説明

温度制御機能付き把持具

【課題】試料を把持し包埋材中に埋め込む作業の途中で包埋材が凝固してしまうことを防止する。
【解決手段】細胞片等の試料を把持し、把持した試料をパラフィン中に埋め込む作業に用いるピンセット10は、バッテリー64と、試料を把持する一対の先端部分を有するステンレス製の把持部22と、バッテリー64から供給される電流によって発熱し、先端部分22Aを加熱するヒーター34と、先端部分22Aの温度を検知する温度センサー32と、温度センサー32で検知される温度がパラフィンの融点以上の所定の温度範囲内に収まるように、バッテリー64とヒーター34との通電を制御する温度制御回路58と、を含み、ヒーター34と温度センサー32とを、把持部22の内部であって先端部分22Aに近い側に配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度制御機能付き把持具に関する。
【背景技術】
【0002】
人体等から採取した組織片を顕微鏡標本とする際には、組織片をパラフィン等の包埋材中に埋め込んだ後に、組織片が埋め込まれた包埋材を薄片に切断する作業が行われる。
【0003】
パラフィンの融点は摂氏60度程度であるため、組織片を摘んでパラフィンに埋め込む作業(包埋作業)に用いられるピンセットの温度がパラフィンの融点を下回っていると、パラフィンが凝固し、包埋作業の妨げになってしまっていた。そこで、従来では、例えば下記の特許文献1に記載されているように、ピンセットを保持する器具ホルダで予めピンセットを保温しておくことで、包埋作業中にパラフィンを凝固し難くしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−318177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、器具ホルダからピンセットを取り出した後にはピンセットが徐々に冷めてしまうため、包埋作業中にピンセットに付着したパラフィンが凝固し、ピンセットで組織片を摘むことができなくなったり、凝固したパラフィン中に残留していた組織片が他の組織片の標本に混入したりするおそれがあった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みて為されたものであって、その目的は、把持具により把持した試料を包埋材中に埋め込む作業の途中で、把持具に付着した包埋材が凝固してしまうことを防止できる温度制御機能付き把持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る温度制御機能付き把持具は、試料を把持し、当該把持した試料を包埋材中に埋め込む作業に用いる温度制御機能付き把持具であって、電池と、前記試料を把持する一対の先端部分を有する把持部と、前記電池から供給される電流によって発熱し、前記先端部分を加熱する発熱部と、前記先端部分の温度を検知する温度センサーと、前記温度センサーで検知される温度が前記包埋材の融点以上の所定の温度範囲内に収まるように、前記電池と前記発熱部との通電を制御する温度制御回路と、を含み、前記発熱部と前記温度センサーとを、前記把持部の内部であって前記先端部分に近い側に配置したことを特徴とする。
【0008】
本発明の一態様では、前記把持部は、ステンレス製であることを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様では、前記把持部には、前記先端部分と反対側の端から前記先端部分に向かって、前記先端部分側が小径となる段付きの穴が形成され、前記穴の前記先端部分側に前記温度センサーを配置した状態で、当該穴に銅パイプを差し込んで前記温度センサーを固定するとともに、前記発熱部を前記銅パイプに熱線を巻き付けて構成したことを特徴とする。
【0010】
本発明の一態様では、前記温度制御機能付き把持具は、前記電池と接続するコネクタと、前記コネクタを介して前記電池から駆動電力の供給を受ける電源回路と、前記温度制御回路とを収納するケースと、前記ケースに固定され、前記把持部のうち前記先端部分と反対側の端を支持する支持部と、をさらに含むことを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様では、前記支持部は、前記把持部を支持する部分で当該把持部の外側を覆っており、PEEK樹脂により形成されることを特徴とする。
【0012】
本発明の一態様では、前記温度制御機能付き把持具は、前記一対の先端部分の噛み合わせのずれを防止するためのガイドをさらに含むことを特徴とする。
【0013】
本発明の一態様では、前記包埋材はパラフィンであることを特徴とする。
【0014】
本発明の一態様では、前記電池は、前記温度制御機能付き把持具から取り外して充電可能な充電池であることを特徴とする。
【0015】
本発明の一態様では、前記温度制御機能付き把持具は、前記電池の残容量、又は前記発熱部への通電状態の少なくとも一方を表示する表示部をさらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様によれば、試料を把持する把持具の先端部分の温度を包埋材の融点以上に保つことで、試料を包埋材中に埋め込む作業の途中で把持具に付着した包埋材が凝固してしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態に係る温度制御機能付き把持具の外観図である。
【図2】把持部の断面図と、把持部の先端部分の拡大図である。
【図3】ピンセットの機能ブロック図である。
【図4】温度制御処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための実施の形態(以下、実施形態)を、図面に従って説明する。
【0019】
図1には、本実施形態に係る温度制御機能付き把持具(以下、ピンセット10)の外観図(投影図)を示した。図1(A)はピンセット10の平面図、図1(B)はピンセット10の正面図、図1(C)はピンセット10の側面図を示している。
【0020】
ピンセット10は、その構成を大きく分けると、試料を把持する機能を実現する把持機構部20、試料を把持する把持部の温度制御等を実現する電気回路を収容した本体部40、及び電気回路に駆動電力を供給する電源部60からなる。
【0021】
把持機構部20は、一対の把持部22、それぞれの把持部22を支持する支持部24、それぞれの把持部22の噛み合わせ精度を向上させるためのガイド部26、本体部40に支持部24を固定するとともに把持部22に位置の復元力を持たせるためのバネ部28からなる。以下、各部の詳細について説明する。
【0022】
把持部22は、操作部分30に把持部22を互いに近づける向きの力が加えられた場合に、把持部22の各先端部分22A(把持部22で細くなっている部分)が噛み合わさることで、先端部分22Aにより試料を把持する。なお、本実施形態に係るピンセット10が細胞組織等の試料を扱うものであること、把持部22の先端部分22Aに熱が伝わる必要があること、把持部22に強度を持たせる必要があること等の観点から、把持部22はステンレスにより成形することとした。
【0023】
図2には把持部22の全体形状を示す図を示した。図2に示されるように、把持部22の先端部分22Aよりも本体部40側(すなわち根元側)に位置する部分は中に穴が空けられて空洞になっている。この空洞部22Bは、把持部22の先端部分22Aと反対側の端から深穴を加工することにより形成されるものであり、空洞部22Bは、先端部分22Aに近い側で穴の径が小さくなる段差付きの形状に形成される。
【0024】
空洞部22Bにおける小径の穴(すなわち先端部分22A側の穴)には、小型の温度センサーを配置した状態で、熱伝導率の高い銅パイプを差し込み固定する。そして、銅パイプには本体部40に延びた熱線を巻き付けてヒーターを構成し、ヒーターにより把持部22の先端部分22A及び先端部分22Aから所定の範囲(例えば30ミリメートル程度)までを目標の温度範囲(例えばパラフィンの融点以上であって、細胞組織を痛めない温度範囲)となるように温めるようにする。なお、目標の温度範囲は、基準温度(包埋材の融点以上の温度であり、例えば63度)に対してプラスマイナス2度程度であることが望ましい。
【0025】
ここで図1に戻り説明を続ける。支持部24は、把持部22の根元部分を支持するものである。なお、把持部22の先端部分22Aを温めるヒーターの温度が高熱となるため(例えば摂氏100度以上)、支持部24は、把持部22の根元部分の少なくとも外側(把持部22同士が対向しない面)を覆い、ピンセット10の操作者が把持部22に直接触れることのないように構成する。本実施形態では、支持部24を形成する材料として、耐熱性があり、連続使用可能な温度が高く、耐薬品性がある(具体的にはパラフィンの溶媒であるキシレンに耐性のある)PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂を用いることとする。
【0026】
バネ部28は、支持部24を本体部40に固定するとともに、支持部24により支持された把持部22に位置の復元力を持たせるために設けられる。例えば、バネ部28は、コの字型のステンレスバネ鋼により構成することとしてよく、バネ部28は、本体部40と支持部24の両方に例えばネジにより固定される。
【0027】
ガイド部26は、一対の支持部24の間に設けられ、支持部24に支持された把持部22の稼働方向が、把持部22の先端部分22Aの対向方向に対して左右にずれないようにすることで、把持部22の噛み合わせの精度を向上させるようにしている。
【0028】
本体部40は、把持機構部20及び電源部60のそれぞれと結合されており、電源部60から電力の供給を受けて、把持部22内に配置されたヒーター(熱線)への通電を制御して、把持部22の温度制御を行うための電気回路を収容している。また、本体部40には、本体部40への電源部60からの通電の開始と終了を制御する電源スイッチ42と、通電状態等を表示するLEDライト等からなる表示部44が設けられている。なお、本体部40に収容された回路構成の詳細については後述する。
【0029】
電源部60は、本体部40に着脱可能に設けられた電池を含み構成される。本実施形態では、電源部60はリチウムイオン電池等の充電池により構成されることとするが、乾電池により構成することとしても構わない。なお、電源部60にリチウムイオン電池を採用することで、電源部60を小型化しつつ、把持部22を目標温度に維持可能な時間を伸ばすことができる。なお、電源部60を充電池で構成した場合に、充電池はピンセット10から取り外した状態で充電器により充電可能としてよい。
【0030】
次に、図3には、本実施形態に係るピンセット10において行われる把持部22の温度制御処理を実現するための機能を示した機能ブロック図を示した。図3に示した機能ブロック図は、ピンセット10の形状や構成のうち温度制御処理に必要な構成を模式的に示したものである。図3に示されるように、ピンセット10は、把持機構部20、本体部40、電源部60とから構成される。
【0031】
図3における把持機構部20は、簡略化のため把持部22と支持部24のみを示している。図3に示されるように、把持部22の内部には、温度センサー32と、ヒーター34とが設けられている。なお、上述したように温度センサー32とヒーター34とは把持部22に形成された空洞部22B(深穴)のうち小径の穴(すなわち先端部分22A側の穴)の中に配置されることとしてよい。そして、温度センサー32と本体部40とは信号線により接続され、温度センサー32により検知された温度は本体部40へと伝送される。また、ヒーター34と本体部40とは導線により接続され、本体部40から電流が供給されることでヒーター34が加熱するようになっている。
【0032】
図3に示されるように、本体部40は、電源コネクタ41、電源スイッチ42、制御回路46、バッテリー過放電保護回路48、バッテリー残容量監視回路50、点滅回路52、電源回路54、通電スイッチ56、温度制御回路58、及び表示部44を備える。
【0033】
電源コネクタ41は、電源部60と電気的、物理的に接続するための接続部である。電源コネクタ41は、電源部60のコネクタ62と嵌め合わされることにより、本体部40と電源部60と電気的に接続し、電源部60の充電池から本体部40に電力が供給される。
【0034】
電源スイッチ42は、ピンセット10の温度制御機能のONとOFFを切り替えるスイッチである。電源スイッチ42がONされた場合には、バッテリー64から制御回路46へ電力を供給して温度制御処理を開始する。
【0035】
制御回路46は、バッテリー64の状態の監視及び制御、バッテリー64からヒーター34側への通電の制御、バッテリー64の状態やヒーター34への通電の状態に応じて表示部44の表示制御等の各種制御処理を行う回路である。
【0036】
バッテリー過放電保護回路48は、バッテリー64が過放電状態にならないように保護する回路である。例えば、バッテリー過放電保護回路48は、バッテリー64の電圧が所定値以下(又は未満)となった場合に、バッテリー64との接続を切断することとしてよい。
【0037】
バッテリー残容量監視回路50は、バッテリー64に蓄電されている電気容量(残容量)を監視する回路であり、監視された残容量を点滅回路52に出力する。
【0038】
点滅回路52は、バッテリー残容量監視回路50から入力された残容量が閾値以下(又は未満)となった場合に、残容量の低下を警告する警告信号を制御回路46に出力する。
【0039】
制御回路46は、点滅回路52から警告信号が入力された場合には、表示部44で表示されるライトを点滅させて、利用者にバッテリー残容量の低下を知らせる。なお、本実施形態では、表示部44を例えばLEDライトにより構成されることとしたが、表示部44を他の形態、例えば液晶ディスプレイにより構成することとしても構わない。
【0040】
電源回路54は、電源スイッチ42がONされ、バッテリー64が過放電状態でない場合に、制御回路46から入力される電力供給の開始信号に基づいて、バッテリー64から通電スイッチ56への通電を開始する。なお、電源回路54は、バッテリー64から入力される電力を、所定の電圧及び電流に変換してから通電スイッチ56に供給することとしてもよい。
【0041】
通電スイッチ56は、電源回路54とヒーター34との間に設けられ、電源回路54とヒーター34との導通と切断とを、温度制御回路58から入力される制御信号に従って切り替える電気素子である。
【0042】
温度制御回路58は、温度センサー32と信号線で接続されており、温度センサー32により検知された温度に基づいて通電スイッチ56の導通と切断との切り替えを制御する回路である。例えば、温度制御回路58は、温度センサー32から温度を表す信号(温度信号)を取得し、取得した温度信号により示される温度が所定の温度範囲内にあるか否かを判定する。そして、温度制御回路58は、上記検知された温度が所定の温度範囲に満たない場合には、通電スイッチ56に導通信号(ON信号)を出力し、所定の温度範囲以上である場合には、通電スイッチ56に切断信号(OFF信号)を出力することとしてよい。もちろん、温度制御回路58により用いられる温度制御のアルゴリズムは、上記のものに限られず、比例制御(P)、積分制御(I)、微分制御(D)、又はこれらの組み合わせ(PID制御)等を用いることとしてもよいのはもちろんである。
【0043】
ここで、図4に示した温度制御処理のフローチャートを参照しながら、温度制御処理の流れの一例を説明する。
【0044】
ピンセット10の電源スイッチ42がONされると(S101)、バッテリー64が過放電状態にない場合には(S102:Y)、温度センサー32により温度を検出する(S103)。ここで検出された温度が目標温度範囲未満である場合には(S104:Y)、通電スイッチ56をONにしてヒーター34への電力を供給するとともに(S105)、表示部44のライトを「通電状態」を示すように点灯させる(S106)。一方で、検出された温度が目標温度範囲以上である場合には(S104:N)、通電スイッチ56をOFFにしてヒーター34への電力供給を停止するとともに(S107)、表示部44のライトを「切断状態」を示すように消灯させる(S108)。
【0045】
ピンセット10の電源スイッチ42がOFFに切り替えられない場合には(S109:N)、S102に戻り、それ以降の処理を繰り返す。また、S102でバッテリー64が過放電状態にある場合(S102:N)、及び電源スイッチ42がOFFに切り替えられた場合には(S109:Y)、バッテリー64との電気接続を切断して(S110)、処理を終了する。
【0046】
次に、本実施形態に係るピンセット10の用途の一例について説明する。例えば、ピンセット10は、細胞組織等の試料をパラフィンに埋め込む包埋という作業に用いられる。以下、包埋作業の手順の一例について説明する。
【0047】
まず、ピンセット10の電源スイッチ42をONにして、ピンセット10の先端部分22Aの温度を61〜65度程度の目標温度範囲になるまで待機する(ステップA)。例えば目標温度範囲に達した場合に、表示部44の表示が通電状態(ON)から切断状態(OFF)に切り替わるようにしておけば、表示部44の点灯状態に基づいて目標温度範囲に到達したか否かを判断できる。
【0048】
次に、包埋用の容器にパラフィンを注ぎ込む(ステップB)。そして、試料が格納された試料格納容器から、ステップAで温められたピンセット10を用いて試料を取り出して包埋用の容器に入れる(ステップC)。その後、包埋用の容器に上蓋(例えば上蓋にはパラフィンが注ぎ込む穴が空いていることとする)を置いて、さらに上蓋の上部からパラフィンを注ぎ込む(ステップD)。最後に、包埋用の容器を冷却して凝固させる(ステップE)。
【0049】
以上説明した本実施形態に係るピンセット10によれば、試料を把持してパラフィンに埋め込む包埋作業に用いるピンセット10における試料を把持する先端部分22A及び先端部分22A近傍の温度をパラフィンの融点以上に保つことで、包埋作業の途中でピンセット10に付着したパラフィンが凝固してしまうことを防止できる。また、ピンセット10の先端部分22Aの温度範囲の変動を小さくすることで、先端部分22Aの温度上昇により試料を痛めることを防止できる。また、ピンセット10の把持部22の内部であって先端部分22Aに近い位置にヒーター34を配置したことで、ピンセット10の把持部22を対薬品性、耐久性、強度に優れるものの熱伝導率が低いステンレスを用いて構成した場合であっても、把持部22の先端部分22Aを低い消費電力で加温できる。このように低消費電力での加温を実現したことで、電源にバッテリーを用いた場合にも連続使用可能時間を延ばすことができる。また、把持部22を支持部24により支持し、支持部24に力を加えて操作するようにしたことで、試料の把持及び開放を行うのに要する力を軽減させ、操作者の作業性を向上させることができる。また、支持部24をPEEK樹脂で構成したことにより、ステンレス製の把持部22の熱を逃がさないようにして、効率良く把持部22を温めることができる。また、把持部22の先端部分22Aの形状を薄く、小さくすることによりパラフィンの付着を抑え、ピンセット10の操作性を損なわないようにできる。そして、電源部60(バッテリー)を取り外し可能とし、複数のバッテリーを入れ替えて使用できるようにしたことで、連続使用可能時間を延長できる。
【0050】
また、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、ピンセット10が待機状態にある場合、例えば待機槽に浸漬されている場合には、電源部60からの電力供給をOFFにすることにより待機電力を無くすようにしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
10 ピンセット、20 把持機構部、22 把持部、22A 先端部分、22B 空洞部、22C 把持面、24 支持部、26 ガイド部、28 バネ部、30 操作部分、32 温度センサー、34 ヒーター、40 本体部、41 電源コネクタ、42 電源スイッチ、44 表示部、46 制御回路、48 バッテリー過放電保護回路、50 バッテリー残容量監視回路、52 点滅回路、54 電源回路、56 ヒーター通電スイッチ、58 温度制御回路、60 電源部、62 コネクタ、64 バッテリー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を把持し、当該把持した試料を包埋材中に埋め込む作業に用いる温度制御機能付き把持具であって、
電池と、
前記試料を把持する一対の先端部分を有する把持部と、
前記電池から供給される電流によって発熱し、前記先端部分を加熱する発熱部と、
前記先端部分の温度を検知する温度センサーと、
前記温度センサーで検知される温度が前記包埋材の融点以上の所定の温度範囲内に収まるように、前記電池と前記発熱部との通電を制御する温度制御回路と、を含み、
前記発熱部と前記温度センサーとを、前記把持部の内部であって前記先端部分に近い側に配置した
ことを特徴とする温度制御機能付き把持具。
【請求項2】
前記把持部は、ステンレス製である
ことを特徴とする請求項1に記載の温度制御機能付き把持具。
【請求項3】
前記把持部には、前記先端部分と反対側の端から前記先端部分に向かって、前記先端部分側が小径となる段付きの穴が形成され、
前記穴の前記先端部分側に前記温度センサーを配置した状態で、当該穴に銅パイプを差し込んで前記温度センサーを固定するとともに、前記発熱部を前記銅パイプに熱線を巻き付けて構成した
ことを特徴とする請求項2に記載の温度制御機能付き把持具。
【請求項4】
前記電池と接続するコネクタと、前記コネクタを介して前記電池から駆動電力の供給を受ける電源回路と、前記温度制御回路とを収納するケースと、
前記ケースに固定され、前記把持部のうち前記先端部分と反対側の端を支持する支持部と、をさらに含む
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の温度制御機能付き把持具。
【請求項5】
前記支持部は、前記把持部を支持する部分で当該把持部の外側を覆っており、PEEK樹脂により形成される
ことを特徴とする請求項4に記載の温度制御機能付き把持具。
【請求項6】
前記一対の先端部分の噛み合わせのずれを防止するためのガイドをさらに含む
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の温度制御機能付き把持具。
【請求項7】
前記包埋材はパラフィンである
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の温度制御機能付き把持具。
【請求項8】
前記電池は、前記温度制御機能付き把持具から取り外して充電可能な充電池である
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の温度制御機能付き把持具。
【請求項9】
前記電池の残容量、又は前記発熱部への通電状態の少なくとも一方を表示する表示部をさらに含む
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の温度制御機能付き把持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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