説明

温度検出装置及び温度検出装置を備えた画像形成装置

【課題】赤外線センサの汚れを防止でき、且つ、赤外線センサの汚れを防止する部材の汚れの程度を検知できる、温度検出装置を提供する。
【解決手段】被測定体32に対して非接触に配置された、赤外線センサ37と、赤外線センサ37を被測定体32から遮るように、両者間に配置され、被測定体32から放射される赤外線が透過する、赤外線透過フィルタ36と、被測定体32と赤外線透過フィルタ36との間の距離Xを変更する、距離変更手段38と、を備えた温度検出装置35であって、赤外線センサ37は、距離変更手段38によって距離Xが変更された場合でも、赤外線透過フィルタ36を透過した赤外線を検出して、被測定体32の温度を検出するように設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度検出装置及び該温度検出装置を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置の定着装置では、定着ローラの温度検出に赤外線センサが使用されているが、赤外線センサは、画像形成装置内の紙粉やトナー等によって汚れることにより、赤外線センサによる検出温度に誤差が生じるということがあった。そこで、その解決手段として、赤外線センサの汚れの程度を検知する手段が提案されている。例えば、特許文献1では、定着ローラの温度検出のための赤外線センサに温度補償を行うサーミスタを設け、その出力変化から赤外線センサの汚れを検知する手段が開示されている。また、特許文献2では、定着装置の加熱ローラにおいて、基準となる予め定められた加熱ローラの昇温速度と、赤外線センサで検出した加熱ローラの昇温速度とを比較して、赤外線センサの汚れを検知する手段が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−34109号公報
【特許文献2】特開2006−47411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記手段は、赤外線センサが汚れることを前提として、その汚れの程度を検知するようになっている。従って、本発明の目的は、赤外線センサの汚れを防止でき、且つ、赤外線センサの汚れを防止する部材の汚れの程度を検知できる、温度検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の第1発明は、温度検出装置であって、被測定体に対して非接触に配置された、赤外線センサと、前記赤外線センサを前記被測定体から遮るように、両者間に配置され、前記被測定体から放射される赤外線が透過する、赤外線透過フィルタと、前記被測定体と前記赤外線透過フィルタとの間の距離を変更する、距離変更手段と、を備えており、前記赤外線センサは、前記距離変更手段によって前記距離が変更された場合でも、前記赤外線透過フィルタを透過した赤外線を検出して、前記被測定体の温度を検出するように設けられていることを特徴とする。
【0006】
前記構成によれば、赤外線透過フィルタによって、赤外線センサの汚れを防止するので、簡単な構成で赤外線センサの汚れを防止できる。更に、距離変更手段によって、赤外線透過フィルタと被測定体との距離を変更された場合でも、赤外線センサは、被測定体の温度を検出できる。すなわち、赤外線透過フィルタと被測定体との距離の変更前後における検出温度が得られる。そして、この検出温度の変化から、赤外線透過フィルタの汚れの程度を検知できる。
【0007】
本願の第1発明は、更に、次のような構成を備えるのが好ましい。
(1)前記赤外線透過フィルタの汚れの程度を検知する検知手段を、更に備えており、
前記検知手段は、前記距離の変更に伴う前記被測定体の検出温度の変化を求めることによって、前記赤外線透過フィルタの汚れの程度を検知するようになっている。
(2)前記距離変更手段が、前記距離を、第1距離から、第1距離より大きい第2距離に変更するようになっており、前記赤外線センサが、前記第1距離における前記被測定体の第1温度を検出するとともに、前記第2距離における前記被測定体の第2温度を検出するようになっている。
(3)前記構成(1)において、前記距離変更手段が、前記距離を、第1距離から、第1距離より大きい第2距離に変更するようになっており、前記赤外線センサが、前記第1距離における前記被測定体の第1温度を検出するとともに、前記第2距離における前記被測定体の第2温度を検出するようになっており、前記検知手段が、前記第1温度と前記第2温度との差が大きいほど、前記汚れの程度が大きいことを示すようになっている。
【0008】
前記構成(1)によれば、検知手段が、被測定体と赤外線透過フィルタとの間の距離を変更したときの、赤外線センサによる被測定体の検出温度の変化から、赤外線透過フィルタの汚れの程度を検知するので、簡単な構成で、赤外線透過フィルタの汚れの程度を検知できる。
【0009】
前記構成(2)、(3)によれば、被測定体と赤外線透過フィルタとの間の距離を1度変更しただけで、赤外線透過フィルタの汚れの程度を検知できるので、より簡単に、赤外線透過フィルタの汚れの程度を検知できる。
【0010】
本願の第2発明は、本願の第1発明の温度検出装置を備えた定着装置を有する画像形成装置である。
【0011】
前記構成によれば、赤外線透過フィルタによって、定着装置の温度を検出する赤外線センサの汚れを防止できる。更に、赤外線透過フィルタと定着装置との距離を変更することによる、定着装置の検出温度の変化から、簡単に、赤外線透過フィルタの汚れを検知できる。
【発明の効果】
【0012】
要するに本発明によると、簡単な構成で、赤外線センサの汚れを防止でき、且つ、赤外線センサの汚れを防止する赤外線透過フィルタの汚れ検知ができる、温度検出装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る温度検出装置を備えた画像形成装置10の概略断面図である。
【図2】加熱ローラ31と加圧ローラ32とが圧接状態にある、画像形成装置の定着装置の概略図である。
【図3】加熱ローラ31と加圧ローラ32とが離間状態にある、画像形成装置の定着装置の概略図である。
【図4】赤外線透過フィルタ汚れ状態と検出温度との関係を示す図である。
【図5】本発明の別の実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明に係る温度検出装置を備えた、画像形成装置、より具体的にはカラープリンタ、の概略構成を示す断面図である。以下では、この画像形成装置を例として説明するが、本発明が適用されるのは、画像形成装置に限定されるものではない。
【0015】
画像形成装置10は、主要な構成として、画像形成ユニット1と、画像形成ユニット1によって形成されたトナー像が転写される中間転写ベルト11と、中間転写ベルト11上のトナー像を紙などの記録シート14に転写する2次転写手段13と、記録シート14に転写されたトナー像を定着させる定着装置30と、画像形成装置10全体を制御する制御装置18と、を有している。
【0016】
画像形成装置10(カラープリンタの場合)では、ブラック(Bk)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)のトナー像を形成する各色の画像形成ユニット1が、大きな矢印で示す方向に循環する中間転写ベルト11に沿って、上流からBk→Y→M→Cの順に配置されている。画像形成ユニット1の感光体ドラム2上に現像されたトナー画像は、中間転写ベルト11との接触位置で、1次転写手段12によって、中間転写ベルト11上に転写される。中間転写ベルト11上に転写されたトナー画像については、中間転写ベルト11が各画像形成ユニット1を通過するごとに、各色のトナー画像が、中間転写ベルト11上に重ねられて、最終的に、フルカラーのトナー画像が、中間転写ベルト11上に形成される。その後、更に下流において、いわゆる2次転写手段13によって、中間転写ベルト11上のフルカラーのトナー画像が、紙などの記録シート14に一括して転写される。そして、記録シート14が上方の定着装置30を通過することによって、記録シート14上にトナー画像が定着され、その後、記録シート14は、排紙トレー16上に排紙される。記録シート14は最下部の記録シートカセット17に納められており、そこから1枚ずつ2次転写手段13にまで搬送される。2次転写後に中間転写ベルト11上に残留したトナーは、クリーニングブレード15によって、中間転写ベルト11上から除去され、搬送スクリュー(図示せず)で搬送され、廃トナー容器(図示せず)に回収される。
【0017】
画像形成ユニット1のトナー像形成について、以下に詳細に説明する。画像形成ユニット1は、感光体ドラム2と、帯電手段3と、現像手段4と、クリーニング手段5と、露光手段9と、1次転写手段12と、を有している。
【0018】
まず、帯電手段3が、感光体ドラム2を帯電させる。次に、制御装置18が、露光制御部19に、作成する画像に応じた信号を送信する。露光制御部19は、各色の画像形成ユニット1の露光手段9を駆動させる。そして、露光手段9が、帯電した感光体ドラム2に画像露光を行い、静電潜像を形成する。次に、現像手段4が、感光体ドラム2に形成された静電潜像に、トナーによって現像を行う。そして、感光体ドラム2に、現像されたトナー像が形成される。現像されたトナー像は、1次転写手段12によって、中間転写ベルト11に1次転写される。1次転写後、感光体ドラム2に残留したトナーは下流に配置されたクリーニング手段5によって除去され、クリーニング手段5の下側から回収される。
【0019】
本発明に係る温度検出装置は、例えば、画像形成装置10の定着装置30の温度検出のために設けられる。定着装置30の概略図を図2に示す。
【0020】
定着装置30は、加熱ローラ31と、加圧ローラ32と、加熱ローラ31を加熱する加熱ヒータ33と、加圧ローラ32を加熱する加圧ヒータ34と、温度検出装置35と、を有している。
【0021】
加熱ローラ31として、例えば、外径が略25mm、長手方向長さが略330mmであり、厚さ略0.8mmの鉄中空芯金と、芯金の表面に厚さ略0.2mmのシリコンゴムを設け、さらにその表面に、厚さ略30μmのPTFEチューブを設けたものを用いることができる。
【0022】
加圧ローラ32として、例えば、外径が略30mmであり、厚さ略2.5mmの鉄中空芯金と、芯金の表面に厚さ略2.5mmのゴムを設け、さらにその表面に、厚さ略30μmのPFAを設けたものを用いることができる。
【0023】
加熱ヒータ33として、例えば、1180Wのハロゲンランプヒータを有し、その発光長が、略290mmのものを用いることができる。加圧ヒータ34として、例えば、230Wのハロゲンランプヒータを有し、その発光長が、略290mmのものを用いることができる。
【0024】
温度検出装置35は、赤外線透過フィルタ36と、赤外線センサ37と、を有している。図2に示すように、赤外線透過フィルタ36は、赤外線センサ37を加圧ローラ32から遮るように配置されている。加圧ローラ32から放出された赤外線は、赤外線透過フィルタ36を通過し、赤外線センサ37は、赤外線透過フィルタ36を通過した赤外線を検知することによって、加圧ローラ32の温度を検出するようになっている。
【0025】
温度検出装置35は更に、加圧ローラ32と赤外線透過フィルタ36との間の距離Xを変更する、距離変更手段38を有している。図2は、加熱ローラ31と加圧ローラ32とが圧接している状態の画像形成装置10の定着装置30の概略図であり、図3は、加熱ローラ31と加圧ローラ32とが離れている状態の画像形成装置10の定着装置30の概略図である。距離変更手段38は、回転軸39を有している。回転軸39は、加圧ローラ32、加圧ヒータ34、及び、赤外線センサ37と連結されており、回転軸39を中心として、加圧ローラ32、加圧ヒータ34、及び、赤外線センサ37を回転させることによって、加圧ローラ32、加圧ヒータ34、及び、赤外線センサ37が連動して動くようになっている。したがって、回転軸39を中心として、加圧ローラ32、加圧ヒータ34、及び、赤外線センサ37を回転させることによって、加圧ローラ32を加熱ローラ31に対して圧接させる、すなわち、図3の状態から図2の状態へ変位させる、ことができる。また、回転軸39を中心として上記と逆の方向に、加圧ローラ32、加圧ヒータ34、及び、赤外線センサ37を回転させることによって、加圧ローラ32を加熱ローラ31に対して離間させる、すなわち、図3状態から図2の状態に変位させる、ことができる。ここで、回転軸39を中心として、加圧ローラ32、加圧ヒータ34、及び、赤外線センサ37を回転させても、加熱ローラ31、加熱ヒータ33、及び、赤外線透過フィルタ36は、固定されているので、加圧ローラ32の加熱ローラ31に対する圧接離間動作において、加圧ローラ32と赤外線センサ37との距離は一定であり、一方、加圧ローラ32と赤外線透過フィルタ36との距離Xは変化することになる。すなわち、回転軸39を中心として、加圧ローラ32、加圧ヒータ34、及び、赤外線センサ37を回転させることによって、距離Xを変更することができる。
【0026】
定着装置30は、以下のとおり作動する。ここで、定着装置30への電力供給が開始された後、加熱ローラ31及び加圧ローラ32の表面を、記録シート14上のトナー画像を定着できる温度(プリント可能温度)にする動作をウォームアップといい、ウォームアップにかかる時間をウォームアップタイムという。電源を入れ直した時、ジャム処理復帰時、カバークローズ時、又は、スリープモード復帰時等にも、このウォームアップが行われるようになっている。
【0027】
ウォームアップでは、プリント可能温度まで、加熱ローラ31及び加圧ローラ32の温度を上昇させるために、加熱ヒータ33及び加圧ヒータ34を起動させる。そして、加圧ローラ32を保持するフレームを、回転軸39を中心として回転させ、加圧ローラ32を加熱ローラ31に所定の荷重をかけて圧接させる。そして、駆動ギヤ(図示せず)に駆動力を伝達することにより加圧ローラ32を回転させ、加熱ローラ31を従動回転させる。このときの定着装置の線速度は、例えば90mm/sである。加熱サーミスタ(図示せず)によって検出された加熱ローラ31の温度と、赤外線センサ37によって検出された温度が、所定のプリント可能な温度、例えば、加熱サーミスタ検出温度が185℃になり、赤外線センサ37検出温度が135℃になれば、画像形成装置10の制御装置18は、プリント可能であることを、例えば、画像形成装置10本体に設けられた表示装置に表示する。外部から印刷信号が入力されなければ、画像形成装置10は印刷待機状態になり、印刷信号が入力されれば、画像形成装置10は印刷動作を開始する。
【0028】
印刷待機状態では通常、加圧ローラ32の回転を停止し、加圧ローラ32を保持するフレームを、回転軸39を中心として、上記の加圧ローラ32を加熱ローラ31に圧接させる場合とは逆方向に回転させて、加圧ローラ32の加熱ローラ31に対する圧接を解除する。そして、所定の設定温度になるように加熱ヒータ33及び加圧ヒータ34を制御する。すなわち、例えば、加熱ローラ31の設定温度を185℃とすると、加熱サーミスタによって検出された温度と185℃とを比較して、加熱ヒータ33のオンオフを制御する。そして、例えば、加圧ローラ32の設定温度を150℃とすると、赤外線センサ37によって検出された温度と150℃とを比較して、加圧ヒータ34のオンオフを制御する。
【0029】
温度検出装置35は更に、赤外線透過フィルタ36の汚れの程度を検知する、検知手段(図示せず)を有している。赤外線透過フィルタ36の汚れの程度と、検出温度との関係を図4に示す。◆は、加圧ローラ32と赤外線透過フィルタ36との距離Xが1mm(第1距離)の場合を示しており、■は、距離Xが5mm(第2距離)の場合を示している。ここで、距離Xが1mmの場合、加圧ローラ32と加熱ローラ31とが離間しており、距離Xが5mmの場合、加圧ローラ32は加熱ローラ31に圧接されている。また、「汚れ1」から「汚れ2」、「汚れ3」、そして、「汚れ4」へと向かうにつれて、赤外線透過フィルタ36の汚れの程度が大きくなっている。
【0030】
以下、検知手段による、赤外線透過フィルタ36の汚れの程度の検知について説明する。
【0031】
赤外線透過フィルタ36が汚れていない場合(図4に示す「新品」)、赤外線センサ37による加圧ローラ32の検出温度は、加圧ローラ32と赤外線透過フィルタ36との距離Xによらず、一定となる。なぜなら、加圧ローラ32から放出される赤外線が、距離Xによらず、赤外線透過フィルタ36を通過し、この通過した赤外線の量から赤外線センサ37が加圧ローラ32の温度を検出するからである。
【0032】
赤外線透過フィルタ36が汚れてくると、赤外線センサ37は、加圧ローラ32から放出される赤外線と、赤外線透過フィルタ36から放出される赤外線との両方を検知するようになる。すなわち、加圧ローラ32から放出される赤外線は、赤外線透過フィルタ36が汚れることによって、その一部が透過できず、透過できた残りの赤外線が赤外線センサ37に検知される。また、汚れた赤外線透過フィルタ36は、その汚れが加熱されることにより熱を有し、その結果、赤外線を放出することになる。そして、赤外線センサ37は、赤外線透過フィルタ36から放出される赤外線も検知するようになる。
【0033】
赤外線透過フィルタ36の温度は、加圧ローラ32の温度より低いため、両者(加圧ローラ32及び赤外線透過フィルタ36)からの赤外線を検知する赤外線センサ37は、加圧ローラ32のみからの赤外線を検知する場合と比べ、より低い温度を検出することになる。そして、赤外線透過フィルタ36の汚れの程度が大きくなるにつれて、赤外線センサ37が検知する赤外線の内、赤外線透過フィルタ36からの赤外線の割合が大きくなり、赤外線センサ37による検出温度が低下する。
【0034】
ここで、加圧ローラ32と赤外線透過フィルタ36との距離Xを大きくすると、加圧ローラ32からの伝熱によって加熱される、赤外線透過フィルタ36の温度が低くなることから、赤外線透過フィルタ36からの赤外線量が減少し、赤外線センサ37による検出温度が低下する。
【0035】
赤外線透過フィルタ36の汚れの程度が大きくなるほど、赤外線センサ37が検知する赤外線の内、赤外線透過フィルタ36からの赤外線の割合が大きくなり、且つ、加圧ローラ32と赤外線透過フィルタ36との距離Xを大きくすることによって、赤外線透過フィルタ36の温度が低下する。すなわち、赤外線フィルタ55の汚れの程度が大きくなるほど、距離Xが大きくなったとき、赤外線センサ37による検出温度の低下量が大きいことになる。その結果、距離Xを変更することによって、赤外線透過フィルタ36の汚れの程度を検知することができる。
【0036】
検知手段は、赤外線透過フィルタ36の汚れの程度を、加圧ローラ32と赤外線透過フィルタ36との距離Xが大きくなったときの、赤外線センサ37による検出温度の低下量から、検知するようになっている。すなわち、図4に示すように、赤外線透過フィルタ36の汚れの程度が小さい場合(「汚れ1」)、距離変更手段38によって距離Xを1mm(第1距離)から5mm(第2距離)に変更すると、赤外線センサ37による検出温度は10℃程度低下する。このとき、検知手段は、赤外線センサ37による検出温度の低下量(約10℃)から、赤外線透過フィルタの汚れの程度が「汚れ1」と検知する。同様に、距離Xを1mmから5mmに変更したとき、赤外線センサ37による検出温度が約15℃低下すると、検知手段は、赤外線透過フィルタ36の汚れの程度が「汚れ1」より大きい「汚れ2」であると検知する。距離Xを1mmから5mmに変更したとき、赤外線センサ37による検出温度が約25℃低下すると、検知手段は、赤外線透過フィルタ36の汚れの程度が「汚れ2」より大きい「汚れ3」であると検知する。距離Xを1mmから5mmに変更したとき、赤外線センサ37による検出温度が約30℃低下すると、検知手段は、赤外線透過フィルタ36の汚れの程度が「汚れ3」より大きい「汚れ4」であると検知する。
【0037】
すなわち、検知手段の赤外線透過フィルタ36の汚れ検知とは、以下のとおりである。距離変更手段38によって、加圧ローラ32と赤外線透過フィルタ36との距離Xを変更し、赤外線センサ37による加圧ローラ32の検出温度が変化しない場合、検知手段は、赤外線透過フィルタ36が汚れていないと判断する。
【0038】
距離変更手段38によって、加圧ローラ32と赤外線透過フィルタ36との距離Xを大きくしたとき、赤外線センサ37による加圧ローラ32の検出温度が低下した場合、検知手段は、赤外線透過フィルタ36が汚れていると判断する。更に、検知手段は、赤外線センサ37による加圧ローラ32の検出温度の低下量から、赤外線透過フィルタ36の汚れの程度を検知する。ここで、検知手段が、赤外線透過フィルタ36に一定の汚れ(例えば「汚れ3」)を検知した場合、制御装置18が、異常と認識し、画像形成装置10を停止させるようにしても良い。また、予め、赤外線透過フィルタ36の汚れの程度と赤外線センサ37による検出温度の低下量との関係を整理し、赤外線透過フィルタ36を交換すべき赤外線センサ37による検出温度の低下量を定めておいても良い。また、赤外線透過フィルタ36の汚れの程度と赤外線センサ37による検出温度の低下量との整理結果に基づいて、赤外線センサ37による検出温度を補正し、加圧ローラ32の実際の温度を把握できるようにしても良い。
【0039】
本実施形態の温度検出装置35によれば、赤外線透過フィルタ36は、赤外線センサ37を加圧ローラ32から遮るように配置されているので、画像形成装置10内の紙粉やトナー等により生じる汚れから、赤外線センサ37を守ることができる。その結果、赤外線センサ37の代わりに赤外線透過フィルタ36が汚れることとなるが、赤外線透過フィルタ36の取替、清掃作業は、赤外線センサ37の取替、清掃作業に比べ、容易に行うことができる。さらに、本実施形態では、距離変更手段38を有するので、距離変更手段38の距離変更に伴う、赤外線センサ37による検出温度の変化により、検知手段が、赤外線透過フィルタ36の汚れの程度を検知できる。特に、距離変更手段38によって、加圧ローラ32と赤外線透過フィルタ36との距離Xを一度大きくするだけで(距離の変更は一度で良い)、検知手段が、赤外線透過フィルタ36の汚れの程度を検知できる。また、検知手段が赤外線透過フィルタ36の汚れの程度を検知するので、赤外線透過フィルタ36の取替、清掃作業の要否も容易に判断できる。
【0040】
本実施形態では、加圧ローラ32と赤外線透過フィルタ36との間の距離Xを変更する、距離変更手段38として、加圧ローラ32を移動させる回転軸39を例として示したが、本発明の距離変更手段は、上記に限定されず、距離Xを変更するどのような手段でも良く、例えば、赤外線透過フィルタ36を可動式にすることで、距離Xを変更するものでも良い。また、距離変更手段は、加圧ローラ32と赤外線透過フィルタ36との両方を移動させて、距離Xを変更するものでも良い。
【0041】
本実施形態では、本発明による温度検出装置35を、加圧ローラ32の温度を検出するために設けているが、加熱ローラ31の温度を検出するために設けても良く、また、加圧ローラ32及び加熱ローラ31の両方の温度を検出するために設けても良い。
【0042】
なお、本発明による温度検出装置を、画像形成装置の定着装置の温度検出装置として説明したが、本発明の温度検出装置は、定着装置以外、また、画像形成装置以外の温度検出装置にも適用可能である。例えば、図5に示すような装置にも適用可能である。すなわち、図5では、平面上の被測定体42に対して、距離を有して、赤外線センサ37が設けられ、被測定体42と赤外線センサ37との間に、赤外線センサ37を被測定体42から遮るように、赤外線透過フィルタ36が設けられている。そして、図5では、赤外線センサ37が、被測定体42の放出する赤外線を、赤外線透過フィルタ36を介して検出するようになっており、且つ、赤外線透過フィルタ36が可動となっており、被測定体42と赤外線透過フィルタ36との間の距離Yを変更できるようになっている。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明では、簡単な構成で赤外線センサの汚れを防止でき、且つ、赤外線透過フィルタの汚れの程度を検知できる、温度検出装置を提供できるので、産業上の利用価値が大である。
【符号の説明】
【0044】
1 画像形成ユニット 2 感光体ドラム 3 帯電手段 4 現像手段
5 クリーニング手段 9 露光手段
10 画像形成装置
11 中間転写ベルト 12 1次転写手段 13 2次転写手段
14 記録シート 15 クリーニングブレード 16 排紙トレー
17 記録シートカセット
18 制御装置 19 露光制御部
30 定着装置 31 加熱ローラ 32 加圧ローラ
33 加熱ヒータ 34 加圧ヒータ
35 温度検出装置 36 赤外線透過フィルタ 37 赤外線センサ
38 距離変更手段 39 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定体に対して非接触に配置された、赤外線センサと、
前記赤外線センサを前記被測定体から遮るように、両者間に配置され、前記被測定体から放射される赤外線が透過する、赤外線透過フィルタと、
前記被測定体と前記赤外線透過フィルタとの間の距離を変更する、距離変更手段と、を備えており、
前記赤外線センサは、前記距離変更手段によって前記距離が変更された場合でも、前記赤外線透過フィルタを透過した赤外線を検出して、前記被測定体の温度を検出するように設けられていることを特徴とする、温度検出装置。
【請求項2】
前記赤外線透過フィルタの汚れの程度を検知する検知手段を、更に備えており、
前記検知手段は、前記距離の変更に伴う前記被測定体の検出温度の変化を求めることによって、前記赤外線透過フィルタの汚れの程度を検知するようになっている、請求項1記載の温度検出装置。
【請求項3】
前記距離変更手段が、前記距離を、第1距離から、第1距離より大きい第2距離に変更するようになっており、
前記赤外線センサが、前記第1距離における前記被測定体の第1温度を検出するとともに、前記第2距離における前記被測定体の第2温度を検出するようになっている、請求項1記載の温度検出装置。
【請求項4】
前記距離変更手段が、前記距離を、第1距離から、第1距離より大きい第2距離に変更するようになっており、
前記赤外線センサが、前記第1距離における前記被測定体の第1温度を検出するとともに、前記第2距離における前記被測定体の第2温度を検出するようになっており、
前記検知手段が、前記第1温度と前記第2温度との差が大きいほど、前記汚れの程度が大きいことを示すようになっている、請求項2記載の温度検出装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の温度検出装置を備えた定着装置を有する、画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−286259(P2010−286259A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−138141(P2009−138141)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】