説明

温度測定装置および温度測定方法

【課題】ダクト内の面温度分布を安価かつ簡易に計測することができ、面温度分布を常時測定することができる温度測定装置および温度測定方法を提供する。
【解決手段】流体が流れる流路の一の壁面に取り付けられ、前記流路の他の壁面から発せられ、流体を通過した光が入射する受光部2と、受光部2に入射した光を分光する分光部3と、分光部3により分光された光から、少なくとも気体に関する吸収スペクトルである実測の吸収スペクトルを取得するとともに、気体の所定温度における理論上の吸収スペクトル、および、実測の吸収スペクトルを比較し、理論上の吸収スペクトルと実測の吸収スペクトルとの誤差が最も小さくなる所定温度を求める解析部4と、が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度測定装置および温度測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ボイラや、化学プラントにおける脱硫装置などの排ガス処理装置では、効率を把握するため、性能を改善するため、効率向上を図るために排ガスが流れるダクト内の面温度分布を測定されている。
【0003】
ボイラ、化学プラントなどのダクト内の面温度分布を計測する一般的な方法としては、熱電対を挿入して、挿入位置を変化させて温度を計測する方法が知られている。
そのほかに、温度の面分布を同時に計測する方法として、熱電対を複数グリッド状に配置して、面温度分布を計測する方法も知られている。さらに、光の吸収を活用して温度の分布を測定する方法も知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−233668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、熱電対を用いた面温度分布の測定方法では、面温度分布の測定に時間がかかるという問題があった。さらに、面温度分布を常時測定する常時モニター装置への適用には適していないという問題があった。
【0006】
面温度分布を同時に計測する方法では、熱電対のグリッドが排ガス流れの状態を乱すという問題があった。さらに、面温度分布を常時測定する常時モニター装置への適用には適していないという問題があった。
【0007】
光の吸収を活用した面温度分布の測定方法では、CT(コンピュータトモグラフィ)を活用することから、計測対象であるダクトに多くのポート(光の入出力を行う部分)を設ける必要があり、面温度分布の測定にコストがかかるという問題があった。さらに、ポートには光の入出力に係る窓が設けられており、この窓の汚れなどの管理を必要とするという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、ダクト内の面温度分布を安価かつ簡易に計測することができ、面温度分布を常時測定することができる温度測定装置および温度測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の温度測定装置は、流体が流れる流路の一の壁面に取り付けられ、前記流路の他の壁面から発せられ、前記流体を通過した光が入射する受光部と、該受光部に入射した光を分光する分光部と、該分光部により分光された光から、少なくとも前記気体に関する吸収スペクトルである実測の吸収スペクトルを取得するとともに、前記気体の所定温度における理論上の吸収スペクトル、および、前記実測の吸収スペクトルを比較し、前記理論上の吸収スペクトルと前記実測の吸収スペクトルとの誤差が最も小さくなる前記所定温度を求める解析部と、が設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、壁面から発せられて気体を通過した光を測定するため、測定光を気体に照射する構成を用いることなく、気体の温度を測定することができる。そのため温度測定装置における構成要素を少なくすることができ、安価に温度測定することができる。さらに、温度測定に際して、流路に受光部のみを配置するだけでよく、流路に配置する構成要素の数を減らすことができ、簡易に温度測定することができる。
【0011】
その一方で、壁面から発せられる気体を通過した光を用いて気体の温度を測定するため、流路を流れる気体における温度分布を安価かつ容易に測定することができる。つまり、流体を取り囲む壁面の全てから光が発せられているため、受光部における光を測定する方向を変える、または、光を測定する受光部を変更することのみで、気体の温度分布を測定することができる。
さらに、壁面から発せられ気体を通過した光を用いて気体の温度を測定するため、流路における気体の流れを阻害することがなく、常時、気体の温度を測定することができる。
【0012】
本発明の温度測定方法は、気体が流れる流路の壁面から発せられ、前記気体を通過した光を測定し、前記気体に関する吸収スペクトルである実測の吸収スペクトルを取得する取得ステップと、前記気体の所定温度における理論上の吸収スペクトル、および、前記実測の吸収スペクトルを比較し、前記理論上の吸収スペクトルと前記実測の吸収スペクトルとの誤差が最も小さくなる前記所定温度を求める演算ステップと、を有することを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、壁面から発せられて気体を通過した光を測定するため、測定光を気体に照射する構成を用いることなく、気体の温度を測定することができる。そのため温度測定に用いる構成要素を少なくすることができ、安価に温度測定することができる。さらに、温度測定に際して、流路に光を測定する構成要素のみを配置するだけでよく、流路に配置する構成要素の数を減らすことができ、簡易に温度測定することができる。
【0014】
具体的には、気体における光の吸収特性である吸収スペクトルにおける温度依存性を用いることにより、気体の温度を測定することができる。そのため、流路を流れる複数種類の気体の少なくとも1つにおいて吸収スペクトルが既知であれば、当該気体の温度を求めることができる。つまり、上述の気体に関する実測の吸収スペクトルと、複数の所定温度における理論上の吸収スペクトルとを比較し、誤差が最も小さな理論上の吸収スペクトルに関する所定温度が、上述の気体の温度に最も近い温度となる。
【0015】
その一方で、壁面から発せられる気体を通過した光を用いて気体の温度を測定するため、流路を流れる気体における温度分布を安価かつ容易に測定することができる。つまり、流体を取り囲む壁面の全てから光が発せられているため、光を測定する構成要素における光を測定する方向を変える、または、光を測定する構成要素を変更することのみで、気体の温度分布を測定することができる。
さらに、壁面から発せられ気体を通過した光を用いて気体の温度を測定するため、流路における気体の流れを阻害することがなく、常時、気体の温度を測定することができる。
【0016】
上記発明においては、前記取得ステップでは、前記気体を通過した光の強度に関するスペクトルであって、前記実測の吸収スペクトルを含む実測の発光スペクトルを取得し、前記演算ステップでは、前記壁面から発せられる光の強度に関する発光スペクトルを近似した近似スペクトル、および、前記理論上の吸収スペクトルに基づいて理論上の発光スペクトルを算出し、前記理論上の発光スペクトルと前記実測の発光スペクトルとの誤差が最も小さくなる前記所定温度を求めることが望ましい。
【0017】
本発明によれば、吸収スペクトルに基づいて気体の温度を測定する方法と比較して、より正確に気体の温度を求めることができる。例えば、吸収スペクトルのピークにおける波長を比較するだけでなく、吸収スペクトルの大きさ、つまり、壁面から発せられた光の強度に関する発光スペクトルから強度が低下した割合等も比較することにより、より正確に気体の温度を求めることができる。
【0018】
上記発明において、前記吸収スペクトルは水蒸気(HO)に関する吸収スペクトルであることが望ましい。
上記発明において、前記吸収スペクトルは、波長が750nmから850nmの範囲における水蒸気(HO)に関する吸収スペクトルであることがさらに望ましい。
【0019】
本発明によれば、流路を流れる気体、例えば排気ガスの温度を容易かつ確実に測定することができる。つまり、排気ガス中には水蒸気が含まれていることが通常であることから、水蒸気の吸収スペクトルを用いることにより、排気ガスの種類を問わず温度測定を行うことができる。特に、波長が750nmから850nmの範囲における水蒸気における吸収スペクトルは、光の吸収係数が小さく、吸収量が飽和しにくいため、測定する水蒸気の温度や、流路の径や、水蒸気の濃度が変化しても、適した吸収スペクトルを測定し、温度を計測することができる。さらに、当該範囲における吸収スペクトルには、温度依存性があるため、これを利用して排気ガスの温度を計測することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の温度測定装置および温度測定方法によれば、壁面から発せられて気体を通過した光を測定するとともに、吸収スペクトルの温度依存性を利用することにより、ダクト内の温度分布を安価かつ簡易に測定することができ、温度分布を常時測定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る温度測定装置の構成を説明するブロック図である。
【図2】図1の受光部の構成を説明する模式図である。
【図3】ダクトの壁面から発せられた光が受光部に入射する様子を説明する模式図である。
【図4】解析部により取得された実測の発光スペクトルを示すグラフである。
【図5】光の吸収量が飽和した状態説明するグラフである。
【図6】800nmから1000nmに存在する水蒸気の吸収帯を説明するグラフである。
【図7】800nm近傍における水蒸気の吸収スペクトルの温度依存性を説明するグラフである。
【図8】800nm近傍における水蒸気の吸収スペクトルの温度依存性を説明するグラフである。
【図9】800nm近傍における水蒸気の吸収スペクトルの温度依存性を説明するグラフである。
【図10】図2の受光部の別の実施例を説明する模式図である。
【図11】図2の受光部の更に別の実施例を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明の一実施形態に係る温度測定装置について、図1から図11を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る温度測定装置の構成を説明するブロック図である。図2は、図1の受光部の構成を説明する模式図である。
本実施形態では、本発明をボイラや化学プラントにおけるダクト(流路)10内を流れる排ガスの温度分布を測定する温度測定装置1に適用して説明する。
温度測定装置1には、図1および図2に示すように、受光部2と、分光部3と、解析部4と、が主に設けられている。
【0023】
受光部2はダクト10における壁面11の外側に配置されるものであって、壁面11から発せられる光が入射するものである。つまり、受光部2における壁面11と対向する面には、光が入射する入射窓(図示せず。)が設けられている。
さらにダクト10が、図2に示すように4つの壁面11から構成された四角筒状に形成されたものである場合には、互いに隣接する壁面11のそれぞれに受光部2が配置されている。
【0024】
分光部3は、壁面11から発せられた光を分光するものであり、分光後の光を解析部4に導くものである。
なお、分光部3としては公知のものを用いることができ、特に限定するものではない。
【0025】
その一方で、受光部2と分光部3との間には、受光部2に入射した光を分光部3に導く光ファイバAが設けられ、分光部3と解析部4との間には、分光された光を解析部に導く光ファイバBが設けられている。
なお、光ファイバA,Bとしては公知の光ファイバを用いることができ、特に限定するものではない。
【0026】
解析部4は、分光部3により分光された光を検出するとともに、ダクト10を流れる排気ガスの温度を算出するものである。解析部4で行われる排気ガス温度の具体的な算出方法については後述する。
【0027】
次に、上記の構成からなる温度測定装置1における排気ガスの温度測定方法について説明する。
本実施形態では、ダクト10の壁面11から発せられる光の発光分布(波長依存性)が不明なため、多項式(例えば2次式から9次式)を用いて当該発光分布を近似して用いている。つまり、当該近似された発光分布、および、ダクト10内を流れる気体における理論上の吸収帯(温度依存性がある。)との組み合わせと、実際に計測された発光分布と、の誤差が最小となる温度を求めることにより、ダクト10内を流れる排気ガスの温度を決定している。
【0028】
図3は、ダクトの壁面から発せられた光が受光部に入射する様子を説明する模式図である。
一般に、ダクト10の壁面11からは光が発せられており、図3に示すように、当該光は受光部2に入射する。図3では、受光部2が配置された壁面11と対向する壁面11および隣接する壁面11の一部から発せられた光が受光部2に入射している場合が示されている。図3におけるi=1,2,3,・・・,nは、計測線の番号を示すものであり、j=1,2,3,・・・,nは、計測点の番号を示すものである。計測点とは2つ計測線が交差する点のことである。
【0029】
ここで、壁面11から発せられた光は、ダクト10の内部を流れる排気ガスを透過して受光部2に入射している。そのため、受光部2に入射する光は、排気ガスに含まれる成分、例えば水蒸気によって一部が吸収されている。
なお、壁面11における温度の計測場所を特定するために、光ファイバAにレーザ光などの確認用の光が入射されていてもよく、特に限定するものではない。
【0030】
図4は、解析部により取得された実測の発光スペクトルを示すグラフである。
受光部2に入射した一の計測線に係る光は光ファイバAを介して分光部3に入射し、分光部3において分光される。一の計測線に係る分光された光は、光ファイバBを介して解析部4に入射し、解析部4は、図4に示すような実測の発光スペクトルRSを測定し、波長Xに関する信号強度の関数Fi(X)を取得する(取得ステップ)。
【0031】
ここで、実測の発光スペクトルRSは、壁面11から発せられた光の発光スペクトルWSと、ダクト10内を流れる気体に関する吸収スペクトル(実測の吸収スペクトル)とが組み合わされたスペクトルになっている。
【0032】
その一方、解析部4は、ダクト10の壁面11から発せられる光の発光分布、つまり発光スペクトルWSを以下に記載する波長Xに関する信号強度の多項式Di(X)で近似する。
Di(X)=ai+aiX+aiX+・・・+aiX
ここで、aからaは多項式の係数であり、iは計測線番号である。
また、多項式の次数は2次から9次までの任意の次数を用いることができ、特に限定するものではない。
【0033】
さらに解析部4は、ダクト10内を流れる排気ガスに含まれる気体、本実施形態では水蒸気の理論上の吸収スペクトルの波長Xに関する強度信号の関数Yij(X,Tij)を求める。
ここでTは水蒸気の温度であり、iは計測線番号であり、jは計測点番号である。そのため、Yij(X,Tij)は温度Tに関する関数でもあり、かつ、各計測線iの計測点jにおける関数である。
【0034】
すると、各計測線iにおける理論上の発光スペクトル(波長Xに関する信号強度)は、以下の関数で表わすことができる。
Di(X)×ΣYij(X,Tij)
つまり、波長Xに関する信号強度の多項式Di(X)と、水蒸気の理論上の吸収スペクトル(波長Xに関する強度信号)の関数Yij(X,Tij)における計測点番号jについての和との積により表わすことができる。
【0035】
解析部4は、コンピュータトモグラフィと最小自乗法を用いて、上述の過程を経て得られた各計測線iにおける理論上の発光スペクトルと、実測の発光スペクトルRSとの誤差が最小となる温度Tijを算出する(演算ステップ)。
Σ(Fi(X)−Di(X)×ΣYij(X,T))
【0036】
ここで、温度Tijを算出する際に、排気ガスに含まれる水蒸気の吸収スペクトル(例えば、2700nm、1900nm、1330nmの吸収帯)を用いることも考えられる。
【0037】
図5は、光の吸収量が飽和した状態説明するグラフである。
しかしながら、ボイラや化学プラントなどのダクト10内を流れる排気ガス(水蒸気)の温度を計測する場合、以下の不都合な点があった。つまり、ダクト10は数mから10m程度の径を有し、上述の波長を利用して水蒸気(排気ガス)の温度を計測すると、図5に示すように、光の吸収量が飽和してしまい、ダクト10内を流れる排気ガス(水蒸気)温度の解析は困難となる。
【0038】
図6は、800nmから1000nmに存在する水蒸気の吸収帯を説明するグラフである。
その一方で、水蒸気における約800nmから約1000nmの範囲に存在する吸収帯(図6参照。)は、光の吸収係数が小さく、また、吸収量が異なる吸収帯域が存在するため、測定する水蒸気の温度や、ダクト10の径や、水蒸気の濃度が変化しても、適した吸収スペクトルを測定し、温度を計測することができる。
図7から図9に示すように、波長が約750nmから約850nmまでの範囲における水蒸気の吸収スペクトルは、温度の変化に伴い変化している。つまり温度依存性があるため、これを利用して水蒸気(排気ガス)の温度を計測することができる。
【0039】
上記の構成によれば、壁面11から発せられて排気ガス(水蒸気)を通過した光を測定するため、測定光を排気ガス(水蒸気)に照射する構成を用いることなく、排気ガス(水蒸気)の温度を測定することができる。そのため温度測定装置1における構成要素を少なくすることができ、安価に温度測定することができる。さらに、温度測定に際して、ダクト10に受光部2のみを配置するだけでよく、ダクト10に配置する構成要素の数を減らすことができ、簡易に温度測定することができる。
【0040】
具体的には、排気ガスに含まれる水蒸気における光の吸収特性、つまり、吸収スペクトルにおける温度依存性を用いることにより、水蒸気の温度を測定することができる。そのため、ダクト10を流れる複数種類の気体の少なくとも1つ(例えば水蒸気)において吸収スペクトルが既知であれば、水蒸気の温度を求めることができる。つまり、水蒸気に関する実測の吸収スペクトルと、複数の所定温度における理論上の吸収スペクトルとを比較し、誤差が最も小さな理論上の吸収スペクトルに関する所定温度を、上述の気体の温度に最も近い温度として求めることができる。
【0041】
さらに、実測の吸収スペクトルを含む実測の発光スペクトルRSと、理論上の発光スペクトルとに基づいて排気ガス(水蒸気)の温度を測定することにより、吸収スペクトルのみに基づいて排気ガス(水蒸気)の温度を測定する方法と比較して、より正確に排気ガス(水蒸気)の温度を求めることができる。例えば、吸収スペクトルのピークにおける波長を比較するだけでなく、吸収スペクトルの大きさ、つまり、壁面11から発せられた光の強度に関する発光スペクトルから強度が低下した割合等も比較することにより、より正確に排気ガス(水蒸気)の温度を求めることができる。
【0042】
その一方で、壁面11から発せられる排気ガス(水蒸気)を通過した光を用いて排気ガスの温度を測定するため、ダクト10を流れる排気ガスにおける温度分布を安価かつ容易に測定することができる。つまり、排気ガスを取り囲む壁面11の全てから光が発せられているため、受光部2における光を測定する方向を変える、または、光を測定する受光部2を変更することのみで、排気ガス(水蒸気)の温度分布を測定することができる。
さらに、壁面11から発せられ排気ガス(水蒸気)を通過した光を用いて排気ガス(水蒸気)の温度を測定するため、ダクト10における排気ガスの流れを阻害することがなく、常時、排気ガスの温度を測定することができる。
【0043】
図10は、図2の受光部の別の実施例を説明する模式図である。
なお、受光部2の構成としては、図2および図3に示すように、ダクト10が延びる方向に対して直交する平面上(図2および図3の紙面上)における排気ガスの温度分布を2次元的に測定するものであってもよいし、図10に示すように、ダクト10が延びる方向も含め、ダクト10内を流れる排気ガスの温度分布を3次元的に測定するものであってもよく、特に限定するものではない。
【0044】
図11は、図2の受光部の更に別の実施例を説明する模式図である。
さらに、図11に示すように集光光学系21を受光部2に配置し、かつ、光ファイバAをファイバの単線A1の集合であるバンドルファイバとし、単線A1を集光光学系21に向かって広がるように配置してもよく、特に限定するものではない。
【符号の説明】
【0045】
1 温度測定装置
2 受光部
3 分光部
4 解析部
10 ダクト(流路)
11 壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流れる流路の一の壁面に取り付けられ、前記流路の他の壁面から発せられ、前記流体を通過した光が入射する受光部と、
該受光部に入射した光を分光する分光部と、
該分光部により分光された光から、少なくとも前記気体に関する吸収スペクトルである実測の吸収スペクトルを取得するとともに、
前記気体の所定温度における理論上の吸収スペクトル、および、前記実測の吸収スペクトルを比較し、
前記理論上の吸収スペクトルと前記実測の吸収スペクトルとの誤差が最も小さくなる前記所定温度を求める解析部と、
が設けられていることを特徴とする温度測定装置。
【請求項2】
気体が流れる流路の壁面から発せられ、前記気体を通過した光を測定し、前記気体に関する吸収スペクトルである実測の吸収スペクトルを取得する取得ステップと、
前記気体の所定温度における理論上の吸収スペクトル、および、前記実測の吸収スペクトルを比較し、
前記理論上の吸収スペクトルと前記実測の吸収スペクトルとの誤差が最も小さくなる前記所定温度を求める演算ステップと、
を有することを特徴とする温度測定方法。
【請求項3】
前記取得ステップでは、前記気体を通過した光の強度に関するスペクトルであって、前記実測の吸収スペクトルを含む実測の発光スペクトルを取得し、
前記演算ステップでは、前記壁面から発せられる光の強度に関する発光スペクトルを近似した近似スペクトル、および、前記理論上の吸収スペクトルに基づいて理論上の発光スペクトルを算出し、
前記理論上の発光スペクトルと前記実測の発光スペクトルとの誤差が最も小さくなる前記所定温度を求めることを特徴とする請求項2記載の温度測定方法。
【請求項4】
前記吸収スペクトルは水蒸気(HO)に関する吸収スペクトルであることを特徴とする請求項2または3に記載の温度測定方法。
【請求項5】
前記吸収スペクトルは、波長が750nmから850nmの範囲における水蒸気(HO)に関する吸収スペクトルであることを特徴とする請求項2または3に記載の温度測定方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−122886(P2011−122886A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−279572(P2009−279572)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】