説明

温度感応性状態変化ハイドロゲル組成物及びその製造方法

本発明は温度感応性状態変化ハイドロゲル組成物及びその製造方法に関するものである。本発明は、分枝状ゲル化高分子1〜10重量%、電解質ゲル化高分子0.5〜5重量%、親和性増進剤0.5〜5重量%、天然生体物質1〜10重量%、多価アルコール3〜30重量%、機能性添加剤1〜10重量%及び水30〜93重量%を含んで構成され、10〜50℃の温度でハイドロゲルが流動状態に変化する温度感応性状態変化ハイドロゲル組成物が提供される。本発明のハイドロゲル組成物は皮膚との接触の際、体温によって流動状態に変化され流動性を有するようになり、ハイドロゲル中に含有されている美容剤または薬物が皮膚にむら無く被覆され、速かに浸透される効果がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度感応性状態変化ハイドロゲル組成物(state-changing hydrogel)及びその製造方法に関するものであり、より詳しくは、温度によって状態がゲル状態から流動状態に変化し、皮膚の美容に効果的に適用されることのできる温度感応性状態変化ハイドロゲル組成物及びその製造方法に関するものである。
背景技術
【0002】
状態変化ハイドロゲル組成物は、多量の水を含有しているゲル状のハイドロゲルが温度変化によって適正温度でいきなり流動状態の流動体に変化する特性を有する物質のことを意味する。
【0003】
近年、化粧品、スキンケア、皮膚の美容、皮膚の治療などの分野においてハイドロゲルを利用した皮膚の処置が多様な分野に応用されている。ハイドロゲルは薬物の制御放出のための基質(matrix)として使用するのに好適な物質として広く知られている(N. A. Pappas ed.、“Hydrogels in Medicine and Pharmacy、Vol.11;Polymers”、CRC Press、Inc.、1987)。これはハイドロゲルを基質として使用して、その中にプロゲステロンのようなホルモンを含有させてホルモンが徐々に放出され体中に伝達されるホルモンの量を調節する薬物伝達体として用いられるのである。サカイ(Sakai)等の米国特許番号第5,344,655号によれば、セルロース誘導体のような水溶性高分子を含有したハイドロゲル基質を使用して皮膚を通じて薬物を伝達する技術が公開されている。フォックス(Fox)等の米国特許番号第5,405,366号によれば、光架橋が可能な水溶性高分子を含有する接着性ハイドロゲルを作製して経皮薬物伝達システムに使用する技術が知られている。ゲブナー(Gebner)等の米国特許番号第4,593,053号によれば、皮膚に親和的で、感圧ハイドロゲルを作製して使用することを公開している。薬物の経皮伝達はプロゲステロン、プロゲスティン、エストロゲン、テストステロンなどのホルモンを皮膚を通じて体内に伝達することで皮膚に付着されたハイドロゲルから徐々に調節された分量のみ放出され経皮を通じて体内に伝達される高度な投薬技術である。シュミラー(Shumiller)等の米国特許番号第6,214,374によれば皮膚に遮られないで効果的な薬物の経皮伝達のためのハイドロゲルの組成、方法及びそのデバイスを公開している。ベルナー(Verner)等の米国特許番号第5,064,654号によれば、薬物の経皮伝達のための接着性ハイドロゲルの組成を公開している。サポタ(Sapota)等の米国特許番号第4,942,158号によれば、薬物の経皮伝達を増進させるために浸透増進剤が添加されたハイドロゲルの組成を公開している。また、ロルプ(Rolf)などの米国特許番号第6,361,790号及び第6,406,712号によれば、ハイドロゲルを用いた包帯(dressing)、パッチなどの皮膚適用方法を公開している。
【0004】
上記のような従来の技術は、全てハイドロゲルを皮膚に適用しているが、ゲル状のままに保ちながら、基質であるハイドロゲル中に含有されている薬物が、皮膚の方へ徐放されるように調節する機能のみを有しているに過ぎない。
【0005】
一方、ハイドロゲルが、ゲル状のまま維持した状態で、皮膚に薬物伝達を調節する場合、薬物が皮膚に浸透するのに相対的に長い期間が必要であり、ハイドロゲルが直接接触する皮膚の部分だけでしか薬物が伝達されないということが避けられないとの欠点がある。これを克服するために、従来の技術ではハイドロゲルに浸透増進剤を加えたり、皮膚親和的組成のハイドロゲルを作製して適用させるしかなかった。
【0006】
一般的に皮膚の美容のために化粧品を適用する際は、皮膚の傷を治療する時とは異なって、適用部位に長期間、保護デバイス(protection device)を付着することができず、短時間のみ保護デバイスを付着した後に直ちに除去しなければならない。このような皮膚の美容において、その効果を増進させるためにハイドロゲルが利用され、皮膚に効果的に適用されるためにシート又はパッチ形態で作製され使用される。たとえこのようなハイドロゲル製品を使用するとしても、ハイドロゲルがゲル状態をそのまま維持している限り、皮膚との親和性に限界があって美容剤がハイドロゲルから皮膚に伝達されるのに満足するような量と速度を有することができない。
【0007】
ハイドロゲルと皮膚との間の親和性は、ハイドロゲル中に含有されている美容剤または薬物が皮膚に伝達されるのに決定的に影響を及ぼすようになる。すなわち、その親和性が大きければハイドロゲルから皮膚に美容剤または薬物の伝達が容易、かつ速かに行われることができるが、親和性が小さければその伝達が十分ではなく遅くなる。
【0008】
また、皮膚の美容のために美容剤を含有したハイドロゲルを利用する場合には、ハイドロゲルを皮膚に付着させた後治療用薬物を用いる場合より相対的に短時間内に除去しなければならないので、美容剤が速やかに皮膚の中に伝達される必要性が著しく求められる。即ち、皮膚の美容時、皮膚に適用したハイドロゲルは、その中に含有されている美容剤が多量で速やかにハイドロゲルから皮膚に伝達されるべきである。このような特性を満たすためには、ハイドロゲルが従来の物に比べ、美容剤が皮膚の中に速やか、かつむら無く伝達されるとの特徴を有しなければならず、その特性を満たすことのできる新規のハイドロゲルが求められる。
【発明の開示】
【0009】
このため本発明は、ハイドロゲル組成物を利用して美容剤が皮膚の中に速やか、かつむら無く伝達されるようにする目的で、ハイドロゲルが皮膚と接触した後、体温によって流動状態に変化し、流動性を有するようになり、流動性を有するハイドロゲル組成物が皮膚をむら無く覆い、速やかに浸透するような機能を有する温度感応性状態変化ハイドロゲルを提供することにある。
【0010】
さらに、本発明は皮膚をむら無く覆い、速かに浸透するような機能を有する温度感応性状態変化ハイドロゲルの製造方法を提供することにある。
【0011】
本発明の一態様によれば、
分枝状ゲル化高分子1〜10重量%、電解質ゲル化高分子0.5〜5重量%、皮膚親和性増進剤0.5〜5重量%、天然生体物質1〜10重量%、多価アルコール 3〜30重量%、機能性添加剤1〜10重量%及び水30〜93重量%を含んで構成され、10〜50℃の温度でハイドロゲルが流動状態に変化する温度感応性状態変化ハイドロゲル組成物が提供される。
【0012】
本発明の他の態様によれば、
ガラクトマンナン、グルコマンナン、グアーガム、ローカストビーンガム及びプルロニック(pluronic)から成る群より選択された分枝状ゲル化高分子1〜10重量%、アガー、アルギン、カラギナン、キサンタン及びゲラン(gelan)から成る群より選択された電解質ゲル化高分子0.5〜5重量%、キトサン、キトサン誘導体、プロテオグリカン、エラスチン、コラーゲン及びヒアルロン酸から成る群より選択された機能性添加剤1〜10重量%及び多価アルコール3〜30重量%を互いに混合し、常温でこれに水30〜93重量%を加えた後、これを45〜95℃に加熱しゲル溶液を調製すること、
【0013】
上記ゲル溶液を45〜95℃に保ちながら、アロエ、緑茶、朝鮮人参(ginseng)、木酢液、松葉、イチョウの葉、プロポリス、桑の葉又は蚕から抽出された天然抽出物1〜10重量%およびメチルパラベン、プロピルパラベン、コジック酸、α−ハイドロキシ酸及びレチノールから成る群より選択された皮膚親和性増進剤0.5〜5重量%を順次に加えた後、これを常温に冷却することを含むことを特徴とする温度感応性状態変化ハイドロゲル組成物の製造方法が提供される。
発明を実施するための最良の形態
【0014】
以下、本発明についてより詳しく説明する。
【0015】
本発明の温度感応性状態変化ハイドロゲル組成物は10〜50℃で、好ましくは、体温付近の温度範囲(30〜40℃)においてゲル状態が流動状態に変わって、皮膚とハイドロゲルとの間の親和性が理想的に向上し、さらに加えられている親和性増進剤の作用によって、ハイドロゲル組成物から皮膚に美容剤または薬物が多量に速かに伝達されことができることを特徴とする。
【0016】
本発明では、相対的に短い適用時間のみが許容される皮膚の美容の分野において、ハイドロゲルを利用する理想的、かつ効率的な方法を考案し、その考案に好適な新規の温度感応性状態変化ハイドロゲル組成物を提供する目的を成し遂げようとする。
【0017】
本発明の温度感応性状態変化ハイドロゲル組成物は化粧品を含有したハイドロゲルシート又はパッチが皮膚に適用され密着された際、ハイドロゲルのゲル状態が体温によって流動状態に変化し流動性のあるハイドロゲル組成物と皮膚との間の親和性を最適に向上し、美容剤が皮膚にうまく伝達されるようにする特性があり、また、ハイドロゲル組成物の中に美容剤の皮膚伝達を増進させる天然親和性増進剤が含有されていて、所望の量の美容剤が速かに経皮伝達されることができるとの特徴を有することにある。従って、本発明は、ハイドロゲルが温度変化に感応して特定温度範囲においてゲル状態が急激に流動状態に変化することを特徴とする新規のハイドロゲル組成物を提供する。
【0018】
本発明の温度感応性状態変化ハイドロゲルは、固相であるゲル状態(gel state)が温度上昇によって液状である流動状態(liquid state)に変化する物理的特性を有している。とりわけ、皮膚の美容の用途に使用される際に、本発明のハイドロゲルシートまたはパッチ形態の製品を皮膚に付着させると、体温によって温度が上昇してゲル状態のハイドロゲルが流動状態に状態変化を起こして、流動性のあるハイドロゲル組成物に変化するようになり、これは皮膚に自動的に密着、浸透されながら皮膚との親和性を著しく向上させるとの特徴を有しているのである。
【0019】
上記のような特徴を有するために、本発明の状態変化ハイドロゲル組成物には、分枝状高分子と電解質高分子とで組成されたゲル形成物質が含まれ、さらにまた人の皮膚と親和性を向上させることが可能である親和性増進剤と天然生体物質とが含有される。また、ハイドロゲルが皮膚に適用された際、体温によって流動状態に変化したハイドロゲル組成物が皮膚に密着し、浸透することが可能となるように、流動性を付与する多価アルコールと機能性物質である機能性添加剤とが含有される。
【0020】
本発明のハイドロゲル組成物は組成物の総重量を基準にして分枝状ゲル化高分子1〜10重量%、電解質ゲル化高分子0.5〜5重量%、皮膚親和性増進剤0.5〜5重量%、天然生体物質1〜10重量%、多価アルコール3〜30重量%、機能性添加剤1〜10重量%及び水30〜93重量%で組成される。
【0021】
本発明者らは上記各成分がこのような範囲に含有されてハイドロゲル組成物を形成する場合に、皮膚に適用の際、体温によってハイドロゲル組成物が流動状態に変化する特性を有し、これによってハイドロゲル組成物中に含有されている成分などが皮膚にむら無く、かつ速かに密着し浸透することを見出した。
【0022】
本発明のハイドロゲル組成物において、ゲル形成物質として分枝状ゲル化高分子及び電解質ゲル化高分子が使用され、ここで、上記電解質ゲル化高分子は本発明の組成物がゲル状態に維持されるようにする役目を果たし、一部の場合において本発明の組成物が平常時の常温で(約20℃前後)、好ましくは0〜30℃の温度でゲル状態に維持されるようにする役目を果たし、そして分枝状ゲル化高分子は温度上昇の際、すなわち10〜50℃、好ましくは体温付近に約30〜40℃で、固相のハイドロゲルが液状の流動状態に変わるようにする役目をする。これと係って、図2に2種類のゲル化高分子で構成されるゲルの模式図を示した。ここで、(a)はゲル状態の高分子鎖型を示したものとして、電解質ゲル化高分子の電気的結合と分枝状ゲル化高分子の物理的結合が共に存在しているものを示しており、(b)は流動状態の高分子鎖型を示したものとして電解質ゲル化高分子の電気的結合を維持しているが、分枝状ゲル化高分子の物理的結合は存在しないことを示す。
【0023】
本発明に有用な分枝状ゲル化高分子では水に溶解されることが可能である糖類高分子として、ガラクトマンナン、グルコマンナン、グアーガム、ローカストビーンガム、プルロニックなどが挙げられ、さらに本発明に有用な電解質ゲル化高分子では多糖類電解質高分子として、アガー、アルギン、カラギナン、ザンタン及びゲランなどが挙げられる。この際、上記分枝状ゲル化高分子及び電解質ゲル化高分子は組成物の総重量を基準にして各々1〜10重量%及び0.5〜5重量%で含有され、仮にかかる範囲を外れると、ゲルが形成されなかったり、温度を上昇させてもゲル状態が流動状態に変化する現象が起こらなくなってしまう。
【0024】
上記皮膚親和性増進剤は、人の皮膚との親和性を向上させてくれるため、ハイドロゲル組成物から皮膚に美容剤又は薬物が多量に速やかに伝達されるようにする役目をする物質として、これらの例は、これに限定されるものではないが、キトサン、プロテオグリカン、キトサン誘導体、エラスチン、コラーゲン、ヒアルロン酸などの多糖類又はタンパク質として水に溶解され得るものが有用であり、その含量は、組成物の総重量を基準にして、0.5〜5重量%が好ましい。このような皮膚親和性増進剤は、その含量が少なすぎるとその効果が微々たるものであり、含量が多すぎると温度を上昇させてもゲル状態が流動状態に変化しないとの問題が生じる。
【0025】
同様に、上記天然生体物質は人の皮膚と親和性を向上させてくれる役目を果たす物質として、植物、動物、又は鉱物から抽出した天然物であり、これに限定するわけではないが、アロエ、緑茶、人参、木草液、松葉、イチョウの葉、プロポリス、蚕、桑の葉などの抽出物が有用であり、その含量は組成物の総重量を基準にして1〜10重量%である。このような天然生体物質はその含量が少なすぎるとその効果が微々たり、含量が多すぎると温度を上昇させてもゲル状態が流動状態に変化しないとの問題が生じる。
【0026】
上記多価アルコールは本発明のハイドロゲル組成物が皮膚に密着、かつ浸透することができるようにする物質として水溶性の液状であって、プロピレングリコール、グリセリンなどが有用であり、その含量は組成物の総重量を基準にして3〜30重量%である。このような多価アルコールはその含量が少なすぎると温度を上昇させてもゲル状態が流動状態に変化せず、さらに多すぎるとゲルが形成されないとの問題が生じる。
【0027】
上記機能性添加剤はハイドロゲルに安定性と機能性を与えることができる添加剤として、メチルパラベン、プロピルパラベン、コジック酸、α−ハイドロキシ酸、イミダゾリジニルウレア、ツイーン80、レチノール(retinol)などが有用である。このような機能性添加剤は組成物の総重量を基準にして1〜10重量%含まれ、仮にその含量が少なすぎると保管の安定性が低下し、長期間保存維持されず、そして多すぎると温度を上昇させてもゲル状態が流動状態に変化しないとの問題が生じる。
【0028】
水はハイドロゲル組成物の主成分として組成物の総重量を基準にして30〜93重量%含まれ、その含量が少なすぎると温度を上昇させてもゲル状態が流動状態に変化せず、そして多すぎるとゲル形成が行われないとの問題が生じる。
【0029】
このように構成された本発明のハイドロゲル組成物は0〜10℃以下の温度ではゲル状態で存在し、10〜50℃の間でゲル状態が流動状態に変化する特性を有する。また本発明のハイドロゲル組成物は各成分の量変化によって、0〜30℃で、又は常温でゲル状態で存在することができ、20〜40℃で流動状態で存在することができる。このように本発明のハイドロゲル組成物は温度によって敏感に状態が変化するとの特性を有し、皮膚に適用の際ハイドロゲル組成物の中に含有されている全ての皮膚の美容剤などが皮膚にむら無く、かつ速かに密着し、浸透することが可能である。
【0030】
一方、本発明のハイドロゲル組成物は次のような方法により製造されることができる。
【0031】
先ず、多価アルコールに分枝状ゲル化高分子と電解質ゲル化高分子を混合して高分子混合液とさらに、多価アルコールに機能性添加剤を溶解させた機能溶液を作製し、この2つの液を混合した基本混合液を作製する。その後、上記基本混合液を脱イオン水と混合して加熱し温度45℃乃至95℃の間に保ちながら親和性増進剤及び天然生体物質を順次に混合させながら流動状態のハイドロゲル組成物を製造する。この際、混合される各成分の量は本発明のハイドロゲル組成物について先述したようである。同様に、この際混合される各成分の有用な例は前述したとおりである。
【0032】
また、本発明のハイドロゲル組成物はシート又はパッチ形態で作製され皮膚の美容に適用されることが可能である。例えば、本発明のハイドロゲル組成物を皮膚の美容に適用するために30℃以上の温度で、好ましくは45〜95℃の温度で流動状態のハイドロゲル組成物をシートまたはパッチに成形し常温に冷却させゲル状態のハイドロゲルを作製する。図3に本発明のハイドロゲル組成物を利用してレーヨン(rayan)網目織物を芯として入れ皮膚の美容に適用可能なハイドロゲルシートに製造した模式図を示した。図3において、(a)はレーヨン網目織物を示し、(b)は本発明のハイドロゲル組成物を示す。
【0033】
本発明のハイドロゲルシートまたはパッチは皮膚に適用された際ハイドロゲルが体温によってゲル状態から流動状態に状態変化を起こして流動性のある流動体に変化するようになる。本発明の状態変化ハイドロゲルは皮膚と接触されるようになると、体温によって流動状態に変化して流動性のあるハイドロゲル組成物に変化され、これは皮膚に自動的に密着、かつ浸透しながら皮膚との親和性が著しく向上され、それによって皮膚の美容効果が従来のハイドロゲルを使用するより向上される。
【0034】
以下、本発明の実施例は本発明の一部分をより具体的に説明しているが、本発明の範囲がこれに限定されるわけではない。
実施例
【0035】
常温で3リットルの加熱容器に撹拌しながら先にグリセリン170g、カラギナン6g及びローカストビーンガム20gを混合し、これにグリセリン30gにメチルパラベン0.8gとプロピルパラベン0.3gを溶解させた溶液を加えて混合液を作製し、混合液に脱イオン水740gを投入して温度を85℃に上昇させゲル溶液を作製した。温度85℃を保ちながらゲル溶液に順次にアロエ抽出物20g、コラーゲン5g、イミダゾリジニルウレア2g、ツイーン801.5g及びキトサン3.7gを加えてハイドロゲル組成物を作製した。該ハイドロゲル組成物を温度変化によって粘度を測定しその結果を図1に示した。図1に示したように上記ハイドロゲル組成物は温度が上昇するにつれ粘度が顕著に減少され流動状態に変化することがわかる。
【0036】
このようなハイドロゲル組成物を80℃でレーヨン網目織物を芯として入れシートに成形し常温に冷却させると状態変化ハイドロゲルシートが製造されて、これは皮膚の美容のための美容剤の調節放出による皮膚伝達用として活用されることが可能な製品である。また、一般的なハイドロゲルを皮膚に適用させた時の被覆度は40〜70%であるのに対し、本発明のハイドロゲルは温度変化によって流動性を有しており100%の被覆度を有し、成分移動速度(migration rate of ingredient)が早いためハイドロゲルの表皮吸収を向上させた製品である。
発明の効果
【0037】
本発明のハイドロゲル組成物は皮膚の美容に非常に効果的に適用可能であるだけでなく皮膚治療においても速やかな薬物伝達が求められ、親和的な密着素材が求められる際効果的に適用されることができる。とりわけ、本発明のハイドロゲルはハイドロゲルから皮膚に美容剤が伝達される経皮伝達(trandermal cosmetic delivery)による皮膚の美容に効果的に活用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明のハイドロゲル組成物の温度変化による粘度変化を表すグラフである。
【図2】本発明のハイドロゲルが2種類のゲル化高分子から成ることを示す模式図であり、ここで(a)はゲル状の高分子鎖型を示すもので、電解質ゲル化高分子の電気的結合と分枝状ゲル化高分子の物理的結合が共に存在していることを示しており、(b)は流動状態の高分子鎖型を示すもので、電解質ゲル化高分子の電気的結合を維持しているが、分枝状ゲル化高分子の物理的結合は存在しないことを示している。
【図3】本発明のハイドロゲル組成物を利用して製造された皮膚の美容に適用可能なハイドロゲルシートを示す模式図であり、ここで(a)は芯として使用されたレーオン網目織物を示し、さらに(b)は本発明のハイドロゲルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物の総重量を基準にして、分枝状ゲル化高分子1〜10重量%、電解質ゲル化高分子0.5〜5重量%、皮膚親和性増進剤0.5〜5重量%、天然生体物質1〜10重量%、多価アルコール3〜30重量%、機能性添加剤1〜10重量%および水30〜93重量%とを含んでなり、10〜50℃の温度でハイドロゲルが流動状態に変化する温度感応性状態変化ハイドロゲル組成物。
【請求項2】
分枝状ゲル化高分子が、ガラクトマンナン、グルコマンナン、グアーガム、ローカストビーンガム及びプルロニックから成る群より選択された少なくともの1種の水に溶解可能な多糖類高分子であることを特徴とする、請求項1に記載の温度感応性状態変化ハイドロゲル組成物。
【請求項3】
電解質ゲル化高分子が、アガー、アルギン、カラギナン、キサンタン及びゲランから成る群より選択された少なくともの1種の多糖類の電解質高分子であることを特徴とする、請求項1に記載の温度感応性状態変化ハイドロゲル組成物。
【請求項4】
皮膚親和性増進剤が、キトサン、キトサン誘導体、プロテオグリカン、エラスチン、コラーゲン及びヒアルロン酸から成る群より選択された少なくともの1種の多糖類またはタンパク質であることを特徴とする、請求項1に記載の温度感応性状態変化ハイドロゲル組成物。
【請求項5】
天然生体物質が、アロエ、緑茶、朝鮮人参、木酢液、松葉、イチョウの葉、プロポリス、桑の葉又は蚕から抽出された植物、動物または鉱物の天然抽出物であることを特徴とする、請求項1に記載の温度感応性状態変化ハイドロゲル組成物。
【請求項6】
多価アルコールが、水溶性液状のプロピレングリコール又はグリセリンであることを特徴とする、請求項1に記載の温度感応性状態変化ハイドロゲル組成物。
【請求項7】
機能性添加剤が、ハイドロゲルに安定性又は美容機能性を付与することのできる添加剤として、メチルパラベン、プロピルパラベン、コジック酸、α−ハイドロキシ酸、イミダゾリジニルウレア、ツイーン80又はレチノールであることを特徴とする、請求項1に記載の温度感応性状態変化ハイドロゲル組成物。
【請求項8】
ガラクトマンナン、グルコマンナン、グアーガム、ローカストビーンガム及びプルロニックから成る群より選択された分枝状ゲル化高分子1〜10重量%、アガー、アルギン、カラギナン、キサンタン及びゲランから成る群より選択された電解質ゲル化高分子0.5〜5重量%、キトサン、キトサン誘導体、プロテオグリカン、エラスチン、コラーゲン及びヒアルロン酸から成る群より選択された機能性添加剤1〜10重量%並びに多価アルコール3〜30重量%を互いに混合すること、
該混合物に、常温で水30〜93重量%を加えること、
得られた混合溶液を45〜95℃に加熱しゲル溶液を調製すること、 該ゲル溶液に、アロエ、緑茶、朝鮮人参、木酢液、松葉、イチョウの葉、プロポリス、桑の葉又は蚕から抽出された天然生体物質1〜10重量%を加えること、
前記ゲル溶液を45〜95℃に保ちながら、該ゲル溶液に、メチルパラベン、プロピルパラベン、コジック酸、α−ハイドロキシ酸及びレチノールから成る群より選択された皮膚親和性増進剤0.5〜5重量%を加えること、及び
得られたゲル溶液を常温に冷却させること
を含むハイドロゲル組成物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−502269(P2007−502269A)
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523132(P2006−523132)
【出願日】平成16年8月13日(2004.8.13)
【国際出願番号】PCT/KR2004/002034
【国際公開番号】WO2005/016305
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(506049770)ジェニック カンパニー リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】GENIC CO., LTD.
【Fターム(参考)】