出し、その検出した温度信号を、リードワイヤ113、コネクタ114を通して図示しない空調制御装置に出力する。空調制御装置は、予め定められた判定温度を記憶しており、検出されたフィン12aの温度が判定温度を下回ると、フィン12aの表面に着霜が発生したと判断して、除霜運転を実施する。除霜運転は、冷凍サイクルにおける圧縮機から吐出される高温高圧冷媒を直接的に蒸発器12に供給して、高温の冷媒によって霜を溶かすものである。
【0048】
このように蒸発器12の表面温度を検出する温度センサにおいて、本実施形態の温度センサ100は、センサ本体部110と支持部120とから形成されるようにしている。そして、センサ本体部110側から空調ケース11の孔部11aに挿入することで、温度センサ100を空調ケース11、および蒸発器12に対して組付け可能としている。逆に、嵌合部122を孔部11aから外して、温度センサ100を空調ケース11内から引き出すことで、温度センサ100を取り外すことができる。よって、初期段階で空調ケース11に温度センサ100を組付けた後も、空調ケース11を分解することなく、温度センサ100の着脱が可能となる。
【0049】
ここで、車両の走行に伴って、空調ケース11および蒸発器12が外部からの振動を受けて、空調ケース11および蒸発器12の間で相対動きを伴うような場合でも、温度センサ100の支持部120は、弾性材料から形成されるようにしているので、蒸発器12側となるセンサ本体部110と、空調ケース11側となる支持部120との間の相対動きを支持部120によって吸収することができる。よって、空調ケース11と蒸発器12との間で相対動きのある振動を受ける場合でも、温度センサ100が早期に破損してしまうことを防止することができる。
【0050】
また、センサ本体部110は、空調ケース11の孔部11aに嵌合固定される支持部120の弾性によって、蒸発器12側に押圧される状態を維持できるので、背景技術の項で説明した特許文献1のような支持棒部を余分に設けることなく、センサ本体部110が蒸発器12のフィン12aから外れてしまうことを防止することができる。
【0051】
また、リードワイヤ113は、温度センサ100の状態で、支持部120の筒状内部を通り、嵌合部122側の外部へ取り回しされるようにしている。よって、リードワイヤ113を空調ケース11の内側から外側に取り回しする際に、空調ケース11にリードワイヤ113専用の挿通孔を設ける必要がなく、更にはこの挿通孔へのリードワイヤ113の位置決めや取り回しの工数が不用となり、組付け工数を低減できる。
【0052】
また、支持部120の長手方向中間部に、蛇腹部123を設けるようにしている。よって、支持部120は蛇腹部123によって、筒状の長手方向に対して伸縮しやすくなるので、振動を受けたときの空調ケース11と蒸発器12との間の相対動きを吸収する効果を高めることができる。
【0053】
また、蒸発器12によって空調用空気が冷却される際には、空調用空気の温度が空調用空気中に含まれる水蒸気の露点温度を下回ると、凝縮水となり、この凝縮水が蒸発器12の表面や空調ケース11内に溜まる。ここで、本実施形態では、鍔部112と溝部121との間は、支持部120の弾性により液密にシールされるようにしている。よって、空調用空気から凝縮水が発生される場合でも、鍔部112と溝部121との間の液密シールによって、凝縮水が鍔部112と溝部121との間を通って、更に支持部120の筒状内部を通って空調ケース11の外部に漏れることを防止できる。
【0054】
また、同様に嵌合部122と孔部11aとの間も、支持部120の弾性により液密にシールされるようにしている。よって、凝縮水が嵌合部122と孔部11aとの間を通って、空調ケース11の外部に漏れることを防止できる。
【0055】
(第2実施形態)
第2実施形態の温度センサ100Aを図5に示す。第2実施形態の温度センサ100Aは、上記第1実施形態の温度センサ100に対して、鍔部112に引掛け部112aを追加したものである。
【0056】
引掛け部112aは、鍔部112の支持部120の筒状内部に向かう面に形成されている。引掛け部112aは、鍔部112の一部が切起しされ、更に切起された先端側がフック状に曲げられて形成されている。
【0057】
本実施形態においては、温度センサ110Aを空調ケース11から取り外す際に、例えば棒状の先端部に、引掛け部112aと同様のフック状部を設けた所定の工具を用いて、フック状部を引掛け部112aに引掛けて、空調ケース11の外側に引張ることで、センサ本体部110のみを取り外すことができる。
【0058】
(第3実施形態)
第3実施形態の温度センサ100Bを図6に示す。第3実施形態の温度センサ100Bは、上記第1実施形態の温度センサ100に対して、棒状部111とコネクタ114とを接続部115を介して一体的に形成したものである。
【0059】
本実施形態の温度センサ100Bにおいては、棒状部111内に充填される樹脂材、コネクタ114を形成する樹脂材、および接続部115を形成する樹脂材は、すべて同一の樹脂材から形成されており、棒状部111、コネクタ114、および接続部115は一体的に形成されている。リードワイヤ113は、接続部115内に埋め込まれた形となっている。そして、コネクタ114および接続部115は、支持部120とは接触しないように形成されている。
【0060】
本実施形態においては、温度センサ100Bを空調ケース11および蒸発器12に組付ける際に、接続部115を上記第1実施形態で説明した押込み用冶具200のように活用して、温度センサ100Bを空調ケース11および蒸発器12に組付けることが可能となる。また、第1実施形態では、温度センサ100の状態では、リードワイヤ113によってコネクタ114の位置は定まらないものであったが、本実施形態の温度センサ100Bでは、樹脂製の接続部115によってコネクタ114の位置を所定の位置に維持できる。よって、温度センサ100Bを空調ケース11および蒸発器12に組付けた際に、温度センサ100Bの軸線を中心とする回転方向の位置を調節するのみで、コネクタ114の位置決めを容易に行うことができる。
【0061】
(その他の実施形態)
上記各実施形態では、温度センサ100、100A、100Bの組立てにおいて、支持部120にセンサ本体部110を固定して温度センサ100、100A、100Bを形成した。更に、空調ケース11への組付けにおいて、形成された温度センサ100、100A、100Bを孔部11aから挿入して、嵌合部122を孔部11aに勘合させるようにした。
【0062】
これに限らず、支持部120を、溝部121側から孔部11aに挿入して、嵌合部122を孔部11aに勘合させた後に、押込み治具200を用いてセンサ本体部110を支持部120の嵌合部122側から押込むようにして、鍔部112を溝部121に固定するようにしても良い。
【0063】
また、上記各実施形態では、リードワイヤ113は支持部120の筒状内部を通るように配置したが、これに限定されるものではなく、棒状部111から支持部120の外側を取り回しされたものとしても良い。この場合は、空調ケース11にリードワイヤ113用の挿通孔等を設け、リードワイヤ113を、挿通孔を介して空調ケース11内から外部に取り出し、挿通孔とリードワイヤ113との間をシールすれば良い。
【0064】
また、振動を受けたときの空調ケース11と蒸発器12との間の相対動きが小さい場合で、支持部120本来の筒状の形状のままで、相対動きを吸収できる場合であれば、支持部120における蛇腹部123を廃止しても良い。
【0065】
また、上記各実施形態では、温度センサ100、100A、100Bとして、空調装置10用の蒸発器12の表面温度を検出するものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、空調装置10用の暖房用熱交換器(ヒータコア)の温度を検知するもの、あるいは、冷凍機における熱交換器の表面温度を検知するもの等、ケース内に収容される各種熱交換器の温度検出用に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0066】
11 空調ケース(ケース)
11a 孔部
12 蒸発器(熱交換器、冷却用の熱交換器)
100、100A、100B 温度センサ
110 センサ本体部
111 棒状部
112 鍔部
112a 引掛け部
113 リードワイヤ
120 支持部
121 溝部(固定部)
122 嵌合部
123 蛇腹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース(11)内に収容される熱交換器(12)の表面温度を検出する温度センサにおいて、
前記表面温度を検出する棒状の棒状部(111)、および前記棒状部(111)の長手方向の一端側に設けられて前記長手方向と交差する方向に突出する鍔部(112)を有するセンサ本体部(110)と、
弾性材料から筒状に形成されており、前記筒状の長手方向の一端側に設けられて前記棒状部(111)の前記鍔部(112)の少なくとも外周部を覆うように該外周部に固定される固定部(121)、および前記筒状の長手方向の他端側に設けられて前記ケース(11)に設けられた孔部(11a)への嵌合を可能とする嵌合部(122)を有する支持部(120)と、を備えることを特徴とする温度センサ。
【請求項2】
前記棒状部(111)の前記鍔部(112)側には、前記棒状部(111)で検出した温度信号を出力するリードワイヤ(113)が接続されており、
前記リードワイヤ(113)は、前記支持部(120)の筒状内部を通り、前記嵌合部(122)側の外部へ取り回しされていることを特徴とする請求項1に記載の温度センサ。
【請求項3】
前記支持部(120)の長手方向中間部には、該支持部(120)を該長手方向へ変形可能とする蛇腹状に形成された蛇腹部(123)が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の温度センサ。
【請求項4】
前記熱交換器(12)は、前記ケース(11)内の空気を冷却する冷却用の熱交換器(12)であり、
前記鍔部(112)と前記固定部(121)との間は、液密にシールされていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の温度センサ。
【請求項5】
前記熱交換器(12)は、前記ケース(11)内の空気を冷却する冷却用の熱交換器(12)であり、
前記嵌合部(122)と前記孔部(11a)との間は、液密にシールされていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の温度センサ。
【請求項6】
前記鍔部(112)の前記支持部(120)の筒状内部に向かう面には、フック状の引掛け部(112a)が形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の温度センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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