温度分布計測方法
【課題】燃焼領域に挿入された素線が赤熱により放射する輻射光の強度に着目して温度分布計測を行う。
【解決手段】
多数の素線からなる素線アレイ(耐熱細線アレイ)の赤熱画像を撮影し、撮影した赤熱画像に基づき素線アレイの各部分毎に輝度−温度変換を行って温度分布を得る。この場合、校正用層流火炎を用い、その校正用層流火炎の高さ断面の温度分布を計測し、校正用層流火炎をトラバースしながら各位置での赤熱画像を撮影し、それら撮影した赤熱画像と前記温度分布とから素線アレイの各部分毎の輝度−温度の変換データを作成し、この作成した輝度−温度の変換データを用いて前記輝度−温度変換を行う。
【解決手段】
多数の素線からなる素線アレイ(耐熱細線アレイ)の赤熱画像を撮影し、撮影した赤熱画像に基づき素線アレイの各部分毎に輝度−温度変換を行って温度分布を得る。この場合、校正用層流火炎を用い、その校正用層流火炎の高さ断面の温度分布を計測し、校正用層流火炎をトラバースしながら各位置での赤熱画像を撮影し、それら撮影した赤熱画像と前記温度分布とから素線アレイの各部分毎の輝度−温度の変換データを作成し、この作成した輝度−温度の変換データを用いて前記輝度−温度変換を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度分布計測方法に関し、たとえば火炎の温度分布を計測する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
火炎温度は、各燃焼素反応の反応速度定数および平衡状態を決定する基礎的かつ重要なパラメータであり、その高分解能かつ高精度な計測手法の開発が必要とされている。また、たとえば、サーマルNOxが1500℃以上の温度領域で生成されるなど、火炎温度分布計測は、燃焼有害性生物の低減にも有用である。
【0003】
ここで、火炎の温度計測法は、熱電対や抵抗線で温度を計測する接触法と、レーザーや赤外線放射を利用して計測する非接触法(たとえば非特許文献1参照)の2つに大別される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Laurendeau, N. M., Temperature Measurements by Light-scattering Methods,Progress in Energy and Combustion Science, Vol. 14, (1988), pp. 147-170.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
接触法は基本的に安価であり、温度校正手法が確立されているという利点があるが、センサーの挿入により流れ場に擾乱を与えるという欠点がある。一方、非接触法である赤外線計測では、ガス温度計測の場合、視線方向に積分された計測温度が与えられるため、局所温度の計測が困難である。また、レーザー計測法の中には高精度、高応答性、高分解度を有し、三次元計測が可能な手法も存在するが、光路上の不純物に精度が依存するなどの点から不均質、乱流燃焼場への適用は限られており、また装置が高価かつ大掛かりになる点も応用を制限している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、燃焼領域に挿入された素線が赤熱により放射する輻射光の強度に着目し温度計測を利用する。
【0007】
具体的には、請求項1に記載の発明では、多数の素線からなる素線アレイの赤熱画像を撮影し、前記撮影した赤熱画像に基づき素線アレイの各部分毎に輝度−温度変換を行って温度分布を得る温度分布計測方法を特徴とする。
【0008】
この場合、請求項2に記載の発明のように、温度分布が既知の校正用層流火炎を用い、前記素線アレイの各部分毎の輝度−温度の変換データを作成し、この作成した輝度−温度の変換データを用いて前記輝度−温度変換を行うようにすることができ、さらに、請求項3に記載の発明のように、前記校正用層流火炎の高さ断面の温度分布を計測し、前記校正用層流火炎をトラバースしながら各位置での赤熱画像を撮影し、それら撮影した赤熱画像と前記温度分布とから前記素線アレイの各部分毎の輝度−温度の変換データを作成するようにすることができる。
【0009】
なお、上記した温度分布計測としては、請求項4、5に記載の発明のように、二次元あるいは三次元で温度分布計測を行うことができ、さらにそれぞれについて請求項6に記載の発明のように、瞬間温度分布計測とする他、時系列温度分布計測とすることができる。時系列温度分布計測の場合には、測定系を一次遅れ系として扱い、適切な時定数を用いことにより、応答性を改善することができる。
【0010】
また、前記素線としては、請求項7に記載の発明のように、超耐熱性炭化けい素連続繊維を用いるのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る温度計測方法を説明するための概念図である。
【図2】ハイニカロン繊維、白金線およびタングステン線の温度分布を示す図である。
【図3】本実施形態で用いる計測装置の構成を示す図である。
【図4】図3に示す計測装置における要部の具体的な構成を示す図である。
【図5】瞬間二次元温度分布計測の手順を示す図である。
【図6】熱電対による校正用火炎の温度計測を行う状態を示す図である。
【図7】校正用火炎による耐熱細線アレイの赤熱画像の撮影を行う状態を示す図である。
【図8】計測対象乱流火炎による耐熱細線アレイの赤熱画像の撮影を行う状態を示す図である。
【図9】耐熱細線アレイの全領域における局所校正データの一例を示す図である。
【図10】時系列二次元温度分布の手順を示す図である。
【図11】瞬間三次元温度分布計測の手順を示す図である。
【図12】時系列三次元温度分布計測の手順を示す図である。
【図13】乱流火炎のバーナー端から14 mmの高さ断面における結果を示す図である。
【図14】図13の赤熱画像撮影の約1秒後に、連続撮影された赤熱画像による結果を示す図である。
【図15】図13右図のX軸上の温度分布を示す図である。
【図16】図13右図のY軸上の温度分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態に係る温度計測方法は、多数の耐熱極細素線を燃焼領域に挿入し、それらの赤熱輻射光強度画像を高速度カメラで撮影し、輝度−温度校正処理を経て温度分布を獲得するものである。
【0013】
乱流火炎などの高温ガス領域に挿入され赤熱した極細の素線は、低い攪乱性および高い温度追従性を有し、さらに赤熱放射光強度が素線温度と単調増加の関係性を持つ。これらの特性を利用し、本方法では、乱流火炎領域に多次元的に張り巡らした耐熱極細素線の輝度動画から時系列多次元温度分布を計測する。
【0014】
素線の配置形態としては、二次元断面温度計測の場合には、図1に概念図を示すように、多数の素線を1mm程度の間隔の簾状に平面配置する(素線平面アレイ)。一方、三次元温度計測の場合には、素線平面アレイを一定間隔で上下方向に重ねる配置をとる。この場合、素線平面アレイの素線間隔が素線径より十分に大きいため、素線平面アレイ越しに下段の素線平面アレイの輝度を同時に撮影することができる。
【0015】
撮影された放射可視光強度は、校正過程を経て温度分布に変換されるが、素線の不均一性や消耗に注意が必要である。すなわち、使用する素線平面アレイ毎に、輝度−温度の変換データが必要とされる。そのため、計測行程の開始時に、温度分布が既知の校正用層流火炎を用い、素線全領域の各部分毎の局所校正データを作成し、目的の乱流火炎の輝度映像撮影後、局所校正データを利用して、素線の各部分毎に輝度−温度変換を行い温度分布を得る。放射光のスペクトル分布やカメラの分光感度等も、校正データの作成時に自動的に考慮される。時系列計測の場合には、測定系を一次遅れ系として扱い、適切な時定数を用いることで、応答性が改善される。
【0016】
なお、本方法では、主に可視光波長領域を撮影するため、800℃以下の領域の温度計測は不可能であるが、一方で、有害燃焼生成物(サーマルNOx)の生成温度である1500 ℃以上の領域に関して高精度計測が可能であり、環境負荷低減対策に有効な温度計測手法となる。
【0017】
(素線の特性)
素線には、耐熱性・耐酸化性に優れる超耐熱性炭化けい素連続繊維(ハイニカロン繊維、ハイニカロンは登録商標)を用いる。その理由は以下の通りである。
【0018】
ハイニカロン繊維(素線直径14μm。炭化ケイ素系セラミックス,Si:62.4wt%,C:37.1wt%,O:0.5wt%,800Kにおける密度ρS=2.74×103 kg/m3、比熱CPS=1.17 kJ/(kg・K),熱伝導率λS=10.1 W/(m・K))を)を素線材質として採用し、素線方向の計測空間分解能について、同じ線径の白金線およびタングステン線と比較した。比較流れ条件として、線径dS=15μmの素線に対して、素線方向(x方向)に0 ℃と1000 ℃のステップ状温度分布を有する流速Ug = 2.5 m/sの気流(熱伝導率kg=0.057 W/(m・K)、動粘性係数νg= 8.56×10-5 m2/s)が垂直に流入する条件を設定し、数式1に基づき温度分布TS(x)を算出した(図2)。
【0019】
【数1】
【0020】
ここで、100 ℃から900 ℃までの温度変化幅を10 %−90 %分解能rとして定義する。図から、白金およびタングステンの場合のr =1.1mmおよびr=1.4mmと比較し、ハイニカロンの空間分解能rが0.4mmであり、最も優れた空間分解能であることが判る。ところで、ハイニカロンは黒色であり輻射光計測には適しているが、より良好な空間分解能を示す石英繊維は透明であり、本計測には不向きである。なお、使用したハイニカロン繊維の時間応答特性は応答性補償しない場合、約40Hz程度である。
【0021】
(計測装置)
図3に本計測装置の構成を示す。本計測装置は、ハイニカロン素線アレイ、撮影手段としてのデジタルカメラ、温度検出素子としての熱電対およびXY移動装置から構成され、いずれも架台に固定されている。
(a)XY移動装置
XY移動装置には、校正用層流火炎のための層流火炎パイプバーナー(出口内径8mm、長さ500mm、先端の架台基準高さζ=−8mm)と計測対象である乱流火炎のための乱流火炎用パイプバーナー(出口内径14mm、長さ750mm、ζ=−14mm)が鉛直上向きに搭載され、架台に固定された熱電対あるいはハイニカロン素線アレイに対する位置関係が制御手段をなすPC(パーソナルコンピュータ)により制御される。
(b)2種のバーナー火炎
層流火炎用パイプバーナーと乱流火炎用パイプバーナーには、当量比1のプロパン空気予混合気が、それぞれ、出口平均流速1.0m/s(レイノルズ数513)および2.5m/s(同2244)で供給される。低輝度な青炎が得られるため、赤熱映像への影響は無視できる。(c)ハイニカロン素線アレイ
穴あきアルミ板で製作された枠に、長さ80mm、素線径14mのハイニカロン繊維31本が、1mm間隔で平行に平面状に配置される。ハイニカロン素線の熱線膨張によるたわみを解消するため、素線にはゴム板により張力が掛けられている。このユニットは、ハイニカロン素線が架台基準高さζ=0mmとなるように架台に固定される。素線アレイの鉛直方向位置は、層流火炎の場合にはバーナー端から高さ8mm、乱流火炎では14mmとなる。
(d)撮影装置
デジタルカメラ(例えば、ニコンD80、CCD、X接点シャッタースピード1/200秒、ニッコールレンズ18-70mm、F3.5-4.5装着)は、シャッタースピード1/1600秒、ISO感度800、焦点距離70mmに設定され、レンズ絞りは深い被写界深度を得るためF29に設定される。デジタルカメラはハイニカロン素線アレイの赤熱映像を正面から伏角45゜で捕らえるように架台に固定される。この伏角45゜撮影を補正するため、PCでは、撮影された映像を縦に1.414倍伸張する処理を行う。
(e)熱電対
素線直径50mのPt/Rh13%熱電対は、高さζ=0 mmとなるよう架台に固定され、バーナー側のトラバースにより層流火炎の水平断面温度分布(バーナー端からの高さ8 mm)が自動計測される。熱起電力はKaskanの方法により輻射補正される。
【0022】
(計測方法)
本計測装置での計測手順を下記に示す。本方法では、燃焼ガス中のハイニカロン素線の計測可能時間(25分程度)の制約から、校正用層流火炎の温度分布計測から校正用層流火炎によるハイニカロン素線アレイの赤熱画像獲得までの手順(下記(1)および(2))をPCによる自動制御・計測により迅速に行う。
【0023】
図4に、計測装置における要部の具体的な構成を示す。また、図5に、瞬間二次元温度分布計測の手順を示す。
【0024】
ステップ(1):図6に示すように、層流火炎用バーナーを熱電対領域に移動し、層流火炎用バーナーを二次元的にトラバースし、校正用層流火炎の断面温度分布を熱電対により計測する。
【0025】
ステップ(2):図7に示すように、層流火炎用バーナーをハイニカロン素線アレイ領域(図5では耐熱細線アレイ(平面配置)領域と記載)に移動し、層流火炎用バーナーを二次元的にトラバースしながら、各位置(たとえば80)での赤熱画像を静止画カメラにより撮影する。
【0026】
ステップ(3):図8に示すように、乱流火炎用バーナーを耐熱細線アレイ(平面配置)領域に移動し、乱流火炎による赤熱画像を任意枚数撮影する。
【0027】
ステップ(4):上記(1)および(2)のデータにより、耐熱細線アレイ(平面配置)の全領域における局所校正データを作成する。図9にその一例を示す。この図9は、(X,Y)=(-7.5mm,0mm)位置における輝度−温度特性を示している。この輝度−温度特性は、ステップ(3)で撮影された任意枚数の赤熱画像とステップ(1)で計測された温度分布とを用い、耐熱細線アレイのそれぞれの位置において、その位置における撮影画像上での輝度と、その位置と層流火炎用バーナーとの位置関係により上記温度分布から得られる温度とから、作成される。その作成される数は、たとえば1万程度である。
【0028】
ステップ(5):ステップ(3)で撮影された赤熱映像に、ステップ(4)で作成された耐熱細線アレイ(平面配置)の各部分の局所校正データによる校正を行い、瞬間二次元温度分布を得る。すなわち、ステップ(3)で撮影された赤熱映像の各部分の輝度を、その部分における輝度−温度特性(輝度−温度の変換データ)を用いて輝度−温度変換を行うことにより、瞬間二次元温度分布を得る。
【0029】
なお、本計測は、瞬間二次元温度分布でなく時系列二次元温度分布を計測するものとすることができる。図10に、その場合の計測手順を示す。この時系列二次元温度分布の計測では、図10に示すように、ステップ(2)で層流火炎用バーナーを二次元的にトラバースしながら、各位置での耐熱細線アレイ(平面配置)の赤熱画像を高速度カメラにより動画撮影する。ステップ(3)では、乱流火炎による耐熱細線アレイ(平面配置)の赤熱映像を高速度カメラにより動画撮影する。ステップ(4)では、ステップ(1)で得られた温度分布とステップ(2)で得られた赤熱画像の時間平均データとから耐熱細線アレイ(平面配置)の全領域における局所校正データを作成する。ステップ(5)では、ステップ(3)で撮影された赤熱映像に、ステップ(4)で作成された耐熱細線アレイ(平面配置)の各部分の局所校正データによる校正を行い、さらに、細線の温度追従性の時定数により応答性補償を行って瞬間二次元温度分布を得る。その場合の時定数は、流速の変化、燃焼ガスの成分など伝熱特性に応じて適宜設定される。この手法は,瞬間二次元温度分布の精度を高めることにも役立つ。
【0030】
また、本計測は、二次元温度分布でなく、三次元温度分布を計測するものとすることができる。この場合、耐熱細線アレイを一定間隔で上下方向に重ねた配置とする。図11に瞬間三次元温度分布計測の手順を示し、図12に時系列三次元温度分布計測の手順を示す。三次元温度分布計測の場合、二次元温度分布計測と異なり以下のようにして計測を行う。すなわち、ステップ(1)では、校正用層流火炎の三次元温度分布を熱電対により計測する。ステップ(2)では、層流火炎用バーナーをトラバースしながら、各位置での耐熱細線アレイの赤熱画像を撮影する。この場合、異なった高さの耐熱細線アレイの赤熱画像は、耐熱細線アレイの隙間に撮影される。ステップ(3)では、乱流火炎用バーナーを耐熱細線アレイ(立体配置)領域に移動し、乱流火炎による赤熱映像を撮影する。ステップ(4)で
は、耐熱細線アレイ(立体配置)の全領域における局所校正データを作成する。ステップ(5)では、撮影された耐熱細線アレイ(立体配置)の赤熱映像に、ステップ(4)で作成された耐熱細線アレイ(立体配置)の各部分の局所校正データによる校正を行う。
【0031】
(実験結果および考察)
図13に、乱流火炎のバーナー端から14 mmの高さ断面における結果を示す。図13左図は、ハイニカロン素線アレイの赤熱画像であり、伏角45゜撮影を補正するため、縦に1.414倍に伸張させた。この図13左図から、燃焼ガスが通過するリング状の部分がほぼ一定の輝度で赤熱していること、リング状部分の外部境界がほぼ滑らかな円形であること、内部境界が不規則な凹凸形状であることが判る。つぎに、図13右図は、前述の手順に従い、図13左図の赤熱画像から導出された瞬間二次元温度分布である。はじめに、赤熱画像における高輝度領域が1400〜1600℃の高温領域に対応していることが確認される。高温領域は燃焼ガスの通過領域であるが、外周部は比較的なだらかな温度勾配をもつが、反対に、火炎面に相当する内部境界は、きわめて急峻な温度勾配を示している。
【0032】
図14に、図13の赤熱画像撮影の約1秒後に、連続撮影された赤熱画像による結果を示す。時間経過に伴う内部境界(火炎面)形状の変化が認められ、乱流火炎のランダム形状変化の特徴がよく捉えられていると言える。
【0033】
また、図13の二次元温度分布の詳細を検討するため、図15および図16に、図13右図のX軸上およびY軸上の温度分布を示す。外側境界のなだらかな温度変化、内部境界の急峻な温度勾配、1400〜1600℃の高温など、二次元温度分布で得られた知見の他に、高温領域に於いて外部に向かうほど徐々に温度が上昇しており、高温領域の最外部でサーマルNOxの発生が促進される状況が示唆される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度分布計測方法に関し、たとえば火炎の温度分布を計測する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
火炎温度は、各燃焼素反応の反応速度定数および平衡状態を決定する基礎的かつ重要なパラメータであり、その高分解能かつ高精度な計測手法の開発が必要とされている。また、たとえば、サーマルNOxが1500℃以上の温度領域で生成されるなど、火炎温度分布計測は、燃焼有害性生物の低減にも有用である。
【0003】
ここで、火炎の温度計測法は、熱電対や抵抗線で温度を計測する接触法と、レーザーや赤外線放射を利用して計測する非接触法(たとえば非特許文献1参照)の2つに大別される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Laurendeau, N. M., Temperature Measurements by Light-scattering Methods,Progress in Energy and Combustion Science, Vol. 14, (1988), pp. 147-170.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
接触法は基本的に安価であり、温度校正手法が確立されているという利点があるが、センサーの挿入により流れ場に擾乱を与えるという欠点がある。一方、非接触法である赤外線計測では、ガス温度計測の場合、視線方向に積分された計測温度が与えられるため、局所温度の計測が困難である。また、レーザー計測法の中には高精度、高応答性、高分解度を有し、三次元計測が可能な手法も存在するが、光路上の不純物に精度が依存するなどの点から不均質、乱流燃焼場への適用は限られており、また装置が高価かつ大掛かりになる点も応用を制限している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、燃焼領域に挿入された素線が赤熱により放射する輻射光の強度に着目し温度計測を利用する。
【0007】
具体的には、請求項1に記載の発明では、多数の素線からなる素線アレイの赤熱画像を撮影し、前記撮影した赤熱画像に基づき素線アレイの各部分毎に輝度−温度変換を行って温度分布を得る温度分布計測方法を特徴とする。
【0008】
この場合、請求項2に記載の発明のように、温度分布が既知の校正用層流火炎を用い、前記素線アレイの各部分毎の輝度−温度の変換データを作成し、この作成した輝度−温度の変換データを用いて前記輝度−温度変換を行うようにすることができ、さらに、請求項3に記載の発明のように、前記校正用層流火炎の高さ断面の温度分布を計測し、前記校正用層流火炎をトラバースしながら各位置での赤熱画像を撮影し、それら撮影した赤熱画像と前記温度分布とから前記素線アレイの各部分毎の輝度−温度の変換データを作成するようにすることができる。
【0009】
なお、上記した温度分布計測としては、請求項4、5に記載の発明のように、二次元あるいは三次元で温度分布計測を行うことができ、さらにそれぞれについて請求項6に記載の発明のように、瞬間温度分布計測とする他、時系列温度分布計測とすることができる。時系列温度分布計測の場合には、測定系を一次遅れ系として扱い、適切な時定数を用いことにより、応答性を改善することができる。
【0010】
また、前記素線としては、請求項7に記載の発明のように、超耐熱性炭化けい素連続繊維を用いるのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る温度計測方法を説明するための概念図である。
【図2】ハイニカロン繊維、白金線およびタングステン線の温度分布を示す図である。
【図3】本実施形態で用いる計測装置の構成を示す図である。
【図4】図3に示す計測装置における要部の具体的な構成を示す図である。
【図5】瞬間二次元温度分布計測の手順を示す図である。
【図6】熱電対による校正用火炎の温度計測を行う状態を示す図である。
【図7】校正用火炎による耐熱細線アレイの赤熱画像の撮影を行う状態を示す図である。
【図8】計測対象乱流火炎による耐熱細線アレイの赤熱画像の撮影を行う状態を示す図である。
【図9】耐熱細線アレイの全領域における局所校正データの一例を示す図である。
【図10】時系列二次元温度分布の手順を示す図である。
【図11】瞬間三次元温度分布計測の手順を示す図である。
【図12】時系列三次元温度分布計測の手順を示す図である。
【図13】乱流火炎のバーナー端から14 mmの高さ断面における結果を示す図である。
【図14】図13の赤熱画像撮影の約1秒後に、連続撮影された赤熱画像による結果を示す図である。
【図15】図13右図のX軸上の温度分布を示す図である。
【図16】図13右図のY軸上の温度分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態に係る温度計測方法は、多数の耐熱極細素線を燃焼領域に挿入し、それらの赤熱輻射光強度画像を高速度カメラで撮影し、輝度−温度校正処理を経て温度分布を獲得するものである。
【0013】
乱流火炎などの高温ガス領域に挿入され赤熱した極細の素線は、低い攪乱性および高い温度追従性を有し、さらに赤熱放射光強度が素線温度と単調増加の関係性を持つ。これらの特性を利用し、本方法では、乱流火炎領域に多次元的に張り巡らした耐熱極細素線の輝度動画から時系列多次元温度分布を計測する。
【0014】
素線の配置形態としては、二次元断面温度計測の場合には、図1に概念図を示すように、多数の素線を1mm程度の間隔の簾状に平面配置する(素線平面アレイ)。一方、三次元温度計測の場合には、素線平面アレイを一定間隔で上下方向に重ねる配置をとる。この場合、素線平面アレイの素線間隔が素線径より十分に大きいため、素線平面アレイ越しに下段の素線平面アレイの輝度を同時に撮影することができる。
【0015】
撮影された放射可視光強度は、校正過程を経て温度分布に変換されるが、素線の不均一性や消耗に注意が必要である。すなわち、使用する素線平面アレイ毎に、輝度−温度の変換データが必要とされる。そのため、計測行程の開始時に、温度分布が既知の校正用層流火炎を用い、素線全領域の各部分毎の局所校正データを作成し、目的の乱流火炎の輝度映像撮影後、局所校正データを利用して、素線の各部分毎に輝度−温度変換を行い温度分布を得る。放射光のスペクトル分布やカメラの分光感度等も、校正データの作成時に自動的に考慮される。時系列計測の場合には、測定系を一次遅れ系として扱い、適切な時定数を用いることで、応答性が改善される。
【0016】
なお、本方法では、主に可視光波長領域を撮影するため、800℃以下の領域の温度計測は不可能であるが、一方で、有害燃焼生成物(サーマルNOx)の生成温度である1500 ℃以上の領域に関して高精度計測が可能であり、環境負荷低減対策に有効な温度計測手法となる。
【0017】
(素線の特性)
素線には、耐熱性・耐酸化性に優れる超耐熱性炭化けい素連続繊維(ハイニカロン繊維、ハイニカロンは登録商標)を用いる。その理由は以下の通りである。
【0018】
ハイニカロン繊維(素線直径14μm。炭化ケイ素系セラミックス,Si:62.4wt%,C:37.1wt%,O:0.5wt%,800Kにおける密度ρS=2.74×103 kg/m3、比熱CPS=1.17 kJ/(kg・K),熱伝導率λS=10.1 W/(m・K))を)を素線材質として採用し、素線方向の計測空間分解能について、同じ線径の白金線およびタングステン線と比較した。比較流れ条件として、線径dS=15μmの素線に対して、素線方向(x方向)に0 ℃と1000 ℃のステップ状温度分布を有する流速Ug = 2.5 m/sの気流(熱伝導率kg=0.057 W/(m・K)、動粘性係数νg= 8.56×10-5 m2/s)が垂直に流入する条件を設定し、数式1に基づき温度分布TS(x)を算出した(図2)。
【0019】
【数1】
【0020】
ここで、100 ℃から900 ℃までの温度変化幅を10 %−90 %分解能rとして定義する。図から、白金およびタングステンの場合のr =1.1mmおよびr=1.4mmと比較し、ハイニカロンの空間分解能rが0.4mmであり、最も優れた空間分解能であることが判る。ところで、ハイニカロンは黒色であり輻射光計測には適しているが、より良好な空間分解能を示す石英繊維は透明であり、本計測には不向きである。なお、使用したハイニカロン繊維の時間応答特性は応答性補償しない場合、約40Hz程度である。
【0021】
(計測装置)
図3に本計測装置の構成を示す。本計測装置は、ハイニカロン素線アレイ、撮影手段としてのデジタルカメラ、温度検出素子としての熱電対およびXY移動装置から構成され、いずれも架台に固定されている。
(a)XY移動装置
XY移動装置には、校正用層流火炎のための層流火炎パイプバーナー(出口内径8mm、長さ500mm、先端の架台基準高さζ=−8mm)と計測対象である乱流火炎のための乱流火炎用パイプバーナー(出口内径14mm、長さ750mm、ζ=−14mm)が鉛直上向きに搭載され、架台に固定された熱電対あるいはハイニカロン素線アレイに対する位置関係が制御手段をなすPC(パーソナルコンピュータ)により制御される。
(b)2種のバーナー火炎
層流火炎用パイプバーナーと乱流火炎用パイプバーナーには、当量比1のプロパン空気予混合気が、それぞれ、出口平均流速1.0m/s(レイノルズ数513)および2.5m/s(同2244)で供給される。低輝度な青炎が得られるため、赤熱映像への影響は無視できる。(c)ハイニカロン素線アレイ
穴あきアルミ板で製作された枠に、長さ80mm、素線径14mのハイニカロン繊維31本が、1mm間隔で平行に平面状に配置される。ハイニカロン素線の熱線膨張によるたわみを解消するため、素線にはゴム板により張力が掛けられている。このユニットは、ハイニカロン素線が架台基準高さζ=0mmとなるように架台に固定される。素線アレイの鉛直方向位置は、層流火炎の場合にはバーナー端から高さ8mm、乱流火炎では14mmとなる。
(d)撮影装置
デジタルカメラ(例えば、ニコンD80、CCD、X接点シャッタースピード1/200秒、ニッコールレンズ18-70mm、F3.5-4.5装着)は、シャッタースピード1/1600秒、ISO感度800、焦点距離70mmに設定され、レンズ絞りは深い被写界深度を得るためF29に設定される。デジタルカメラはハイニカロン素線アレイの赤熱映像を正面から伏角45゜で捕らえるように架台に固定される。この伏角45゜撮影を補正するため、PCでは、撮影された映像を縦に1.414倍伸張する処理を行う。
(e)熱電対
素線直径50mのPt/Rh13%熱電対は、高さζ=0 mmとなるよう架台に固定され、バーナー側のトラバースにより層流火炎の水平断面温度分布(バーナー端からの高さ8 mm)が自動計測される。熱起電力はKaskanの方法により輻射補正される。
【0022】
(計測方法)
本計測装置での計測手順を下記に示す。本方法では、燃焼ガス中のハイニカロン素線の計測可能時間(25分程度)の制約から、校正用層流火炎の温度分布計測から校正用層流火炎によるハイニカロン素線アレイの赤熱画像獲得までの手順(下記(1)および(2))をPCによる自動制御・計測により迅速に行う。
【0023】
図4に、計測装置における要部の具体的な構成を示す。また、図5に、瞬間二次元温度分布計測の手順を示す。
【0024】
ステップ(1):図6に示すように、層流火炎用バーナーを熱電対領域に移動し、層流火炎用バーナーを二次元的にトラバースし、校正用層流火炎の断面温度分布を熱電対により計測する。
【0025】
ステップ(2):図7に示すように、層流火炎用バーナーをハイニカロン素線アレイ領域(図5では耐熱細線アレイ(平面配置)領域と記載)に移動し、層流火炎用バーナーを二次元的にトラバースしながら、各位置(たとえば80)での赤熱画像を静止画カメラにより撮影する。
【0026】
ステップ(3):図8に示すように、乱流火炎用バーナーを耐熱細線アレイ(平面配置)領域に移動し、乱流火炎による赤熱画像を任意枚数撮影する。
【0027】
ステップ(4):上記(1)および(2)のデータにより、耐熱細線アレイ(平面配置)の全領域における局所校正データを作成する。図9にその一例を示す。この図9は、(X,Y)=(-7.5mm,0mm)位置における輝度−温度特性を示している。この輝度−温度特性は、ステップ(3)で撮影された任意枚数の赤熱画像とステップ(1)で計測された温度分布とを用い、耐熱細線アレイのそれぞれの位置において、その位置における撮影画像上での輝度と、その位置と層流火炎用バーナーとの位置関係により上記温度分布から得られる温度とから、作成される。その作成される数は、たとえば1万程度である。
【0028】
ステップ(5):ステップ(3)で撮影された赤熱映像に、ステップ(4)で作成された耐熱細線アレイ(平面配置)の各部分の局所校正データによる校正を行い、瞬間二次元温度分布を得る。すなわち、ステップ(3)で撮影された赤熱映像の各部分の輝度を、その部分における輝度−温度特性(輝度−温度の変換データ)を用いて輝度−温度変換を行うことにより、瞬間二次元温度分布を得る。
【0029】
なお、本計測は、瞬間二次元温度分布でなく時系列二次元温度分布を計測するものとすることができる。図10に、その場合の計測手順を示す。この時系列二次元温度分布の計測では、図10に示すように、ステップ(2)で層流火炎用バーナーを二次元的にトラバースしながら、各位置での耐熱細線アレイ(平面配置)の赤熱画像を高速度カメラにより動画撮影する。ステップ(3)では、乱流火炎による耐熱細線アレイ(平面配置)の赤熱映像を高速度カメラにより動画撮影する。ステップ(4)では、ステップ(1)で得られた温度分布とステップ(2)で得られた赤熱画像の時間平均データとから耐熱細線アレイ(平面配置)の全領域における局所校正データを作成する。ステップ(5)では、ステップ(3)で撮影された赤熱映像に、ステップ(4)で作成された耐熱細線アレイ(平面配置)の各部分の局所校正データによる校正を行い、さらに、細線の温度追従性の時定数により応答性補償を行って瞬間二次元温度分布を得る。その場合の時定数は、流速の変化、燃焼ガスの成分など伝熱特性に応じて適宜設定される。この手法は,瞬間二次元温度分布の精度を高めることにも役立つ。
【0030】
また、本計測は、二次元温度分布でなく、三次元温度分布を計測するものとすることができる。この場合、耐熱細線アレイを一定間隔で上下方向に重ねた配置とする。図11に瞬間三次元温度分布計測の手順を示し、図12に時系列三次元温度分布計測の手順を示す。三次元温度分布計測の場合、二次元温度分布計測と異なり以下のようにして計測を行う。すなわち、ステップ(1)では、校正用層流火炎の三次元温度分布を熱電対により計測する。ステップ(2)では、層流火炎用バーナーをトラバースしながら、各位置での耐熱細線アレイの赤熱画像を撮影する。この場合、異なった高さの耐熱細線アレイの赤熱画像は、耐熱細線アレイの隙間に撮影される。ステップ(3)では、乱流火炎用バーナーを耐熱細線アレイ(立体配置)領域に移動し、乱流火炎による赤熱映像を撮影する。ステップ(4)で
は、耐熱細線アレイ(立体配置)の全領域における局所校正データを作成する。ステップ(5)では、撮影された耐熱細線アレイ(立体配置)の赤熱映像に、ステップ(4)で作成された耐熱細線アレイ(立体配置)の各部分の局所校正データによる校正を行う。
【0031】
(実験結果および考察)
図13に、乱流火炎のバーナー端から14 mmの高さ断面における結果を示す。図13左図は、ハイニカロン素線アレイの赤熱画像であり、伏角45゜撮影を補正するため、縦に1.414倍に伸張させた。この図13左図から、燃焼ガスが通過するリング状の部分がほぼ一定の輝度で赤熱していること、リング状部分の外部境界がほぼ滑らかな円形であること、内部境界が不規則な凹凸形状であることが判る。つぎに、図13右図は、前述の手順に従い、図13左図の赤熱画像から導出された瞬間二次元温度分布である。はじめに、赤熱画像における高輝度領域が1400〜1600℃の高温領域に対応していることが確認される。高温領域は燃焼ガスの通過領域であるが、外周部は比較的なだらかな温度勾配をもつが、反対に、火炎面に相当する内部境界は、きわめて急峻な温度勾配を示している。
【0032】
図14に、図13の赤熱画像撮影の約1秒後に、連続撮影された赤熱画像による結果を示す。時間経過に伴う内部境界(火炎面)形状の変化が認められ、乱流火炎のランダム形状変化の特徴がよく捉えられていると言える。
【0033】
また、図13の二次元温度分布の詳細を検討するため、図15および図16に、図13右図のX軸上およびY軸上の温度分布を示す。外側境界のなだらかな温度変化、内部境界の急峻な温度勾配、1400〜1600℃の高温など、二次元温度分布で得られた知見の他に、高温領域に於いて外部に向かうほど徐々に温度が上昇しており、高温領域の最外部でサーマルNOxの発生が促進される状況が示唆される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の素線からなる素線アレイの赤熱画像を撮影し、前記撮影した赤熱画像に基づき素線アレイの各部分毎に輝度−温度変換を行って温度分布を得ることを特徴とする温度分布計測方法。
【請求項2】
温度分布が既知の校正用層流火炎を用い、前記素線アレイの各部分毎の輝度−温度の変換データを作成し、この作成した輝度−温度の変換データを用いて前記輝度−温度変換を行うことを特徴とする請求項1に記載の温度分布計測方法。
【請求項3】
前記校正用層流火炎の高さ断面の温度分布を計測し、前記校正用層流火炎をトラバースしながら各位置での赤熱画像を撮影し、それら撮影した赤熱画像と前記温度分布とから前記素線アレイの各部分毎の輝度−温度の変換データを作成することを特徴とする請求項2に記載の温度分布計測方法。
【請求項4】
仮想平面上に配置された多数の素線からなる素線アレイの赤熱画像を撮影し、前記撮影した赤熱画像に基づき素線アレイの各部分毎に輝度−温度変換を行って二次元温度分布を得ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の温度分布計測方法。
【請求項5】
三次元的に互いに平行に配置された多数の素線からなる素線アレイの赤熱画像を撮影し、前記撮影した赤熱画像に基づき素線アレイの各部分毎に輝度−温度変換を行って三次元温度分布を得ることを特徴とする1乃至3のいずれか1つに記載の温度分布計測方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1つに記載の方法により得られた温度分布の時間変化に対し,周囲ガス温度変化に対する素線の温度応答を一次遅れ系とみなし、適切に定めた時定数により、前記温度応答を補償し、速い時間応答の温度分布を得ることを特徴とする温度分布計測方法。
【請求項7】
前記素線として超耐熱性炭化けい素連続繊維を用いることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載の温度分布計測方法。
【請求項1】
多数の素線からなる素線アレイの赤熱画像を撮影し、前記撮影した赤熱画像に基づき素線アレイの各部分毎に輝度−温度変換を行って温度分布を得ることを特徴とする温度分布計測方法。
【請求項2】
温度分布が既知の校正用層流火炎を用い、前記素線アレイの各部分毎の輝度−温度の変換データを作成し、この作成した輝度−温度の変換データを用いて前記輝度−温度変換を行うことを特徴とする請求項1に記載の温度分布計測方法。
【請求項3】
前記校正用層流火炎の高さ断面の温度分布を計測し、前記校正用層流火炎をトラバースしながら各位置での赤熱画像を撮影し、それら撮影した赤熱画像と前記温度分布とから前記素線アレイの各部分毎の輝度−温度の変換データを作成することを特徴とする請求項2に記載の温度分布計測方法。
【請求項4】
仮想平面上に配置された多数の素線からなる素線アレイの赤熱画像を撮影し、前記撮影した赤熱画像に基づき素線アレイの各部分毎に輝度−温度変換を行って二次元温度分布を得ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の温度分布計測方法。
【請求項5】
三次元的に互いに平行に配置された多数の素線からなる素線アレイの赤熱画像を撮影し、前記撮影した赤熱画像に基づき素線アレイの各部分毎に輝度−温度変換を行って三次元温度分布を得ることを特徴とする1乃至3のいずれか1つに記載の温度分布計測方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1つに記載の方法により得られた温度分布の時間変化に対し,周囲ガス温度変化に対する素線の温度応答を一次遅れ系とみなし、適切に定めた時定数により、前記温度応答を補償し、速い時間応答の温度分布を得ることを特徴とする温度分布計測方法。
【請求項7】
前記素線として超耐熱性炭化けい素連続繊維を用いることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載の温度分布計測方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−247608(P2011−247608A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118050(P2010−118050)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成22年5月19日 社団法人日本伝熱学会発行の「第47回日本伝熱シンポジウム 講演論文集 Volume▲2▼&▲3▼」に発表
【出願人】(304021277)国立大学法人 名古屋工業大学 (784)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成22年5月19日 社団法人日本伝熱学会発行の「第47回日本伝熱シンポジウム 講演論文集 Volume▲2▼&▲3▼」に発表
【出願人】(304021277)国立大学法人 名古屋工業大学 (784)
【Fターム(参考)】
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