説明

温度調節機

【課題】水の体積膨張による配管内圧力の上昇を利用して、昇圧ポンプを用いることなく高温の温度調節ができる温度調節機を提供する。
【解決手段】温度調節機11は、循環ポンプ13を駆動制御し、加熱装置14を通電制御し、給水弁18、排水弁19および冷却水電磁弁26を開閉制御する制御装置30を備えている。この制御装置30は、給水弁18および排水弁19を開いて循環回路15内の空気を外部へ排出する制御機能と、給水弁18を開くとともに排水弁19を閉じて加圧供給水圧(水道水圧)下で加熱装置14により循環回路15内の熱媒体を加熱制御する制御機能と、給水弁18および排水弁19を閉じて循環回路15を閉回路に制御した加圧供給水圧(水道水圧)より高圧下で加熱装置14により循環回路15内の熱媒体を加熱制御する制御機能とを備えている。排水弁19の手前には配管内圧力変化を緩和する蓄圧用のアキュームレータ23を設置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧供給水を熱媒体とする温度調節機に関する。
【背景技術】
【0002】
水は大気圧(0.101325MPa(abs))下では100℃で沸騰する。水を媒体として用いる温度調節機においては、
媒体温度が100℃以下の場合は、大気圧下での媒体循環による温度調節が行われている。
【0003】
媒体温度が100℃を超える場合は、図7の配管系統図に示されるように、水道水の給水口1に接続された給水配管2を経て循環回路3に導入された水道水を熱媒体として循環ポンプ4により循環させながら、加熱装置5により加熱された水道水を被温度調節体6に供給する温度調節機を用いて、水道水圧等の外部からの供給圧力を利用し、循環ポンプ4の吸込側に水の飽和蒸気圧力以上の圧力を加えることで100℃を超える領域での温度調節が可能となる。例えば、120℃の場合は、0.19849MPa(abs)を加えることで温度調節が可能となる。
【0004】
しかし、一般的に水道水などの供給圧力は高くても0.3MPaG(ゲージ圧)程度であり、この圧力下では、144℃までの昇温は可能であるが、それ以上の温度調節が必要な場合には、図8の配管系統図に示されるように温水タンク7および昇圧ポンプ(増圧ポンプまたはブースタポンプ)8を付加した温度調節機を用いて、目標温度の飽和蒸気圧力を超える水圧を供給する必要がある。
【0005】
また、高温水用タンクおよびポンプなどの高温熱媒体循環系と、低温水用タンクおよびポンプなどの低温熱媒体循環系とを設け、金型に供給される熱媒体を高温水サイクルと低温水サイクルとで切換えるようにした金型温度調整装置もある(例えば、特許文献1または2参照)。
【特許文献1】特開2005−225042号公報(第11−14頁、図9−13)
【特許文献2】特開2006−110905号公報(第8−10頁、図1−4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図8に示された温度調節機や、特許文献1または2に記載された金型温度調整装置は、常時駆動またはサイクル駆動される少なくとも2種類のポンプを必要とするので、図7に示された温度調節機と比べて、少なくとも1つのポンプおよびそれに付随する部品のコストアップとポンプ電力消費量の増加の問題がある。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、水の体積膨張による配管内圧力の上昇を利用して、昇圧ポンプを用いることなく高温の温度調節ができる温度調節機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載された発明は、熱媒体を被温度調節体を経て循環ポンプにより循環するとともに加熱装置により加熱する循環回路と、循環回路に熱媒体としての加圧供給水を供給する給水管路を開閉制御する給水弁と、循環回路より熱媒体を外部へ排出する排水弁と、給水弁を開くとともに排水弁を閉じて加圧供給水圧下で加熱装置により循環回路内の熱媒体を加熱制御するとともに、給水弁および排水弁を閉じて循環回路を閉回路に制御した加圧供給水圧より高圧下で加熱装置により循環回路内の熱媒体を加熱制御する制御装置とを具備した温度調節機である。
【0009】
請求項2に記載された発明は、請求項1記載の温度調節機において、循環回路内の圧力変化を緩和する蓄圧用のアキュームレータを具備したものである。
【0010】
請求項3に記載された発明は、請求項2記載の温度調節機における排水弁およびアキュームレータは、循環回路において給水を受ける給水箇所より循環回路内で一巡した水を外部へ排出する管路に設けられたものである。
【0011】
請求項4に記載された発明は、請求項2または3記載の温度調節機において、給水管路中に設けられ循環回路内圧力が設定圧力以下になると起動し循環回路内に圧力が補充されると停止する補助ポンプを具備したものである。
【0012】
請求項5に記載された発明は、請求項1乃至4のいずれか記載の温度調節機における被温度調節体が、射出成形機用金型であり、循環回路に設けられた冷却用熱交換器と、この冷却用熱交換器に冷却水を供給する冷却水管路と、この冷却水管路を制御装置からの指令に基づき開閉制御する冷却水電磁弁とを具備したものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載された発明によれば、制御装置は、給水弁を開くとともに排水弁を閉じて循環回路内の熱媒体を加圧供給水圧下で加熱制御することにより、循環ポンプの吸込側に水の飽和蒸気圧力以上の圧力を加えて、100℃を超える第1段水温を得ることができるとともに、給水弁および排水弁を閉じて循環回路を閉回路に制御した加圧供給水圧より高圧下で循環回路内の熱媒体を加熱制御することにより、水の体積膨張による配管内圧力の上昇を利用して、従来のような昇圧ポンプを用いることなく、第1段水温よりさらに高温の第2段水温を容易に得ることができる。
【0014】
請求項2に記載された発明によれば、循環回路を閉回路に制御したときの急激な圧力上昇をアキュームレータにより緩和して、緩やかな圧力上昇が得られるので、加熱装置を加熱制御する際の温度制御を容易にすることができる。
【0015】
請求項3に記載された発明によれば、排水弁は、循環回路内で一巡した水を外部へ排出するので、運転開始に当たって循環回路内の空気を効率良く外部へ排出できるとともに、アキュームレータ内に蓄積しきれない過度に圧力上昇した循環回路内の水は、アキュームレータの設置管路に設けられた排水弁を開くことで直ちに外部へ排出して、循環回路内の圧力を適正に保つことができる。
【0016】
請求項4に記載された発明によれば、弁や配管からの漏れが多く、循環回路内に封じられた圧力がアキュームレータへの蓄積圧力でも不足し圧力低下が生じる場合は、補助ポンプが作動して、循環回路内の圧力低下を補うことができる。この補助ポンプは、常時作動するものではないため、従来の昇圧ポンプに比べてポンプ寿命を延ばすことができるとともに、ポンプ消費電力を節約できる。
【0017】
請求項5に記載された発明によれば、射出成形機用金型により射出成形する際に必要な金型温度を確保できるとともに、冷却用熱交換器に冷却水を供給する冷却水管路を、制御装置からの指令に基づき冷却水電磁弁によって開閉制御するので、射出成形後の型開および製品取出に必要な冷却温度を確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を、図1乃至図5に示された一実施の形態、図6に示された他の実施の形態を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1の配管系統図に示される温度調節機11は、熱媒体としての加圧供給水すなわち水道水を被温度調節体12を経て循環ポンプ13により循環するとともに加熱装置14により加熱する循環回路15と、この循環回路15に熱媒体の加圧供給水を給水口16より供給する給水管路17を開閉制御する給水弁18と、循環回路15より熱媒体を外部へ排出する排水弁19とを備えている。
【0020】
この循環回路15において給水を受ける給水箇所21の上流側から管路22が引出され、この管路22に、給水箇所21の上流側より循環回路15内で一巡した水を外部へ排出する上記排水弁19が設けられ、この排水弁19の手前で配管内圧力変化を緩和する蓄圧用のアキュームレータ23が設置されている。
【0021】
被温度調節体12は、例えば射出成形機用金型であり、射出成形の冷却工程に必要な金型冷却手段として、循環回路15には冷却用熱交換器24が設けられ、この冷却用熱交換器24に冷却水としての水道水を供給する冷却水管路25が設けられ、この冷却水管路25を開閉制御する冷却水電磁弁26が設置されている。
【0022】
冷却水管路25は、排水管路27を経て排水口28に連通されている。排水管路27には、排水弁19がオリフィス29を介して連通接続されている。
【0023】
この温度調節機11は、循環ポンプ13を駆動制御し、加熱装置14を通電制御し、給水弁18、排水弁19および冷却水電磁弁26を開閉制御する制御装置30を備えている。この制御装置30とこれにより制御される各制御対象物とは、図示されない配線により接続されている。
【0024】
この制御装置30は、給水弁18および排水弁19を開いて循環回路15内の空気を外部へ排出する制御機能と、給水弁18を開くとともに排水弁19を閉じて加圧供給水圧(水道水圧)下で加熱装置14により循環回路15内の熱媒体を加熱制御する制御機能と、給水弁18および排水弁19を閉じて循環回路15を閉回路に制御した加圧供給水圧(水道水圧)より高圧下で加熱装置14により循環回路15内の熱媒体を加熱制御する制御機能とを備えている。
【0025】
循環回路15は、熱媒体戻り側配管31から、循環ポンプ13、冷却用熱交換器24、加熱装置14、熱媒体吐出側配管32を経由して温度調節された熱媒体としての温水を被温度調節体12に送込み、この被温度調節体12から熱媒体戻り側配管31に熱媒体を戻す熱媒体循環経路を形成する。
【0026】
熱媒体戻り側配管31には熱媒体の吸込側圧力を表示する圧力計33が設けられ、循環ポンプ13にはポンプ駆動用の電動モータ34が接続され、加熱装置14は、タンク35内にヒータ36を設置するとともにヒータ温度を検出する温度センサ37を備え、熱媒体吐出側配管32には、熱媒体の吐出側圧力を表示する圧力計38、熱媒体の圧力を検出する圧力センサ39および熱媒体の温度を検出する温度センサ40が設けられている。
【0027】
ヒータ温度検出用の温度センサ37、媒体圧力検出用の圧力センサ39、媒体温度検出用の温度センサ40は、制御装置30の入力端子に接続され、また、給水弁18、排水弁19、冷却水電磁弁26、ポンプ駆動用の電動モータ34およびヒータ36は、制御装置30の出力端子に接続されている。
【0028】
なお、温度調節機11と被温度調節体12との間の配管中には手動開閉弁41および管継手42が設けられ、手動開閉弁41は、管継手42の接続後に全開されてその状態を保つ。
【0029】
次に、この図1に示された一実施の形態の作用を説明する。
【0030】
先ず、運転開始に当たって、給水弁18と排水弁19を開くと、給水口16より給水管路17内に供給された水が給水弁18を経由して熱媒体戻り側配管31の途中から循環回路15に入り、循環ポンプ13により、冷却用熱交換器24、加熱装置14を経て被温度調節体12に供給される。被温度調節体12からの排水は熱媒体戻り側配管31の途中から分岐され、排水弁19を経由して、循環回路15の配管内の空気とともに排水口28より外部へ排出される。
【0031】
循環回路15の配管内の空気が完全に排出された後、排水弁19を閉じることにより、循環ポンプ13の吸込側に水の飽和蒸気圧以上の水道水圧を加えて、循環回路15の水を加圧しつつヒータ36で加熱することができるので、120℃程度の水温を得ることができる。この温水を循環ポンプ13で被温度調節体12に供給して、この被温度調節体12を加温する。
【0032】
さらに、給水弁18を閉じ、循環回路15の配管内に給水口16より供給された圧力を封じる。封じられた水は熱媒体戻り側配管31から循環ポンプ13に吸込まれ、循環ポンプ13から吐出され、冷却用熱交換器24、加熱装置14、熱媒体吐出側配管32、被温度調節体12を循環する閉回路を形成する。
【0033】
このように、給水弁18および排水弁19を閉じることにより形成された閉回路内の水を加熱装置14で加熱することにより、水の体積膨張による配管内圧力の上昇を利用して、増圧ポンプを用いることなく水圧を上昇させて、150℃〜160℃程度まで水温を上げることができる。
【0034】
温度調節は、加熱制御をヒータ36が行ない、冷却制御を冷却水電磁弁26が行なう。すなわち、冷却水電磁弁26が開くと冷却用熱交換器24に冷却水が通水され、循環回路15の循環水が間接冷却される。
【0035】
アキュームレータ23は、媒体加熱時の熱膨張によって生じた必要以上の圧力を吸収し、このアキュームレータ23内に蓄積する。アキュームレータ23の蓄圧作用により、循環回路15内の急激な(急勾配の)圧力上昇が防止されるとともに、バルブや配管からのわずかな漏れが発生しても配管内圧力を長時間保持することが可能である。アキュームレータ23内に蓄積しきれない過度に圧力上昇した水は、排水弁19を開くことで、排水口より外部に排出される。
【0036】
被温度調節体12を急速冷却させる場合は、ヒータ36への通電出力を切り、循環ポンプ13を運転した状態で、例えば120℃程度までは冷却水電磁弁26を開き動作させ、循環水温度を間接冷却する。
【0037】
次に、給水弁18と排水弁19を開閉動作させ、冷却水を直接通水させた場合の実験例を、図2乃至図5に基づき説明する。
【0038】
(1) 配管内圧力を上昇させる実験
水の温度と密度の関係(例えば平成4年の理科年表参照)から、水の温度(x)と体積(y)の関係が得られる(図2参照)。水の温度と体積の関係のグラフより次の近似式が得られる。
【0039】
y=4×10−6+4×10−5x+1
【0040】
図1に示された構成からなる実機試験において、給水弁18と排水弁19を開き、循環回路15の配管内に水を通水させる。循環ポンプ13を運転しながら配管内の空気を排水口28より完全に排出させた後、排水弁19を閉じる。次に、給水弁18を閉じ、循環回路15の配管内に給水口16より供給された圧力を封じる。ヒータ36を通電駆動して昇温させ、循環水温度と配管内圧力の関係を測定した結果が、図3に示された通りである。
【0041】
この図3に、「アキュームレータなし」で示された測定結果より、次の表1に示される水の体積(A、B)と配管内圧力(C、D)の関係が得られる。水の体積Aと配管内圧力Cは、測定水温27℃のときの基準値であり、水の体積Bと配管内圧力Dは、測定水温28℃以上のときのものである。
【0042】
【表1】

【0043】
この表1に示される水の体積(A、B)と、配管内圧力(C、D)の関係より、図4に示される水の体積差(X=B−A)と、配管内圧力差(Y=D−C)との関係を表わす測定グラフが得られる。この図4に示される測定グラフより次の近似式が求められる。
【0044】
Y=0.1791X+0.167X
【0045】
図4において、X=B−A、Y=D−Cであるから、配管内圧力D[MPaG]を求める式に変換すると、次の近似式が求められる。
【0046】
D=0.1791(B−A)+0.167(B−A)+C
【0047】
(2) 上昇した配管内圧力を蓄積させる実験
(1)の実験結果から、わずかな水温上昇で配管内に高い圧力を封じることができるが、調節温度に対し封入圧力が高くなりすぎるため、熱媒体戻り側配管31の排水弁19の手前にアキュームレータ23を取付け、余剰圧力を蓄積できるかどうか確認実験を行った。
【0048】
アキュームレータ23の容積100mL、300mLを用い、各々に封入ガス圧力0.8MPaG、0.4MPaGを封入した計4種類を(1)の実機試験と同様に循環水温度を昇温させ、そのときの配管内圧力を測定し、アキュームレータ23のない場合と比較した結果を、図3に示す。
【0049】
また、配管内蓄積水量と配管内圧力の関係を測定し、アキュームレータなしの時と比較した結果を図5に示す。
【0050】
結果として、アキュームレータ23を用いることで、循環水温度を昇温していく過程で急激な(急勾配の)圧力上昇または圧力降下が抑えられており、圧力が蓄積されていることが確認できた(図3および図5参照)。
【0051】
次に、図1に示された一実施の形態の効果を説明する。
【0052】
制御装置30は、給水管路17の給水弁18を開くとともに排水弁19を閉じて循環回路15内の熱媒体を加圧供給水圧(水道水圧)下で加熱制御することにより、100℃を超える第1段水温を得ることができるとともに、給水弁18および排水弁19を閉じて循環回路15を閉回路に制御した加圧供給水圧(水道水圧)より高圧下で循環回路15内の熱媒体を加熱制御することにより、水の体積膨張による配管内圧力の上昇を利用して、従来のような昇圧ポンプを用いることなく、第1段水温よりさらに高温の第2段水温を容易に得ることができる。
【0053】
そして、図8に示されるような昇圧ポンプ8およびそれに付随する部品が不要なため、コストダウンが可能であり、また、従来の昇圧ポンプ8の運転に使用されるポンプ電力消費量を節約できる。さらに、給水弁18と排水弁19の開閉頻度を抑えられるため、これらの弁の寿命を延ばすこともできる。
【0054】
また、循環回路15を閉回路に制御したときの急激な(急勾配の)圧力上昇をアキュームレータ23により緩和して、緩やかな圧力上昇が得られるので、加熱装置14を加熱制御する際の温度制御を容易にすることができる。
【0055】
さらに、排水弁19は、循環回路15内で一巡した水を外部へ排出するので、運転開始に当たって循環回路15内の空気を効率良く外部へ排出できるとともに、アキュームレータ23内に蓄積しきれない過度に圧力上昇した循環回路15内の水は、アキュームレータ23の設置管路に設けられた排水弁19を開くことで直ちに排水口28より外部に排出して、配管内圧力を適正に保つことができる。
【0056】
そして、被温度調節体12が射出成形機用金型の場合は、この射出成形機用金型により射出成形を行なう際に必要な金型温度を確保できるとともに、冷却用熱交換器24に冷却水を供給する冷却水管路25を、制御装置30からの指令に基づき冷却水電磁弁26によって開閉制御するので、射出成形後の型開および製品取出に必要な冷却温度を確保できる。
【0057】
次に、図6に示された他の実施の形態を説明する。なお、図1に示された一実施の形態と同様の部分は、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0058】
図6は、図1に示された温度調節機11の構成に加えて、給水管路17中に補助ポンプ51が設けられ、この補助ポンプ51にポンプ駆動用の電動モータ52が接続され、また、補助ポンプ51を迂回するバイパス通路53が設けられ、このバイパス通路53に逆止弁54が設けられ、さらに、補助ポンプ51の吐出側から排水管路27にわたってリリーフ弁55を経た管路56が設けられている。
【0059】
そして、補助ポンプ51は、配管内圧力が設定圧力以下になると起動し、循環回路15内に圧力が補充されると停止するように制御装置30により制御されるので、弁や配管からの漏れが多く、循環回路15内に封じられた圧力がアキュームレータ23への蓄積圧力でも不足し圧力低下が生じる場合は、給水口16と給水弁18の間に設けられた補助ポンプ51が作動して、配管内圧力低下を補うことができる。
【0060】
補助ポンプ51が停止しているときは、給水口16からバイパス通路53中の逆止弁54を経て給水弁18に加圧供給水が供給され、また、補助ポンプ51による補給が過給となる場合は、リリーフ弁55から管路56を経て過給分が外部へ排出される。
【0061】
補助ポンプ51は、常時作動するものではなく、弁や配管からの漏れにより配管内圧力が設定圧力以下になると起動し、循環回路15内に圧力が補充されると停止する断続的な運転となるため、図8に示された従来の昇圧ポンプに比べてポンプ寿命を延ばすことができるとともに、ポンプ電力消費量を節約できる。
【0062】
本発明の温度調節機は、射出成形機用金型、ボイラ、半導体製造などに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に係る温度調節機の一実施の形態を示す配管系統図である。
【図2】同上温度調節機の水の温度と体積の関係を示すグラフである。
【図3】同上温度調節機の循環水温度と配管内圧力の関係を示すグラフである。
【図4】同上温度調節機の水の体積差と配管内圧力差の関係を示すグラフである。
【図5】同上温度調節機の配管内蓄積水量と配管内圧力の関係を示すグラフである。
【図6】本発明に係る温度調節機の他の実施の形態を示す配管系統図である。
【図7】従来の温度調節機の一例を示す配管系統図である。
【図8】従来の温度調節機の他の例を示す配管系統図である。
【符号の説明】
【0064】
11 温度調節機
12 被温度調節体
13 循環ポンプ
14 加熱装置
15 循環回路
17 給水管路
18 給水弁
19 排水弁
21 給水箇所
22 管路
23 アキュームレータ
24 冷却用熱交換器
25 冷却水管路
26 冷却水電磁弁
30 制御装置
51 補助ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱媒体を被温度調節体を経て循環ポンプにより循環するとともに加熱装置により加熱する循環回路と、
循環回路に熱媒体としての加圧供給水を供給する給水管路を開閉制御する給水弁と、
循環回路より熱媒体を外部へ排出する排水弁と、
給水弁を開くとともに排水弁を閉じて加圧供給水圧下で加熱装置により循環回路内の熱媒体を加熱制御するとともに、給水弁および排水弁を閉じて循環回路を閉回路に制御した加圧供給水圧より高圧下で加熱装置により循環回路内の熱媒体を加熱制御する制御装置と
を具備したことを特徴とする温度調節機。
【請求項2】
循環回路内の圧力変化を緩和する蓄圧用のアキュームレータ
を具備したことを特徴とする請求項1記載の温度調節機。
【請求項3】
排水弁およびアキュームレータは、循環回路において給水を受ける給水箇所より循環回路内で一巡した水を外部へ排出する管路に設けられた
ことを特徴とする請求項2記載の温度調節機。
【請求項4】
給水管路中に設けられ循環回路内圧力が設定圧力以下になると起動し循環回路内に圧力が補充されると停止する補助ポンプ
を具備したことを特徴とする請求項2または3記載の温度調節機。
【請求項5】
被温度調節体は、射出成形機用金型であり、
循環回路に設けられた冷却用熱交換器と、
この冷却用熱交換器に冷却水を供給する冷却水管路と、
この冷却水管路を制御装置からの指令に基づき開閉制御する冷却水電磁弁と
を具備したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の温度調節機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−94855(P2010−94855A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−266119(P2008−266119)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(503235525)株式会社シュトルツ (8)
【出願人】(000226002)株式会社ニクニ (25)
【Fターム(参考)】