説明

温度検出装置、基板処理装置、及び半導体装置の製造方法

【課題】経時変化により熱電対素線が断線することや、熱電対接合部の位置ずれを抑制することができる温度検出装置を提供する。
【解決手段】鉛直方向に延在するように設置され鉛直方向の貫通穴を有する絶縁管と、上端に熱電対接合部を有する熱電対素線であって前記絶縁管の貫通穴に挿通され前記絶縁管の下端から出た鉛直方向の部分が水平方向に向きを変える熱電対素線と、前記絶縁管の下方に設けられた空間であって前記絶縁管の下端から出た熱電対素線の熱膨張が拘束されることを抑制するバッファエリアとを有し、前記熱電対素線の上部又は鉛直方向における中間部を前記絶縁管に支持されるように温度検出装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理基板を処理室に収容し、ヒータによって加熱した状態で処理を施す熱処理技術に関し、例えば、半導体集積回路装置(いわゆる半導体デバイス、以下、ICという。)が作り込まれる半導体基板(例えば、半導体ウェハ)に、酸化処理や拡散処理、あるいは、イオン打ち込み後のキャリアの活性化や平坦化のためのリフロー処理やアニール処理、もしくは、熱CVD(Chemical Vapor Deposition)反応による成膜処理等の熱処理を施すために使用される温度検出装置や基板処理装置や基板処理方法や半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ICの製造において、基板を熱処理するため、バッチ式縦形熱処理装置が広く使用されている。従来のこの種の熱処理装置の処理炉においては、上端が閉塞し下端が開放された略円筒形の縦型反応管の内部に、複数枚のウェハを搭載したボートを下方から挿入し、反応管の外側を囲むように設けられたヒータにより、ボート上のウェハを熱処理する。ボート上において、複数枚のウェハは、水平姿勢、かつ互いにウェハの中心を揃えた状態で多段に積層されて保持される。
反応管とヒータの間には、上端が閉塞し下端が開放された略円筒形の均熱管が設けられている。均熱管は、ヒータからウェハに輻射される熱が、場所により不均一にならないよう均等にするためのものである。
【0003】
反応管と均熱管の間には、温度を検出するための温度検出管が設置され、該温度検出管で検出した温度に基づき、ヒータ出力、すなわちウェハ温度が所定の温度に制御される。温度検出管の内部には、温度検出素子である熱電対が挿入されており、熱電対は信号線により温度制御部と接続されている。
下記の特許文献1には、反応管とヒータを有する縦型熱処理炉において、処理炉の温度を検出するための熱電対を設置する技術が開示されている。
【0004】
従来装置における熱電対の設置方法を、図12〜図15を用いて説明する。図12は、従来の熱電対の構造を示す図であり、反応管と均熱管の間にある熱電対を、処理炉の中心から見た図である。図13は、図12のA−A断面図であり、熱電対の水平断面図である。図14は、図12の熱電対を側面から見た垂直断面図である。図15は、従来の熱電対の支持状態を示す図である。
図12の例では、熱電対は、熱電対接合部423aを有する第1熱電対、熱電対接合部423bを有する第2熱電対、熱電対接合部423cを有する第3熱電対、熱電対接合部423dを有する第4熱電対、熱電対接合部423eを有する第5熱電対の5つ存在する。
第1熱電対と第4熱電対は、保護管431a内に挿入されており、第2熱電対と第5熱電対は、保護管431b内に挿入されており、第3熱電対は、保護管431c内に挿入されている。
【0005】
第1熱電対は、処理炉の最上部のヒータ(Uゾーンヒータ)の温度検出用であり、第2熱電対は、Uゾーンヒータの直ぐ下のヒータ(CUゾーンヒータ)の温度検出用であり、第3熱電対は、CUゾーンヒータの直ぐ下のヒータ(Cゾーンヒータ)の温度検出用であり、第4熱電対は、Cゾーンヒータの直ぐ下のヒータ(CLゾーンヒータ)の温度検出用であり、第5熱電対は、処理炉の最下部のヒータ(Lゾーンヒータ)の温度検出用である。
【0006】
図12のA−A断面図である図13に示すように、保護管431a内において、第4熱電対が前方(処理炉の中心側)にあり、第1熱電対が後方にある。また、保護管431b内において、第5熱電対が前方にあり、第2熱電対が後方にある。
第1熱電対の絶縁管432aは断面が長円形で、2つの穴が貫通しており、その穴にプラス側の熱電対素線421aとマイナス側の熱電対素線422aが挿通するように収容されている。第2熱電対〜第5熱電対の絶縁管432b〜432eも同様である。熱電対素線は、温度を熱起電力に変換する熱電対の素線部分である。
【0007】
第1熱電対は、プラス側の熱電対素線421aとマイナス側の熱電対素線422a、熱電対素線421aと熱電対素線422aがそれらの先端部で接合された熱電対接合部423a、熱電対素線421aと熱電対素線422aとを互いに絶縁するための絶縁管432a、絶縁管432aの上端を閉塞するキャップ434a等から構成される。
【0008】
図14は、第1熱電対の側面図である。図14に示すように、熱電対素線421aと熱電対素線422a(熱電対素線422aは不図示)は、均熱管221の内部を鉛直方向に延在しており、それらの上端には熱電対接合部423aが設けられている。
熱電対素線421aと熱電対素線422aは、互いに短絡することのないよう、2穴の絶縁管432a内にそれぞれ収容されている。絶縁管432aの上端には、熱電対接合部423aを封止するように、キャップ434aが取り付けられている。絶縁管432aは、保護管431a内に挿入されており、保護管431aは、その下部を保護管ホルダ436により固定されている。また、鉛直方向に延在する絶縁管432aは、その下部を、水平方向に延在する絶縁管433aと当接しており、絶縁管433aは保護管ホルダ436に固定されている。
絶縁管432a内を鉛直方向に通過する熱電対素線421aと熱電対素線422aは、絶縁管432aの下端で90度方向を変えて、絶縁管433a内を水平方向に通過し、温度制御部(不図示)に接続されている。
【0009】
第1熱電対と同様に、第2熱電対は、プラス側の熱電対素線421bとマイナス側の熱電対素線422b、熱電対素線421bと熱電対素線422bがそれらの先端部で接合された熱電対接合部423b、熱電対素線421bと熱電対素線422bとを互いに絶縁するための絶縁管432b、絶縁管432bの上端を閉塞するキャップ434b等から構成される。
第3熱電対は、プラス側の熱電対素線421cとマイナス側の熱電対素線422c、熱電対素線421cと熱電対素線422cがそれらの先端部で接合された熱電対接合部423c、熱電対素線421cと熱電対素線422cとを互いに絶縁するための絶縁管432c、絶縁管432cの上端を閉塞するキャップ434c等から構成される。
第4熱電対は、プラス側の熱電対素線421dとマイナス側の熱電対素線422d、熱電対素線421dと熱電対素線422dがそれらの先端部で接合された熱電対接合部423d、熱電対素線421dと熱電対素線422dとを互いに絶縁するための絶縁管432d、絶縁管432dの上端を閉塞するキャップ434d等から構成される。
第5熱電対は、プラス側の熱電対素線421eとマイナス側の熱電対素線422e、熱電対素線421eと熱電対素線422eがそれらの先端部で接合された熱電対接合部423e、熱電対素線421eと熱電対素線422eとを互いに絶縁するための絶縁管432e、絶縁管432eの上端を閉塞するキャップ434e等から構成される。
【0010】
そして、図15に示すように、従来は、プラス側の熱電対素線421とマイナス側の熱電対素線422を、その下部の熱電対素線支持部424において固定状態となるようにしている。具体的には、熱電対素線421と熱電対素線422は、絶縁管432と絶縁管433から構成されるL字部でL字状に屈曲する。したがって、熱電対素線421と熱電対素線422の下部は、鉛直方向に対して実質的に固定状態となる。
なお、熱電対素線421a〜421eを熱電対素線421、熱電対素線422a〜422eを熱電対素線422、熱電対接合部423a〜423eを熱電対接合部423、絶縁管432a〜432eを絶縁管432、絶縁管433a〜433eを絶縁管433、キャップ434a〜434eをキャップ434と総称する。
【0011】
図16は、従来の熱電対の膨張収縮状態を示す図であり、図16(a)は熱処理前の待機状態(500℃)、図16(b)は熱処理中のプロセス状態(1200℃)、図16(c)は熱処理後の待機状態(500℃)である。図16(a)の待機状態から図16(b)の熱処理状態になると、熱電対素線421,422と絶縁管432が熱膨張し、絶縁管432上端から熱電対素線が飛出し、ΔLだけ長くなる。飛出し量ΔLは、熱電対素線421,422と絶縁管432の膨張差で決定される為、膨張差の少ない絶縁管材料を選択している。図16(b)の熱処理状態から図16(c)の待機状態になると、熱電対素線421と熱電対素線422が熱収縮し、ΔLだけ短くなって元の長さに戻る。
【0012】
これらの熱膨張や熱収縮を繰り返すと、熱電対素線421や422の自重や絶縁管432との摩擦力等の経時変化で、熱電対素線421や422の粒界ずれや引掛りが発生する。粒界ずれとは、熱処理により熱電対素線421や422の結晶粒が肥大化し、隣接する結晶粒間の結晶粒界が、熱膨張や熱収縮に伴う応力によりずれることである。
図17は、従来の熱電対が断線する様子を示す図であり、図17(a)は待機状態、図17(b)は熱処理状態を示す。図17(a)の待機状態と、図17(b)の熱処理状態を繰り返すと、例えば熱電対素線422が伸びて素線変形部411が発生し、絶縁管432との摩擦力が大きくなる。また、絶縁管432が絶縁管433から上方に離間する。
更に経時変化が進行すると、図17(c)に示すように、熱収縮時において、熱電対素線422が絶縁管432に拘束される拘束力が強くなり、熱電対素線421への引張り応力が大きくなる。最終的には、熱電対素線422の引張り強度を超過し、断線部412において断線に至る。
【0013】
また、従来の熱電対設置方法では、上述のように、熱電対素線421や422の下部を固定しているので、熱電対接合部423の位置、つまり温度測定位置が熱電対素線421や422の熱膨張によって少なからず変化する。例えば、熱電対素線長さ1500mm、周囲温度1200℃において、温度測定位置が約19mmシフトする。このため、正確な温度測定が難しく、適切な温度制御を行うことが容易ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2004−311712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、経時変化により熱電対素線が断線することや、熱電対接合部の位置ずれを抑制することができる温度検出装置や基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するための、本発明に係る温度検出装置の代表的な構成は、次のとおりである。すなわち、
鉛直方向に延在するように設置され、鉛直方向の貫通穴を有する絶縁管と、
上端に熱電対接合部を有する熱電対素線であって、前記絶縁管の貫通穴に挿通され、前記絶縁管の下端から出た鉛直方向の部分が水平方向に向きを変える熱電対素線と、
前記絶縁管の下方に設けられた空間であって、前記絶縁管の下端から出た熱電対素線の熱膨張が拘束されることを抑制するバッファエリアとを有し、
前記熱電対素線の上部又は鉛直方向における中間部を前記絶縁管に支持された温度検出装置。
【発明の効果】
【0017】
上記の構成により、経時変化により熱電対素線が断線することや、熱電対接合部の位置ずれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態における基板処理装置の斜透視図である。
【図2】本発明の実施形態における処理炉の垂直断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態における熱電対の支持状態を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態における熱電対の構造を示す図である。
【図5】図4の熱電対の水平断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態における熱電対の支持状態を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態における熱電対の構造を示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態における熱電対の膨張収縮状態を示す図である。
【図9】本発明の第3実施形態における熱電対の支持状態を示す図である。
【図10】本発明の第3実施形態における熱電対の構造を示す図である。
【図11】図10の熱電対の水平断面図である。
【図12】従来の熱電対の構造を示す図である。
【図13】図12の熱電対の水平断面図である。
【図14】図12の熱電対を側面から見た垂直断面図である。
【図15】従来の熱電対の支持状態を示す図である。
【図16】従来の熱電対の膨張収縮状態を示す図である。
【図17】従来の熱電対が断線する様子を示す図である。
【図18】本発明の第4実施形態における熱電対の支持状態を示す図である。
【図19】本発明の第4実施形態における熱電対構造の一例を示す図である。
【図20】図19の熱電対の水平断面図である。
【図21】本発明の第4実施形態における熱電対構造の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
本発明を実施するための形態において、半導体装置(IC等)の製造工程の1工程としての熱処理による基板処理工程を実施する基板処理装置の構成例について、図1を用いて説明する。
図1は、本発明の第1〜第4の各実施形態における基板処理装置の斜透視図である。図1に示すように、本発明の各実施形態に係る基板処理装置10は、筐体101を備え、シリコン等からなる基板であるウェハ200を筐体101内外へ搬送するために、ウェハキャリア(基板収容器)としてカセット110が使用される。
【0020】
筐体101の正面前方側にはカセットステージ105が設置されている。カセット110は、筐体101外の工程内搬送装置(図示せず)によって、カセットステージ105上に搬入、載置され、また、カセットステージ105上から筐体101外へ搬出される。
筐体101内の前後方向における略中央部には、カセット棚114が設置されている。カセット棚114は、複数個のカセット110を保管する。カセット棚114の一部として、移載棚123が設けられ、移載棚123には、後述するウェハ移載機構112の搬送対象となるカセット110が収納される。
カセットステージ105とカセット棚114との間には、カセット搬送装置115が設置されている。カセット搬送装置115は、カセットステージ105、カセット棚114、移載棚123の間で、カセット110を搬送する。
【0021】
カセット棚114の後方には、ウェハ移載機構112が設置されている。ウェハ移載機構112は、ウェハ200を移載棚123上のカセット110内からピックアップして、後述するボート(基板保持具)217へ装填(チャージング)したり、ウェハ200をボート217から脱装(ディスチャージング)して、移載棚123上のカセット110内へ収納したりすることができる。
【0022】
筐体101の後側上方には、処理炉202が設けられている。処理炉202の下端部は、炉口シャッタ116により開閉可能なように構成されている。処理炉202の構成については後述する。
処理炉202の下方には、ボート217を昇降させて処理炉202内外へ搬送する機構としてのボートエレベータ121が設置されている。ボートエレベータ121には、昇降台としてのアーム122が設置されている。アーム122上には、シールキャップ219が水平姿勢で設置されている。シールキャップ219は、ボート217を鉛直に支持するとともに、ボートエレベータ121によりボート217が上昇したときに、処理炉202の下端部を気密に閉塞する蓋体として機能するものである。ボート217の構成については後述する。
【0023】
(処理炉の構成)
次に、第1〜第4の各実施形態における処理炉202の構成について、図2を用いて説明する。図2は、基板処理装置の処理炉の垂直断面図である。この実施形態においては、処理炉202は、バッチ式縦形ホットウオール形の熱処理炉として構成されている。
【0024】
(反応管と均熱管)
処理炉202は、その内側に、縦形の反応管222を備えている。反応管222は、上端が閉塞され下端が開口された略円筒形状をしており、開口された下端が下方を向くように、かつ、筒方向の中心線が鉛直になるように縦向きに配置されている。
反応管222内には、基板保持具としてのボート217によって水平姿勢で多段に積層された複数枚のウェハ200を収容して処理する処理室204が形成される。反応管222の内径は、ウェハ200群を保持するボート217の最大外径よりも大きくなるように設定されている。
反応管222は、本例では、石英(SiO)や炭化シリコン(SiC)等の耐熱性の高い材料によって、略円筒形状に一体成形されている。
【0025】
反応管222の外側には、後述するヒータユニット208から反応管222へ輻射される熱の均一化を図る均熱管221が設けられている。均熱管221は、反応管222と同様に、上端が閉塞され下端が開口された略円筒形状をしており、開口された下端が下方を向くように、かつ、筒方向の中心線が鉛直になるように縦向きに配置されている。
均熱管221は、反応管222より大きく、かつ、反応管222と略相似形状であり、反応管222の外側を取り囲むように同心円状に被せられている。均熱管221の下端部は、筐体101の一部である金属製のベース209によって支えられている。
均熱管221は、本例では、石英(SiO)や炭化シリコン(SiC)等の耐熱性の高い材料によって、略円筒形状に一体成形されている。
【0026】
反応管222の下端部は、その水平断面が略円形リング形状であるマニホールド206によって気密に封止されている。反応管222は、その保守点検作業や清掃作業のために、マニホールド206に着脱自在に取り付けられている。マニホールド206が筐体101に支持されることにより、反応管222は、筐体101に鉛直に据え付けられた状態になっている。マニホールド206の下端開口は、ウェハ200群を保持したボート217を出し入れするための炉口205を構成している。
【0027】
(基板保持具)
マニホールド206には、マニホールド206の下端開口を閉塞するシールキャップ219が、鉛直方向下側から当接されるようになっている。シールキャップ219は反応管222の外径と同等以上の外径を有する円盤形状に形成されており、反応管222の外部に鉛直に設備されたボートエレベータ121によって、前記円盤形状を水平姿勢に保った状態で鉛直方向に昇降されるように構成されている。
シールキャップ219上には、ウェハ200を保持する基板保持具としてのボート217が鉛直に支持されるようになっている。ボート217は、上下で一対の端板と、両端板間に渡って鉛直に設けられた複数本、本例では3本のウェハ保持部材(ボート支柱)とを備えている。端板及びウェハ保持部材は、例えば、石英(SiO)や炭化珪素(SiC)等の耐熱性の高い材料から構成される。
【0028】
各ウェハ保持部材には、水平方向に刻まれた多数条の保持溝が、長手方向にわたって等間隔に設けられている。各ウェハ保持部材は、保持溝が互いに対向し、各ウェハ保持部材の保持溝の鉛直位置(鉛直方向の位置)が一致するように設けられている。ウェハ200の周縁が、複数本のウェハ保持部材における同一の段の保持溝内に、それぞれ挿入されることにより、複数枚(例えば、50〜150枚程度)のウェハ200は、水平姿勢、かつ互いにウェハの中心を揃えた状態で鉛直方向に多段に積層されて保持される。
【0029】
また、ボート217とシールキャップ219との間には、保温筒210が設けられている。保温筒210は、例えば、石英(SiO)や炭化珪素(SiC)等の耐熱性材料から構成されている。保温筒210によって、後述するヒータユニット208からの熱が、マニホールド206側に伝わるのを抑止する。
【0030】
シールキャップ219の下側(処理室204と反対側)には、ボート217を回転させるボート回転機構237が設けられている。ボート回転機構237のボート回転軸は、シールキャップ219を貫通してボート217を下方から支持している。ボート回転軸を回転させることにより、処理室204内にてウェハ200を回転させることが可能となる。シールキャップ219は、上述のボートエレベータ121によって鉛直方向に昇降されるように構成されており、これにより、ボート217を処理室204内外に搬送することが可能となっている。
ボート回転機構237及びボートエレベータ121は、制御部280に電気的に接続されている。制御部280は、ボート回転機構237及びボートエレベータ121が所望のタイミングにて所望の動作をするように制御する。
【0031】
(ヒータユニット)
均熱管221の外部には、反応管222内を全体にわたって均一または所定の温度分布に加熱する加熱機構としてのヒータユニット208が、均熱管221を包囲するように設けられている。ヒータユニット208は、基板処理装置10の筐体101に支持されることにより鉛直に据え付けられた状態になっており、例えば、カーボンヒータ等の抵抗加熱ヒータにより構成されている。
【0032】
(温度検出装置)
均熱管221と反応管222の間には、温度測定素子である熱電対を内蔵し保護する保護管31が、鉛直方向に延在するように設置されている。保護管31の下端は、保護管ホルダ36により支持され固定されている。
保護管31は、炭化シリコン(SiC)等の耐熱性の高い材料によって、円筒形状に形成され、その長さは約1500mm、外径は約8mmであり、上端は閉じられ、下端に開口部を有する。その開口部から、熱電対素線を収容した絶縁管を挿入する。こうして、熱電対素線を腐食性ガスに曝さないようにするとともに、絶縁管や熱電対から発生する汚染物質を拡散させないようになっている。絶縁管や熱電対素線については後述する。
保護管ホルダ36は、アルミナやステンレス等によって形成され、保護管31を支える鉛直部分と、熱電対素線を挿通して処理室204外へ導く水平部分を備える。
【0033】
均熱管221と反応管222の間の空間は、大気が流通する大気雰囲気であり、処理室204内と気密に隔離されており、処理ガスが侵入することがなく、また、均熱管221と反応管222の間の空間の大気が、処理室204内に侵入することのない構造となっている。ヒータユニット208と熱電対は、制御部280に電気的に接続されている。制御部280は、処理室204内の温度が所望のタイミングにて所望の温度分布となるように、前記熱電対により検出された温度情報に基づいてヒータユニット208への通電量を制御する。
【0034】
第1実施形態においては、図3に示すように、熱電対素線21と熱電対素線22の上端を、熱電対素線支持部24において支持するようにしている。図3は、本発明の第1実施形態における熱電対の支持状態を示す図である。熱電対素線支持部24は、熱電対素線21,22を通すために後述する絶縁管32に設けられた2つの貫通穴の間の壁部の上端32kである。また、熱膨張時においても熱電対素線の下部が拘束されない自由状態を保つようにしている。
これらの構成により、熱膨張時において、熱電対素線21と熱電対素線22が自重で直線状を保つことができ、部分的に屈曲することや拘束力を受けることを抑制でき、その結果、熱電対素線21,22と絶縁管32との間に大きな摩擦力が発生することを抑制できる。これらの構成については以下に詳しく説明する。
【0035】
図4は、本発明の第1実施形態における温度検出装置の構造を示す図である。図4(a)は、反応管と均熱管の間にある熱電対を、処理炉の中心から見た図である。図4(b)は、図4(a)の温度検出装置を側面から見た垂直断面図である。図5は、図4のA−A部における水平断面図である。
第1実施形態においては、図4(a)に示すように、熱電対の保護管は、保護管31a、保護管31b、保護管31cの3本存在する。各保護管は、その下端を保護管ホルダ36で支持されている。詳しくは、保護管ホルダ36は、基板処理装置10の筐体101に部品を介して固定され、保護管31を挿入固定して保護管31が鉛直方向に直立するよう保持している。
【0036】
また、各保護管31内には、プラス側の熱電対素線21とマイナス側の熱電対素線22を収容し該熱電対素線21,22を互いに絶縁するための絶縁管32が、1本ずつ挿入されている。図4(a)(b)に示すように、絶縁管32の下端は、絶縁管ストッパ33に挿入されて支持されている。絶縁管ストッパ33の下端は、保護管ホルダ36の底部により支持されている。
絶縁管32と絶縁管ストッパ33の材質は、例えばアルミナであり、プラス側の熱電対素線21とマイナス側の熱電対素線22の材質は、例えばそれぞれ、白金ロジウム合金と白金である。
【0037】
なお、保護管31a〜31cを保護管31と総称する。また、後述する熱電対素線21a〜21eを熱電対素線21、熱電対素線22a〜22eを熱電対素線22、熱電対接合部23a〜23eを熱電対接合部23、絶縁管32a〜32cを絶縁管32、絶縁管ストッパ33a〜33cを絶縁管ストッパ33、キャップ34a〜34cをキャップ34と総称する。
【0038】
第1実施形態においては、処理炉の5つのヒータゾーンに対し、それぞれ熱電対を配置している。第1熱電対は、処理炉の最上部のヒータ(Uゾーンヒータ)の温度検出用であり、第2熱電対は、Uゾーンヒータの直ぐ下のヒータ(CUゾーンヒータ)の温度検出用であり、第3熱電対は、CUゾーンヒータの直ぐ下のヒータ(Cゾーンヒータ)の温度検出用であり、第4熱電対は、Cゾーンヒータの直ぐ下のヒータ(CLゾーンヒータ)の温度検出用であり、第5熱電対は、処理炉の最下部のヒータ(Lゾーンヒータ)の温度検出用である。
【0039】
第1熱電対を構成する第1温度検出装置は、プラス側の熱電対素線21aとマイナス側の熱電対素線22a、熱電対素線21a,22aがそれらの先端部で接合された熱電対接合部23a、熱電対素線21a,22aを互いに絶縁するための絶縁管32a、絶縁管32aの上端を閉塞するキャップ34a、絶縁管ストッパ33a、保護管31a、保護管ホルダ36等から構成される。
第2熱電対を構成する第2温度検出装置は、プラス側の熱電対素線21bとマイナス側の熱電対素線22b、熱電対素線21b,22bがそれらの先端部で接合された熱電対接合部23b、熱電対素線21b,22bを互いに絶縁するための絶縁管32b、絶縁管32bの上端を閉塞するキャップ34b、絶縁管ストッパ33b、保護管31b、保護管ホルダ36等から構成される。
第3熱電対を構成する第3温度検出装置は、プラス側の熱電対素線21dとマイナス側の熱電対素線22d、熱電対素線21d,22dがそれらの先端部で接合された熱電対接合部23d、熱電対素線21d,22dを互いに絶縁するための絶縁管32a、絶縁管32aの上端を閉塞するキャップ34a、絶縁管ストッパ33a、保護管31a、保護管ホルダ36等から構成される。
第4熱電対を構成する第4温度検出装置は、プラス側の熱電対素線21eとマイナス側の熱電対素線22e、熱電対素線21e,22eがそれらの先端部で接合された熱電対接合部23e、熱電対素線21e,22eを互いに絶縁するための絶縁管32b、絶縁管32bの上端を閉塞するキャップ34b、絶縁管ストッパ33b、保護管31b、保護管ホルダ36等から構成される。
第5熱電対を構成する第5温度検出装置は、プラス側の熱電対素線21cとマイナス側の熱電対素線22c、熱電対素線21c,22cがそれらの先端部で接合された熱電対接合部23c、熱電対素線21c,22cを互いに絶縁するための絶縁管32c、絶縁管32cの上端を閉塞するキャップ34c、絶縁管ストッパ33c、保護管31c、保護管ホルダ36等から構成される。
【0040】
図4(a)で示すと、第1熱電対用の熱電対接合部23aは、絶縁管32aの先端のキャップ34aの位置に配置され、第2熱電対用の熱電対接合部23bは、絶縁管32bの先端のキャップ34bの位置に配置され、第3熱電対用の熱電対接合部23dは、絶縁管32aの中間の32amの位置に配置され、第4熱電対用の熱電対接合部23eは、絶縁管32bの中間の32bmの位置に配置され、第5熱電対用の熱電対接合部23cは、絶縁管32cの先端のキャップ34cの位置に配置されている。
【0041】
図4や図5に示すように、保護管31a内には絶縁管32aが挿入されている。保護管31b内には絶縁管32bが挿入されている。保護管31c内には絶縁管32cが挿入されている。保護管ホルダ36内において、絶縁管32aの下端は絶縁管ストッパ33aで支持され、絶縁管32bの下端は絶縁管ストッパ33bで支持され、絶縁管32cの下端は絶縁管ストッパ33cで支持されている。
【0042】
図5に示すように、絶縁管32aは、断面が円形で4つの穴が貫通しており、その4つの穴に、第1熱電対用の熱電対素線21a,22aと第3熱電対用の熱電対素線21d,22dが挿通し収容されるようになっている。
また、絶縁管32bは、断面が円形で4つの穴が貫通しており、その4つの穴に、第2熱電対用の熱電対素線21b,22bと第4熱電対用の熱電対素線21e,22eが挿通し収容されるようになっている。
また、絶縁管32cは、断面が円形で4つの穴が貫通しており、そのうち2つの穴に、第5熱電対用の熱電対素線21c,22cが挿通し収容されるようになっている。
【0043】
図4(a)のA−A断面図である図5に示すように、絶縁管32a内において、第3熱電対が前方(処理室204の中心側)にあり、第1熱電対が後方にある。また、絶縁管32b内において、第4熱電対が前方にあり、第2熱電対が後方にある。
【0044】
図4(b)は、保護管31aや保護管ホルダ36の側面図であり、第1熱電対及び第3熱電対の側面図でもある。図4(c)は、絶縁管32aの上端にある第1熱電対の熱電対接合部23a付近の垂直断面拡大図である。図4(d)は、絶縁管32aの上端と下端の中間にある第3熱電対の熱電対接合部23d付近の垂直断面拡大図である。
図4(c)に示すように、熱電対素線21aと熱電対素線22a(熱電対素線22aは不図示)は、絶縁管32aの内部を鉛直方向に延在しており、それらの上端には熱電対接合部23aが設けられている。熱電対接合部23aが設けられている部分の絶縁管32aは、絶縁管32aの外周部だけが残る円筒状になっており、熱電対接合部23aは、熱電対素線21a用の穴と熱電対素線22a用の穴との境界における絶縁管32aの壁部の上端(図3の32kに相当)により支持されている。
【0045】
また、図4(d)に示すように、熱電対素線21dと熱電対素線22d(熱電対素線22dは不図示)は、絶縁管32aの内部を鉛直方向に延在しており、それらの上端であって絶縁管32aの途中部分には熱電対接合部23dが設けられている。熱電対接合部23dが設けられている部分の絶縁管32aは、絶縁管32aの外周部の一部及び熱電対素線21d用の穴と熱電対素線22d用の穴との境界部が削除された形状になっており、熱電対接合部23dは、熱電対素線21d用の穴と熱電対素線22d用の穴との境界における絶縁管32aの壁部の上端(図3の32kに相当)により支持されている。前述の絶縁管32aの外周部の一部は、処理室204の中心側に向いた部分である。
【0046】
図4(b)に示すように、熱電対素線21aと熱電対素線22aの他端、及び熱電対素線21dと熱電対素線22dの他端は、中空構造の保護管ホルダ36内において、絶縁管32aの下端から鉛直方向に出て素線保持部35内を水平方向に挿通し、処理室204外の温度制御部(不図示)に接続されている。保護管ホルダ36内において、各熱電対素線は、800℃程度までの耐熱絶縁チューブ(例えば、セラミック繊維やガラス繊維などで編みこんだチューブ)で覆われており、互いに絶縁されている。
なお、図4(b)では、熱電対素線21dのみを示しているが、熱電対素線22d,21a,22aや、絶縁管32b内の熱電対素線21b,22b,21e,22eや、絶縁管32c内の熱電対素線21c,22cについても、熱電対素線21dと同様であるので、以下、熱電対素線21dについて説明する。
【0047】
熱電対素線21dは、絶縁管32aの下端から鉛直下方に出た後、水平方向に向きを変え、素線保持部35の一端35a(処理室204の中心側)から素線保持部35内に入っている。前記一端35aから保護管ホルダ36の底部までの寸法は、例えば約10〜15mmであり、熱膨張時に熱電対素線21dが保護管ホルダ36に拘束されないためのバッファエリア38が、保護管ホルダ36内に形成されている。熱電対素線21dが保護管ホルダ36に拘束されない状態とは、例えば、熱膨張時に熱電対素線21dが保護管ホルダ36の底部に接触しないか、接触したとしても熱電対素線21dに断線に至るような力が加わらないような状態である。
絶縁管ストッパ33は、絶縁管32の底部をバッファエリア38より高い位置、つまり、素線保持部35の一端35aより高い位置で支持する。これにより、バッファエリアを広くすることがより容易になる。
絶縁管ストッパ33aは、内部が鉛直方向に貫通されており、この貫通穴により絶縁管32a下端からの熱電対素線21dをバッファエリア38に導くようになっている。これにより、熱電対素線が鉛直方向に直線状を保つことが容易となり、絶縁管ストッパから受ける拘束力を抑制できる。
【0048】
このように、熱電対素線21dが入る素線保持部35の位置(35a)と熱電対素線21dが出る絶縁管32の下端の位置を、保護管ホルダ36の底部から約10mm以上とする、つまり、バッファエリア38より高い位置で支持することにより、熱膨張時に熱電対素線21dが保護管ホルダ36の底部に接触して断線に至るような力で拘束されることを抑制できる。
図4(b)では、バッファエリア38内において、熱処理前後の待機状態(500℃)における熱電対素線21dを実線で、熱処理中のプロセス状態(1200℃)における熱電対素線21dを破線で示している。
【0049】
また、熱電対素線21dは、素線保持部35内でセラミック系接着剤等により固定されている。これは、バッファエリア38内の熱電対素線21dが、処理室204外から引っ張られないようにするためである。
【0050】
以上説明したように、熱電対接合部23は絶縁管32の上端又は途中部分で支持され、絶縁管32は絶縁管ストッパ33で支持され、絶縁管ストッパ33は保護管ホルダ36で支持されている。つまり、熱電対素線21,22は、その上端を絶縁管32等により支持されている。また、熱電対素線21,22は、絶縁管32の下端から出た部分が、バッファエリア38内において保護管ホルダ36の底部等に拘束されない状態になっている。したがって、熱膨張時において、熱電対素線21,22が自重で直線状を保つことができ、部分的に屈曲することを抑制でき、その結果、熱電対素線21,22と絶縁管32との間に大きな摩擦力が発生することを抑制でき、熱電対素線21,22の断線を抑制できる。
また、絶縁管32の線膨張係数は、熱電対素線21,22の線膨張係数よりも小さいものを採用しており、熱膨張に伴う熱電対接合部23の位置、つまり温度測定位置の変化を従来よりも小さくすることができる。例えば、絶縁管32の線膨張係数は8.1×10−4/℃であり、熱電対素線21の線膨張係数は10.2×10−4/℃であり、熱電対素線22の線膨張係数は10.6×10−4/℃である。
【0051】
(ガス供給系)
ガス供給系について、図2を用いて説明する。図2に示すように、処理室204内に処理ガスを供給するガスノズル224が、反応管222の側壁に沿ってして設けられ、反応管222の上部にノズル開口部224aが設けられている。ガスノズル224には、処理ガス供給管225が接続されている。処理ガス供給管225には、処理ガス供給機構226が接続されている。処理ガス供給機構226は、上流から順に、処理ガスを供給する処理ガス供給源、流量制御装置としてのMFC(マスフローコントローラ)、及び開閉バルブを有する。主にガスノズル224、処理ガス供給管225、処理ガス供給機構226から処理ガス供給部が構成される。
処理ガス供給機構226のMFCや開閉バルブは、制御部280に電気的に接続されている。制御部280は、処理室204内に供給するガスの種類が所望のタイミングにて所望のガス種となるよう、また、供給するガスの流量が所望のタイミングにて所望の流量となるよう、MFC及び開閉バルブを制御する。
【0052】
(ガス排気系)
マニホールド206の側壁の一部には、処理室204内の雰囲気を排気する排気管231が接続されている。排気管231には、上流から順に、圧力検出器としての圧力センサ236、圧力調整器としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ232が設けられている。APCバルブ232の下流には、排気管233を介し、真空排気装置としての真空ポンプ234が接続されている。主に排気管231、APCバルブ232、真空ポンプ234から、反応管222内からガスを排気する排気部が構成される。
APCバルブ232および圧力センサ236は、制御部280に電気的に接続されている。制御部280は、処理室204内の圧力が所望のタイミングにて所望の圧力となるように、圧力センサ236により検出された圧力値に基づいてAPCバルブ232の開度を制御する。
【0053】
(コントローラ)
制御部280は、図示しない操作部や入出力部を備え、基板処理装置10の各構成部と電気的に接続されており、基板処理装置10の各構成部を制御する。制御部280は、成膜等のプロセスの制御シーケンスを時間軸で示したレシピに基づく温度制御や圧力制御、流量制御および機械駆動制御を指令する。
【0054】
(本実施形態に係る基板処理動作)
次に、本実施形態に係る基板処理動作を、ICの製造方法における成膜工程を例にして説明する。この基板処理動作は、コントローラ280により制御される。まず、ウェハチャージングステップにおいて、ウェハ200はボート217に装填される。複数枚のウェハ200は、ボート217におけるチャージング状態において、その中心を揃えられて互いに平行かつ水平、多段に積載され、整列されている。
次に、ボートローディングステップにおいて、複数枚のウェハ200を積載、保持したボート217は、処理室204に搬入(ボートローディング)される。続いて、減圧ステップにおいて、排気管231を介して真空ポンプ234により、反応管222の内部が所定の真空度に減圧されるとともに、昇温ステップにおいて、温度検出装置により測定した温度に基づき、ヒータユニット208により反応管222の内部が所定の温度に昇温される。
【0055】
次に、成膜ステップにおいて、ボート217が回転されつつ、所定の原料ガスが、ガスノズル224に供給され、処理室204に導入される。処理室204に導入された原料ガスは、反応管222内に流出して、マニホールド206に開設された排気管231から排気される。このようにして、ウェハ200の表面に接触しながら上下で隣合うウェハ200と10との間の空間を平行に流れて行く原料ガスによって、ウェハ200の表面が成膜される。
【0056】
以上のようにして所望の成膜処理がなされた後に、原料ガスの供給が停止され、不活性ガスにより、処理室204内が大気圧に復帰された後に、ボートアンローディングステップにおいて、シールキャップ219が下降されることによって処理室204の下端が開口され、ボート217に保持された状態で処理済みのウェハ200群が処理室204から外部に搬出(ボートアンローディング)される。
【0057】
第1実施形態によれば、少なくとも次の(1)〜(7)の効果を得ることができる。
(1)熱電対素線をその上部で支持し、熱電対素線の下方にバッファエリアを設けて、熱電対素線の下部を他の部材、例えば保護管ホルダの底部等で拘束されない状態としたので、熱電対素線が自重で直線状を保つことができ、部分的に屈曲することを抑制でき、熱電対素線の断線を抑制できる。
(2)熱電対素線を収容する絶縁管の下端の高さと、熱電対素線の一部を固定する素線保持部の高さを、保護管ホルダの底部から10mm以上の高さとしたので、熱電対素線の下方に十分なバッファエリアを容易に設けることができる。
(3)熱電対素線を収容する絶縁管の下端を、熱電対素線の一部を固定する素線保持部より高い位置で支持するようにしたので、バッファエリアを広くすることがより容易になる。
(4)絶縁管ストッパに鉛直方向の貫通穴を設け、該貫通穴に熱電対素線を通すようにしたので、熱電対素線が鉛直方向に直線状を保つことが容易となり、絶縁管ストッパから受ける拘束力を抑制できる。
(5)熱電対素線を素線保持部内で固定しているので、バッファエリア内の熱電対素線が処理室外から引張力を受けることを防止できる。
(6)熱電対素線を収容する絶縁管の下端を絶縁管ストッパで支持し、絶縁管ストッパの下端を保護管ホルダの底部で支持するようにしたので、熱電対素線を絶縁管に接着剤で接着しなくても済み、熱電対素線の上部を容易に支持することができる。
(7)絶縁管を、断面が円形で4つの穴が鉛直方向に貫通するよう構成し、その4つの穴に、複数の熱電対用の熱電対素線を収容しているので、保護管の直径を小さくすることができる。
【0058】
(第2実施形態)
第2実施形態の温度検出装置の構成について、図6ないし図8を用いて説明する。なお、温度検出装置以外の構成や基板処理動作は、第1実施形態と同じであるので説明を省略する。
本実施形態においては、図6に示すように、鉛直方向(上下方向)に延在する熱電対の熱電対素線支持部25、つまり熱電対素線の支持位置25を、鉛直方向における熱電対素線21,22の概ね中間位置に設けている。図6は、第2実施形態における熱電対の支持状態を示す図である。
この構成により熱膨張時において、支持位置25より下部では、熱電対素線21,22の自重によって、それ自身の直線性を高める効果が得られ、絶縁管との摩擦力増加を抑制することができ、経時変化に伴う素線変形による引掛りの発生を抑えることが可能となる。また、熱電対支持位置25より上部では、支持位置25から熱電対接合点23までの距離の短縮により、熱電対自身の自重が減少し、絶縁管との摩擦力が減少するので、同様に経時変化に伴う素線変形による引掛りの発生を抑えることが可能となる。これらの構成については以下に詳しく説明する。
【0059】
図7は、第2実施形態における温度検出装置の構造を示す図である。図7(a)は、反応管と均熱管の間にある熱電対を、処理炉の中心から見た図である。図7(b)は、図7(a)の温度検出装置を側面から見た垂直断面図である。
第2実施形態においては、図7(a)に示すように、熱電対の保護管は、保護管31a、保護管31bの2本存在する。各保護管は、その下端を保護管ホルダ36で支持されている。保護管ホルダ36の構造や保護管ホルダ36が保護管を支持する構造は、第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0060】
各保護管31内には、プラス側の熱電対素線21とマイナス側の熱電対素線22を収容し、該熱電対素線21,22を互いに絶縁するための絶縁管32が挿入されている。保護管31aには絶縁管32aが挿入され、保護管31bには絶縁管32bと絶縁管32cが挿入されている。
図7(a)(b)に示すように、絶縁管32aの下端は絶縁管ストッパ33aに挿入されて支持され、絶縁管32bと絶縁管32cの下端は絶縁管ストッパ33bに挿入されて支持されている。絶縁管ストッパ33a,33bの下端は、保護管ホルダ36の底部により支持されている。
絶縁管32、絶縁管ストッパ33、熱電対素線21,22の材質は、第1実施形態と同様である。
【0061】
なお、保護管31a〜31bを保護管31と総称する。また、後述する熱電対素線21a〜21cを熱電対素線21、熱電対素線22a〜22cを熱電対素線22、熱電対接合部23a〜23cを熱電対接合部23、絶縁管32a〜32cを絶縁管32、絶縁管ストッパ33a〜33bを絶縁管ストッパ33、キャップ34a〜34cをキャップ34と総称する。
【0062】
第2実施形態においては、処理炉の3つのヒータゾーンに対し、それぞれ熱電対を配置している。第1熱電対は、処理炉の最上部のヒータ(Uゾーンヒータ)の温度検出用であり、第2熱電対は、Uゾーンヒータの直ぐ下のヒータ(Cゾーンヒータ)の温度検出用であり、第3熱電対は、Cゾーンヒータの直ぐ下のヒータ(Lゾーンヒータ)の温度検出用である。
【0063】
第1熱電対を構成する第1温度検出装置は、プラス側の熱電対素線21aとマイナス側の熱電対素線22a、熱電対素線21a,22aがそれらの先端部で接合された熱電対接合部23a、熱電対素線21a,22aとを互いに絶縁するための絶縁管32a、絶縁管32aの上端を閉塞するキャップ34a、絶縁管ストッパ33a、保護管31a、保護管ホルダ36等から構成される。
第2熱電対を構成する第2温度検出装置は、プラス側の熱電対素線21bとマイナス側の熱電対素線22b、熱電対素線21b,22bがそれらの先端部で接合された熱電対接合部23b、熱電対素線21b,22bとを互いに絶縁するための絶縁管32b、絶縁管32bの上端を閉塞するキャップ34b、絶縁管ストッパ33b、保護管31b、保護管ホルダ36等から構成される。
第3熱電対を構成する第3温度検出装置は、プラス側の熱電対素線21cとマイナス側の熱電対素線22c、熱電対素線21c,22cがそれらの先端部で接合された熱電対接合部23c、熱電対素線21c,22cとを互いに絶縁するための絶縁管32c、絶縁管32cの上端を閉塞するキャップ34c、絶縁管ストッパ33b、保護管31b、保護管ホルダ36等から構成される。
【0064】
図7(a)で示すと、第1熱電対用の熱電対接合部23aは、絶縁管32aの先端のキャップ34aの位置に配置され、第2熱電対用の熱電対接合部23bは、絶縁管32bの先端のキャップ34bの位置に配置され、第3熱電対用の熱電対接合部23cは、絶縁管32cの先端のキャップ34cの位置に配置されている。
【0065】
図13に示す従来例の絶縁管と同様に、絶縁管32aは、断面が長円形で2つの穴が貫通しており、その2つの穴に、第1熱電対用の熱電対素線21a,22aが挿通し収容されるようになっている。
また、絶縁管32bも、絶縁管32aと同様の形状で、その2つの穴に、第2熱電対用の熱電対素線21b,22bが挿通し収容されるようになっている。
また、絶縁管32cも、絶縁管32aと同様の形状で、その2つの穴に、第3熱電対用の熱電対素線21c,22cが挿通し収容されるようになっている。
また、図7(a)に示すように、絶縁管32b内において、第3熱電対が前方(処理室204の中心側)にあり、第2熱電対が後方にある。
【0066】
図7(b)は、保護管31aや保護管ホルダ36の側面図であり、第1熱電対の側面図でもある。図7(c)は、絶縁管32aの上端と下端の中間位置(図7(b)の熱電対素線固定位置44の位置)の垂直断面拡大図である。図7(d)は、絶縁管32cの上端にある第3熱電対の熱電対接合部23c付近の垂直断面拡大図である。
図7(c)に示すように、熱電対素線21a,22aは、絶縁管32aの内部を鉛直方向に延在しており、それらの上端には熱電対接合部23aが設けられている。絶縁管32aの上端と下端の中間位置には、熱電対素線21aを絶縁管32aに固定して支持する固定部41と、熱電対素線22aを絶縁管32aに固定して支持する固定部42が設けられている。
【0067】
固定部41は、図に向かって右側面から絶縁管32aの一部を抉り(えぐり)取り、プラス線である熱電対素線21aのみを暴露したのち、セメント等の固定剤を抉った部分に注入し固定したものである。隙間無く固定剤を注入し埋め込むことによって、抉り取りで暴露された熱電対素線21aが絶縁管32aに接着固定され、あるいは、熱電対素線21aを通す貫通穴が狭くなることによる摩擦の増加で、熱電対素線21aは固定部41で意図的に固定されてこの部分で支持されるようになっている。
また、図7(c)に示すように、いったん暴露された熱電対素線21aを若干曲げ、曲げた状態で固定することによって、熱電対素線21aの固定をさらに強化することができる。
【0068】
固定部42は、マイナス線である熱電対素線22aに対して同様の処理を行った部分である。固定部41,42の大きさは、上下方向は例えば20〜30mmとし、抉りの深さは絶縁管32aの概ね中心部までとしており、熱電対素線21,22を固定支持するという目的を十分に達成するようにしている。固定部41と固定部42は、上下方向に、例えば50mm程度の距離をとっているが、これは、抉り取る加工をする時に絶縁管32aが折れないように配慮したものである。
【0069】
図7(a)において、固定部41や固定部42の位置を、絶縁管32aの中間部からやや先端部の熱電対接合部23a側にずらした位置にしているのは、支持位置から下方の熱電対素線は熱膨張方向と自重方向が同方向であるのに対し、支持位置から上方のそれは逆方向なので従来構成と同様な問題が発生するリスクを伴っているため、そのリスクを抑えるためである。
【0070】
また、図7(d)に示すように、熱電対素線21c,22cは、絶縁管32cの内部を鉛直方向に延在しており、それらの上端には熱電対接合部23cが設けられている。絶縁管32cの上端には、熱電対素線21c,22cを絶縁管32cに固定して支持する固定部43が設けられている。
【0071】
固定部43は、絶縁管32cの先端に対し、図に向かって奥行き方向にスリット状の抉り部分を設けたのち、セメント等の固定剤を注入し固定したものである。隙間無く固定剤を注入し埋め込むことによって、抉り部分でいったん暴露された熱電対素線21c,22cが絶縁管32cに接着固定され、あるいは、熱電対素線21c,22cを通す貫通穴が狭くなることによる摩擦の増加で、熱電対素線21c,22cは固定部43で意図的に固定されてこの部分で支持されるようになっている。
図7(d)に示すように、いったん暴露された熱電対素線21c,22cを若干曲げ、曲げた状態で固定することによって固定をさらに強化することができる。
固定部43の上下方向の大きさ及び深さは、いずれも例えば20〜30mmとしており、熱電対素線21c,22cを固定支持するという目的を十分に達成するようにしている。
【0072】
図7(b)に示すように、熱電対素線21a,22aの他端は、中空構造の保護管ホルダ36内において、絶縁管32aの下端から鉛直方向に出て素線保持部35内を水平方向に挿通し、処理室204外の温度制御部(不図示)に接続されている。
なお、図7(b)では、熱電対素線21aのみを示しているが、熱電対素線22a,21b,22b,21c,22cについても、熱電対素線21aと同様である。
【0073】
熱電対素線21aは、絶縁管32aの下端から鉛直下方に出た後、水平方向に向きを変え、素線保持部35の一端35aから素線保持部35内に入っている。前記一端35aから保護管ホルダ36の底部までの寸法は、第1実施形態と同様に、例えば約10〜15mmであり、熱膨張時に熱電対素線21dが保護管ホルダ36に拘束されないためのバッファエリア38が、保護管ホルダ36内に形成されている。
絶縁管ストッパ33は、第1実施形態と同様に、絶縁管32の底部をバッファエリア38より高い位置で支持するもので、内部が鉛直方向に貫通されており、この貫通穴により絶縁管32a下端からの熱電対素線21aをバッファエリア38に導くようになっている。
【0074】
このように、熱電対素線21aが入る素線保持部35の位置と絶縁管32の下端の位置を、バッファエリア38より高い位置で支持することにより、熱膨張時に熱電対素線21dが保護管ホルダ36の底部に接触して断線に至るような力で拘束されることを抑制できる。
図7(b)では、バッファエリア38内において、熱処理前後の待機状態(500℃)における熱電対素線21aを実線で、熱処理中のプロセス状態(1200℃)における熱電対素線21aを破線で示している。
また、熱電対素線21aは、第1実施形態と同様に、素線保持部35内で固定されている。
【0075】
図8は、第2実施形態における第1熱電対の膨張収縮状態を示す図であり、図8(a)は熱処理前後の待機状態(500℃)、図8(b)は熱処理中のプロセス状態(1200℃)である。図8(a)の待機状態から図8(b)の熱処理状態になると、熱電対素線21a,22aと絶縁管32aが熱膨張し、絶縁管32a上端から熱電対素線が飛出し、ΔLだけ長くなる。図8(b)の熱処理状態から図8(a)の待機状態になると、熱電対素線21a,22aが熱収縮し、ΔLだけ短くなって元の長さに戻る。
【0076】
第2実施形態では、絶縁管32aの中間位置25で熱電対素線21a,22aを支持するため、支持位置25から上方の熱電対接合部23aまでにおいては、熱膨張時は絶縁管32a上端からの熱電対素線21a,22aの飛出し量ΔLが発生するが、その量は従来構成と比較して小さいために熱膨張・熱収縮の繰り返しによる引掛りが発生する確率は小さくなる。また、支持位置25から下方のバッファエリアまでにおいては熱電対素線21a,22aの自重によってそれ自身の直線性を高める効果が得られ、絶縁管32aとの摩擦力増加を抑制することが可能となる。
【0077】
以上説明したように、熱電対接合部23aは、絶縁管32aの上端と下端の中間位置で支持され、絶縁管32aは、絶縁管ストッパ33aで支持され、絶縁管ストッパ33aは、保護管ホルダ36で支持されている。つまり、熱電対素線21a,22aは、その中間位置を絶縁管32a等により支持されている。また、熱電対素線21a,22aは、絶縁管32aの下端から出た部分が、バッファエリア38内において保護管ホルダ36の底部等に拘束されない状態になっている。
したがって、熱膨張時において、熱電対素線21a,22aの支持部の下部では、熱電対素線21a,22aが自重で直線状を保ち、部分的に屈曲することを抑制できる。熱電対素線21a,22aの支持部の上部では、絶縁管32a上端からの熱電対素線21a,22aの飛出し量ΔLが従来よりも小さくなる。その結果、熱電対素線21a,22aと絶縁管32aとの間に大きな摩擦力が発生することを抑制でき、熱電対素線21a,22aの断線を抑制できる。
また、絶縁管32aの線膨張係数は、熱電対素線21a,22aの線膨張係数よりも小さいものを採用しており、熱膨張に伴う熱電対接合部23aの位置、つまり温度測定位置の変化を従来よりも小さくすることができる。
【0078】
第2実施形態によれば、第1実施形態の(1)〜(7)の効果に加えて、少なくとも次の(8)〜(11)の効果を得ることができる。
(8)熱電対素線をその鉛直方向における中間位置で固定して支持し、熱電対素線の下方にバッファエリアを設けて、熱電対素線の下部を他の部材、例えば保護管ホルダの底部等で拘束されない状態としたので、前記中間位置の下部の熱電対素線が自重で直線状を保つことができ、部分的に屈曲することを抑制でき、熱電対素線の断線を抑制できる。また、前記中間位置の上部の熱電対素線が自重で屈曲することを、従来よりも抑制できる。
(9)熱電対素線を絶縁管の上部や中間位置で固定する際に、絶縁管の一部を抉り、その抉り部分にセメント等の接着剤を注入するようにしたので、熱電対素線を絶縁管に固定することが容易となる。
(10)熱電対素線を絶縁管の抉り部分で固定する際に、該抉り部分に露出した熱電対素線を曲げ、曲げた状態で接着剤を注入して固定するようにしたので、熱電対素線を絶縁管により確実に固定することができる。
(11)熱電対素線を絶縁管に固定する位置を、絶縁管の中間部から先端側にずらした位置にしているので、固定位置から上方の熱電対素線が屈曲することを、より抑制できる。
【0079】
(第3実施形態)
第3実施形態の温度検出装置の構成について、図9ないし図11を用いて説明する。
本実施形態においては、図9に示すように、鉛直方向(上下方向)に延在する熱電対の熱電対素線支持部26を、鉛直方向における熱電対素線21,22の上端に設け、該支持位置において、熱電対素線21,22の上端および熱電対接合部23を、セメント等の接着剤により絶縁管に固定して支持する。
この構成により熱膨張時において、熱電対素線21,22の自重によって、それ自身の直線性を高める効果が得られ、絶縁管との摩擦力増加を抑制することができ、経時変化に伴う素線変形による引掛りの発生を抑えることが可能となる。これらの構成については以下に詳しく説明する。
【0080】
第3実施形態の基板処理装置が第1実施形態と異なる点は、熱電対素線の支持方法のみである。すなわち、第1実施形態では、熱電対素線の上端を絶縁管の貫通穴の間の壁の上端で支持するようにしたが、第3実施形態では、熱電対素線の上端を絶縁管に接着剤で固定して支持する。それ以外の点は、温度検出装置以外の構成や基板処理動作も含め、第1実施形態と同じであるので、適宜説明を省略する。
【0081】
図10は、第3実施形態における温度検出装置の構造を示す図である。図10(a)は、反応管と均熱管の間にある熱電対を、処理炉の中心から見た図である。図10(b)は、図10(a)の温度検出装置を側面から見た垂直断面図である。図11は、図10(a)のA−A部における水平断面図である。なお、第3実施形態においても第1実施形態と同様に、熱電対の保護管は保護管31a〜31cの3本存在し、第1熱電対〜第5熱電対が存在するが、図10では、説明を簡明にするため保護管31aのみを示し、保護管31aに関連する事項について説明する。
【0082】
保護管31a内には、プラス側の熱電対素線21とマイナス側の熱電対素線22を収容し、該熱電対素線21,22を互いに絶縁するための絶縁管32aが挿入されている(図11参照)。
図10(a)(b)に示すように、保護管31aは、その下端を保護管ホルダ36で支持されている。絶縁管32aの下端は絶縁管ストッパ33aに挿入されて支持されている。絶縁管ストッパ33aの下端は、保護管ホルダ36の底部により支持されている。
【0083】
第3実施形態においても第1実施形態と同様に、処理炉の5つのヒータゾーンに対し、第1熱電対〜第5熱電対を配置している。保護管31a内には、第1実施形態と同様に、第1熱電対と第3熱電対を配置している。
第1熱電対を構成する第1温度検出装置は、プラス側の熱電対素線21aとマイナス側の熱電対素線22a、熱電対素線21a,22aがそれらの先端部で接合された熱電対接合部23a、熱電対素線21a,22aとを互いに絶縁するための絶縁管32a、絶縁管32aの上端を閉塞するキャップ34a、絶縁管ストッパ33a、保護管31a、保護管ホルダ36等から構成される。
第3熱電対を構成する第3温度検出装置は、プラス側の熱電対素線21dとマイナス側の熱電対素線22d、熱電対素線21d,22dがそれらの先端部で接合された熱電対接合部23d、熱電対素線21d,22dとを互いに絶縁するための絶縁管32a、絶縁管32aの上端を閉塞するキャップ34a、絶縁管ストッパ33a、保護管31a、保護管ホルダ36等から構成される。
【0084】
図10(a)で示すと、第1熱電対用の熱電対接合部23aは、絶縁管32aの先端のキャップ34aの位置に配置され、第3熱電対用の熱電対接合部23dは、絶縁管32aの中間位置に配置されている。
図10(a)のA−A断面図である図11に示すとおり、第1実施形態の絶縁管と同様に、絶縁管32aは、断面が円形で4つの穴が貫通しており、その4つの穴に、第1熱電対用の熱電対素線21a,22aと第3熱電対用の熱電対素線21d,22dが挿通し収容されるようになっている。絶縁管32a内において、第1熱電対が前方(処理室204の中心側)にあり、第3熱電対が後方にある。
【0085】
図10(b)は、保護管31aや保護管ホルダ36の側面図であり、第1熱電対及び第3熱電対の側面図でもある。図10(c)は、絶縁管32aの上端にある第1熱電対の熱電対接合部23a付近の垂直断面拡大図である。図10(c)は、図10(c)部分を拡大し該図の正面から見た図10(h)、図10(h)部分を上から見た図10(f)、図10(h)部分を左から見た図10(g)を含む。
【0086】
図10(c)に示すように、図に向かって奥行き方向にスリット状の抉り部51が設けられている。絶縁管32aの内部を鉛直方向に延在する熱電対素線21aと熱電対素線22aの上端には熱電対接合部23aが設けられ、抉り部51に配置されている。抉り部51にセメント等の固定剤が注入され、抉り部51において、熱電対素線21aと熱電対素線22aおよび熱電対接合部23aは、絶縁管32aに固定され支持される。隙間無く固定剤を注入し埋め込むことによって、抉り取りで暴露された熱電対素線21a,22aが絶縁管32aに接着固定され、あるいは、熱電対素線21a,22aを通す貫通穴が狭くなることによる摩擦の増加で、熱電対素線21a,22aは抉り部51で意図的に固定されてこの部分で支持される。
【0087】
図10(d)は、絶縁管32aの上端と下端の中間にある第3熱電対の熱電対接合部23d付近の垂直断面拡大図である。図10(d)は、図10(d)部分を拡大し図の正面から見た図10(m)、図10(m)部分を右から見た図10(n)を含む。
図10(d)に示すように、絶縁管32aの内部を鉛直方向に延在する熱電対素線21dと熱電対素線22dの上端には熱電対接合部23dが設けられている。熱電対接合部23dが設けられている部分の絶縁管32aは、絶縁管32aの外周部の一部を残して抉り取られている。該抉り部52において、熱電対素線21dと熱電対素線22dおよび熱電対接合部23dは、セメント等の接着剤により固定されて支持されている。
【0088】
抉り部51,52の大きさは、上下方向は例えば20〜30mmとし、抉り部52の抉りの深さは絶縁管32aの概ね中心部までとしており、熱電対素線21,22を固定支持するという目的を十分に達成するようにしている。
【0089】
図10(b)に示すように、熱電対素線21a,22aの他端は、中空構造の保護管ホルダ36内において、絶縁管32aの下端から鉛直方向に出て素線保持部35内を水平方向に挿通し、処理室204外の温度制御部(不図示)に接続されている。
熱電対素線21aは、絶縁管32aの下端から鉛直下方に出た後、水平方向に向きを変え、素線保持部35の一端35aから素線保持部35内に入っている。前記一端35aから保護管ホルダ36の底部までの寸法は、第1実施形態と同様に、例えば約10〜15mmであり、熱膨張時に熱電対素線21aが保護管ホルダ36に拘束されないためのバッファエリア38が、保護管ホルダ36内に形成されている。
絶縁管ストッパ33は、第1実施形態と同様に、絶縁管32の底部をバッファエリア38より高い位置で支持するもので、内部が鉛直方向に貫通されており、この貫通穴により絶縁管32a下端からの熱電対素線21aをバッファエリア38に導くようになっている。
【0090】
このように、熱電対素線21aが入る素線保持部35の位置と絶縁管32の下端の位置を、バッファエリア38より高い位置で支持することにより、熱膨張時に熱電対素線21aが保護管ホルダ36の底部に接触して断線に至るような力で拘束されることを抑制できる。
図10(b)では、バッファエリア38内において、熱処理前後の待機状態(500℃)における熱電対素線21aを実線で、熱処理中のプロセス状態(1200℃)における熱電対素線21aを破線で示している。
また、熱電対素線21aは、第1実施形態と同様に、素線保持部35内で固定されている。
【0091】
第3実施形態では、熱電対素線接合部23や熱電対素線21,22の上端が、絶縁管32で固定されて支持されるため、熱電対素線支持部26から下方のバッファエリアまでにおいては熱電対素線21,22の自重によってそれ自身の直線性を高める効果が得られ、絶縁管32aとの摩擦力増加を抑制することが可能となる。
【0092】
以上説明したように、熱電対接合部23は絶縁管32の上端又は途中部分で支持され、絶縁管32は絶縁管ストッパ33で支持され、絶縁管ストッパ33は保護管ホルダ36で支持されている。つまり、熱電対素線21,22は、その上端を絶縁管32に固定されて支持されている。また、熱電対素線21,22は、絶縁管32の下端から出た部分が、バッファエリア38内において保護管ホルダ36の底部等に拘束されない状態になっている。したがって、第1実施形態と同様の効果を得ることができ、熱電対素線21,22の断線を抑制できる。
【0093】
第3実施形態によれば、第1実施形態の(1)〜(7)の効果に加えて、少なくとも次の(12)の効果を得ることができる。
(12)熱電対素線を絶縁管の上部や中間位置で固定する際に、絶縁管の一部を抉り、その抉り部分にセメント等の接着剤を注入するようにしたので、熱電対素線を絶縁管に固定することが容易となる。
【0094】
(第4実施形態)
第4実施形態の温度検出装置の構成について、図18ないし図21を用いて説明する。
図18は、本発明の第4実施形態における熱電対の支持状態を示す図である。第4実施形態の温度検出装置が第3実施形態(図10)と異なるのは、熱電対素線の支持構造のみであり、他の構成は第3実施形態と同様である。第4実施形態においては、図18に示すように、熱電対接合部23の概ね直下において、熱電対素線21と熱電対素線22は外側に膨らむように曲げられて、熱電対素線21と熱電対素線22にそれぞれ、水平方向外側に膨らむ膨らみ部Aと膨らみ部Bとが形成される。膨らみ部Aと膨らみ部Bにより形成される素線幅は、熱電対素線21と熱電対素線22とが挿通されている2つの貫通穴により形成される穴幅よりも大きくなるように構成されている。
ここで、素線幅とは、熱電対接合部23で接合される2つの熱電対素線の膨らみ部Aと膨らみ部Bの外縁が、絶縁管32の上端よりも上方においてなす最大距離、つまり、絶縁管32の上端面と熱電対接合部23との間における2つの熱電対素線の外縁を水平方向に結ぶ直線のうち最も長い直線の距離である。穴幅とは、熱電対素線21と熱電対素線22とが挿通されている2つの貫通穴を含む楕円の長径であって、上記2つの貫通穴の外縁(図18の例では円周)を結ぶ直線のうち最も長い直線の距離、詳しくは、絶縁管32の上端において上記2つの貫通穴の水平断面がなす2つの円の円周を水平方向に結ぶ直線のうち最も長い直線の距離である。
【0095】
このように、熱電対接合部23の近傍において素線幅が穴幅よりも大きいので、熱電対素線21と熱電対素線22の外縁が、絶縁管32の上端において2つの貫通穴の円周部分に引っ掛かる、つまり、絶縁管32の上端面により支持される。
例えば前述の第1実施形態においては、素線幅が穴幅よりも大きくなるように構成されていないので、熱電対接合部23が絶縁管32により支持された状態において、熱電対素線21と熱電対素線22の重力により、熱電対接合部23に対し外側方向の力が発生する。このため、熱電対素線21と熱電対素線22とが接合している熱電対接合部23が損傷しないよう、熱電対接合部23の大きさを大きくする等、強度を上げる必要がある。
これに対し、第4実施形態では、素線幅が穴幅よりも大きい構成としたので、A熱電対素線21と熱電対素線22が絶縁管32の上端面により支持された状態において、熱電対素線21と熱電対素線22の重力は、絶縁管32の上端面で支持され、熱電対接合部23にかかる力を第1実施形態よりも低減することができる。
また、基板処理装置製作の際の熱電対の組み立て時において、誤って熱電対素線が下側に引っ張られることがあっても、熱電対接合部の損傷を抑制できる。また、基板処理装置運搬時において振動により、熱電対素線に対し下側に力がかかっても、熱電対接合部の損傷を抑制できる。
【0096】
上述したように、第4実施形態の基板処理装置が第3実施形態のそれと異なる点は、熱電対素線の支持構造のみであり、それ以外の点は、温度検出装置以外の構成や基板処理動作も含め、第3実施形態と同じであるので、適宜説明を省略する。
図19は、第4実施形態における温度検出装置の構造の一例を示す図である。図19(a)は、反応管と均熱管の間にある熱電対を、処理炉の中心から見た図である。図19(b)は、図19(a)の温度検出装置を側面から見た垂直断面図である。図20は、図19(a)のA−A部における水平断面図である。なお、第4実施形態においても第3実施形態と同様に、熱電対の保護管は保護管31a〜31cの3本存在し、第1熱電対〜第5熱電対が存在するが、図19では、説明を簡明にするため保護管31aのみを示し、保護管31aに関連する事項について説明する。
【0097】
保護管31a内には、プラス側の熱電対素線21とマイナス側の熱電対素線22を収容し、該熱電対素線21,22を互いに絶縁するための絶縁管32aが挿入されている(図20参照)。
図19(a)(b)に示すように、保護管31aは、その下端を保護管ホルダ36で支持されている。絶縁管32aの下端は絶縁管ストッパ33aに挿入されて支持されている。絶縁管ストッパ33aの下端は、保護管ホルダ36の底部により支持されている。
【0098】
第4実施形態においても第3実施形態と同様に、保護管31a内には、第1熱電対と第3熱電対を配置している。
第1熱電対を構成する第1温度検出装置は、プラス側の熱電対素線21aとマイナス側の熱電対素線22a、熱電対素線21a,22aがそれらの先端部で接合された熱電対接合部23a、熱電対素線21a,22aを互いに絶縁するための絶縁管32a、絶縁管32aの上端を閉塞するキャップ34a、熱電対接合部23d近傍において絶縁管32aの外周を覆うカバー37、絶縁管ストッパ33a、保護管31a、保護管ホルダ36等から構成される。
第3熱電対を構成する第3温度検出装置は、プラス側の熱電対素線21dとマイナス側の熱電対素線22d、熱電対素線21d,22dがそれらの先端部で接合された熱電対接合部23d、熱電対素線21d,22dを互いに絶縁するための絶縁管32a、絶縁管32aの上端を閉塞するキャップ34a、熱電対接合部23d近傍において絶縁管32aの外周を覆うカバー37、絶縁管ストッパ33a、保護管31a、保護管ホルダ36等から構成される。
【0099】
図19(a)で示すと、第1熱電対用の熱電対接合部23aは、絶縁管32aの先端のキャップ34aの位置に配置され、第3熱電対用の熱電対接合部23dは、絶縁管32aの中間位置のカバー37の位置に配置されている。
図19(a)のA−A断面図である図20に示すとおり、第3実施形態の絶縁管と同様に、絶縁管32aは、断面が円形で4つの穴が貫通しており、その4つの穴に、第1熱電対用の熱電対素線21a,22aと第3熱電対用の熱電対素線21d,22dが挿通し収容されるようになっている。絶縁管32a内において、第1熱電対が前方(処理室204の中心側)にあり、第3熱電対が後方にある。
【0100】
図19(b)は、保護管31aや保護管ホルダ36の側面図であり、第1熱電対及び第3熱電対の側面図でもある。図19(c)は、絶縁管32aの上端にある第1熱電対の熱電対接合部23a付近の垂直断面拡大図である。図19(d)は、図19(c)部分を上から見た図である。
図19(c)に示すように、絶縁管32aの内部を鉛直方向に延在する熱電対素線21aと熱電対素線22aの上端には熱電対接合部23aが設けられ、絶縁管32aの上端面と熱電対接合部23aとの間における2つの熱電対素線21aと熱電対素線22aは、それぞれ水平方向外側に膨らみ部を形成している。図18で説明したように、これらの膨らみ部により形成される素線幅は、熱電対素線21aと熱電対素線22aとが挿通されている2つの貫通穴により形成される穴幅よりも大きくなるように構成されている。したがって、熱電対素線21aと熱電対素線22aは、絶縁管32aの上端で支持される。
【0101】
図19(e)は、絶縁管32aの上端と下端の中間にある第3熱電対の熱電対接合部23d付近の垂直断面拡大図である。図19(f)は、図19(e)の側面図である。
図19(e)に示すように、絶縁管32aの内部を鉛直方向に延在する熱電対素線21dと熱電対素線22dの上端には熱電対接合部23dが設けられている。熱電対接合部23dが設けられている部分の絶縁管32aは、絶縁管32aの外周部の一部を残して抉り取られている。該抉り部52において、熱電対素線21dと熱電対素線22dは、それぞれ水平方向外側に膨らみ部を形成している。図18で説明したように、これらの膨らみ部により形成される素線幅は、熱電対素線21dと熱電対素線22dとが挿通されている2つの貫通穴により形成される穴幅よりも大きくなるように構成されている。したがって、熱電対素線21dと熱電対素線22dは、絶縁管32aの抉り部52の下端で支持される。
【0102】
抉り部52の大きさは、上下方向は例えば10〜30mmとし、抉り部52の抉りの深さは絶縁管32aの概ね中心部までとしており、熱電対素線21d,22dを支持するという目的を十分に達成するようにしている。
抉り部52の外側には、抉り部52内の熱電対接合部23dや熱電対素線21dや熱電対素線22dを保護するための円筒形のカバー37が、絶縁管32aの外周を囲み覆うように固定して設けられている。カバー37の材質は、キャップ34と同様に、例えばアルミナである。
なお、図19(b)に示すように、熱電対素線21,22の他端は、中空構造の保護管ホルダ36内にあるが、保護管ホルダ36内における構成や作用は、第3実施形態と同様である。
【0103】
第4実施形態の温度検出装置の他の構成例について、図21を用いて説明する。
図21は、第4実施形態における温度検出装置の他の構成例の構造を示す図である。図21(a)は、反応管と均熱管の間にある熱電対を、処理炉の中心から見た図である。図21(b)は、図21(a)の温度検出装置を側面から見た垂直断面図である。
この構成例は、第2実施形態の温度検出装置(図7)において、熱電対素線の支持構造のみを変更したものであり、他の構成は第2実施形態と同様である。
【0104】
本構成例においては、第2実施形態と同様、図21(a)に示すように、熱電対の保護管は、保護管31a、保護管31bの2本存在する。各保護管は、その下端を保護管ホルダ36で支持されている。保護管ホルダ36内の構造は、第2実施形態と同様であるので、説明を省略する。
各保護管31内には、プラス側の熱電対素線21とマイナス側の熱電対素線22を収容し、該熱電対素線21,22を互いに絶縁するための絶縁管32が挿入されている。保護管31aには絶縁管32aが挿入され、保護管31bには絶縁管32bと絶縁管32cが挿入されている。
【0105】
本構成例においては、第2実施形態と同様に、処理炉の3つのヒータゾーンに対し、それぞれ熱電対を配置している。第1熱電対は、処理炉の最上部のヒータ(Uゾーンヒータ)の温度検出用であり、第2熱電対は、Uゾーンヒータの直ぐ下のヒータ(Cゾーンヒータ)の温度検出用であり、第3熱電対は、Cゾーンヒータの直ぐ下のヒータ(Lゾーンヒータ)の温度検出用である。
各熱電対を構成する各温度検出装置の構成は、第2実施形態と同様であり、例えば、第1熱電対を構成する第1温度検出装置は、プラス側の熱電対素線21aとマイナス側の熱電対素線22a、熱電対素線21a,22aがそれらの先端部で接合された熱電対接合部23a、熱電対素線21a,22aを互いに絶縁するための絶縁管32a、絶縁管32aの上端を閉塞するキャップ34a、絶縁管ストッパ33a、保護管31a、保護管ホルダ36等から構成される。
【0106】
図21(a)で示すと、第1熱電対用の熱電対接合部23aは、絶縁管32aの先端のキャップ34aの位置に配置されている。
図13に示す従来例の絶縁管と同様に、絶縁管32aは、断面が長円形で2つの穴が貫通しており、その2つの穴に、第1熱電対用の熱電対素線21a,22aが挿通し収容されるようになっている。絶縁管32bや絶縁管32cも、絶縁管32aと同様の形状である。
【0107】
図21(c)は、絶縁管32aの上端にある第1熱電対の熱電対接合部23a付近の垂直断面拡大図である。
図21(c)に示すように、熱電対素線21a,22aは、絶縁管32aの内部を鉛直方向に延在しており、それらの上端には熱電対接合部23aが設けられている。熱電対接合部23aと絶縁管32aの上端面との間の熱電対素線21a,22aには、水平方向外側に膨らむ膨らみ部が設けられている。これらの膨らみ部により形成される素線幅は、熱電対素線21a,22aが挿通されている2つの貫通穴により形成される穴幅よりも大きくなるように構成されている。したがって、熱電対素線21a,22aを絶縁管32aの上端で支持することができ、熱電対接合部23aにかかる力を低減できる。
【0108】
第4実施形態によれば、第1実施形態の(1)〜(7)の効果に加えて、少なくとも次の(13)の効果を得ることができる。
(13)熱電対接合部と絶縁管の上端面との間の熱電対素線に水平方向外側に膨らむ膨らみ部を形成し、これらの膨らみ部により形成される素線幅は、熱電対素線21と熱電対素線22とが挿通されている2つの貫通穴により形成される穴幅よりも大きくなるように構成したので、熱電対素線を絶縁管の上端で支持することができ、熱電対接合部にかかる力を低減できる。
【0109】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能であることはいうまでもない。
上述した第1実施形態では、熱電対素線の上端を絶縁管の貫通穴の間の壁の上端で支持するようにしたが、第3実施形態のように、熱電対素線の上端を絶縁管に接着剤で固定して支持するようにしてもよい。
また、上述した第1実施形態や第3実施形態では絶縁管の貫通穴を4つとし、第2実施形態では絶縁管の貫通穴を2つとしたが、他の数とすることもできる。例えば、絶縁管の貫通穴を1つとし、プラス側の熱電対素線又はマイナス側の熱電対素線を通すこともできる。この場合は、1つの熱電対にプラス線用とマイナス線用の2つの絶縁管が必要となる。
【0110】
また、上述した第4実施形態では、熱電対素線の膨らみ部を緩やかに曲げるように形成したが、これに限られず、例えば、直角に曲げて形成することも可能である。
また、上述した第4実施形態では、熱電対素線に膨らみ部を形成し、この膨らみ部により熱電対素線を絶縁管の上端で支持するようにしたが、熱電対接合部と絶縁管の上端面との間の熱電対素線に、熱電対素線21と熱電対素線22とが挿通されている2つの貫通穴により形成される穴幅よりも水平方向に長い被支持体を設けるよう構成することも可能である。この被支持体は、例えばアルミナ製の棒状物体を、熱電対素線21と熱電対素線22に接着剤で接着することにより構成できる。このようにしても、熱電対素線に膨らみ部を形成した構成と同様に、熱電対接合部にかかる力を低減できる。
また、熱電対素線に膨らみ部を形成するのではなく、2つの貫通穴の外縁を結ぶ最小長よりも、2つの熱電対素線間の間隔を小さくすることにより、熱電対素線を絶縁管の上端面で支持することも可能である。
また、2つの熱電対素線を捩じるあるいは撚ることにより、熱電対素線を絶縁管の上端面で支持することも可能である。この場合、2つの熱電対素線が電気的にショートしないよう、2つの熱電対素線間を絶縁する。
【0111】
また、上述した実施形態では、処理がウェハに施される場合について説明したが、処理対象はウェハ以外の基板であってもよく、ホトマスクやプリント配線基板、液晶パネル、コンパクトディスクあるいは磁気ディスク等であってもよい。
また、上述した実施形態では、反応管と均熱管を用いるバッチ式縦形ホットウオール形装置に適用した場合について説明したが、それに限定されるものではなく、均熱管を用いない基板処理装置にも適用することができる。
また、本発明は、半導体製造装置だけでなく、LCD製造装置のようなガラス基板を処理する装置や、他の基板処理装置にも適用できる。基板処理の処理内容は、CVD、PVD、酸化膜、窒化膜、金属含有膜等を形成する成膜処理だけでなく、露光処理、リソグラフィ、塗布処理等であってもよい。
【0112】
本明細書には、少なくとも次の発明が含まれる。すなわち、
第1の発明は、
鉛直方向に延在するように設置され、鉛直方向の貫通穴を有する絶縁管と、
上端に熱電対接合部を有する熱電対素線であって、前記絶縁管の貫通穴に挿通され、前記絶縁管の下端から出た鉛直方向の部分が水平方向に向きを変える熱電対素線と、
前記絶縁管の下方に設けられた空間であって、前記絶縁管の下端から出た熱電対素線の熱膨張が拘束されることを抑制するバッファエリアとを有し、
前記熱電対素線の上部又は鉛直方向における中間部を前記絶縁管に支持された温度検出装置。
【0113】
第2の発明は、第1の発明であって、
さらに、前記絶縁管の下端から出て水平方向に向きを変えた熱電対素線の一部を固定する素線保持部を有する温度検出装置。
【0114】
第3の発明は、第2の発明であって、
さらに、前記絶縁管を収容する保護管と、該保護管の下部を支持する保護管ホルダを有し、
前記絶縁管の下端は、前記保護管の下端開口から前記保護管ホルダ内に露出しており、
前記保護管ホルダ内の前記絶縁管の下端の高さと、前記素線保持部の高さが、前記保護管ホルダの底部よりも10mm以上高い温度検出装置。
【0115】
第4の発明は、第1の発明ないし第3の発明であって、
さらに、前記絶縁管の下端を支持する絶縁管ストッパを有し、
前記絶縁管ストッパに設けられた鉛直方向の貫通穴に熱電対素線を通すようにした温度検出装置。
【0116】
第5の発明は、第2の発明ないし第4の発明であって、
前記絶縁管の下端の高さが、前記素線保持部の高さよりも高い温度検出装置。
【0117】
第6の発明は、第4の発明又は第5の発明であって、
前記絶縁管の下端を前記絶縁管ストッパで支持し、前記絶縁管ストッパの下端を前記護管ホルダの底部で支持するようにした温度検出装置。
【0118】
第7の発明は、第1の発明ないし第6の発明であって、
前記絶縁管には前記鉛直方向の貫通穴が4つ存在しており、1つの絶縁管に2組の熱電対素線を通すようにした温度検出装置。
【0119】
第8の発明は、第1の発明ないし第7の発明であって、
前記絶縁管の一部を抉り、その抉り部分に接着剤を注入して、前記熱電対素線を前記絶縁管に固定した温度検出装置。
【0120】
第9の発明は、第8の発明であって、
前記抉り部分に露出した熱電対素線を曲げた状態で接着剤を注入して固定した温度検出装置。
【0121】
第10の発明は、第8の発明又は第9の発明であって、
前記熱電対素線を前記絶縁管に固定する位置を、前記絶縁管の中間部から先端側にずらした位置にした温度検出装置。
【0122】
第11の発明は、
複数枚の基板を鉛直方向に夫々が間隔を成すように積層して保持するボートと、
前記ボートを収容し、該ボート上に保持された前記基板を処理する反応管と、
前記反応管の周囲に設置され、前記処理室内に収容された前記基板を加熱する加熱部と、
前記反応管内の温度検出を行うための温度検出装置と、
前記反応管内へ処理ガスを供給する処理ガス供給部と、
前記反応管内からガスを排気する排気部とを備える基板処理装置であって、
前記温度検出装置は、
鉛直方向に延在するように設置され、鉛直方向の貫通穴を有する絶縁管と、
上端に熱電対接合部を有する熱電対素線であって、前記絶縁管の貫通穴に挿通され、前記絶縁管の下端から出た鉛直方向の部分が水平方向に向きを変える熱電対素線と、
前記絶縁管の下方に設けられた空間であって、前記絶縁管の下端から出た熱電対素線の熱膨張が拘束されることを抑制するバッファエリアと、を有し
前記熱電対素線の上部又は鉛直方向における中間部を前記絶縁管に支持されたものである基板処理装置。
【0123】
第12の発明は、
鉛直方向に延在するように設置され、鉛直方向の貫通穴を有する絶縁管と、
上端に熱電対接合部を有する熱電対素線であって、前記絶縁管の貫通穴に挿通され、前記絶縁管の下端から出た鉛直方向の部分が水平方向に向きを変える熱電対素線と、
前記絶縁管の下方に設けられた空間であって、前記絶縁管の下端から出た熱電対素線の熱膨張が拘束されることを抑制するバッファエリアとを有し、
前記絶縁管の上端面と前記熱電対接合部との間の熱電対素線に、前記絶縁管の上端面に支持される被支持部を設けた温度検出装置。
この第12の発明に対して、上述の第2の発明ないし第11の発明の構成を適用することも可能である。
【0124】
第13の発明は、第12の発明であって、
前記被支持部は、前記絶縁管の上端面と前記熱電対接合部との間の熱電対素線を、水平方向外側に膨らませた膨らみ部である温度検出装置。
【0125】
第14の発明は、第13の発明であって、
前記膨らみ部の水平方向の長さは、前記絶縁管の上端面における前記絶縁管の2つの貫通穴の外縁を結ぶ最大長である穴幅よりも長い温度検出装置。
【0126】
第15の発明は、
複数枚の基板を鉛直方向に夫々が間隔を成すように積層して保持するボートと、
前記ボートを収容し、該ボート上に保持された前記基板を処理する反応管と、
前記反応管の周囲に設置され、前記処理室内に収容された前記基板を加熱する加熱部と、
前記反応管内の温度検出を行うための温度検出装置と、
前記反応管内へ処理ガスを供給する処理ガス供給部と、
前記反応管内からガスを排気する排気部とを備える基板処理装置であって、
前記温度検出装置は、
鉛直方向に延在するように設置され、鉛直方向の貫通穴を有する絶縁管と、
上端に熱電対接合部を有する熱電対素線であって、前記絶縁管の貫通穴に挿通され、前記絶縁管の下端から出た鉛直方向の部分が水平方向に向きを変える熱電対素線と、
前記絶縁管の下方に設けられた空間であって、前記絶縁管の下端から出た熱電対素線の熱膨張が拘束されることを抑制するバッファエリアと、を有し
前記絶縁管の上端面と前記熱電対接合部との間の熱電対素線に、前記絶縁管の上端面に支持される被支持部を設けたものである基板処理装置。
【0127】
第16の発明は、
複数枚の基板を鉛直方向に夫々が間隔を成すように積層して保持するボートと、
前記ボートを収容し、該ボート上に保持された前記基板を処理する反応管と、
前記反応管の周囲に設置され、前記処理室内に収容された前記基板を加熱する加熱部と、
前記反応管内の温度検出を行うための温度検出装置と、
前記反応管内へ処理ガスを供給する処理ガス供給部と、
前記反応管内からガスを排気する排気部とを備え、
前記温度検出装置は、
鉛直方向に延在するように設置され、鉛直方向の貫通穴を有する絶縁管と、
上端に熱電対接合部を有する熱電対素線であって、前記絶縁管の貫通穴に挿通され、前記絶縁管の下端から出た鉛直方向の部分が水平方向に向きを変える熱電対素線と、
前記絶縁管の下方に設けられた空間であって、前記絶縁管の下端から出た熱電対素線の熱膨張が拘束されることを抑制するバッファエリアと、を有し
前記前記絶縁管の上端面と前記熱電対接合部との間の熱電対素線に、前記絶縁管の上端面に支持される被支持部を設けたものである基板処理装置における半導体装置の製造方法であって、
複数枚の基板を保持した前記ボートを前記反応管に収容する工程と、
前記温度検出装置により前記反応管内の温度検出を行いつつ、前記反応管内を前記加熱部により所定の温度に加熱する工程と、
前記処理ガス供給部により前記反応管内へ処理ガスを供給しつつ、前記排気部により前記反応管内からガスを排気して、前記ボート上に保持した複数枚の基板を処理する工程と、
前記処理された複数枚の基板を保持したボートを前記反応管から搬出する工程と、
を備える半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0128】
10…基板処理装置、21…熱電対素線、22…熱電対素線、23…熱電対接合部、24…熱電対素線支持部、25…熱電対素線支持部、26…熱電対素線支持部、31…保護管、32…絶縁管、33…絶縁管ストッパ、34…キャップ、35…素線保持部、36…保護管ホルダ、37…カバー、38…バッファエリア、41…固定部、42…固定部、43…固定部、44…熱電対素線固定位置、100…カセット、101…筐体、105…カセットステージ、112…ウェハ移載機構、114…カセット棚、115…カセット搬送装置、116…炉口シャッタ、121…ボートエレベータ、123…移載棚、200…ウェハ(基板)、202…処理炉、204…処理室、205…炉口、206…マニホールド、208…ヒータユニット、209…ベース、210…保温筒、217…ボート、219…シールキャップ、221…均熱管、222…反応管、224…処理ガス供給ノズル、224a…ノズル開口部、225…処理ガス供給管、226…処理ガス供給機構、231…ガス排気管、232…APCバルブ、233…ガス排気管、234…真空ポンプ、236圧力センサ、237ボート回転機構、280…コントローラ、411…素線変形部、412…断線部、421…熱電対素線、422…熱電対素線、423…熱電接合部、424…熱電対素線支持部、431…保護管、432…絶縁管、433…絶縁管、434…キャップ、435…素線保持部、436…保護管ホルダ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に延在するように設置され、鉛直方向の貫通穴を有する絶縁管と、
上端に熱電対接合部を有する熱電対素線であって、前記絶縁管の貫通穴に挿通され、前記絶縁管の下端から出た鉛直方向の部分が水平方向に向きを変える熱電対素線と、
前記絶縁管の下方に設けられた空間であって、前記絶縁管の下端から出た熱電対素線の熱膨張が拘束されることを抑制するバッファエリアとを有し、
前記絶縁管の上端面と前記熱電対接合部との間の熱電対素線に、前記絶縁管の上端面に支持される被支持部を設けた温度検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載された温度検出装置であって、
さらに、前記絶縁管の下端を支持する絶縁管ストッパを有し、
前記絶縁管ストッパに設けられた鉛直方向の貫通穴に熱電対素線を通すようにした温度検出装置。
【請求項3】
複数枚の基板を鉛直方向に夫々が間隔を成すように積層して保持するボートと、
前記ボートを収容し、該ボート上に保持された前記基板を処理する反応管と、
前記反応管の周囲に設置され、前記処理室内に収容された前記基板を加熱する加熱部と、
前記反応管内の温度検出を行うための温度検出装置と、
前記反応管内へ処理ガスを供給する処理ガス供給部と、
前記反応管内からガスを排気する排気部とを備える基板処理装置であって、
前記温度検出装置は、
鉛直方向に延在するように設置され、鉛直方向の貫通穴を有する絶縁管と、
上端に熱電対接合部を有する熱電対素線であって、前記絶縁管の貫通穴に挿通され、前記絶縁管の下端から出た鉛直方向の部分が水平方向に向きを変える熱電対素線と、
前記絶縁管の下方に設けられた空間であって、前記絶縁管の下端から出た熱電対素線の熱膨張が拘束されることを抑制するバッファエリアと、を有し
前記絶縁管の上端面と前記熱電対接合部との間の熱電対素線に、前記絶縁管の上端面に支持される被支持部を設けたものである基板処理装置。
【請求項4】
複数枚の基板を鉛直方向に夫々が間隔を成すように積層して保持するボートと、
前記ボートを収容し、該ボート上に保持された前記基板を処理する反応管と、
前記反応管の周囲に設置され、前記処理室内に収容された前記基板を加熱する加熱部と、
前記反応管内の温度検出を行うための温度検出装置と、
前記反応管内へ処理ガスを供給する処理ガス供給部と、
前記反応管内からガスを排気する排気部とを備え、
前記温度検出装置は、
鉛直方向に延在するように設置され、鉛直方向の貫通穴を有する絶縁管と、
上端に熱電対接合部を有する熱電対素線であって、前記絶縁管の貫通穴に挿通され、前記絶縁管の下端から出た鉛直方向の部分が水平方向に向きを変える熱電対素線と、
前記絶縁管の下方に設けられた空間であって、前記絶縁管の下端から出た熱電対素線の熱膨張が拘束されることを抑制するバッファエリアと、を有し
前記前記絶縁管の上端面と前記熱電対接合部との間の熱電対素線に、前記絶縁管の上端面に支持される被支持部を設けたものである基板処理装置における半導体装置の製造方法であって、
複数枚の基板を保持した前記ボートを前記反応管に収容する工程と、
前記温度検出装置により前記反応管内の温度検出を行いつつ、前記反応管内を前記加熱部により所定の温度に加熱する工程と、
前記処理ガス供給部により前記反応管内へ処理ガスを供給しつつ、前記排気部により前記反応管内からガスを排気して、前記ボート上に保持した複数枚の基板を処理する工程と、
前記処理された複数枚の基板を保持したボートを前記反応管から搬出する工程と、
を備える半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−36977(P2013−36977A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−93663(P2012−93663)
【出願日】平成24年4月17日(2012.4.17)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】