説明

温度制御方法、制御装置及びプラズマ処理装置

【課題】温度設定の制御を適正化することにより温度安定待ち時間を短縮する。
【解決手段】複数のステップにより被処理体を処理するプラズマプロセスにおいてステップ毎に設定温度を変えることが可能なプラズマ処理装置1の温度制御方法であって、プラズマ処理装置1の処理容器10内へ被処理体を搬入する搬入工程又は被処理体を搬出する搬出工程の少なくともいずれかを行う搬送工程と、前記複数のステップからなるプラズマプロセスを実行するプロセス実行工程と、前記実行されたプラズマプロセスの終了のタイミングに応じて次のプロセスの設定温度に制御する第1の温度制御、又は前記搬入工程或いは前記搬出工程に並行して前記次のプロセスの設定温度に制御する第2の温度制御、の少なくともいずれかを行う温度制御工程と、を含むことを特徴とする温度制御方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度制御方法、制御装置及びプラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ウエハや基板等の被処理体を複数のステップにより処理するプラズマプロセスにおいてステップ毎に設定温度を変えることが可能な温度制御技術が提案されている。例えば、特許文献1には、静電チャック(ESC:Electrostatic Chuck)内にヒータを組み込んで、そのヒータからの発熱により静電チャックの表面温度を急速に変更することが可能な温度制御技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−506381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、製品ウエハの連続処理において、複数のステップにより一つの製品ウエハを処理するプラズマプロセスでは、製品ウエハ処理時の第1のプロセスの最終ステップの設定温度と第2のプロセスの最初のステップの設定温度との差が大きくなる場合がある。そのような場合、第1のプロセス終了後であって第2のプロセス前の温度設定後、その設定温度に到達するまでに大きな温度安定待ち時間が発生し、プラズマ処理装置の稼働率が低下する場合があった。
【0005】
上記課題に対して、本発明の目的とするところは、複数のステップにより被処理体を処理するプラズマプロセスにおいて温度設定の制御を適正化することにより温度安定待ち時間を短縮することが可能な、温度制御方法、制御装置及びプラズマ処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、複数のステップにより被処理体を処理するプラズマプロセスにおいてステップ毎に設定温度を変えることが可能なプラズマ処理装置の温度制御方法であって、前記プラズマ処理装置の処理容器内へ被処理体を搬入する搬入工程又は被処理体を搬出する搬出工程の少なくともいずれかを行う搬送工程と、前記複数のステップからなるプラズマプロセスを実行するプロセス実行工程と、前記実行されたプラズマプロセスの終了のタイミングに応じて次のプロセスの設定温度に制御する第1の温度制御、又は前記搬入工程或いは前記搬出工程に並行して前記次のプロセスの設定温度に制御する第2の温度制御、の少なくともいずれかを行う温度制御工程と、を含むことを特徴とする温度制御方法が提供される。
【0007】
前記温度制御工程では、前記実行されたプラズマプロセスの終了のタイミングにおけるプロセスの最終ステップの設定温度と、次のプロセスの最初のステップの設定温度とが異なっていてもよい。
【0008】
前記搬入工程は、前記処理容器内に設けられた搬送用のゲートバルブが開口してから、搬送アーム上に保持された被処理体が前記処理容器内に搬入され、プッシャーピンにより保持されてから該処理容器内の載置台上に載置されるまでであってもよい。
【0009】
前記搬出工程は、前記プラズマプロセス実行後に被処理体がプッシャーピンにより保持されてから、搬送アーム上に保持され、前記搬送用のゲートバルブから搬出されるまでであってもよい。
【0010】
前記搬入工程と前記搬出工程の設定温度が異なる場合、前記第1の温度制御及び前記第2の温度制御を行ってもよい。
【0011】
前記温度制御工程は、前記第1の温度制御を行う場合、一のプラズマプロセスの終了とともに前記次のプロセスの設定温度に制御してもよい。
【0012】
前記温度制御工程は、前記第2の温度制御を行う場合、前記被処理体の搬出又は搬入とともに前記次のプロセスの設定温度に制御してもよい。
【0013】
前記温度制御工程では、前記次のプロセスの設定温度は、複数のステップからなる前記一のプラズマプロセスのいずれかのステップの設定温度より高くてもよい。
【0014】
前記温度制御工程は、前記搬送工程前及び前記搬送工程中に温度監視は行わず、前記搬送工程後に温度監視を開始してもよい。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、複数のステップにより被処理体を処理するプラズマプロセスにおいてステップ毎に設定温度を変えることが可能なプラズマ処理装置の制御装置であって、前記プラズマ処理装置の処理容器内へ被処理体を搬入する搬入工程又は被処理体を搬出する搬出工程の少なくともいずれかを行う搬送制御部と、前記複数のステップからなるプラズマプロセスを実行するプロセス実行部と、前記実行されたプラズマプロセスの終了のタイミングに応じて次のプロセスの設定温度に制御する第1の温度制御、又は前記搬入工程或いは前記搬出工程に並行して前記次のプロセスの設定温度に制御する第2の温度制御、の少なくともいずれかを行う温度制御部と、を備えることを特徴とする制御装置が提供される。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、処理容器と、前記処理容器内にガスを供給するガス供給源と、プラズマを生成するためのパワーを供給し、ガスからプラズマを生成するプラズマ源と、前記処理容器内に設けられた載置台、上部電極、デポシールド又は前記処理容器の少なくともいずれかの温度を制御する温度制御部と、前記プラズマ処理装置の処理容器内へ被処理体を搬入する搬入工程又は被処理体を搬出する搬出工程の少なくともいずれかを行う搬送制御部と、前記生成されたプラズマにより前記複数のステップからなるプラズマプロセスを実行するプロセス実行部と、を備え、前記温度制御部は、前記実行されたプラズマプロセスの終了のタイミングに応じて次のプロセスの設定温度に制御する第1の温度制御、又は前記搬入工程或いは前記搬出工程に並行して前記次のプロセスの設定温度に制御する第2の温度制御、の少なくともいずれかを行うことを特徴とするプラズマ処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、複数のステップにより被処理体を処理するプラズマプロセスにおいて、温度設定の制御を適正化することにより温度安定待ち時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】一実施形態に係るプラズマ処理装置の全体構成図。
【図2】一実施形態に係る制御装置の機能構成図。
【図3】一般的な温度制御を説明するための図。
【図4】一実施形態に係る温度制御を示したフローチャート。
【図5】一実施形態に係る温度制御を説明するための図。
【図6】一実施形態に係る温度監視と温度安定待ち時間との関係を説明するための図。
【図7】一実施形態に係る温度制御を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
<はじめに>
近年、複数のステップによりウエハを処理するプラズマプロセスにおいてステップ毎に設定温度を変えることが可能な機構を備えたプラズマ処理装置が提案されている。このような機構には、例えば静電チャック(ESC:Electrostatic Chuck)の温度をプロセス毎又はステップ毎に高速に制御可能な高速温度制御技術として、静電チャックの表面温度をヒータにて高速に温度調整する機構が利用されている。
【0021】
ところで、静電チャックの表面には、プラズマエッチングのプラズマ処理工程中にウエハ上に形成されている多層レジスト膜、金属含有マスクのエッチングにより生じる生成物が付着する。生成物が静電チャックの表面に堆積すると、静電チャックの表面の状態が変化し、ウエハの静電吸着力が低下する。そこで、複数枚の製品ウエハを順次プラズマ処理する途中に静電チャックの表面を洗浄するクリーニング処理を行い、静電チャックの表面の生成物を除去しながら、製品ウエハを連続処理することが行われている。
【0022】
クリーニング処理時に、上記ヒータを使用した高速温度制御機構を用いて静電チャックの温度を高温に制御した場合のほうが静電チャックの表面に付着した生成物を効率的に除去することができる。
【0023】
しかしながら、このようにクリーニング処理時の設定温度を高温にした場合、製品ウエハ処理時の各ステップの設定温度とクリーニング処理時の設定温度が異なってしまう。そこで、各設定温度まで温度を上昇又は下降させる際に温度安定待ち時間が発生する。これにより、プラズマ処理装置の稼働率が低下し、スループットが悪化する。
【0024】
例えば、図3には2つのステップによりウエハを処理するプラズマエッチングプロセスにおいて、ステップ毎に設定温度を変えることが可能なプラズマ処理装置の各ステップの設定温度の一般的な例が示されている。図3の上段の表に示したように、エッチングプロセス用レシピには、製品ウエハの搬入及び搬出時の設定温度、エッチングプロセス中のステップ1及びステップ2の設定温度が予め設定されている。また、ウエハレスのクリーニング用レシピ(WLDC:Wafer−Less Dry Etching)には、搬入及び搬出時の設定温度、及びクリーニングプロセス中の設定温度が示されている。ウエハレスのクリーニングとは実際に処理室内にウエハの無い状態でプラズマプロセスを実行することでESC表面のクリーニングを行なう処理である。従って、実際にはウエハの搬入及び搬出は行なわれないが便宜上レシピとして設定値を持っている。各レシピは、対応するプロセスの実行手順が設定されていて、各プロセスの設定温度も設定されている。ここでは、いずれのレシピにおいても搬入及び搬出時の設定温度は同じである。
【0025】
この場合、図3の下段のグラフに示したように、1枚目のウエハのエッチング処理前にステップ1の設定温度20℃になるように温度制御され、その際温度安定待ち時間が生じる。温度安定化後、ステップ1のエッチング処理が実行され、その後、ステップ2の設定温度60℃になるように温度制御され、その際再び温度安定待ち時間が生じ、温度安定待ち時間経過後、ステップ2のエッチング処理が実行される。
【0026】
ステップ2の処理が終了した後、ウエハを搬出する。搬出後、次のプロセスの実行手順を示したWLDCレシピに設定された搬出時の設定温度50℃になるように温度制御される。その際にも温度安定待ち時間が発生する。温度が安定したらクリーニング処理が実行される。クリーニング処理時の温度が高いと、エッチング処理時に生成された堆積物を効果的に除去できる。このため、クリーニング処理の設定温度50℃は、エッチング処理のステップ1の設定温度20℃より高くなっている。
【0027】
ここでは、一例として、プロセスがエッチング処理からクリーニング処理に変更する際、設定温度が60℃から50℃に変わる。同様に、プロセスがクリーニング処理からエッチング処理に変更する際に設定温度が50℃から20℃に変わる。そして、設定温度が変わるたびに温度安定待ち時間が発生する。また、温度差が大きければ大きいほど温度安定待ち時間が長くなる。
【0028】
このように、温度安定待ち時間とは図3中の斜めになっている部分の時間であり、クリーニング処理時の設定温度を高温したい等の理由により前後のプロセスで設定温度が異なる場合、プロセス処理前に温度安定待ち時間が頻繁に生じ、スループットが悪化して生産性が下がる。
【0029】
そこで、以下に説明する本発明の一実施形態では、複数のステップによりウエハを処理するプラズマプロセスにおいて、図3中の斜めになっている温度安定待ち時間の内、A及びBで示した温度安定待ち時間を短縮するために温度設定の制御を適正化する。
【0030】
[プラズマ処理装置の全体構成]
まず、本発明の一実施形態に係る温度制御方法を実行するプラズマ処理装置の全体構成について、図1を参照しながら説明する。
【0031】
図1に示したプラズマ処理装置1は、複数のステップにより被処理体を処理するプラズマプロセスにおいてステップ毎に設定温度を変えることが可能なプラズマ処理装置の一例である。プラズマ処理装置1は、RIE型のプラズマ処理装置として構成されており、たとえばアルミニウムまたはステンレス鋼等の金属製の円筒型チャンバ(処理容器10)を有している。処理容器10は接地されている。処理容器10内では、被処理体にエッチング処理等のプラズマ処理が施される。
【0032】
処理容器10内には、被処理体としての半導体ウエハW(以下、ウエハWと称呼する)を載置する載置台12が設けられている。この状態で、ウエハWにはプラズマの作用によりエッチング等の微細加工が施される。載置台12は、たとえばアルミニウムからなり、絶縁性の筒状保持部14を介して処理容器10の底から垂直上方に延びる筒状支持部16に支持されている。筒状保持部14の上面には、載置台12の上面を環状に囲むたとえば石英からなるフォーカスリング18が配置されている。
【0033】
処理容器10の側壁と筒状支持部16との間には排気路20が形成されている。排気路20には環状のバッフル板22が取り付けられている。排気路20の底部には排気口24が設けられ、排気管26を介して排気装置28に接続されている。排気装置28は図示しない真空ポンプを有しており、処理容器10内の処理空間を所定の真空度まで減圧する。処理容器10の側壁には、ウエハWの搬入出口を開閉する搬送用のゲートバルブ30が取り付けられている。
【0034】
載置台12には、整合器34および給電棒36を介してプラズマ生成用の高周波電源32が電気的に接続されている。高周波電源32は、たとえば60MHzの高周波電力を載置台12に印加する。このようにして載置台12は下部電極としても機能する。なお、処理容器10の天井部には、後述するシャワーヘッド38が接地電位の上部電極として設けられている。これにより、高周波電源32からの高周波電圧は載置台12とシャワーヘッド38との間に容量的に印加される。高周波電源32は、プラズマを生成するためのパワーを供給し、処理容器10内にてガスからプラズマを生成するプラズマ源の一例である。
【0035】
載置台12の上面にはウエハWを静電吸着力で保持するための静電チャック40が設けられている。静電チャック40は導電膜からなる電極40aを一対の絶縁膜40b,40cの間に挟み込んだものである。電極40aには直流電源42がスイッチ43を介して電気的に接続されている。静電チャック40は、直流電源42からの直流電圧により、クーロン力でウエハWをチャック上に吸着保持する。
【0036】
伝熱ガス供給源52は、Heガス等の伝熱ガスをガス供給ライン54に通して静電チャック40の上面とウエハWの裏面との間に供給する。天井部のシャワーヘッド38は、多数のガス通気孔56aを有する電極板56と、この電極板56を着脱可能に支持する電極支持体58とを有する。電極支持体58の内部にはバッファ室60が設けられ、バッファ室60のガス導入口60aにはガス供給源62に連結されるガス供給配管64が接続されている。これにより、ガス供給源62から処理容器10内に所望のガスが供給される。
【0037】
処理容器10の周囲には、環状または同心状に延在する磁石66が配置されている。処理容器10内において、シャワーヘッド38と載置台12との間のプラズマ生成空間には、高周波電源32により鉛直方向のRF電界が形成される。高周波の放電により、載置台12の表面近傍に高密度のプラズマが生成される。
【0038】
載置台12の内部には冷媒管70が設けられている。この冷媒管70には、チラーユニット71より配管72,73を介して所定温度の冷媒が循環供給される。また、載置台12の内部にはヒータ75が埋設されている。ヒータ75には図示しない交流電源から所望の交流電圧が印加される。かかる構成により、チラーユニット71による冷却とヒータ75による加熱によって静電チャック40上のウエハWの処理温度は所望の温度に調整される。また、これらの温度制御は、制御装置80の指示に従い実行される。なお、ヒータ75を静電チャック40の中心部と周辺部の2系統のゾーンに分けて配置し、これによりゾーン毎に温度制御してもよい。これによれば、より精度の高い温度制御が可能となる。
【0039】
制御装置80は、プラズマ処理装置1に取り付けられた各部、たとえば排気装置28、高周波電源32、静電チャック用のスイッチ43、整合器34、伝熱ガス供給源52、ガス供給源62、チラーユニット71および静電チャック40内のヒータを制御する。制御装置80は、ホストコンピュータ(図示せず)等とも接続されている。
【0040】
制御装置80は、図示しないCPU(Central Processing Unit),ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有し、CPUはたとえば図2に示した記憶部85に格納された各種レシピに従ってプロセスを実行する。レシピには複数ステップのプロセス条件に対する装置の制御情報であるプロセス時間、処理室内温度(上部電極温度、処理室の側壁温度、ESC温度など)、圧力、印加する高周波電力、各種プロセスガス流量などが記載されている。本願ではレシピとして主に温度制御に関する温度制御を取り上げて以下説明する。レシピが格納される記憶部85は、例えば半導体メモリ、磁気ディスク、または光学ディスクなどを用いてRAM、ROMとして実現されうる。レシピは、記憶媒体に格納して提供され、図示しないドライバを介して記憶部85に読み込まれるものであってもよく、また、図示しないネットワークからダウンロードされて記憶部85に格納されるものであってもよい。また、上記各部の機能を実現するために、CPUに代えてDSP(Digital Signal Processor)が用いられてもよい。なお、制御装置80の機能は、ソフトウエアを用いて動作することにより実現されてもよく、ハードウエアを用いて動作することにより実現されてもよい。
【0041】
かかる構成のプラズマ処理装置1において、エッチングを行なうには、先ずゲートバルブ30を開口して搬送アーム上に保持されたウエハWを処理容器10内に搬入する。次に、静電チャック40の表面から突出したプッシャーピン(図示しない)により搬送アームからウエハWが持ち上げられ、プッシャーピン上にウエハWが保持される。次いで、その搬送アームが処理容器10外へ出た後に、プッシャーピンが静電チャック40内に下ろされることでウエハWが静電チャック40上に載置される。
【0042】
ウエハW搬入後、ゲートバルブ30が閉じられ、ガス供給源62からエッチングガスを所定の流量および流量比で処理容器10内に導入し、排気装置28により処理容器10内の圧力を設定値に減圧する。さらに、高周波電源32から所定のパワーの高周波電力を載置台12に供給する。また、直流電源42から直流電圧を静電チャック40の電極40aに印加して、ウエハWを静電チャック40上に固定する。シャワーヘッド38からシャワー状に導入されたエッチングガスは、高周波電源32からの高周波電力によりプラズマ化され、これにより、上部電極(シャワーヘッド38)と下部電極(載置台12)との間のプラズマ生成空間にてプラズマが生成される。生成されたプラズマ中のラジカルやイオンによってウエハWの主面がエッチングされる。
【0043】
プラズマエッチング終了後、ウエハWがプッシャーピンにより持ち上げられ保持され、ゲートバルブ30を開口して搬送アームが処理室内10内に搬入された後に、プッシャーピンが下げられウエハWが搬送アーム上に保持される。次いで、その搬送アームが処理容器10外へ出て、次のウエハWが搬送アームにより処理室内10へ搬入される。この処理を繰り返すことで連続してウエハWが処理される。
【0044】
以上、本実施形態に係る温度制御方法を利用可能なプラズマ処理装置の一例について説明した。次に、本実施形態に係る温度制御方法を実行する制御装置80の機能構成について、図2を参照しながら説明する。
【0045】
[制御装置の構成]
図2は、制御装置80の機能構成図である。制御装置80は、搬送制御部81、プロセス実行部82、記憶部85及び温度制御部86を有する。
【0046】
搬送制御部81は、プラズマ処理装置1の処理容器10内へウエハWを搬入する搬入工程および処理容器10からウエハWを搬出する搬出工程を行う。ここで、搬入工程とは、処理容器10に設けられたゲートバルブ30が開口してから、ウエハWが搬送アームにより把持された状態でゲートバルブ30から搬入され、静電チャック40の表面から突出したプッシャーピンにより搬送アームからウエハWが持ち上げられ、プッシャーピン上にウエハWが保持され、その搬送アームが処理容器10外へ出た後に、プッシャーピンが静電チャック内に下ろされることでウエハWが静電チャック40上に載置されるまでをいう。また、搬出工程とは、プラズマエッチング終了後、ウエハWがプッシャーピンにより持ち上げられ保持され、ゲートバルブ30を開口して搬送アームが処理室内10内に搬入した後に、プッシャーピンが下げられウエハWが搬送アーム上に保持され、その搬送アームが処理容器10外へ出されるまでをいう。
【0047】
記憶部85には、エッチング処理を実行するための複数のレシピと、ウエハレスクリーニング処理を実行するためWLDCレシピとが予め記憶されている。
【0048】
プロセス実行部82は、エッチング実行部83及びクリーニング実行部84を有する。エッチング実行部83は、複数のステップからなるプラズマエッチング処理を実行する。エッチング実行部83は、記憶部85に記憶された複数のプロセスレシピのうち、所望のプロセスレシピを選択してそのレシピに従いエッチング処理を実行する。クリーニング実行部84は、記憶部85に記憶されたWLDCレシピに従いクリーニング処理を実行する。
【0049】
温度制御部86は、処理容器10内に設けられた静電チャック40の温度を制御する。温度制御部86は、実行されたエッチング処理の終了のタイミングに応じて次のプロセスの設定温度に制御する第1の温度制御、又は、前記搬入工程或いは前記搬出工程に並行して次のプロセスの設定温度に制御する第2の温度制御、の少なくともいずれかを行う。
【0050】
次に、以上に説明した制御装置80の各部の機能を用いて、制御装置80により制御される第1の温度制御及び第2の温度制御の動作について説明する。
【0051】
[制御装置の動作]
図4は、本実施形態に係る制御装置80を用いた静電チャック40(ウエハW)の温度制御処理を示したフローチャートである。なお、本処理が開始される前に、ステップ数を示す変数nは予め「1」に初期設定されている。また、本処理が開始される前に処理室内は、図5の上段の表に示したエッチングプロセスレシピ搬入時の設定温度20℃に設定されている。
【0052】
本処理が開始されると、まず、搬送制御部81は、ウエハWの搬入工程を開始する(ステップS500)。次に、搬送制御部81は、ウエハWがゲートバルブ30から搬入されたかを判定する(ステップS505)。ウエハWがゲートバルブ30から搬入された場合、エッチング実行部83は、ステップ1のエッチング処理を実行する(ステップS510)。これにより、図5の下段のグラフに示したように、1枚目のウエハのステップ1のエッチング処理が実行される。
【0053】
次に、エッチング実行部83は、本ステップ又は本ステップを含むプロセス全体が終了したかを判定する(ステップS515)。ステップが終了した場合、温度制御部86は、エッチングプロセスレシピの次ステップの設定温度に変更があるかを判定する(ステップS520)。変更がある場合、温度制御部86は、次ステップの設定温度に制御し(ステップS525)、温度が安定するまで次処理を開始せずに待つ(ステップS530)。温度が安定したら、エッチング実行部83は、ステップ数nを1増やし(ステップS535)、ステップS510に戻ってステップ2のエッチング処理を実行する。図5の下段のグラフでは、1枚目のウエハのステップ1の処理後に温度が上昇して60℃に到達するまで温度安定待ちとなり、温度が60℃に到達して安定した後、ステップ2のエッチング処理が実行されている。
【0054】
一方、ステップS515にてステップが終了し、かつステップS520にてレシピの次ステップの設定温度に変更がない場合、温度制御部86は、直ちにステップS535に移ってステップ数を1増やし、ステップS510に戻ってステップ2のエッチング処理を実行する。このようにして最終ステップまでエッチング処理(ステップS510〜S535)を繰り返す。
【0055】
一プロセスの全てのステップが終了したと判断した場合、プロセスが終了したと判断し、温度制御部86は、次のプロセスの実行手順を示した次レシピの設定温度に温度を制御し、搬送制御部81はウエハの搬出処理を行う(ステップS540)。なお、ここでは、次のプロセスがウエハレスドライクリーニング(WLDC)であるため、ウエハの搬出処理後にウエハの搬入処理は行われない。これによれば、図5の下段のグラフに示したように、ステップ2のエッチング処理終了時、ウエハの搬出処理と並行して次レシピの設定温度に温度が変更される。
【0056】
ウエハの搬出後に次プロセスの温度設定を行うと温度安定待ち時間が長くなる。しかしながら、本実施形態では、温度制御部86は、次レシピの設定温度を先読みして直前のプロセスの終了後直ちにウエハの搬出処理と並行して次レシピの設定温度、図5のグラフではクリーニング用レシピの搬出時の設定温度50℃に温度を制御する。これにより、温度安定待ち時間を短縮することができる。
【0057】
静電チャック40の温度が次レシピの設定温度に安定し、かつウエハの搬出が終了したとき(ステップS545)、プロセス実行部82は、次プロセスの種類に応じて(ステップS550)、プロセスを実行する。ここでは、次プロセスは、ウエハレスドライクリーニングWLDCである。よって、プロセス実行部82のクリーニング実行部84は、ウエハレスドライクリーニングを実行する(ステップS555)。
【0058】
クリーニング処理が終了した場合(ステップS560)、ステップS565にて、温度制御部86は、クリーニング用レシピの搬出時の温度、つまり次レシピの最初のステップの設定温度(図5のグラフでは20℃)を先読みして温度制御する(温度先読み制御;第1の温度制御の一例)。また、搬送制御部81は、それに並行してウエハの搬入処理を行う(温度制御と搬送制御の並行処理;第2の温度制御の一例)。なお、ここでは、前のプロセスがウエハレスドライクリーニングであるため、ウエハの搬出処理は行われず、2枚目のウエハWの搬入処理のみ行われる。よって、次レシピの温度制御とウエハの搬入処理が並行して処理されるので温度安定待ち時間を短縮することができる。
【0059】
静電チャックの温度が次プロセスの設定温度である20℃に到達して安定し、かつウエハの搬出が終了した場合(ステップS570)、プロセス実行部82のエッチング実行部83は、ステップ番号を1に設定し(ステップS575)、ステップS510に戻って2枚目のウエハWのステップ1のエッチング処理を実行する。
【0060】
なお、ステップS550にて、次プロセスの種類がエッチング処理と判定された場合にも、エッチング実行部83は、ステップ番号を1に設定し(ステップS580)、ステップS510に戻って2枚目のウエハWのエッチング処理を実行する。
【0061】
[効果]
以上に説明した制御部80の動作により、プラズマ処理装置1の静電チャックの温度安定待ち時間が短縮されるのでウエハWの温度を高速に所望の温度に調整できる。その際、複数のステップによりウエハWを処理するプラズマプロセスにおいて搬入時と搬出時の設定温度を異なる温度に設定可能とし、エッチング処理時の温度よりクリーニング処理時の温度を高く制御することにより、静電チャック40上に堆積した反応物を効果的に除去することができる。
【0062】
また、その際、一のプロセス終了時に次レシピの設定温度を先読みして制御することによりクリーニング処理の温度安定待ち時間を短縮することができる。さらに、設定温度の先読み制御による温度安定待ちと並行してウエハWの搬入処理や搬出処理を行うことによっても、ウエハ搬出又は搬入前の温度安定待ち時間を短縮することができる。
【0063】
図3に示した一般的な温度制御と図5に示した本実施形態に係る温度制御の温度変化を比較するとわかるように、特に、本実施形態のようにエッチングプロセス用レシピ(メインレシピ)とクリーニング用レシピ(WLDCレシピ)との設定温度が異なる場合に、本実施形態に係る温度制御方法では一般的な温度制御方法と比べて温度安定待ち時間を大きく短縮することができる。この結果、ウエハ加工時のスループットを上げ、生産性を高めることができる。
【0064】
(温度制御のバリエーション)
ここで、上記温度制御のタイミングについて、そのバリエーションを説明する。本実施形態では、クリーニング処理のための温度設定とウエハの搬出とは一のプロセスの終了時にほぼ同時に開始した。また、本実施形態では、2枚目のウエハWのエッチング処理のための温度設定とウエハの搬入とはほぼ同時に開始した。
【0065】
しかしながら、一のプロセス終了時に次レシピの設定温度を先読みする本実施形態の温度制御は、実行されたプラズマプロセスの終了のタイミングに応じて次のプロセスの設定温度に制御する第1の温度制御の一例であり、次レシピの設定温度を先読みする第1の温度制御のタイミングは一のプロセス終了時に限られない。例えば、第1の温度制御のタイミングは、一のプロセス終了に連動して予め定められた時間内であってもよいし、一のプロセス終了後に行われるウエハ搬出工程中であってもよいし、一のプロセス終了後に行われるウエハ搬入工程中であってもよい。ただし、一のプロセス終了から第1の温度制御開始までの経過時間が長いほど温度安定待ち時間が長くなり、本実施形態の効果が軽減される。
【0066】
また、温度制御(温度安定待ち)とウエハ搬出工程とを並行処理した本実施形態の温度制御は、搬入工程或いは搬出工程に並行して次のプロセスの設定温度に制御する第2の温度制御の一例であり、ウエハ搬入又は搬出工程と第2の温度制御との並行処理の開始タイミングは一のプロセス終了時に限られない。例えば、第2の温度制御のタイミングは、ウエハ搬入又は搬出のいずれかの工程中であってもよく、上記並行処理は2つの上記処理が一部並行していれば、いずれか一方の処理がいずれか他方の処理にすべて包含されていなくてもよい。ただし、ウエハ搬入又は搬出から第2の温度制御開始までの経過時間、又は第2の温度制御開始からウエハ搬入又は搬出までの経過時間が長いほど、並行処理時間が短くなって温度安定待ち時間が長くなり、本実施形態の効果が軽減される。
【0067】
また、上記第1及び第2の温度制御にて温度制御部86により制御される次プロセスの設定温度は、実行中のレシピのウエハ搬出時の設定温度を予め次のプロセスの設定温度と同じ温度に設定しておくことにより、温度制御部86は、実行中のレシピのウエハ搬出時の設定温度を次プロセスの設定温度として用いて第1及び第2の温度制御を行うことができる。
【0068】
また、次レシピのウエハ搬入時の設定温度を予め次のプロセスの設定温度と同じ温度に設定しておくことにより、温度制御部86は、次レシピのウエハ搬入時の設定温度を次プロセスの設定温度として用いて第1及び第2の温度制御を行うことができる。
【0069】
さらに、温度制御部86は、レシピに設定された次プロセスの設定温度を先読みして温度制御する替わりに、オペレータ等により設定された次プロセスの設定温度のパラメータを先読みして温度制御することもできる。
【0070】
(温度制御の監視機能)
次に、本実施形態における温度制御の監視機能について、図6を参照しながら説明する。図6上段の実線の温度推移は、本実施形態に係る温度制御を実行した結果を示し、図6下段の実線の温度推移は、上述した一般的な温度制御を実行した結果を示す。図6下段の破線の温度推移は、温度安定待ち時間の比較のために図6上段の本実施形態の温度推移を破線で示したものである。
【0071】
一般的な温度制御では、ウエハ搬入前に静電チャックの温度がウエハ搬入時の設定温度に制御され、安定した温度状態となっている。その状態で、ウエハの搬入処理が開始される(図6下段、時間t1)。ウエハ搬入処理完了後(時間t2)、2枚目のウエハ処理の設定温度に温度制御され、温度安定後、次プロセスが開始される(時間t3)。
【0072】
しかし、ウエハ搬入前に温度監視が行われると、静電チャックの温度がウエハ搬入時の設定温度に制御されるまでウエハの搬入処理を開始できない。そこで、本実施形態に係る温度制御では、図6の上段に示したように、ウエハ搬入中の温度監視は行わない。そして、本実施形態では、ウエハ搬入処理完了後、温度監視を開始する。これにより、ウエハ搬入工程と温度制御(温度安定待ち)とを並行して処理することができる。図6の上下段のタイムチャートを比較すると、本実施形態に係る温度制度では、一般的な温度制御に比べて温度安定待ち時間が短縮され、2枚目のウエハ処理の開始時間が早くなり、スループットが向上していることが視覚的に理解できる。
【0073】
以上では、1枚目のウエハのエッチング処理→クリーニング処理→2枚目のウエハのエッチング処理とプロセスが実行される場合を例に挙げて、本実施形態に係る温度制御について説明した。
【0074】
(温度制御の他の例)
これに対して、以下では、1枚目のウエハのエッチング処理→2枚目のウエハのエッチング処理とプロセスが実行される場合を例に挙げて、本実施形態に係る温度制御について説明する。ただし、この場合であっても、複数のステップによりウエハを処理するプラズマプロセスにおいてステップ毎に設定温度を変えることが可能なプラズマ処理装置において、高速な温度制御が要求されるプロセスが前提となる。
【0075】
図7上段の表には、1枚目のウエハのエッチング処理後、直ちに2枚目のウエハのエッチング処理を行う場合の1枚目のエッチングプロセスレシピ1及び2枚目のエッチングプロセスレシピ1が示されている。図7下段のグラフには、1枚目のウエハのエッチング処理後、直ちに2枚目のウエハのエッチング処理を行う場合の本実施形態の温度制御の結果が示されている。処理が開始される前に処理容器10内は、図7の上段の表に示したプロセスレシピ搬入時の設定温度20℃に温度制御されている。
【0076】
まず、搬送制御部81は、ウエハWの搬入処理の制御を開始する。次に、エッチング実行部83は、1枚目のウエハWに対してステップ1のエッチング処理を実行する。1枚目のウエハのステップ1のエッチング処理中、温度は20℃に保持される。
【0077】
ステップ1のエッチング処理が終了すると、温度制御部86は、レシピ1に従いステップ2の設定温度60℃に温度制御し、処理容器10内が設定温度に安定するまで待つ。温度が安定したら、エッチング実行部83は、ステップ2のエッチング処理を実行する。1枚目のウエハのステップ2のエッチング処理中、温度は60℃に保持される。
【0078】
プロセスが終了すると、温度制御部86は、次のプロセスを実行するために設定温度を変更し、搬送制御部81は、ウエハの搬出処理を並行して行う。具体的には、温度制御部86は、レシピ1の搬出時の設定温度40℃に温度設定を変更することにより温度制御する。
【0079】
これによれば、図7のグラフに示したように、ステップ2の処理終了後、1枚目のウエハの搬出とともに設定温度がレシピ2のステップ1の設定温度40℃に変更され、温度が安定するまでウエハの搬出及び搬入工程と並行して温度制御される。このように、次レシピの設定温度を先読みして、一のプロセスが終了後直ちに次のプロセスの設定温度に制御することにより、温度安定待ち時間を短縮することができる。また、前記温度制御とウエハの搬出及び搬入工程とを並列して行うことによっても、温度安定待ち時間を短縮することができる。この結果、ウエハ製造時のスループットを上げ、生産性を高めることができる。
【0080】
以上に説明したように、本温度制御では、実行されたプラズマプロセスの終了のタイミングにおけるプロセスの最終ステップの設定温度と、次のプロセスの最初のステップの設定温度と、が異なっていてもよい。この場合にも、温度安定待ち時間を短縮し、ウエハ製造時のスループットを上げることができる。
【0081】
<おわりに>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0082】
例えば、本発明に係る温度制御によれば、第1の温度制御(設定温度の先読み制御)又は第2の温度制御(ウエハ搬入又は搬出と温度制御との並行処理)の少なくともいずれかが実行されればよい。ただし、第1の温度制御と第2の温度制御の両方を実行する場合は、いずれか一方を実行する場合より温度安定待ち時間を短縮できる可能性が高く、よりスループットの向上に資することができる。特に、ウエハ搬入工程及び搬出工程の設定温度が異なる場合には、第1の温度制御及び第2の温度制御の両方を実行することが好ましい。各設定温度に安定するまでそれぞれの温度制御にて待ち時間が生じ、全体の温度安定待ち時間が長くなる傾向があるためである。特に、クリーニングプロセスの設定温度が、プラズマプロセスのいずれかのステップの設定温度と異なる場合に第1の温度制御及び第2の温度制御の両方の制御を実行することは有効である。
【0083】
また、本発明に係る温度制御は、ウエハレスドライクリーニングや製品ウエハのプラズマプロセスだけでなく、ウエハを使用したドライクリーニングやダミーウエハを使用したプラズマプロセス等にも利用できる。
【0084】
また、本発明に係る温度制御は、プロセス処理実行後のウエハと次のウエハのプロセスの間において設定温度が異なる場合において説明したがこれに限らない。例えば、処理室がウエハ処理を行なっていないアイドル状態になっている場合であって、アイドル状態から最初のウエハを処理するためウエハの搬入工程と並行して処理室の第1の温度制御又は第2の温度制御を行なってもよい。さらに、ロット単位で処理室の設定温度が変更されるような場合はロットの切り替わりのタイミングで第1の温度制御又は第2の温度制御を行なってもよい。
【0085】
また、本発明に係る温度制御が可能なプラズマプロセスはエッチングプロセスに限られず、成膜、アッシング、スパッタリング等、いかなるプロセスでもよい。
【0086】
また、本発明に係る温度制御方法は、プラズマ処理装置内の静電チャックだけでなく、上部電極、デポシールド又は処理容器等の温度制御に使用することができる。
【0087】
また、本発明に係る温度制御方法は、平行平板型のエッチング処理装置だけでなく、円筒状のRLSA(Radial Line Slot Antenna)プラズマ処理装置、ICP(Inductively Coupled Plasma)プラズマ処理装置、マイクロ波プラズマ処理装置等いかなるプラズマ処理装置にも利用することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 プラズマ処理装置
10 処理容器
12 載置台(下部電極)
32 高周波電源
38 シャワーヘッド(上部電極)
40 静電チャック
62 ガス供給源
71 チラーユニット
75 ヒ−タ
80 制御装置
81 搬送制御部
82 プロセス実行部
83 エッチング実行部
84 クリーニング実行部
85 記憶部
86 温度制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のステップにより被処理体を処理するプラズマプロセスにおいてステップ毎に設定温度を変えることが可能なプラズマ処理装置の温度制御方法であって、
前記プラズマ処理装置の処理容器内へ被処理体を搬入する搬入工程又は被処理体を搬出する搬出工程の少なくともいずれかを行う搬送工程と、
前記複数のステップからなるプラズマプロセスを実行するプロセス実行工程と、
前記実行されたプラズマプロセスの終了のタイミングに応じて次のプロセスの設定温度に制御する第1の温度制御、又は前記搬入工程或いは前記搬出工程に並行して前記次のプロセスの設定温度に制御する第2の温度制御、の少なくともいずれかを行う温度制御工程と、
を含むことを特徴とする温度制御方法。
【請求項2】
前記温度制御工程では、前記実行されたプラズマプロセスの終了のタイミングにおけるプロセスの最終ステップの設定温度と、次のプロセスの最初のステップの設定温度とが異なっていることを特徴とする請求項1に記載の温度制御方法。
【請求項3】
前記搬入工程は、前記処理容器内に設けられた搬送用のゲートバルブが開口してから、搬送アーム上に保持された被処理体が前記処理容器内に搬入され、プッシャーピンにより保持されてから該処理容器内の載置台上に載置されるまでであることを特徴とする請求項1又は2に記載の温度制御方法。
【請求項4】
前記搬出工程は、前記プラズマプロセス実行後に被処理体がプッシャーピンにより保持されてから、搬送アーム上に保持され、前記搬送用のゲートバルブから搬出されるまでであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の温度制御方法。
【請求項5】
前記搬入工程と前記搬出工程の設定温度が異なる場合、前記第1の温度制御及び前記第2の温度制御を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の温度制御方法。
【請求項6】
前記温度制御工程は、前記第1の温度制御を行う場合、一のプラズマプロセスの終了とともに前記次のプロセスの設定温度に制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の温度制御方法。
【請求項7】
前記温度制御工程は、前記第2の温度制御を行う場合、前記被処理体の搬出又は搬入とともに前記次のプロセスの設定温度に制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の温度制御方法。
【請求項8】
前記温度制御工程では、前記次のプロセスの設定温度は、複数のステップからなる前記一のプラズマプロセスのいずれかのステップの設定温度より高いことを特徴とする請求項6又は7に記載の温度制御方法。
【請求項9】
前記温度制御工程は、前記搬送工程前及び前記搬送工程中に温度監視は行わず、前記搬送工程後に温度監視を開始することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の温度制御方法。
【請求項10】
複数のステップにより被処理体を処理するプラズマプロセスにおいてステップ毎に設定温度を変えることが可能なプラズマ処理装置の制御装置であって、
前記プラズマ処理装置の処理容器内へ被処理体を搬入する搬入工程又は被処理体を搬出する搬出工程の少なくともいずれかを行う搬送制御部と、
前記複数のステップからなるプラズマプロセスを実行するプロセス実行部と、
前記実行されたプラズマプロセスの終了のタイミングに応じて次のプロセスの設定温度に制御する第1の温度制御、又は前記搬入工程或いは前記搬出工程に並行して前記次のプロセスの設定温度に制御する第2の温度制御、の少なくともいずれかを行う温度制御部と、
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項11】
処理容器と、
前記処理容器内にガスを供給するガス供給源と、
プラズマを生成するためのパワーを供給し、ガスからプラズマを生成するプラズマ源と、
前記処理容器内に設けられた載置台、上部電極、デポシールド又は前記処理容器の少なくともいずれかの温度を制御する温度制御部と、
前記プラズマ処理装置の処理容器内へ被処理体を搬入する搬入工程又は被処理体を搬出する搬出工程の少なくともいずれかを行う搬送制御部と、
前記生成されたプラズマにより前記複数のステップからなるプラズマプロセスを実行するプロセス実行部と、を備え、
前記温度制御部は、
前記実行されたプラズマプロセスの終了のタイミングに応じて次のプロセスの設定温度に制御する第1の温度制御、又は前記搬入工程或いは前記搬出工程に並行して前記次のプロセスの設定温度に制御する第2の温度制御、の少なくともいずれかを行うことを特徴とするプラズマ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−102041(P2013−102041A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244539(P2011−244539)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】