説明

温度履歴確認器、温度履歴確認器を備えた電子機器、及び形状記憶体修復治具

【課題】安価であり、製造が容易で、携帯可能な構造であり、温度履歴を簡単に確認することができる温度履歴確認器を提供する。
【解決手段】記憶形状を形状記憶した形状記憶体2aと、該形状記憶体を内包し圧接係止する凹部10aを有する支持体3aとを備える温度履歴確認器1aは、前記形状記憶体2aは、前記記憶形状に対して外縁が拡がった塑性変形形状に変形されて、前記外縁が前記凹部10aの係止面11aに当接して圧接係止され、形状回復温度に達すると前記記憶形状に回復し、圧接係止が解除される構成とされている。これによって、圧接係止状態を確認することで、形状回復温度に達したか否かの履歴を確認することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形状記憶材料からなる形状記憶体を備え、所定の温度を超えたか否かを確認することができる温度履歴確認器、温度履歴確認器を備えた電子機器、形状記憶体を修復する形状記憶体修復治具、形状記憶体修復治具を備えた温度履歴確認器、並びに形状記憶体修復治具及び温度履歴器を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
家電製品(特定家庭用機器:テレビ、洗濯機、冷蔵庫・冷凍庫、エアコン)のリサイクルの義務化に伴い、設定温度になると自動的に製品が解体する電子機器が提案されている。例えば、筐体が形状記憶材料で形成された締結部材によって組立てられた電子機器が提案されている(特開2004−316781号公報)。
【0003】
提案された電子機器の締結構造を図17に基づいて説明する。
【0004】
図17(A)は、提案された締結構造を説明する説明図であり、(B)は、提案された締結構造の締結部材が形状回復した状態を示す説明図であり、(C)は、締結が解除された状態を示す説明図である。
【0005】
ネジ101のネジ軸部103は、被締結部材301に形成されたネジ挿通穴401に挿通され、ネジ頭部102がワッシャー201を介して被締結部材301に圧接するように、基材302にねじ込まれる。これによって、被締結部材301と基材302とが締結される。
【0006】
ワッシャー201は、形状記憶材料で形成され、加熱により内径がネジ頭部102の径よりも大きくなるように形状記憶されている。一方、ネジ挿通穴401は、ネジ頭部102の径よりも大きく形成されている。
【0007】
このような締結構造を有する筐体を加熱すると、ワッシャー201の径が拡大して、ネジ頭部102がワッシャー201の貫通穴を貫通できるにようになり、また、ネジ頭部102は被締結部材301のネジ挿通穴401を貫通するので、ネジ101による締結が解除される。つまり、加熱するだけで、被締結部材301を基材302から容易に取り外すことができる。
【0008】
一方、携帯電話やパーソナルコンピューター等の電子製品は、家電リサイクル法のリサイクル対象外製品であるが、資源の有効利用の観点・環境保護の観点から、リサイクルの必要性が高まっている。
【0009】
ところが、携帯電話やノート型パーソナルコンピューター等の持ち運び可能な電子機器は、自動車の車内や暖房器機の近傍に長時間放置されるなどして、高温に晒される場合がある。また、屋外で使用される電子機器は太陽光にさらされることによって、高温になる場合がある。提案された締結構造を有する筐体を備えた電子機器は、このような環境におかれると、締結解除され解体してしまう虞がある。
【0010】
そのため、形状記憶材料で形成された締結部材によって組立られた電子機器を日常生活において使用する場合には、締結部材が形状回復する温度に達した履歴があるかどうか確認できるような構成にしなければ、安心して使用できないという問題があった。
【特許文献1】特開2004−316781号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、温度履歴を確認する場合、温度検出器・レコーダー・情報処理装置等からシステムを電子機器に組み込まなければならず、構成が複雑になり高価なものとなってしまう。
【0012】
また、携帯電話・ノート型パーソナルコンピューター等の持ち運び可能な電子機器に備え付けるには、温度履歴を確認するシステムを携帯電話等の大きさに比較して十分小さいものとすることが必要である。
【0013】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、安価であり、製造が容易で、携帯可能な構造であり、温度履歴を簡単に確認することができる温度履歴確認器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る温度履歴確認器は、記憶形状を形状記憶した形状記憶体と、該形状記憶体を内包し圧接係止する凹部を有する支持体とを備える温度履歴確認器であって、前記形状記憶体は、前記記憶形状に対して外縁が拡がった塑性変形形状に変形されて、前記外縁が前記凹部の係止面に当接して圧接係止され、形状回復温度に達すると前記記憶形状に回復し、圧接係止が解除される構成としてあることを特徴とする。
【0015】
この構成により、外縁が拡がった塑性変形形状に変形された形状記憶体は、形状回復温度に達すると形状を回復し、拡がった外縁が元の状態に狭まり、支持体の凹部の係止面に当接し圧接係止された状態が解除され、形状記憶体が可動状態になる。これを視認することによって、温度履歴確認器が形状回復温度に達したことを確認することができる。また、形状記憶体が可動状態であるから、温度履歴確認器を振ることによって形状記憶体を凹部の内壁に衝突させて衝突音を発生させることができ、この振動音を確認することで温度履歴確認器が形状回復温度に達したか否かを確認することができる。
【0016】
ここで、形状回復温度とは形状記憶体の形状回復が終了する温度である。
【0017】
本発明に係る温度履歴確認器では、前記形状記憶体は、前記凹部に当接する当接部を前記外縁に複数有し、前記記憶形状に対して該各当接部間の距離が拡がるように塑性変形されて塑性変形形状とされ、前記当接部を前記凹部の前記係止面に当接させ、圧接係止された構成としたことを特徴とする。
【0018】
この構成により、各当接部間の距離は形状回復温度に達すると縮小し、確実に圧接係止が解除されることになるので、形状回復温度に達したときに圧接係止が解除される確実性を向上させることができる。
【0019】
本発明に係る温度履歴確認器では、前記形状記憶体は、Cリング状のCリング体であり、該Cリング体の両端が拡げられて塑性変形形状とされ、一方、前記凹部の前記係止面は、塑性変形形状とされた前記Cリング体の外縁に沿って当接する形状とされ、前記Cリング体は、前記外縁が前記係止面に当接され圧接係止されたことを特徴とする。
【0020】
この構成により、形状記憶体の塑性変形形状の外縁が連続して凹部の係止面に当接することになるので、安定して形状記憶体を圧接係止することができ、日常生活で生じる振動に対し圧接係止が外れることがなくなる。これにより、形状回復温度に達していないにもかかわらず、Cリング体が可動状態となるようなことは起こらないので、温度履歴確認器の信頼度を向上させることができる。
【0021】
また、前記形状記憶体が前記凹部に圧接係止された状態において、前記形状記憶体と前記凹部の底面との間及び前記形状記憶体と前記凹部の開口部との間に空間が設けられてあることを特徴とする。
【0022】
この構成により、形状記憶体体と支持体との圧接係止が解除されたとき、温度履歴確認器を振ることによって、形状記憶体体の外縁を凹部の底部を含めた内壁に衝突させることができるので、確実に聴覚に訴える程度の振動音を発生させることができる。これにより、温度履歴確認器自体を直接視認しないでも形状回復温度に達したか否かを確認することができる。例えば、温度履歴確認器が組み込まれた電子機器が形状回復温度に達したか否かを確認する場合、温度履歴確認器を電子機器から取り出さず、電子機器を振って温度履歴確認器から振動音が発するか否かを確認することで、形状回復温度に達したか否かを確認することができる。
【0023】
また、本発明に係る温度履歴確認器は、記憶形状を形状記憶した形状記憶体と、該形状記憶体に挟持される凸部を有する支持体とを備える温度履歴確認器であって、前記形状記憶体は、前記記憶形状に対して内縁が狭まった塑性変形形状に変形されて、前記内縁が前記凸部の係止面に当接して圧接係止され、形状回復温度に達すると前記記憶形状に回復し、圧接係止が解除される構成としてあることを特徴とする。
【0024】
この構成により、内縁が狭まった塑性変形形状に変形された形状記憶体は、形状回復温度に達すると形状を回復し、狭まった内縁が元の状態に拡がり、支持部の凸部の係止面に当接し圧接係止された状態が解除され、形状記憶体が可動状態になる。これを視認することによって、温度履歴確認器が形状回復温度に達したことを確認することができる。また、形状記憶体が可動状態であるから、温度履歴確認器を振ることによって形状記憶体を凸部の側面に衝突させて衝突音を発生させることができ、この振動音を確認することで温度履歴確認器が形状回復温度に達したか否かを確認することができる。
【0025】
本発明に係る温度履歴確認器では、前記形状記憶体は、前記凸部に当接する当接部を前記内縁に複数有し、前記記憶形状に対して該各当接部間の距離が狭まるように塑性変形されて塑性変形形状とされ、前記当接部を前記凸部の前記係止面に当接させ、圧接係止された構成とされたことを特徴とする。
【0026】
この構成により、各当接部間の距離は形状回復温度に達すると拡大し、確実に圧接係止が解除されることになるので、形状回復温度に達したときに圧接係止が解除される確実性を向上させることができる。
【0027】
本発明に係る温度履歴確認器では、前記形状記憶体は、Cリング状のCリング体であり、該Cリング体の両端が狭められて塑性変形形状とされ、一方、前記凸部の前記係止面は、塑性変形形状とされた前記Cリング体の内縁に沿って当接する形状とされ、前記Cリング体は、前記内縁が前記係止面に当接され圧接係止されたことを特徴とする。
【0028】
この構成により、形状記憶体の塑性変形形状の内縁が連続して凸部の係止面に当接することになるので、安定して形状記憶体を圧接係止することができ、日常生活で生じる振動に対し圧接係止が外れることがなくなる。これにより、形状回復温度に達していないにもかかわらず、Cリング体が可動状態となるようなことは起こらないので、温度履歴確認器の信頼度を向上させることができる。
【0029】
また、前記形状記憶体が前記凸部に圧接係止された状態において、前記形状記憶体と前記凸部の底部との間及び前記形状記憶体と前記凸部の頂部との間に空間が設けられてあることを特徴とする。
【0030】
この構成により、形状記憶体と支持体との圧接係止が解除されたとき、形状記憶体の内縁を凸部の底部から頂部までの係止面に衝突させることができるので、確実に聴覚に訴える程度の振動音を発生させることができる。これにより、温度履歴確認器自体を直接視認しないでも形状回復温度に達したか否かを確認することができる。例えば、温度履歴確認器が組み込まれた電子機器が形状回復温度に達したか否かを確認する場合、温度履歴確認器を電子機器から取り出さず、電子機器を振って温度履歴確認器から振動音が発するか否かを確認することで、形状回復温度に達したか否かを確認することができる。
【0031】
本発明に係る電子機器は、本発明に係る温度履歴確認器を備えたことを特徴とする。
【0032】
この構成により、温度履歴確認器の形状記憶体と支持体との圧接係止が解除されているか否かを確認することで、電子機器が形状回復温度に達したか否かを確認することができる。
【0033】
本発明に係る電子機器では、筐体は、記憶形状材料で形成された締結部材によって組み立てられてあり、前記形状記憶体の形状回復温度(Af点)は、前記締結部材の形状回復開始温度(As点)を基準にして設定してあることを特徴とする。
【0034】
この構成により、温度履歴確認器の形状記憶体と支持体との圧接係止が解除されているか否かを確認することで、締結部材が形状回復して筐体が分解してしまう温度に達したか否かを判断することができる。
【0035】
本発明に係る電子機器では、前記形状記憶体の前記形状回復温度(Af点)と前記締結部材の前記形状回復開始温度(As点)とは等しいことを特徴とする。
【0036】
この構成により、温度履歴確認器の形状記憶体と支持体との圧接係止が解除されているか否かを確認することで、締結部材が形状回復し始めて筐体の締結が緩み始める形状回復開始温度に達したか否かを判断することができる。
【0037】
本発明に係る電子機器では、前記温度履歴確認器は、前記筐体に取り外し可能に設けられていることを特徴とする。
【0038】
この構成により、形状回復温度に達して形状記憶体が形状回復し圧接係止が解除されて温度履歴確認器が使用できなくなった場合に、新たな温度履歴確認器と交換して、電子機器の温度履歴確認機能を復活させることができる。
【0039】
本発明に係る形状記憶体修復治具は、記憶形状を記憶した形状記憶体が塑性変形形状に変形され、支持体に圧接係止される温度履歴確認器に関して、形状回復した前記形状記憶体を塑性変形形状に修復させる形状記憶体修復治具であって、形状回復した前記形状記憶体を圧入して前記塑性変形形状に修復させる形状回復型を備えたことを特徴とする。
【0040】
この構成により、工具などを使用せずに形状回復した形状記憶体を形状回復型によって簡単に塑性変形形状に修復することができ、修復した形状記憶体を支持体に圧接係止することによって温度履歴確認器を再利用することができる。
【0041】
本発明に係る形状記憶体修復治具では、Cリング状のCリング体の両端が拡げられて塑性変形され塑性変形形状とされ、前記支持体に圧接係止された前記形状記憶体に関して、前記形状回復型は、前記Cリング体の内縁を当接させる当接面を有する突起であり、形状回復した前記Cリング体の前記内縁を前記当接面に当接させて圧入し前記両端を拡げて前記塑性変形形状に修復させることを特徴とする。
【0042】
この構成により、Cリング体は内縁を有する構造であり、この内縁を形状回復型の突起に当接させて圧入することによってCリング形状を拡げて形状回復させることができ、容易に塑性変形形状に修復させることができる。
【0043】
本発明に係る形状記憶体修復治具では、前記突起に、前記Cリング体を前記塑性変形形状に変形させる位置より圧入する方向側にストッパーが設けられてあることを特徴とする。
【0044】
この構成により、圧入の際に押し込みすぎないようにストッパーが設けられているので、正確な寸法に塑性変形形状に修復させることができる。
【0045】
本発明に係る形状記憶体修復治具では、Cリング状のCリング体の両端が狭められて塑性変形され塑性変形形状とされ、前記支持体に圧接係止された前記形状記憶体に関して、前記形状回復型は、前記Cリング体の外縁を当接させる当接面を有する窪みであり、形状回復した前記Cリング体の前記外縁を前記当接面に当接させて圧入し前記両端を狭めて前記塑性変形形状に修復させることを特徴とする。
【0046】
この構成により、Cリング体は外縁を有する構造であり、この外縁を形状回復型の窪みに当接させて圧入することによってCリング形状を狭めて形状回復させることができ、容易に塑性変形形状に修復させることができる。
【0047】
本発明に係る形状記憶体修復治具では、前記窪みに、前記Cリング体を前記塑性変形形状に変形させる位置より圧入する方向側にストッパーが設けられてあることを特徴とする。
【0048】
この構成により、圧入の際に押し込みすぎないようにストッパーが設けられているので、正確な寸法に塑性変形形状に修復させることができる。
【0049】
本発明に係る温度履歴確認器は、本発明に係る前記形状記憶体修復治具を備えたことを特徴とする。
【0050】
この構成により、形状回復温度に達して形状記憶体が形状回復しても、形状記憶体修復治具を用いてすぐに形状記憶体を塑性変形形状に修復することができ、これを支持体に圧接係止させることで温度履歴確認器を再利用できるようになる。
【0051】
本発明に係る温度履歴確認器は、Cリング状のCリング体の両端が拡げられて塑性変形され塑性変形形状とされ、前記支持体に圧接係止された前記形状記憶体に関して、前記形状回復型は、前記Cリング体の内縁を当接させる当接面を有する突起であり、形状回復した前記Cリング体の前記内縁を前記当接面に当接させて圧入し前記両端を拡げて前記塑性変形形状に修復させる形状記憶体修復治具を備えてあることを特徴とする。
【0052】
この構成により、形状記憶体がシンプルな構造のCリング体であり、形状記憶体修復治具もCリング体の形状に適合するシンプルな構造であるので、温度履歴確認器に形状記憶修復治具を備え付けることは設計上の制約も少なく容易であり、また、構造が簡単であるため容易に製造することができる。
【0053】
本発明に係る温度履歴確認器は、Cリング状のCリング体の両端が狭められて塑性変形され塑性変形形状とされ、前記支持体に圧接係止された前記形状記憶体に関して、前記形状回復型は、前記Cリング体の外縁を当接させる当接面を有する窪みであり、形状回復した前記Cリング体の前記外縁を前記当接面に当接させて圧入し前記両端を狭めて前記塑性変形形状に修復させる形状記憶体修復治具を備えてあることを特徴とする。
【0054】
この構成により、形状記憶体がシンプルな構造のCリング体であり、形状記憶体修復治具もCリング体の形状に適合するシンプルな構造であるので、温度履歴確認器に形状記憶修復治具を備え付けることは設計上の制約も少なく容易であり、また、構造が簡単であるため容易に製造することができる。
【0055】
本発明に係る電子機器は、本発明に係る温度履歴確認器及び形状記憶体修復治具を備えたことを特徴とする。
【0056】
この構成により、温度履歴確認器の形状記憶体が形状回復しても、形状記憶体修復治具を用いてすぐに形状記憶体の形状を塑性変形形状に修復して電子機器に搭載することができるので、温度履歴確認器を廃棄しないですみ環境によく、また、新たな温度履歴確認器を購入して電子機器に装着する必要もなくなり経済的である。
【発明の効果】
【0057】
本発明に係る温度履歴確認器によれば、形状記憶体と該形状記憶体を圧接係止する支持体との圧接係止の状態を確認することによって、形状回復温度に達したか否かを確認することができる。
【0058】
また、本発明に係る温度履歴確認器を備えた電子機器によれば、電子機器が温度履歴確認器の形状回復温度に達したか否かを確認することができる。
【0059】
また、本発明に係る温度履歴確認器を備え、形状記憶材料で形成された締結部材で組立てられた電子機器によれば、電子機器が分解する温度に達したか否かを確認することができる。
【0060】
また、本発明に係る形状記憶体修復治具によれば、温度履歴確認器の形状記憶体が形状回復しても、簡単に塑性変形形状に修復することができ、温度履歴確認器を再利用することができる。
【0061】
また、本発明に係る形状記憶体修復治具を備えた温度履歴確認器によれば、温度履歴確認器の形状記憶体が形状回復しても、その場ですぐに塑性変形形状に修復することができ、温度履歴確認器を再利用することができる。
【0062】
また、本発明に係る形状記憶体修復治具及び温度履歴確認器を備えた電子機器によれば、温度履歴確認器の形状記憶体が形状回復しても、その場ですぐに塑性変形形状に修復して、再度温度履歴確認器を使用可能にすることができるので、電子機器を修理工場へ送付しなくてもすぐに再使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
<実施の形態1>
本発明の実施の形態1に係る温度履歴確認器について図1及び図2に基づいて説明する。
【0064】
図1は、本発明の実施の形態1に係る温度履歴確認器の構造及び動作を説明する説明図であり、(A)は、Cリング体が圧接係止された状態の正面図であり、(B)は、Cリング体の圧接係止が解除された状態の正面図である。図2(A)は、図1(A)に示す温度履歴確認器の矢符aからみた断面図であり、(B)は、図1(B)に示す温度履歴確認器の矢符bからみた断面図である。
【0065】
温度履歴確認器1aは、形状記憶材料からなる形状記憶体としてのCリング体2aと、Cリング体2aを内包し圧接係止する凹部10aを有する支持体3aとから構成されている。
【0066】
Cリング体2aは、断面が略円形のCリング形状であり、形状記憶材料、例えばチタン−ニッケル合金で形成されている。両先端部6a、7aが拡げられて塑性変形形状とされたCリング体2aは、形状回復温度まで加熱すると元のCリング形状(すなわち記憶形状)に形状回復する。
【0067】
支持体3aは、例えば略直方体の形状をしており、所定の面に略円柱状に窪んだ凹部10aを有している。略円柱状の凹部10aの径は、Cリング体2aの両先端部6a、7aが拡げられた状態(すなわち塑性変形形状とされた状態)の外径と略同一である。塑性変形形状とされたCリング体2aは、凹部10aに圧入される。Cリング体2aは、外縁5aが凹部10aの円柱側面11a(すなわち係止面)に当接し、圧接係止される。圧接係止は、Cリング体2aの外縁5aと円柱側面11aとの間の連続した当接面での摩擦及びCリング体2aの弾性力によりなされ、日常生活で生じる振動によっては解除されることはない(図1(A)参照)。
【0068】
また、Cリング体2aと凹部10aの底面12aとの間及びCリング体2aと凹部10aの開口部13aとの間には空間が設けられている(図2(A)参照)。
【0069】
なお、支持体3aの形状は、立方体でも、円柱でもよく、所定の面に凹部10aが形成できれば、どのような形状でもよい。
【0070】
ここで、温度履歴確認器1aの動作について説明する。
【0071】
温度履歴確認器1aの周囲の温度が上昇し、温度履歴確認器1aの温度が形状回復開始温度(As点)を超えると、Cリング体2aの両先端部6a、7aが徐々に狭まり、形状回復温度に達すると元のCリング形状(すなわち、記憶形状)に形状回復する。この時、Cリング体2aの外縁5aは、支持体3aの凹部10aの円柱側面11aから離れ、Cリング体2aは圧接係止された状態から解除されることになる(図1(B)参照)。形状回復したCリング体2aは、温度履歴確認器1aの周囲が元の温度に戻ったときでも、塑性変形形状に逆戻りすることはない。
【0072】
したがって、Cリング体2aの圧接係止が解除されているか否かを視認することによって、形状回復する形状回復温度に達した履歴があるかどうかを、確認することができることになる。
【0073】
なお、温度履歴確認器1aの周囲の温度が形状回復開始温度(As点)を若干超えただけで、形状回復温度にまで達していない場合においては、Cリング体2aの圧接係止の状態を視認することによって、形状回復開始温度(As点)を超えた履歴があるかどうかを、確認することができる。つまり、このような温度に達したときは、Cリング体2aは形状回復を開始しているので、Cリング体2aの外縁5aと円柱側面11aとの間に間隙ができる。この間隙を視認するか、または、温度履歴確認器1aを振ることでCリング体2aが微動するか否かを確認することで、形状回復開始温度(As点)を超えた履歴があるかどうかを、確認することができる。
【0074】
また、Cリング体2aの外縁5aを凹部10aの円柱側面11aに衝突させることによって、衝突音を発生させ、聴覚的に形状回復温度に達したか否かを確認することができる。
【0075】
また、Cリング体2aと凹部10aの底面12aとの間及びCリング体2aと凹部10aの開口部13aとの間には空間が設けられているので、温度履歴確認器1aを振ることによって、Cリング体2aを凹部10aの内壁(円柱側面11aと底面12a)に衝突させることができ、確実に聴覚に訴える程度の振動音を発生させることができる。
【0076】
なお、温度履歴確認器1aを振動させてCリング体の振動音を発生させる構成とする場合には、Cリング体2aが凹部10aから脱離しないように、凹部10aの開口部13aを塞ぐ蓋を設けてもよい。
【0077】
<実施の形態2>
本発明の実施の形態2に係る温度履歴確認器について図3に基づいて説明する。
【0078】
図3は、本発明の実施の形態2に係る温度履歴確認器の構造及び動作を説明する説明図であり、(A)は、形状記憶体が圧接係止された状態の正面図であり、(B)は、形状記憶体の圧接係止が解除された状態の正面図である。
【0079】
温度履歴確認器1bは、形状記憶材料からなる形状記憶体2bと、形状記憶体2bを内包し圧接係止する凹部10bを有する支持体3bとから構成されている。
【0080】
形状記憶体2bは、断面が略円形のU字形状であり、形状記憶材料、例えばチタン−ニッケル合金で形成されている。両当接部8b、9bが拡げられて塑性変形形状とされた形状記憶体2bは、形状回復温度まで加熱すると元のU字形状(すなわち記憶形状)に形状回復する。
【0081】
支持体3bは、例えば略長方体の形状をしており、所定の面に略長方体状に窪んだ凹部10bを有している。略長方体状の凹部10bの対向する内側側面18b、19bの間隔は、形状記憶体2bの両当接部8b、9bが拡げられた状態(すなわち塑性変形形状とされた状態)の各当接部8b、9bの間隔と略同一間隔となるように形成されている。塑性変形形状とされた形状記憶体2bは、凹部10bに圧入される。形状記憶体2bは、各当接部8b、9bが凹部10bの内側側面18b、19b(すなわち係止面)に当接し、圧接係止される。圧接係止は、形状記憶体2bの各当接部8b、9bと内側側面18b、19bとの摩擦及び形状記憶体2bの弾性力によりなされ、日常生活で生じる振動によっては解除されることはない(図3(A)参照)。
【0082】
また、形状記憶体2bと凹部10bの底面との間及び形状記憶体2bと凹部10bの開口部13bとの間には空間が設けられている(不図示)。
【0083】
なお、支持体3bの形状は、立方体でも、円柱でもよく、形状記憶体2bを内包し圧接支持する凹部10bが形成できる大きさであれば、どのような形状でもよい。
【0084】
ここで、温度履歴確認器1bの動作について説明する。
【0085】
温度履歴確認器1bの周囲の温度が上昇し、温度履歴確認器1bの温度が形状回復開始温度(As点)を超えると、形状記憶体2bの両当接部8b、9bの間隔が徐々に狭まり、形状回復温度に達すると元のU字形状(すなわち、記憶形状)に形状回復する。この時、形状記憶体2bの各当接部8b、9bは、支持体3bの凹部10bの内側側面18b、19bから離れ、形状記憶体2bは圧接係止された状態から解除されることになる(図3(B)参照)。形状回復した形状記憶体2bは、温度履歴確認器1bの周囲が元の温度に戻ったときでも、塑性変形形状に逆戻りすることはない。
【0086】
したがって、形状記憶体2bの圧接係止状態を視認することによって、形状回復する形状回復温度に達した履歴があるかどうかを、確認することができることになる。
【0087】
なお、温度履歴確認器1bの周囲の温度が形状回復開始温度(As点)を若干超えただけで、形状回復温度にまで達していない場合においては、形状記憶体2bの圧接係止の状態を視認することによって、形状回復開始温度(As点)を超えた履歴があるかどうかを、確認することができる。つまり、このような温度に達したときは、形状記憶体2bは形状回復を開始しているので、形状記憶体2bの各当接部8b、9bと凹部10bの内側側面18b、19bとの間に間隙ができる。この間隙を視認するか、または、温度履歴確認器1bを振ることで形状記憶体2bが微動するか否かを確認することで、形状回復開始温度(As点)を超えた履歴があるかどうかを、確認することができる。
【0088】
また、形状記憶体2bの各当接部8b、9bを内側側面18b、19bに衝突させることによって、衝突音を発生させ、聴覚的に形状回復温度に達したか否かを確認することができる。
【0089】
また、形状記憶体2bと凹部10bの底面との間及び形状記憶体2bと凹部10bの開口部13bとの間には空間が設けられているので、温度履歴確認器1bを振ることによって、形状記憶体2bを凹部10bの内壁に衝突させることができ、確実に聴覚に訴える程度の振動音を発生させることができる。
【0090】
なお、温度履歴確認器1bを振動させて形状記憶体の振動音を発生させる構成とする場合には、形状記憶体2bが凹部10bから脱離しないように、凹部10bの開口部13bを塞ぐように蓋を設けてもよい。
【0091】
<実施の形態3>
本発明の実施の形態3に係る温度履歴確認器について図4に基づいて説明する。
【0092】
図4は、本発明の実施の形態3に係る温度履歴確認器の構造及び動作を説明する説明図であり、(A)は、形状記憶体が圧接係止された状態の正面図であり、(B)は、形状記憶体の圧接係止が解除された状態の正面図である。図5(A)は、図4(A)に示す温度履歴確認器の矢符cからみた断面図であり、(B)は、図4(B)に示す温度履歴確認器の矢符dからみた断面図である。
【0093】
温度履歴確認器1cは、形状記憶材料からなる形状記憶体としてのCリング体2cと、Cリング体2cに挟持される凸部20cを有する支持体3cとから構成されている。
【0094】
Cリング体2cは、断面が略円形のCリング形状であり、形状記憶材料、例えばチタン−ニッケル合金で形成されている。両先端部6c、7cが狭められて塑性変形形状とされたCリング体2cは、形状回復温度まで加熱すると元のCリング形状(すなわち記憶形状)に形状回復する。
【0095】
支持体3cは、例えば略直方体の形状をしており、所定の面に略円柱状に突出した凸部20cを有している。略円柱状の凸部20cの径は、Cリング体2cの両先端部6c、7cが狭められた状態(すなわち塑性変形形状とされた状態)の内径と略同一である。塑性変形形状とされたCリング体2cは、凸部20cに圧入される。Cリング体2cは、内縁15cが凸部20cの円柱側面21c(すなわち係止面)に当接し、圧接係止される。圧接係止は、Cリング体2cの内縁15cと円柱側面21cとの間の連続した当接面での摩擦及びCリング体2cの弾性力によりなされ、日常生活で生じる振動によっては解除されることはない(図4(A)参照)。
【0096】
また、Cリング体2cと凸部20cの底部22cとの間及びCリング体2cと凸部20c頂部23cとの間には空間が設けられている(図5(A)参照)。
【0097】
なお、支持体3cの形状は、立方体でも、円柱でもよく、所定の面に凸部20cが形成できれば、どのような形状でもよい。
【0098】
ここで、温度履歴確認器1cの動作について説明する。
【0099】
温度履歴確認器1cの周囲の温度が上昇し、温度履歴確認器1cの温度が形状回復開始温度(As点)を超えると、Cリング体2cの両先端部6c、7cが徐々に拡がり、形状回復温度に達すると元のCリング形状(すなわち、記憶形状)に形状回復する。この時、Cリング体2cの内縁15cは、支持体3cの凸部20cの円柱側面21cから離れ、Cリング体2cは圧接係止された状態から解除されることになる(図4(B)参照)。形状回復したCリング体2cは、温度履歴確認器1cの周囲が元の温度に戻ったときでも、塑性変形形状に逆戻りすることはない。
【0100】
したがって、Cリング体2cの圧接係止が解除されているか否かを視認することによって、形状回復する形状回復温度に達した履歴があるかどうかを、確認することができることになる。
【0101】
なお、温度履歴確認器1cの周囲の温度が形状回復開始温度(As点)を若干超えただけで、形状回復温度にまで達していない場合においては、Cリング体2cの圧接係止の状態を視認することによって、形状回復開始温度(As点)を超えた履歴があるかどうかを、確認することができる。つまり、このような温度に達したときは、Cリング体2cは形状回復を開始しているので、Cリング体2cの内縁15cと円柱側面21cとの間に間隙ができる。この間隙を視認するか、または、温度履歴確認器1cを振ることでCリング体2cが微動するか否かを確認することで、形状回復開始温度(As点)を超えた履歴があるかどうかを、確認することができる。
【0102】
また、Cリング体2cの内縁15cを凸部20cの円柱側面21cに衝突させることによって、衝突音を発生させ、聴覚的に形状回復温度に達したか否かを確認することができる。
【0103】
また、Cリング体2cと凸部20cの底面22cとの間及びCリング体2cと凸部20cの頂部23cとの間には空間が設けられているので、温度履歴確認器1cを振ることによって、Cリング体2cを凸部の底面22cと円柱側面21cに衝突させることができ、確実に聴覚に訴える程度の振動音を発生させることができる。
【0104】
なお、温度履歴確認器1cを振動させてCリング体の振動音を発生させる構成とする場合には、Cリング体2cが凸部20cから脱離しないように、凸部20cの頂部23cに笠を設けてもよい。
【0105】
<実施の形態4>
本発明の実施の形態4に係る温度履歴確認器について図6に基づいて説明する。
【0106】
図6は、本発明の実施の形態4に係る温度履歴確認器の構造及び動作を説明する説明図であり、(A)は、形状記憶体が圧接係止された状態の正面図であり、(B)は、形状記憶体の圧接係止が解除された状態の正面図である。
【0107】
温度履歴確認器1dは、形状記憶材料からなる形状記憶体2dと、形状記憶体2dに挟持される凸部20dを有する支持体3dとから構成されている。
【0108】
形状記憶体2dは、断面が略円形のU字形状であり、形状記憶材料、例えばチタン−ニッケル合金で形成されている。両当接部8d、9dが狭められて塑性変形形状とされた形状記憶体2dは、形状回復温度まで加熱すると元のU字形状(すなわち記憶形状)に形状回復する。
【0109】
支持体3dは、例えば略長方体の形状をしており、所定の面に略円柱状に突出した凸部20dを有している。略円柱状の凸部20dの径は、形状記憶体2dの両当接部8d、9dが狭められた状態(すなわち塑性変形形状とされた状態)の各当接部8d、9dの間隔と略同一になるように形成されている。塑性変形形状とされた形状記憶体2dは、凸部20dに圧入される。形状記憶体2dは、各当接部8d、9dが凸部20dの円柱側面21d(すなわち係止面)に当接し、圧接係止される。圧接係止は、形状記憶体2dの各当接部8d、9dと円柱側面21dとの摩擦及び形状記憶体2dの弾性力によりなされ、日常生活で生じる振動によっては解除されることはない(図6(A)参照)。
【0110】
また、形状記憶体2dと凸部20dの底部との間及び形状記憶体2dと凸部20dの頂部との間には空間が設けられている(不図示)。
【0111】
なお、支持体3dの形状は、立方体でも、円柱でもよく、形状記憶体に挟持される凸部20dが形成できる大きさであれば、どのような形状でもよい。
【0112】
ここで、温度履歴確認器1dの動作について説明する。
【0113】
温度履歴確認器1dの周囲の温度が上昇し、温度履歴確認器1dの温度が形状回復開始温度(As点)を超えると、形状記憶体2dの両当接部8d、9dの間隔が徐々に拡がり、形状回復温度に達すると元のU字形状(すなわち、記憶形状)に形状回復する。この時、形状記憶体2dの各当接部8d、9dは、支持体3dの凸部20dの円柱側面21dから離れ、形状記憶体2dは圧接係止された状態から解除されることになる(図6(B)参照)。形状回復した形状記憶体2dは、温度履歴確認器1dの周囲が元の温度に戻ったときでも、塑性変形形状に逆戻りすることはない。
【0114】
したがって、形状記憶体2dの圧接係止状態を視認することによって、形状回復する形状回復温度に達した履歴があるかどうかを、確認することができることになる。
【0115】
なお、温度履歴確認器1dの周囲の温度が形状回復開始温度(As点)を若干超えただけで、形状回復温度にまで達していない場合においては、形状記憶体2dの圧接係止の状態を視認することによって、形状回復開始温度(As点)を超えた履歴があるかどうかを、確認することができる。つまり、このような温度に達したときは、形状記憶体2dは形状回復を開始しているので、形状記憶体2dの各当接部8d、9dと凸部20dの円柱側面21dとの間に間隙ができる。この間隙を視認するか、または、温度履歴確認器1dを振ることで形状記憶体2dが微動するか否かを確認することで、形状回復開始温度(As点)を超えた履歴があるかどうかを、確認することができる。
【0116】
また、形状記憶体2dの各当接部8d、9dを円柱側面20dに衝突させることによって、衝突音を発生させ、聴覚的に形状回復温度に達したか否かを確認することができる。
【0117】
また、形状記憶体2dと凸部20dの底部との間及び形状記憶体2dと凸部20dの頂部との間には空間が設けられているので、温度履歴確認器1dを振ることによって、形状記憶体2dを凸部20dの底部と円柱側面21dとに衝突させることができ、確実に聴覚に訴える程度の振動音を発生させることができる。
【0118】
なお、温度履歴確認器1dを振動させて形状記憶体の振動音を発生させる構成とする場合には、形状記憶体2dが凸部20dから脱離しないように、凸部20dの頂部に笠を設けてもよい。
【0119】
<実施の形態5>
本発明の実施の形態1に係る温度履歴確認器の形状記憶体を修復する、実施の形態5に係る形状記憶体修復治具について図7に基づいて説明する。
【0120】
図7(A)は、本発明の実施の形態5に係る形状記憶体修復治具の側面図であり、(B)は、形状記憶体が形状記憶体治具によって形状修復される状態を説明する説明図である。
【0121】
形状記憶体修復治具31eは、形状回復したCリング体2aを圧入して塑性変形形状に変形させる形状回復型33eと、土台32eとから構成されている。
【0122】
形状回復型33eは、裾拡がりの円錐台形の突起であり、土台32eに設けられている。円錐台形の頂部34eの径は、形状回復して両先端部6a、7aが狭まったCリング体2aの内縁径よりも小さく、Cリング体2aが嵌入しやすい大きさとなっている。円錐台形の側面40e(すなわち当接面)は、Cリング体2aを円錐台形の頂部34eから圧入したときに、Cリング体2aの内縁15aが当接する面となる。円錐台形の底面35eの径は、塑性変形したCリング体2aの内縁径よりも大きい径に構成されている。
【0123】
また、形状回復型33eとしての円錐台形の突起には、塑性変形したCリング体2aの内縁径と同一の径よりも若干大きい径の部位にストッパー36eが設けられている(図7(A)参照)。
【0124】
この構成により、形状回復したCリング体2aを形状記憶体修復治具31eの頂部34eから嵌入してストッパー36eの位置まで圧入することで、Cリング体2aの両先端部6a、7aを拡げて塑性変形形状に修復させることができる。また、ストッパー36eが存在するので、Cリング体2aを拡げすぎることもなく、正確に元の塑性変形形状に修復させることができる。
【0125】
<実施の形態6>
本発明の実施の形態1に係る温度履歴確認器の形状記憶体を修復する、実施の形態6に係る形状記憶体修復治具について図8に基づいて説明する。
【0126】
図8(A)は、本発明の実施の形態6に係る形状記憶体修復治具の側面図であり、(B)は、形状記憶体が形状記憶体治具によって形状修復される状態を説明する説明図である。
【0127】
形状記憶体修復治具31fは、形状回復したCリング体2aを圧入して塑性変形形状に変形させる形状回復型33fと、土台32fとから構成されている。
【0128】
形状回復型33fは、円柱状の突起であり、土台32fに設けられている。円柱頂部34fの端縁はテーパー37fが設けられている。テーパーが設けられた円柱頂部34fの内径は、形状回復して両先端部6a、7aが狭まったCリング体2aの内縁径よりも若干小さく、Cリング体2aが嵌入しやすい形状となっている。円柱の側面40f(すなわち当接面)は、Cリング体2aを円柱の頂部34fから圧入したときに、Cリング体2aの内縁15aが当接する面となる。円柱径は、塑性変形したCリング体2aの内縁径と略同一径に構成されている。
【0129】
この構成により、形状回復したCリング体2aを形状記憶体修復治具31fの頂部34fから嵌入して圧入することで、Cリング体2aの両先端部6a、7aを拡げて塑性変形形状に修復させることができる。
【0130】
<実施の形態7>
本発明の実施の形態2に係る温度履歴確認器を修復する、実施の形態7に係る形状記憶体修復治具について図9に基づいて説明する。
【0131】
図9は、本発明の実施の形態7に係る形状記憶体修復治具の斜視図である。
【0132】
形状記憶体修復治具31gは、形状回復した形状記憶体2bを圧入して塑性変形形状に変形させる形状回復型33gと、土台32gとから構成されている。
【0133】
形状回復型33gは、鞍状の突起であり、土台32gに設けられている。形状回復型33gには、U字形状に塑性変形された形状記憶体2bが嵌合するように嵌合溝38gが設けられている。
【0134】
この構成により、形状回復したU字形状の形状記憶体2bを形状記憶体修復治具31gの背部39gから圧入して溝に嵌入することで、U字形状の形状記憶体2bの両当接部8b、9bを拡げて塑性変形形状に修復させることができる。
【0135】
<実施の形態8>
本発明の実施の形態3に係る温度履歴確認器の形状記憶体を修復する、実施の形態8に係る形状記憶体修復治具について図10に基づいて説明する。
【0136】
図10(A)は、本発明の実施の形態8に係る形状記憶体修復治具の正面図であり、(B)は、(A)に示す形状記憶体修復治具の矢符eからみた断面図である。
【0137】
形状記憶体修復治具31hは、形状回復したCリング体2cを圧入して塑性変形形状に変形させる形状回復型33hが本体32hに設けられた構成となっている。
【0138】
形状回復型33hは、裾窄まり円錐台形状の窪みであり、本体32hに設けられている。円錐台形の開口部44hの径は、形状回復して両先端部6c、7cが拡がったCリング体2cの外縁径よりも大きく、Cリング体2cが嵌入しやすい大きさとなっている。円錐台形の側面40h(すなわち当接面)は、Cリング体2cを円錐台形の開口部44hから圧入したときに、Cリング体2cの外縁5cが当接する面となる。円錐台形の底面45hの径は、塑性変形したCリング体2cの外縁径よりも小さい径に構成されている。
【0139】
また、形状回復型33hとしての円錐台形状の窪みには、塑性変形したCリング体2cの外縁径と同一の径よりも若干小さい径の部位にストッパー46hが設けられている(図10(A)参照)。
【0140】
この構成により、形状回復したCリング体2cを形状記憶体修復治具31hの開口部44hから嵌入してストッパー46hの位置まで圧入することで、Cリング体2cの両先端部6c、7cを狭めて塑性変形形状に修復させることができる。また、ストッパー46hが存在するので、Cリング体2cを狭めすぎることもなく、正確に元の塑性変形形状に修復させることができる。
【0141】
<実施の形態9>
本発明の実施の形態3に係る温度履歴確認器の形状記憶体を修復する、実施の形態9に係る形状記憶体修復治具について図11に基づいて説明する。
【0142】
図11(A)は、本発明の実施の形態9に係る形状記憶体修復治具の側面図であり、(B)は、(A)に示す形状記憶体修復治具の矢符fからみた断面図である。
【0143】
形状記憶体修復治具31iは、形状回復したCリング体2cを圧入して塑性変形形状に変形させる形状回復型33iが本体32iに設けられた構成となっている。
【0144】
形状回復型33iは、円柱形状の窪みであり、本体32iに設けられている。円柱開口部44iの端縁はテーパー47iが設けられている。テーパーが設けられた円柱開口部44iの外径は、両先端部6c、7cが拡がって形状回復したCリング体2cの外縁径よりも大きく、Cリング体2cが嵌入しやすい形状となっている。円柱の側面40i(すなわち当接面)は、Cリング体2cを円柱開口部44iから圧入したときに、Cリング体2cの外縁5cが当接する面となる。円柱の底面45iの径は、塑性変形したCリング体2cの外縁径と略同一に構成されている。
【0145】
この構成により、形状回復したCリング体2cを形状記憶体修復治具31iの円柱開口部44iから嵌入して圧入することで、Cリング体2cの両先端部6c、7cを狭めて塑性変形形状に修復させることができる。
【0146】
<実施の形態10>
本発明の実施の形態4に係る温度履歴確認器を修復する実施の形態10に係る形状記憶体修復治具について図12に基づいて説明する。
【0147】
図12は、本発明の実施の形態10に係る形状記憶体修復治具の斜視図である。
【0148】
形状記憶体修復治具31jは、形状回復した形状記憶体2dを圧入して塑性変形形状に変形させる形状回復型33jが本体32jに設けられた構成となっている。
【0149】
形状回復型33jは、U字状の窪みであり、本体32jに設けられている。U字状の形状回復型33jには、塑性変形された形状記憶体2dが嵌合するように嵌合溝48jが設けられている。
【0150】
この構成により、形状回復したU字形状の形状記憶体2dを形状記憶体修復治具31jの頂部49jから圧入して溝に嵌入することで、U字形状の形状記憶体2dの両当接部8d、9dを狭めて塑性変形形状に修復させることができる。
【0151】
<実施の形態11>
本発明の実施の形態6に係る形状記憶体修復治具が備えられた実施の形態11に係る温度履歴確認器について図13に基づいて説明する。
【0152】
図13は、本発明の実施の形態6に係る形状記憶体修復治具が備えられた実施の形態11に係る温度履歴確認器であり、(A)は、正面図であり、(B)は、(A)に示す温度履歴確認器の矢符gからみた断面図であり、(C)は、背面図である。
【0153】
温度履歴確認器1kは、支持体3kに実施の形態1に記載した凹部10aと同形状の凹部10kが設けられ、その反対側に、実施の形態6に示した形状回復型33fと同形状の形状回復型33kが一体的に突設され、実施の形態1に記載したCリング体2aと同形状のCリング体2kが凹部10kに圧接係止されて構成されている。
【0154】
凹部10kの開口部13kには、蓋61kが設けられており、Cリング体2kが形状回復して圧接係止が解除されても脱離しないように構成されている。また、蓋61kが透明であり、Cリング体2kの係止状態が視認できるようになっている。
【0155】
これによって、形状回復温度に達してCリング体2kが形状回復しても、形状回復型33kによってすぐにCリング体2kを塑性変形形状に修復することができ、これを支持体3kに圧接係止させることで温度履歴確認器1kを再利用できる。
【0156】
なお、Cリング体2k及び円柱状の形状回復型33kは共にシンプルな構造であるので、全体の構造がシンプルとなり安価に製造することができる。
【0157】
また、支持体3k側部には貫通穴62kが設けられており、紐等が挿通させて電子機器に連結できるようになっている。
【0158】
<実施の形態12>
本発明の実施の形態11に係る温度履歴確認器が紐で連結された電子機器について図14に基づいて説明する。
【0159】
図14(A)は、本発明の実施の形態11に係る温度履歴確認器を備えた実施の形態12に係る携帯電話の正面斜視図であり、(B)は、本発明の実施の形態12に係る携帯電話の背面斜視図である。
【0160】
電子機器としての携帯電話には、貫通穴62kに紐が挿通された温度履歴確認器1kが、紐を介して連結されている。
【0161】
この構成により、携帯電話の温度履歴を確認することができる。また、取り外しが容易であるため、他の携帯電話・ノート型パーソナルコンピューターにも付け替えることができるので、経済的である。
【0162】
<実施の形態13>
形状記憶材料で形成された締結部材で筐体が締結され、本発明の温度履歴確認器が備えられた実施の形態13に係る携帯電話について、図15及び図16に基づいて説明する。
【0163】
図15(A)は、本発明の温度履歴確認器を備えた携帯電話の正面斜視図であり、(B)は、本発明の温度履歴確認器を備えた携帯電話の背面斜視図である。図16(A)は、図15(B)に示す温度履歴確認器が取り出された携帯電話を矢符hからみた断面図であり、(B)は、図15(B)に示す温度履歴確認器が格納された携帯電話を矢符hからみた断面図である。
【0164】
解体容易な携帯電話90は、形状記憶材料によって形成された締結部材(不図示)で筐体91が組立てられている。これによって、加熱するだけで容易に携帯電話90を分解することができるので、効率よく電子部品等を回収することができる。
【0165】
締結部材の形状回復温度は、携帯電話90が日常生活において通常使用される環境温度及び解体に必要な熱エネルギーの省エネルギーの観点から120℃程度に設定されてある。このとき、締結部材の形状回復開始温度(As点)は、形状回復温度(Af点)より20度程度低い100℃程度になる。このように温度設定された解体容易な携帯電話90は、120℃以上の温度に加熱することで締結部材を形状回復させて筐体91の締結が解除され、分解される。
【0166】
携帯電話90の胴体部分には、温度履歴確認器1mが取り外し可能な状態で取り付けられている。
【0167】
温度履歴確認器1mは、実施の形態1乃至4に示したいずれの構造であってもよい。例えば、温度履歴確認器1mは実施の形態1と同様の構成であって、支持体3m、凹部10m、及び形状記憶体2mとから構成されている。支持体3mの凹部10mが形成された部分の反対側には、係合凹部94mが設けられている。一方、携帯電話90の温度履歴確認器1mが格納される格納部92には係止爪93が設けられており、係止凹部94mと係止爪93とが係合して、温度履歴確認器1mが取り外し可能に装着されるようになっている。
【0168】
これによって、形状回復温度に達して形状記憶体2mが形状回復し圧接係止が解除されて温度履歴確認器1mが使用できなくなった場合であっても、温度履歴確認器1mを取り外して新たな温度履歴確認器1mと交換することができるので、解体容易な携帯電話90の温度履歴確認機能を復活させることができる。
【0169】
形状記憶体2mの形状回復温度は、解体容易な携帯電話90の締結部材の形状回復開始温度(As点)を基準に設定されている。形状記憶体2mの形状回復温度は、形状記憶体の組成を調節することによって設定できる。ニッケル−チタン合金により形状記憶体2mが形成されている場合、ニッケルの成分を調節することで、一定範囲内で形状回復温度を制御することができる。形状記憶体2mの形状回復温度は、例えば、解体容易な携帯電話90の締結部材の形状回復開始温度100℃と等しい温度に設定される。
【0170】
解体容易な携帯電話90が100℃以上の温度に達すると、形状記憶体2mは支持体からの圧接が解除され、携帯電話90に振動を与えると、形状記憶体2mは支持体3mの凹部10mの内壁に衝突し振動音を発する。また、温度履歴確認器90を筐体91から取り外すことで形状記憶体2mが形状回復していることを視覚的に確認することもできる。これにより、解体容易な携帯電話90が100℃以上の温度に達した履歴があることを確認することができる。したがって、解体容易な携帯電話90を使用するユーザーは、携帯電話90が分解する虞があるかどうかを簡単に確認することができるので、解体容易な携帯電話90を安心して使用することができる。
【0171】
また、解体容易な携帯電話90には、格納された温度履歴確認器1mの形状記憶体2mの形状を修復する形状記憶体修復治具、例えば、実施の形態5に係る形状記憶体修復治具31eと同じ構造の形状記憶体修復治具31mが設けられる。
【0172】
具体的には、格納された温度履歴確認器1mが実施の形態1の構成である場合、携帯電話90のアンテナ先端部95の外形を実施の形態5の凸部33eと同様の構造とすることによって、形状記憶体修復治具31mを備えた携帯電話を実現することができる。
【0173】
これによって、温度履歴確認器1mの形状記憶体が形状回復しても、形状記憶体修復治具31mを用いてすぐに形状記憶体2mの形状を塑性変形形状に修復して携帯電話90に搭載することができるので、温度履歴確認器1mを廃棄しないですみ環境によく、また、新たな温度履歴確認器1mを購入して電子機器に装着する必要もなくなり経済的である。
【0174】
また、解体容易な携帯電話90の裏面には、形状記憶材料によって組立てられた製品であり、所定温度を超えると筐体91が分解するという注意事項を記載したラベル96と、温度履歴確認器が携帯電話90の胴体部に格納されていることを表示したラベル97と、所定温度を超えたことは温度履歴確認器1mによって確認できるという注意事項を記載したラベル98とが貼付されている。
【0175】
これによって、ユーザーは、所有する携帯電話90が所定温度を超えると分解するリサイクル対応製品であること、携帯電話90が所定温度を超えると分解すること、及び、分解する状態であるか否かは温度履歴確認器1mで確認することができることを認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0176】
【図1】本発明の実施の形態1に係る温度履歴確認器の構造及び動作を説明する説明図であり、(A)は、Cリング体が圧接係止された状態の正面図であり、(B)は、Cリング体の圧接係止が解除された状態の正面図である。
【図2】(A)は、図1(A)に示す温度履歴確認器の矢符aからみた断面図であり、(B)は、図1(B)に示す温度履歴確認器の矢符bからみた断面図である。
【図3】本発明の実施の形態2に係る温度履歴確認器の構造及び動作を説明する説明図であり、(A)は、形状記憶体が圧接係止された状態の正面図であり、(B)は、形状記憶体の圧接係止が解除された状態の正面図である。
【図4】本発明の実施の形態3に係る温度履歴確認器の構造及び動作を説明する説明図であり、(A)は、形状記憶体が圧接係止された状態の正面図であり、(B)は、形状記憶体の圧接係止が解除された状態の正面図である。
【図5】(A)は、図4(A)に示す温度履歴確認器の矢符cからみた断面図であり、(B)は、図4(B)に示す温度履歴確認器の矢符dからみた断面図である。
【図6】本発明の実施の形態4に係る温度履歴確認器の構造及び動作を説明する説明図であり、(A)は、形状記憶体が圧接係止された状態の正面図であり、(B)は、形状記憶体の圧接係止が解除された状態の正面図である。
【図7】(A)は、本発明の実施の形態5に係る形状記憶体修復治具の側面図であり、(B)は、形状記憶体が形状記憶体治具によって形状修復される状態を説明する説明図である。
【図8】(A)は、本発明の実施の形態6に係る形状記憶体修復治具の側面図であり、(B)は、形状記憶体が形状記憶体治具によって形状修復される状態を説明する説明図である。
【図9】本発明の実施の形態7に係る形状記憶体修復治具の斜視図である。
【図10】(A)は、本発明の実施の形態8に係る形状記憶体修復治具の正面図であり、(B)は、(A)に示す形状記憶体修復治具の矢符eからみた断面図である。
【図11】(A)は、本発明の実施の形態9に係る形状記憶体修復治具の側面図であり、(B)は、(A)に示す形状記憶体修復治具の矢符fからみた断面図である。
【図12】本発明の実施の形態10に係る形状記憶体修復治具の斜視図である。
【図13】本発明の実施の形態6に係る形状記憶体修復治具が備えられた実施の形態11に係る温度履歴確認器であり、(A)は、正面図であり、(B)は、(A)に示す温度履歴確認器の矢符gからみた断面図であり、(C)は、背面図である。
【図14】(A)は、本発明の実施の形態11に係る温度履歴確認器を備えた実施の形態12に係る携帯電話の正面斜視図であり、(B)は、本発明の実施の形態12に係る携帯電話の背面斜視図である。
【図15】(A)は、本発明の温度履歴確認器を備えた携帯電話の正面斜視図であり、(B)は、本発明の温度履歴確認器を備えた携帯電話の背面斜視図である。
【図16】(A)は、図15(B)に示す温度履歴確認器が取り出された携帯電話を矢符hからみた断面図であり、(B)は、図15(B)に示す温度履歴確認器が格納された携帯電話を矢符hからみた断面図である。
【図17】(A)は、提案された締結構造を説明する説明図であり、(B)は、提案された締結構造の締結部材が形状回復した状態を示す説明図であり、(C)は、締結が解除された状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0177】
1a、1b、1c、1d、1k、1m 温度履歴確認器
2a、2c、2k Cリング体
2b、2d、2m 形状記憶体
3a、3b、3c、3d、3k、3m 支持体
10a、10b、10k、10m 凹部
20c、20d 凸部
5a 外縁
15c 内縁
8b、9b、8d、9d 当接部
11a 凹部の円柱側面(係止面)
18b、19b 凹部の内側側面(係止面)
21c、21d 凸部の円柱側面(係止面)
91 筐体
31e、31f、31g、31h、31i、31j、31m 形状記憶体修復治具
33e、33f、33g、33h、33i、33j、33k 形状回復型
36e、46h ストッパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶形状を形状記憶した形状記憶体と、該形状記憶体を内包し圧接係止する凹部を有する支持体とを備える温度履歴確認器であって、
前記形状記憶体は、前記記憶形状に対して外縁が拡がった塑性変形形状に変形されて、前記外縁が前記凹部の係止面に当接して圧接係止され、形状回復温度に達すると前記記憶形状に回復し、圧接係止が解除される構成としてあることを特徴とする温度履歴確認器。
【請求項2】
前記形状記憶体は、前記凹部に当接する当接部を前記外縁に複数有し、前記記憶形状に対して該各当接部間の距離が拡がるように塑性変形されて塑性変形形状とされ、前記当接部を前記凹部の前記係止面に当接させ、圧接係止された構成としたことを特徴とする請求項1に記載の温度履歴確認器。
【請求項3】
前記形状記憶体は、Cリング状のCリング体であり、該Cリング体の両端が拡げられて塑性変形形状とされ、
一方、前記凹部の前記係止面は、塑性変形形状とされた前記Cリング体の外縁に沿って当接する形状とされ、前記Cリング体は、前記外縁が前記係止面に当接され圧接係止されたことを特徴とする請求項1に記載の温度履歴確認器。
【請求項4】
前記形状記憶体が前記凹部に圧接係止された状態において、前記形状記憶体と前記凹部の底面との間、あるいは前記形状記憶体と前記凹部の開口部との間の少なくとも一方に空間が設けられてあることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の温度履歴確認器。
【請求項5】
記憶形状を形状記憶した形状記憶体と、該形状記憶体に挟持される凸部を有する支持体とを備える温度履歴確認器であって、
前記形状記憶体は、前記記憶形状に対して内縁が狭まった塑性変形形状に変形されて、前記内縁が前記凸部の前記係止面に当接して圧接係止され、形状回復温度に達すると前記記憶形状に回復し、圧接係止が解除される構成としてあることを特徴とする温度履歴確認器。
【請求項6】
前記形状記憶体は、前記凸部に当接する当接部を前記内縁に複数有し、前記記憶形状に対して該各当接部間の距離が狭まるように塑性変形されて塑性変形形状とされ、前記当接部を前記凸部の前記係止面に当接させ、圧接係止された構成とされたことを特徴とする請求項5に記載の温度履歴確認器。
【請求項7】
前記形状記憶体は、Cリング状のCリング体であり、該Cリング体の両端が狭められて塑性変形形状とされ、
一方、前記凸部の前記係止面は、塑性変形形状とされた前記Cリング体の内縁に沿って当接する形状とされ、前記Cリング体は、前記内縁が前記係止面に当接され圧接係止されたことを特徴とする請求項5に記載の温度履歴確認器。
【請求項8】
前記形状記憶体が前記凸部に圧接係止された状態において、前記形状記憶体と前記凸部の底部との間、あるいは前記形状記憶体と前記凸部の頂部との間の少なくとも一方に空間が設けられてあることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか一つに記載の温度履歴確認器。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか一つに記載の温度履歴確認器を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項10】
前記電子機器の筐体は、記憶形状材料で形成された締結部材によって組み立てられてあり、前記形状記憶体の形状回復温度(Af点)は、前記締結部材の形状回復開始温度(As点)を基準にして設定してあることを特徴とする請求項9に記載の電子機器。
【請求項11】
前記形状記憶体の前記形状回復温度(Af点)と前記締結部材の前記形状回復開始温度(As点)とは等しいことを特徴とする請求項10に記載の電子機器。
【請求項12】
前記温度履歴確認器は、前記筐体に取り外し可能に設けられていることを特徴とする請求項9乃至請求項11のいずれか一つに記載の電子機器。
【請求項13】
記憶形状を記憶した形状記憶体が塑性変形形状に変形され、支持体に圧接係止される温度履歴確認器に関して、形状回復した前記形状記憶体を塑性変形形状に修復させる形状記憶体修復治具であって、
形状回復した前記形状記憶体を圧入して前記塑性変形形状に修復させる形状回復型を備えたことを特徴とする形状記憶体修復治具。
【請求項14】
Cリング状のCリング体の両端が拡げられて塑性変形され塑性変形形状とされ、前記支持体に圧接係止された前記形状記憶体に関して、
前記形状回復型は、前記Cリング体の内縁を当接させる当接面を有する突起であり、形状回復した前記Cリング体の前記内縁を前記当接面に当接させて圧入し前記両端を拡げて前記塑性変形形状に修復させることを特徴とする請求項13に記載の形状記憶体修復治具。
【請求項15】
前記突起に、前記Cリング体を前記塑性変形形状に変形させる位置より圧入する方向側にストッパーが設けられてあることを特徴とする請求項14に記載の形状記憶体修復治具。
【請求項16】
Cリング状のCリング体の両端が狭められて塑性変形され塑性変形形状とされ、前記支持体に圧接係止された前記形状記憶体に関して、
前記形状回復型は、前記Cリング体の外縁を当接させる当接面を有する窪みであり、形状回復した前記Cリング体の前記外縁を前記当接面に当接させて圧入し前記両端を狭めて前記塑性変形形状に修復させることを特徴とする請求項13に記載の形状記憶体修復治具。
【請求項17】
前記窪みに、前記Cリング体を前記塑性変形形状に変形させる位置より圧入する方向側にストッパーが設けられてあることを特徴とする請求項16に記載の形状記憶体修復治具。
【請求項18】
請求項13に記載の前記形状記憶体修復治具を備えた請求項1乃至請求項8のいずれか一つに記載の温度履歴確認器。
【請求項19】
請求項14又は請求項15に記載の前記形状記憶体修復治具を備えた請求項3又は請求項4に記載の温度履歴確認器。
【請求項20】
請求項16又は請求項17に記載の形状記憶体修復治具を備えた請求項7又は請求項8に記載の温度履歴確認器。
【請求項21】
請求項13に記載の形状記憶体修復治具を備えた請求項9乃至請求項12のいずれか一つに記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−313109(P2006−313109A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−135882(P2005−135882)
【出願日】平成17年5月9日(2005.5.9)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】