説明

温度制御炉を備えた示差走査熱量計(DSC)

基準及び試料セル、及び制御熱シールドを備えている、示差走査熱量計装置。シールドの温度は、炉から周囲の環境に熱流を排除する(準断熱状態)ことによって、そして、炉と温度制御されたヒートシンク間の、明確な固体状態である熱抵抗を通して、熱流を制御することによって、ベースラインの湾曲を少なくするよう制御される。各々のシールドの温度は、走査の全温度範囲で熱流量の差を減少させるために、個別に制御可能であり、また、一般的な入力補償型DSCの運用のため、一定温度を維持することも可能である。各々のシールドの温度/時間の様相は、実際の炉温度に従って、空運転することで、又は、試料測定のためコンピュータ・メモリに記憶されたものを呼び出すことで、制御可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、2005年2月10日に出願された、米国出願11/054,755号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、熱量分析機器、より具体的には、示差走査熱量計のための温度制御シールドに関する。
【背景技術】
【0003】
示差走査熱量計(DSC:differential scanning calorimeter)は、試料(sample)及び基準物質(reference substance)を装置中に置き、両方の温度を一定の速度で変化させた際に、試料によって発生若しくは吸収される熱流量(heat flow)の差を、基準物質と比較して検出及び分析する装置である。
【0004】
試料物質は、溶解、結晶化、凝固、参加、などといった様々な物性変化を重ね、その温度は内部エネルギーの変化に影響を受ける。試料及び基準の間の温度差は記録され、このデータにより、試料の中で発生した内部エネルギーの変化を求めるための計算が実行される。このような情報は、調合薬、樹脂、フィルム、などの材料を評価する際に利用される。
【0005】
DSCの1タイプは入力補償型DSCである。それは一般的に、試料及び基準のための2つの独立した熱量計の組み合わせによる構造である。両方の温度センサーで検出される温度の平均値が、温度を一定の速度で変化させるようなプログラムの温度出力と比較される。二つの熱量計は、補償ヒーターの熱流によって両方の温度の値が一致するように、加熱される。また、もし温度差が両方の温度センサーの出力によるものであった場合、両方のヒーターは、温度差がゼロに戻されるように、直ちに入力を減少又は増加させる。その後、両方のヒーターに供給される入力の差が、熱流量信号の差として連続的に記録される。
【0006】
低ドリフト及び特定の反応特性を有するDSCに関する特許文献1(参照することにより本書に組み込まれる)のような、様々な入力補償型示差走査熱量計が技術的に知られている。試料温度は炉温制御器による温度プログラムに従って制御され、同時に温度検知制御器によって制御される。また、もし温度差が発生した場合、示差熱補償回路によって温度差が略ゼロに戻されるように試料及び基準が調整されるよう、ヒーターへの供給入力が独立して供給され、熱流量差として供給入力の差が出力される。
【0007】
特許文献2(参照することにより本書に組み込まれる)は、試料と熱交換関係にある外部媒体の温度変動によって求められるプログラムに従って、試料物質の温度を変化させることで、分析を実行する手段に関する。試料及びプログラムの間の温度の差が計測され、温度差をゼロに維持するために加えられる熱が変化される。温度差をゼロに維持するために必要とされた入力が計測される。
【特許文献1】米国特許第6,530,686号明細書
【特許文献2】米国特許第3,263,484号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
入力補償型示差走査熱量計は、反応が良く、熱補正の時定数の短縮化が実現できる。しかしながら、ベースライン性能に関しては、取得安定度に問題がある。その主な理由は入力補償型センサーが、計測中に周囲の部材に対して大きな温度差を持ち、その結果、センサーから外部へ比較的大量の熱漏れが発生し、ベースラインのドリフト要因になることである。加えて、運用の難しさや、冷却中にセルに着霜することで、工程間に遅延時間がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本手法およびシステムは、少なくとも1つのセルと、少なくとも1つのセルに隣接して位置決めされた熱シールドと、セルおよび熱シールドを加熱する能力のある加熱システムと、セルと基準との間の温度差を監視する温度監視装置と、を備えている示差走査熱量計を提供する。1つの実施例においては、熱シールドはセルの周囲に位置決めされているシリンダーである。熱シールドは上端、下端、及び誘電性の層を配置可能な側壁を備えることができる。側壁は更に外周、及び外周に沿って延ばされた溝を備えている。ある実施形態においては、熱シールドには更に側壁上に熱電対が配置されており、熱電対は熱抵抗ワイヤ及び抵抗ワイヤを備えることが可能である。選択肢として、プラチナの熱抵抗ワイヤがある。熱シールドは更には、側壁上に配置された温度センサーを備えることができる。いくつかの実施形態においては、熱シールドは更に、シールドを加熱するために側壁上に設置された抵抗ワイヤを備えている。熱シールドは、1またはそれ以上のアルミニウム、銅、セラミック、又は銀を選択的に含むことができる、高熱伝導材料で作ることができる。ある実施形態においては、熱シールドは準断熱(quasi adiabatic)と特徴付けられている。1つの実施形態においては、熱シールドの側壁は約0.25mmから10mm厚であり、例えば約0.5mm厚にすることができる。選択的に、少なくとも1つの第1のカバーを熱シールド上に配置することができる。選択的に、熱シールドの周囲に所定のブロックが位置決めされ、そして選択的に、第2のカバーがブロック上に配置される。いくつかの実施形態においては、セルと熱シールドの間に隙間がある。1つの例では、基準が試料であり、そして選択的に、基準はデータとすることが可能である。
【0010】
本願の教示には、以下のものを備えている示差走査熱量計もまた含まれている: 試料セル;基準セル;試料セルに隣接して位置決めされた第1の熱シールド;基準セルに隣接して位置決めされた第2の熱シールド;試料セル、基準セル、第1の熱シールド、及び第2の熱シールドを加熱する能力のある加熱システム;試料セルと基準セル間の温度差を監視する温度監視装置。第1の加熱装置は試料セルと連結し、第2の加熱装置は基準セルと連結し、第3の加熱装置は第1の熱シールドと連結し、及び/又は第4の加熱装置は第2の熱シールドと連結することができる。従って、1またはそれ以上の加熱装置が1またはそれ以上の試料セル、基準セル、第1の熱シールド、及び第2の熱シールドと連結することができる。いくつかの実施形態においては、示差走査熱量計は更に、第1、第2、第3、及び/又は第4の加熱装置の温度を変化させることが可能な制御システムを備えている。このような示差走査熱量計は更にコンピュータ及び/又は出力装置を備えることができる。ある実施形態においては、第1の熱シールドは試料セルの周囲に位置決めされたシリンダーであり、第2の熱シールドは基準セルの周囲に位置決めされたシリンダーである。
【0011】
現在の指導には、以下を具備している試料セルと基準との間の温度差を監視する方法もまた含まれている: 試料セル及び基準を備えている示差走査熱量計を供給するステップ;セルに隣接して位置決めされた少なくとも1つの熱シールド;セル及び熱シールドを加熱する能力のある加熱システム;セルと試料物質との間の温度差を監視する温度監視装置;示差走査熱量計からの獲得信号;信号により生成される変数を用いた、試料セルと基準との間の温度差計算。いくつかの実施形態においては、その方法は更に、例えば、セルの周囲に位置決めされたシリンダーとすることが可能な熱シールドを使用するステップ、を具備している。
【0012】
ここで使用されている「断熱の」という単語は、工程中において、システムが周囲の環境と熱交換しない工程のことを言う。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
改良された示差走査熱量計(DSC)の実施形態の概略図を図1に示す。例えばPerkinElmer社 Diamond DSCのような熱量計100を、本願の教示に組み込むことが可能である。しかしながら、PerkinElmer社入力補償型Pyris1DSC、PerkinElmer社DSC7、などのような他のモデルも、使用されている可能性がある。図示したDSCは、熱シールドにもなりうる外枠5によって規定された内室4内に設置された、金属製ベース2を有している。金属製ベース2は冷却ブロック(図1には示さず)に接続することが可能である。ベース2上の支柱6は、体積および質量が類似した基準セル8および試料セル10を支持し、加熱要素とともに取り付けられている。基準セル8と試料セル10各々は、ケース(図1には示さず)内に試料を保持するが、当業者であれば、基準セル8を空にしたままにすることができる、及び/又は基準が、既知の特性を持ったデータ又は試料になりうることを理解されるであろう。リード線16はセル8及び10を各々のセル内の加熱要素12及び14に電力供給をする電源18に接続している。コンピュータ20は使用者が諸元を提供/入力できるインターフェース23、及び記憶するためのメモリ25、例えばハード・ドライブ又はランダム・アクセス・メモリを備えている。図示した加熱要素12及び14は電源18によって動かされ、これによってセル8及び10はコンピュータ20によって制御された様々な、又は等しい速度で加熱される。
【0014】
セルの温度が変化する速度は、走査速度として見なされ、使用者がコンピュータ・インターフェース23と通じて指定することができる。いくつかの実施形態においては、走査速度は毎分0.01℃から500℃の間であるが、他の速度も指定可能である。図示したように、熱運動計測装置22は、2つのセル8,10の間の温度差を測定するセンサー27に接続されている。センサー27は2またはそれ以上の、独立して分析が可能なセンサーに分割することができる。いくつかの実施形態においては、個別のシールド24の温度制御は、温度計として白金線、及びヒーターとして抵抗線のようなワイヤを使用する、2つの独立した制御ループを持つ熱運動計測装置22によって実現されている。1つの制御器は2つのシールドの平均温度を計測し、第2の制御器は両方のシールド間の温度差を測定する(入力補償型DSCの測定部として)。図示した実施形態においては、2つのシールド24の平均温度は計測システム(炉)の温度の特定の機能に従っており、差分モードに従って運用される。
【0015】
典型的なセンサーは、ワイヤ温度計、熱電対、又は半導体の熱電対のような温度測定機器を含む。走査中、セルが加熱されている時、温度差は連続的に計測される。その後、温度差のデータは熱運動計測装置22からコンピュータ20へ送信され、そこで計測時間と共にコンピュータ・メモリ25内に記憶される。出力75は、グラフ、英数字の記号、及びそれに類するデータを示す可視データとして、使用者に提供する。
【0016】
セル8及び10は、セルの周囲に設置されるシリンダーとして示される熱シールド24に囲まれている。断熱運転中、熱シールド24はセルとその周囲の間の熱交換を減少させる役割を果たす。熱シールド24の温度は、熱運動計測装置22及び熱シールド24上に設置されたセンサー27によって監視される。熱シールド24は、少なくとも1つの制御器28によって操作される、加熱及び冷却装置26に接続される。制御器28への信号は、コンピュータ20との間を往復する。セル計測装置22からの出力はコンピュータ20に送られ、電源34、続いて制御器28に送信される信号を決定するために使用される。温度情報はセル間の温度差及び測定時間と共に、繰り返してコンピュータ・メモリ35に記憶される。図示した実施形態では、セル及びシールドが機能できる温度の範囲における熱量計の運用範囲は、−170℃〜730℃である。DSCは熱シールド24及びセル8及び10の温度を±0.1℃の温度精度で測定可能であり、その温度を±0.1℃の精度で調節可能である。図1に図示していないが、当業者ならば、DSCがStepScanDSC法や、冷却装置の気体の自動切り替え、既知の試料皿の豊富な種類といった、幅広い範囲のDSCのアクセサリーやオプションによって、改良可能であることを理解しているだろう。
【0017】
図示した熱シールド24は、基準セル8及び試料セル10の周囲に設置されている。各々の熱シールド24に与えられる入力は、コンピュータ20の出力によって独立して制御される。熱シールド24は熱を発生する能力があり、セル8及び10間の温度差を積極的に減少させるために使用される。
【0018】
加熱装置はセル8若しくは10及び熱シールド24を加熱することができ、制御器によって定められる同一又は異なる加熱要素を備えることができる。1,2,3,4又はそれ以上の加熱要素が使用される場所では、加熱要素は使用者によって共通に制御される、又は独立して制御される場合がある。
【0019】
コンピュータ・インターフェース23を通して、使用者は様々な運用モードを選択することができる。熱シールド24が使用されないモード、又はセル8及び10間の温度差を積極的に最小化するためにコンピュータ20によって熱シールド24を使用する、様々な使用レベルのモードである。
【0020】
準断熱の熱シールド24を備えている熱量計の運用のモードは以下である:
モードA: 両方の熱シールド24(試料シールド及び基準シールド)は炉のプログラムされた温度に厳密に追従する(気体を通じた熱交換を考慮した断熱状態)。
モードB: モードAのように、両方の熱シールド24(試料シールド及び基準シールド)は炉のプログラムされた温度(気体を通じた熱交換に関する断熱状態)に厳密に追従するモードではあるが、特定の、制御された熱シールド間の温度差が、測定システム内の熱流量差を少なくするために取り入れられる。
モードC: 各々の独立した熱シールド24(試料シールド及び基準シールド)が個別に制御されている。ベースラインの湾曲を少なくするため、各々のシールドの温度は全ての温度に対して、熱流量差が、例えば、最小のベースライン熱流量まで減少するように調整される。さらに、各々の炉とシールド間の熱流量差は準断熱状態と言える値まで減少する。シールド温度のための温度機能は空運転(empty run)によって得られ、配列として、又はコンピュータ・メモリ内の平滑関数として記憶される。温度機能は走査の間、ベースライン熱流量を可能な限り最小にするよう、シールドの温度を設定するために、再呼び出しすることができる。
モードD: 両方の熱シールド24(試料シールド及び基準シールド)は「一定の温度」モードで運用することができる。このモードではDSCを標準的な入力補償モード運用するようにする。
モードE: 周囲の環境への熱損失を減少させるため、最大冷却速度を低下させるための冷却を始める前に、シールドをヒートシンクの温度に設定することができる。
【0021】
図2について言及すると、図2には個別温度制御シールドを備えたDSCの部分組立品が示されている。準断熱の温度制御シールド24が、試料セル10のようなセルを取り囲んでいることを示している。シールド24は、シールド24を介して温度が変化するのを避けるために、1またはそれ以上のアルミニウム、銅、セラミック、又は銀のような高熱伝導材料で作られている。素早い冷却を可能にするのに必要な温度変化及び熱損失はシールドの接続部(脚部、図2には示さず)、及び計測システムのベース部(図2には示さず)にある温度制御ヒートシンクによって決まる。接続部(脚部)は高熱運用を可能にするために、金属又はセラミック材料によって構成される。シールド24は薄い壁(0.25mmから10mm厚、好ましくは約0.5mm)のシリンダーである。隙間54はセル10と熱シールド24の間にある。図示した実施形態においては、隙間54は0.25mmから10mmの間の幅であり、いくつかの実施形態においては、0.5mmから約1.5mmであり、またその他の実施例においては、断熱の工程を促進させるため、約1.0mmとなっている。第1カバー60は熱シールド24の上面に配置されている。
【0022】
図3aについて言及すると、シリンダー形状の熱シールド24は上端44、下端46、及び側壁48を有している。第1カバー60は熱シールド24の上面に配置されて示されている。側壁48は、ワイヤをシリンダーから電気的に絶縁することを非常に短時間で反応可能にする誘電性の層50、例えばガラス又はアルミナ層で覆われている。側壁48は外周を有しており、ネジ形状になっている。従って溝52は外周に沿って延ばされている。図3bについて言及すると、ワイヤ40が、熱シールドの外周に延ばされた溝52内に配置されて示されている。いくつかの実施形態においては、ワイヤ40はヒーターとして熱抵抗ワイヤ部54及び抵抗ワイヤ部56を備えている、側壁48上に配置された温度計又は熱電対になりうる。いくつかの実施形態においては、ワイヤ40は温度センサーとしての働きをすることも可能である。熱抵抗ワイヤ54及び抵抗ワイヤ56の両方は、温度制御において短時間での反応を実現するために、側壁48の広いエリアを覆うように、シリンダーの外側の周囲に巻かれている。ヒーターとセンサーワイヤとの間の接触を避けるために、各々は分離した平行の溝内に収められており、高温セラミック接着剤によってその位置に固定されている。熱抵抗ワイヤ54はプラチナで作ることも可能である。図3に示してはいないが、図示した実施形態においては、プラチナのワイヤはプラチナのリボン・コネクタに金ろうで接続されており、高熱運用を可能にしている。
【0023】
図4aについて言及すると、DSC計測システムは基準セル8及び試料セル10を備えている部分組立品を有している。部分組立品と電気回路網は金属製のベース2内に収められている。様々なリード線58が、ベース2の底部に挿入されており、部分組立品内に位置決めされているセンサー及びヒーターとコンピュータ間を往復する信号を発信するために使われている。基準セル8及び試料セル10は装置の中央に、互いに隣接して示されている。熱シールド24は基準セル8及び試料セル10を取り囲んでおり、金属製のベース2から上方に延ばされ露出している。図4bについて言及すると、DSC計測システムは、図4aに示したものと同様の概観だが、アルミニウム・ブロック60が金属製のベース12の上側に設置されている。金属製のブロック60はアルミニウム製で、金属製のベース2上に設置されたブロックの中央部に位置する2つの開口62を備えている。そして、熱シールド24を有する基準セル8及び試料セル10の周囲をぴったりと取り囲んでいる。図4cは第2のカバー64がブロック60を覆うように設置されており、開口62をカバーしている。
【0024】
図5は、基準セル及び試料セルを取り囲む熱制御シールドを用いて、昇温速度10K/minで350Kから450Kまで加熱している、空の測定システムの熱流量のグラフを示している。運用された準断熱の温度制御シールドの効果が、ベースラインの直線性として描写されていることを、図5に見ることができる。シールドの温度制御が、ベースラインの直線性を向上させている。この場合では、シールドの温度は計測システムの温度を確実に追従している。当業者ならば、ベースラインの直線性及びノイズ・レベルをさらに向上させるために、更に高度な制御アルゴリズムを追加できることを理解しているだろう。
【0025】
種々の改変が、本願の教示の基本精神から逸脱することなく成し得ることは明らかであろう。したがって、当業者であれば、本明細書に特段記載されていなくても、本発明が、添付の特許請求の範囲の技術的範囲内で実施され得ることが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】少なくとも1つの熱シールドを備えた、示差走査熱量計(DSC)の概略図である。
【図2】図1に示したような熱制御シールドを有した、DSCの部分組立品の前面等角図である。
【図3a】図2に示したような熱制御シールドの側面等角図である。
【図3b】図2に示したような熱制御シールドの側面等角図である。
【図4a】2つの図2に示したような部分組立品を有するDSC計測システムの前面等角図である。
【図4b】金属製のブロックを有する、図4の測定システムである。
【図4c】ブロック上に配置された、追加されたカバーを有する、図4bの測定システムである。
【図5】図4cの空の測定システムの熱流量のグラフであって、昇温速度10K/minで350Kから450Kまで加熱している。
【符号の説明】
【0027】
4 内室
5 外枠
6 支柱
8 基準セル
10 試料セル
12,14 加熱要素
16 リード線
18 電源
20 コンピュータ
22 熱運動計測装置
23 インターフェース
24 熱シールド
25 メモリ
26 加熱及び冷却装置
27 センサー
28 制御器
34 電源
35 コンピュータ・メモリ
40 ワイヤ
44 上端
46 下端
48 側壁
50 誘電性の層
52 溝
54 隙間
56 抵抗ワイヤ
58 リード線
60 第1カバー
62 開口
64 第2カバー
75 出力装置
100 熱量計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
示差走査熱量計であって、
少なくとも1つのセルと、
前記セルに隣接して位置決めされた少なくとも1つの熱シールドと、
前記セル及び前記熱シールドを加熱することができる少なくとも1つの加熱システムと、
前記セルと基準との間の温度差を監視する温度監視装置と、
を備える示差走査熱量計。
【請求項2】
前記熱シールドが前記セルの周囲に位置決めされたシリンダーである、請求項1に記載の示差走査熱量計。
【請求項3】
前記熱シールドが、上端、下端、及び側壁を備えている、請求項1に記載の示差走査熱量計。
【請求項4】
誘電性の層が前記側壁上に配置された、請求項3に記載の示差走査熱量計。
【請求項5】
前記側壁が更に外周及び該外周に沿って延在する溝を備えている、請求項3に記載の示差走査熱量計。
【請求項6】
前記熱シールドが更に側壁上に配置された熱電対を備えている、請求項3に記載の示差走査熱量計。
【請求項7】
前記熱電対が熱抵抗ワイヤ及び抵抗ワイヤを備えている、請求項6に記載の示差走査熱量計。
【請求項8】
前記熱抵抗ワイヤはプラチナである、請求項7に記載の示差走査熱量計。
【請求項9】
前記熱シールドが更に側壁上に配置された温度センサーを備えている、請求項3に記載の示差走査熱量計。
【請求項10】
前記熱シールドが前記シールドを加熱するために、更に側壁上に配置された抵抗ワイヤを備えている、請求項3に記載の示差走査熱量計。
【請求項11】
前記熱シールドが高熱伝導材料で作られている、請求項1に記載の示差走査熱量計。
【請求項12】
前記高熱伝導材料は、アルミニウム、銅、セラミック、及び銀の少なくとも1つを含む、請求項11に記載の示差走査熱量計。
【請求項13】
前記熱シールドは準断熱と特徴付けられている、請求項1に記載の示差走査熱量計。
【請求項14】
前記側壁が約0.25mmから10mmの厚さである、請求項3に記載の示差走査熱量計。
【請求項15】
前記側壁が0.5mmの厚さである、請求項3に記載の示差走査熱量計。
【請求項16】
前記熱シールドに配置された少なくとも1つの第1のカバーを更に備えている、請求項3に記載の示差走査熱量計。
【請求項17】
前記熱シールドの周囲に位置決めされたブロックを更に備えている、請求項3に記載の示差走査熱量計。
【請求項18】
前記ブロック上に配置された第2のカバーを更に備えている、請求項17に記載の示差走査熱量計。
【請求項19】
前記セルと前記熱シールドとの間に隙間を更に有している、請求項1に記載の示差走査熱量計。
【請求項20】
前記基準がデータである、請求項1に記載の示差走査熱量計。
【請求項21】
前記基準が試料である、請求項1に記載の示差走査熱量計。
【請求項22】
示差走査熱量計であって、
試料セルと、
基準セルと、
前記試料セルに隣接して位置決めされた第1の熱シールドと、
前記基準セルに隣接して位置決めされた第2の熱シールドと、
前記試料セル、前記基準セル、前記第1の熱シールド、及び前記第2の熱シールドを加熱することができる少なくとも1つの加熱システムと、
前記試料と前記基準セルとの間の温度差を監視する温度監視装置と、
を備える示差走査熱量計。
【請求項23】
請求項22記載の示差走査熱量計であって、前記少なくとも1つの加熱システムが、
前記試料セルに接続された第1の加熱装置、
前記基準セルに接続された第2の加熱装置、
前記第1の熱シールドに接続された第3の加熱装置、
前記第2の熱シールドに接続された第4の加熱装置、及び、
前記第1、第2、第3、第4の加熱装置のうち少なくとも1つの加熱装置の温度を変化させることが可能な制御システム、
のうち少なくとも1つを備えている、示差走査熱量計。
【請求項24】
前記第1の熱シールドが前記試料セルの周囲に位置決めされたシリンダーであって、前記第2の熱シールドが前記基準セルの周囲に位置決めされたシリンダーである、請求項22に記載の示差走査熱量計。
【請求項25】
試料セル及び基準セルと、前記試料セルに隣接して位置決めされた少なくとも1つの熱シールドと、前記試料セル及び前記熱シールドを加熱することができる加熱システムと、前記試料セルと前記基準セルとの間の温度差を監視する温度監視装置と、を備えている示差走査熱量計を供給するステップと、
示差走査熱量計から信号を得るステップと、
前記信号に基づいた変数を使って、前記試料セルと前記基準セルとの間の温度差を計算するステップと、
を具備している方法。
【請求項26】
前記熱シールドが前記試料セルの周囲に位置決めされたシリンダーである、請求項25に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3(a)】
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【図3(b)】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図4(c)】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−530560(P2008−530560A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555278(P2007−555278)
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【国際出願番号】PCT/US2006/004884
【国際公開番号】WO2006/086708
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(505359506)パーキンエルマー・エルエーエス・インコーポレーテッド (28)
【Fターム(参考)】