説明

温度感応性及び生体適合性を有する両親媒性環状ホスファゼン三量体及びその製造方法

【課題】温度感応性及び生体適合性を有する両親媒性環状ホスファゼン三量体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】下記式で表す環状ホスファゼン三量体。


式中、xは3、4、7、12、16から選択される数、Rはメチル、エチル又はベンジル基、R1はCH2CH(CH32、CH265、CH(CH3)CH2CH3、CH3からなる群より選択され、R2はCH2COOR、CH2CH2COOR、CH2CH(CH32、CH(CH3)CH2CH3からなる群より選択され、R3及びR4はCH2COOR、CH2CH2COOR、Hからなる群より選択されるもので、ここで、R1、R2、R3、R4におけるRはメチル、エチル又はベンジル基であり、a=b=c=1、d及びeはそれぞれ0又は1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度感応性及び生体適合性を有する、新規な両親媒性環状有機ホスファゼン三量体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、サイエンス紙に発表された論文(非特許文献1)には、ミセルを利用して体内の特定部位に薬物を選択して送達することにより、薬物の毒性問題を効果的に緩和させることができると報告されている。特に、最近、既存の界面活性剤を利用した不安定なミセルの欠点を克服し、生体内における安定性、及び高い封入度を有し、多様に変形され得る新しい素材のミセルが、薬物担体(drug delivery system)として開発されている。特に、親水性高分子ブロックと親油性高分子ブロックとを結合させたブロック共重合体を利用したミセルが、多く研究されている。これらは、両親媒性高分子からなる球形の超分子集合体であって、球形の内部(core)には疏水性の医薬物質を担持できる空間を有し、外部は親水性基で覆われた構造を有しており、ミセルを親水性にするため、水溶性の低い疏水性薬物を体内で効率的に送達できるという利点がある。
【0003】
一般に、ミセルは、親水性ブロックと疏水性ブロックとが交互に共重合された、ジブロック共重合体又はトリブロック共重合体を用いて形成される。代表的な親水性ブロック高分子としては、ポリエチレングリコール(PEG)が最も多く利用されており、疏水性ブロック高分子としては、ポリ乳酸(PLA)、ポリアスパラギン酸(PAA)のような多様な疏水性有機酸高分子が活用されている(非特許文献2)。
【0004】
ところが、これら疏水性有機酸高分子が骨格を形成するブロック重合による高分子は、生分解性はあるが、生分解の際に有機酸が生成して、酸性化をもたらすため、タンパク質のような、酸性に敏感なバイオ医薬品用の薬物担体としては、使用することができない。また、このような従来のブロック高分子は、大部分が単純な分子構造を有しているので、高分子骨格に標的指向剤のような新しい機能性基を導入するか、又は分子を修飾する場合、物性の変化が激しく、物性の設計に多くの制約が伴う。のみならず、これらブロック共重合体から形成される大部分のミセルは、温度感応性がない。
【0005】
一般に、薬物担体が備えるべき基本条件は、難溶性薬物の可溶化、薬物の放出速度調節の可能化、薬物の生体内安定性の向上、薬物の標的細胞に対する効率的な送達、及び薬物の副作用の最小化などの、多様な機能を有するものであり、薬物担体自体の生分解性も必須条件である。
【0006】
しかしながら、従来の有機高分子は、大部分が生分解性に欠けており、前述したように、ポリ乳酸などのいくつかの生分解性高分子は、生分解により酸性化され、物性設計の限界などにより、前記の基本条件を同時に満たすことができない。特に、今後のプロテオミクス及びゲノミクスの研究により開発されるタンパク質系及び核酸系などのバイオ医薬品用の薬物担体としては適していない。したがって、新規な薬物担体の開発が、至急に望まれている。
【0007】
本発明者らは、親水性基としてポリエチレングリコールが、疏水性基としてアミノ酸が置換されている温度感応性ホスファゼン系三量体について発表した(非特許文献3)。しかしながら、アミノ酸を疏水性基として使用したこれら三量体は、温度感応性はあるが、アミノ酸の低い疏水性によりミセルが形成されず、末端のカルボン酸基がホスファゼン骨格に近接して存在しているため、水溶液内における安定性が悪い。
【0008】
【非特許文献1】Radoslav Savicら, Science 300, 615-618(2003)
【非特許文献2】V. P. Torchilin, J. Control. Release, 73, 137-172(2001)
【非特許文献3】Youn Soo Sohnら、J. Am. Chem. Soc. 2000, 122, 8315
【非特許文献4】Kathryn E. Uhrich, Chem. Rev., 1999, 99, 3198
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明の目的は、ホスファゼン骨格に、親水性基として、ポリエチレングリコールが、疏水性基として、アミノ酸より疏水性が強く酵素分解性のあるオリゴペプチドエステル基が導入されていて、水溶液中で温度感応性ミセルを形成し、薬物担体としての使用に適した相転移温度を有する、温度感応性及び生体適合性を有する環状有機ホスファゼン三量体、及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、このような目的を達成するために、環状ホスファゼン三量体骨格に、親水性基としては、米国食品医薬品局(FDA)から承認された、分子量100以上のポリエチレングリコールを導入し、疏水性基としては、アミノ酸の代わりに、疏水性の範囲がより広くて強く、細胞内酵素による生分解性を付与できるオリゴペプチドエステルを導入することにより、水溶液中で10〜100nmサイズのミセルを形成し、体温近くの温度(31〜42℃)でナノ又はマイクロ粒子状の沈殿を形成する、温度感応性の有機/無機ハイブリッド型ホスファゼン三量体を合成できることを見出した。
【0011】
また、本発明者らは、環状ホスファゼン三量体であるヘキサクロロシクロトリホスファゼン(N33Cl6)の塩素原子を、親水性置換基であるポリエチレングリコールと、疏水性(親油性)置換基であるオリゴペプチドエステルで置換して、ホスファゼン三量体に両親媒性を付与し、これら親水性基と親油性基の種類を変えて組み合わせて、水溶液中で体温近くの温度を含む広範囲な温度で温度感応性を示すミセルを形成することにより、タンパク質及びペプチド系の薬物と、タクソールのような難溶性薬物の担体としての使用に理想的な、新規な薬物担体を見出すに至った。
【0012】
したがって、本発明は、下記化学式1で表され、親水/親油の両親媒性を有することにより水溶液で温度感応性ミセルを形成する環状ホスファゼン系三量体及びその製造方法に関する。
【0013】
【化6】

【0014】
(式中、xは、オキシエチレン繰返し単位の数として、3、4、7、12、16から選択される数であり、Rは、メチル、エチル又はベンジル基であり、R1は、CH2CH(CH32、CH265、CH(CH3)CH2CH3及びCH3からなる群より選択される基であり、R2は、CH2COOR、CH2CH2COOR、CH2CH(CH32、CH(CH3)CH2CH3からなる群より選択される基であり、R3及びR4は、CH2COOR、CH2CH2COOR、Hからなる群より選択される基であり、ここで、R1、R2、R3及びR4におけるRは、メチル、エチル又はベンジル基であり、a=b=c=1、d及びeはそれぞれ0又は1である。
【0015】
本発明による化学式1の環状ホスファゼン三量体は、親油性基と親水性基を共に有する両親媒性オリゴマーである。本発明において、温度感応性とは、分子間の相互作用により、親油性基が内部に集まり、外部は親水性基で覆われたミセルを形成することによって、ある温度以下では、外部の親水性基が水分子と水素結合して水に溶解してナノメートルサイズのミセルを形成し、ある温度以上では、水分子との水素結合が切れて溶解度が急激に減少し、ミセルが互いに凝集して固形物質(microsphere/ nanosphere)を形成することをいう。このように相転移が起こる温度を低臨界溶液温度(Lower Critical Solution Temperature:LCST)という。本発明による両親媒性ホスファゼン三量体分子の自己集合(self-assembly)により形成されるミセルは、10nmから数百nmサイズの粒子であり、これら粒子の内部は親油性(疏水性)基から構成されているので、水溶性の低い疏水性薬物を覆うのに利用することができ、タンパク質又はタクソールのような難溶性薬物の担体としての使用に適している。
【0016】
また、本発明の環状ホスファゼン三量体は、一種のオリゴマーであるが、分子量が正確な単量体のような分子構造をなし、化学式1から分かるように、リン原子と窒素原子とが交互に共役結合をして六角平面をなし、3個の親水性基(PEG)と3個の疏水性基であるオリゴペプチドエステル基が、前記平面の両側にそれぞれ集まるように設計されているため、分子の親水性と疏水性が極大化される。したがって、従来のブロック共重合体に比べて水溶液中で安定なミセルを形成することができ、これらミセルは、体温の近くでも温度感応性を示すため、皮下注射や生体組織への局部送達用など、多様な薬物担体として適している。例えば、体温以下の低臨界溶液温度を示す本発明の環状ホスファゼン三量体の水溶液に成長ホルモンのようなタンパク質医薬品を均一に溶解し、この溶液の温度を37℃に昇温させると、タンパク質薬物の大部分がホスファゼン薬物担体のミセル内に捕集されたまま沈殿する。したがって、このような方法で調製された薬物溶液を皮下注射で人体に投与する場合、薬物は体内の血液全体に広がることなく、投与部位で沈殿して、その部位からのみ徐々に放出されるので、薬物の生体利用率の極大化及び副作用の最小化を図ることができる。
【0017】
なお、本発明のホスファゼン三量体は、動物試験結果、生体適合性に優れることが確認された。これは、これらが体内で分解されるとき、ホスファゼン骨格が、人体に無害な中性リン酸アンモニウムに転換され(非特許文献4)、親水性基であるポリエチレングリコールは、分子量が100以上の場合に安全であると認められて、米国食品医薬品局(FDA)により使用が承認されており、オリゴペプチドは、体内に存在するアミノ酸成分であるためである。
【0018】
さらに、本発明のホスファゼン三量体に結合されているオリゴペプチドエステルは、加水分解した後で機能基化することができるため、目標指向剤や薬物をこれら機能基に直接結合させることにより、複合体(conjugate)状の薬物担体として活用することができるなど、親水/親油性を大幅に変化させなくても、多様な物性を有するように設計できるという利点を有する。
【0019】
以下、化学式1で表す本発明の環状ホスファゼン三量体の製造方法を説明する。化学式1の最終産物は空気中で安定であるが、中間体は全て空気中で非常に不安定である。したがって、全ての製造工程は、水分が入らないようにアルゴンラインを利用して行わなければならず、試薬と溶媒は、すべて水分を十分に除去した後に使用する。
【0020】
まず、下記化学式2:
【0021】
【化7】

【0022】
で示されるメトキシポリエチレングリコール(MPEG)の水分を真空乾燥法で除去し、十分に乾燥したテトラヒドロフラン(THF)に溶解した後、この溶液を70℃の油浴で1.0〜1.1当量のナトリウム(Na)又は水素化ナトリウム(NaH)と10〜24時間反応させて、化学式3:
【0023】
【化8】

【0024】
で表すポリエチレングリコールのナトリウム塩を得る。
化学式2及び3において、xは、化学式1で定義したものと同じである。
【0025】
その後、下記化学式4:
【0026】
【化9】

【0027】
で表す乾燥したヘキサクロロシクロトリホスファゼンを、テトラヒドロフランに溶解し、この溶液をドライアイス−アセトン浴に入れて−78℃に冷却する。その後、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン1モルに対し、前述のように製造された化学式3のポリエチレングリコールのナトリウム塩3.0〜3.3モルを、30分〜1時間にわたって徐々に滴下し、さらに30分〜1時間攪拌する。その後、ドライアイス−アセトン浴を除去し、さらに常温で8〜12時間反応させる。
【0028】
次に、分離/精製工程を経ることなく、この反応混合物に、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン1モルを基準として、下記化学式5:
【0029】
【化10】

【0030】
で表されるオリゴペプチドエステル3.3〜3.9モルと、過剰量(6〜12モル)のトリエチルアミンを溶解したクロロホルム溶液を加え、1〜3日間還流反応させて、化学式1の化合物を得る。
【0031】
化学式4及び5において、R、R1、R2、R3、R4、a、b、c、d及びeは、それぞれ化学式1で定義されたものと同じである。以上の反応において、反応溶媒としては、ベンゼン、トルエン、クロロホルム又はこれらの混合物を使用することができる。
【0032】
前記置換反応が進む間、リン(31P)核磁気共鳴スペクトルを随時測定して、置換反応の進行程度を判断する。反応が完了すると、反応溶液を濾過して、副産物として、生成する沈殿物(NaCl及びNEt3・HCl)を除去し、濾液を減圧濃縮する。濃縮液をテトラヒドロフランに溶解し、過量のエチルエーテル又はヘキサンを加えて沈殿させる工程を2回以上繰返して精製した後、最小量の蒸留水に溶かした溶液を透析膜(通過分子量:1,000)に入れ、12〜24時間透析した後に凍結乾燥すると、粘性の強い褐色の環状ホスファゼン三量体が、60%以上の収率で得られる。以上の反応工程を要約すると、下記反応式1で表すとおりである。
【0033】
【化11】

【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、ホスファゼン骨格に、親水性基として、ポリエチレングリコールが、疏水性基として、アミノ酸より疏水性が強く酵素分解性のあるオリゴペプチドエステル基が導入されており、水溶液中で温度感応性ミセルを形成し、薬物担体としての使用に適した相転移温度を有する、生体適合性環状ホスファゼン薬物担体及びその製造方法が提供される。
【実施例】
【0035】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳しく説明する。しかしながら、本発明の範囲は、特許請求の範囲を外れない限り、これらの実施例に限定されない。
【0036】
本発明の化合物に対する炭素、水素、窒素元素の分析は、Perkin-Elmer C、H、N分析器により行った。一方、水素核磁気共鳴スペクトルは、Bruker DPX-250 NMR分光器を使用して測定し、リン核磁気共鳴スペクトルは、Varian Gemini-400 NMR分光器を使用して測定した。
【0037】
実施例1
分子量350のメトキシポリエチレングリコール(3.62g、10.3mmol)とナトリウム片(0.24g、10.4mmol)を、乾燥したテトラヒドロフラン溶媒に入れ、アルゴン気流下で24時間還流させて、メトキシポリエチレングリコールのナトリウム塩を製造した。ヘキサクロロシクロトリホスファゼン(1.00g、2.88mmol)を、乾燥したテトラヒドロフランに溶解し、この溶液をドライアイス−アセトン浴(−78℃)に入れて冷却した後、先に製造したメトキシポリエチレングリコールのナトリウム塩溶液を30分かけて滴下した。30分後にドライアイス−アセトン浴を除去し、常温で8時間反応させた。この溶液に、トリエチルアミン(2.61g、25.80mmol)とテトラペプチド(GlyPheLeuGlyEt、すなわちグリシルフェニルアラニルロイシルグリシンエチルエステル)(5.44g、12.9mmol)を溶解したクロロホルム溶液(100ml)を加え、50℃に昇温して12時間反応させた。反応液を濾過し、生成された塩(NEt3・HClとNaCl)を1次除去して、減圧濃縮した。この濃縮液をテトラヒドロフランに再び溶解した後、過剰量のエーテルとヘキサンを加えて沈殿させた。この工程を2回繰返し、少量の蒸留水(20ml)に溶解した後、透析膜(MWCO:1000)を使用して、外部の水を4回交換して24時間透析した後、凍結乾燥してホスファゼン三量体([NP(MPEG350)(GlyPheLeuGlyEt)]3)(収率74%)を得た。このように得られた固体生成物を、再び水に溶解して10%の溶液にした後、低臨界溶液温度で沈殿させて、遠心分離後に上層の溶液を除去した。この工程を3回繰返した後に凍結乾燥して、最終生成物(収率64%)を得た。
組成式:C36625131
理論値:C,53.79;H,7.77;N,8.71
元素分析値:C,53.23;H,7.91;N,8.60
水素核磁気共鳴スペクトル(1H NMR in D2O,ppm):
δ 0.87(d,3H,Leu−(CH32
δ 1.12(t,3H,Gly−OCH2CH3
δ 1.2−1.3(m,Leu−CHCH2(CH32
δ 2.95(dd,2H,Phe−CH2
δ 3.2(s,3H,MPEG350−OCH3
δ 3.25−3.6(b,30H,MPEG350−OCH2CH2
δ 3.65(d,2H,Gly−CH2
δ 3.83(d,2H,Gly−CH2
δ 3.82(m,2H,Gly−OCH2CH3
δ 4.1(dd,1H,Leu−H)
δ 4.42(t,1H,Phe−CH
δ 7.14(m,5H,Phe−arom),
低臨界溶液温度:36℃
リン核磁気共鳴スペクトル(in D2O,ppm):δ 22.03
【0038】
実施例2
分子量350のメトキシポリエチレングリコール(3.62g、10.3mmol)、ナトリウム片(0.24g、10.4mmol)、トリエチルアミン(2.61g、25.80mmol)及びテトラペプチド(GlyPheLeuAspEt2、すなわちグリシルフェニルアラニルロイシルアスパラギン酸ジエチルエステル)(6.56g、12.9mmol)を使用して、実施例1と同様の方法で、最終のホスファゼン三量体生成物N33(MPEG350)3(GlyPheLeuAspEt23(収率64%)を得た。
組成式:C12020415453
理論値:C,53.98;H,7.70;N,7.87
元素分析値:C,53.77;H,7.85;N,7.86
水素核磁気共鳴スペクトル(1H NMR in D2O,ppm):
δ 0.87(d,6H,Leu−(CH32
δ 1.12(t,3H,Gly−OCH2CH3
δ 1.2−1.3(m,3H,Leu−CHCH2
δ 2.95(dd,2H,Phe−CH2
δ 3.2(s,3H,MPEG350−OCH3
δ 3.25−3.6(b,30H,MPEG350−OCH2CH2
δ 3.65(d,2H,Gly−CH2
δ 4.1(dd,1H,Leu−CH
δ 4.2(d,2H,Asp−CH2
δ 4.42(t,1H,Phe−CH
δ 7.14(m,Phe−arom)
低臨界溶液温度:33℃
リン核磁気共鳴スペクトル(in D2O,ppm):δ 22.03
【0039】
実施例3
分子量350のメトキシポリエチレングリコール(3.62g、10.3mmol)、ナトリウム片(0.24g、10.4mmol)、トリエチルアミン(2.61g、25.80mmol)及びテトラペプチド(GlyPheLeuGluEt2)(6.73g、12.9mmol)を使用して、実施例1と同様の方法で、最終のホスファゼン三量体生成物N33(MPEG350)3(GlyPheLeuGlu(Et)23(収率67%)を得た。
組成式:C12321015453
理論値:C,54.47;H,7.80;N,7.75
元素分析値:C,54.51;H,7.94;N,7.82
水素核磁気共鳴スペクトル(1H NMR in D2O,ppm):
δ 0.87(d,6H,Leu−(CH32
δ 1.11−1.21(t,3H,Glu−OCH2CH3
δ 1.2−1.3(m,3H,Leu−CH3
δ 1.8−2.0(m,1H,Glu−NHCHCOOCH2CH2COO−)
δ 2.0−2.2(m,1H,Glu−CH2
δ 2.38(t,2H,Glu−CH2
δ 2.95(dd,2H,Phe−CH2
δ 3.20(s,3H,MPEG350−OCH3
δ 3.25−3.6(b,30H,MPEG350−OCH2CH2
δ 3.65(d,2H,Gly−CH2
δ 4.00−4.11(m,2H,Glu−CH2
δ 4.17(m,1H,Leu−CH
δ 4.41(dd,1H,Glu−CH
δ 4.41−4.50(m,1H,Leu−CH
δ 4.7(m,1H,Phe−CH
δ 7.14(m,5H,Phe−arom)
低臨界溶液温度:31℃
リン核磁気共鳴スペクトル(in D2O,ppm):δ 22.03
【0040】
実施例4
分子量550のメトキシポリエチレングリコール(5.67g、10.3mmol)、ナトリウム片(0.24g、10.4mmol)、トリエチルアミン(2.61g、25.80mmol)及びテトラペプチド(GlyPheLeuAspEt2)(6.56g、12.9mmol)を使用して、実施例1と同様の方法で、最終のホスファゼン三量体生成物N33(MPEG550)3(GlyPheLeuAspEt23(収率61%)を得た。
組成式:C15023715483
理論値:C,57.13;H,7.58;N,7.99
元素分析値:C,57.26;H,7.57;N,7.66
水素核磁気共鳴スペクトル(1H NMR in D2O,ppm):
δ 0.87(d,6H,Leu−(CH32
δ 1.12(t,6H,Asp−OCH2CH3
δ 1.47−1.80(m,3H,Leu−CHCH2
δ 2.95(dd,2H,Phe−CH2
δ 3.20(s,3H,MPEG50−OCH3
δ 3.25−3.6(b,48H,MPEG550−OCH2CH2
δ 3.82(m,2H,Gly−OCH2CH3
δ 4.12−4.21(m,4H,Asp−OCH2CH3
δ 4.41−4.50(m,1H,Leu−CH
δ 4.53(m,1H,Phe−CH
δ 4.8−4.9(m,1H,Asp−CH
δ 7.14 −7.29(m,5H,Phe−arom)
低臨界溶液温度:53℃
リン核磁気共鳴スペクトル(in D2O,ppm):δ 22.03
【0041】
実施例5
分子量350のメトキシポリエチレングリコール(3.62g、10.3mmol)、ナトリウム片(0.24g、10.4mmol)、トリエチルアミン(2.61g、25.80mmol)及びトリペプチド(GlyPheLeuEt、すなわちグリシルフェニルアラニルロイシンエチルエステル)(4.70g、12.9mmol)を使用して、実施例1と同様の方法で、最終のホスファゼン三量体生成物N33(MPEG350)3(GlyPheLeuEt)3(収率64%)を得た。
組成式:C10819512363
理論値:C,55.66;H,8.43;N,7.21
元素分析値:C,53.95;H,8.07;N,6.84
水素核磁気共鳴スペクトル(1H NMR in D2O,ppm):
δ 0.86−0.90(d,6H,Leu−(CH32
δ 1.25(t,3H,Leu−OCH2CH3
δ 1.50−1.65(m,1H,Leu−CHCH2
δ 3.05(dd,2H,Phe−CH2
δ 3.31(s,2H,Gly−CH2
δ 3.35(s,3H,MPEG350−OCH3
δ 3.35−3.6(b,30H,MPEG350−OCH2CH2
δ 4.00−4.11(m,2H,Gly−OCH2CH3
δ 4.48(m,1H,Leu−CH
δ 4.68(dd,1H,Phe−CH
δ 4.41−4.50(m,1H,Leu−CH
δ 7.19−7.31(m,5H,Phe−arom)
低臨界溶液温度:41℃
リン核磁気共鳴スペクトル(in D2O,ppm):δ 18.96
【0042】
実施例6
メトキシテトラエチレングリコール(2.14g、10.3mmol)、ナトリウム片(0.24g、10.4mmol)、トリエチルアミン(2.61g、25.80mmol)及びトリペプチド(GlyPheGlyEt)(3.98g、12.9mmol)を使用して、実施例1と同様の方法で、最終のホスファゼン三量体生成物N33(MTetEG)3(GlyPheGlyEt)(収率71%)を得た。
組成式:C6610512243
理論値:C,51.36;H,6.86;N,10.89
元素分析値:C,50.33 ;H,7.10 ;N,9.86
水素核磁気共鳴スペクトル(1H NMR in D2O,ppm):
δ 1.33(t,3H,Gly−OCH2CH3
δ 3.25−3.6(b,18H,Phe−CH2TetEG−OCH2CH2
δ 3.65(d,2H,Gly−CH2
δ 3.94(d,2H,Gly−CH2
δ4.82(m,1H,Phe−CH
δ 7.14(m,5H,Phe−arom)
低臨界溶液温度:34℃
リン核磁気共鳴スペクトル(in D2O,ppm):δ 21.71
【0043】
実施例7
メトキシトリエチレングリコール(1.69g、10.3mmol)、ナトリウム片(0.24g、10.3mmol)、トリエチルアミン(2.61g、25.80mmol)及びトリペプチド(GlyLeuGlyEt)(3.53g、12.9mmol)を使用して、実施例1と同様の方法で、最終のホスファゼン三量体生成物N33(MTriEG)3(GlyLeuGlyEt)3(収率71%)を得た。
組成式:C6312312273
理論値:C,48.08;H,7.88;N,10.68
元素分析値:C,48.12;H,7.92;N,10.50
水素核磁気共鳴スペクトル(D2O,ppm):
δ 0.83(d,6H,Leu−(CH32
δ 1.22(t,3H,Gly−OCH23
δ 1.57−1.72(s,3H,Leu−CHCH2
δ 3.25−3.6(b,14H,Phe−CH2,TEG−OCH2CH2
δ 3.85−3.98(d,4H,Gly−CH2
δ 4.16(t,2H,Gly−OCH2CH3
δ 4.47(m,1H,Leu−CH
低臨界溶液温度:>100℃
リン核磁気共鳴スペクトル(CDCl3,ppm):δ 21.31
【0044】
実施例8
分子量550のメトキシポリエチレングリコール(5.67g、10.3mmol)、ナトリウム片(0.24g、10.4mmol)、トリエチルアミン(2.61g、25.80mmol)及びペンタペプチド(GlyPheLeuPheGluEt2、すなわちグリシルフェニルアラニルロイシルフェニルアラニルグルタミン酸ジエチルエステル)(8.28g、12.9mmol)を使用して、実施例1と同様の方法で、最終のホスファゼン三量体生成物N33(MPEG550)3(GlyPheLeuPheGlu(Et))3(収率62%)を得た。
組成式:C12029718633
理論値:C,56.68;H,7.85;N,6.61
元素分析値:C,57,32 ;H,8.02;N,6.50
水素核磁気共鳴スペクトル(1H NMR in D2O,ppm):
δ 0.76−0.90(d,6H,Leu−(CH32
δ 1.11−1.21(t,3H,Glu−OCH2CH3
δ 1.8−2.0(m,1H,Glu−C2
δ 2.0−2.2(m,1H,Glu−CH2
δ 2.38(t,2H,Glu−CH2
δ 2.95(dd,2H,Phe−CH2
δ 3.20(s,3H,MPEG350−OCH3
δ 3.25−3.6(b,48H,MPEG550−OCH2CH2
δ 3.65(d,2H,Gly−CH2
δ 4.00−4.11(m,2H,Glu−CH2
δ 4.17(m,1H,Leu−CH
δ 4.41(dd,1H,Glu−CH
δ 4.41−4.50(m,1H,Leu−CH
δ 4.68(m,1H,Phe−CH
δ 4.82(m,1H,Phe−CH
δ 7.14(m,5H,Phe−arom)
低臨界溶液温度:35℃
リン核磁気共鳴スペクトル(in D2O,ppm):δ 22.13
【0045】
実施例9
分子量550のメトキシポリエチレングリコール(5.44g、10.3mmol)、ナトリウム片(0.24g、10.4mmol)、トリエチルアミン(2.61g、25.80mmol)及びペンタペプチド(GlyPheLeuGlyGluEt2)(7.48g、12.9mmol)を使用して、実施例1と同様の方法で、最終のホスファゼン三量体生成物N33(MPEG550)3(GlyPheLeuGlyGluEt23(収率60%)を得た。
組成式:C15927918633
理論値:C,53.89;H,7.94;N,7.11;O,28.44;P,2.62
元素分析値:C,54.21 ;H,8.22;N,6.98
水素核磁気共鳴スペクトル(1H NMR in D2O,ppm):
δ 0.87(d,6H,Leu−(CH32
δ 1.11−1.21(t,6H,Glu−OCH2CH3
δ 1.8−2.0(m,1H,Glu−CH2
δ 2.0−2.2(m,1H,Glu−CH2
δ 2.38(t,2H,Glu−CH2
δ 2.95(dd,2H,Phe−CH2
δ 3.20(s,3H,MPEG350−OCH3
δ 3.25−3.6(b,48H,MPEG550−OCH2CH2
δ 3.65(d,2H,Gly−CH2
δ 3.85−3.98(d,4H,Gly−CH2
δ 4.00−4.11(m,2H,Glu−OCH2CH3
δ 4.17(m,1H,Leu−CH
δ 4.41(dd,1H,Glu−CH
δ 4.68(m,1H,Phe−CH
δ 7.14(m,5H,Phe−arom)
低臨界溶液温度:42℃
リン核磁気共鳴スペクトル(in D2O,ppm):δ 22.03
【0046】
実施例10
分子量750のメトキシポリエチレングリコール(7.74g、10.3mmol)、ナトリウム片(0.24g、10.4mmol)、トリエチルアミン(2.61g、25.80mmol)及びペンタペプチド(GlyPheLeuPheGluEt2)(8.28g、12.94mmol)を使用して、実施例1と同様の方法で、最終のホスファゼン三量体生成物N33(MPEG750)3(GlyPheLeuPheGluEt23(収率58%)を得た。
組成式:C20434518753
元素分析値:C,55.92;H,7.90;N,5.51
理論値:C,56.42;H,8.01;N,5.81
水素核磁気共鳴スペクトル(1H NMR in D2O,ppm):
δ 0.80−1.0(d,6H,Leu−CH3
δ 1.11−1.21(t,3H,Glu−OCH2CH3
δ 1.2−1.3(m,3H,Leu−CHCH2
δ 1.8−2.0(m,1H,Glu−CH2
δ 2.0−2.2(m,1H,Glu−CH2
δ 2.38(t,2H,Glu−CH2
δ 2.95(dd,2H,Phe−CH2
δ 3.20(s,3H,MPEG750−OCH3
δ 3.25−3.6(b,64H,MPEG750−OCH2CH2
δ 3.65(d,4H,Gly−CH2
δ 4.00−4.11(m,2H,Glu−CH2
δ 4.17(m,1H,Leu−CH
δ 4.41(dd,1H,Glu−CH
δ 4.41−4.50(m,1H,Leu−CH
δ 4.68(m,1H,Phe−CH
δ 4.82(m,1H,Phe−CH
δ 7.14(m,5H,Phe−arom)
低臨界溶液温度:45℃
リン核磁気共鳴スペクトル(in D2O,ppm):δ 22.03
【0047】
実施例11
分子サイズの測定及び脂溶性医薬物質の担持の確認
本発明により合成した両親媒性ホスファゼン三量体が、水溶液中で親油性基の相互作用により凝集してミセルを形成するか否かを、以下の手順に従ってDLS(Dynamic Light Scattering)法で決定した。
【0048】
実施例2の三量体を蒸留水に0.1〜0.5%溶解した水溶液と、この溶液にタクソール(三量体の3重量%)を溶かした溶液との粒度を測定した。図1及び2に示すように、直径50±2nmサイズのミセルが形成されたことが確認された。
すなわち、0.2%未滿の低い濃度の溶液では、低臨界溶液温度が観測できなかったが、50nm程度の一定のサイズを有するミセルを形成した。
一方、0.2%以上の濃度の溶液では、UVスペクトルにより確認した結果、低臨界溶液温度が観測できた。DLSを利用して粒径を観測したが、低い濃度の場合とは異なって、0.2%以上の濃度の溶液で、ホスファゼン三量体は、低臨界溶液温度の近くで2次構造を形成して、直径が200nm±10以上の一定のサイズを有する巨大分子構造(molecular structure)を形成することが確認された。これは、低い濃度でミセル構造を形成していたホスファゼン三量体が、低臨界溶液温度の近くではさらに凝集して2次構造を形成することにより、粒径が突然大きくなるためであると判断される。
【0049】
以上の結果から、本発明によるホスファゼン三量体は、低い濃度(0.1%)ではミセル構造を形成し、高濃度(0.2%以上)ではナノ粒子ないしミクロ粒子(nanoparticle/ microparticle)を形成することを確認した。したがって、このような構造内に薬物体が吸着できることが確認された。
【0050】
実施例12
環状ホスファゼン三量体の剤形に関する薬物放出試験
ヒト成長ホルモン(hGH)を含有するホスファゼン三量体に対する試験管内(in vitro)放出実験を実施した。その結果を図3に示す。
図3は、実施例3で製造されたホスファゼン三量体の12.5%水溶液に、ヒト成長ホルモン(hGH)が1mg/mlの濃度になるように混合し、37℃で沈殿させた後、ダルベッコリン酸緩衝溶液(DPBS)中に放出されるヒト成長ホルモンの量をサイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SEC−HPLC)で測定した、ヒト成長ホルモン累積放出プロファイルを示す。
【0051】
図3から分かるように、初期の0.25日間に緩衝液中に放出されたヒト成長ホルモンは、約30.8%で、それほど高くない初期放出を示し、初期過剰放出の恐れがないことが確認された。その後、1次(1st order)に近い累積放出曲線を示し、7日間の総累積放出量は100%であった。したがって、実施例3のホスファゼン三量体は、1週剤形に適した生体外(in vitro)放出挙動を示すと判断される。
【0052】
実施例13
ホスファゼン三量体を使用した薬物担体の局所刺激性試験の結果
ホスファゼン三量体と薬物(ヒト成長ホルモン(hGH))との混合による薬物安定性の変化、及び局所刺激性を試験した。
まず、実施例3で製造されたホスファゼン三量体の12.5%水溶液に、薬物を混合(7.5mg/ml)し、薬物とホスファゼン三量体との反応の有無を逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)で確認した。その結果を図4に示す。
【0053】
図4から分かるように、ホスファゼン三量体と薬物とが混合される前の薬物のクロマトグラムと、薬物を実施例3で製造されたホスファゼン三量体と混合した後の薬物のクロマトグラムとを比較した結果、本発明によるホスファゼン三量体は、薬物の安定性に影響を及ぼさない。
【0054】
また、前記の調剤薬物をウサギの肩に皮下注射で1mlずつ投与した後、皮膚局所刺激性の有無を観察した。その結果を下記の表1に示す。
【0055】
【表1】

【0056】
表1から分かるように、薬物であるヒト成長ホルモンの含有有無に関係なく、皮膚反応(紅斑、出血、硬結、浮腫など)が現れず、剖検所見でも刺激に関連した変化(変色、癒着、斑点など)は認められなかった。したがって、本発明による有機ホスファゼン三量体は、局所刺激性がないことが、すなわち、生体適合性を有することが判明した。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施例2で製造した環状有機ホスファゼン三量体ミセルの粒径分布図である。
【図2】実施例2で製造した環状有機ホスファゼン三量体+タクソールミセルの粒径分布図である。
【図3】実施例3で製造した環状有機ホスファゼン三量体の薬物放出試験結果を示す図である。
【図4】本発明の環状有機ホスファゼン三量体と薬物との混合による、安定性の変化を観察したクロマトグラム(RP−HPLC)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1:
【化1】


(式中、xは、3、4、7、12、16から選択される数であり、Rは、メチル、エチル又はベンジル基であり、R1は、CH2CH(CH32、CH265、CH(CH3)CH2CH3及びCH3からなる群より選択される基であり、R2は、CH2COOR、CH2CH2COOR、CH2CH(CH32及びCH(CH3)CH2CH3からなる群より選択される基であり、R3及びR4は、CH2COOR、CH2CH2COOR、Hからなる群より選択される基であり、ここで、R1、R2、R3及びR4におけるRは、メチル、エチル又はベンジル基であり、a=b=c=1、d及びeはそれぞれ0又は1である)
で示される環状有機ホスファゼン三量体。
【請求項2】
(1)化学式3:
【化2】


で示されるポリエチレングリコールのナトリウム塩を、化学式4:
【化3】


で示されるヘキサクロロシクロトリホスファゼンと反応させる工程と、
(2)前記工程(1)の生成物を、化学式5:
【化4】


(式中、xは、3、4、7、12、16から選択される数であり、Rは、メチル、エチル又はベンジル基であり、R1は、CH2CH(CH32、CH265、CH(CH3)CH2CH3、CH3からなる群より選択される基であり、R2は、CH2COOR、CH2CH2COOR、CH2CH(CH32、CH(CH3)CH2CH3からなる群より選択される基であり、R3及びR4は、CH2COOR、CH2CH2COOR、Hからなる群より選択される基であり、ここで、R1、R2、R3及びR4におけるRは、メチル、エチル又はベンジル基であり、a=b=c=1、d及びeはそれぞれ0又は1である)
で示されるオリゴペプチドエステルと反応させる工程と
を含む、化学式1:
【化5】


で示される環状有機ホスファゼン三量体の製造方法。
【請求項3】
前記工程(2)の反応を、トリエチルアミンの存在下で行う、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記工程(1)及び(2)の反応溶媒が、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、クロロホルム及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項2に記載の製造方法。
【請求項5】
前記工程(1)で、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン1モルに対し、ポリエチレングリコールのナトリウム塩を3.0〜3.3モル使用する、請求項2に記載の製造方法。
【請求項6】
前記工程(2)で、前記工程(1)の生成物1モルに対し、オリゴペプチドを3.3〜3.9モル使用する、請求項2に記載の製造方法。
【請求項7】
前記工程(1)の生成物1モルに対し、トリエチルアミンを6〜12モル使用する、請求項3に記載の製造方法。
【請求項8】
前記工程(2)の反応完了後、反応混合物を濾過して濾液を濃縮し、残留物をテトラヒドロフランに再び溶解した後、これにエチルエーテル又はヘキサンを加えて生成物の沈殿を形成し、この沈殿物を濾過して蒸留水に溶解した後に透析して、精製された化学式1の環状ホスファゼン三量体を得る工程をさらに含む、請求項2に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−117674(P2006−117674A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−304370(P2005−304370)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【出願人】(505358347)イファ・ユニバーシティー−インダストリー・コラボレーション・ファウンデーション (3)
【氏名又は名称原語表記】EWHA UNIVERSITY−INDUSTRY COLLABORATION FOUNDATION
【Fターム(参考)】