温度測定装置、温度測定方法、記憶媒体及び熱処理装置
【課題】処理容器内にて基板が載置されると共に回転する回転テーブルを備えた熱処理装置において、処理容器内の温度分布を推測する技術を提供すること。
【解決手段】回転テーブルの一面側を径方向に沿って繰り返し走査し、複数のスポット領域の温度を測定する放射温度測定部と、回転テーブル上における放射温度測定部の走査領域に割り当てられたアドレスと放射温度測定部の温度測定値とを対応付けた温度データを記憶する記憶部と、回転テーブルを静止させて温度が安定した後、回転テーブルを回転させる間に放射温度測定部により繰り返し回転テーブルの一面側を走査し、回転テーブルの静止時における処理容器内の温度分布を推測するために、回転テーブルの一面側の温度分布をデータ処理部に表示させる制御部と、を備えるように装置を構成する。
【解決手段】回転テーブルの一面側を径方向に沿って繰り返し走査し、複数のスポット領域の温度を測定する放射温度測定部と、回転テーブル上における放射温度測定部の走査領域に割り当てられたアドレスと放射温度測定部の温度測定値とを対応付けた温度データを記憶する記憶部と、回転テーブルを静止させて温度が安定した後、回転テーブルを回転させる間に放射温度測定部により繰り返し回転テーブルの一面側を走査し、回転テーブルの静止時における処理容器内の温度分布を推測するために、回転テーブルの一面側の温度分布をデータ処理部に表示させる制御部と、を備えるように装置を構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転テーブルを回転させることにより基板を公転させながら基板に対して熱処理を行う熱処理装置に用いられる温度測定装置、温度測定方法、記憶媒体及び熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱処理装置として、例えば処理容器内に設けられた回転テーブルの回転方向に複数の基板である半導体ウエハ(以下、ウエハと記載する)が載置される装置が知られている。この熱処理装置では、回転する当該回転テーブルの径方向に沿って処理ガスを供給するガス供給部が設けられている。また、ウエハを加熱するヒータが設けられており、ガス供給部からのガスの吐出及びヒータによるウエハの加熱が行われながら、回転テーブルを回転させることでウエハに成膜処理が行われる。
【0003】
例えばこの熱処理装置の開発段階で、処理容器内の全体の温度分布を把握するための検査が行われている。この検査では処理容器内の各部に熱電対を取り付け、ヒータの温度を上昇させて熱電対によりその周囲の温度を測定する。ここで、各部の熱電対はその周辺近傍の温度しか測定できないため、各熱電対の測定結果から処理容器内の全体の温度分布を想定していた。
【0004】
しかし、この検査を行う際には処理容器を大気開放して、熱電対を取り付ける必要があり、このような検査の事前準備に多くの作業時間が取られてしまっていた。また、上記のように処理容器内の全体の温度はピンポイントで測定された複数の温度から想定したものであるため、実際の温度とずれている懸念があった。
【0005】
特許文献1には、基板が載置された回転テーブルの温度を検出する温度測定手法について記載されている。しかし、この特許文献1には、処理容器内の温度を検出する手法については記載されておらず、また、検出された温度データをどのように回転テーブルの各部と対応付けてメモリに記憶させ、画面に出力しているか不明確である。従って上記の問題を解決するには不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−106289
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の事情の下になされたものであり、その目的は、処理容器内にて基板が載置されると共に回転する回転テーブルを備えた熱処理装置において、処理容器内の温度分布を容易に且つ詳細に推測する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の温度測定装置は、処理容器内に設けられた回転テーブル上の一面側に基板を載置し、この回転テーブルを回転させることにより基板を公転させながら基板に対して熱処理を行う熱処理装置に用いられる温度測定装置において、
前記回転テーブルの回転時にその上方から前記一面側を、当該回転テーブルの径方向に沿って繰り返し走査し、走査中に複数のスポット領域の温度を測定する放射温度測定部と、
前記回転テーブル上における放射温度測定部の走査領域に割り当てられたアドレスと放射温度測定部の温度測定値とを対応付けた温度データを記憶するための記憶部と、
前記走査の周期及び回転テーブルの回転数に基づいて特定された各スポット領域のアドレスに、スポット領域に対応する温度測定値を書き込むためのデータ作成部と、
前記記憶部に書き込まれた温度データに基づいて、回転テーブルの一面側の温度分布を表示する処理を行うデータ処理部と、
回転テーブルを静止させて回転テーブルの温度が安定した後、回転テーブルを回転させる間に放射温度測定部により繰り返し回転テーブルの一面側を走査し、回転テーブルの静止時における処理容器内の温度分布を推測するために、回転テーブルの一面側の温度分布をデータ処理部により表示する制御部と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の温度測定装置の具体的な態様は、例えば下記の通りである。
(1)前記制御部は、回転テーブルの一面側の温度分布を表示するために、回転テーブルを少なくとも1回転させる間に放射温度測定部により繰り返して回転テーブルの一面側を走査するように制御信号を出力する。
(2)前記記憶部に書き込まれた温度データに基づいて、回転テーブルの一面側の温度分布の表示態様を指定する表示指定部を備える。
(3)前記放射温度測定部は、回転テーブルが1回転する間に径方向に沿って10回以上走査する。
【0010】
本発明の温度測定方法は、処理容器内に設けられた回転テーブル上の一面側に基板を載置し、この回転テーブルを回転させることにより基板を公転させながら基板に対して熱処理を行う熱処理装置において、
回転テーブルを静止させて回転テーブルの温度を安定させる工程と、
回転テーブルの温度が安定した後、回転テーブルを回転させる間に放射温度測定部により前記一面側を、上方から当該回転テーブルの径方向に沿って繰り返し走査し、走査中に複数のスポット領域の温度を測定する工程と、
前記回転テーブル上における放射温度測定部の走査領域に割り当てられたアドレスと放射温度測定部の温度測定値とを対応付けた温度データを記憶部に記憶する工程と、
前記走査の周期及び回転テーブルの回転数に基づいて、各スポット領域のアドレスを特定し、そのアドレスにスポット領域に対応する温度測定値を書き込む工程と、
前記記憶部に書き込まれた温度データに基づいて、回転テーブルの静止時における処理容器内の温度分布を推測するために、回転テーブルの一面側の温度分布をデータ処理部により表示する工程と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の記憶媒体は、処理容器内に設けられた回転テーブル上の一面側に基板を載置し、この回転テーブルを回転させることにより基板を公転させながら基板に対して熱処理を行う熱処理装置に用いられるコンピュータプログラムを記憶する記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、上記の温度測定方法を実行するようにステップが組まれていることを特徴とする。
【0012】
本発明の熱処理装置は、処理容器と、この処理容器内に設けられる回転テーブルとを備え、この回転テーブル上の一面側に基板を載置し、この回転テーブルを回転させることにより基板を公転させながら基板に対して熱処理を行う熱処理装置において、
前記回転テーブルの回転時にその上方から前記一面側を、当該回転テーブルの径方向に沿って繰り返し走査し、走査中に複数のスポット領域の温度を測定する放射温度測定部と、
前記回転テーブル上における放射温度測定部の走査領域に割り当てられたアドレスと放射温度測定部の温度測定値とを対応付けた温度データを記憶するための記憶部と、
前記走査の周期及び回転テーブルの回転数に基づいて特定された各スポット領域のアドレスに、スポット領域に対応する温度測定値を書き込むためのデータ作成部と、
前記記憶部に書き込まれた温度データに基づいて、回転テーブルの一面側の温度分布を表示する処理を行うデータ処理部と、
回転テーブルを静止させて回転テーブルの温度が安定した後、回転テーブルを回転させる間に放射温度測定部により繰り返し回転テーブルの一面側を走査し、回転テーブルの静止時における処理容器内の温度分布を推測するために、回転テーブルの一面側の温度分布をデータ処理部により表示する制御部と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の温度測定装置は、回転テーブルを静止させて回転テーブルの温度が安定した後、回転テーブルを回転させる間に、当該回転テーブルの径方向に沿って繰り返し走査し、走査中に複数のスポット領域の温度を測定する放射温度測定部と、回転テーブルの一面側の温度分布を表示するデータ処理部とが設けられている。従って、回転テーブルの温度分布から、処理容器内の温度分布を容易に且つ詳細に推測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の熱処理装置の実施の形態に係る成膜装置の縦断側面図である。
【図2】上記の成膜装置の内部の概略構成を示す斜視図である。
【図3】前記成膜装置の真空容器の底部の縦断面図である。
【図4】温度測定部の温度測定領域を示す説明図である。
【図5】温度測定部の概略図である。
【図6】温度測定部の概略図である。
【図7】温度測定部の概略図である。
【図8】スキャンされるポイントを示した模式図である。
【図9】前記成膜装置に設けられる制御部のブロック図である。
【図10】スキャンされるポイントと前記制御部のテーブルとの関係を示す模式図である。
【図11】前記テーブルの構成を示す説明図である。
【図12】移動する温度測定領域の位置を示す平面図である。
【図13】前記制御部を構成する表示部に表示される回転テーブルの温度分布を示した模式図である。
【図14】前記制御部を構成する表示部に表示される回転テーブルの温度分布を示した模式図である。
【図15】回転テーブルの径方向の位置と温度との関係を示すグラフ図である。
【図16】回転テーブルの径方向の位置と温度との関係を示すグラフ図である。
【図17】回転テーブルの径方向の位置と温度との関係を示すグラフ図である。
【図18】回転テーブルの径方向の位置と温度との関係を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の温度測定装置が組み込まれた熱処理装置の一実施形態であり、基板である半導体ウエハ(以下ウエハと記載する)WにALD(Atomic Layer Deposition)及びMLD(Molecular Layer Deposition)を行う成膜装置1について説明する。図1、図2、図3は夫々成膜装置1の縦断側面図、概略斜視図、横断平面図である。成膜装置1は、概ね円形状の扁平な真空容器11と、真空容器11内に水平に設けられた円板状の回転テーブル12と、を備えている。真空容器11は大気雰囲気に設けられ、天板13と、真空容器11の側壁及び底部をなす容器本体14とにより構成されている。図1中11aは、真空容器11内を気密に保つためのシール部材であり、14aは容器本体14の中央部を塞ぐカバーである。図中12aは回転駆動機構であり、回転テーブル12を周方向に回転させる。
【0016】
回転テーブル12の表面には、当該回転テーブル12の回転方向に沿って5つの凹部16が形成されている。図中17は搬送口である。図3中18は搬送口17を開閉自在なシャッタである(図2では省略している)。搬送口17から搬送機構2AがウエハWを保持した状態で真空容器11内に進入すると、搬送口17に臨む位置における凹部16の孔16aから回転テーブル12上に不図示の昇降ピンが突出してウエハWを突き上げ、凹部16と搬送機構2Aとの間でウエハWが受け渡される。
【0017】
このような搬送機構、昇降ピン及び回転テーブル12による一連の動作が繰り返されて、各凹部16にウエハWが受け渡される。真空容器11からウエハWが搬出される時には、昇降ピンが凹部16内のウエハWを突き上げ、前記搬送機構が突き上げられたウエハWを受け取り、真空容器11の外に搬出する。
【0018】
回転テーブル12上には、夫々回転テーブル12の外周から中心へ向かって伸びる棒状の第1の反応ガスノズル21、分離ガスノズル22、第2の反応ガスノズル23及び分離ガスノズル24が、この順で周方向に配設されている。これらのガスノズル21〜24は下方に開口部を備え、回転テーブル12の径に沿って夫々ガスを供給する。第1の反応ガスノズル21はBTBAS(ビスターシャルブチルアミノシラン)ガスを、第2の反応ガスノズル23はO3(オゾン)ガスを夫々吐出する。分離ガスノズル22、24はN2(窒素)ガスを吐出する。
【0019】
真空容器11の天板13は、下方に突出する扇状の2つの突状部25を備え、突状部25は周方向に間隔をおいて形成されている。前記分離ガスノズル22、24は、夫々突状部25にめり込むと共に、当該突状部25を周方向に分割するように設けられている。前記第1の反応ガスノズル21及び第2の反応ガスノズル23は、各突状部25から離れて設けられている。
【0020】
各凹部16にウエハWが載置されると、容器本体14の底面において各突状部25、25の下方の分離領域D、D間から回転テーブル12の径方向外側へ向かった位置に開口した排気口26、26から排気されて、真空容器11内が真空雰囲気になる。そして、回転テーブル12が回転すると共に、回転テーブル12の下方に設けられるヒータ20により回転テーブル12を介してウエハWが例えば350℃に加熱される。図3中の矢印27は回転テーブル12の回転方向を示している。
【0021】
続いて、各ガスノズル21〜24からガスが供給され、ウエハWは第1の反応ガスノズル21の下方の第1の処理領域P1と第2の反応ガスノズル23の下方の第2の処理領域P2とを交互に通過し、ウエハWにBTBASガスが吸着し、次いでO3ガスが吸着してBTBAS分子が酸化されて酸化シリコンの分子層が1層あるいは複数層形成される。こうして酸化シリコンの分子層が順次積層されて所定の膜厚のシリコン酸化膜が成膜される。
【0022】
この成膜処理時に分離ガスノズル22、24から前記分離領域Dに供給されたN2ガスが、当該分離領域Dを周方向に広がり、回転テーブル12上でBTBASガスとO3ガスとが混合されることを防ぎ、余剰のBTBASガス及びO3ガスを、前記排気口26へ押し流す。また、この成膜処理時には、回転テーブル12の中心部領域上の空間28にN2ガスが供給される。天板13において、リング状に下方に突出した突出部29の下方を介して、このN2ガスが回転テーブル12の径方向外側に供給され、前記中心部領域CでのBTBASガスとO3ガスとの混合が防がれる。図3では矢印により成膜処理時の各ガスの流れを示している。また、図示は省略しているが、カバー14a内及び回転テーブル12の裏面側にもN2ガスが供給され、反応ガスがパージされるようになっている。
【0023】
ところで、この成膜処理時における処理容器である真空容器11の温度分布を測定する概要について説明する。回転テーブル12は例えば石英により構成されており、真空容器11内がヒータ20により加熱されて温度分布が形成されると、回転テーブル12においても同様の温度分布が形成される。そして、回転テーブル12の熱容量によりこの温度分布が形成されているうちに、当該回転テーブル12の表面の温度をスキャンし、当該温度分布を測定する。つまり、真空容器11の温度分布が回転テーブル12の温度分布に一致するものと見て、回転テーブル12の温度分布を測定する。
【0024】
続いて天板13及び回転テーブル12の縦断側面を拡大して示す図4も参照しながら説明する。この図4の天板13は、ガスノズル21が設けられる領域と、処理領域P1の回転方向上流側に隣り合う分離領域Dとの間の断面を示している。天板13には、図3に鎖線で示す位置に、回転テーブル12の径方向に伸びたスリット31が開口しており、このスリット31の上下を覆うように下側窓32、上側窓33が設けられている。これら下側窓32、上側窓33は回転テーブル12の表面側から放射される赤外線を透過させて、後述の放射温度測定部3による温度測定ができるように例えばサファイアにより構成されている。なお、回転テーブル12の表面側とはウエハWも含む。
【0025】
スリット31の上方には非接触温度計である放射温度測定部3が設けられている。図4中の回転テーブル12の表面から放射温度測定部3の下端までの高さHは500mmである。この放射温度測定部3は、回転テーブル12の温度測定領域から放射される赤外線を後述の検出部301に導き、検出部301がその赤外線量に応じた温度測定値を取得する。従って、この温度測定値は取得された箇所の温度により異なり、取得された温度測定値は、順次後述の制御部5に送信される。
【0026】
図5〜図7はこの放射温度測定部3の概略構成と、動作の概略とを示している。放射温度測定部3は、50Hzで回転するサーボモータからなる回転体302を備えている。この回転体302は平面視3角形状に構成され、回転体302の3つの各側面は反射面303〜305として構成されている。図5〜図7に示すように回転体302が回転軸306の周りに回転することで、ウエハWを含む回転テーブル12における温度測定領域40の赤外線を、図中矢印で示すように反射面303〜305のいずれかで反射させて検出部301に導くと共に前記温度測定領域40の位置を回転テーブル12の径方向に移動させてスキャン(走査)する。
【0027】
検出部301は1つの反射面から連続して128回赤外線を取り込むことにより、前記径方向の128箇所の温度を検出できるように構成されている。そして、回転体302の回転により反射面303〜305が順次赤外線の光路上に位置することによりスキャンは回転テーブル12の内側から外側方向へ向けて繰り返し行うことができ、このスキャン速度は150Hzである。つまり放射温度測定部3は、1秒間に150回スキャンを行うことができる。また、前記温度測定領域(スポット領域)40はその径が5mmのスポットである。前記スキャンは、回転テーブル12においてウエハWが載置される凹部16よりもさらに内側よりの位置から、回転テーブルの外周端に至る範囲で行われ、図4中の鎖線34、35は回転テーブル12の最も内周側、最も外周側に夫々移動した温度測定領域40から放射温度測定部3に向かう赤外線を示している。
【0028】
放射温度測定部3によるスキャンは、回転テーブル12の回転中に行われる。回転テーブル12の回転速度は、この例では12回転/分である。図8は、回転テーブル12と温度測定領域40との関係を示した平面図であり、図中41は、前記回転テーブル12の回転中に、回転テーブル12の内側から外側へ向かってn回目(nは整数)にスキャンを行ったときの当該温度測定領域40の列(スキャンライン)を示している。図中42はn+1回目(nは整数)にスキャンを行ったときのスキャンラインを示している。回転テーブル12の回転により、当該回転テーブル12の回転中心Pを中心として、スキャンライン41、42は回転テーブル12の回転速度に応じた角度だけ中心角が互いにずれる。このように回転テーブル12を回転させながらスキャンを繰り返すことで、回転テーブル12の多数の位置の温度測定値を順次取得する。
【0029】
続いて、成膜装置1に設けられるコンピュータである制御部5の構成について、図9のブロック図を用いて説明する。図中51はバスであり、このバス51には、上記の放射温度測定部3、CPU52、温度マップ記憶部53、表示部54及び入力操作部55が接続されている。温度マップ記憶部53は、後述するように回転テーブル12の各アドレスと温度測定値とを対応付けた温度マップデータ(温度データ)を記憶するメモリである。表示部54は、回転テーブル12の温度分布を示す画像データや、回転テーブル12の径方向と温度との関係を示すグラフデータや、前記径方向の温度の平均値と時間との関係を示すグラフデータなどを表示する。入力操作部55は、温度分布に関するデータの表示態様を指定する表示指定部を兼用し、ユーザが所定の操作を行う部位である。
【0030】
制御部5にはデータ作成部をなす温度マップ作成プログラム56と、データ処理部をなす温度データ編集プログラム57とが設けられている。温度マップ作成プログラム56は、放射温度測定部3から取り込んだ既述の温度測定値から前記温度マップを作成するプログラムである。温度データ編集プログラム57は、この例では入力操作部55により指定された表示態様に基づいて、温度マップデータから回転テーブル55の一面側におけるスキャン領域全体の温度分布をカラー画像で識別して表示部54に表示するためのプログラムである。これら温度マップ作成プログラム56及び温度データ編集プログラム57には、夫々温度マップの作成、表示部54への各データの表示を行えるように命令(各ステップ)が組み込まれ、装置の各部に制御信号を出力する。このプログラム(処理パラメータの入力操作や表示に関するプログラムも含む)は、コンピュータ記憶媒体例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、MO(光磁気ディスク)メモリーカードなどの記憶媒体に格納されて制御部5にインストールされる。
【0031】
前記温度マップデータを作成するために、回転テーブル12の表面に割り振られるアドレスについて説明する。このアドレスは、回転テーブル12の径方向の位置を特定する座標rと回転テーブル12の周方向の位置を特定するθとにより、極座標で割り振られている。温度マップ作成プログラム56は、放射温度測定部3により取得された各温度測定領域40の温度測定値を、当該温度測定領域40に対応するアドレスに割り振って温度マップデータを作成する。上記のように放射温度測定部3は1回のスキャンで前記径方向の128箇所の温度を検出するため、r座標は回転テーブル12の走査ポイント(スポット領域)から順に各走査ポイントに対応させて1〜128までの番地が割り当てられる。r座標の値が小さいほど回転テーブル12の内側よりの領域となる。θ座標は回転テーブル12の前記回転中心Pを基準とした0.5°刻みの角度で設定され、0〜355.5のうちの0.5刻みの番地が割り当てられる。なお、この刻み角度は一例を挙げたに過ぎず、この値に限られるものではない。回転テーブル12の回転方向上流側に向かうほどθの値が大きくなる。そして、θ=0のアドレスの回転方向下流側の隣の領域はθ=355.5のアドレスとして設定している。
【0032】
図10には、rが1〜128且つθが1、1.5であるアドレスの分布の一例を示している。この図11に示すように回転中心Pに近づくほど、回転テーブル12の周方向の長さは短くなるため、rが65〜128の範囲では温度測定データをθ=1、1.5のアドレスに夫々割り振るが、rが1〜64の範囲では温度測定データをθ=1として取り扱う。他のθ=0.5〜1の以外の範囲においても、rが1〜64の範囲ではθ=m+0.5(mは整数)をmとして取り扱う。なお、図中にAで示す回転中心Pから見て、θ=1、1.5であるアドレスの概形線と、回転中心Pとのなす角は実際には1°であるが、各アドレスの表示が小さくなって見え難くなることを防ぐために1°よりも大きく描いている。
【0033】
図11は、温度マップ記憶部53に記憶される温度マップデータのイメージを表として示している。この温度マップにおいて、放射温度測定部3により検出された温度測定値は、その温度測定値を取得した温度測定領域40に相当するアドレス(r、θ)に対応する領域に書き込まれる。この温度測定領域40とアドレス(r、θ)との対応付けについて説明すると、制御部5は、放射温度測定部3から送信される温度測定値が検出開始から何番目に送られた温度測定値かカウントして前記rの値を特定する。つまり、1番目に送られた温度測定値であればr=1、125番目に送られた温度測定値であればr=125、225番目に送られた温度測定値であればr=225−128=97である。
【0034】
温度マップ作成プログラム56は、温度測定を開始して放射温度測定部3が1回目に行ったスキャンで得られた温度測定値をθ=0の温度測定値として取り扱う。そして、以降に行われる放射温度測定部3のスキャンにより得られた温度測定値については、制御部5のクロックと回転テーブル12の回転速度とに基づいて制御部5が演算を行い、θを特定する。即ち、温度マップデータの作成を1分間行ったとすると、回転テーブル12の回転速度が240回転/分であれば0〜360°分の温度マップデータ群が240個連続して取得され、従って測定開始から経過時間に応じた温度マップデータを取り出すことができる。なお、後述するようにこの例では回転テーブル12の回転速度に比べて、放射温度測定部3のスキャン速度が十分速いことから、温度測定値のグラフを表示する際には例えば1回のスキャンにより得られた温度測定値は、同じ時間に得られた温度測定値であるものとして取り扱っている。
【0035】
ここで、回転テーブル12が回転しながら放射温度測定部3によるスキャンが行われるため、図12に示すように実際には温度測定領域40が回転テーブル12の内側から外側へ向けて移動する間に回転テーブル12から見ると、温度測定領域40は、1回のスキャン中に当該回転テーブル12の回転方向上流側に向かってカーブするように移動する。しかし、この例ではカーブの曲がりの程度が小さいため、図4に示したように1回のスキャンにより、回転テーブル12の径方向の直線に沿って温度測定領域が移動したものとして取り扱うこととする。つまり、1回のスキャンにおいて得られる温度測定値のr=2〜128のθの値は、r=1のθの値と同じ値であるものとして取り扱われて温度マップデータが作成される。
【0036】
ところで、温度測定を行うときの回転テーブル12の回転速度はこの例ではα回転/分であるため、図8中にθ1で示す連続して行われるスキャンのライン41、42のなす角は、下記の式1よりθ1はβ°である。
θ1=1秒間の回転テーブル12の回転速度(回転/秒)×360°÷スキャン速度(Hz)=(12/60)×360×1/150=0.48°・・・(式1)
つまり、1回スキャンを行ったら、次のスキャンでは前回のスキャンに対して0.48°だけθがずれたものとして、温度マップデータに温度測定値を書き込む。上記のようにθは0.5°刻みで設定されているため、例えば演算されたθが0.5で割り切れない数値の場合、制御部5はθの値をより近い0.5で割り切れる数値に近似し、その近似された数値で温度マップデータに書き込まれる。
また、このようにθを近似することで、n回目のスキャンとn+1回目のスキャンとで同じアドレスの温度マップデータを取得することになる場合があるが、その場合は例えばn+1回目のスキャンの取得データは無効になる。
【0037】
この成膜装置1による真空容器11内の温度分布を測定する手順について説明する。例えば成膜処理時と同様に5枚のウエハWが凹部16に載置された状態でユーザが入力操作部55より所定の操作を行い、回転テーブル12が静止した状態でヒータ20の温度が上昇する。その後、ヒータ20の出力が一定に維持され、回転テーブル12の温度が安定し、それによって、真空容器11内の温度分布に従って回転テーブル12の表面に温度分布が形成される。その後、ユーザが入力操作部55より所定の操作を行うと、回転テーブル12が、例えば12回転/分で回転すると共に放射温度測定部3により回転テーブル12の内側から外側へ向けて繰り返しスキャンが行われる。このとき回転テーブル12の熱容量により回転テーブル12表面の温度分布は維持されており、スキャンされた温度測定領域40に対応するアドレスに、測定温度値が書き込まれ、制御部5の記憶部53に温度マップデータが作成されていく。
【0038】
回転テーブル12が360°回転すると、温度マップ作成プログラム56は回転テーブル12の回転、放射温度測定部3のスキャン及び温度マップの作成を終了する。以上の一連の動作は温度マップ作成プログラム56により行われる。ユーザが入力操作部55から所定の指示を行うと、回転テーブル12の温度分布、即ち平面で見た真空容器11の温度分布がカラー画像として表示される。ヒータ20の出力を各々変えて、実際に温度分布測定を行って得られたカラー画像について、若干簡略化した模式図を図13、図14として夫々示している。これらのカラー画像は、実際には温度勾配に応じたカラーのグラデーションが掛けられた状態で示されるが、図13、図14では図示の便宜上、温度差が形成されている領域間を等高線で区画して示しており、濃いグレーで示した領域>淡いグレーで示した領域>斜線を付した領域の順で温度が高いことを示す。
【0039】
前記カラー画像は、温度データ編集プログラム57により描かれる。温度データ編集プログラム57は、温度マップデータを参照して表示部54の各アドレスに対応する位置に温度測定値を、当該温度測定値に応じたカラーのスポットとして表示部54に表示し、このカラースポットの集合により上記のように回転テーブル12のカラー画像が描き出される。
【0040】
ところで、同じ値のθを持つアドレスの温度測定値において、rの値が大きいものほど回転テーブル12の周縁部側のカラースポットとして出力されるが、図12で説明したように回転テーブル12の回転により、回転テーブル12の径方向外側に向かうほど、実際に温度を測定した位置が、割り当てられたθの位置よりも回転方向上流側にずれている。そこで温度データ編集プログラム57は、同じ値のθを持つ温度測定値について、回転テーブル12の径に沿って直線上に配列されたカラーとして出力するのではなく、回転テーブル12の周縁側に向かうほど回転方向上流側に向かってカーブする曲線上に配列されたカラースポットとして出力する。それによって、真空容器11内の実際の温度分布を精度高く表示部54に表示することができる。このカラースポットのカーブの度合は、測定を行うときの回転テーブル12の回転速度に応じて、温度測定値の取得位置と、当該温度測定値によるカラースポットの出力位置とが概ね一致するように設定される。
【0041】
上記の回転テーブル12のカラー画像の他に、表示部54に表示可能なデータの一例について説明する。ユーザは、上記の回転テーブル12のカラー画像において、その径方向に沿った任意の直線領域を指定することで、温度データ編集プログラム57が、表示部54にその直線領域の温度分布を示すグラフを表示する。図15、図16は、図13に夫々θ1、θ2で示した領域をユーザが指定して表示されたグラフの一例を示している。図17、図18は、図14に夫々θ3、θ4で示した領域をユーザが指定して表示されたグラフの一例を示している。なお、θ1とθ3とは同じ領域であり、θ2とθ4とは同じ領域である。各グラフの横軸は、回転中心Pからの距離(単位:mm)であり、この距離はアドレスのrの座標値に対応付けられて設定されている。縦軸は温度(単位:℃)である。
【0042】
このようなグラフが作成される手順を説明する。ユーザが上記のように直線領域を指定する。上記のようにこの直線領域には、異なるθを持つアドレスの温度測定値が出力されているが、温度データ編集プログラム57は、例えばその直線領域において最も径方向内側にカラースポットとして出力されている温度測定値のθの座標を検出する。そして、このθを持つアドレスのr=1〜128の温度測定値を用いて上記のグラフが作成される。
【0043】
上記の成膜装置1によれば、真空容器11内の温度分布により静止した状態でその表面に温度分布が形成された回転テーブル12を1回転させる間に、回転テーブル12の径方向に沿って繰り返しスキャンしてその径方向の温度を測定する放射温度測定部3と、回転テーブル12の各アドレスと取得された温度測定値とを対応付けて温度マップデータとして記憶する温度マップ記憶部53と、温度マップデータに基づいて回転テーブル12の温度分布を表示する表示部54が設けられている。ユーザは表示部54に表示される回転テーブル12のカラー画像やグラフにより真空容器11内の温度分布について詳細に予測することができる。また、成膜装置1によれば熱電対を真空容器11内に取り付ける手間が無くなるし、熱電対を取り付けるために真空容器11内を大気開放する手間も必要なくなるので容易に予測ができるという利点がある。
【0044】
上記の温度分布の測定は、装置の開発段階で行ったり、ウエハWの処理の合間のメンテナンス時にて、装置の動作状況を確認するために行ってもよい。また、上記の実施形態では、回転テーブル12を比較的遅い速度で1回転させる間にスキャンを繰り返し行い、回転テーブル12の各部の温度を測定しているが、回転テーブル12を速い速度で繰り返し回転させる間に、スキャンを繰り返し行い、回転テーブル12の各部の温度を測定してもよい。また、上記の温度分布の測定は回転テーブル12にウエハWが載置されていない状態で行ってもよい。
また、ユーザが温度分布の測定の開始を指示すると、回転テーブル12が静止すると共にヒータが所定の温度になり、予め設定された時間が経過して回転テーブル12の温度が安定すると、温度マップ作成プログラム56により自動で回転テーブル12の回転と、放射温度測定部3のスキャンとが開始されてもよい。
【0045】
上記の実施形態では、温度マップデータから図13、図14の回転テーブル12のカラー画像を表示するにあたり、上記のように同じθの温度測定値についてrが大きくなるほど回転方向上流側にカーブするカラースポットとして表示しているが、径方向に直線状に配列されたカラースポットとして表示してもよい。
また、図15〜図16の回転テーブルの径方向のグラフについては、図12で説明したように温度が実測された場所と、温度測定値が格納されるアドレスの場所とがずれていることを考慮して、rが大きくなるにつれて、前記θよりも回転方向上流側に向かってずれたθのアドレスの温度測定値を用いてグラフを作成してもよい。つまり、上記のカラー画像でユーザが指定した直線領域に出力されている各カラースポットに対応する各θのアドレスの温度測定値を用いてグラフを作成してもよい。
【0046】
上記の実施形態において、径方向のデータを表示するときには、1回の走査に要する時間内では回転テーブル12が静止しているとみなしている。このように1回の走査に要する時間内で回転テーブル12の回転方向の位置が大きく変わらない場合には、回転テーブル12の速度を考慮せずに各温度測定領域40に対応するアドレスを決定するようにしてもよい。また、前記放射温度測定部3は、できるだけ多くの箇所を測定して、回転テーブル12の温度分布を精度高く把握するために、回転テーブルが1回転する間に径方向に沿って10回以上走査することが好ましい。
【符号の説明】
【0047】
W ウエハ
D 分離領域
1 成膜装置
12 回転テーブル
14 容器本体
21 反応ガスノズル
3 放射温度検出部
40 温度測定領域
5 制御部
53 温度マップ記憶部
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転テーブルを回転させることにより基板を公転させながら基板に対して熱処理を行う熱処理装置に用いられる温度測定装置、温度測定方法、記憶媒体及び熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱処理装置として、例えば処理容器内に設けられた回転テーブルの回転方向に複数の基板である半導体ウエハ(以下、ウエハと記載する)が載置される装置が知られている。この熱処理装置では、回転する当該回転テーブルの径方向に沿って処理ガスを供給するガス供給部が設けられている。また、ウエハを加熱するヒータが設けられており、ガス供給部からのガスの吐出及びヒータによるウエハの加熱が行われながら、回転テーブルを回転させることでウエハに成膜処理が行われる。
【0003】
例えばこの熱処理装置の開発段階で、処理容器内の全体の温度分布を把握するための検査が行われている。この検査では処理容器内の各部に熱電対を取り付け、ヒータの温度を上昇させて熱電対によりその周囲の温度を測定する。ここで、各部の熱電対はその周辺近傍の温度しか測定できないため、各熱電対の測定結果から処理容器内の全体の温度分布を想定していた。
【0004】
しかし、この検査を行う際には処理容器を大気開放して、熱電対を取り付ける必要があり、このような検査の事前準備に多くの作業時間が取られてしまっていた。また、上記のように処理容器内の全体の温度はピンポイントで測定された複数の温度から想定したものであるため、実際の温度とずれている懸念があった。
【0005】
特許文献1には、基板が載置された回転テーブルの温度を検出する温度測定手法について記載されている。しかし、この特許文献1には、処理容器内の温度を検出する手法については記載されておらず、また、検出された温度データをどのように回転テーブルの各部と対応付けてメモリに記憶させ、画面に出力しているか不明確である。従って上記の問題を解決するには不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−106289
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の事情の下になされたものであり、その目的は、処理容器内にて基板が載置されると共に回転する回転テーブルを備えた熱処理装置において、処理容器内の温度分布を容易に且つ詳細に推測する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の温度測定装置は、処理容器内に設けられた回転テーブル上の一面側に基板を載置し、この回転テーブルを回転させることにより基板を公転させながら基板に対して熱処理を行う熱処理装置に用いられる温度測定装置において、
前記回転テーブルの回転時にその上方から前記一面側を、当該回転テーブルの径方向に沿って繰り返し走査し、走査中に複数のスポット領域の温度を測定する放射温度測定部と、
前記回転テーブル上における放射温度測定部の走査領域に割り当てられたアドレスと放射温度測定部の温度測定値とを対応付けた温度データを記憶するための記憶部と、
前記走査の周期及び回転テーブルの回転数に基づいて特定された各スポット領域のアドレスに、スポット領域に対応する温度測定値を書き込むためのデータ作成部と、
前記記憶部に書き込まれた温度データに基づいて、回転テーブルの一面側の温度分布を表示する処理を行うデータ処理部と、
回転テーブルを静止させて回転テーブルの温度が安定した後、回転テーブルを回転させる間に放射温度測定部により繰り返し回転テーブルの一面側を走査し、回転テーブルの静止時における処理容器内の温度分布を推測するために、回転テーブルの一面側の温度分布をデータ処理部により表示する制御部と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の温度測定装置の具体的な態様は、例えば下記の通りである。
(1)前記制御部は、回転テーブルの一面側の温度分布を表示するために、回転テーブルを少なくとも1回転させる間に放射温度測定部により繰り返して回転テーブルの一面側を走査するように制御信号を出力する。
(2)前記記憶部に書き込まれた温度データに基づいて、回転テーブルの一面側の温度分布の表示態様を指定する表示指定部を備える。
(3)前記放射温度測定部は、回転テーブルが1回転する間に径方向に沿って10回以上走査する。
【0010】
本発明の温度測定方法は、処理容器内に設けられた回転テーブル上の一面側に基板を載置し、この回転テーブルを回転させることにより基板を公転させながら基板に対して熱処理を行う熱処理装置において、
回転テーブルを静止させて回転テーブルの温度を安定させる工程と、
回転テーブルの温度が安定した後、回転テーブルを回転させる間に放射温度測定部により前記一面側を、上方から当該回転テーブルの径方向に沿って繰り返し走査し、走査中に複数のスポット領域の温度を測定する工程と、
前記回転テーブル上における放射温度測定部の走査領域に割り当てられたアドレスと放射温度測定部の温度測定値とを対応付けた温度データを記憶部に記憶する工程と、
前記走査の周期及び回転テーブルの回転数に基づいて、各スポット領域のアドレスを特定し、そのアドレスにスポット領域に対応する温度測定値を書き込む工程と、
前記記憶部に書き込まれた温度データに基づいて、回転テーブルの静止時における処理容器内の温度分布を推測するために、回転テーブルの一面側の温度分布をデータ処理部により表示する工程と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の記憶媒体は、処理容器内に設けられた回転テーブル上の一面側に基板を載置し、この回転テーブルを回転させることにより基板を公転させながら基板に対して熱処理を行う熱処理装置に用いられるコンピュータプログラムを記憶する記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、上記の温度測定方法を実行するようにステップが組まれていることを特徴とする。
【0012】
本発明の熱処理装置は、処理容器と、この処理容器内に設けられる回転テーブルとを備え、この回転テーブル上の一面側に基板を載置し、この回転テーブルを回転させることにより基板を公転させながら基板に対して熱処理を行う熱処理装置において、
前記回転テーブルの回転時にその上方から前記一面側を、当該回転テーブルの径方向に沿って繰り返し走査し、走査中に複数のスポット領域の温度を測定する放射温度測定部と、
前記回転テーブル上における放射温度測定部の走査領域に割り当てられたアドレスと放射温度測定部の温度測定値とを対応付けた温度データを記憶するための記憶部と、
前記走査の周期及び回転テーブルの回転数に基づいて特定された各スポット領域のアドレスに、スポット領域に対応する温度測定値を書き込むためのデータ作成部と、
前記記憶部に書き込まれた温度データに基づいて、回転テーブルの一面側の温度分布を表示する処理を行うデータ処理部と、
回転テーブルを静止させて回転テーブルの温度が安定した後、回転テーブルを回転させる間に放射温度測定部により繰り返し回転テーブルの一面側を走査し、回転テーブルの静止時における処理容器内の温度分布を推測するために、回転テーブルの一面側の温度分布をデータ処理部により表示する制御部と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の温度測定装置は、回転テーブルを静止させて回転テーブルの温度が安定した後、回転テーブルを回転させる間に、当該回転テーブルの径方向に沿って繰り返し走査し、走査中に複数のスポット領域の温度を測定する放射温度測定部と、回転テーブルの一面側の温度分布を表示するデータ処理部とが設けられている。従って、回転テーブルの温度分布から、処理容器内の温度分布を容易に且つ詳細に推測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の熱処理装置の実施の形態に係る成膜装置の縦断側面図である。
【図2】上記の成膜装置の内部の概略構成を示す斜視図である。
【図3】前記成膜装置の真空容器の底部の縦断面図である。
【図4】温度測定部の温度測定領域を示す説明図である。
【図5】温度測定部の概略図である。
【図6】温度測定部の概略図である。
【図7】温度測定部の概略図である。
【図8】スキャンされるポイントを示した模式図である。
【図9】前記成膜装置に設けられる制御部のブロック図である。
【図10】スキャンされるポイントと前記制御部のテーブルとの関係を示す模式図である。
【図11】前記テーブルの構成を示す説明図である。
【図12】移動する温度測定領域の位置を示す平面図である。
【図13】前記制御部を構成する表示部に表示される回転テーブルの温度分布を示した模式図である。
【図14】前記制御部を構成する表示部に表示される回転テーブルの温度分布を示した模式図である。
【図15】回転テーブルの径方向の位置と温度との関係を示すグラフ図である。
【図16】回転テーブルの径方向の位置と温度との関係を示すグラフ図である。
【図17】回転テーブルの径方向の位置と温度との関係を示すグラフ図である。
【図18】回転テーブルの径方向の位置と温度との関係を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の温度測定装置が組み込まれた熱処理装置の一実施形態であり、基板である半導体ウエハ(以下ウエハと記載する)WにALD(Atomic Layer Deposition)及びMLD(Molecular Layer Deposition)を行う成膜装置1について説明する。図1、図2、図3は夫々成膜装置1の縦断側面図、概略斜視図、横断平面図である。成膜装置1は、概ね円形状の扁平な真空容器11と、真空容器11内に水平に設けられた円板状の回転テーブル12と、を備えている。真空容器11は大気雰囲気に設けられ、天板13と、真空容器11の側壁及び底部をなす容器本体14とにより構成されている。図1中11aは、真空容器11内を気密に保つためのシール部材であり、14aは容器本体14の中央部を塞ぐカバーである。図中12aは回転駆動機構であり、回転テーブル12を周方向に回転させる。
【0016】
回転テーブル12の表面には、当該回転テーブル12の回転方向に沿って5つの凹部16が形成されている。図中17は搬送口である。図3中18は搬送口17を開閉自在なシャッタである(図2では省略している)。搬送口17から搬送機構2AがウエハWを保持した状態で真空容器11内に進入すると、搬送口17に臨む位置における凹部16の孔16aから回転テーブル12上に不図示の昇降ピンが突出してウエハWを突き上げ、凹部16と搬送機構2Aとの間でウエハWが受け渡される。
【0017】
このような搬送機構、昇降ピン及び回転テーブル12による一連の動作が繰り返されて、各凹部16にウエハWが受け渡される。真空容器11からウエハWが搬出される時には、昇降ピンが凹部16内のウエハWを突き上げ、前記搬送機構が突き上げられたウエハWを受け取り、真空容器11の外に搬出する。
【0018】
回転テーブル12上には、夫々回転テーブル12の外周から中心へ向かって伸びる棒状の第1の反応ガスノズル21、分離ガスノズル22、第2の反応ガスノズル23及び分離ガスノズル24が、この順で周方向に配設されている。これらのガスノズル21〜24は下方に開口部を備え、回転テーブル12の径に沿って夫々ガスを供給する。第1の反応ガスノズル21はBTBAS(ビスターシャルブチルアミノシラン)ガスを、第2の反応ガスノズル23はO3(オゾン)ガスを夫々吐出する。分離ガスノズル22、24はN2(窒素)ガスを吐出する。
【0019】
真空容器11の天板13は、下方に突出する扇状の2つの突状部25を備え、突状部25は周方向に間隔をおいて形成されている。前記分離ガスノズル22、24は、夫々突状部25にめり込むと共に、当該突状部25を周方向に分割するように設けられている。前記第1の反応ガスノズル21及び第2の反応ガスノズル23は、各突状部25から離れて設けられている。
【0020】
各凹部16にウエハWが載置されると、容器本体14の底面において各突状部25、25の下方の分離領域D、D間から回転テーブル12の径方向外側へ向かった位置に開口した排気口26、26から排気されて、真空容器11内が真空雰囲気になる。そして、回転テーブル12が回転すると共に、回転テーブル12の下方に設けられるヒータ20により回転テーブル12を介してウエハWが例えば350℃に加熱される。図3中の矢印27は回転テーブル12の回転方向を示している。
【0021】
続いて、各ガスノズル21〜24からガスが供給され、ウエハWは第1の反応ガスノズル21の下方の第1の処理領域P1と第2の反応ガスノズル23の下方の第2の処理領域P2とを交互に通過し、ウエハWにBTBASガスが吸着し、次いでO3ガスが吸着してBTBAS分子が酸化されて酸化シリコンの分子層が1層あるいは複数層形成される。こうして酸化シリコンの分子層が順次積層されて所定の膜厚のシリコン酸化膜が成膜される。
【0022】
この成膜処理時に分離ガスノズル22、24から前記分離領域Dに供給されたN2ガスが、当該分離領域Dを周方向に広がり、回転テーブル12上でBTBASガスとO3ガスとが混合されることを防ぎ、余剰のBTBASガス及びO3ガスを、前記排気口26へ押し流す。また、この成膜処理時には、回転テーブル12の中心部領域上の空間28にN2ガスが供給される。天板13において、リング状に下方に突出した突出部29の下方を介して、このN2ガスが回転テーブル12の径方向外側に供給され、前記中心部領域CでのBTBASガスとO3ガスとの混合が防がれる。図3では矢印により成膜処理時の各ガスの流れを示している。また、図示は省略しているが、カバー14a内及び回転テーブル12の裏面側にもN2ガスが供給され、反応ガスがパージされるようになっている。
【0023】
ところで、この成膜処理時における処理容器である真空容器11の温度分布を測定する概要について説明する。回転テーブル12は例えば石英により構成されており、真空容器11内がヒータ20により加熱されて温度分布が形成されると、回転テーブル12においても同様の温度分布が形成される。そして、回転テーブル12の熱容量によりこの温度分布が形成されているうちに、当該回転テーブル12の表面の温度をスキャンし、当該温度分布を測定する。つまり、真空容器11の温度分布が回転テーブル12の温度分布に一致するものと見て、回転テーブル12の温度分布を測定する。
【0024】
続いて天板13及び回転テーブル12の縦断側面を拡大して示す図4も参照しながら説明する。この図4の天板13は、ガスノズル21が設けられる領域と、処理領域P1の回転方向上流側に隣り合う分離領域Dとの間の断面を示している。天板13には、図3に鎖線で示す位置に、回転テーブル12の径方向に伸びたスリット31が開口しており、このスリット31の上下を覆うように下側窓32、上側窓33が設けられている。これら下側窓32、上側窓33は回転テーブル12の表面側から放射される赤外線を透過させて、後述の放射温度測定部3による温度測定ができるように例えばサファイアにより構成されている。なお、回転テーブル12の表面側とはウエハWも含む。
【0025】
スリット31の上方には非接触温度計である放射温度測定部3が設けられている。図4中の回転テーブル12の表面から放射温度測定部3の下端までの高さHは500mmである。この放射温度測定部3は、回転テーブル12の温度測定領域から放射される赤外線を後述の検出部301に導き、検出部301がその赤外線量に応じた温度測定値を取得する。従って、この温度測定値は取得された箇所の温度により異なり、取得された温度測定値は、順次後述の制御部5に送信される。
【0026】
図5〜図7はこの放射温度測定部3の概略構成と、動作の概略とを示している。放射温度測定部3は、50Hzで回転するサーボモータからなる回転体302を備えている。この回転体302は平面視3角形状に構成され、回転体302の3つの各側面は反射面303〜305として構成されている。図5〜図7に示すように回転体302が回転軸306の周りに回転することで、ウエハWを含む回転テーブル12における温度測定領域40の赤外線を、図中矢印で示すように反射面303〜305のいずれかで反射させて検出部301に導くと共に前記温度測定領域40の位置を回転テーブル12の径方向に移動させてスキャン(走査)する。
【0027】
検出部301は1つの反射面から連続して128回赤外線を取り込むことにより、前記径方向の128箇所の温度を検出できるように構成されている。そして、回転体302の回転により反射面303〜305が順次赤外線の光路上に位置することによりスキャンは回転テーブル12の内側から外側方向へ向けて繰り返し行うことができ、このスキャン速度は150Hzである。つまり放射温度測定部3は、1秒間に150回スキャンを行うことができる。また、前記温度測定領域(スポット領域)40はその径が5mmのスポットである。前記スキャンは、回転テーブル12においてウエハWが載置される凹部16よりもさらに内側よりの位置から、回転テーブルの外周端に至る範囲で行われ、図4中の鎖線34、35は回転テーブル12の最も内周側、最も外周側に夫々移動した温度測定領域40から放射温度測定部3に向かう赤外線を示している。
【0028】
放射温度測定部3によるスキャンは、回転テーブル12の回転中に行われる。回転テーブル12の回転速度は、この例では12回転/分である。図8は、回転テーブル12と温度測定領域40との関係を示した平面図であり、図中41は、前記回転テーブル12の回転中に、回転テーブル12の内側から外側へ向かってn回目(nは整数)にスキャンを行ったときの当該温度測定領域40の列(スキャンライン)を示している。図中42はn+1回目(nは整数)にスキャンを行ったときのスキャンラインを示している。回転テーブル12の回転により、当該回転テーブル12の回転中心Pを中心として、スキャンライン41、42は回転テーブル12の回転速度に応じた角度だけ中心角が互いにずれる。このように回転テーブル12を回転させながらスキャンを繰り返すことで、回転テーブル12の多数の位置の温度測定値を順次取得する。
【0029】
続いて、成膜装置1に設けられるコンピュータである制御部5の構成について、図9のブロック図を用いて説明する。図中51はバスであり、このバス51には、上記の放射温度測定部3、CPU52、温度マップ記憶部53、表示部54及び入力操作部55が接続されている。温度マップ記憶部53は、後述するように回転テーブル12の各アドレスと温度測定値とを対応付けた温度マップデータ(温度データ)を記憶するメモリである。表示部54は、回転テーブル12の温度分布を示す画像データや、回転テーブル12の径方向と温度との関係を示すグラフデータや、前記径方向の温度の平均値と時間との関係を示すグラフデータなどを表示する。入力操作部55は、温度分布に関するデータの表示態様を指定する表示指定部を兼用し、ユーザが所定の操作を行う部位である。
【0030】
制御部5にはデータ作成部をなす温度マップ作成プログラム56と、データ処理部をなす温度データ編集プログラム57とが設けられている。温度マップ作成プログラム56は、放射温度測定部3から取り込んだ既述の温度測定値から前記温度マップを作成するプログラムである。温度データ編集プログラム57は、この例では入力操作部55により指定された表示態様に基づいて、温度マップデータから回転テーブル55の一面側におけるスキャン領域全体の温度分布をカラー画像で識別して表示部54に表示するためのプログラムである。これら温度マップ作成プログラム56及び温度データ編集プログラム57には、夫々温度マップの作成、表示部54への各データの表示を行えるように命令(各ステップ)が組み込まれ、装置の各部に制御信号を出力する。このプログラム(処理パラメータの入力操作や表示に関するプログラムも含む)は、コンピュータ記憶媒体例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、MO(光磁気ディスク)メモリーカードなどの記憶媒体に格納されて制御部5にインストールされる。
【0031】
前記温度マップデータを作成するために、回転テーブル12の表面に割り振られるアドレスについて説明する。このアドレスは、回転テーブル12の径方向の位置を特定する座標rと回転テーブル12の周方向の位置を特定するθとにより、極座標で割り振られている。温度マップ作成プログラム56は、放射温度測定部3により取得された各温度測定領域40の温度測定値を、当該温度測定領域40に対応するアドレスに割り振って温度マップデータを作成する。上記のように放射温度測定部3は1回のスキャンで前記径方向の128箇所の温度を検出するため、r座標は回転テーブル12の走査ポイント(スポット領域)から順に各走査ポイントに対応させて1〜128までの番地が割り当てられる。r座標の値が小さいほど回転テーブル12の内側よりの領域となる。θ座標は回転テーブル12の前記回転中心Pを基準とした0.5°刻みの角度で設定され、0〜355.5のうちの0.5刻みの番地が割り当てられる。なお、この刻み角度は一例を挙げたに過ぎず、この値に限られるものではない。回転テーブル12の回転方向上流側に向かうほどθの値が大きくなる。そして、θ=0のアドレスの回転方向下流側の隣の領域はθ=355.5のアドレスとして設定している。
【0032】
図10には、rが1〜128且つθが1、1.5であるアドレスの分布の一例を示している。この図11に示すように回転中心Pに近づくほど、回転テーブル12の周方向の長さは短くなるため、rが65〜128の範囲では温度測定データをθ=1、1.5のアドレスに夫々割り振るが、rが1〜64の範囲では温度測定データをθ=1として取り扱う。他のθ=0.5〜1の以外の範囲においても、rが1〜64の範囲ではθ=m+0.5(mは整数)をmとして取り扱う。なお、図中にAで示す回転中心Pから見て、θ=1、1.5であるアドレスの概形線と、回転中心Pとのなす角は実際には1°であるが、各アドレスの表示が小さくなって見え難くなることを防ぐために1°よりも大きく描いている。
【0033】
図11は、温度マップ記憶部53に記憶される温度マップデータのイメージを表として示している。この温度マップにおいて、放射温度測定部3により検出された温度測定値は、その温度測定値を取得した温度測定領域40に相当するアドレス(r、θ)に対応する領域に書き込まれる。この温度測定領域40とアドレス(r、θ)との対応付けについて説明すると、制御部5は、放射温度測定部3から送信される温度測定値が検出開始から何番目に送られた温度測定値かカウントして前記rの値を特定する。つまり、1番目に送られた温度測定値であればr=1、125番目に送られた温度測定値であればr=125、225番目に送られた温度測定値であればr=225−128=97である。
【0034】
温度マップ作成プログラム56は、温度測定を開始して放射温度測定部3が1回目に行ったスキャンで得られた温度測定値をθ=0の温度測定値として取り扱う。そして、以降に行われる放射温度測定部3のスキャンにより得られた温度測定値については、制御部5のクロックと回転テーブル12の回転速度とに基づいて制御部5が演算を行い、θを特定する。即ち、温度マップデータの作成を1分間行ったとすると、回転テーブル12の回転速度が240回転/分であれば0〜360°分の温度マップデータ群が240個連続して取得され、従って測定開始から経過時間に応じた温度マップデータを取り出すことができる。なお、後述するようにこの例では回転テーブル12の回転速度に比べて、放射温度測定部3のスキャン速度が十分速いことから、温度測定値のグラフを表示する際には例えば1回のスキャンにより得られた温度測定値は、同じ時間に得られた温度測定値であるものとして取り扱っている。
【0035】
ここで、回転テーブル12が回転しながら放射温度測定部3によるスキャンが行われるため、図12に示すように実際には温度測定領域40が回転テーブル12の内側から外側へ向けて移動する間に回転テーブル12から見ると、温度測定領域40は、1回のスキャン中に当該回転テーブル12の回転方向上流側に向かってカーブするように移動する。しかし、この例ではカーブの曲がりの程度が小さいため、図4に示したように1回のスキャンにより、回転テーブル12の径方向の直線に沿って温度測定領域が移動したものとして取り扱うこととする。つまり、1回のスキャンにおいて得られる温度測定値のr=2〜128のθの値は、r=1のθの値と同じ値であるものとして取り扱われて温度マップデータが作成される。
【0036】
ところで、温度測定を行うときの回転テーブル12の回転速度はこの例ではα回転/分であるため、図8中にθ1で示す連続して行われるスキャンのライン41、42のなす角は、下記の式1よりθ1はβ°である。
θ1=1秒間の回転テーブル12の回転速度(回転/秒)×360°÷スキャン速度(Hz)=(12/60)×360×1/150=0.48°・・・(式1)
つまり、1回スキャンを行ったら、次のスキャンでは前回のスキャンに対して0.48°だけθがずれたものとして、温度マップデータに温度測定値を書き込む。上記のようにθは0.5°刻みで設定されているため、例えば演算されたθが0.5で割り切れない数値の場合、制御部5はθの値をより近い0.5で割り切れる数値に近似し、その近似された数値で温度マップデータに書き込まれる。
また、このようにθを近似することで、n回目のスキャンとn+1回目のスキャンとで同じアドレスの温度マップデータを取得することになる場合があるが、その場合は例えばn+1回目のスキャンの取得データは無効になる。
【0037】
この成膜装置1による真空容器11内の温度分布を測定する手順について説明する。例えば成膜処理時と同様に5枚のウエハWが凹部16に載置された状態でユーザが入力操作部55より所定の操作を行い、回転テーブル12が静止した状態でヒータ20の温度が上昇する。その後、ヒータ20の出力が一定に維持され、回転テーブル12の温度が安定し、それによって、真空容器11内の温度分布に従って回転テーブル12の表面に温度分布が形成される。その後、ユーザが入力操作部55より所定の操作を行うと、回転テーブル12が、例えば12回転/分で回転すると共に放射温度測定部3により回転テーブル12の内側から外側へ向けて繰り返しスキャンが行われる。このとき回転テーブル12の熱容量により回転テーブル12表面の温度分布は維持されており、スキャンされた温度測定領域40に対応するアドレスに、測定温度値が書き込まれ、制御部5の記憶部53に温度マップデータが作成されていく。
【0038】
回転テーブル12が360°回転すると、温度マップ作成プログラム56は回転テーブル12の回転、放射温度測定部3のスキャン及び温度マップの作成を終了する。以上の一連の動作は温度マップ作成プログラム56により行われる。ユーザが入力操作部55から所定の指示を行うと、回転テーブル12の温度分布、即ち平面で見た真空容器11の温度分布がカラー画像として表示される。ヒータ20の出力を各々変えて、実際に温度分布測定を行って得られたカラー画像について、若干簡略化した模式図を図13、図14として夫々示している。これらのカラー画像は、実際には温度勾配に応じたカラーのグラデーションが掛けられた状態で示されるが、図13、図14では図示の便宜上、温度差が形成されている領域間を等高線で区画して示しており、濃いグレーで示した領域>淡いグレーで示した領域>斜線を付した領域の順で温度が高いことを示す。
【0039】
前記カラー画像は、温度データ編集プログラム57により描かれる。温度データ編集プログラム57は、温度マップデータを参照して表示部54の各アドレスに対応する位置に温度測定値を、当該温度測定値に応じたカラーのスポットとして表示部54に表示し、このカラースポットの集合により上記のように回転テーブル12のカラー画像が描き出される。
【0040】
ところで、同じ値のθを持つアドレスの温度測定値において、rの値が大きいものほど回転テーブル12の周縁部側のカラースポットとして出力されるが、図12で説明したように回転テーブル12の回転により、回転テーブル12の径方向外側に向かうほど、実際に温度を測定した位置が、割り当てられたθの位置よりも回転方向上流側にずれている。そこで温度データ編集プログラム57は、同じ値のθを持つ温度測定値について、回転テーブル12の径に沿って直線上に配列されたカラーとして出力するのではなく、回転テーブル12の周縁側に向かうほど回転方向上流側に向かってカーブする曲線上に配列されたカラースポットとして出力する。それによって、真空容器11内の実際の温度分布を精度高く表示部54に表示することができる。このカラースポットのカーブの度合は、測定を行うときの回転テーブル12の回転速度に応じて、温度測定値の取得位置と、当該温度測定値によるカラースポットの出力位置とが概ね一致するように設定される。
【0041】
上記の回転テーブル12のカラー画像の他に、表示部54に表示可能なデータの一例について説明する。ユーザは、上記の回転テーブル12のカラー画像において、その径方向に沿った任意の直線領域を指定することで、温度データ編集プログラム57が、表示部54にその直線領域の温度分布を示すグラフを表示する。図15、図16は、図13に夫々θ1、θ2で示した領域をユーザが指定して表示されたグラフの一例を示している。図17、図18は、図14に夫々θ3、θ4で示した領域をユーザが指定して表示されたグラフの一例を示している。なお、θ1とθ3とは同じ領域であり、θ2とθ4とは同じ領域である。各グラフの横軸は、回転中心Pからの距離(単位:mm)であり、この距離はアドレスのrの座標値に対応付けられて設定されている。縦軸は温度(単位:℃)である。
【0042】
このようなグラフが作成される手順を説明する。ユーザが上記のように直線領域を指定する。上記のようにこの直線領域には、異なるθを持つアドレスの温度測定値が出力されているが、温度データ編集プログラム57は、例えばその直線領域において最も径方向内側にカラースポットとして出力されている温度測定値のθの座標を検出する。そして、このθを持つアドレスのr=1〜128の温度測定値を用いて上記のグラフが作成される。
【0043】
上記の成膜装置1によれば、真空容器11内の温度分布により静止した状態でその表面に温度分布が形成された回転テーブル12を1回転させる間に、回転テーブル12の径方向に沿って繰り返しスキャンしてその径方向の温度を測定する放射温度測定部3と、回転テーブル12の各アドレスと取得された温度測定値とを対応付けて温度マップデータとして記憶する温度マップ記憶部53と、温度マップデータに基づいて回転テーブル12の温度分布を表示する表示部54が設けられている。ユーザは表示部54に表示される回転テーブル12のカラー画像やグラフにより真空容器11内の温度分布について詳細に予測することができる。また、成膜装置1によれば熱電対を真空容器11内に取り付ける手間が無くなるし、熱電対を取り付けるために真空容器11内を大気開放する手間も必要なくなるので容易に予測ができるという利点がある。
【0044】
上記の温度分布の測定は、装置の開発段階で行ったり、ウエハWの処理の合間のメンテナンス時にて、装置の動作状況を確認するために行ってもよい。また、上記の実施形態では、回転テーブル12を比較的遅い速度で1回転させる間にスキャンを繰り返し行い、回転テーブル12の各部の温度を測定しているが、回転テーブル12を速い速度で繰り返し回転させる間に、スキャンを繰り返し行い、回転テーブル12の各部の温度を測定してもよい。また、上記の温度分布の測定は回転テーブル12にウエハWが載置されていない状態で行ってもよい。
また、ユーザが温度分布の測定の開始を指示すると、回転テーブル12が静止すると共にヒータが所定の温度になり、予め設定された時間が経過して回転テーブル12の温度が安定すると、温度マップ作成プログラム56により自動で回転テーブル12の回転と、放射温度測定部3のスキャンとが開始されてもよい。
【0045】
上記の実施形態では、温度マップデータから図13、図14の回転テーブル12のカラー画像を表示するにあたり、上記のように同じθの温度測定値についてrが大きくなるほど回転方向上流側にカーブするカラースポットとして表示しているが、径方向に直線状に配列されたカラースポットとして表示してもよい。
また、図15〜図16の回転テーブルの径方向のグラフについては、図12で説明したように温度が実測された場所と、温度測定値が格納されるアドレスの場所とがずれていることを考慮して、rが大きくなるにつれて、前記θよりも回転方向上流側に向かってずれたθのアドレスの温度測定値を用いてグラフを作成してもよい。つまり、上記のカラー画像でユーザが指定した直線領域に出力されている各カラースポットに対応する各θのアドレスの温度測定値を用いてグラフを作成してもよい。
【0046】
上記の実施形態において、径方向のデータを表示するときには、1回の走査に要する時間内では回転テーブル12が静止しているとみなしている。このように1回の走査に要する時間内で回転テーブル12の回転方向の位置が大きく変わらない場合には、回転テーブル12の速度を考慮せずに各温度測定領域40に対応するアドレスを決定するようにしてもよい。また、前記放射温度測定部3は、できるだけ多くの箇所を測定して、回転テーブル12の温度分布を精度高く把握するために、回転テーブルが1回転する間に径方向に沿って10回以上走査することが好ましい。
【符号の説明】
【0047】
W ウエハ
D 分離領域
1 成膜装置
12 回転テーブル
14 容器本体
21 反応ガスノズル
3 放射温度検出部
40 温度測定領域
5 制御部
53 温度マップ記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理容器内に設けられた回転テーブル上の一面側に基板を載置し、この回転テーブルを回転させることにより基板を公転させながら基板に対して熱処理を行う熱処理装置に用いられる温度測定装置において、
前記回転テーブルの回転時にその上方から前記一面側を、当該回転テーブルの径方向に沿って繰り返し走査し、走査中に複数のスポット領域の温度を測定する放射温度測定部と、
前記回転テーブル上における放射温度測定部の走査領域に割り当てられたアドレスと放射温度測定部の温度測定値とを対応付けた温度データを記憶するための記憶部と、
前記走査の周期及び回転テーブルの回転数に基づいて特定された各スポット領域のアドレスに、スポット領域に対応する温度測定値を書き込むためのデータ作成部と、
前記記憶部に書き込まれた温度データに基づいて、回転テーブルの一面側の温度分布を表示する処理を行うデータ処理部と、
回転テーブルを静止させて回転テーブルの温度が安定した後、回転テーブルを回転させる間に放射温度測定部により繰り返し回転テーブルの一面側を走査し、回転テーブルの静止時における処理容器内の温度分布を推測するために、回転テーブルの一面側の温度分布をデータ処理部により表示する制御部と、
を備えたことを特徴とする温度測定装置。
【請求項2】
前記制御部は、回転テーブルの一面側の温度分布を表示するために、回転テーブルを少なくとも1回転させる間に放射温度測定部により繰り返して回転テーブルの一面側を走査するように制御信号を出力することを特徴とする請求項1記載の温度測定装置。
【請求項3】
前記記憶部に書き込まれた温度データに基づいて、回転テーブルの一面側の温度分布の表示態様を指定する表示指定部を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の温度測定装置。
【請求項4】
前記放射温度測定部は、回転テーブルが1回転する間に径方向に沿って10回以上走査することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の温度測定装置。
【請求項5】
処理容器内に設けられた回転テーブル上の一面側に基板を載置し、この回転テーブルを回転させることにより基板を公転させながら基板に対して熱処理を行う熱処理装置において、
回転テーブルを静止させて回転テーブルの温度を安定させる工程と、
回転テーブルの温度が安定した後、回転テーブルを回転させる間に放射温度測定部により前記一面側を、上方から当該回転テーブルの径方向に沿って繰り返し走査し、走査中に複数のスポット領域の温度を測定する工程と、
前記回転テーブル上における放射温度測定部の走査領域に割り当てられたアドレスと放射温度測定部の温度測定値とを対応付けた温度データを記憶部に記憶する工程と、
前記走査の周期及び回転テーブルの回転数に基づいて、各スポット領域のアドレスを特定し、そのアドレスにスポット領域に対応する温度測定値を書き込む工程と、
前記記憶部に書き込まれた温度データに基づいて、回転テーブルの静止時における処理容器内の温度分布を推測するために、回転テーブルの一面側の温度分布をデータ処理部により表示する工程と、
を備えたことを特徴とする温度測定方法。
【請求項6】
放射温度測定部により走査中に複数のスポット領域の温度を測定する工程は、
回転テーブルを少なくとも1回転させる間に放射温度測定部により繰り返して回転テーブルの一面側を走査する工程を含むことを特徴とする請求項5記載の温度測定方法。
【請求項7】
処理容器内に設けられた回転テーブル上の一面側に基板を載置し、この回転テーブルを回転させることにより基板を公転させながら基板に対して熱処理を行う熱処理装置に用いられるコンピュータプログラムを記憶する記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、請求項5または6のいずれか一項に記載の温度測定方法を実行するようにステップが組まれていることを特徴とする記憶媒体。
【請求項8】
処理容器と、この処理容器内に設けられる回転テーブルとを備え、この回転テーブル上の一面側に基板を載置し、この回転テーブルを回転させることにより基板を公転させながら基板に対して熱処理を行う熱処理装置において、
前記回転テーブルの回転時にその上方から前記一面側を、当該回転テーブルの径方向に沿って繰り返し走査し、走査中に複数のスポット領域の温度を測定する放射温度測定部と、
前記回転テーブル上における放射温度測定部の走査領域に割り当てられたアドレスと放射温度測定部の温度測定値とを対応付けた温度データを記憶するための記憶部と、
前記走査の周期及び回転テーブルの回転数に基づいて特定された各スポット領域のアドレスに、スポット領域に対応する温度測定値を書き込むためのデータ作成部と、
前記記憶部に書き込まれた温度データに基づいて、回転テーブルの一面側の温度分布を表示する処理を行うデータ処理部と、
回転テーブルを静止させて回転テーブルの温度が安定した後、回転テーブルを回転させる間に放射温度測定部により繰り返し回転テーブルの一面側を走査し、回転テーブルの静止時における処理容器内の温度分布を推測するために、回転テーブルの一面側の温度分布をデータ処理部により表示する制御部と、
を備えたことを特徴とする熱処理装置。
【請求項1】
処理容器内に設けられた回転テーブル上の一面側に基板を載置し、この回転テーブルを回転させることにより基板を公転させながら基板に対して熱処理を行う熱処理装置に用いられる温度測定装置において、
前記回転テーブルの回転時にその上方から前記一面側を、当該回転テーブルの径方向に沿って繰り返し走査し、走査中に複数のスポット領域の温度を測定する放射温度測定部と、
前記回転テーブル上における放射温度測定部の走査領域に割り当てられたアドレスと放射温度測定部の温度測定値とを対応付けた温度データを記憶するための記憶部と、
前記走査の周期及び回転テーブルの回転数に基づいて特定された各スポット領域のアドレスに、スポット領域に対応する温度測定値を書き込むためのデータ作成部と、
前記記憶部に書き込まれた温度データに基づいて、回転テーブルの一面側の温度分布を表示する処理を行うデータ処理部と、
回転テーブルを静止させて回転テーブルの温度が安定した後、回転テーブルを回転させる間に放射温度測定部により繰り返し回転テーブルの一面側を走査し、回転テーブルの静止時における処理容器内の温度分布を推測するために、回転テーブルの一面側の温度分布をデータ処理部により表示する制御部と、
を備えたことを特徴とする温度測定装置。
【請求項2】
前記制御部は、回転テーブルの一面側の温度分布を表示するために、回転テーブルを少なくとも1回転させる間に放射温度測定部により繰り返して回転テーブルの一面側を走査するように制御信号を出力することを特徴とする請求項1記載の温度測定装置。
【請求項3】
前記記憶部に書き込まれた温度データに基づいて、回転テーブルの一面側の温度分布の表示態様を指定する表示指定部を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の温度測定装置。
【請求項4】
前記放射温度測定部は、回転テーブルが1回転する間に径方向に沿って10回以上走査することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の温度測定装置。
【請求項5】
処理容器内に設けられた回転テーブル上の一面側に基板を載置し、この回転テーブルを回転させることにより基板を公転させながら基板に対して熱処理を行う熱処理装置において、
回転テーブルを静止させて回転テーブルの温度を安定させる工程と、
回転テーブルの温度が安定した後、回転テーブルを回転させる間に放射温度測定部により前記一面側を、上方から当該回転テーブルの径方向に沿って繰り返し走査し、走査中に複数のスポット領域の温度を測定する工程と、
前記回転テーブル上における放射温度測定部の走査領域に割り当てられたアドレスと放射温度測定部の温度測定値とを対応付けた温度データを記憶部に記憶する工程と、
前記走査の周期及び回転テーブルの回転数に基づいて、各スポット領域のアドレスを特定し、そのアドレスにスポット領域に対応する温度測定値を書き込む工程と、
前記記憶部に書き込まれた温度データに基づいて、回転テーブルの静止時における処理容器内の温度分布を推測するために、回転テーブルの一面側の温度分布をデータ処理部により表示する工程と、
を備えたことを特徴とする温度測定方法。
【請求項6】
放射温度測定部により走査中に複数のスポット領域の温度を測定する工程は、
回転テーブルを少なくとも1回転させる間に放射温度測定部により繰り返して回転テーブルの一面側を走査する工程を含むことを特徴とする請求項5記載の温度測定方法。
【請求項7】
処理容器内に設けられた回転テーブル上の一面側に基板を載置し、この回転テーブルを回転させることにより基板を公転させながら基板に対して熱処理を行う熱処理装置に用いられるコンピュータプログラムを記憶する記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、請求項5または6のいずれか一項に記載の温度測定方法を実行するようにステップが組まれていることを特徴とする記憶媒体。
【請求項8】
処理容器と、この処理容器内に設けられる回転テーブルとを備え、この回転テーブル上の一面側に基板を載置し、この回転テーブルを回転させることにより基板を公転させながら基板に対して熱処理を行う熱処理装置において、
前記回転テーブルの回転時にその上方から前記一面側を、当該回転テーブルの径方向に沿って繰り返し走査し、走査中に複数のスポット領域の温度を測定する放射温度測定部と、
前記回転テーブル上における放射温度測定部の走査領域に割り当てられたアドレスと放射温度測定部の温度測定値とを対応付けた温度データを記憶するための記憶部と、
前記走査の周期及び回転テーブルの回転数に基づいて特定された各スポット領域のアドレスに、スポット領域に対応する温度測定値を書き込むためのデータ作成部と、
前記記憶部に書き込まれた温度データに基づいて、回転テーブルの一面側の温度分布を表示する処理を行うデータ処理部と、
回転テーブルを静止させて回転テーブルの温度が安定した後、回転テーブルを回転させる間に放射温度測定部により繰り返し回転テーブルの一面側を走査し、回転テーブルの静止時における処理容器内の温度分布を推測するために、回転テーブルの一面側の温度分布をデータ処理部により表示する制御部と、
を備えたことを特徴とする熱処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−248631(P2012−248631A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118372(P2011−118372)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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