温度制御装置
【課題】円盤状のマイクロチップに設けられた被温度調節部の温度を局所的に制御する温度制御装置を提供する。
【解決手段】回転駆動部30は、マイクロチップ11をステージ12と平行に周方向へ回転する。これにより、マイクロチップ11の槽領域111に接する温度調節部20は変更される。蓋部材40でマイクロチップ11をステージ12側へ押し込むことにより、マイクロチップ11の槽領域111は温度調節部20の伝熱部22に接する。そのため、マイクロチップ11の槽領域111は、局所的に伝熱部22によって温度が制御される。また、温度調節部20を予め所定の温度に制御することにより、マイクロチップ11が回転しマイクロチップ11と伝熱部22とが接触すると、槽領域111は設定された温度調節部20の温度に迅速に制御される。
【解決手段】回転駆動部30は、マイクロチップ11をステージ12と平行に周方向へ回転する。これにより、マイクロチップ11の槽領域111に接する温度調節部20は変更される。蓋部材40でマイクロチップ11をステージ12側へ押し込むことにより、マイクロチップ11の槽領域111は温度調節部20の伝熱部22に接する。そのため、マイクロチップ11の槽領域111は、局所的に伝熱部22によって温度が制御される。また、温度調節部20を予め所定の温度に制御することにより、マイクロチップ11が回転しマイクロチップ11と伝熱部22とが接触すると、槽領域111は設定された温度調節部20の温度に迅速に制御される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度制御装置に関し、特に板状のマイクロチップに設けられている被温度調節部の温度を制御する温度制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薄い板状のチップ上に微細な流路または槽領域などが形成されたマイクロチップが公知である。マイクロチップの流路あるいは槽領域では、例えば試料の分離、合成あるいは観察、または細胞や細菌の培養などが行われる。このようなマイクロチップとして、近年では、円盤状のマイクロチップも提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示されているマイクロチップは、透明な樹脂やガラスなどにより形成されている。そのため、試料の分離や合成だけでなく、分離や合成された試料のマイクロチップを通した観察が可能となる。
しかしながら、特許文献1に開示されているマイクロチップは、温度の制御については何ら考慮されていない。マイクロチップの流路や槽領域において試料の分離や合成、または細胞や細菌の培養などを行う場合、流路または槽領域などに設定された被温度調節部ごとに異なる温度で高精度かつ局所的に温度を制御する必要がある。特許文献1に開示されているマイクロチップの場合、全体を所定の温度に制御することは可能であるものの、局所的な温度制御は困難である。
【0004】
【特許文献1】特開2005−147949号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、板状のマイクロチップに設けられた被温度調節部の温度を局所的に制御する温度制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の温度制御装置は、被温度調節部が設けられている板状のマイクロチップの前記被温度調節部の温度を制御する温度制御装置であって、前記被温度調節部に接触可能な温度調節部が単数または周方向へ複数設けられているステージと、前記マイクロチップを前記ステージと平行に周方向へ回転駆動する回転駆動部と、を備える。
ステージには、温度調節部が設けられている。そのため、回転駆動部によってマイクロチップをステージと平行に周方向へ回転することにより、マイクロチップの被温度調節部はステージに設けられた温度調節部に接触可能である。例えばステージに設定温度の異なる温度調節部が設けられている場合、マイクロチップを回転させ被温度調節部に接する温度調節部を変更することにより、被温度調節部は迅速かつ局所的に温度調節部の温度に制御される。したがって、マイクロチップに設けられた被温度調節部の温度を局所的に制御することができる。
【0007】
(2)本発明の温度制御装置では、前記回転駆動部は、前記マイクロチップと接して前記マイクロチップを回転させる軸部材を有する。
これにより、マイクロチップは、ステージと平行に周方向へ回転駆動される。そのため、マイクロチップの被温度調節部は、ステージに設けられた温度調節部の温度により、制御される温度が変更される。したがって、マイクロチップに設けられた被温度調節部の温度を局所的に制御することができる。
【0008】
(3)本発明の温度制御装置では、前記軸部材は、前記マイクロチップの外周側の縁部に接する。
これにより、マイクロチップは、安定して回転駆動され、温度調節部に接する。したがって、マイクロチップに設けられた被温度調節部の温度を局所的に制御することができる。
【0009】
(4)本発明の温度制御装置は、前記マイクロチップを前記ステージの軸方向へ往復駆動する軸方向駆動部をさらに備える。
これにより、マイクロチップは、回転駆動されるだけでなく、ステージの軸方向へも駆動される。そのため、マイクロチップは、必要に応じてステージの温度調節部から離れたり、温度調節部に接したりする。したがって、回転駆動部によるマイクロチップの周方向への回転移動を円滑にすることができる。
【0010】
(5)本発明の温度制御装置では、前記軸方向駆動部は前記回転駆動部であり、前記マイクロチップを貫き軸方向へ往復移動および周方向へ回転する軸部材を有する。
これにより、マイクロチップの中心を貫く軸部材が回転するとマイクロチップは周方向へ回転し、軸部材が軸方向へ移動するとステージとマイクロチップとの間の距離が変化する。そのため、軸方向駆動部は回転駆動部として、マイクロチップを回転駆動しつつ、往復駆動する。したがって、簡単な構造でマイクロチップを周方向へ回転駆動し、軸方向へ往復駆動することができる。
【0011】
(6)本発明の温度制御装置では、前記軸方向駆動部は、前記マイクロチップを前記ステージ側へ押し付ける蓋部材を有する。
蓋部材によってマイクロチップをステージ側へ押し付けることにより、マイクロチップと温度調節部とを確実に接触させることができる。
【0012】
(7)本発明の温度制御装置では、前記軸方向駆動部は、前記マイクロチップを前記ステージ側へ押し付ける蓋部材と、前記マイクロチップを前記蓋部材側へ押し付ける弾性部材とを有する。
これにより、マイクロチップに対する蓋部材の押し付け力を変化させることにより、マイクロチップとステージとの距離は変化する。したがって、マイクロチップとステージとの間の距離を容易に設定することができる。
【0013】
(8)本発明の温度制御装置では、前記回転駆動部が前記マイクロチップを回転駆動するとき、前記マイクロチップは前記温度調節部から離れる。
これにより、マイクロチップが周方向へ回転移動するとき、マイクロチップと温度調節部との接触が低減される。そのため、マイクロチップは円滑に回転される。したがって、マイクロチップの被温度調節部は迅速に他の温度調節部に移動することができる。
【0014】
(9)本発明の温度制御装置は、前記ステージの周方向において前記温度調節部の間または前記マイクロチップを挟んで前記ステージに対向する蓋部材に設けられている光分析部をさらに備える。
これにより、マイクロチップの被温度調節部は、温度調節部による温度の制御だけでなく、光分析部により分析される。光分析部は、例えば可視光、紫外線や赤外線などの照射部および被温度調節部を透過または反射した光を取得する取得部などを有している。したがって、マイクロチップの被温度調節部では、局所的に制御された温度により例えば試料の分離や合成または細胞や細菌の培養を行うことができるだけでなく、それらを容易に観察することができる。
【0015】
(10)本発明の温度制御装置では、前記温度調節部は、複数設けられている場合、設定温度が異なる。
これにより、マイクロチップの被温度調節部は、回転駆動部によって回転し、温度調節部に接することにより、それぞれ設定された温度に制御される。マイクロチップを回転させて被温度調節部を設定温度の異なる温度調節部へ移動させることにより、被温度調節部は迅速に接する温度調節部の温度に制御される。したがって、被温度調節部の温度を迅速かつ局所的に制御することができる。なお、複数の温度調節部は、すべてがそれぞれ異なる温度に設定されてもよく、複数のうちの一部が同一の温度に設定されてもよい。
【0016】
(11)本発明の温度制御装置では、前記マイクロチップは、円盤状に形成されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、複数の実施形態において、実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるマイクロチップ用の温度制御装置を図1および図2に示す。図1および図2は、本発明の第1実施形態による温度制御装置を示す概略図である。
図1および図2に示すように、第1実施形態によるマイクロチップ用の温度制御装置10は、マイクロチップ11が搭載される。温度制御装置10は、ステージ12、温度調節部20、回転駆動部30および蓋部材40を備えている。
【0018】
マイクロチップ11は、例えばガラス、シリコン、セラミックス、金属、プラスチック、シリコンゴムなどのゴム、あるいはこれらの複合材料などによって略円盤状に形成されている。なお、マイクロチップ11は、単一の部材に限らず、例えば基板およびカバーなどの二つ以上の部材から形成してもよい。マイクロチップ11は、例えばエッチング加工などにより、流路および槽領域が形成されている。第1実施形態の場合、マイクロチップ11は図3に示すように四つの槽領域111を有している。マイクロチップ11は、各槽領域111に接続する流路112を有している。各流路112の槽領域111とは反対側の端部は、注入部113を形成している。例えばマイクロチップ11を用いて化学反応、試料の分離あるいは細胞の培養などを行う場合、注入部113は封止してもよい。マイクロチップ11の槽領域111は、周方向へ90°間隔で四箇所設けられている。マイクロチップ11の槽領域111は、特許請求の範囲の被温度調節部を構成している。マイクロチップ11は、中央部に板厚方向に貫く孔部114を有している。
【0019】
ステージ12は、例えば銅、アルミニウムまたは各種の合金など、熱伝導体により形成されている。ステージ12は、図1および図2に示すように温度調節部20からの排熱を放熱するヒートシンクを構成している。そのため、ステージ12は、マイクロチップ11とは反対側の端部にフィン13を有している。また、ステージ12には、例えば図示しないファンなどから送風してもよい。これにより、ステージ12の放熱は促進される。
【0020】
温度調節部20は、ペルチェ素子部21および伝熱部22を有している。ペルチェ素子部21は、ステージ12のマイクロチップ11側の端面14に搭載されている。略円柱状のステージ12のマイクロチップ11側の端面14は円形状である。温度調節部20は、ステージ12の端面14において周方向へ複数設けられている。第1実施形態の場合、温度調節部20は、図4に示すようにステージ12の周方向へ90°間隔で四箇所設けられている。これにより、温度調節部20は、マイクロチップ11の被温度調節部である槽領域111に対応して設けられる。温度調節部20は、それぞれ任意の設定温度に制御されている。温度調節部20の設定温度は、それぞれ異なっていてもよく、すべてが同一、あるいは一部が同一であってもよい。
【0021】
伝熱部22は、例えば銅、アルミニウムまたは各種の金属など、熱伝導体により形成されている。伝熱部22は、金属に限らず例えば熱伝導性を有するセラミックや樹脂などで形成してもよい。伝熱部22は、図示しない温度検出部が設けられている。温度検出部は、例えばサーミスタなどを有しており、伝熱部22の温度を検出する。温度検出部は、検出した伝熱部22の温度を電気信号として図示しない制御部に出力する。
【0022】
伝熱部22は、ペルチェ素子部21のステージ12とは反対側の面に接している。伝熱部22とペルチェ素子部21、およびペルチェ素子部21とステージ12とは、例えば接着剤などにより接着されている。ペルチェ素子部21は、通電することにより一方の面が発熱し、他方の面が吸熱するペルチェ素子を有している。ペルチェ素子は、供給される電流の向きによって一方の端面から熱を吸収し、他方の端面に排熱する。これにより、ペルチェ素子に供給する電流の向きおよび大きさを制御することにより、伝熱部22は加熱または冷却され、伝熱部22は所定の温度に制御される。伝熱部22の温度は、図示しない制御部によって制御される。制御部は、図示しない温度検出部で検出した伝熱部22の温度に基づいて、ペルチェ素子部21に供給する電流の向きおよび大きさ、または電流の供給の断続を制御する。
【0023】
なお、第1実施形態では、伝熱部22とペルチェ素子部21、およびペルチェ素子部21とステージ12とは接着剤により接着する例について説明した。接着剤は、例えばエポキシ樹脂などの熱伝導性の高い接着剤、シリコーン変性ポリマーなどの弾性接着剤、反応形アクリルなどの反応形樹脂系接着剤、α−シアノアクリレートなどの瞬間接着剤、SBS、CR、NBRなどのゴム系溶剤形接着剤、またはEVA、オレフィン、合成ゴムなどのホットメルト系接着剤などを適用することができる。また、伝熱部22とペルチェ素子部21、およびペルチェ素子部21とステージ12とは、例えばはんだやろう材により接着してもよい。
【0024】
また、第1実施形態では、温度調節部20としてペルチェ素子部21によって伝熱部22の温度を制御する構成を例に説明している。しかし、温度調節部20は、例えばヒータなどの発熱素子を有し、発熱素子によって伝熱部22を加熱する構成としてもよい。
回転駆動部30は、図1に示すようにモータ31および回転軸部32を有している。モータ31は、回転軸部32を周方向へ回転駆動する。回転軸部32は、軸方向の一方の端部がモータ31に接続されている。図示しない制御部を経由して電源からモータ31へ電力を供給すると、モータ31は周方向へ回転し、回転軸部32を駆動する。図示しない制御部は、モータ31へ電力を供給することにより、モータ31および回転軸部32の回転角度を制御する。回転軸部32は、モータ31とは反対の端部側にマイクロチップ11が取り付けられる取付部33を有している。マイクロチップ11の孔部114を回転軸部32に挿入して取付部33に係止することにより、マイクロチップ11は回転軸部32に保持される。その結果、マイクロチップ11は、モータ31の回転によって回転軸部32とともに回転する。回転軸部32にマイクロチップ11を取り付けたとき、ステージ12の端面14とマイクロチップ11とは概ね平行となる。
【0025】
モータ31は、ステージ12の収容室15に収容されている。モータ31は、例えばコイルスプリングなどの弾性部材34によってステージ12に支持されている。弾性部材34は、モータ31をステージ12に対し軸方向へ往復移動可能に支持している。これにより、モータ31および回転軸部32、ならびに回転軸部32に支持されているマイクロチップ11は、ステージ12に対し軸方向へ相対移動可能である。
【0026】
マイクロチップ11のステージ12とは反対側には蓋部材40が設けられている。蓋部材40は、蓋駆動部41によって回転軸部32の軸方向へ往復駆動される。これにより、蓋部材40は、図1および図2に示すように上下方向へ往復移動可能である。図2に示すように蓋部材40が下方へ移動すると、蓋部材40のステージ12側の端部はマイクロチップ11と接する。そのため、蓋部材40は、マイクロチップ11をステージ12側へ押し付ける。モータ31および回転軸部32は、弾性部材34によってステージ12に対し相対移動可能である。その結果、マイクロチップ11は回転軸部32およびモータ31とともにステージ12側へ押し込まれ、マイクロチップ11は温度調節部20の伝熱部22と接する。このとき、回転軸部32に支持されているマイクロチップ11は、弾性部材34の押し付け力により、蓋部材40側へ押し付けられる。第1実施形態における弾性部材34および蓋部材40は、特許請求の範囲の軸方向駆動部を構成している。
【0027】
一方、図1に示すように蓋部材40が上方へ移動すると、蓋部材40はマイクロチップ11から離れる。そのため、マイクロチップ11には蓋部材40から力が加わらない。その結果、マイクロチップ11は回転軸部32およびモータ31とともに弾性部材34によって蓋部材40側へ押し上げられ、マイクロチップ11は伝熱部22から離れる。
このように、蓋部材40が回転軸部32の軸方向へ移動することにより、マイクロチップ11と温度調節部20の伝熱部22とは接触または離間する。
【0028】
次に、第1実施形態による温度制御装置10を用いたマイクロチップ11の温度制御について説明する。ここでは、一例としてマイクロチップ11を用いて実験を行う場合について説明する。
マイクロチップ11の槽領域111には、実験の対象となる試料が注入される。試料は、注入部113から槽領域111へ注入される。試料の注入は、温度制御装置10からマイクロチップ11を外した状態、または温度制御装置10にマイクロチップ11を搭載した状態のいずれでも行うことができる。このとき、槽領域111に試料が注入されたマイクロチップ11は、図1に示すように温度制御装置10の伝熱部22から離れている。
【0029】
実験が開始されると、蓋駆動部41は蓋部材40をマイクロチップ11側へ駆動する。これにより、蓋部材40はマイクロチップ11に接し、マイクロチップ11をステージ12側へ押し付ける。そのため、マイクロチップ11はステージ12側へ移動し、マイクロチップ11のステージ12側の端面は伝熱部22に接する。このとき、マイクロチップ11は、周方向において槽領域111が温度調節部20と対応する位置に合わせられている。そのため、マイクロチップ11が蓋部材40によってステージ12側へ押し付けられることにより、槽領域111は伝熱部22に接する。その結果、槽領域111の温度は、温度調節部20の設定温度に制御される。
【0030】
マイクロチップ11の槽領域111の温度が所定の期間制御されると、その槽領域111の温度は変更される。このとき、マイクロチップ11の槽領域111は、周方向へ隣接または周方向で異なる位置にある温度調節部20へ移動される。マイクロチップ11の槽領域111を移動するとき、マイクロチップ11は回転駆動部30によって周方向へ回転される。例えば、マイクロチップ11は、周方向へ90°回転駆動される。これにより、マイクロチップ11の槽領域111は、異なる温度に制御されている隣接する温度調節部20へ移動する。
【0031】
マイクロチップ11を回転するとき、蓋駆動部41は蓋部材40をマイクロチップ11から離間させる。すなわち、蓋駆動部41は、蓋部材40を図1に示すように上方へ移動させる。これにより、マイクロチップ11は伝熱部22から離れる。マイクロチップ11が伝熱部22から離れると、回転駆動部30は回転軸部32とともにマイクロチップ11を回転させる。その結果、マイクロチップ11の槽領域111は他の温度調節部20へ移動する。そして、蓋駆動部41は、蓋部材40を再びマイクロチップ11へ押し付ける。これにより、マイクロチップ11の槽領域111は、異なる温度に制御されている伝熱部22に接し、温度制御が行われる。
【0032】
以上説明したように、第1実施形態では、マイクロチップ11はステージ12と平行に周方向へ回転される。これにより、マイクロチップ11の槽領域111に接する温度調節部20は変更される。蓋部材40でマイクロチップ11をステージ12側へ押し込むことにより、マイクロチップ11の槽領域111は温度調節部20の伝熱部22に接する。そのため、マイクロチップ11の槽領域111は、局所的に伝熱部22によって温度が制御される。また、温度調節部20を予め所定の温度に制御することにより、マイクロチップ11が回転しマイクロチップ11と伝熱部22とが接触すると、槽領域111は設定された温度調節部20の温度に迅速に制御される。したがって、槽領域111の温度を迅速、局所的かつ精密に制御することができる。
【0033】
また、第1実施形態では、マイクロチップ11が回転するとき、マイクロチップ11は温度調節部20から離れる。そのため、マイクロチップ11は、温度調節部20によって移動が妨げられない。したがって、マイクロチップ11を速やかに回転させることができる。
第1実施形態では、各温度調節部20はあらかじめ所定の温度に設定され、マイクロチップ11が回転することにより槽領域111の温度が制御される。そのため、各温度調節部20の温度変化は小さい。第1実施形態のように各温度調節部20の温度を設定し、マイクロチップ11を回転させる構成とすることにより、マイクロチップ11を固定し温度調節部20の温度を変化させる場合と比較して、マイクロチップ11の槽領域111の温度変化の速度は大きくなる。したがって、マイクロチップ11の槽領域111の温度を迅速に制御することができる。また、各温度調節部20は、一定の温度に維持され、温度変化が低減される。したがって、温度調節部20のペルチェ素子部21の寿命を延長することができる。
【0034】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態による温度制御装置を図5に示す。
第2実施形態は、第1実施形態の変形である。第2実施形態では、温度制御装置10は、軸駆動部35を備えている。軸駆動部35は、回転軸部32を軸方向へ往復駆動する。すなわち、軸駆動部35は軸方向駆動部である。これにより、回転軸部32は、周方向へ回転するだけでなく、軸方向へ移動する。そのため、第2実施形態では、マイクロチップ11は回転軸部32とともに回転および軸方向へ移動する。
【0035】
マイクロチップ11と伝熱部22とが接するとき、軸駆動部35は回転軸部32を図5の下方へ駆動する。これにより、回転軸部32はステージ12側へ移動するとともに、回転軸部32に保持されたマイクロチップ11は伝熱部22側へ移動する。その結果、マイクロチップ11の槽領域111は、伝熱部22に接する。一方、槽領域111と接する温度調節部20を変更するために、マイクロチップ11を回転するとき、軸駆動部35は回転軸部32を図5の上方へ駆動する。これにより、伝熱部22に接するマイクロチップ11は、伝熱部22から離れる。そして、回転駆動部30により回転軸部32を駆動することにより、マイクロチップ11は伝熱部22から離れた状態で周方向へ回転する。マイクロチップ11が所定の角度回転されると、軸駆動部35は再び回転軸部32を図5の下方へ駆動する。これにより、マイクロチップ11の槽領域111は、別の伝熱部22に接する。
【0036】
第2実施形態では、回転軸部32は、回転駆動部30によって周方向へ回転駆動されるだけでなく、軸駆動部35によって軸方向へ駆動される。これにより、マイクロチップ11は、回転軸部32に取り付けるだけで、伝熱部22との接触および離間、ならびに伝熱部22間の移動が行われる。したがって、簡単な構造でマイクロチップ11の槽領域111の温度を迅速かつ局所的に制御することができる。
【0037】
上述の第2実施形態では、マイクロチップ11を挟んでステージ12と対向する蓋部材を備えてもよい。マイクロチップ11を回転駆動部30によって駆動しマイクロチップ11と伝熱部22とが接するとき、回転駆動部30はマイクロチップ11の中心部分を図5の下方へ引き込む。そのため、マイクロチップ11に反りなどの変形が生じ、マイクロチップ11と伝熱部22との接触が不十分になるおそれがある。そこで、マイクロチップ11を挟んでステージ12とは反対側に蓋部材を設け、この蓋部材によってマイクロチップ11の外周側の端部をステージ12側へ押し付ける構成としてもよい。これにより、回転駆動部30によって中心部がステージ12側へ引き込まれたマイクロチップ11は、蓋部材によって外周側がステージ12側へ押し込まれる。その結果、マイクロチップ11は、全体としてステージ側12へ押し付けられ、各槽領域111と伝熱部22とが確実に接触する。
【0038】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態による温度制御装置を図6に示す。
第3実施形態では、図6に示すように蓋部材40の構成が第1実施形態と異なる。第3実施形態では、蓋部材40は、蓋駆動部41に加え、ヒートシンク42および温度調節部43を有している。ヒートシンク42は、ステージ12と同様に熱伝導率の高い金属などで形成されている。温度調節部43は、温度調節部20と同様にペルチェ素子部44および伝熱部45を有している。温度調節部43のペルチェ素子部44および伝熱部45の構成は、温度調節部20と同様であるので説明を省略する。蓋部材40は、蓋駆動部41によって回転軸部32の軸方向へ往復駆動される。なお、ヒートシンク42およびステージ12の放熱を促進するために、送風用のファンを設けてもよい。
【0039】
蓋部材40の温度調節部43は、マイクロチップ11の被温度調節部である槽領域111を挟んでステージ12の温度調節部20と対向する位置に設けられている。これにより、蓋部材40がマイクロチップ11側へ移動し、マイクロチップ11と温度調節部20の伝熱部22とが接するとき、マイクロチップ11は温度調節部20とは反対側の端面が蓋部材40の温度調節部43と接する。すなわち、マイクロチップ11の槽領域111は、一方の端部がステージ12に搭載されている温度調節部20の伝熱部22に接するとともに、他方の端部が蓋部材40に設けられている温度調節部43の伝熱部45に接する。その結果、マイクロチップ11の槽領域111は、温度調節部20および温度調節部43によって両面から温度が制御される。
【0040】
第3実施形態では、蓋部材40は、マイクロチップ11をステージ12側へ押し付けるとともに、温度調節部43がマイクロチップ11の槽領域111に接する。これにより、マイクロチップ11の槽領域111は、温度調節部20および温度調節部43によって両面から温度が制御される。したがって、槽領域111の温度をさらに迅速かつ精密に制御することができる。
【0041】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態による温度制御装置を図7に示す。
第4実施形態では、温度制御装置10は、図7に示すように光分析部50を有している。光分析部50は、ステージ12の周方向において温度調節部20に隣接して設けられている。光分析部50は、ステージ12の径方向へ移動する機能部51を有している。ステージ12は、径方向へ伸びる溝16を有している。機能部51は、溝16に案内されて径方向へ移動可能である。機能部51は、例えば光を照射する照射部と、光を受光する受光部とを有している。機能部51は、例えば照射部からマイクロチップ11の槽領域111に可視光、紫外光や赤外光などを照射し、その反射光あるいは透過光を受光部で受光する。これにより、槽領域111における物質が分析される。光照射部は、例えばレーザダイオードあるいは発光ダイオードなどの発光素子を有している。光照射部は、単一の波長の光を照射する構成としてもよく、複数の光源を有し複数の波長の光を照射する構成としてもよい。
【0042】
槽領域111の分析を行う場合、回転駆動部30は回転軸部32の回転角度を制御する。これにより、マイクロチップ11の槽領域111は、光分析部50へ移動する。マイクロチップ11の回転により槽領域111が光分析部50へ移動すると、光分析部50により槽領域111の分析が行われる。光分析部50の径方向の移動と、マイクロチップ11の周方向への回転とを組み合わせることにより、マイクロチップ11の任意の位置の分析が可能となる。
【0043】
第4実施形態では、マイクロチップ11に設けられている槽領域111は、温度調節部20による温度調節だけでなく、光分析部50による分析も行われる。これにより、分析を行う際に、マイクロチップ11を温度制御装置10から取り外す必要がない。したがって、マイクロチップ11による実験および培養などを容易に実施することができる。
なお、第4実施形態では、光分析部50をステージ12に設ける例について説明した。しかし、光分析部50は、マイクロチップ11を挟んでステージ12と対向する蓋部材40側に設けてもよい。このように光分析部50を蓋部材40に設ける場合でも、光分析部50の機能部51は径方向へ移動する構成とすることができる。
【0044】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態による温度制御装置を図8および図9に示す。
第5実施形態では、図8および図9に示すように温度調節部20の伝熱部23、24、25は、ステージ12の周方向へ三箇所設けられている。伝熱部23、24、25は、それぞれ略扇形に形成されている。伝熱部23、24、25には、それぞれ二つのペルチェ素子部21が接続している。これにより、各伝熱部23、24、25は、ペルチェ素子部21によって温度が制御される。各伝熱部23、24、25は、第1実施形態と同様に例えば熱伝導性の金属の薄板によって形成されている。各伝熱部23、24、25は、接続しているペルチェ素子部21により、加熱または冷却され、所定の温度に制御される。
【0045】
第5実施形態の場合、伝熱部23、24、25は、ステージの周方向へほぼ120°間隔で配置されている。また、第5実施形態の場合、温度制御装置10は、DNAの増殖を行うPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)に適用される。この場合、伝熱部23、伝熱部24および伝熱部25は、それぞれ94℃、55℃および72℃に設定される。
【0046】
以下、第5実施形態による温度制御装置10を用いたPCRの一例について説明する。
PCRに先立って、マイクロチップ11の槽領域111には、増幅の対象となるDNA(テンプレート)、DNAポリメラーゼ、およびプライマーが注入される。プライマーは、オリゴヌクレオチドから構成されている。これらの反応試料が注入されたマイクロチップ11の槽領域111は、伝熱部23、伝熱部24および伝熱部25の順で回転しながら移動する。
【0047】
マイクロチップ11の槽領域111が伝熱部23にあるとき、槽領域111は94℃に制御される。これにより、槽領域111に注入されているDNAは熱変性する。そのため、二本鎖のDNAは、一本鎖に分離する。このとき、マイクロチップ11の槽領域111は、伝熱部23により94℃で1分間保持される。
槽領域111の伝熱部23への接触から1分が経過すると、回転軸部32の回転によりマイクロチップ11は回転する。そして、マイクロチップ11の槽領域111は、伝熱部24に移動する。マイクロチップ11の槽領域111が伝熱部24にあるとき、槽領域111は55℃に制御される。これにより、槽領域111において一本鎖に分離したDNAは、プライマーによってアニーリングされる。このとき、マイクロチップ11の槽領域111は、伝熱部24により55℃で1分間保持される。
【0048】
槽領域111の伝熱部24への接触から1分が経過すると、回転軸部32の回転によりマイクロチップ11はさらに回転する。そして、マイクロチップ11の槽領域111は、伝熱部25に移動する。マイクロチップ11の槽領域111が伝熱部25にあるとき、槽領域111は72℃に制御される。これにより、アニーリングされたDNAとプライマーは分離することなく、DNAポリメラーゼによるDNAの合成が行われる。このとき、マイクロチップ11の槽領域111は、伝熱部25により72℃で1分間保持される。
【0049】
DNAの合成が完了すると、槽領域111は再び伝熱部23へ移動する。そして、上記の温度制御サイクルを繰り返すことにより、DNAは槽領域111において大量に複製される。一般に、上記の温度制御サイクルは、20回から30回行われる。なお、各伝熱部23、24、25の設定温度、および温度制御サイクルの回数は、対象となるDNAの反応系によって適宜設定される。
【0050】
所定の回数の温度制御サイクルが完了すると、伝熱部23、伝熱部24および伝熱部25は、例えば4℃に制御される。これにより、各槽領域111におけるPCRによって生成したDNAは保存される。
第5実施形態では、温度制御装置10をPCRに適用する例について説明した。これにより、PCRのように繰り返し複数の温度に制御する必要がある場合、マイクロチップ11を回転させることにより、PCRが行われるマイクロチップ11の槽領域111は所定温度の伝熱部23、24、25へ移動する。そのため、各槽領域111は、伝熱部23、24、25に接することにより、迅速かつ精密に設定温度に制御される。したがって、大量のDNAの複製を短時間で高精度に実施することができる。
【0051】
また、第5実施形態では、ヒータあるいは温度調節部が取り付けられた蓋部を設けてもよい。蓋部にヒータあるいは温度調節部を設けることにより、マイクロチップ11における熱平衡が図られる。マイクロチップ11における熱平衡を達成することにより、槽領域111に蓄えられた水分の蒸発を低減することができる。
【0052】
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態による温度制御装置を図10に示す。
第6実施形態では、図10に示すようにステージ12の周方向において各伝熱部23、24、25の間にそれぞれ光分析部50が配置されている。光分析部50は、上述の第4実施形態と同様の構成であり、機能部51が径方向へ移動可能である。複数の光分析部50を設けることにより、ステージ12には複数の異なる分析波長の発光部が搭載される。その結果、各光分析部50から異なる複数の波長の光を照射することができる。
【0053】
第6実施形態では、PCRが行われた各槽領域111を光分析部50によって分析することができる。なお、光分析部50は、いずれかの伝熱部23、24、25の間に一箇所配置してもよい。この場合、各槽領域111の分析は、マイクロチップ11を回転させつつ、一箇所の光分析部50によって行われる。
【0054】
(第7実施形態)
本発明の第7実施形態による温度制御装置を図11に示す。
第7実施形態では、温度調節部20は、略扇形の伝熱部26と、六つのペルチェ素子部21とを有している。これにより、一枚の伝熱部26は、六つのペルチェ素子部21によって温度が制御される。そのため、伝熱部26は、いずれの位置でも温度が概ね一定となる。その結果、伝熱部26と接するマイクロチップ11の槽領域111は、すべてほぼ同一の温度に制御される。第7実施形態による温度制御装置10を用いてPCRを行う場合、伝熱部26に接するペルチェ素子部21がすべて同時に同一の温度に制御される。これにより、伝熱部26は、一面が94℃、72℃および55℃に変化する。
【0055】
また、第7実施形態では、扇形の伝熱部26において周方向の端部の間に光分析部50が設けられている。これにより、マイクロチップ11の槽領域111は、温度の制御を実施しつつ、光分析部50による分析が実施される。
【0056】
(その他の実施形態)
以上説明した複数の実施形態では、マイクロチップ11は回転駆動部30の回転軸部32によって駆動される例について説明した。しかし、回転駆動部30の構成は、マイクロチップ11を貫く回転軸部32に限らない。
例えば、図12に示すように回転駆動部30は、ローラ36を有する構成としてもよい。ローラ36は、マイクロチップ11の外周縁と接している。ローラ36をモータ37で回転駆動することにより、ローラ36と接するマイクロチップ11は周方向へ回転する。
また、図13に示すように回転駆動部30は、ローラ38を有する構成としてもよい。ローラ38は、マイクロチップ11のステージ12側の端面と接している。ローラ38は、図示しないモータなどにより周方向へ回転する。ローラ38を回転駆動することにより、ローラ38と接するマイクロチップ11は周方向へ回転する。
【0057】
また、複数の実施形態では、マイクロチップ11を円盤状に形成する例について説明した。しかし、マイクロチップ11は、図14に示すように平面視が四角形状となる板状に形成してもよい。また、マイクロチップ11は、図15に示すように中心部に孔部114を有し、径方向外側へ行くにしたがって周方向の長さが拡大する扇形状に形成してもよい。このように、マイクロチップ11の平面視形状は、任意の形状に設定することができる。
【0058】
以上説明した複数の実施形態では、各実施形態をそれぞれ個別に温度制御装置10に適用する例について説明した。しかし、温度制御装置10に複数の実施形態を組み合わせて適用してもよい。また、反応系としてPCRを例に説明したが、本発明の温度制御装置は、PCRに限らず種々の反応系、試料の分離、合成、あるいは細胞や細菌の培養に適用することができる。また、上記の複数の実施形態では、被温度調節部としてマイクロチップ11の槽領域111を適用する例について説明したが、流路112を被温度調節部とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1実施形態によるマイクロチップ用の温度制御装置の断面を示す概略図。
【図2】本発明の第1実施形態によるマイクロチップ用の温度制御装置の断面を示す概略図。
【図3】図1のIII−III線における断面図。
【図4】図1のIV−IV線における断面図。
【図5】本発明の第2実施形態によるマイクロチップ用の温度制御装置の断面を示す概略図。
【図6】本発明の第3実施形態によるマイクロチップ用の温度制御装置の断面を示す概略図。
【図7】本発明の第4実施形態によるマイクロチップ用の温度制御装置のステージを蓋部側から見た概略図。
【図8】本発明の第5実施形態によるマイクロチップ用の温度制御装置のステージを蓋部側から見た概略図。
【図9】図8のIX−IX線における断面図。
【図10】本発明の第6実施形態によるマイクロチップ用の温度制御装置のステージを蓋部側から見た概略図。
【図11】本発明の第7実施形態によるマイクロチップ用の温度制御装置のステージを蓋部側から見た概略図。
【図12】本発明のその他の実施形態によるマイクロチップ用の温度制御装置を示す概略斜視図。
【図13】本発明のその他の実施形態によるマイクロチップ用の温度制御装置を示す概略斜視図。
【図14】本発明のその他の実施形態によるマイクロチップ用の温度制御装置に適用されるマイクロチップを示す概略図。
【図15】本発明のその他の実施形態によるマイクロチップ用の温度制御装置に適用されるマイクロチップを示す概略図。
【符号の説明】
【0060】
10:温度制御装置、11:マイクロチップ、12:ステージ、20:温度調節部、30:回転駆動部、32:回転軸部(軸部材)、34:弾性部材(軸方向駆動部)、35:軸駆動部(軸方向駆動部)、40:蓋部材(軸方向駆動部)、50:光分析部、111:槽領域(被温度調節部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度制御装置に関し、特に板状のマイクロチップに設けられている被温度調節部の温度を制御する温度制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薄い板状のチップ上に微細な流路または槽領域などが形成されたマイクロチップが公知である。マイクロチップの流路あるいは槽領域では、例えば試料の分離、合成あるいは観察、または細胞や細菌の培養などが行われる。このようなマイクロチップとして、近年では、円盤状のマイクロチップも提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示されているマイクロチップは、透明な樹脂やガラスなどにより形成されている。そのため、試料の分離や合成だけでなく、分離や合成された試料のマイクロチップを通した観察が可能となる。
しかしながら、特許文献1に開示されているマイクロチップは、温度の制御については何ら考慮されていない。マイクロチップの流路や槽領域において試料の分離や合成、または細胞や細菌の培養などを行う場合、流路または槽領域などに設定された被温度調節部ごとに異なる温度で高精度かつ局所的に温度を制御する必要がある。特許文献1に開示されているマイクロチップの場合、全体を所定の温度に制御することは可能であるものの、局所的な温度制御は困難である。
【0004】
【特許文献1】特開2005−147949号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、板状のマイクロチップに設けられた被温度調節部の温度を局所的に制御する温度制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の温度制御装置は、被温度調節部が設けられている板状のマイクロチップの前記被温度調節部の温度を制御する温度制御装置であって、前記被温度調節部に接触可能な温度調節部が単数または周方向へ複数設けられているステージと、前記マイクロチップを前記ステージと平行に周方向へ回転駆動する回転駆動部と、を備える。
ステージには、温度調節部が設けられている。そのため、回転駆動部によってマイクロチップをステージと平行に周方向へ回転することにより、マイクロチップの被温度調節部はステージに設けられた温度調節部に接触可能である。例えばステージに設定温度の異なる温度調節部が設けられている場合、マイクロチップを回転させ被温度調節部に接する温度調節部を変更することにより、被温度調節部は迅速かつ局所的に温度調節部の温度に制御される。したがって、マイクロチップに設けられた被温度調節部の温度を局所的に制御することができる。
【0007】
(2)本発明の温度制御装置では、前記回転駆動部は、前記マイクロチップと接して前記マイクロチップを回転させる軸部材を有する。
これにより、マイクロチップは、ステージと平行に周方向へ回転駆動される。そのため、マイクロチップの被温度調節部は、ステージに設けられた温度調節部の温度により、制御される温度が変更される。したがって、マイクロチップに設けられた被温度調節部の温度を局所的に制御することができる。
【0008】
(3)本発明の温度制御装置では、前記軸部材は、前記マイクロチップの外周側の縁部に接する。
これにより、マイクロチップは、安定して回転駆動され、温度調節部に接する。したがって、マイクロチップに設けられた被温度調節部の温度を局所的に制御することができる。
【0009】
(4)本発明の温度制御装置は、前記マイクロチップを前記ステージの軸方向へ往復駆動する軸方向駆動部をさらに備える。
これにより、マイクロチップは、回転駆動されるだけでなく、ステージの軸方向へも駆動される。そのため、マイクロチップは、必要に応じてステージの温度調節部から離れたり、温度調節部に接したりする。したがって、回転駆動部によるマイクロチップの周方向への回転移動を円滑にすることができる。
【0010】
(5)本発明の温度制御装置では、前記軸方向駆動部は前記回転駆動部であり、前記マイクロチップを貫き軸方向へ往復移動および周方向へ回転する軸部材を有する。
これにより、マイクロチップの中心を貫く軸部材が回転するとマイクロチップは周方向へ回転し、軸部材が軸方向へ移動するとステージとマイクロチップとの間の距離が変化する。そのため、軸方向駆動部は回転駆動部として、マイクロチップを回転駆動しつつ、往復駆動する。したがって、簡単な構造でマイクロチップを周方向へ回転駆動し、軸方向へ往復駆動することができる。
【0011】
(6)本発明の温度制御装置では、前記軸方向駆動部は、前記マイクロチップを前記ステージ側へ押し付ける蓋部材を有する。
蓋部材によってマイクロチップをステージ側へ押し付けることにより、マイクロチップと温度調節部とを確実に接触させることができる。
【0012】
(7)本発明の温度制御装置では、前記軸方向駆動部は、前記マイクロチップを前記ステージ側へ押し付ける蓋部材と、前記マイクロチップを前記蓋部材側へ押し付ける弾性部材とを有する。
これにより、マイクロチップに対する蓋部材の押し付け力を変化させることにより、マイクロチップとステージとの距離は変化する。したがって、マイクロチップとステージとの間の距離を容易に設定することができる。
【0013】
(8)本発明の温度制御装置では、前記回転駆動部が前記マイクロチップを回転駆動するとき、前記マイクロチップは前記温度調節部から離れる。
これにより、マイクロチップが周方向へ回転移動するとき、マイクロチップと温度調節部との接触が低減される。そのため、マイクロチップは円滑に回転される。したがって、マイクロチップの被温度調節部は迅速に他の温度調節部に移動することができる。
【0014】
(9)本発明の温度制御装置は、前記ステージの周方向において前記温度調節部の間または前記マイクロチップを挟んで前記ステージに対向する蓋部材に設けられている光分析部をさらに備える。
これにより、マイクロチップの被温度調節部は、温度調節部による温度の制御だけでなく、光分析部により分析される。光分析部は、例えば可視光、紫外線や赤外線などの照射部および被温度調節部を透過または反射した光を取得する取得部などを有している。したがって、マイクロチップの被温度調節部では、局所的に制御された温度により例えば試料の分離や合成または細胞や細菌の培養を行うことができるだけでなく、それらを容易に観察することができる。
【0015】
(10)本発明の温度制御装置では、前記温度調節部は、複数設けられている場合、設定温度が異なる。
これにより、マイクロチップの被温度調節部は、回転駆動部によって回転し、温度調節部に接することにより、それぞれ設定された温度に制御される。マイクロチップを回転させて被温度調節部を設定温度の異なる温度調節部へ移動させることにより、被温度調節部は迅速に接する温度調節部の温度に制御される。したがって、被温度調節部の温度を迅速かつ局所的に制御することができる。なお、複数の温度調節部は、すべてがそれぞれ異なる温度に設定されてもよく、複数のうちの一部が同一の温度に設定されてもよい。
【0016】
(11)本発明の温度制御装置では、前記マイクロチップは、円盤状に形成されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、複数の実施形態において、実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるマイクロチップ用の温度制御装置を図1および図2に示す。図1および図2は、本発明の第1実施形態による温度制御装置を示す概略図である。
図1および図2に示すように、第1実施形態によるマイクロチップ用の温度制御装置10は、マイクロチップ11が搭載される。温度制御装置10は、ステージ12、温度調節部20、回転駆動部30および蓋部材40を備えている。
【0018】
マイクロチップ11は、例えばガラス、シリコン、セラミックス、金属、プラスチック、シリコンゴムなどのゴム、あるいはこれらの複合材料などによって略円盤状に形成されている。なお、マイクロチップ11は、単一の部材に限らず、例えば基板およびカバーなどの二つ以上の部材から形成してもよい。マイクロチップ11は、例えばエッチング加工などにより、流路および槽領域が形成されている。第1実施形態の場合、マイクロチップ11は図3に示すように四つの槽領域111を有している。マイクロチップ11は、各槽領域111に接続する流路112を有している。各流路112の槽領域111とは反対側の端部は、注入部113を形成している。例えばマイクロチップ11を用いて化学反応、試料の分離あるいは細胞の培養などを行う場合、注入部113は封止してもよい。マイクロチップ11の槽領域111は、周方向へ90°間隔で四箇所設けられている。マイクロチップ11の槽領域111は、特許請求の範囲の被温度調節部を構成している。マイクロチップ11は、中央部に板厚方向に貫く孔部114を有している。
【0019】
ステージ12は、例えば銅、アルミニウムまたは各種の合金など、熱伝導体により形成されている。ステージ12は、図1および図2に示すように温度調節部20からの排熱を放熱するヒートシンクを構成している。そのため、ステージ12は、マイクロチップ11とは反対側の端部にフィン13を有している。また、ステージ12には、例えば図示しないファンなどから送風してもよい。これにより、ステージ12の放熱は促進される。
【0020】
温度調節部20は、ペルチェ素子部21および伝熱部22を有している。ペルチェ素子部21は、ステージ12のマイクロチップ11側の端面14に搭載されている。略円柱状のステージ12のマイクロチップ11側の端面14は円形状である。温度調節部20は、ステージ12の端面14において周方向へ複数設けられている。第1実施形態の場合、温度調節部20は、図4に示すようにステージ12の周方向へ90°間隔で四箇所設けられている。これにより、温度調節部20は、マイクロチップ11の被温度調節部である槽領域111に対応して設けられる。温度調節部20は、それぞれ任意の設定温度に制御されている。温度調節部20の設定温度は、それぞれ異なっていてもよく、すべてが同一、あるいは一部が同一であってもよい。
【0021】
伝熱部22は、例えば銅、アルミニウムまたは各種の金属など、熱伝導体により形成されている。伝熱部22は、金属に限らず例えば熱伝導性を有するセラミックや樹脂などで形成してもよい。伝熱部22は、図示しない温度検出部が設けられている。温度検出部は、例えばサーミスタなどを有しており、伝熱部22の温度を検出する。温度検出部は、検出した伝熱部22の温度を電気信号として図示しない制御部に出力する。
【0022】
伝熱部22は、ペルチェ素子部21のステージ12とは反対側の面に接している。伝熱部22とペルチェ素子部21、およびペルチェ素子部21とステージ12とは、例えば接着剤などにより接着されている。ペルチェ素子部21は、通電することにより一方の面が発熱し、他方の面が吸熱するペルチェ素子を有している。ペルチェ素子は、供給される電流の向きによって一方の端面から熱を吸収し、他方の端面に排熱する。これにより、ペルチェ素子に供給する電流の向きおよび大きさを制御することにより、伝熱部22は加熱または冷却され、伝熱部22は所定の温度に制御される。伝熱部22の温度は、図示しない制御部によって制御される。制御部は、図示しない温度検出部で検出した伝熱部22の温度に基づいて、ペルチェ素子部21に供給する電流の向きおよび大きさ、または電流の供給の断続を制御する。
【0023】
なお、第1実施形態では、伝熱部22とペルチェ素子部21、およびペルチェ素子部21とステージ12とは接着剤により接着する例について説明した。接着剤は、例えばエポキシ樹脂などの熱伝導性の高い接着剤、シリコーン変性ポリマーなどの弾性接着剤、反応形アクリルなどの反応形樹脂系接着剤、α−シアノアクリレートなどの瞬間接着剤、SBS、CR、NBRなどのゴム系溶剤形接着剤、またはEVA、オレフィン、合成ゴムなどのホットメルト系接着剤などを適用することができる。また、伝熱部22とペルチェ素子部21、およびペルチェ素子部21とステージ12とは、例えばはんだやろう材により接着してもよい。
【0024】
また、第1実施形態では、温度調節部20としてペルチェ素子部21によって伝熱部22の温度を制御する構成を例に説明している。しかし、温度調節部20は、例えばヒータなどの発熱素子を有し、発熱素子によって伝熱部22を加熱する構成としてもよい。
回転駆動部30は、図1に示すようにモータ31および回転軸部32を有している。モータ31は、回転軸部32を周方向へ回転駆動する。回転軸部32は、軸方向の一方の端部がモータ31に接続されている。図示しない制御部を経由して電源からモータ31へ電力を供給すると、モータ31は周方向へ回転し、回転軸部32を駆動する。図示しない制御部は、モータ31へ電力を供給することにより、モータ31および回転軸部32の回転角度を制御する。回転軸部32は、モータ31とは反対の端部側にマイクロチップ11が取り付けられる取付部33を有している。マイクロチップ11の孔部114を回転軸部32に挿入して取付部33に係止することにより、マイクロチップ11は回転軸部32に保持される。その結果、マイクロチップ11は、モータ31の回転によって回転軸部32とともに回転する。回転軸部32にマイクロチップ11を取り付けたとき、ステージ12の端面14とマイクロチップ11とは概ね平行となる。
【0025】
モータ31は、ステージ12の収容室15に収容されている。モータ31は、例えばコイルスプリングなどの弾性部材34によってステージ12に支持されている。弾性部材34は、モータ31をステージ12に対し軸方向へ往復移動可能に支持している。これにより、モータ31および回転軸部32、ならびに回転軸部32に支持されているマイクロチップ11は、ステージ12に対し軸方向へ相対移動可能である。
【0026】
マイクロチップ11のステージ12とは反対側には蓋部材40が設けられている。蓋部材40は、蓋駆動部41によって回転軸部32の軸方向へ往復駆動される。これにより、蓋部材40は、図1および図2に示すように上下方向へ往復移動可能である。図2に示すように蓋部材40が下方へ移動すると、蓋部材40のステージ12側の端部はマイクロチップ11と接する。そのため、蓋部材40は、マイクロチップ11をステージ12側へ押し付ける。モータ31および回転軸部32は、弾性部材34によってステージ12に対し相対移動可能である。その結果、マイクロチップ11は回転軸部32およびモータ31とともにステージ12側へ押し込まれ、マイクロチップ11は温度調節部20の伝熱部22と接する。このとき、回転軸部32に支持されているマイクロチップ11は、弾性部材34の押し付け力により、蓋部材40側へ押し付けられる。第1実施形態における弾性部材34および蓋部材40は、特許請求の範囲の軸方向駆動部を構成している。
【0027】
一方、図1に示すように蓋部材40が上方へ移動すると、蓋部材40はマイクロチップ11から離れる。そのため、マイクロチップ11には蓋部材40から力が加わらない。その結果、マイクロチップ11は回転軸部32およびモータ31とともに弾性部材34によって蓋部材40側へ押し上げられ、マイクロチップ11は伝熱部22から離れる。
このように、蓋部材40が回転軸部32の軸方向へ移動することにより、マイクロチップ11と温度調節部20の伝熱部22とは接触または離間する。
【0028】
次に、第1実施形態による温度制御装置10を用いたマイクロチップ11の温度制御について説明する。ここでは、一例としてマイクロチップ11を用いて実験を行う場合について説明する。
マイクロチップ11の槽領域111には、実験の対象となる試料が注入される。試料は、注入部113から槽領域111へ注入される。試料の注入は、温度制御装置10からマイクロチップ11を外した状態、または温度制御装置10にマイクロチップ11を搭載した状態のいずれでも行うことができる。このとき、槽領域111に試料が注入されたマイクロチップ11は、図1に示すように温度制御装置10の伝熱部22から離れている。
【0029】
実験が開始されると、蓋駆動部41は蓋部材40をマイクロチップ11側へ駆動する。これにより、蓋部材40はマイクロチップ11に接し、マイクロチップ11をステージ12側へ押し付ける。そのため、マイクロチップ11はステージ12側へ移動し、マイクロチップ11のステージ12側の端面は伝熱部22に接する。このとき、マイクロチップ11は、周方向において槽領域111が温度調節部20と対応する位置に合わせられている。そのため、マイクロチップ11が蓋部材40によってステージ12側へ押し付けられることにより、槽領域111は伝熱部22に接する。その結果、槽領域111の温度は、温度調節部20の設定温度に制御される。
【0030】
マイクロチップ11の槽領域111の温度が所定の期間制御されると、その槽領域111の温度は変更される。このとき、マイクロチップ11の槽領域111は、周方向へ隣接または周方向で異なる位置にある温度調節部20へ移動される。マイクロチップ11の槽領域111を移動するとき、マイクロチップ11は回転駆動部30によって周方向へ回転される。例えば、マイクロチップ11は、周方向へ90°回転駆動される。これにより、マイクロチップ11の槽領域111は、異なる温度に制御されている隣接する温度調節部20へ移動する。
【0031】
マイクロチップ11を回転するとき、蓋駆動部41は蓋部材40をマイクロチップ11から離間させる。すなわち、蓋駆動部41は、蓋部材40を図1に示すように上方へ移動させる。これにより、マイクロチップ11は伝熱部22から離れる。マイクロチップ11が伝熱部22から離れると、回転駆動部30は回転軸部32とともにマイクロチップ11を回転させる。その結果、マイクロチップ11の槽領域111は他の温度調節部20へ移動する。そして、蓋駆動部41は、蓋部材40を再びマイクロチップ11へ押し付ける。これにより、マイクロチップ11の槽領域111は、異なる温度に制御されている伝熱部22に接し、温度制御が行われる。
【0032】
以上説明したように、第1実施形態では、マイクロチップ11はステージ12と平行に周方向へ回転される。これにより、マイクロチップ11の槽領域111に接する温度調節部20は変更される。蓋部材40でマイクロチップ11をステージ12側へ押し込むことにより、マイクロチップ11の槽領域111は温度調節部20の伝熱部22に接する。そのため、マイクロチップ11の槽領域111は、局所的に伝熱部22によって温度が制御される。また、温度調節部20を予め所定の温度に制御することにより、マイクロチップ11が回転しマイクロチップ11と伝熱部22とが接触すると、槽領域111は設定された温度調節部20の温度に迅速に制御される。したがって、槽領域111の温度を迅速、局所的かつ精密に制御することができる。
【0033】
また、第1実施形態では、マイクロチップ11が回転するとき、マイクロチップ11は温度調節部20から離れる。そのため、マイクロチップ11は、温度調節部20によって移動が妨げられない。したがって、マイクロチップ11を速やかに回転させることができる。
第1実施形態では、各温度調節部20はあらかじめ所定の温度に設定され、マイクロチップ11が回転することにより槽領域111の温度が制御される。そのため、各温度調節部20の温度変化は小さい。第1実施形態のように各温度調節部20の温度を設定し、マイクロチップ11を回転させる構成とすることにより、マイクロチップ11を固定し温度調節部20の温度を変化させる場合と比較して、マイクロチップ11の槽領域111の温度変化の速度は大きくなる。したがって、マイクロチップ11の槽領域111の温度を迅速に制御することができる。また、各温度調節部20は、一定の温度に維持され、温度変化が低減される。したがって、温度調節部20のペルチェ素子部21の寿命を延長することができる。
【0034】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態による温度制御装置を図5に示す。
第2実施形態は、第1実施形態の変形である。第2実施形態では、温度制御装置10は、軸駆動部35を備えている。軸駆動部35は、回転軸部32を軸方向へ往復駆動する。すなわち、軸駆動部35は軸方向駆動部である。これにより、回転軸部32は、周方向へ回転するだけでなく、軸方向へ移動する。そのため、第2実施形態では、マイクロチップ11は回転軸部32とともに回転および軸方向へ移動する。
【0035】
マイクロチップ11と伝熱部22とが接するとき、軸駆動部35は回転軸部32を図5の下方へ駆動する。これにより、回転軸部32はステージ12側へ移動するとともに、回転軸部32に保持されたマイクロチップ11は伝熱部22側へ移動する。その結果、マイクロチップ11の槽領域111は、伝熱部22に接する。一方、槽領域111と接する温度調節部20を変更するために、マイクロチップ11を回転するとき、軸駆動部35は回転軸部32を図5の上方へ駆動する。これにより、伝熱部22に接するマイクロチップ11は、伝熱部22から離れる。そして、回転駆動部30により回転軸部32を駆動することにより、マイクロチップ11は伝熱部22から離れた状態で周方向へ回転する。マイクロチップ11が所定の角度回転されると、軸駆動部35は再び回転軸部32を図5の下方へ駆動する。これにより、マイクロチップ11の槽領域111は、別の伝熱部22に接する。
【0036】
第2実施形態では、回転軸部32は、回転駆動部30によって周方向へ回転駆動されるだけでなく、軸駆動部35によって軸方向へ駆動される。これにより、マイクロチップ11は、回転軸部32に取り付けるだけで、伝熱部22との接触および離間、ならびに伝熱部22間の移動が行われる。したがって、簡単な構造でマイクロチップ11の槽領域111の温度を迅速かつ局所的に制御することができる。
【0037】
上述の第2実施形態では、マイクロチップ11を挟んでステージ12と対向する蓋部材を備えてもよい。マイクロチップ11を回転駆動部30によって駆動しマイクロチップ11と伝熱部22とが接するとき、回転駆動部30はマイクロチップ11の中心部分を図5の下方へ引き込む。そのため、マイクロチップ11に反りなどの変形が生じ、マイクロチップ11と伝熱部22との接触が不十分になるおそれがある。そこで、マイクロチップ11を挟んでステージ12とは反対側に蓋部材を設け、この蓋部材によってマイクロチップ11の外周側の端部をステージ12側へ押し付ける構成としてもよい。これにより、回転駆動部30によって中心部がステージ12側へ引き込まれたマイクロチップ11は、蓋部材によって外周側がステージ12側へ押し込まれる。その結果、マイクロチップ11は、全体としてステージ側12へ押し付けられ、各槽領域111と伝熱部22とが確実に接触する。
【0038】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態による温度制御装置を図6に示す。
第3実施形態では、図6に示すように蓋部材40の構成が第1実施形態と異なる。第3実施形態では、蓋部材40は、蓋駆動部41に加え、ヒートシンク42および温度調節部43を有している。ヒートシンク42は、ステージ12と同様に熱伝導率の高い金属などで形成されている。温度調節部43は、温度調節部20と同様にペルチェ素子部44および伝熱部45を有している。温度調節部43のペルチェ素子部44および伝熱部45の構成は、温度調節部20と同様であるので説明を省略する。蓋部材40は、蓋駆動部41によって回転軸部32の軸方向へ往復駆動される。なお、ヒートシンク42およびステージ12の放熱を促進するために、送風用のファンを設けてもよい。
【0039】
蓋部材40の温度調節部43は、マイクロチップ11の被温度調節部である槽領域111を挟んでステージ12の温度調節部20と対向する位置に設けられている。これにより、蓋部材40がマイクロチップ11側へ移動し、マイクロチップ11と温度調節部20の伝熱部22とが接するとき、マイクロチップ11は温度調節部20とは反対側の端面が蓋部材40の温度調節部43と接する。すなわち、マイクロチップ11の槽領域111は、一方の端部がステージ12に搭載されている温度調節部20の伝熱部22に接するとともに、他方の端部が蓋部材40に設けられている温度調節部43の伝熱部45に接する。その結果、マイクロチップ11の槽領域111は、温度調節部20および温度調節部43によって両面から温度が制御される。
【0040】
第3実施形態では、蓋部材40は、マイクロチップ11をステージ12側へ押し付けるとともに、温度調節部43がマイクロチップ11の槽領域111に接する。これにより、マイクロチップ11の槽領域111は、温度調節部20および温度調節部43によって両面から温度が制御される。したがって、槽領域111の温度をさらに迅速かつ精密に制御することができる。
【0041】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態による温度制御装置を図7に示す。
第4実施形態では、温度制御装置10は、図7に示すように光分析部50を有している。光分析部50は、ステージ12の周方向において温度調節部20に隣接して設けられている。光分析部50は、ステージ12の径方向へ移動する機能部51を有している。ステージ12は、径方向へ伸びる溝16を有している。機能部51は、溝16に案内されて径方向へ移動可能である。機能部51は、例えば光を照射する照射部と、光を受光する受光部とを有している。機能部51は、例えば照射部からマイクロチップ11の槽領域111に可視光、紫外光や赤外光などを照射し、その反射光あるいは透過光を受光部で受光する。これにより、槽領域111における物質が分析される。光照射部は、例えばレーザダイオードあるいは発光ダイオードなどの発光素子を有している。光照射部は、単一の波長の光を照射する構成としてもよく、複数の光源を有し複数の波長の光を照射する構成としてもよい。
【0042】
槽領域111の分析を行う場合、回転駆動部30は回転軸部32の回転角度を制御する。これにより、マイクロチップ11の槽領域111は、光分析部50へ移動する。マイクロチップ11の回転により槽領域111が光分析部50へ移動すると、光分析部50により槽領域111の分析が行われる。光分析部50の径方向の移動と、マイクロチップ11の周方向への回転とを組み合わせることにより、マイクロチップ11の任意の位置の分析が可能となる。
【0043】
第4実施形態では、マイクロチップ11に設けられている槽領域111は、温度調節部20による温度調節だけでなく、光分析部50による分析も行われる。これにより、分析を行う際に、マイクロチップ11を温度制御装置10から取り外す必要がない。したがって、マイクロチップ11による実験および培養などを容易に実施することができる。
なお、第4実施形態では、光分析部50をステージ12に設ける例について説明した。しかし、光分析部50は、マイクロチップ11を挟んでステージ12と対向する蓋部材40側に設けてもよい。このように光分析部50を蓋部材40に設ける場合でも、光分析部50の機能部51は径方向へ移動する構成とすることができる。
【0044】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態による温度制御装置を図8および図9に示す。
第5実施形態では、図8および図9に示すように温度調節部20の伝熱部23、24、25は、ステージ12の周方向へ三箇所設けられている。伝熱部23、24、25は、それぞれ略扇形に形成されている。伝熱部23、24、25には、それぞれ二つのペルチェ素子部21が接続している。これにより、各伝熱部23、24、25は、ペルチェ素子部21によって温度が制御される。各伝熱部23、24、25は、第1実施形態と同様に例えば熱伝導性の金属の薄板によって形成されている。各伝熱部23、24、25は、接続しているペルチェ素子部21により、加熱または冷却され、所定の温度に制御される。
【0045】
第5実施形態の場合、伝熱部23、24、25は、ステージの周方向へほぼ120°間隔で配置されている。また、第5実施形態の場合、温度制御装置10は、DNAの増殖を行うPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)に適用される。この場合、伝熱部23、伝熱部24および伝熱部25は、それぞれ94℃、55℃および72℃に設定される。
【0046】
以下、第5実施形態による温度制御装置10を用いたPCRの一例について説明する。
PCRに先立って、マイクロチップ11の槽領域111には、増幅の対象となるDNA(テンプレート)、DNAポリメラーゼ、およびプライマーが注入される。プライマーは、オリゴヌクレオチドから構成されている。これらの反応試料が注入されたマイクロチップ11の槽領域111は、伝熱部23、伝熱部24および伝熱部25の順で回転しながら移動する。
【0047】
マイクロチップ11の槽領域111が伝熱部23にあるとき、槽領域111は94℃に制御される。これにより、槽領域111に注入されているDNAは熱変性する。そのため、二本鎖のDNAは、一本鎖に分離する。このとき、マイクロチップ11の槽領域111は、伝熱部23により94℃で1分間保持される。
槽領域111の伝熱部23への接触から1分が経過すると、回転軸部32の回転によりマイクロチップ11は回転する。そして、マイクロチップ11の槽領域111は、伝熱部24に移動する。マイクロチップ11の槽領域111が伝熱部24にあるとき、槽領域111は55℃に制御される。これにより、槽領域111において一本鎖に分離したDNAは、プライマーによってアニーリングされる。このとき、マイクロチップ11の槽領域111は、伝熱部24により55℃で1分間保持される。
【0048】
槽領域111の伝熱部24への接触から1分が経過すると、回転軸部32の回転によりマイクロチップ11はさらに回転する。そして、マイクロチップ11の槽領域111は、伝熱部25に移動する。マイクロチップ11の槽領域111が伝熱部25にあるとき、槽領域111は72℃に制御される。これにより、アニーリングされたDNAとプライマーは分離することなく、DNAポリメラーゼによるDNAの合成が行われる。このとき、マイクロチップ11の槽領域111は、伝熱部25により72℃で1分間保持される。
【0049】
DNAの合成が完了すると、槽領域111は再び伝熱部23へ移動する。そして、上記の温度制御サイクルを繰り返すことにより、DNAは槽領域111において大量に複製される。一般に、上記の温度制御サイクルは、20回から30回行われる。なお、各伝熱部23、24、25の設定温度、および温度制御サイクルの回数は、対象となるDNAの反応系によって適宜設定される。
【0050】
所定の回数の温度制御サイクルが完了すると、伝熱部23、伝熱部24および伝熱部25は、例えば4℃に制御される。これにより、各槽領域111におけるPCRによって生成したDNAは保存される。
第5実施形態では、温度制御装置10をPCRに適用する例について説明した。これにより、PCRのように繰り返し複数の温度に制御する必要がある場合、マイクロチップ11を回転させることにより、PCRが行われるマイクロチップ11の槽領域111は所定温度の伝熱部23、24、25へ移動する。そのため、各槽領域111は、伝熱部23、24、25に接することにより、迅速かつ精密に設定温度に制御される。したがって、大量のDNAの複製を短時間で高精度に実施することができる。
【0051】
また、第5実施形態では、ヒータあるいは温度調節部が取り付けられた蓋部を設けてもよい。蓋部にヒータあるいは温度調節部を設けることにより、マイクロチップ11における熱平衡が図られる。マイクロチップ11における熱平衡を達成することにより、槽領域111に蓄えられた水分の蒸発を低減することができる。
【0052】
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態による温度制御装置を図10に示す。
第6実施形態では、図10に示すようにステージ12の周方向において各伝熱部23、24、25の間にそれぞれ光分析部50が配置されている。光分析部50は、上述の第4実施形態と同様の構成であり、機能部51が径方向へ移動可能である。複数の光分析部50を設けることにより、ステージ12には複数の異なる分析波長の発光部が搭載される。その結果、各光分析部50から異なる複数の波長の光を照射することができる。
【0053】
第6実施形態では、PCRが行われた各槽領域111を光分析部50によって分析することができる。なお、光分析部50は、いずれかの伝熱部23、24、25の間に一箇所配置してもよい。この場合、各槽領域111の分析は、マイクロチップ11を回転させつつ、一箇所の光分析部50によって行われる。
【0054】
(第7実施形態)
本発明の第7実施形態による温度制御装置を図11に示す。
第7実施形態では、温度調節部20は、略扇形の伝熱部26と、六つのペルチェ素子部21とを有している。これにより、一枚の伝熱部26は、六つのペルチェ素子部21によって温度が制御される。そのため、伝熱部26は、いずれの位置でも温度が概ね一定となる。その結果、伝熱部26と接するマイクロチップ11の槽領域111は、すべてほぼ同一の温度に制御される。第7実施形態による温度制御装置10を用いてPCRを行う場合、伝熱部26に接するペルチェ素子部21がすべて同時に同一の温度に制御される。これにより、伝熱部26は、一面が94℃、72℃および55℃に変化する。
【0055】
また、第7実施形態では、扇形の伝熱部26において周方向の端部の間に光分析部50が設けられている。これにより、マイクロチップ11の槽領域111は、温度の制御を実施しつつ、光分析部50による分析が実施される。
【0056】
(その他の実施形態)
以上説明した複数の実施形態では、マイクロチップ11は回転駆動部30の回転軸部32によって駆動される例について説明した。しかし、回転駆動部30の構成は、マイクロチップ11を貫く回転軸部32に限らない。
例えば、図12に示すように回転駆動部30は、ローラ36を有する構成としてもよい。ローラ36は、マイクロチップ11の外周縁と接している。ローラ36をモータ37で回転駆動することにより、ローラ36と接するマイクロチップ11は周方向へ回転する。
また、図13に示すように回転駆動部30は、ローラ38を有する構成としてもよい。ローラ38は、マイクロチップ11のステージ12側の端面と接している。ローラ38は、図示しないモータなどにより周方向へ回転する。ローラ38を回転駆動することにより、ローラ38と接するマイクロチップ11は周方向へ回転する。
【0057】
また、複数の実施形態では、マイクロチップ11を円盤状に形成する例について説明した。しかし、マイクロチップ11は、図14に示すように平面視が四角形状となる板状に形成してもよい。また、マイクロチップ11は、図15に示すように中心部に孔部114を有し、径方向外側へ行くにしたがって周方向の長さが拡大する扇形状に形成してもよい。このように、マイクロチップ11の平面視形状は、任意の形状に設定することができる。
【0058】
以上説明した複数の実施形態では、各実施形態をそれぞれ個別に温度制御装置10に適用する例について説明した。しかし、温度制御装置10に複数の実施形態を組み合わせて適用してもよい。また、反応系としてPCRを例に説明したが、本発明の温度制御装置は、PCRに限らず種々の反応系、試料の分離、合成、あるいは細胞や細菌の培養に適用することができる。また、上記の複数の実施形態では、被温度調節部としてマイクロチップ11の槽領域111を適用する例について説明したが、流路112を被温度調節部とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1実施形態によるマイクロチップ用の温度制御装置の断面を示す概略図。
【図2】本発明の第1実施形態によるマイクロチップ用の温度制御装置の断面を示す概略図。
【図3】図1のIII−III線における断面図。
【図4】図1のIV−IV線における断面図。
【図5】本発明の第2実施形態によるマイクロチップ用の温度制御装置の断面を示す概略図。
【図6】本発明の第3実施形態によるマイクロチップ用の温度制御装置の断面を示す概略図。
【図7】本発明の第4実施形態によるマイクロチップ用の温度制御装置のステージを蓋部側から見た概略図。
【図8】本発明の第5実施形態によるマイクロチップ用の温度制御装置のステージを蓋部側から見た概略図。
【図9】図8のIX−IX線における断面図。
【図10】本発明の第6実施形態によるマイクロチップ用の温度制御装置のステージを蓋部側から見た概略図。
【図11】本発明の第7実施形態によるマイクロチップ用の温度制御装置のステージを蓋部側から見た概略図。
【図12】本発明のその他の実施形態によるマイクロチップ用の温度制御装置を示す概略斜視図。
【図13】本発明のその他の実施形態によるマイクロチップ用の温度制御装置を示す概略斜視図。
【図14】本発明のその他の実施形態によるマイクロチップ用の温度制御装置に適用されるマイクロチップを示す概略図。
【図15】本発明のその他の実施形態によるマイクロチップ用の温度制御装置に適用されるマイクロチップを示す概略図。
【符号の説明】
【0060】
10:温度制御装置、11:マイクロチップ、12:ステージ、20:温度調節部、30:回転駆動部、32:回転軸部(軸部材)、34:弾性部材(軸方向駆動部)、35:軸駆動部(軸方向駆動部)、40:蓋部材(軸方向駆動部)、50:光分析部、111:槽領域(被温度調節部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被温度調節部が設けられている板状のマイクロチップの前記被温度調節部の温度を制御する温度制御装置であって、
前記被温度調節部に接触可能な温度調節部が単数または周方向へ複数設けられているステージと、
前記マイクロチップを前記ステージと平行に周方向へ回転駆動する回転駆動部と、
を備える温度制御装置。
【請求項2】
前記回転駆動部は、前記マイクロチップと接して前記マイクロチップを回転させる軸部材を有する請求項1記載の温度制御装置。
【請求項3】
前記軸部材は、前記マイクロチップの外周側の縁部に接する請求項2記載の温度制御装置。
【請求項4】
前記マイクロチップを前記ステージの軸方向へ往復駆動する軸方向駆動部をさらに備える請求項1記載の温度制御装置。
【請求項5】
前記軸方向駆動部は前記回転駆動部であり、前記マイクロチップを貫き軸方向へ往復移動および周方向へ回転する軸部材を有する請求項4記載の温度制御装置。
【請求項6】
前記軸方向駆動部は、前記マイクロチップを前記ステージ側へ押し付ける蓋部材を有する請求項4記載の温度制御装置。
【請求項7】
前記軸方向駆動部は、前記マイクロチップを前記ステージ側へ押し付ける蓋部材と、前記マイクロチップを前記蓋部材側へ押し付ける弾性部材とを有する請求項4記載の温度制御装置。
【請求項8】
前記回転駆動部が前記マイクロチップを回転駆動するとき、前記マイクロチップは前記温度調節部から離れる請求項1から7のいずれか一項記載の温度制御装置。
【請求項9】
前記ステージの周方向において前記温度調節部の間または前記マイクロチップを挟んで前記ステージに対向する蓋部材に設けられている光分析部をさらに備える請求項1から8のいずれか一項記載の温度制御装置。
【請求項10】
前記温度調節部は、複数設けられている場合、設定温度が異なる請求項1から9のいずれか一項記載の温度制御装置。
【請求項11】
前記マイクロチップは、円盤状に形成されている請求項1から10のいずれか一項記載の温度制御装置。
【請求項1】
被温度調節部が設けられている板状のマイクロチップの前記被温度調節部の温度を制御する温度制御装置であって、
前記被温度調節部に接触可能な温度調節部が単数または周方向へ複数設けられているステージと、
前記マイクロチップを前記ステージと平行に周方向へ回転駆動する回転駆動部と、
を備える温度制御装置。
【請求項2】
前記回転駆動部は、前記マイクロチップと接して前記マイクロチップを回転させる軸部材を有する請求項1記載の温度制御装置。
【請求項3】
前記軸部材は、前記マイクロチップの外周側の縁部に接する請求項2記載の温度制御装置。
【請求項4】
前記マイクロチップを前記ステージの軸方向へ往復駆動する軸方向駆動部をさらに備える請求項1記載の温度制御装置。
【請求項5】
前記軸方向駆動部は前記回転駆動部であり、前記マイクロチップを貫き軸方向へ往復移動および周方向へ回転する軸部材を有する請求項4記載の温度制御装置。
【請求項6】
前記軸方向駆動部は、前記マイクロチップを前記ステージ側へ押し付ける蓋部材を有する請求項4記載の温度制御装置。
【請求項7】
前記軸方向駆動部は、前記マイクロチップを前記ステージ側へ押し付ける蓋部材と、前記マイクロチップを前記蓋部材側へ押し付ける弾性部材とを有する請求項4記載の温度制御装置。
【請求項8】
前記回転駆動部が前記マイクロチップを回転駆動するとき、前記マイクロチップは前記温度調節部から離れる請求項1から7のいずれか一項記載の温度制御装置。
【請求項9】
前記ステージの周方向において前記温度調節部の間または前記マイクロチップを挟んで前記ステージに対向する蓋部材に設けられている光分析部をさらに備える請求項1から8のいずれか一項記載の温度制御装置。
【請求項10】
前記温度調節部は、複数設けられている場合、設定温度が異なる請求項1から9のいずれか一項記載の温度制御装置。
【請求項11】
前記マイクロチップは、円盤状に形成されている請求項1から10のいずれか一項記載の温度制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−185389(P2008−185389A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−17540(P2007−17540)
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
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