説明

温度応答性高分子微粒子及びその分散体の製造方法

【課題】
表面にカチオン系及び/又はノニオン系の親水性高分子鎖を有する新規な高分子微粒子及びその製造方法を提供することであって、温度の変化に応じて平均粒子径が可逆的に変化する温度応答性高分子微粒子及び当該微粒子の簡易な製造方法を提供する。
【解決手段】微粒子表面に親水性高分子鎖が局在し、微粒子のコアが疎水性高分子及び感温性高分子から構成される温度応答性高分子微粒子であって、親水性マクロモノマーと疎水性単量体と感温性を発現させる単量体とを共重合することを特徴とする温度応答性高分子微粒子分散体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は、表面にカチオン系及び/又はノニオン系の親水性高分子鎖を有する新規な高分子微粒子及びその製造方法に関するものであり、詳細には温度の変化に応じて平均粒子径が可逆的に変化する、温度応答性高分子微粒子及びその分散体の簡易な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子の片末端にラジカル重合性基を持つマクロモノマーは、構造が明確に制御されたグラフト共重合体を製造することができ、親水性のマクロモノマーと疎水性モノマーとを共重合することにより、表面に親水性の高分子鎖を有し、内部が疎水性の高分子化合物から構成される水分散性の高分子微粒子を製造することができる。例えば従来知られている親水性マクロモノマーと疎水性モノマーとを共重合した高分子微粒子としては、ポリエチレングリコールマクロモノマーと疎水性モノマーとを共重合した高分子微粒子(非特許文献1、非特許文献2)、N−ビニルアミドマクロモノマーと疎水性モノマーとを共重合した高分子微粒子及び当該高分子微粒子のアミド部分をアミンにケン化した高分子微粒子(特許文献1)、N−イソプロピルアクリルアミドマクロモノマーと疎水性モノマーとを共重合した高分子微粒子(特許文献2)がある。
【0003】
N−イソプロピルアクリルアミドマクロモノマーと疎水性モノマーとを共重合した高分子微粒子は温度の変化により粒子径は変化するが、変化幅は320nmから440nmの範囲であり、変化幅は非常に小さい(非特許文献3)。
【先行技術文献】
【0004】
【非特許文献1】ポリマージャーナル第17巻、827頁、1985年
【非特許文献2】Macromolecules 2000,33,1759−1764
【非特許文献3】Journal of Polymer Chemistry,Vol.34,2213−2220(1996)
【特許文献1】特開平02−296808号公報
【特許文献2】特開平08−183760号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、表面にカチオン系及び/又はノニオン系の親水性高分子鎖を有する新規な高分子微粒子及びその分散体の製造方法を提供することであって、温度の変化に応じて平均粒子径が可逆的に変化する温度応答性高分子微粒子及び当該微粒子分散体の簡易な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、鋭意研究を積み重ねた結果、微粒子表面に親水性高分子鎖が局在し、微粒子のコアが疎水性高分子及び温度感受性高分子から構成される高分子微粒子が可逆的な温度応答性を示すことを見出し、さらには親水性マクロモノマーと疎水性モノマーと温度感受性モノマーとを共重合することにより、容易に温度応答性高分子微粒子の分散体を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち本発明の温度応答性高分子微粒子は、下記の一般式(1)で表される構造単位の中から選ばれる少なくとも1種と、
【0008】
【化15】

【0009】
[式(1)中、Qは水素原子、メチル基又はシアノ基を示し、Qは水素原子、
【0010】
【化16】

【0011】
(R及びR’は同一又は異なって水素原子又は炭素数1〜4の低級アルキル基又はハロゲン原子又はハロゲノメチル基を示し、Rは炭素数1〜18の直鎖又は分岐又は環状のアルキル基又はベンジル基又はヒドロキシプロピル基を示し、R’は炭素数1〜18の直鎖又は分岐又は環状のアルキル基又はフェニル基を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を示し、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示す(ただしR及びRの総炭素数は3〜20である))を示す。]
【0012】
下記の一般式(2)で表される構造単位の中から選ばれる少なくとも1種と、
【0013】
【化17】

【0014】
[式(2)中、Qは水素原子又はメチル基を示し、Qは−CO−NR(Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、Rは炭素数1〜3のアルキル基を示す(ただしR及びRの総炭素数は1〜6である))を示す。]
【0015】
下記の一般式(3)及び(4)で表される構造単位の中から選ばれる少なくとも1種から成る水分散性の高分子微粒子であって、温度の変化に応じて可逆的に平均粒子径が変化することを特徴とする。
【0016】
【化18】

【0017】
[式(3)中、Qは水素原子又はメチル基を示し、Qは、
【0018】
【化19】

【0019】
(Aは炭素数1〜10のアルキレン基を示す)を示し、Qは酸素原子又は−NH−を示し、Qは炭素数1〜10のアルキレン基を示し、Qは酸素原子又は硫黄原子を示し、Yは酸素原子又は2個の水素原子を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、X
【0020】
【化20】

【0021】
(R、R及びR10は同一又は異なって炭素数1〜4の低級アルキル基又はベンジル基を示し、R11は水素原子又はメチル基又はエチル基を示し、R12は水素原子又はメチル基を示し、Zは陰イオンを示す)を示し、lは1〜100の数を示す。]
【0022】
【化21】

【0023】
[式(4)中、Q10及びQ12は同一又は異なって水素原子又はメチル基を示し、Q11は酸素原子又は−NH−を示し、nは1〜100の数を示す。]
【0024】
また、本発明の温度応答性高分子微粒子分散体の製造方法は、下記の一般式(5)で表される単量体の中から選ばれる少なくとも1種と、
【0025】
【化22】

【0026】
[式(5)中、Q13は水素原子、メチル基又はシアノ基を示し、Q14は水素原子、
【0027】
【化23】

【0028】
(R13及びR13’は同一又は異なって水素原子又は炭素数1〜4の低級アルキル基又はハロゲン原子又はハロゲノメチル基を示し、R14は炭素数1〜18の直鎖又は分岐又は環状のアルキル基又はベンジル基又はヒドロキシプロピル基を示し、R14’は炭素数1〜18の直鎖又は分岐又は環状のアルキル基又はフェニル基を示し、R15は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を示し、R16は炭素数1〜10のアルキル基を示す(ただしR15及びR16の総炭素数は3〜20である))を示す。]
【0029】
下記の一般式(6)で表される単量体の中から選ばれる少なくとも1種と、
【0030】
【化24】

【0031】
[式(6)中、Q15は水素原子又はメチル基を示し、Q16は−CO−NR1718(R17は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、R18は炭素数1〜3のアルキル基を示す(ただしR17及びR18の総炭素数は1〜6である))を示す。]
【0032】
下記の一般式(7)及び(8)で表される親水性マクロモノマーの中から選ばれる少なくとも1種とを共重合させることを特徴とする。
【0033】
【化25】

【0034】
[式(7)中、Q17は水素原子又はメチル基を示し、Q18は、
【0035】
【化26】

【0036】
(Aは炭素数1〜10のアルキレン基を示す)を示し、Q19は酸素原子又は−NH−を示し、Q20は炭素数1〜10のアルキレン基を示し、Q21は酸素原子又は硫黄原子を示し、Yは酸素原子又は2個の水素原子を示し、R19は水素原子又はメチル基を示し、X
【0037】
【化27】

【0038】
(R20、R21及びR22は同一又は異なって炭素数1〜4の低級アルキル基又はベンジル基を示し、R23は水素原子又はメチル基又はエチル基を示し、R24は水素原子又はメチル基を示し、Zは陰イオンを示す)を示し、lは1〜100の数を示す。]
【0039】
【化28】

【0040】
[式(8)中、Q22及びQ24は同一又は異なって水素原子又はメチル基を示し、Q23は酸素原子又は−NH−を示し、nは1〜100の数を示す。]
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、表面にカチオン系及び/又はノニオン系の親水性高分子鎖を有し、内部が疎水性の高分子化合物から構成される水分散性の温度応答性高分子微粒子を、凝集物等副生することなく簡易に分散体として製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0043】
本発明の温度応答性微粒子は、微粒子のコアを形成する前記一般式(1)で表わされる構造単位と、温度応答性能を発現させる前記一般式(2)で表わされる構造単位と、微粒子表面に局在する前記一般式(3)及び/又は(4)で表わされる親水性の高分子鎖から構成される。
【0044】
先ず、本発明の温度応答性高分子微粒子を構成する前記一般式(1)について説明する。
【0045】
前記一般式(1)で表される構造単位中のQの式(Q−1)で表わされるR及びR’で示される炭素数1〜4の低級アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基等を挙げることができ、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができ、ハロゲノメチル基としてはクロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基等を挙げることができる。式(1)中、Qの式(Q−2)及び(Q−3)で表わされるR及びR’で示される炭素数1〜18のアルキル基としては、直鎖又は分岐又は環状のアルキル基が挙げられ、具体例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基等が挙げられる。このうちR及びR´としては炭素数1〜5のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基が特に好ましい。また、式(1)中、Qの式(Q−4)で表わされるR及びRはいずれか一方が水素原子で他方がアルキル基の場合、及び両者がアルキル基の場合があるが、両者の総炭素数が3〜20である。例えばRが水素原子の場合、Rは炭素数3〜20のアルキル基であり、R及びRがアルキル基の場合にはR及びRのアルキル基の炭素数の合計が3〜20となる組み合わせである。
【0046】
一般式(1)の構造単位中のQは、式(Q−1)、(Q−2)、(Q−3)及び(Q−4)の構造から選ばれる1種でもよく、2種以上を組み合わせてもよいが、次の式(1a)
【0047】
【化29】

【0048】
である構造がより好ましく、さらには次の式(1b)
【0049】
【化30】

【0050】
(式中、Rは前記と同じ)で表わされる構造単位がより好ましく、Rが水素原子の場合が特に好ましい。
【0051】
次に、本発明の温度応答性高分子微粒子を構成する前記一般式(2)について説明する。
【0052】
一般式(2)の構造単位から選ばれる1種でもよく、2種以上を組み合わせてもよいが、次の式(2a)
【0053】
【化31】

【0054】
である構造がより好ましく、次の式(2b)
【0055】
【化32】

【0056】
で表わされる構造単位が特に好ましい。
【0057】
次に、本発明の温度応答性高分子微粒子を構成する一般式(3)及び(4)について説明する。
【0058】
一般式(3)で表される構造単位中、QのA及びQで示される炭素数1〜10のアルキレン基としては、炭素数1〜10の直鎖又は分岐状のアルキレン基が挙げられ、具体的にはメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、ヘキサメチレン基、(エチル)エチレン基、(ジメチル)エチレン基等が挙げられる。このうち、炭素数1〜5の直鎖又は分岐状のアルキレン基がより好ましい。
【0059】
一般式(3)で表される構造単位中のXの、式(X−1)、(X−2)、(X−3)及び(X−4)中のR、R及びR10で示される低級アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が挙げられる。
【0060】
一般式(3)で表される構造単位中のXの、式(X−1)及び(X−2)中の(CHは炭素数1〜3のアルキレン基であり、具体的にはメチレン基、エチレン基、トリメチレン基が挙げられるが、エチレン基が好ましい。
【0061】
一般式(3)で表される構造単位中のXの、式(X−1)、(X−2)、(X−3)及び(X−4)中のZで示される陰イオンはフッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硫酸イオン等が挙げられ、中でも塩素イオンが特に好ましい。
【0062】
一般式(3)で表される構造単位中のXを含む繰り返し単位は、(X−1)、(X−2)、(X−3)、(X−4)、(X−5)及び(X−6)の中から選ばれる1種でもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0063】
一般式(3)の構造単位中、次の式(3a)
【0064】
【化33】

【0065】
(式中、Q、Q、Q、Y、X、R及びlは前記と同じ)で表わされる構造単位がより好ましく、さらには式(3b)
【0066】
【化34】

【0067】
(式中、X、R及びlは前記と同じ)で表わされる構造単位がより好ましく、式(3c)
【0068】
【化35】

【0069】
(式中、Z及びlは前記と同じ)で表わされる構造単位が特に好ましい。
【0070】
一般式(4)の構造単位中、次の式(4a)
【0071】
【化36】

【0072】
(式中、Q11及びmは前記と同じ)で表わされる構造単位がより好ましく、式(4b)
【0073】
【化37】

【0074】
(式中、mは前記と同じ)で表わされる構造単位が特に好ましい。
【0075】
微粒子のコアを形成する構造単位は、一般式(1)で表わされる構造単位から1種又は2種以上選んでもよい。また、温度応答性能を発現させる構造単位は、一般式(2)で表わされる構造単位から1種又は2種以上選んでもよく、この場合は温度の変化に応じて粒子径が変化する温度応答性微粒子となり、さらに詳細には温度が高温から低温へ変化するに連れて粒子径が大きくなる温度応答性微粒子となる。微粒子表面に局在する親水性の高分子鎖である構造単位は、一般式(3)で表わされる構造単位から1種又は2種以上選んでもよいし、一般式(4)で表わされる構造単位から1種又は2種以上選んでもよいし、一般式(3)及び(4)の群から2種以上選んでもよい。より好ましい組合わせは、一般式(1)で表わされる構造単位から選ばれる1種と、一般式(2)で表わされる構造単位から選ばれる1種と、一般式(3)又は一般式(4)で表わされる構造単位から選ばれる1種との組合せである。
【0076】
本発明の温度応答性微粒子を構成する一般式(1)で表わされる構造単位、一般式(2)で表わされる構造単位、一般式(3)及び/又は(4)で表わされる構造単位の比率は特に制限されないが、温度応答性の観点から、一般式(1)で表わされる構造単位と、一般式(2)で表わされる構造単位と、一般式(3)及び(4)で表わされる構造単位のうち当該高分子微粒子の表面に局在する高分子鎖を構成する繰り返し単位との比率が1/0.01〜100/0.01〜100の範囲が好ましく、1/0.1〜90/0.1〜50の範囲がより好ましく、1/0.5〜80/0.5〜40が特に好ましい。
【0077】
本発明の温度応答性高分子微粒子分散体は、微粒子のコアを形成する前記一般式(5)で表わされる単量体から選ばれる少なくとも1種と、温度応答性能を発現させる前記一般式(6)で表わされる単量体から選ばれる少なくとも1種と、微粒子表面に局在する前記一般式(7)及び/又は(8)で表わされる親水性マクロモノマーから選ばれる少なくとも1種とを共重合させることにより製造することができる。
【0078】
以下にその製造方法を詳しく説明する。
【0079】
一般式(5)で表される単量体のQ14の式(Q14−1)で表わされるR13及びR13’で示される炭素数1〜4の低級アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基等を挙げることができ、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができ、ハロゲノメチル基としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基等を挙げることができる。式(5)中、Q14の式(Q14−2)及び(Q14−3)で表わされるR14及びR14’で示される炭素数1〜18のアルキル基としては、直鎖又は分岐又は環状のアルキル基が挙げられ、具体例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基等が挙げられる。このうちR14及びR14’としては炭素数1〜5のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基が特に好ましい。また、式(5)中、Q14の式(Q14−4)で表わされるR15及びR16はいずれか一方が水素原子で他方がアルキル基の場合、及び両者がアルキル基の場合があるが、両者の総炭素数が3〜20である。例えばR15が水素原子の場合、R16は炭素数3〜20のアルキル基であり、R15及びR16がアルキル基の場合にはR15及びR16のアルキル基の炭素数の合計が3〜20となる組み合わせである。
【0080】
一般式(5)で表される単量体としては、スチレン、モノメチルスチレン、ジメチルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、クロロメチルスチレン、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、安息香酸ビニル、N−ブチルアクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられ、これらの単量体は単独で、あるいは適宜組み合わせて用いることができるが、スチレンが特に好ましい。
【0081】
一般式(6)で表される単量体中、Q16が−CO−NR1718(R17は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、R18は炭素数1〜3のアルキル基を示す(ただしR17及びR18の総炭素数は1〜6である))で表わされる単量体としては、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられるが、N−イソプロピルアクリルアミドがより好ましい。
【0082】
一般式(7)で表されるマクロモノマー中、Q18のA及びQ20で示される炭素数1〜10のアルキレン基としては、炭素数1〜10の直鎖又は分岐状のアルキレン基が挙げられ、具体的にはメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、ヘキサメチレン基、(エチル)エチレン基、(ジメチル)エチレン基等が挙げられる。このうち、炭素数1〜5の直鎖又は分岐状のアルキレン基がより好ましい。
【0083】
一般式(7)で表されるマクロモノマー中のXの、式(X−1)、(X−2)、(X−3)及び(X−4)中のR20、R21及びR22で示される低級アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が挙げられる。
【0084】
一般式(7)で表されるマクロモノマー中のXの、式(X−1)及び(X−2)中の(CHは炭素数1〜3のアルキレン基であり、具体的にはメチレン基、エチレン基、トリメチレン基が挙げられるが、エチレン基が好ましい。
【0085】
一般式(7)で表されるマクロモノマー中のXの、式(X−1)、(X−2)、(X−3)及び(X−4)中のZで示される陰イオンはフッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硫酸イオン等が挙げられ、中でも塩素イオンが特に好ましい。
【0086】
一般式(7)で表されるマクロモノマー中のXを含む繰り返し単位は、(X−1)、(X−2)、(X−3)、(X−4)、(X−5)及び(X−6)の中から選ばれる1種でもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0087】
一般式(7)の構造単位に相当する親水性マクロモノマーのうち、繰り返し単位のXが式(X−1)、(X−2)、(X−3)及び(X−6)で表される親水性マクロモノマーは、相当する単量体をアミノ基、水酸基又はカルボキシル基を分子内に有する連鎖移動剤の存在下、ラジカル重合させ、末端にアミノ基、水酸基又はカルボキシル基を持つ、重合体又は共重合体を合成した後、ビニルベンジルハライド、メタクリル酸アルキルエステルジオキシド等のビニルモノマーと反応させることにより製造することができる。
【0088】
一般式(7)の構造単位のXが式(X−1)で表わされる親水性マクロモノマーを製造する場合の、繰り返し単位に相当する単量体としては(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリアルキルアンモニウム塩が挙げられ、具体的にはアクリロイルオキシメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリロイルオキシメチルトリエチルアンモニウムクロライド、アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド、アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、メタクリロイルオキシメチルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルオキシメチルトリエチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
【0089】
一般式(7)の構造単位のXが式(X−2)で表わされる親水性マクロモノマーを製造する場合の、繰り返し単位に相当する単量体としては(メタ)アクリロイルアミノアルキルトリアルキルアンモニウム塩が挙げられ、具体的には(メタ)アクリロイルアミノアルキルトリアルキルアンモニウム塩としては、アクリロイルアミノメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリロイルアミノメチルトリエチルアンモニウムクロライド、アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムクロライド、アクリロイルアミノエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、メタクリロイルアミノメチルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルアミノメチルトリエチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルアミノエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
【0090】
一般式(7)の構造単位のXが式(X−3)で表わされる親水性マクロモノマーを製造する場合の、繰り返し単位に相当する単量体としてはビニルベンジルトリアルキルアンモニウム塩が挙げられ、具体的にはビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ビニルベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、ビニルベンジルトリブチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
【0091】
一般式(7)の構造単位のXが式(X−6)で表わされる親水性マクロモノマーを製造する場合の、繰り返し単位に相当する単量体としてはアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド等が挙げられる。
【0092】
これらの単量体は単独で、あるいは適宜組み合わせて用いることができる。
【0093】
末端にアミノ基、水酸基又はカルボキシル基を持つ重合体又は共重合体の合成は、求める親水性マクロモノマーの繰り返し単位に相当する単量体、連鎖移動剤、ラジカル重合開始剤の存在下で行うが、その際、溶媒は存在してもしなくてもよいが、反応制御、操作面から溶媒が存在した方が好ましい。溶媒としてはメタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジメチルホルムアミド、水等の極性溶媒が使用でき、アルコール類/水又はケトン類/水等の混合溶媒も使用できる。
【0094】
また、連鎖移動剤としてはメルカプトアルキルアミン類、メルカプトアルカノール類、ω−メルカプトカルボン酸類、アルキレングリコール類等が使用できるが、2−メルカプトエチルアミン、2−メルカプトエタノール、メルカプト酢酸、β−メルカプトプロピオン酸が好ましい。上記連鎖移動剤の好ましい使用量は、求める親水性マクロモノマーの数平均分子量及び反応条件によるが、親水性マクロモノマーの好ましい数平均分子量は500〜50,000であり、数平均分子量が500〜50,000の親水性高分子鎖を得る場合、連鎖移動剤の使用量は単量体100モルに対して0.1〜50モル程度である。数平均分子量が500未満の場合は親水性マクロモノマーが表面に集積した高分子微粒子を得にくいので好ましくない。また数平均分子量が50,000を超えると親水性高分子の末端に結合したラジカル重合性基の重合性が低下するので好ましくない。
【0095】
ラジカル重合開始剤としては過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、t−ブチルヒドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2−アミノジプロパン)塩酸塩等が使用できるが、アゾビス(2−アミノジプロパン)塩酸塩が好ましい。重合開始剤の好ましい使用量は単量体100モルに対して0.02〜2モル程度である。
【0096】
重合時間は重合開始剤の種類及び使用量、重合温度等によって変化するが通常30分〜10時間であり、単量体が重合によって消費されるまで重合を行うのが好ましい。
【0097】
重合は単量体及び連鎖移動剤を極性溶媒に溶解、昇温後、重合開始剤を添加してもよいし、昇温した極性溶媒中に単量体、連鎖移動剤、重合開始剤をそれぞれ別々に又は混合して添加してもよい。重合温度としては50℃〜100℃が好ましい。
【0098】
上記の如くして得られた末端にアミノ基、水酸基あるいはカルボキシル基の入った重合体又は共重合体とビニルモノマーの反応は、一般の酸アミド反応、エーテル化反応あるいはエステル化反応などより容易に達成しうる。ビニルモノマーとしては、クロロメチルスチレンやメタクリル酸グリシジルが好ましい。
【0099】
例えば、末端に水酸基、アミノ基、カルボキシル基等の官能基を有する重合体又は共重合体をクロロメチルスチレン等のビニルベンジルハライド又は、メタクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有(メタ)アクリレートと反応させて、末端にラジカル重合性基を導入する。本反応はジメチルホルムアミド等の極性媒体中において、塩基や、相間移動触媒の存在下、10℃〜80℃の温度を保つことによって行うことができる。
【0100】
塩基としては水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、又は、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の有機アミン或いはトリクロロ酢酸ナトリウム等のようなアルカリ発生剤等を挙げることが出来るが、特に限定されない。塩基の使用量は、末端に水酸基、アミノ基、カルボキシル基等の官能基を有するカチオン性の親水性高分子を合成する際に使用した連鎖移動剤のモル数に対して1〜10倍で用いるのが好ましい。
【0101】
相間移動触媒としてはテトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラエチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムクロライドのようなホスホニウム塩又はテトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライドのようなアンモニウム塩が挙げられるが、特に限定されない。相間移動触媒の使用量は、末端に水酸基、アミノ基、カルボキシル基等の官能基を有するカチオン性の親水性高分子を合成する際に使用した連鎖移動剤のモル数に対して0.05〜1倍で用いるのが好ましい。
【0102】
ビニルベンジルハライドとしてはクロロメチルスチレン、ブロモメチルスチレン、ヨードメチルスチレン等が挙げられ、エポキシ基含有(メタ)アクリレートとしてはグリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメタクリレート等が挙げられるが、クロロメチルスチレンが特に好ましい。ビニルベンジルハライド又はエポキシ基含有(メタ)アクリレートの使用量は、末端に水酸基、アミノ基、カルボキシル基等の官能基を有するカチオン性の親水性高分子を合成する際に使用した連鎖移動剤のモル数に対して1〜10倍で用いるのが好ましい。
【0103】
末端に水酸基、アミノ基、カルボキシル基等の官能基を有する親水性高分子とビニルベンジルハライド又はエポキシ基含有(メタ)アクリレートとの反応に要する時間は、上記親水性高分子及びビニルベンジルハライド又はエポキシ基含有(メタ)アクリレートの使用量、触媒の種類や使用量、反応温度等によって変化するが、通常10時間〜100時間であり、上記親水性高分子の末端にラジカル重合性基が導入されるまで反応を行うのが好ましい。
【0104】
末端に水酸基、アミノ基、カルボキシル基等の官能基を有する親水性高分子とビニルベンジルハライド又はエポキシ基含有(メタ)アクリレートとの反応で使用する極性溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジメチルホルムアミド、水等を使用することができるが、水に対する溶解度の高い親水性高分子と水に対する溶解度の低いビニルベンジルハライド又はエポキシ基含有(メタ)アクリレートとの馴染みを良くするために、水に上述のアルコール類、ケトン類又はジメチルホルムアミド等の極性有機溶媒を混合するのが好ましい。その場合の混合比としては水に対して上述のアルコール類、ケトン類又はジメチルホルムアミド等の極性有機溶媒を5重量%〜50重量%で使用するのが好ましい。
【0105】
一般式(7)の構造単位に相当する親水性マクロモノマーのうち、繰り返し単位のXが式(X−4)及び(X−5)で表される親水性マクロモノマーは、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミドモノマーから選ばれる単量体の少なくとも1種を前記同様、アミノ基、水酸基又はカルボキシル基を分子内に有する連鎖移動剤の存在下、ラジカル重合させ、末端にアミノ基、水酸基又はカルボキシル基を持つ重合体又は共重合体を合成した後、ビニルベンジルハライド、メタクリル酸アルキルエステルジオキシド等のビニルモノマーと反応させ、次いで塩酸等の酸の存在下で、アルコール又は/及び水のような極性溶媒中でアミド基を加水分解することにより、1級アミノ基を有する親水性マクロモノマーが得られる。1級アミノ基を4級化する場合は、例えばメチルクロライド、エチルクロライド等のハロゲン化アルキル(ハロゲン原子が塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子)やベンジルクロライド等のハロゲン化ベンジル等のハロゲン化合物が用いられる。4級化は種々の公知の方法によって容易に達成される。
【0106】
一般式(7)で表される親水性マクロモノマーとしては、次の式(7a)
【0107】
【化42】

【0108】
(式中、Q19、Q20、Q21、Y、X、R19及びlは前記と同じ)で表わされる親水性マクロモノマーがより好ましく、さらには式(7b)
【0109】
【化43】

【0110】
(式中、X、R19及びlは前記と同じ)で表わされる親水性マクロモノマーがより好ましく、さらには式(7c)
【0111】
【化44】

【0112】
(式中、Z及びlは前記と同じ)で表わされる親水性マクロモノマーがより好ましいが、式(7d)
【0113】
【化45】

【0114】
(式中、lは前記と同じ)で表わされる親水性マクロモノマーが特に好ましい。
【0115】
一般式(8)で表される親水性マクロモノマーとしては、
【0116】
【化46】

【0117】
(式中、Q23及びmは前記と同じ)で表わされる親水性マクロモノマーがより好ましいが、式(8b)
【0118】
【化47】

【0119】
(式中、mは前記と同じ)で表わされる親水性マクロモノマーが特に好ましい。
【0120】
式(8)の構造単位に相当する親水性マクロモノマーは市販の親水性マクロモノマーを使用することができる。
【0121】
前記の如くして得られた一般式(7)の構造単位に相当する親水性マクロモノマー及び一般式(8)の構造単位に相当する親水性マクロモノマーの少なくとも1種を、一般式(5)の構造単位に相当する少なくとも1種の単量体及び一般式(6)の構造単位に相当する少なくとも1種の単量体と、重合開始剤、必要に応じて連鎖移動剤の存在下、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、水等の極性溶媒中で共重合することにより、本発明の温度応答性高分子微粒子分散体を製造することができる。
【0122】
上記の重合温度としては50℃〜100℃が好ましく、溶媒としてはメタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジメチルホルムアミド、水等が使用でき、アルコール類/水又はケトン類/水等の混合溶媒も使用できる。重合開始剤としては、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、t−ブチルヒドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロ二トリル、アゾビス(2−アミノジプロパン)塩酸塩等が挙げられる。連鎖移動剤としては、イソプロパノール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、メタリルスルホン酸ソーダ等が挙げられる。重合開始剤の好ましい使用量は一般式(5)で表わされる単量体及び一般式(6)で表わされる単量体の合計100モルに対して0.02〜2モル程度である。重合時間は重合開始剤の種類及び使用量、重合温度等によって変化するが通常30分〜10時間であり、微粒子のコア部形成に寄与する一般式(5)で表わされる疎水性単量体、温度応答性発現に寄与する一般式(6)で表わされる単量体及び末端にラジカル重合性基を有する一般式(7)又は(8)で表わされる親水性マクロモノマーが重合によって消費されるまで、重合を行うのが好ましい。
【0123】
本発明の温度応答性微粒子の合成において、一般式(5)で表わされる単量体、一般式(6)で表わされる単量体、一般式(7)及び/又は(8)で表わされる親水性マクロモノマーの比率は特に制限されないが、温度応答性の観点から、一般式(5)で表わされる単量体と、一般式(6)で表わされる単量体と、一般式(7)及び(8)で表わされる親水性マクロモノマーのうち当該高分子微粒子の表面に局在する高分子鎖を構成する繰り返し単位との比率が1/0.01〜100/0.01〜100の範囲が好ましく、1/0.1〜90/0.1〜50の範囲がより好ましく、1/0.5〜80/0.5〜40が特に好ましい。
【0124】
本発明の温度応答性高分子微粒子は、一般式(5)の構造単位に相当する少なくとも1種の疎水性の単量体と、一般式(6)の構造単位に相当する少なくとも1種の温度応答性の発現に寄与する単量体と、一般式(7)及び/又は一般式(8)の構造単位に相当する親水性マクロモノマーの少なくとも1種とを共重合することにより得られ、表面に親水性マクロモノマーが局在し、内部が環境応答性を有する疎水性ポリマーから成る微粒子となる。
【0125】
図1は、例えばスチレンとN−イソプロピルアクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドから合成した末端にラジカル重合性基を有するカチオン性の親水性マクロモノマーを使用した場合に、高分子微粒子が得られる典型的なメカニズムを図式的に表したものである。末端ラジカル重合性基含有カチオン性マクロモノマー1はメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド単位1aとビニルベンジル基1bとから成る。先ず上記カチオン性マクロモノマー1とスチレンモノマー2とN−イソプロピルアクリルアミド3とを混合し(工程A)、スチレンモノマー及びN−イソプロピルアクリルアミドを重合させると、スチレンモノマーとN−イソプロピルアクリルアミドの共重合(工程B)が部分的に起こるが、ビニルベンジル基1bとの共重合(工程C)が同時に起こる。共重合の結果、あたかもスチレンとN−イソプロピルアクリルアミド共重合体に上記カチオン性マクロモノマーがグラフト化したかのような構造を有する高分子が得られる。反応は極性媒体中で行われるので、疎水性のスチレン単位は内側に、上記カチオン性マクロモノマー1は外側に選択的に集積する(工程D)。このようにして重合が完了すると、スチレン/N−イソプロピルアクリルアミド単位のコア部4の表面にカチオン性高分子鎖5が位置する高分子微粒子6が得られる(工程E)。
【0126】
当該微粒子は表面が親水性であるため水系媒体中で分散状態となるが、媒体の温度を変化させることにより、微粒子内部の疎水性ポリマーが親水性を帯びることでコア部分が膨潤するため、粒子径が変化するものと考えられる。
【0127】
本発明の温度応答性高分子微粒子は医療材料、キレート剤、吸着剤等への応用が期待される。
【実施例】
【0128】
以下、実施例及び比較例を挙げる事により、本発明の特徴をより一層明確なものとするが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。尚、比較製造例および製造例におけるポリマーの重量平均分子量は、以下の方法に従って測定した。
〈ポリマーの重量平均分子量および重合収率の測定〉
カラム恒温槽には島津製作所製CTO−20A、検出器には島津製作所製RID−10A、溶離液流路ポンプには島津製作所製LC−20AD、デガッサには島津製作所製DGU−20A、オートサンプラーには島津製作所製SIL−20Aを用いてGPC法によって測定した。カラムは東ソー製の水系SECカラムTSKgelG3000PWXL(排除限界分子量2×10)とTSKgelG5000PWXL(排除限界分子量2.5×10)とTSKgelG6000PWXL(排除限界分子量5×10)を接続したものを用いた。サンプルは溶離液で2g/100mlの濃度に調製し、測定に用いた。溶離液には酢酸、酢酸ナトリウム各々0.5モル/リットルに調整した水溶液を使用した。カラム温度は40℃で、流速は1.0ml/分で実施した。標準サンプルとして分子量1065、5050、24000、50000、107000、140000、250000、540000、920000の9種のポリエチレングリコールを用いて較正曲線を求め、その較正曲線を基に、ポリマーの重量平均分子量を求めた。また、本発明による温度応答性高分子微粒子の粒子径は動的光散乱法(Malvern製:ゼータサイザーナノZS)により測定した。また、以下の略号は次の化合物を意味する。
MATMAC:メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド
NIPAM:N−イソプロピルアクリルアミド
VBTMAC:ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド
VAm:ビニルアミン
NVF:N−ビニルホルムアミド
St:スチレン
【合成例1】
【0129】
MATMAC高分子鎖が表面に集積した温度応答性高分子微粒子分散体<1>の合成
(MATMAC高分子の合成)
攪拌装置、還流冷却機、滴下ロート2個、窒素ガス導入管及び温度計を備えた反応容器中に、水463.5gを仕込み、加熱して温度を80℃まで昇温した。窒素気流下、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド(MATMAC)の80重量%水溶液500g(1.93モル)とメルカプト酢酸20.3g(0.22モル)の混合溶液及び過硫酸カリウムの5重量%水溶液16.2g(0.003モル)を、同時に2時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃にて3時間保ち、末端にカルボキシル基を有するMATMAC高分子溶液(固形分濃度42.1%)を得た。反応終了後、アセトンで再沈殿を数回行ってMATMAC高分子を精製した。得られた重合物のGPC(液体クロマトグラフィー)より求めた重量平均分子量は12,000、数平均分子量は6,000であった。
【0130】
(MATMAC高分子末端へのラジカル重合性基の導入)
次に攪拌装置、還流冷却機及び温度計を備えた反応容器中に、上記MATMAC高分子溶液(固形分濃度42.8%)700.0g[メルカプト酢酸単位として0.15モル(前仕込みより求めた)]を仕込み、エタノール280.0gを加え、水酸化ナトリウムの48重量%水溶液16.7g(0.20モル)、テトラブチルアンモニウムブロミド13.0g(0.04モル)、及びp−クロロメチルスチレン30.2g(0.20モル)を加えて60℃で6時間反応させ、末端ビニルベンジル基含有MATMAC高分子溶液(固形分濃度32.8%)を得た。反応終了後、アセトンで再沈殿を行って末端ビニルベンジル基含有MATMAC高分子を精製した。H−NMR測定の結果、末端へのビニルベンジル基導入率はほぼ100%であることが分かった。また、GPC(液体クロマトグラフィー)により測定した末端ビニルベンジル基含有MATMAC高分子の数平均分子量は6,100であった。
【0131】
(MATMAC高分子鎖が表面に集積した温度応答性高分子微粒子分散体<1>の合成)
次いで攪拌装置、還流冷却機、窒素ガス導入管及び温度計を備えた反応容器中に、上記末端ビニルベンジル基含有MATMAC高分子溶液361.0g[MATMAC繰返し単位として0.47モル(前仕込みより求めた)]、NIPAM79.0g(0.70モル)、スチレン24.3g(0.23モル)、水454.6gを仕込み、60℃に昇温した。窒素気流下、過硫酸カリウムの5重量%水溶液81.1g(0.015モル)を加え、6時間共重合させ、乳白色の分散液(固形分濃度22.8%)を得た。
【0132】
このようにして得られた温度応答性高分子微粒子の60℃での平均粒子径は290nmであった。この高分子微粒子を生成する反応式(9)は
【0133】
【化48】

(ただし、h、i、j、kは重合度を表す整数である。)により表されると考えられる。
【合成例2】
【0134】
MATMAC高分子鎖が表面に集積した温度応答性高分子微粒子分散体<2>の合成
上記合成例1の温度応答性高分子微粒子<1>の合成において、末端ビニルベンジル基含有MATMAC高分子溶液358.2g[MATMAC繰返し単位として0.46モル(前仕込みより求めた)]、NIPAM98.0g(0.87モル)、スチレン6.0g(0.06モル)、水456.7gとした以外は合成例1と同様に反応を行い、乳白色の分散液(固形分濃度23.5%)を得た。このようにして得られた温度応答性高分子微粒子の60℃での平均粒子径は290nmであった。
【合成例3】
【0135】
MATMAC高分子禎が表面に集積した温度応答性高分子微粒子分散体<3>の合成
上記合成例1の温度応答性高分子微粒子<1>の合成において、末端ビニルベンジル基含有MATMAC高分子溶液357.5g[MATMAC繰返し単位として0.46モル(前仕込みより求めた)]、NIPAM102.7g(0.91モル)、スチレン1.5g(0.014モル)、水457.2gとした以外は合成例1と同様に反応を行い、乳白色の分散液(固形分濃度23.0%)を得た。このようにして得られた温度応答性高分子微粒子の60℃での平均粒子径は310nmであった。
【合成例4】
【0136】
VBTMA高分子鎖が表面に集積した温度応答性高分子微粒子分散体<4>の合成
(VBTMAC高分子の合成)
攪拌装置、還流冷却機、滴下ロート2個、窒素ガス導入管及び温度計を備えた反応容器中に、水463.5gを仕込み、加熱して温度を80℃まで昇温した。窒素気流下、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド(VBTMAC)の80重量%水溶液500g(1.89モル)とメルカプト酢酸20.3g(0.22モル)の混合溶液及び過硫酸カリウムの5重量%水溶液16.2g(0.003モル)を、同時に2時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃にて3時間保ち、末端にカルボキシル基を有するVBTMAC高分子溶液(固形分濃度41.9%)を得た。反応終了後、アセトンで再沈殿を数回行ってVBTMAC高分子を精製した。得られた重合物のGPC(液体クロマトグラフィー)より求めた重量平均分子量は14,000、数平均分子量は7,000であった。
【0137】
(VBTMAC高分子末端へのラジカル重合性基の導入)
次に攪拌装置、還流冷却機及び温度計を備えた反応容器中に、上記VBTMAC高分子溶液(固形分濃度41.9%)700.0g[メルカプト酢酸単位として0.15モル(前仕込みより求めた)]を仕込み、エタノール280.0gを加え、水酸化ナトリウムの48重量%水溶液16.7g(0.20モル)、テトラブチルアンモニウムブロミド13.0g(0.04モル)、及びp−クロロメチルスチレン30.2g(0.20モル)を加えて30℃で72時間反応させ、末端ビニルベンジル基含有MATMAC高分子溶液(固形分濃度32.2%)を得た。反応終了後、アセトンで再沈殿を行って末端ビニルベンジル基含有VBTMAC高分子を精製した。H−NMR測定の結果、末端へのビニルベンジル基導入率はほぼ100%であることが分かった。また、GPC(液体クロマトグラフィー)により測定した末端ビニルベンジル基含有MATMAC高分子の数平均分子量は7,100であった。
【0138】
(VBTMAC高分子鎖が表面に集積した温度応答性高分子微粒子分散体<4>の合成)
次いで攪拌装置、還流冷却機、窒素ガス導入管及び温度計を備えた反応容器中に、上記末端ビニルベンジル基含有VBTMAC高分子溶液361.7g[VBTMAC繰返し単位として0.46モル(前仕込みより求めた)]、NIPAM102.7g(0.91モル)、スチレン1.5g(0.014モル)、水453.0gを仕込み、60℃に昇温した。窒素気流下、過硫酸カリウムの5重量%水溶液81.1g(0.015モル)を加え、6時間共重合させ、乳白色の分散液(固形分濃度24.1%)を得た。
このようにして得られた温度応答性高分子微粒子の60℃での平均粒子径は350nmであった。
【合成例5】
【0139】
NVF高分子鎖が表面に集積した温度応答性高分子微粒子分散体<5>の合成
(NVF高分子の合成)
攪拌装置、還流冷却機、滴下ロート2個、窒素ガス導入管及び温度計を備えた反応容器中に、水463.5gを仕込み、加熱して温度を80℃まで昇温した。窒素気流下、N−ビニルホルムアミド(NVF)の80重量%水溶液500g(5.63モル)とメルカプト酢酸20.3g(0.22モル)の混合溶液及び過硫酸カリウムの5重量%水溶液16.2g(0.003モル)を、同時に2時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃にて3時間保ち、末端にカルボキシル基を有するNVF高分子溶液(固形分濃度41.8%)を得た。反応終了後、アセトンで再沈殿を数回行ってNVF高分子を精製した。得られた重合物のGPC(液体クロマトグラフィー)より求めた重量平均分子量は28,000、数平均分子量は14,000であった。
【0140】
(NVF高分子末端へのラジカル重合性基の導入)
次に攪拌装置、還流冷却機及び温度計を備えた反応容器中に、上記NVF高分子溶液(固形分濃度41.8%)700.0g[メルカプト酢酸単位として0.15モル(前仕込みより求めた)]を仕込み、エタノール280.0gを加え、水酸化ナトリウムの48重量%水溶液16.7g(0.20モル)、テトラブチルアンモニウムブロミド13.0g(0.04モル)、及びp−クロロメチルスチレン30.2g(0.20モル)を加えて30℃で72時間反応させ、末端ビニルベンジル基含有NVF高分子溶液(固形分濃度31.5%)を得た。反応終了後、アセトンで再沈殿を行って末端ビニルベンジル基含有MATMAC高分子を精製した。H−NMR測定の結果、末端へのビニルベンジル基導入率はほぼ100%であることが分かった。また、GPC(液体クロマトグラフィー)により測定した末端ビニルベンジル基含有NVF高分子の数平均分子量は14,100であった。
【0141】
(NVF高分子鎖が表面に集積した温度応答性高分子微粒子分散体<5>の合成)
次いで攪拌装置、還流冷却機、窒素ガス導入管及び温度計を備えた反応容器中に、上記末端ビニルベンジル基含有NVF高分子溶液177.2g[NVF繰返し単位として0.67モル(前仕込みより求めた)]、NIPAM144.9g(1.32モル)、スチレン2.2g(0.021モル)、水589.6gを仕込み、60℃に昇温した。窒素気流下、過硫酸カリウムの5重量%水溶液81.1g(0.015モル)を加え、6時間共重合させ、乳白色の分散液(固形分濃度23.1%)を得た。このようにして得られた温度応答性高分子微粒子の60℃での平均粒子径は300nmであった。
【合成例6】
【0142】
PEG鎖が表面に集積した温度応答性高分子微粒子分散体<6>の合成
攪拌装置、還流冷却機、窒素ガス導入管及び温度計を備えた反応容器中に、PEGマクロモノマー(ブレンマーPME−1000)34.4g[繰返し単位として0.78モル]、NIPAM173.6g(1.53モル)、スチレン2.5g(0.024モル)、エタノール100.0g、水608.4gを仕込み、塩酸でpH調整後、60℃に昇温した。窒素気流下、過硫酸カリウムの5重量%水溶液81.1g(0.015モル)を加え、6時間共重合させ、乳白色の分散液(固形分濃度22.8%)を得た。このようにして得られた温度応答性高分子微粒子の60℃での平均粒子径は400nmであった。
【比較合成例1】
【0143】
MATMAC高分子鎖が表面に集積した高分子微粒子分散体の合成
上記合成例1の温度応答性高分子微粒子<1>の合成において、末端ビニルベンジル基含有MATMAC高分子溶液532.0g[MATMAC繰返し単位として0.70モル(前仕込みより求めた)]、スチレン67.9g(0.65モル)、水319.0gとして合成例1と同様に反応を行い、乳白色の分散液(固形分濃度23.8%)を得た。このようにして得られた高分子微粒子の60℃での平均粒子径は100nmであった。
【比較合成例2】
【0144】
PEG鎖が表面に集積した高分子微粒子分散体の合成
上記合成例6の温度応答性高分子微粒子<6>の合成において、PEGマクロモノマー(ブレンマーPME−1000)59.4g[繰返し単位として1.35モル]、スチレン140.6g(1.35モル)、エタノール100.0g、水618.9gとして合成例6と同様に反応を行い、乳白色の分散液(固形分濃度21.6%)を得た。このようにして得られた高分子微粒子の60℃での平均粒子径は155nmであった。
【0145】
各温度応答性高分子微粒子の構成単位、各構成単位のモル比を表1に示す。
【0146】
【表1】

【0147】
各微粒子の0.2%分散液を60℃、40℃、20℃に調整し、各々の温度での粒子径を測定した。各温度でのそれぞれの微粒子の平均粒子径の測定結果を表2に示す。
【0148】
また、各微粒子の0.2%分散液を60℃から20℃まで冷却させた後、再度60℃まで昇温した過程における平均粒子径を測定した。温度と平均粒子径との関係を図2〜図3に示す。
【0149】
【表2】

【0150】
本発明の温度応答性高分子微粒子は20℃から60℃の領域での温度の変化に伴い、粒子径が可逆的に変化した。一方、比較例による方法では温度が変化してもほとんど粒子径は変化しなかった。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】高分子微粒子が得られるメカニズムを表す概略図である。
【図2】合成例1〜3及び比較合成例1における、温度と平均粒子径との関係を示す。
【図3】合成例4〜6及び比較合成例2における、温度と平均粒子径との関係を示す。
【符号の説明】
1・・・末端ラジカル重合性基含有カチオン性高分子
1a・・メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド単位
1b・・ビニルベンジル基
2・・・スチレンモノマー
3・・・N−イソプロピルアクリルアミド
4・・・スチレン単位のコア部
5・・・カチオン性高分子鎖
6・・・高分子微粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(1)で表される構造単位の中から選ばれる少なくとも1種と、
【化1】

[式(1)中、Qは水素原子、メチル基又はシアノ基を示し、Qは水素原子、
【化2】

(R及びR’は同一又は異なって水素原子又は炭素数1〜4の低級アルキル基又はハロゲン原子又はハロゲノメチル基を示し、Rは炭素数1〜18の直鎖又は分岐又は環状のアルキル基又はベンジル基又はヒトロキシプロピル基を示し、R’は炭素数1〜18の直鎖又は分岐又は環状のアルキル基又はフェニル基を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を示し、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示す(ただしR及びRの総炭素数は3〜20である))を示す。]
下記の一般式(2)で表される構造単位の中から選ばれる少なくとも1種と、
【化3】

[式(2)中、Qは水素原子又はメチル基を示し、Qは−CO−NR(Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、Rは炭素数1〜3のアルキル基を示す(ただしR及びRの総炭素数は1〜6である))を示す。]
下記の一般式(3)及び(4)で表される構造単位の中から選ばれる少なくとも1種から成る水分散性の高分子微粒子であって、温度の変化に応じて平均粒子径が可逆的に変化することを特徴とする、温度応答性高分子微粒子。
【化4】

[式(3)中、Qは水素原子又はメチル基を示し、Qは、
【化5】

(Aは炭素数1〜10のアルキレン基を示す)を示し、Qは酸素原子又は−NH−を示し、Qは炭素数1〜10のアルキレン基を示し、Qは酸素原子又は硫黄原子を示し、Yは酸素原子又は2個の水素原子を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、X
【化6】

(R、R及びR10は同一又は異なって炭素数1〜4の低級アルキル基又はベンジル基を示し、R11は水素原子又はメチル基又はエチル基を示し、R12は水素原子又はメチル基をを示し、Zは陰イオンを示す)を示し、lは1〜100の数を示す。]
【化7】

[式(4)中、Q10及びQ12は同一又は異なって水素原子又はメチル基を示し、Q11は酸素原子又は−NH−を示し、mは1〜100の数を示す。]
【請求項2】
下記の一般式(5)で表される単量体の中から選ばれる少なくとも1種と、
【化8】

[式(5)中、Q13は水素原子、メチル基又はシアノ基を示し、Q14は水素原子、
【化9】

(R13及びR13’は同一又は異なって水素原子又は炭素数1〜4の低級アルキル基又はハロゲン原子又はハロゲノメチル基を示し、R14は炭素数1〜18の直鎖又は分岐又は環状のアルキル基又はベンジル基又はヒドロキシプロピル基を示し、R14’は炭素数1〜18の直鎖又は分岐又は環状のアルキル基又はフェニル基を示し、R15は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を示し、R16は炭素数1〜10のアルキル基を示す(ただしR15及びR16の総炭素数は3〜20である))を示す。]
下記の一般式(6)で表される単量体の中から選ばれる少なくとも1種と、
【化10】

[式(6)中、Q15は水素原子又はメチル基を示し、Q16は−CO−NR1718(R17は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、R18は炭素数1〜3のアルキル基を示す(ただしR17及びR18の総炭素数は1〜6である))を示す。]
下記の一般式(7)及び(8)で表されるマクロモノマーの中から選ばれる少なくとも1種とを共重合させることを特徴とする、請求項1記載の温度応答性高分子微粒子の分散体の製造方法。
【化11】

[式(7)中、Q17は水素原子又はメチル基を示し、Q18は、
【化12】

(Aは炭素数1〜10のアルキレン基を示す)を示し、Q19は酸素原子又は−NH−を示し、Q20は炭素数1〜10のアルキレン基を示し、Q21は酸素原子又は硫黄原子を示し、Yは酸素原子又は2個の水素原子を示し、R19は水素原子又はメチル基を示し、X
【化13】

(R20、R21及びR22は同一又は異なって炭素数1〜4の低級アルキル基又はベンジル基を示し、R23は水素原子又はメチル基又はエチル基を示し、R24は水素原子又はメチル基を示し、Zは陰イオンを示す)を示し、lは1〜100の数を示す。]
【化14】

[式(8)中、Q22及びQ24は同一又は異なって水素原子又はメチル基を示し、Q23は酸素原子又は−NH−を示し、nは1〜100の数を示す。]

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−241188(P2012−241188A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129592(P2011−129592)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(391003473)センカ株式会社 (20)
【出願人】(505115902)
【Fターム(参考)】