説明

温度測定装置における補正データの取得方法およびこれを行う、温度測定方法、及び、温度測定装置。

【課題】本発明の目的は、様々な要因で変化する赤外線センサの精度及び感度を、校正することにより、適切に調整し、常に、高精度な赤外線センサを提供することである。
【解決手段】本発明は、赤外線センサの出力(Ip)と、センサ温度(Ts)と、補正データ(REV)とに基づいて測定対象物の温度を算出する温度測定方法において、補正データ(REV)は、測定対象物温度算出手段の出力(TIR)を接触式温度測定手段の出力(Tcont)に近づけるためのデータであって、(1)接触式温度測定手段が測温対象物に接触しており、かつ、(2)赤外線センサの測定視野内に測定対象物が入っている時に、取得されたものであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度測定装置における補正データの取得方法およびこれを行う、温度測定方法、及び、温度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギー化や環境センサの観点から、赤外線センサが注目されている。人体が発する赤外線を検知する人感センサは、照明やエアコンなどに搭載され、省エネルギー化に貢献している。また、赤外線センサは、測定対象物から入射する赤外線のエネルギー量を定量して温度を検出するという非接触式温度計としても期待されている。
【0003】
赤外線センサを用いて赤外線エネルギー量から対象物温度を定量する場合、赤外線センサから得られる信号を測定時の赤外線センサの周囲の環境温度に応じて補正する種々の温度補正を含む温度算出方法が知られている。
【0004】
例えば、引用文献1には、測温対象物の温度を測定する非接触式温度計及び接触式温度計と、非接触式温度計及び接触式温度計の測定値に基づいて、非接触式温度計の測定データの誤差を補正する補正乗数Aεを算出し、かつこの補正乗数Aεにより非接触式温度計の測定データを補正して補正値を算出する演算手段と、上記測定値及び補正値を表示するための表示手段とを備えた温度測定装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−327458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
赤外線センサを非接触温度計あるいは人感センサとして使用する場合、赤外線センサの出力特性、センサ温度の測定手段の測定精度等は常に一定なものではなく、外的要因(例えば汚れなど)や経時変化などの様々な要因により変化する。
【0007】
しかし、これらに起因する非接触温度測定誤差を補正するための補正データを簡易かつ高精度に取得する方法または装置については、今まで提案されていない。
【0008】
引用文献1に記載の温度測定装置は、赤外線センサ部として熱型赤外線センサを用いたものであり、主に測定対象物の放射率や測定環境に起因する誤差を補正することは可能であっても、赤外線センサの出力特性、センサ温度の測定手段の温度測定精度等に起因する誤差を補正するものではない。
【0009】
本願発明は、様々な要因で変化する赤外線センサの出力特性、環境温度の測定手段の測定精度等の影響を補正するための補正データを簡易かつ高精度に取得する方法、およびこれを行う、温度測定方法、及び、温度測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の補正データの取得方法は、測定対象物から放射される赤外線を検出して電気信号を出力する赤外線センサと、上記赤外線センサの温度(Ts)を測定するセンサ温度測定手段と、測定対象物の温度を測定する接触式温度測定手段と、測定対象物温度算出手段とを備える非接触式温度測定装置において、上記測定対象物温度算出手段が、上記赤外線センサの出力(Ip)と、上記センサ温度測定手段から得られる赤外線センサの温度(Ts)とに基づいて、測温対象物の温度(TIR)を算出する工程で使用される補正データ(REV)の取得方法であって、(1)上記接触式温度測定手段が測定対象物に接触しており、かつ、(2)上記赤外線センサの測定視野を測定対象物が覆っていると判断した時に、上記接触式温度測定手段から得られる温度(Tcont)と、測定対象物温度算出手段の出力(TIR)とを比較して、測定対象物温度算出手段の出力(TIR)を上記接触式温度測定手段から得られる温度(Tcont)に近づけるための上記補正データを取得することを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項2に記載の補正データの取得方法は、上記補正データが、上記赤外線センサの温度のオフセット補正値(TsOffset)、上記赤外線センサの出力のオフセット補正値(IpOffset)、および上記赤外線センサの出力のゲイン補正値(Ipgain)からなる群より選択される少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項3に記載の補正データの取得方法は、上記補正データが、上記赤外線センサの温度のオフセット補正値(TsOffset)を含み、該補正データは、上記(1)(2)の条件に加え、(3)上記赤外線センサの出力(Ip)がゼロ近傍であるときに、上記補正データを取得することを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項4に記載の補正データの取得方法は、上記補正データが、上記赤外線センサの出力のゲイン補正値(Ipgain)を含み、該補正データは、上記(1)(2)の条件に加え、(3´)上記赤外線センサの出力(Ip)の絶対値が所定の値以上であるときに、上記補正データを取得することを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項5に記載の補正データの取得方法は、上記補正データが、上記赤外線センサの出力のオフセット補正値(Ipoffset)を含み、該補正データは、上記(1)(2)の条件に加え、(3)上記赤外線センサの出力(Ip)がゼロ近傍であるときに、上記補正データを取得することを特徴とする。
【0015】
上記の課題を解決するために、本発明の請求項6に記載の温度測定方法は、赤外線センサからの出力(Ip)を取得するステップと、上記赤外線センサのセンサ温度測定手段から出力(Ts)を取得するステップと、上記赤外線センサの出力(Ip)と、上記赤外線センサのセンサ温度測定手段から得られる赤外線センサの温度(Ts)と、補正データ(REV)とに基づいて測定対象物の温度を算出するステップとを含む温度測定方法において、上記補正データ(REV)は、接触式温度測定手段から得られる温度(Tcont)と、測定対象物温度算出手段の出力(TIR)とを比較して、測定対象物温度算出手段の出力(TIR)を上記接触式温度測定手段から得られる温度(Tcont)に近づけるためのデータであって、(1)上記接触式温度測定手段が測温対象物に接触しており、かつ、(2)上記赤外線センサの測定視野内に測定対象物が覆っていると判断した時、に取得されたものであることを特徴とする。
【0016】
上記の課題を解決するために、本発明の請求項7に記載の温度測定装置は、測定対象物から放射される赤外線を検出して電気信号を出力する赤外線センサと、上記赤外線センサの温度(Ts)を測定するセンサ温度測定手段と、測定対象物の温度を測定する接触式温度測定手段と、測定対象物温度算出手段と、補正データ生成手段とを備える温度測定装置において、補正データ生成手段は、(1)上記接触式温度測定手段が測定対象物に接触しており、かつ、(2)上記赤外線センサの測定視野内に測定対象物が覆っていると判断した時に、上記接触式温度測定手段から得られる温度(Tcont)と、測定対象物温度算出手段の出力(TIR)とを比較して、測定対象物温度算出手段の出力(TIR)を上記接触式温度測定手段から得られる温度(Tcont)に近づけるための上記補正データを生成するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以上のような構成により、様々な要因で変化する赤外線センサの出力特性、環境温度の測定手段の測定精度等の影響を補正するための補正データを簡易かつ高精度に取得する方法、およびこれを行う、温度測定方法、及び、温度測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態1に係る非接触温度測定装置のブロック図である。
【図2】本発明の実施形態2に係る非接触温度測定装置のブロック図である。
【図3】本発明の実施例1に係る温度測定装置の構成図を示す図である。
【図4】本発明の実施例1に係る温度測定装置の使用例1を示す図である。
【図5】本発明の実施例1に係る温度測定装置の使用例2を示す図である。
【図6】本発明の実施例2に係る温度測定装置の使用例1を示す図である。
【図7】赤外線センサの温度特性であって、センサ温度毎の対象物温度と光電流との関係を示す図である。
【図8】赤外線センサの温度補正のブロック図を示す図である。
【図9】オフセット温度特性の補正後のセンサ温度毎の対象物温度と光電流との関係を示す図である。
【図10】ゲイン温度特性の補正後のセンサ温度毎の対象物温度と光電流との関係を示す図である。
【図11】本発明の温度補正のブロック図を示す図である。
【図12】本発明の実施例3に係る補正データ取得方法の例1を示す図である。
【図13】本発明の実施例3に係る補正データ取得方法の例2を示す図である。
【図14】本発明の実施例3に係る補正データ取得方法の例3を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照に詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態1に係る温度測定装置のブロック図である。
【0021】
図1において、非接触温度測定装置101は、測定対象物107から放射される赤外線を検出して電気信号を出力する赤外線センサ102と、赤外線センサ102の温度(Ts)を測定するセンサ温度測定手段103と、測定対象物温度算出手段104と、測定対象物107の温度(Tcont)を測定する接触式温度測定手段105と、補正データ生成手段106とを備える。
【0022】
赤外線センサ102は、ここでは説明の都合上、量子型赤外線センサについて説明するがこれには限定されず、サーモパイル、焦電型センサ、ボロメータなどの熱型赤外線センサでもよい。赤外線センサ102は、その測定視野109から測定対象物107から放出される赤外線を検出し、これに応じて発生する光電流(Ip)を測定対象物温度算出手段104に送出する。図1に示すように、赤外線受光部110が筐体108の表面に存在する赤外線センサ102であってもよいし、図2に示すように、赤外線受光部110が筐体111の開口部の内部に存在する赤外線センサであってもよい。赤外線受光部110が筐体111の開口部の内部に存在する場合、開口部には赤外線を透過する材質の窓材、光学フィルタ、レンズなどを必要に応じて備えることが出来る。
【0023】
センサ温度測定手段103は、赤外線センサ102の温度を直接測定するものであってもよいし、赤外線センサ102の温度と関係を有する部材(例えば封止材や基板等)の温度を測定するものであっても良い。赤外線センサ102の周辺に設置されたサーミスタ、白金抵抗体などの接触式温度計がセンサ温度測定手段103として例示できるが、これには限定されず、赤外線センサ102自体の温度や、赤外線センサ自体の温度と関係を有するセンサ周辺の温度情報が得られる部品であればよい。赤外線センサと、そのセンサ温度を測定する温度測定手段と、信号処理を行うICが、ワンチップにパッケージされたものなどでもよい。センサ温度測定手段103は、赤外線センサ102の温度(Ts)を測定し、これを測定対象物温度算出手段104に送出する。
【0024】
測定対象物温度算出手段104は、赤外線センサ102から入力された光電流(Ip)と、センサ温度測定手段103から入力された、赤外線センサ102のセンサ温度(Ts)とに基づいて、測定対象物107の温度(TIR)を算出する。本発明では、後述する補正データ生成手段106で算出される補正データ(REV)に基づいて、測定対象物107の温度(TIR)の算出についてキャリブレーションも行う。
【0025】
接触式温度測定手段105は、測定対象物107に接触した際に測定対象物107の温度を直接的または間接的に正確に測定できる手段である。図1では、非接触温度測定装置101の筐体108の表面に設置された2mm角の白金抵抗体の接触式温度計を接触式温度測定手段105として使用するが、これには、限定されず、サーミスタなどの他の接触式温度計でもよい。また、図2に示すように測定対象物107と接することが可能な筐体の一部と接触式温度計を組み合わせたものを接触式温度測定手段105としても良い。なお、一般的に、接触式温度計は、非接触式温度計に比べて、測定誤差が少なく、精度がよい。接触式温度測定手段105は、測定時に、(1)測定対象物107に接触し、かつ、(2)赤外線センサ102の測定視野109を測定対象物107が覆うように、設置され、上記の条件を満たす場合に、測定対象物107の温度(Tcont)を測定し、これを、補正データ生成手段106に送出する。
【0026】
補正データ生成手段106は、接触式温度測定手段105から受信した測定対象物107の温度(Tcont)情報、及び測定対象物温度算出手段104から受信した測定対象物107の温度(TIR)情報に基づいて、測定対象物温度算出手段104で使用する補正データ(REV)を生成する。より精度の高い補正データ(REV)を得る観点から、赤外線センサ102から入力された光電流(Ip)や、センサ温度測定手段103から入力された赤外線センサ102のセンサ温度(Ts)の情報を更に用いて上記補正データ(REV)を生成しても良い。本発明では、後述するように、この補正データ(REV)として、赤外線センサ102の温度(Ts)のオフセット補正値(TsOffset)、赤外線センサ102の出力(Ip)のオフセット補正値(IpOffset)、および赤外線センサ102の出力(Ip)のゲイン補正値(Ipgain)の3つの補正データを生成するが、これには限定されず、これらの補正データから選択される少なくとも1つを含むものでもよい。
【実施例】
【0027】
次に、上述した本発明の温度測定装置の実際の実施例について説明する。
[実施例1]
【0028】
まず、本発明の温度測定装置の実施例1について図3乃至図5を使用して説明する。
図3は、本発明の実施例1に係る温度測定装置の構成図である。
図3において、携帯機器等本体部301は、赤外線センサ302と、センサ温度測定手段303と、接触式温度測定手段305とを備える。携帯機器301としては、携帯電話、PDA、ノートパソコン、温度計など、赤外線センサを利用する機器が含まれる。
【0029】
赤外線センサ302は、携帯機器301の表面に開口部306を有するように表面から距離を置いて設置される。また、センサ温度測定手段303は、赤外線センサ302の周辺に設けられ、赤外線センサ302のセンサ温度(Ts)を測定する。また、接触式温度測定手段305は、携帯機器301の表面であって、開口部306の周辺に設置される。
【0030】
図4は、本発明の実施例1に係る非接触式温度測定装置の使用例1を示す図である。
図4では、図3に示した非接触式温度測定装置としての携帯機器301が測定対象物407上に置かれた状態を示す。
【0031】
図4において、測定対象物407が開口部306を覆うように、携帯機器301が置かれた場合、赤外線センサの測定視野を測定対象物が覆った状態になり、赤外線センサ302が測定対象物407から放射される赤外線を検出して光電流(Ip)を出力し、センサ温度測定手段303が赤外線センサ302のセンサ温度(Ts)を測定するのと同時に、接触式温度測定手段305が、測定対象物407に接触するため、この温度(Tcont)を同時に測定し、上述した測定対象物の温度(TIR)の算出に使用される補正データ(REV)を算出し、キャリブレーションを行う。
【0032】
このとき、携帯機器301が、(1)接触式温度測定手段303が測定対象物407に接触しており、かつ、(2)赤外線センサ302の測定視野を測定対象物が覆っていると判断するための手段の一例としては、携帯機器301の開口部306側の面を測定対象物407に接触させ、かつ、赤外線センサの測定視野を測定対象物が覆うように携帯機器301を設置するように使用者に指示画面を表示し、使用者が該設置を完了したらその旨を携帯機器301に入力して補正データ(REV)の算出を開始する方法が挙げられる。別の一例としては、携帯機器301が、携帯機器301自身の角度や静止状態等から(1)接触式温度測定手段303が測定対象物407に接触しており、かつ、(2)赤外線センサ302の測定視野を測定対象物が覆っていることを自動的に判断して補正データ(REV)の算出を開始する方法が挙げられる。具体的には、接触式温度測定手段303の開口部306側の面が地面側になった状態で一定時間水平に保たれていることを携帯機器内部の地磁気センサ等を用いて判断し、自動的に補正データ(REV)の算出を開始する方法や、
携帯機器301が接続されると、(1)接触式温度測定手段303が測定対象物407に接触し、かつ、(2)赤外線センサ302の測定視野を覆うような充電器(クレードル)を用いて、充電状態であることを判断して、自動的に補正データ(REV)の算出を開始する方法や、
使用者が携帯機器301を使用中(図5の様に測定対象物を人間の手となる状態)であることを判断して自動的に補正データ(REV)の算出を開始する方法などが挙げられるが、この限りではない。
【0033】
ここでは、赤外線センサ302の出力(Ip)情報と、赤外線センサ302のセンサ温度(Ts)情報と、接触式温度測定手段305から得られる測定対象物温度(Tcont)を、携帯機器301が測定対象物407上に置かれた状態で本体にロギングし、そのデータを基に、キャリブレーションを行うこともできる。
【0034】
図5は、本発明の実施例1に係る温度測定装置の使用例2を示す図である。
図5では、図3に示した携帯機器301が、人間の手508により握られた状態を示す。ここでも、手508で携帯機器301が握られた場合、赤外線センサ302が、手508から放射される赤外線を検出して光電流(Ip)を出力し、センサ温度測定手段303が赤外線センサ302のセンサ温度(Ts)を測定するのと同時に、接触式温度計305が、測定対象物である手508に接触するため、この温度(Tcont)を測定し、上述した測定対象物の温度(TIR)の算出に使用される補正データ(REV)を算出しキャリブレーションを行う。補正の内容は、使用例1と同様である。
【0035】
[実施例2]
次に、本発明の温度測定装置の実施例2について図6を使用して説明する。
【0036】
図6は、本発明の実施例2に係る温度測定装置の使用例1を示す図である。
図6において、携帯機器601は、赤外線センサ602と、接触式温度測定手段を内蔵した筐体605と、開口部606とを備える。
【0037】
図6において、左側の図は、携帯機器601の使用時を示し、右側の図は、携帯機器601を折り畳んだ状態であって、携帯機器601の赤外線センサ602と、接触式温度計を内蔵した筐体605とが対向した状態(校正時)を示している。図6に示す校正時において、筐体605は開口部606を覆った状態で、接触式温度計は筐体の605の温度を測定し、上述の実施例1と同様にキャリブレーションを行う。補正の内容も、実施例1と同様である。
【0038】
次に、本発明の赤外線センサの補正方法について、説明する。
【0039】
図7は、放射率ε=0.97の黒体炉を測定対象物として測定した赤外線センサの温度特性であって、センサ温度(Ts)毎の測定対象物温度(Tobj)と光電流(Ip)との関係を示す図である。赤外線センサとしては、砒化ガリウム(GaAs)基板上に、n型インジウムアンチモン(InSb)層と、p型InSb層と、上記n型InSb層と上記p型InSb層との間に光吸収層であるi型InSb層と、上記p型InSb層と上記i型InSb層との間に、生成したキャリアのリークを防ぐためのバリア層であるp型アルミニウムインジウムアンチモン(AlInSb)層と、を積層したPIN構造を有する、フォトダイオードを用いた。なお、赤外線センサの測定視野の視野角(開口角)は約120°で、赤外線センサと黒体炉との距離は約2.5cmで、黒体炉表面は10cm角の正方形であり、黒体炉表面が赤外線センサの測定視野を覆った状態で測定を実施した。
【0040】
図7から、センサ温度(Ts)の変化によって、(1)オフセットに加え、(2)感度(図7のグラフの傾き)が変化することがわかる。
【0041】
従って、センサ温度(Ts)に応じた、出力信号の、(1)オフセット温度特性の補正、(2)ゲイン温度特性の補正を行うことにより、適切な補正が行うことができる。この方針に従った、赤外線センサ出力の温度補正のブロック図を図8に示す。
【0042】
図8において、赤外線センサ802から出力された光電流(Ip)は、ブロック804において、ゲイン補正値(Ipgain)を用いたゲイン調整が行われる。具体的には、Ip×Ipgainの計算が行われる。
【0043】
次に、センサ温度測定手段803において、センサ温度(Ts)の測定が行われ、ブロック805において、オフセット温度特性の補正が行われる。ここで、オフセット補正量Offsetは、センサ温度(Ts)の関数で、Offset=f(Ts)であり、具体的には、Ipgain×Ip−f(Ts)の計算が行われる。図9に、オフセット温度特性の補正後のセンサ温度(Ts)毎の測定対象物温度(Tobj)と光電流(Ip)との関係を示す。
【0044】
次に、ブロック806において、ゲイン温度特性の補正が行われる。ここで、ゲイン補正量Gainは、センサ温度(Ts)の関数で、Gain=g(Ts)であり、具体的には、{Ipgain×Ip−f(Ts)}×g(Ts)の計算が行われる。図10に、ゲイン温度特性の補正後のセンサ温度(Ts)毎の測定対象物温度(Tobj)と光電流(Ip)との関係を示す。
【0045】
次に、ブロック807において、上述のブロック806から出力された図10に示された特性について、リニアライズが行われ、これにより、測定対象物温度(Tobj)の測定結果であるTIRが算出される。
【0046】
ここで、リニアライズの関数を変数xを用いてL(x)と表すと、図7乃至図10を用いて説明した、基本となる補正方法の補正式は、以下のようになる。
TIR=L[{Ipgain×Ip−f(Ts)}×g(Ts)]=L(Ipgain,Ts,Ip)・・・(1)
【0047】
この基本となる補正式を変形した本願発明の補正式を以下に示す。
TIR=L[{Ipgain×(Ip+IpOffset)−f(Ts+TsOffset)}×g(Ts+TsOffset)]=L(Ipgain,Ts,TsOffset,Ip,IpOffset)・・・(2)
【0048】
[実施例3]
また、上記本願発明の補正式の方針に従った、赤外線センサ出力の温度補正のブロック図を図11に示す。
【0049】
理想的には、式(1)で、既知の温度(Tobj)の対象物を使用し、TIR=Tobjとなるように、ゲイン補正値(Ipgain)を調整することによりキャリブレーションが可能である。しかし、現実のシステムでは、センサ温度の測定誤差や、光電流、或いは、それを電流−電圧変換/増幅した出力電圧のオフセットが生じる。
【0050】
式(2)を導入し、ゲイン補正値(Ipgain)、センサの温度のオフセット補正値(TsOffset)、光電流のオフセット補正値(IpOffset)を調整するキャリブレーションを行うことにより、非接触温度測定の精度が向上でき、経時的なセンサ周辺部品特性の変化、位置ずれ、センサ自身の特性変化の影響を低減することができる。
【0051】
以下、TsOffset、IpOffsetを算出する方法を例示する。
【0052】
接触式温度測定手段を使用して、測定対象物温度(Tobj)を実測できる場合、すなわち、Tcont=Tobjの場合、赤外線センサの出力は、センサと測定対象物との温度差による赤外線の授受によるため、測定対象物とセンサ温度とが同じ温度の場合にはセンサの出力がゼロになるという原理に従って、
Tcont=Tobj=Ts+TsOffset・・・(3)
の関係と
Ip+IpOffset=0・・・(4)
の関係とを使用して、TsOffset、IpOffsetの最適値が求められる。
【0053】
図12は、本発明の補正データ取得方法の例1を説明するための赤外線センサ出力の模式図である。例1では、センサ温度のオフセット(ΔTs)がΔTs≠0で,センサ出力のオフセット(ΔIp)がΔIp=0の場合を示している。破線は、理想的(ΔTs=ΔIp=0)な赤外線センサの出力特性(a)を表し、実線はΔTs≠0,ΔIp=0の出力特性(b)を表す。
【0054】
接触式温度測定手段を用いて、測定対象物温度(Tobj)を実測できる場合、Tcont=Tobjとなり、理想的な出力特性(a)においては、Ts=Tobj=TcontのときにIp=0となる。ところが、ΔTs≠0の出力特性(b)においては、Ts=Tobj=TcontのときにIp≠0、Ts=Tobj−ΔTsのときにIp=0となってしまい、理想的な赤外線センサの出力特性(a)とのズレが生じる。したがって、理想的な赤外線センサの出力特性から求めた、赤外線センサの補正式(1)を当てはめると、非接触温度測定結果(TIR)と測定対象物温度(Tobj)との間に誤差が生じてしまう。
【0055】
そこで、センサ温度のオフセット補正値(TsOffset)を求め、温度補正に用いる。TsOffsetは、式(3)を用いて、Ip=0でのTs(=Tobj−ΔTs)から求められる(TsOffset=ΔTs)。そして、補正式(2)に、TsOffsetの値を代入することで、高精度な非接触温度測定結果(TIR)が得られるようになる。
【0056】
さらに、TsOffsetの値を代入した後の補正式(2)でIpgainの値を調節することで、より高精度なTIRの算出ができる。
【0057】
このとき、Ip=0でのTsのデータが無い場合には、Ip=0近傍でのIpとTsのデータから関数Ip=F1(Ts)を求め、Ip=0におけるTsを導出する。
【0058】
なお、例1はΔTs≠0,ΔIp=0の場合において補正データを取得方法を例示したが、本発明の補正データ取得方法はそれに限られず、例えば実際にはΔIp≠0の場合であっても、ΔIp=0とみなした上で、Tsoffsetを導出する方法であっても良い。この場合、導出されたTsoffsetを用いることでTIRがTcontに近づくのであれば、従来よりも高精度なTIRの算出が可能になる。
【0059】
図13は、本発明の補正データ取得方法の例2を説明するための赤外線センサ出力の模式図である。例2では、センサ温度のオフセット(ΔTs)がΔTs=0で,センサ出力のオフセット(ΔIp)がΔIp≠0の場合を示している。破線は、理想的(ΔTs=ΔIp=0)な赤外線センサの出力特性(a)を表し、実線はΔTs=0,ΔIp≠0の出力特性(c)を表す。
【0060】
ΔIp≠0の出力特性(c)においては、Ts=Tcont=TobjのときにIp≠0となってしまい、理想的な赤外線センサの出力特性(a)とのズレが生じる。したがって、理想的な赤外線センサの出力特性から求めた、赤外線センサの補正式(1)を当てはめると、非接触温度測定結果(TIR)と測定対象物温度(Tobj)との間に誤差が生じてしまう。
【0061】
そこで、センサ出力のオフセット補正値(IpOffset)を求め、温度補正に用いる。IpOffsetは、式(4)を用いて、Ts=Tcont=TobjのときのIpを用いて求められる(IpOffset=−ΔIp)。そして、補正式(2)に、IpOffsetの値を代入することで、高精度な非接触温度測定結果(TIR)が得られるようになる。
【0062】
さらに、IpOffsetの値を代入した後の補正式(2)でIpgainの値を調節することで、より高精度なTIRの算出ができる。
【0063】
このとき、Ts=Tcont=TobjでのIpのデータが無い場合には、Ts=Tobj近傍でのIpとTsのデータから関数Ip=F2(Ts)を求め、Ts=TobjにおけるIpを導出する。
【0064】
なお、例2はΔTs=0,ΔIp≠0の場合において補正データを取得方法を例示したが、本発明の補正データ取得方法はそれに限られず、例えば実際にはΔTs≠0の場合であっても、ΔTs=0とみなした上で、Ipoffsetを導出する方法であっても良い。この場合、導出されたIpoffsetを用いることでTIRがTcontに近づくのであれば、従来よりも高精度なTIRの算出が可能になる。
【0065】
図14は、本発明の補正データ取得方法の例3を模式的に表す図である。例3では、センサ温度のオフセット(ΔTs)がΔTs≠0で,センサ出力のオフセット(ΔIp)がΔIp≠0の場合を示している。破線は、対象物温度Tobj1,Tobj2における、理想的(ΔTs=ΔIp=0)な赤外線センサの出力特性(a1),(a2)を表し、実線はΔTs≠0,ΔIp≠0の出力特性(d1),(d2)を表す。
【0066】
ΔIp≠0の出力特性(d1),(d2)においては、Ts=Tcont=Tobj1,Ts=Tcont=Tobj2のときにIp≠0となってしまい、それぞれ、理想的な赤外線センサの出力特性(a1),(a2)とのズレが生じる。したがって、理想的な赤外線センサの出力特性から求めた、赤外線センサの補正式(1)を当てはめると、非接触温度測定結果(TIR)と測定対象物温度(Tobj)との間に誤差が生じてしまう。
【0067】
そこで、センサ温度のオフセット補正値(TsOffset)と、センサ出力のオフセット補正値(IpOffset)とを求め、温度補正に使用する。
【0068】
ΔTs≠0,ΔIp≠0の出力特性(d1),(d2)においては、未知数が2つ(TsOffset、IpOffset)となるため、以下のようにして連立方程式を解く。
【0069】
まず、Tcont=Tobj1において(d1)、Ip=0近傍でのIpとTsのデータから関数Ip=F3(Ts)を求め、式(3)、(4)から次式を得る。
−IpOffset=F3(Tobj1−TsOffset)・・・(5)
【0070】
また、Tcont=Tobj2において(d2)、Ip=0近傍でのIpとTsのデータから関数Ip=F4(Ts)を求め、同様に次式を得る。
−IpOffset=F4(Tobj2−TsOffset)・・・(6)
【0071】
式(5)、(6)を連立方程式として解いて、TsOffset、IpOffsetを得る。そして、補正式(2)に、TsOffset、IpOffsetの値を代入することで、高精度な非接触温度測定結果(TIR)が得られるようになる。
【0072】
さらに、IpOffsetの値を代入した後の補正式(2)でIpgainの値を調節することで、より高精度なTIRの算出ができる。
【0073】
以上のように、接触式温度測定手段を用いて、測定対象物温度(Tobj)をTcontとして実測できる場合、測定対象物とセンサ温度とが同じ温度の場合にはセンサの出力がゼロになるという原理に従って、TsOffset、IpOffsetが求められるようになり、Ipgainを適切に調節することで、高精度な非接触温度測定結果(TIR)が得られる。
【0074】
また、Ipが特定の条件(例えば、|Ip|≦0.5nA等)を満たした場合などに、(Ip,Ts)のデータ群をロギングしておいて、式(5),(6)に基づき、TsOffset、IpOffsetを求めることも可能である。なお、|Ip|≦0.5nA等の条件を設定するのは、関数Ip=F3(Ts),Ip=F4(Ts)は、Ip=0近傍でのIpとTsのデータから得られるからである。
【0075】
また、TsとTcontが特定の条件(例えば、|Tcont−Ts|≧5℃等)を満たした場合などに、(Ip,Ts)のデータ群をロギングしておいて、式(2)に基づき、Ipgainを求めることも可能である。なお、|Tcont−Ts|≧5℃等の条件を設定するのは、赤外線センサの出力は、センサと測定対象物との温度差による赤外線の授受によるため、ある程度の温度差があれば、精度の高いIpgainのキャリブレーションが行えるからである。
【0076】
Ipgainのキャリブレーション方法としては、式(2)に基づいた方法以外にも、(Ip+IpOffset)を所定の値にするための係数をIpgainとして用いることも可能である。
【0077】
次に、本発明の補正データ取得方法の例4を説明する。
補正データ取得方法の例4では、3通りの温度(Tobj3,Tobj4,Tobj5)の測定対象物に対して、非接触温度測定装置を用いた温度測定を行い、赤外線センサの出力(Ip3,Ip4,Ip5)と、赤外線センサの温度(Ts3,Ts4,Ts5)と、測定対象物温度算出手段の出力(TIR3,TIR4,TIR5)と、を取得する。この間に、測定対象物に接触した接触式温度測定手段を用いてTcont=Tobj3,Tobj4,Tobj5を取得する。
【0078】
そして、式(2)において、Ipgain×IpOffset=aとおくと、次の3つの式が得られる。
TIR3=L[{Ipgain×Ip3+a−f(Ts3+TsOffset)}×g(Ts3+TsOffset)]・・・(7)
TIR4=L[{Ipgain×Ip4+a−f(Ts4+TsOffset)}×g(Ts4+TsOffset)]・・・(8)
TIR5=L[{Ipgain×Ip5+a−f(Ts5+TsOffset)}×g(Ts5+TsOffset)]・・・(9)
測定対象物温度算出手段の出力(TIR)と、接触式温度測定手段を用いて得られる温度(Tcont)とが一致した場合には、
Tobj3=L[{Ipgain×Ip3+a−f(Ts3+TsOffset)}×g(Ts3+TsOffset)]・・・(7’)
Tobj4=L[{Ipgain×Ip4+a−f(Ts4+TsOffset)}×g(Ts4+TsOffset)]・・・(8’)
Tobj5=L[{Ipgain×Ip5+a−f(Ts5+TsOffset)}×g(Ts5+TsOffset)]・・・(9’)
となるので、式(7’),(8’),(9’)を満たすTsOffset,Ipgain及びaを用いれば、Tobj3,Tobj4,Tobj5を含む測定対象物温度範囲で、精度の良い温度測定が可能となる。すなわち、式(7’),(8’),(9’)を連立方程式として解けば、適切な補正データ(TsOffset,Ipgain,a)を取得することができる。
【0079】
また別法としては、TsOffset,Ipgain,aのうち、いずれか一つのパラメータの値を設定しておいて、式(7’),(8’),(9’)のうちいずれか2つを用いた連立方程式を解いて、残りの二つのパラメータを求めることも可能である。この場合は、2通りの温度の測定対象物に対する非接触温度測定装置を用いた温度測定によって、補正データを取得することが出来る。
【0080】
その一例として、2つの出力、例えば、Ip3とIp4を用いて、その差分が所定の値CになるようにIpgainを定め、Ipgain = C/(Ip3−Ip4)、Ipgainを代入した式(7’),(8’),(9’)のいずれか2つを用いて、TsOffset及びaを求めることも可能である。ここで、補正後の測定温度をより精度良くする観点から、所定の値Cは、理想的(ΔTs=ΔIp=0)な赤外線センサの出力特性において、(Tobj3,Ts3)における理想的な出力Ipi3と、(Tobj4,Ts4)における理想的な出力Ipi4との差分、(Ipi3−Ipi4)を用いることが好ましい。
【0081】
なお、本実施例では、補正データの取得方法として、非接触式温度測定装置に備えられた接触式温度測定手段を用いて、測定対象物の温度を測定することにより、該測定対象物の温度を基にして、補正データを取得する方法を例示したが、該接触式温度測定手段を用いなくとも、測定対象物の温度が分かる場合(例えば、温度表示機構を備えた黒体炉を測定対象物として用いた場合など)には、測定対象物温度を既知のものとして、同様の補正データの取得方法を実施できる。
【0082】
本発明によれば、様々な要因で変化する赤外線センサの出力特性、環境温度の測定手段の測定精度等に関連するパラメータを校正することにより、高精度な非接触温度測定装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0083】
101 非接触温度測定装置
102 赤外線センサ
103 センサ温度測定手段
104 測定対象物温度算出手段
105 接触式温度測定手段
106 補正データ生成手段
107 測定対象物
108 筐体
109 測定視野
110 赤外線受光部
111 開口部を有する筐体
112 開口部
301 携帯機器等本体部
302、602 赤外線センサ
303 センサ温度測定手段
305 接触式温度測定手段
306、606 開口部
407 測定対象物
508 手
601 折り畳み式携帯機器
605 温度計を内蔵した筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物から放射される赤外線を検出して電気信号を出力する赤外線センサと、
前記赤外線センサの温度(Ts)を測定するセンサ温度測定手段と、
測定対象物の温度を測定する接触式温度測定手段と、
測定対象物温度算出手段とを備える非接触式温度測定装置において、
前記測定対象物温度算出手段が、前記赤外線センサの出力(Ip)と、前記センサ温度測定手段から得られる赤外線センサの温度(Ts)とに基づいて、測温対象物の温度(TIR)を算出する工程で使用される補正データ(REV)の取得方法であって、
(1)前記接触式温度測定手段が測定対象物に接触しており、
かつ、
(2)前記赤外線センサの測定視野を測定対象物が覆っていると判断した時に、
前記接触式温度測定手段から得られる温度(Tcont)と、測定対象物温度算出手段の出力(TIR)とを比較して、測定対象物温度算出手段の出力(TIR)を前記接触式温度測定手段から得られる温度(Tcont)に近づけるための前記補正データを取得することを特徴とする補正データの取得方法。
【請求項2】
前記補正データが、前記赤外線センサの温度のオフセット補正値(TsOffset)、前記赤外線センサの出力のオフセット補正値(IpOffset)、および前記赤外線センサの出力のゲイン補正値(Ipgain)からなる群より選択される少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の補正データ取得方法。
【請求項3】
前記補正データが、前記赤外線センサの温度のオフセット補正値(TsOffset)を含み、
該補正データは、前記(1)(2)の条件に加え、
(3)前記赤外線センサの出力(Ip)がゼロ近傍であるときに、
前記補正データを取得することを特徴とする請求項1または2に記載の補正データの取得方法。
【請求項4】
前記補正データが、前記赤外線センサの出力のゲイン補正値(Ipgain)を含み、
該補正データは、前記(1)(2)の条件に加え、
(3´)前記赤外線センサの出力(Ip)の絶対値が所定の値以上であるときに、
前記補正データを取得することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の補正データの取得方法。
【請求項5】
前記補正データが、前記赤外線センサの出力のオフセット補正値(Ipoffset)を含み、
該補正データは、前記(1)(2)の条件に加え、
(3)前記赤外線センサの出力(Ip)がゼロ近傍であるときに、
前記補正データを取得することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の補正データの取得方法。
【請求項6】
赤外線センサからの出力(Ip)を取得するステップと、
前記赤外線センサのセンサ温度測定手段から出力(Ts)を取得するステップと、
前記赤外線センサの出力(Ip)と、前記赤外線センサのセンサ温度測定手段から得られる赤外線センサの温度(Ts)と、補正データ(REV)とに基づいて測定対象物の温度を算出するステップと
を含む温度測定方法において、
前記補正データ(REV)は、接触式温度測定手段から得られる温度(Tcont)と、測定対象物温度算出手段の出力(TIR)とを比較して、測定対象物温度算出手段の出力(TIR)を前記接触式温度測定手段から得られる温度(Tcont)に近づけるためのデータであって、
(1)前記接触式温度測定手段が測温対象物に接触しており、
かつ、
(2)前記赤外線センサの測定視野内に測定対象物が覆っていると判断した時、
に取得されたものであることを特徴とする温度測定方法。
【請求項7】
測定対象物から放射される赤外線を検出して電気信号を出力する赤外線センサと、
前記赤外線センサの温度(Ts)を測定するセンサ温度測定手段と、
測定対象物の温度を測定する接触式温度測定手段と、
測定対象物温度算出手段と、
補正データ生成手段とを備える温度測定装置において、
補正データ生成手段は、
(1)前記接触式温度測定手段が測定対象物に接触しており、
かつ
(2)前記赤外線センサの測定視野内に測定対象物が覆っていると判断した時に、
前記接触式温度測定手段から得られる温度(Tcont)と、測定対象物温度算出手段の出力(TIR)とを比較して、測定対象物温度算出手段の出力(TIR)を前記接触式温度測定手段から得られる温度(Tcont)に近づけるための前記補正データを生成するものであることを特徴とする温度測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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