説明

温度等のセンサ一体型のバーコードリーダ

【課題】バーコードのデータの読み取りと対象物の温度等の測定・判定を同時にかつ簡単に行う。
【解決手段】温度等センサ一体型のバーコードリーダが、物品等に付されたバーコードを読み取るためのバーコード読み取り手段と、温度測定対象となる物品等の温度等を測定する温度測定手段であって、バーコード読み取り手段によるバーコードの読み取り成功を温度測定のトリガとして、その時に度測定手段が読み取っていたデータを温度情報とする温度測定手段と、温度測定手段によって得られた温度情報とバーコード読み取り手段によって得られた情報とを対応づけて記憶または転送する情報処理手段とを備え、商品データと温度等を同時に正確に測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度センサを内蔵したバーコードリーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンビニエンスストアなどでは、商品管理・顧客管理のためにPOSシステムを導入している。
【0003】
POSは販売時点データの取得により、売り上げデータの把握を行い、これを仕入れデータと結びつけることによって、売上、仕入れ、在庫の一元管理が可能となる。たとえば、コンビニエンスストア業界などの流通業界などにおいては、キャッシュレジスタにおいて商品に付されたバーコードを読み取り、買い上げ金額の算出、レシートの発行を行うだけではなく、商品在庫や売れ行きの管理などを行い、これらのデータがオンラインを通じて本部のサーバーに転送されるようになっている。この際に顧客の性別、年齢などのデータを入力し、また季節、日時、店舗の地域などのデータを併せて記憶させることにより、マーケティング、商品仕入れ、在庫管理、売上予測、その他にデータを活用することができる。
【0004】
ところで上記のようなデータの利用をする場合にも、現状では、たとえば缶飲料、ペットボトル飲料などを販売した際には、ホット飲料が売れたのかコールド飲料が売れたのかも、データを手入力することによらなければ把握することができず、実際にそのようにされている。これは商品に印刷されているバーコードだけでは、ホットかコールドかを判別できないためである。
【0005】
ホット用とコールド用で異なるバーコードをつければ解決することもできるが、保管している状態ではまったく同じ商品に別のバーコードを印刷するのでは、商品在庫の管理の手間などを考えると、手間やコストなどの面で合わない。また、季節の変わり目などには、ホット用のバーコードが印刷された商品をコールド用にして販売してしまえばPOSデータが誤ったデータを管理してしまうことも生じうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−33316号公報 従来のバーコードリーダや、POSシステムなどにおいて商品管理等をするために温度測定などを行う技術としては、たとえば特開2001−33316「携帯型温度計および食品衛生管理システム」においては、バーコードリーダ、熱電対センサ部を有する携帯型温度計を使用して、各作業工程の番号などを示す位置コードと、各作業工程で加工されている食品の温度情報を対にして記憶し、これをパソコン装置に直接、転送するシステムが開示されている。
【0007】
しかしながらこれでは、バーコードの読み取りと、温度測定とで、持ち替えて使用しなければならず、また、使用目的が製造作業工程における特定の製品のための品質管理であり、商品の販売現場(たとえばコンビニエンスストアなど)で様々な商品を扱うPOSシステムには使えない。
【特許文献2】特開平11−160160号公報 また、特開平11−160160「食品生産情報収集管理システム」においては、食品の生産加工全般にわたる温度履歴や使用設備等の食品生産情報を収集して記録媒体に自動記録し、総合的な管理情報を出力することができる食品生産情報収集管理システムが開示されている。
【0008】
これは、温度検出手段によって検出された温度を測定時間と共に記憶し、記憶されデータを上位のコンピュータに送出する温度履歴検出装置と、入力手段から入力された少なくとも作業者ID,生産設備情報,及び生産品情報のデータと時刻とを連係したデータを上位のコンピュータに送出する携帯型データ入力装置と、両装置受けたデータに基づいて生産品毎に時系列的に温度履歴,作業者及び生産設備を編集して記録媒体に記録する制御手段を具備した温度履歴収集装置とを備えるものである。
【0009】
しかしながらこれでは、バーコードの読み取りと、温度測定とで、持ち替えて使用しなければならず、また、使用目的が食品加工工場における特定の製品のための品質管理であり、商品の販売現場(たとえばコンビニエンスストアなど)で様々な商品を扱うPOSシステムには使えない。
【0010】
食品加工工場における、食品の温度の測定結果と、作業者や生産設備に関する情報、生産品に関する情報をそれぞれの機器で入力し、管理するものにすぎないからである。
【0011】
現状では、製造設備向けにバーコードリーダと温度測定プロープが完全に分離しているタイプのものがある。しかしながらこれでは、バーコードの読み取りと、温度測定とで、持ち替えて使用しなければならない。
【0012】
また、使用目的が製造(生産)における特定の製品のための品質管理であり、様々な商品を扱うPOSシステムには使えない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、上記の様々な課題を解決するために、本発明においては、バーコードリーダに温度センサを内蔵し、バーコードのデータ読み取りと、対象物の温度測定・判定を同時に行う。これにより、一体化することで、商品データと日付とその温度データを簡単に間違いなく入力することを目的とする。
【0014】
さらに、商品等に付されたバーコードを読み取る際に、補正データ等を用いて正確な測定が可能にすることをも目的とする。
【0015】
さらに本発明においては、バーコードリーダと温度センサの組み合わせ以外にも、バーコードリーダと湿度・水分・におい・ガスなどの各種センサを組み合わせることで、補正データの取得や測定条件の取得、設定を容易に行えると共に、バーコードから測定物を判断し、その湿度・水分・におい・音・照度などが適正であるかどうかなどの判定ができるシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明においては、
物品等に付されたバーコードを読み取るためのバーコード読み取り手段と、
温度測定対象となる物品等の温度を測定する温度測定手段と、
前記の温度測定手段によって得られた温度情報と、バーコード読み取り手段によって得られた情報とを対応づけて記憶または転送する情報処理手段とを備え、
商品データと温度データを同時に測定できることを特徴とする、温度センサ一体型のバーコードリーダであることを特徴としている。
【0017】
また、上記課題を解決するため、請求項2に記載の発明においては、
バーコード中に含まれる温度補正データを、前記のバーコード読み取り手段により読み取ることができ、様々な商品に対応した正確な温度測定が可能なことを特徴とする、請求項1に記載の温度センサ一体型のバーコードリーダであることを特徴としている。
【0018】
また、上記課題を解決するため、請求項3に記載の発明においては、
前記のバーコード読み取り手段によるバーコードの読み取り成功を温度測定のトリガとすることにより、温度測定のエリアが決定され、バーコードリーダの読み取りフォーカス範囲を変化させることにより、温度測定のエリアが設定可能なことを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載の温度センサ一体型のバーコードリーダであることを特徴としている。
【0019】
また、上記課題を解決するため、請求項4に記載の発明においては、
バーコード中に含まれる温度測定条件に従い、温度測定対象に合った測定方法による測定を、前記の温度測定手段が行うことが可能なことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の温度センサ一体型のバーコードリーダであることを特徴としている。
【0020】
また、上記課題を解決するため、請求項5に記載の発明においては、
バーコードリーダには、前記のバーコード読み取り手段以外の、データ入力手段が備えられ、
データ入力手段により読み取りまたは入力がされたデータと、温度測定手段により測定された温度データとを対応づけて、前記の情報処理手段がデータの記憶または転送が可能なことを特徴とする、請求項4に記載の温度センサ一体型のバーコードリーダであることを特徴としている。
【0021】
また、上記課題を解決するため、請求項6に記載の発明においては、
前記の温度測定手段に代えて、または温度測定手段とは別に、測定対象となる物品等の湿度、水分、臭い、ガス、その他の内のいずれか一つまたは複数を測定するための測定手段と、
前記の測定手段によって得られた情報と、バーコード読み取り手段によって得られた情報とを対応づけて記憶または転送する情報処理手段とが備えられ、
商品データと測定手段により得られたデータを同時に測定できることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のセンサ一体型のバーコードリーダであることを特徴としている。
【0022】
また、上記課題を解決するため、請求項7に記載の発明においては、
前記情報処理手段が情報を記憶または転送する際には、情報が得られた時刻情報が付加されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のセンサ一体型のバーコードリーダであることを特徴としている。
【0023】
また、上記課題を解決するため、請求項8に記載の発明においては、
バーコードリーダの読み取りと同時に常に各種センサの測定を行い、バーコードの読み取り成功をトリガとして、その時センサが読み取っていたデータを、バーコード読み取り手段によって得られた情報とを対応づけて記憶または転送することにより、応答性を向上させたことを特徴とする、請求項1〜2または4〜7のいずれかに記載の温度センサ一体型のバーコードリーダであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、バーコードリーダに温度センサを内蔵し、バーコードのデータ読み取りと、対象物の温度測定・判定を同時に行う。これにより、一体化することで、商品データと日付とその温度データを簡単に間違いなく入力することができる。
【0025】
さらに、商品等に付されたバーコードを読み取る際に、補正データ等を用いて正確な測定が可能にすることができる。
【0026】
さらに本発明においては、バーコードリーダと温度センサの組み合わせ以外にも、バーコードリーダと湿度・水分・におい・ガスなどの各種センサを組み合わせることで、補正データの取得や測定条件の取得、設定を容易に行えると共に、バーコードから測定物を判断し、その湿度・水分・におい・音・照度などが適正であるかどうかなどの判定をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明のシステムの基本的な構成の一例を示すブロック図である。
【図2】バーコードセンサ部などのバーコード読み取り手段と、放射型温度センサ部などの温度測定手段とが同一方向を向いて一体に設けられたバーコードリーダの一例を示す斜視図である。
【図3】本発明のシステムの別の基本的な構成の一例を示すブロック図である。
【図4】バーコード読み取り処理を示す斜視図である。
【図5】温度測定処理を示す斜視図である。
【図6】本発明の基本的な処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0029】
図1は、本発明のシステムの基本的な構成の一例を示すブロック図である。
【0030】
図1においては、バーコードセンサにより商品等に付されたバーコードを光学的に読み取るためのバーコードセンサ部などのバーコード読み取り手段が設けられる。またバーコードと同時に商品等の温度を測定するための放射型温度センサ部などの温度測定手段が設けられる。
【0031】
また、POSデータなどの入力を行うためのキーボード、キャッシュレジスタの入力キーなどのデータ入力手段が設けられた例を示している。
【0032】
バーコードセンサ部などのバーコード読み取り手段と、放射型温度センサ部などの温度測定手段とは、バーコードおよび温度を同時に読み取り・測定可能なように、図2に示すように同一方向を向いて設けられ、同一範囲あるいは重複する範囲を測定可能なようにすることが望ましい。
【0033】
図3は、本発明のシステムの別の基本的な構成の一例を示すブロック図である。
【0034】
図3においては、バーコードセンサにより商品等に付されたバーコードを光学的に読み取るためのバーコードセンサ部などのバーコード読み取り手段が設けられる。またバーコードと同時に商品等の温度を測定するための放射型温度センサ部などの温度測定手段が設けられる。
【0035】
また、POSデータなどの入力を行うためのキーボード、キャッシュレジスタの入力キーなどのデータ入力手段が設けられた例を示している。
【0036】
さらに、図3に示す形態においては、バーコードと同時に商品等の湿度を測定するための湿度センサ部などの湿度測定手段が設けられる。
【0037】
また、バーコードと同時に商品等の臭いを検知し、商品の鮮度などを測定するための臭いセンサ部などの臭い検知手段が設けられる。
【0038】
なお、図1、図3に一例を示すようないずれの形態であっても、読み取り・測定等をしたデータを処理する情報処理手段と、ハードウェア、ソフトウェアの動作の制御を行うための制御手段が設けられる。
【0039】
読み取り・測定したデータを所定のルールに従い補正して、情報処理を行うためには、データの補正をするための基準となるデータおよび基準に従い適正なデータに補正するために、それぞれのセンサに対応して、温度補正手段、湿度補正手段、臭い補正手段が備えられる。
【0040】
次に、情報処理されたデータを記憶するための、メモリ、ハードディスクなどの記憶手段や、インターネット、LANなどのネットワークを介してデータを転送するためのネットワーク通信手段などが設けられる。
【0041】
また表示手段は、POSデータの入力や、キャッシュレジスタによる金額等の入力、データの読み取り・測定などを行う際に、表示を行うためのディスプレイ、液晶表示画面などである。ただし、これらはバーコードリーダそのものに備えられる必要はなく、バーコードリーダと接続されて備えられることが通常の形態である。また、バーコードリーダと、記憶手段、表示手段等との間は、無線通信により接続される形態であってもよい。
【0042】
温度測定手段に用いられる温度センサとしては、従来、一般に接触式と非接触式とが知られている。接触式は、直接物体に接触して測定する方式で、センサの構成が簡単で広く用いられ、その代表例としては白金測温抵抗体・サーミスタ・熱電対が開発されている。
【0043】
非接触式は、物体から放射される赤外線を測定し、その赤外線の量から物体の温度を測定する方式で、放射温度センサなどがあり、1m前後離れた所からでも、本体前面部の赤外線センサで物体が自然に発している赤外線を受光して温度を計測することができる。すなわち測定対象物には一切触れずに温度を採取することができ、本発明のバーコードリーダにこれを一体にして組み込まれる。
【0044】
放射温度計は、温度に応じて物体から放射する赤外線エネルギー量を捕えることにより、非接触で温度測定ができる。
【0045】
請求項2に記載の発明においては、バーコード中に含まれる温度補正データを、前記のバーコード読み取り手段により読み取ることができ、様々な商品に対応した正確な温度測定が可能にされている。
【0046】
たとえば缶飲料であれば、読み取ったバーコードにより商品を特定し、その際の温度により、ホット・コールドの判定を行う。
【0047】
缶飲料のホット/コールドの判定であれば測定精度はあまり高くなくても良い。正確な温度測定を行うには測定物の放射率を知る必要がある。
【0048】
温度測定センサには、接触型の熱電対型温度センサと、非接触型の放射型温度センサなどがある。非接触型の放射型温度センサの場合、温度を性格に測定するためには、対象物の熱(赤外線)の放射率がわからなければならない。キャベツならキャベツの放射率、鉄缶・アルミ缶ならそれぞれの放射率を使用する必要がある。
【0049】
温度補正のためのデータは、バーコードリーダが備えるメモリなどの記憶手段、またはバーコードリーダと接続されて備えられる記憶手段に、バーコードで読み取られ判別される商品ごとに、補正係数などの温度補正データを記憶させておくことができる。
【0050】
さらに別の方法は、バーコードそのものに、温度補正データを入れておく方法を採用することができる。
【0051】
正確な温度測定が必要であれば、バーコードの中に放射率の補正データ等を含ませることで、対象物の放射率を判断し、正確に測定できる。
【0052】
正確な温度測定が必要な場合はバーコードの中に放射率の(補正)データ等を含ませることで補正し温度測定する。通常、赤外線の放射率は0.85〜0.95程度である。
【0053】
温度補正データを用いて、バーコードの情報と組み合わせることで、測定制度を高めることができる。バーコードを印刷した部分の温度を測定するのであれば、均質の素材でできていないものも正確に温度を測定できる。
【0054】
次に、請求項3に記載の発明においては、前記のバーコード読み取り手段によるバーコードの読み取り成功を温度測定のトリガとすることにより、温度測定のエリアが決定され、バーコードリーダの読み取りフォーカス範囲を変化させることにより、温度測定のエリアが設定可能にされている。
【0055】
たとえば、対象物の温度採取箇所へ狙いを的中させるため、レーザーマーカーにより、フォーカス範囲を変化させることができる。
【0056】
バーコードの読み取り成功をトリガにすることで、温度測定箇所を間違えることもないし、正確な温度測定が行える。バーコードリーダの読み取りフォーカス範囲を変化させることで、温度測定のエリアを設定できる。
【0057】
また、各種センサによる測定のタイミングとしては、バーコードリーダの読み取りと同時に常に各種センサの測定を行い、バーコードの読み取り成功をトリガとして、その時センサが読み取っていたデータを使用することもできる。この場合には応答性が高まる。
【0058】
さらに、読み取ったバーコードデータの中に書かれた指示から、全体の温度を測るのか、バーコードを印刷した部分の温度を測るかにより、放射型温度計のビーム幅を調節することで測定対象物を柔軟に設定できる。例えば、バーコードリーダの読み取りフォーカス範囲を0〜1cm程度にすれば、確実にバーコードの印刷された部分の温度を測定できる。
【0059】
バーコードを印刷した部分の材質を選び、表面をつや消し黒に塗ることにより、より正確に測定することができる。
【0060】
商品から読み取った温度データから、冷蔵庫、温蔵庫の温度管理も行える。
【0061】
ハンディ形バーコードリーダに限らず、テーブル形バーコードリーダ、OCR、レーザースキャナ、2次元コードリーダ、QRコードリーダ、ハンディーターミナルのような自動読み取り装置においても応用できる。
【0062】
次に、請求項4に記載の発明においては、バーコード中に含まれる温度測定条件に従い、温度測定対象に合った測定方法による測定を、前記の温度測定手段が行うことができる。
【0063】
バーコードに温度測定の条件を記載しておけば、対象物に合った測定方法を柔軟に指示できる。
【0064】
従来のハンディ形バーコードリーダに温度センサを併せ持った構造で、バーコードをスキャンしてその際の温度測定を行う。一体化することで、商品データとその温度データを簡単に間違いなく入力することができる。
【0065】
バーコードリーダは通常電源を投入している間は常時スキャンしている。バーコードに近付けてスキャンが成功しバーコードを読み取ると、その時の温度を放射型温度センサにより測定する。
【0066】
図4は、バーコード読み取り処理を示す斜視図である。
【0067】
また図5は、温度測定処理を示す斜視図である。
【0068】
また図6は、本発明の基本的な処理の一例を示すフローチャートである。
【0069】
以上に説明したバーコード読み取り・温度測定一体型のバーコードリーダによる処理を図6を参照して説明すると、販売現場などにおいて、操作者が、商品等に付されたバーコードを図4に示すようにスキャンして読み取る。バーコードにより通常のPOSシステムのように、商品名、メーカー名、価格などの情報が読み取れる。またバーコードリーダと接続されたキャッシュレジスタなどにおいて、数量を入力し、買い上げ金額の算出などを行うことができる。また顧客情報(性別、年齢など)を入力したり、さらに自動的に計時手段により日時を読み取り、また店舗の地域などを読み取ることができる。
【0070】
次いで、バーコードから直接又は間接的に放射率などの補正データや、測定条件などを取得する。
【0071】
バーコードのスキャンによる読み取りが成功した際には、それをトリガとして、温度測定手段が作動し、温度センサによる測定が行われる。
【0072】
その他の測定手段や入力手段がある場合には、測定されたデータ、入力されたデータをも取得する。測定または入力されたデータと、商品情報などのバーコード読み取りにより取得されたデータとは、関連付けられて記憶される。
【0073】
またオンラインで店舗の本部など遠隔地にデータを転送するようにすることもできる。
【0074】
また、請求項5に記載の発明においては、バーコードリーダには、前記のバーコード読み取り手段以外の、データ入力手段が備えられる。
【0075】
データ入力手段により読み取りまたは入力がされたデータと、温度測定手段により測定された温度データとを対応づけて、前記の情報処理手段がデータの記憶または転送が可能にされている。データ入力手段は、POSデータなどの入力を行うためのキーボード、キャッシュレジスタの入力キーなどである。また、バーコードリーダが備えるメモリなどの記憶手段、バーコードリーダに接続されて備えられる記憶手段から読み出すデータや、時計機能を有する計時手段から読み取られるデータなどを、接続端子、回路等を通じて取得する手段を含む。バーコードにより読み取ったデータや計測した温度データなどのデータと関連付けて取得することにより、商品管理、鮮度管理、POSデータ管理などに利用することができる。
【0076】
また、バーコードリーダは、キャッシュレジスタや、コンピュータ装置などの制御機器と接続される形態や、一体となった形態のほか、ハンディ型のものなど、温度測定手段等のセンサと一体型の、独立したバーコードリーダを用いることもできる。また無線通信機能を備えたバーコードリーダなどを利用することもできる。
【0077】
さらに、データの計測や、データの入力・取得に関しては、温度データ以外の様々なデータをバーコードリーダ一体型のセンサにより行うことができる。
【0078】
温度測定手段に代えて、または温度測定手段とは別に、測定対象となる物品等の湿度、水分、臭い、ガス、その他の内のいずれか一つまたは複数を測定するための測定手段を備えるような形態である。
【0079】
湿度、水分、臭い、ガス、その他の測定手段によって得られた情報と、バーコード読み取り手段によって得られた情報とを対応づけて記憶または転送する情報処理手段とが備えられ、商品データと測定手段により得られたデータを同時に測定できる。
【0080】
湿度センサは、雰囲気の湿分の吸脱着による電気的性質の変化を主として利用する。
【0081】
湿度センサとしては、乾湿球式・毛髪式・水晶振動式・高分子系センサや金属酸化物センサなどがある。その中でも、高分子系・金属酸化物は電子回路との相性の良い小型センサである。
【0082】
バーコードリーダと温度センサの組み合わせ以外にも、バーコードリーダと湿度・水分・におい・ガスなどの各種センサを組み合わせることで、補正データの取得や測定条件の取得、設定を容易に行える。バーコードから測定物を判断し、その湿度・水分・におい・音・照度などが適正であるかどうかなどの判定ができる。バーコードの中に補正データを入れることでより正確な測定も行える。
【0083】
貯蔵米の品質保持、貯蔵環境のためには湿度管理が重要である。バーコードリーダと湿度計のセンサを組み合わせれば、日付と管理番号と銘柄と湿度が同時にわかり、貯蔵米の湿度状態を一元管理でき、貯蔵環境の維持・管理が容易に行える。
【0084】
湿度センサを測定手段として用いる場合にも、湿度補正データを利用することにより、より正確な計測を行うことができる。
【0085】
湿度補正のためのデータは、バーコードリーダが備えるメモリなどの記憶手段、またはバーコードリーダと接続されて備えられる記憶手段に、バーコードで読み取られ判別される商品ごとに、補正係数などの湿度補正データを記憶させておくことができる。
【0086】
さらに別の方法は、バーコードそのものに、湿度補正データを入れておく方法を採用することができる。
【0087】
また、臭いセンサを測定手段として備えることができる。
【0088】
青果物の鮮度の判定・維持に、その青果物の水分量を測定する。もちろん青果物により適正な水分量は異なる。バーコードリーダと水分計のセンサを組み合わせれば青果物の種類と日付と水分量が同時にわかり、測定した水分量から青果物の種類に応じた鮮度の判定ができる。
【0089】
臭いセンサを測定手段として用いる場合にも、臭い補正データを利用することにより、より正確な計測を行うことができる。
【0090】
臭い補正のためのデータは、バーコードリーダが備えるメモリなどの記憶手段、またはバーコードリーダと接続されて備えられる記憶手段に、バーコードで読み取られ判別される商品ごとに、補正係数などの臭い補正データを記憶させておくことができる。
【0091】
さらに別の方法は、バーコードそのものに、臭い補正データを入れておく方法を採用することができる。
【0092】
食品・飲料分野において、品質管理や原料の検査に「におい」の判定を行う。例えば、コーヒーの種類の識別やチーズの熟成具合などである。バーコードリーダとにおいセンサを組み合わせれば、日付と製造番号とチーズの製造時期と熟成具合が同時にわかり、熟成度を判定し熟成時期を予想することができる。
【0093】
青果物はエチレンガスを発生し、青果物が熟すのを早めるホルモンとして作用する。熟し始めるとエチレンガスをより多量に発生する。また、青果物によりエチレンガスを多く発生するもの、少ないものがある。
【0094】
バーコードリーダとエチレンガスのセンサを組み合わせれば、日付と青果物の種類とエチレンガス濃度が同時にわかり、測定したエチレンガス濃度から青果物の種類に応じた青果物の追熟老化度を判定することができる。
【0095】
野菜が腐敗した時アセトアルデヒドが発生する。魚や肉が腐敗すると出るアンモニア、アミンなどが発生する。食品によりガスを多く発生するもの、少ないものがある。バーコードリーダと各種ガスセンサを組み合わせれば、日付と食品の種類とガス濃度が同時にわかり、測定したガス濃度から食品の種類に応じた腐敗度を判定することができる。
【0096】
機器メンテナンスにおいて、磨耗劣化などの振動音・異常音の検査を行う際に、バーコードリーダと音センサを組み合わせれば日付と管理番号と機器の種類と音が同時にわかり、検査した機器の音の一元管理・時系列管理およびその保守を手助けできる。
【0097】
なお、以上説明したいずれの形態にあっても、情報処理手段が情報を記憶または転送する際には、情報が得られた時刻情報が付加されるようにして、商品管理、在庫管理、POSデータ管理、その他の用途に利用することができる。
【0098】
また、食品その他の商品の販売現場における使用について主として例示したが、温度センサ、湿度センサ、臭いセンサ、照度センサ、音声センサ、風速センサ、雨量センサ、重量センサ、その他の様々な測定手段を用いることにより、様々な応用をすることができる。
【0099】
たとえば、オフィスビルなどで蛍光灯の照度検査に、バーコードリーダと照度センサを組み合わせれば、日付と階数と部屋番号と機種と管理番号などと照度が同時にわかり、検査した照度データの一元管理・時系列管理およびその保守を手助けできる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、バーコードリーダに温度センサを内蔵し、バーコードのデータ読み取りと、対象物の温度測定・判定を同時に行う。これにより、一体化することで、商品データと日付とその温度データを簡単に間違いなく入力することができる。
【0101】
さらに、商品等に付されたバーコードを読み取る際に、補正データ等を用いて正確な測定が可能にすることができる。
【0102】
さらに本発明においては、バーコードリーダと温度センサの組み合わせ以外にも、バーコードリーダと湿度・水分・におい・ガスなどの各種センサを組み合わせることで、補正データの取得や測定条件の取得、設定を容易に行えると共に、バーコードから測定物を判断し、その湿度・水分・におい・音・照度などが適正であるかどうかなどの判定をすることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品等に付されたバーコードを読み取るためのバーコード読み取り手段と、温度測定対象となる物品等の温度を測定する温度測定手段と、
前記の温度測定手段によって得られた温度情報と、バーコード読み取り手段によって得られた情報とを対応づけて記憶または転送する情報処理手段とを備え、
商品データと温度データを同時に測定できることを特徴とする、温度センサ一体型のバーコードリーダ。
【請求項2】
バーコード中に含まれる温度補正データを、前記のバーコード読み取り手段により読み取ることができ、様々な商品に対応した正確な温度測定が可能なことを特徴とする、請求項1に記載の温度センサ一体型のバーコードリーダ。
【請求項3】
前記のバーコード読み取り手段によるバーコードの読み取り成功を温度測定のトリガとすることにより、温度測定のエリアが決定され、バーコードリーダの読み取りフォーカス範囲を変化させることにより、温度測定のエリアが設定可能なことを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載の温度センサ一体型のバーコードリーダ。
【請求項4】
バーコード中に含まれる温度測定条件に従い、温度測定対象に合った測定方法による測定を、前記の温度測定手段が行うことが可能なことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の温度センサ一体型のバーコードリーダ。
【請求項5】
バーコードリーダには、前記のバーコード読み取り手段以外の、データ入力手段が備えられ、データ入力手段により読み取りまたは入力がされたデータと、温度測定手段により測定された温度データとを対応づけて、前記の情報処理手段がデータの記憶または転送が可能なことを特徴とする、請求項4に記載の温度センサ一体型のバーコードリーダ。
【請求項6】
前記の温度測定手段に代えて、または温度測定手段とは別に、測定対象となる物品等の湿度、水分、臭い、ガス、その他の内のいずれか一つまたは複数を測定するための測定手段と、
前記の測定手段によって得られた情報と、バーコード読み取り手段によって得られた情報とを対応づけて記憶または転送する情報処理手段とが備えられ、
商品データと測定手段により得られたデータを同時に測定できることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のセンサ一体型のバーコードリーダ。
【請求項7】
前記情報処理手段が情報を記憶または転送する際には、情報が得られた時刻情報が付加されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のセンサ一体型のバーコードリーダ。
【請求項8】
バーコードリーダの読み取りと同時に常に各種センサの測定を行い、バーコードの読み取り成功をトリガとして、その時センサが読み取っていたデータを、バーコード読み取り手段によって得られた情報とを対応づけて記憶または転送することにより、応答性を向上させたことを特徴とする、請求項1〜2または4〜7のいずれかに記載の温度センサ一体型のバーコードリーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−163762(P2009−163762A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60527(P2009−60527)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【分割の表示】特願2007−247729(P2007−247729)の分割
【原出願日】平成14年2月27日(2002.2.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(501373544)山富電機株式会社 (2)
【Fターム(参考)】