説明

温度追随を使用しての半透膜窒素

【目的】 最適運転温度が周囲温度よりも低い、特性の進歩した、透過性の一段と高い半透膜を、変化する周囲温度条件下で効率的に使用可能とする方法を提供するこである。
【構成】 空気圧縮器32を出た圧縮空気がアフタークーラーユニット34、ノックアウトユニット36、加熱器ユニット39に順次入る。次いで送給空気は第1ステージ半透膜41に入りここで透過ガスが排出される。窒素富化された非透過ガスはライン43を通し第2ステージ半透膜44に入り、ここで生成物窒素が非透過ガスとして除去される。第2ステージ半透膜44からの透過ガスはライン47に入り、ここでの追加量の送給空気と共にライン31に入り、送給空気圧縮器32に入る。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は空気から窒素を回収するための半透膜の使用に関し、詳しくは、可変温度条件下でのそうした半透膜の運転に関する。
【0002】
【従来技術】透過半透膜に関する最近の発達により、比較的低純度の窒素を小トン数で製造するための現場システムのコストは著しく低減された。透過半透膜システムは単純であるが故に、広範な商業的運転条件を満たすためのそうしたシステム開発に強い刺激を与えている。中空糸半透膜や半透膜モジュールを入手可能であることが、空気から生成物窒素や生成物酸素を製造するための簡単な方法及び装置の開発を促進している。空気分離用の半透膜の使用に際しては、送給空気を圧縮し、これを中空糸半透膜の外側(内側)に沿って流し、酸素を中空糸半透膜の表面から選択透過させ、中空糸半透膜の送給側には窒素を不透過流れ或は滞留流れとして選択保持させる。この滞留流れは、中空糸半透膜を通して進行するにつれて窒素量が多くなるのでこれをモジュールの送給側でモジュールの排出端を通し窒素富化生成物として取り出す。空気分離のための半透膜プロセスの効率は使用する半透膜材料の性質や運転プロセスのパラメーターに依存する。半透膜材料の性質上、特に重要な係数は以下の2つ、即ち、酸素に対する透過能力対厚さの比(P0 /t)と、窒素の透過能力に対する酸素の透過能力の比であるところの選択能力或は分離能力αとである。半透膜プロセスの効率はこれらの両係数が大きい場合に高くなる。これら2つの係数は温度依存的である。一般に、P0 /tの値は温度上昇と共に増大し、一方、αの値は温度上昇と共に減少する。従って、圧力その他の運転変数の値が一定であればただ1つの最適の運転温度が存在する。初期の多くの中空糸半透膜材料を使用して得られる特性範囲は、最適の運転温度が周囲温度よりも高いというものであった。送給空気の圧縮熱の幾分か或は全てを利用することにより、或は或は送給流れを中庸に加熱することによる等して、こうした周囲温度以上の温度で半透膜による空気分離を簡単に達成及び実施出来る。一貫した運転のために半透膜材料が、代表的には一般に約90乃至140°F(約32.2乃至60℃)の固定送給温度で周囲温度条件とは無関係に運転するべく設計された。余り複雑でない半透膜システム及び半透膜プロセスは送給温度を制御すること無く運転される。この場合、運転温度はその時の温度条件のみによって決定されるので、そうしたシステムやプロセスの使用は通常は屋内に限定される。中空糸半透膜の材料及び製造上の改良により、従来既知の材料に加えての進歩した半透膜材料が開発されるようになった。これらの進歩した半透膜材料は固有の高いP0 /t値を有し、最適の運転温度は周囲温度よりも低い。この場合は、圧縮機アフタークーラーを使用することにより送給温度を幾分低下させることが可能である。この方法による温度低下の効果がなくなった場合、もっと高価な冷却手段を使用して、半透膜への送給流れを、特に周囲温度が高い場合に低い最適運転温度に維持する必要がある。しかしながら、外部冷却手段を使用すると、半透膜システムを低い最適温度で運転する上での利益の幾つか或は全てが削減される。その結果、半透膜プロセス技法には代表的に、進歩した中空糸半透膜を使用しての改善された半透膜運転のためには最適であろうはずの低い温度の利益はない。大抵の半透膜プラントでは送給ガス温度を周囲温度よりも高くする状態で運転を続けており、運転温度がそこで使用される進歩した半透膜材料の最適運転温度よりも高いことによる不効率性がある。斯界には、固有のP0 /t値がもっと高く、しかも外部冷却を必要とせずに周囲温度よりも低い最適温度で効率的に運転可能な、新規の、進歩した半透膜材料を更に開発することに対する要望がある。そうした開発には、進歩した半透膜を実際の商業的運転に於て、変化する周囲温度条件を通して使用するための経済的に実用可能な手段を提供する必要がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】最適運転温度が周囲温度よりも低い、特性の進歩した、透過性の一段と高い半透膜を、変化する周囲温度条件下で効率的に使用可能とする方法を提供することであり、高い周囲温度条件で、進歩した、高透過性の半透膜における低い最適運転温度を、外部冷却手段を必要とせずに達成するための改良方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】最適運転温度が周囲温度以下である半透膜は、半透膜空気分離運転中に周囲温度に追随させ、運転温度が周囲温度の上昇に伴い上昇した場合には送給空気圧力を調整下で低減させることにより運転可能である。周囲温度変化に応答して送給空気圧力をそのように調節することにより、半透膜空気分離運転の全体効率は増長され、その一方で好ましい具体例では半透膜の入手可能な表面積の利用が増長される。
【0005】
【実施例】本発明の前記課題は、大抵のプラント設置場所での周囲温度の変動を利用する新規なプロセス処理運転により解決される。多くのプラントは温度帯域、或は比較的高緯度の、年間の殆どで周囲温度が最適半透膜運転温度以下である場所に設置される。周囲温度が低いそうした期間中、半透膜送給温度は圧縮機のアフタークーラーを従来通り運転すること及び必要に応じて熱を加えることにより適宜の低い温度、即ち最適な等温レベルに維持することが出来る。この期間中、周囲温度が比較的高く、しかも従来の冷却手段では半透膜を最適運転温度で運転出来なくなると送給ガスの温度は上昇する。しかし送給ガスの圧力が同時に低下してこの温度上昇を補償し、その一方でガス分離作業で入手可能な全半透膜表面積は維持される。かくして、こうした方法は周囲温度が一定である時、及びその送給側から透過側を横断しての圧力比が一定である時には使用出来ない。それに代えて、より高い運転プロセス圧力を調節状態で低減させることにより、運転温度の増大が“追随”される。プロセスコンピューター/コントローラーを使用することにより、送給温度及び送給圧力に対し好都合に適宜の調節が実施可能となる。
【0006】本発明の方法の全体的効率は、周囲温度以下である最適温度で運転される進歩した、透過性の高い半透膜を使用しての通年運転で平均した場合、周囲温度よりも高い一定温度で運転を実施する方法よりも優れていることが分かった。このことは、半透膜によるガス分離運転の平均電力係数の減少として示される。平均電力係数が低くなると所望の空気分離運転に対する全体コストが小さくなる。かくして、本発明によれば、外部冷却手段の負担を生じることなく、進歩した中空糸半透膜を使用することにより可能な一段と低い最適運転温度の利益を得ることが出来る。半透膜分離プロセスの効率は一定の低い最適運転温度で運転するプロセスに於けるそれよりも幾分劣るかも知れないが、冷却コストは掛からずしかもプロセスは全体的に極めて効率的である。本発明は温度帯域並びに高緯度の地での大抵のプラント現場にとって有益である。本発明のこの利益は電力コストが比較的高い北ヨーロッパのような地域で一段と大きいものとなる。
【0007】従って、本発明は主に、温度依存的な2つの別個の態様に於て運転される窒素生成物ガス製造のための半透膜空気分離プロセスに関与するものである。前記態様の1つに於て、周囲温度が十分に低い、即ち半透膜システムの最適運転温度以下である場合、半透膜送給温度は空気分離プロセスのための最適運転温度に近い、予め決定した一定温度に維持される。周囲温度が平均で代表的には約70乃至90°F(約21.1乃至32.2℃)と低い運転期間は、温度帯域では年間のおよそ2/3に及び、この低い温度よりも周囲温度が高くなるのは残りの約1/3の期間である。その他の地域では平均して年間の少なくとも約1/2が周囲温度の低い期間であり、残余の期間では周囲温度は最適運転温度よりも高くなる。本発明はまた、そうした低い平均周囲温度年間のその他の運転期間、例えば年間の半分未満或は約10%もの短期間である地域でさえも、採用することが出来る。最適運転温度を維持するためには周囲温度が高過ぎる、即ち従来のアフタークーラーを使用しても冷却が不十分である場合には本プロセスは第2の様式で運転される。この第2の様式では半透膜送給温度を最適運転温度より高くすることが許され、それが半透膜の透過性を向上させる。この状況下では、もっと低い送給空気圧力下で所望の生成物純度及び所望の生成物流れを実現可能であり、かくして圧縮機の電力要件が低減する一方で、入手可能な全半透膜表面積の利用が達成される。送給空気圧力を、温度依存的な予め決定された様式に於て制御し且つプロセスコンピューター/制御体によって自動的に制御し、残留物流れにおける分析、即ち残留物の残余酸素濃度を測定することにより好都合に決定されるものとしての生成物純度を一定に保持する。半透膜送給温度が半透膜の最適運転温度を上回る状態では半透膜の選択能力が低下することから、最適運転温度を越える温度で同一の生成物純度及び生成物流れを創出するために必要な電力は増大することが予想される。本発明の実施に際しては、しかしながら、透過性の増大及び選択性の低下といった異なる効果が、実際には周囲温度を越える運転温度で等温的に且つ一定圧力で実施される半透膜空気分離プロセスの電力要件全体を著しく低下させることが分かった。
【0008】結局、本発明は有益にも、半透膜の最適運転温度を上回る運転温度での温度追随プロセスを含んでおり、高い運転圧力をこれに伴って低下させるので、電力要件の所望通りの低減が、最適運転温度を越える温度態様に於て達成される。年間で平均すると、本発明の温度追随プロセスのための電力係数は、本発明が特に適合するところの透過性が高く、進歩した半透膜の最適運転温度を上回る温度帯域での半透膜空気分離運転のための標準的プロセスのそれよりも小さい。本発明は、電力要件が小さいことに加え、送給空気その他の送給ガスを、それらガスが空気その他のガス分離半透膜を通過する際、従来の等温運転とは逆に、常に過熱状態、例えば100°F(約37.8℃)としておくことが可能である。半透膜運転温度が周囲温度条件に追随するので、再熱器は常に送給空気その他の送給ガス流れを若干、例えば少なくとも約5°F分加熱して約105°F(約40.6℃)とする。かくして送給空気その他の送給ガスは飽和せず、即ち過熱された状態に於て、その相対湿度が100%未満、代表的には90%であるところの半透膜システムに入る。この追加の利益は本発明に於て重要である、なぜならこれにより半透膜システムでの所望されざる凝縮が防止されるからである。
【0009】言い換えると、圧縮機設備に限界があることによって送給圧力を温度変化の全範囲に追随させる制御が出来ない場合でも、前述の2つの態様での運転上の利益の幾つかを維持することが出来る。例えば、送給ガス圧力が周囲温度の上昇と共に減少するに従い、プラント現場に関する低効率の運転条件が達成され得る。次いで幾分高い送給ガス圧力水準に於て一段と効率的な運転条件が達成され得る。そうした場合、生成物純度か或は生成物流れがその仕様を上回るものとなる。この場合は透過モジュールの幾つかを遮断し、圧縮機の運転を、余剰の生成物流れの生じない有効限度内での状態に保持することが出来る。
【0010】送給空気から窒素を製造するための現在の半透膜プロセスでは通常、1、2乃至3つの透過ステージを直列して使用する。各透過モジュールが、半透膜材料の薄皮部分を支持する中空糸基材と共に非対称半透膜構造、即ち半透膜材料が付着して複合半透膜構造を形成してなる薄い層状態とされ、この状態で半透膜の空気分離特性が提供される。空気分離のための代表的な2ステージ半透膜システムでは、送給ガスは送給圧縮機内で圧縮され、圧縮機アフタークラー内で冷却され、ノックアウト容器を通過することにより凝縮水分が除去され、所望の運転温度に過熱された後、直列状態の各半透膜ステージの給送側に送られる。生成物窒素は第2ステージに於て非透過ガスとして取り出され回収される。この第2ステージを透過した流れは追加量の送給空気と共に送給空気圧縮機に再循環され、その一方で第1ステージを透過した酸素富化流れが排出される。半透膜空気分離システムに於て従来一般に使用された半透膜材料を使用する場合、空気分離プロセスのための最適運転温度は約90乃至140°F(約32.2乃至60℃)である。圧縮された送給ガス流れ、即ち送給空気と再循環ガスとは、一般に、圧縮機の熱により周囲温度よりも高温となっているので通常、水分で飽和されている。この流れがアフタークーラーユニットを通過しそこで冷却されると殆どの水蒸気が凝縮し、下流側に設けた従来通りのノックアウトトラップから除去される。次いで送給ガス流れは再熱器ユニットを通りそこで所望の運転温度、即ち半透膜の最適運転温度或はそれ以上の温度とされる。アフタークーラーユニット及び再熱器ユニットとは主たる周囲送給空気の温度に依存する。
【0011】プロセス制御のための様々な技法が知られ且つ市販入手可能であることは当業者には明らかである。現在の半透膜空気分離プロセスは代表的には、休止状態以外は一定温度及び一定圧力下で運転される。そうしたシステムの1つが図1に示される。このシステムでは入口ライン1が送給空気圧縮機2に送給空気を送るために使用され、この送給空気圧縮機を出た圧縮空気がライン3を通りアフタークーラーユニット4に入り、ライン5を経てノックアウトトラップ6に入り、ここで凝縮された水分をライン7から排出し、ライン8を通して加熱器9を通った後、ライン10に入り半透膜空気分離システムに向う。例示具体例では2ステージ半透膜システムを示す。ここでは送給空気はライン10を経て第1ステージ半透膜11に向う。送給空気に於ける透過性のより高い酸素成分に富む透過ガスが、ライン12を通して第1ステージ半透膜11から除去され廃棄物として排出される。より透過性の小さい透過性の窒素成分は第1ステージ半透膜11の非透過側を出、ライン13を通り第2ステージ半透膜14に入る。生成物窒素はこの第2ステージ半透膜14から、弁16を有する生成物ライン15を通して回収される。大量の窒素を含有する透過ガスは第2ステージ半透膜14からライン17を通して取り出され、ライン1に再循環されて追加量の送給空気と共に送給空気圧縮機2に入る。
【0012】送給空気流れの温度及び圧力を測定するために適宜のセンサーを使用する。かくして、ライン10内の送給空気の圧力が圧力センサー18を使用して好都合に測定され、入力圧力信号19が制御ユニット20に送られる。この制御ユニットは出力信号21により送給空気圧縮機2を制御するようになっている。同様に、送給空気の温度がライン10内で温度センサー22を使用して好都合に測定され、入力温度信号23が従来通りの温度制御ユニット24に送られる。この温度制御ユニット24は出力温度信号25によりアフタークーラーユニット4を調節し及び或は出力温度信号26により再熱器を調節するようになっており、この調節を通し、送給空気温度は半透膜システムの予め決定した最適運転温度に維持される。
【0013】大抵の商業的半透膜プラントは、周囲温度が代表的には最新の運転温度範囲、即ち現在商業的に実施されている従来の半透膜の代表的な運転温度範囲であるところの約90乃至140°F(約32.2乃至60℃)の範囲以下の温度地域に設置されている。例えば、図2にはドイツ国のシュツットガルト及び米国ニューヨーク州バッファローの年間の気温変動が例示される。このグラフから分かるように、従来の半透膜を所望の運転温度にしようとすれば、周囲空気を加熱する必要がある。商業的実施に於てはこうした加熱は、図1に示すようにアフタークーラーユニット及び再熱器ユニットを制御することによって簡単に行なえる。
【0014】半透膜技術の発達に伴い、半透膜の透過性、即ちP0 /t値は大きくなっている。詳しく言うと、実用性を有する半透膜の有効厚さ、つまり半透膜の分離特性を決定する半透膜構造部分は徐々に薄くなってきている。半透膜厚減少による効果は以下に示される。ここでは種々の特性及び係数は異なる運転温度に対し示されており、使用した半透膜材料はヘキサフルオロアロマチックポリアミド、“6FDA”であり、その特性はTao−HanK及びW.J.Koros、J.Mem.Sci.(1989)のページ43−56により決定され及び報告されたものである。
分離係数α(O2 /N2 )=6.25(35℃)
透過性、P0 =5.1バレル(35℃)
活性化エネルギー:E0 =2.30Kcal/Mole KEn =3.49Kcal/Mole K
【0015】面積係数は、単位生成物流れ当りに必要な半透膜面積のことであり、電力係数とは関与する全消費電力のことである。これら2つの係数は、送給空気側に於ける絶対値での150psia(約10.5kg/cm2 )の高い圧力と透過側の絶対値での15psia(約1.1kg/cm2 )の低い圧力を使用する単一ステージ式の半透膜空気分離プロセスに対し決定されたものである。半透膜に使用した中空糸は、向流流れモデルに習った穿孔−側方送りで使用され、半透膜の透過側及び送給側の両方での完全な半径方向混合を基本としている。熱的効率が80%である2ステージ圧縮機が電力算出の基準として使用された。表中のコスト係数は面積係数及び電力係数の重量組み合わせであり、以下の式で定義される。
コスト係数=5×面積係数+1.5×電力係数この関係は、電力の資本コスト1,500/kwを基準としている。この値は米国その他の地域に対し代表的なものである。
【0016】
【表1】


【0017】この表では、半透膜の透過性P0 が温度と共に増大し、その一方で選択性或は分離係数、即ちαが温度と共に減少することが示される。電力係数の計算値は半透膜空気分離運転が実行される温度と共に増大し、他方、面積係数は減少している。この点に関し、面積係数は有効半透膜厚に強く影響されると言える。半透膜厚を半分、即ち1000Åから500Åにすることにより面積係数は半分となる。望ましいプロセスの大半がコスト係数の低いものであることが分かる。半透膜厚が1000Åである場合、前掲の表中コスト係数が最も小さいのは最高温度が100°F(約37.8℃)或はそれ以上の温度におけるものであり、半透膜厚が500Åの場合はコスト係数は小さくなり、約60乃至70°F(約15.6乃至21.1℃)間に浅い最少値が存在している。これが、表中に参照した薄厚の半透膜に対する最適運転温度となる。
【0018】図1に示すような従来のプロセス制御システムを使用して、半透膜空気分離プロセスを70°F(約21.1℃)で運転することは、周囲温度が外部冷却手段を必要とすることなく所望の運転温度を得られるに十分低い場合に於てのみ、可能である。実用上最低の送給温度は代表的には、周囲温度よりも少なくとも5乃至15°F高い75乃至85°F(約23.9乃至29.4℃)である。図2から分るように、バッファローやシュツットガルトの年間の約60%が70°F(約21.1℃)よりも15°F低い55°F(約12.8℃)である。残余の期間の周囲温度は70°F(約21.1℃)以上であり、従って送給空気温度を従来の、図1に示すプロセス制御手段を使用して70°F(約21.1℃)以下に保つことは出来ない。
【0019】本発明のプロセスは、今後は“T−トラック”プロセスと称するが、2つの態様に於て運転されそれにより、変動する周囲温度及び進歩した半透膜材料の性質に対処する。一方の態様、即ち、周囲温度が十分に低い場合の態様に於て、本プロセスは半透膜厚が500Åの場合、半透膜の最適運転温度或いはそれに近い温度、例えば70°F(約21.1℃)で等温的に運転される。年間の特定の期間、周囲温度がそうした等温的運転には高過ぎる場合、本プロセスは第2の態様で運転され、送給空気温度は年間平均温度よりも代表的には5乃至15°F分高い75乃至85°F(約23.9乃至29.4℃)に上昇される。
【0020】例示具体例では送給空気の高い圧力レベルは、周囲温度上昇条件に応じて送給空気温度を上昇させ、予め決定した温度、好都合には年間平均温度よりも約15°F分高い温度に上昇させるに従い減少する。半透膜システムへの送給空気流れの所望の圧力とは、それが所望の生成物純度を維持(或いは、もし生成物純度がもっと低くて良いのであれば所望の生成物流量を仕様レベルに維持する)ようなものである。本発明の実施に際し所望の低い送給空気圧力を実現するために好適なプロセスコンピューター/制御体を使用する。そうしたプロセスコンピューター/制御体は斯界で入手可能な最新のプロセス制御テクノロジーの能力を使用する。しかしそうしたプロセスコンピューター/制御体の能力は、本発明が対象とする特定の半透膜運転上の問題に対し、ここに開示し且つ請求するようにはこれまでは適用されたことは無かった。本発明のT−トラックプロセスの目的のために使用された如きプロセス制御システムの好都合な具体例を図3に示す。ライン31は送給空気を空気圧縮器32に送るために使用される。この空気圧縮器32を出た圧縮空気はライン33を経てアフタークーラーユニット34に入り、ライン35を経てノックアウトユニット36に入り、ここで凝縮された水分がライン37から排出される。次で送給空気はライン38を通し、このノックアウトユニット36から加熱器ユニット39に入る。ここで加熱された送給空気はライン40を経て例示具体例に於ける2ステージ式の半透膜システムの第1ステージ半透膜41に向かう。この第1ステージ半透膜41からライン42を通し透過ガスが排出される。窒素富化された非透過ガスはライン43を通し第2ステージ半透膜44に入り、ここで弁46を含むライン45を通し、生成物窒素が非透過ガスとして除去される。第2ステージ半透膜44からの透過ガスはライン47に入り、ここでの追加量の送給空気と共にライン31に入り、送給空気圧縮器32に向かう。第1ステージ半透膜41に入る送給空気の圧力を決定するための圧縮センサー48を使用して、望ましくは加熱器39の下流側位置での圧力を測定し、その圧力に相当する入力信号49をプロセスコンピューター/制御体50に伝送する。温度センサー51を使用して、望ましくは前記位置での送給空気温度を測定し、この温度に相当する入力信号52をプロセスコンピューター/制御体50に伝送する。同様に、純度センサー53を生成物窒素の通るライン45の、第2ステージ半透膜44の下流側の位置に位置決めしてこのライン内の生成物窒素の純度を測定し、この純度に相当する入力信号54をプロセスコンピューター/制御体50に伝送する。更に、生成物流れセンサー55を前記ライン45に位置決めしてそこでの生成物流れを測定し、この流れに相当する入力信号56をプロセスコンピューター/制御体50に伝送する。所望であればその他のプロセス変数も同様に測定可能である。プロセスコンピューター/制御体50は各入力信号を受け、相当する出力信号57を創出して空気圧縮器32の運転を制御し、また出力信号58及び或いは59を創出してアフタークーラーユニット34及び或いは加熱器39の運転を夫々制御する。
【0021】周囲温度が低い場合、送給空気圧力を調節して予め決定した最大レベルのものとし、また送給空気温度を調節して予め決定した最適運転温度レベル、例えば例示具体例に於ける70°F(約21.1℃)とする。周囲温度が年間の特定期間中に上昇し、アフタークーラーユニットを使用しての冷却がもはや最適運転温度レベルを維持するには不十分なものとなった時、送給空気温度を周囲温度の上昇に合わせて上昇させる。本発明の実施に際しては、圧力はプロセスコンピューター/制御体が各センサーからの入力信号に応じて決定するところの適正値に制御、即ち減少され、それにより生成物の特性は確立された仕様、即ち生成物純度及び或いは流れに対し維持され、或いはそうでなければ送給空気温度に依存して予め決定した値に維持される。
【0022】図4には99%窒素生成物ガス製造のための特定の膜空気分離用のT−トラックプロセスのための送給空気温度及び送給空気圧力の変動が周囲温度と共に例示される。図2からのデータを使用しての、ドイツ国シュツットガルトでの年間の運転コースにおける種々の温度帯に於て使用された時間割合が示される。図4の例示具体例では65%の時間が等温運転に使用され、送給空気圧力を低下させての第2の様式での膜空気分離プロセスの占める時間割合は35%であった。これらの時間割合はプラント設置位置の違いにより当然ながら変化する。図4に例示したような本発明のT−トラックプロセスの運転に際しては、圧力は周囲温度の上昇に従い降下せしめられ、膜空気分離プラントの温度は周囲温度よりも15°F分高い温度に好都合に維持される。この条件下では、膜材料の最適運転温度を、例えば例示具体例での70°F(約21.1℃)としての等温運転を維持するのは簡単では無く、送給空気圧力をそうした最適運転温度で使用するレベルである190psia(絶対値での約13.4kg/cm2 )から減少させることによって所望の99%生成物窒素生成物を持する。斯くして、運転圧力を150psia(約10.5kg/cm2 )に落とし、この場合のプラント温度、即ち膜への送給空気温度を110°F(約43.3℃)とする。
【0023】本発明のT−トラックプロセスが99%窒素製造のための標準的プロセスと比較された。この標準的プロセスは温度105°F(約40.6℃)、圧力190psia(絶対値での約13.4kg/cm2 )の条件で等温運転される。この温度はシュツトガルトで従来からの膜システムが遭遇する最高の周囲温度90°F(約32.2℃)を収受するに十分高い温度である。T−トラックプロセスの進歩した吸着材料のための最適運転温度は、図4に示すように、約70°F(約21.1℃)である。本プロセスの電力係数を標準プロセスに対し標準化し、温度の関数としてプロットしたものを図5に示す。周囲温度が低い場合、T−トラックプロセスのための電力要件は標準プロセスのためのそれの僅か86%である。この減少は主に、T−トラックプロセスで使用される運転温度がずっと低い場合に於ける進歩した膜のα、即ち選択性が一段と高いことによるものである。周囲温度が55°F(約12.8℃)よりも高いとT−トラックプロセスでの電力要件は増大し、標準プロセスの最高の周囲温度条件での電力要件に近いものとなるがそれでも尚、標準プロセスでの値よりは小さい。
【0024】T−トラックプロセスの利益を例示するべく、標準プロセス及び本発明に対する面積係数並びに電力係数が生成物純度の関数として決定された。この目的のために、周囲温度の変動は図2に示すようなシュツットガルトでのものとした。電力係数を各温度帯域に対し算出し、プロセスのための全電力係数を、各温度帯域に於ての年間で使用した期間の割合の加重平均値とした。面積係数及び電力係数を図6及び7に示すプロットに於て使用した。本発明のT−トラックプロセス及び標準プロセスに対する平均面積係数を図6の生成物純度に対しプロットした。このプロットによれば、標準プロセスでの平均面積係数が全純度レベルで低いことが示される。これは、低い温度では透過性が低下することによるものである。
【0025】図7には平均電力係数が生成物純度に対しプロットされた。このプロットによればT−トラックプロセスの平均電力係数が全ての生成物純度に対し低いことが示される。これは、低い温度では選択性、即ちαの値が大きくなることによるものである。膜空気分離プロセスのコストはこれら面積係数及び電力係数の双方に依存する。これらの係数の値が大きくなるとコストも増大する。プロセスコストはまた、膜材料の単位コストや電力の資本コストにも依存する。既述したように、プロセスに対するコスト係数は面積係数及び電力係数の加重組合わせである。電力の資本コストが比較的小さい、例えば約1500ドル/kwであると、コスト係数は既述したように以下の式の如く書き表わせる。
コスト係数(米国)=5×面積係数+1.5×電力係数資本電力コストがもっと高い、例えば約2500ドル/kwであるような地域では適切なコスト係数は以下の式のようになる。
コスト係数=5×面積係数+2.5×電力係数
【0026】電力コストが比較的低い地域ではT−トラックプロセスは標準の、等温プロセスを上回る若干の、安定した、望ましいコスト利益を提供することが分った。電力係数が比較的高い地域ではT−トラックプロセスのコストは標準の等温プロセスよりも実質的に低いことが分った。これらの事柄から、本発明の利益の度合いは電力コストに負うところが大きいことが分る。電力コストが比較的安価である地域では本発明の利益はあっても僅かである。電力コストが比較的高い地域ではT−トラックプロセスによるコスト上の利益は大きくなる。ここで示される本発明の例は現在での膜コストに基づいたものである。膜製造技術が更に進歩すれば膜の透過性も同様に増大し、それによって膜表面積の単位コストは現在の水準よりも小さくなる。そうした開発によれば先に示したコスト式の各係数は必然的に変化し、膜表面積のコストは一段と安価なものとなり、膜運転のコストを引き下げるための現在の努力が動力コストの面で助成され、更に、広範な種類での重要な空気分離用途のために一層使用し易くなる。T−トラックプロセスの利益はこれによって更に大きく且つ重要なものとなる。
【0027】本発明の好ましい具体例では圧縮器の圧力は周囲温度上昇と共に継続的に減少される。然しながら、幾つかの圧縮器では圧力の限度範囲に於てのみ運転可能であり、そうした特定の圧縮器にとっては特定の最小レベルを越えて減少させ続けるのは実用的ではない。もし、特定の圧縮器に於て、送給空気圧力をそうした特定の最小レベルを越えて有効に減少出来ない場合は、膜システムに組み込まれた入手可能な膜表面によって余分の生成物が生じる。大抵の商業的膜プラントには図10に概略示すように多くの独立した透過モジュールが含まれることから、膜プラント全体の幾つかの透過モジュールを隔絶することによりこの膜表面積を減らすことが可能である。
【0028】図8に示される具体例では送給ライン60が送給圧縮器61に通じ、この送給圧縮器からの送給空気ライン62を通り第1ステージ透過モジュール63に入る。この第1ステージ透過モジュール63は独立モジュールを多数、即ち独立モジュール64、65、66、67、68を含むものとして示されている。送給空気はモジュール入り口ライン69、70、71、72、73を通し平行状態で各モジュールに入る。これらの独立モジュールからの透過物、即ち送給空気の内の選択的透過性の大きい酸素成分が独立モジュール64、65、66、67、68からモジュール出口ライン74、75、76、77、78を介して選択的に排出され、ライン79内を排出流れとして第1ステージ膜63から排出される。選択的透過性の小さい窒素成分は第1ステージ膜63内の各独立モジュールからモジュール出口ライン80、81、82、83、84の夫々を通り第2ステージ透過モジュール85に送られる。この第2ステージ透過モジュール85は2つの独立モジュール86、87を含むものとして図示される。第1ステージ透過モジュール63からの非透過ガスはモジュール入り口ライン88を通して第2ステージ透過モジュール85の独立モジュール86に及び或いはモジュール入り口ライン89を通して独立モジュール87に入る。第2ステージ透過モジュール85からの透過物は第1ステージでの透過物よりも窒素含有量が多く、一般に排出されることは無いが、ライン90を通して送給ライン60に入り、送給圧縮器61を通り、追加量の送給空気と共に第1ステージ透過モジュール63へと再循環される。選択的透過性の小さいガスはモジュール出口ライン86、87の夫々を通して第2ステージ透過モジュールから除去され、出口弁94を具備する生成物ライン93を通り所望の生成物窒素ガスとして回収される。
【0029】図8に示すプロセス処理配列構成に於て、必要であれば第1ステージ透過モジュールへ63の送給空気の流れ及び或いは第2ステージ透過モジュール85への空気流れを、好適な流れ弁手段によるなどして各ラインに於て調節し、送給空気流れの数を第1ステージ透過モジュールの5つ全部のライン数未満のものとし及び或いは第2ステージ透過モジュールの5つ前部のライン数未満のものとすることが出来る。斯くして、この態様では、使用される膜表面積を、独立モジュールの1つ以上を全体システムの運転から隔絶することにより好都合に低減可能である。この場合、送給圧力を特定の圧縮器のための最低レベル、例えば約167psia(絶対値での約11.7kg/cm2 )から190psia(絶対値での約13.4kg/cm2 )に増大することにより圧力プロフィールを好都合に改変し、それまでに圧縮器圧力を連続的に減少して、図9に示されるように約170psia(絶対値での約11.9kg/cm2 )以下に戻しておくのが望ましい。
【0030】図8、9に示すような具体例の実施は、隔絶されたモジュールの膜表面積が使用されないことから、図3及び4に例示した好ましい具体例のように満足の行くものではない。それでも尚、図8及び9の具体例は標準プロセスと比較して有益である。当業者には、図8R>8及び9の具体例によって示された運転態様が、様々な現場で入手可能な商業的圧縮設備を使用しての本発明の実際の商業的用途のためにしばしば必要となることを理解されよう。
【0031】本発明の、独立モジュールを隔絶させる前述の運転態様を、送給圧縮器を周囲温度上昇に応じて圧縮器圧力を減少させてなる1つ以上の周期で運転する具体例に於て使用可能である。この周期中には圧力が増大し、その間の作用膜表面積は減少する。図9の具体例では圧力の大きさは約167psia(絶対値での約11.7kg/cm2 )の低さから190psia(絶対値での約13.4kg/cm2 )の元の水準に戻っているが、これとは異なる圧力、特定の空気分離運転の全体条件に依存しての、代表的にはもっと低い方での高い圧力レベルへと増大させることも本発明の範囲に含まれる。斯くして、この別態様或いは本発明の好ましい具体例の運転に際し使用される条件は、所望の生成物の純度レベル及び量、使用する空気分離膜システム、即ち使用する膜材料のの設計形状及び構造、使用する膜ステージの数、使用する独立膜モジュールの数及び大きさ、使用する送給圧縮器設備、そしてその運転能力その他に依存する。
【0032】当業者には、本発明の詳細を本発明の範囲を離れることなく適宜変更可能であることを認識されよう。斯くして、本発明を膜システムの使用する任意の特定の膜材料には依存せず、むしろ、透過性が高く、従ってその所望の最適運転温度が、年間のある期間中に膜システムが運転されるところの周囲温度よりも高く、またそれ以外の期間中の周囲温度よりも低い、任意の膜材料を使用しての膜運転に適用することが可能となる。本発明を有益に実施するに関し、そのように高い透過性を有する膜材料の例には、O2 /N2 選択性(分離係数)が約6.0乃至6.7、O2 透過性が、温度25℃で約5.7乃至9.0バレルであるテトラブロモ−ビス−フェノール形式のポリエステル、O2 /N2 選択性が約3.9、温度25℃での透過性が約83バレルであるポリアミドその他の膜材料、例えばポリアミド、ポリピロロン、6FDA−DAF(ポリアミド)、6FDA−IPDA(ポリアミド)、ポリ(フェニレンオキシド)、ポリ(4−メチル−1−フェノン)エチルセルロース及びシリコーンラバーなどがある。本発明の実施に際し使用される膜材料の透過性は100°F(約37.8℃)では1バレルよりも大きく、好ましくは少なくとも約5バレルである。
【0033】本発明を測定の空気分離運転に関し説明したが、その他の重要なガス分離運転にも同様に有益に使用可能であることを銘記されたい。そうしたガス分離には二酸化炭素/窒素、二酸化炭素/メタン、水素/窒素、水素/メタンそして水素/二酸化炭素があり、これらガス分離を本発明のT−トラックプロセスを使用して有益に実施可能である。本発明は膜空気分離技術に於ける極めて重要な進歩を提供する。透過性が高く且つ最適運転温度が年間のある期間の周囲温度よりも著しく低くそれにより、説明したようなT−トラックプロセスの使用を通して所望の運転温度/低い圧力の比率の下に運転される進歩した膜材料を使用することにより、この進歩した膜材料の長所を効果的に生かして、膜空気分離運転の電力要件をかなり節約することが可能となる。本発明は特に、電力コストが高く且つ年間運転のある期間を通じての周囲温度が比較的高い地域での膜プラントに対し有益である。
【0034】
【発明の効果】最適運転温度が周囲温度よりも低い、特性の進歩した、透過性の一段と高い半透膜を、変化する周囲温度条件下で効率的に使用可能とする方法が提供され、また、高い周囲温度条件で、進歩した、高透過性の半透膜における低い最適運転温度を、外部冷却手段を必要とせずに達成するための改良方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】2ステージ膜窒素プロセスを使用しての、温度及び圧力一定状況下で運転される従来システムの概略流れダイヤグラムである。
【図2】ドイツ国シュツットガルト及び米国ニューヨーク州バッファローでの年間気温をプロットしたグラフである。
【図3】2ステージ膜窒素プロセスを使用しての本発明の温度追随プロセスを実行するためのシステムを例示する概略流れダイヤグラムである。
【図4】99%生成物窒素を製造するための本発明の実施に際しての膜プラントの温度及び圧力対周囲温度をプロットした相関図である。
【図5】温度緒夜会い圧力を一定とする従来のプロセス並びに本発明の温度追随プロセスのための、電力係数対周囲温度をプロットした相関図である。
【図6】従来の、温度及び圧力を一定とするプロセス条件並びに、ドイツ国シュツットガルトで実施されたものとしての本発明の温度追随プロセスに対する、面積係数対純度をプロットした相関図である。
【図7】従来の、温度及び圧力を一定とするプロセス並びに、ドイツ国シュツットガルトで実施されたものとしての本発明の温度追随プロセスに対する、電力対純度をプロットした相関図である。
【図8】独立した膜モジュールの複合体を含んでなる膜システムを例示する概略流れダイヤグラムである。
【図9】図8の具体例に使用した本発明の温度追随プロセスのための膜温度及び膜厚力対周囲温度をプロットした相関図である。
【符号の説明】
1 入口ライン
2 送給空気圧縮機
4 アフタークーラーユニット
6 ノックアウトトラップ
9 加熱器
11 第1ステージ半透膜
14 第2ステージ半透膜
18 圧力センサー
19 入力圧力信号
20 制御ユニット
21 出力信号
22 温度センサー
23 入力温度信号
24 従来通りの温度制御ユニット
25 出力温度信号
26 出力温度信号
60 送給ライン
61 送給圧縮器
62 送給空気ライン
63 第1ステージ透過モジュール
85 第2ステージ透過モジュール
93 生成物ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】 最適運転温度がガス分離位置での年間のある運転期間を通しての低い平均周囲温度よりも高く、前記最適運転温度が年間の残余の運転期間を通しての周囲温度以下である高透過性の半透膜の運転のためのガス分離方法であって、(a)送給ガス圧縮器/半透膜ガス分離システムの組合わせ体の送給ガス圧縮器内で、送給ガスを予め決定した送給ガス運転圧力に圧縮する送給ガス圧縮段階にして、前記送給ガス圧縮器/半透膜ガス分離システムの組合わせ体が、年間のある期間を通しての平均周囲温度が低く、残余の期間中の平均周囲温度が高い地域に設置され、前記送給ガス運転圧力が前記低い平均周囲温度に関する所望の送給ガス圧力であるところの送給ガス圧縮段階と、(b)送給ガス圧縮器のアフタークーラーユニット及び加熱手段を使用して、前記圧縮した送給ガスの温度を調節し、年間のある運転期間を通しての前記低い平均周囲温度よりも高い所望の最適運転温度に維持する段階と、(c)圧縮され、最適運転温度に調節された送給ガスを、所望の運転温度で等温的に窒素成分を分離するための半透膜ガス分離システムに送達する送給ガス送達段階にして、前記半透膜ガス分離システムが、送給ガスに於ける透過性のより大きい成分を選択的に透過させることが可能であり且つ所望の最適運転温度が前記低い平均周囲温度よりも高い半透膜分離材料を含んでなる送給ガス送達段階と、(d)前記半透膜ガス分離システムから、前記低い平均周囲温度以上の前記最適運転温度に於て非透過ガス及び透過ガスを回収するガス回収段階と、(e)圧縮された送給ガスを送給ガス圧縮器及び加熱手段のアフタークーラーユニットを使用して調節するが、しかし、前記年間の残余運転期間中の平均周囲温度である前記最適運転温度よりも高い温度への温度上昇に応じての運転温度の上昇を可能としてなる段階と、(f)段階(e)に於て、最適運転温度よりも高い温度への温度上昇に応じての運転温度の上昇が可能とされる年間のある運転期間中に於ける低い平均周囲温度での送給ガス運転圧力を、前記予め決定された送給ガス運転圧力以下の圧力に減少させる圧力減少段階にして、送給ガス圧力が運転温度の上昇に応じて減少しそれによりガス回収段階(d)における所望の生成物条件が維持されてなる圧力減少段階とを含み、半透膜ガス分離運転が、変化する周囲温度条件下で外部冷却を使用することなく且つ電力消費水準が望ましく低減された状態に於て実施されてなるガス分離方法。
【請求項2】 段階(e)の間、運転温度が、平均周囲温度よりも約5乃至15°F分高い温度への上昇が可能とされてなる請求項1のガス分離方法。
【請求項3】 圧力減少段階(f)の間、生成物純度及び或いは生成物流れ条件を低い平均周囲温度下での所望の値に維持されるよう、運転圧力が周囲温度に応じて減少してなる請求項1のガス分離方法。
【請求項4】 送給ガスが空気を含み、半透膜ガス分離システムが、酸素を送給空気のより透過性を有する成分として選択的に透過させることが可能であり、非透過の窒素が所望の生成物ガスとして回収されてなる請求項1のガス分離方法。
【請求項5】 生成物ガスが約99%の窒素である請求項1のガス分離方法。
【請求項6】 段階(i)にして、回収した生成物ガスの量及び或いは純度を監視し、半透膜ガス分離しステムに送られる圧縮された送給ガスの温度及び或いは圧力を監視する段階(i)と、該段階(i)で監視されたプロセス条件に相当するプロセス変数信号をプロセスコンピューター/制御体システムに送る段階(ii)にして、前記プロセスコンピューター/制御体システムが前記プロセス変数信号に相当する出力信号を送給ガス圧縮器及び或いは該送給ガス圧縮器のアフタークーラーユニット及び或いは前記加熱手段に送るようになっており、該段階(ii)によって、送給ガス圧縮器が制御され及び或いは送給ガス圧縮段階(a)及び段階(b)に於ける周囲温度条件の変化に応じての調節が為されてなる請求項1のガス分離方法。
【請求項7】 半透膜空気分離システムが2ステージ半透膜システムを含んでなる請求項4のガス分離方法。
【請求項8】 平均して少なくとも年間の約半分の運転期間が最適運転温度以下の低い周囲温度であり、年間の残余の運転期間の周囲温度が最適運転温度よりも高い温度に上昇されてなる請求項4のガス分離方法。
【請求項9】 半透膜分離材料の、酸素に対する透過性が100°F(約37.8℃)で少なくとも約0.5バレルである請求項4のガス分離方法。
【請求項10】 送給ガスが空気を含み、半透膜ガス分離システムが半透膜空気分離システムを含み、該半透膜空気分離システムが、酸素を送給空気の、より透過性を有する成分として選択的に透過させることが可能であり、非透過の窒素が所望の生成物ガスとして回収されてなる請求項1のガス分離方法。
【請求項11】 半透膜空気分離システムが1つ以上の、平行流れを通すよう適合されてなる独立した半透膜モジュールを含んでなる請求項4のガス分離方法。
【請求項12】 半透膜空気分離システムが多数の独立した半透膜モジュールを含んでなる請求項11のガス分離方法。
【請求項13】 圧力減少段階(f)に於て、送給空気の運転圧力が送給空気圧縮器のための予め決定した低い運転圧力より減少されることが無く、また独立した半透膜モジュールの少なくとも1つをが、周囲温度の上昇に伴う運転温度の上昇に応答して半透膜空気分離システムへの送給空気流れから隔絶されてなる請求項11のガス分離方法。
【請求項14】 段階(e)の間、運転温度が平均周囲温度よりも約5乃至15°F分上昇可能とされてなる請求項13のガス分離方法。
【請求項15】 送給空気運転圧力を、圧力減少段階(f)での送給空気運転圧力のそれ以上の減少に先立ち、独立した半透膜モジュールの少なくとも1つの隔絶と関連して増大してなる請求項13のガス分離方法。
【請求項16】 送給空気運転圧力が段階(a)での予め決定された送給空気運転圧力へと増大されてなる請求項15のガス分離方法。
【請求項17】 送給ガス圧縮機のアフタークーラーユニットを出る送給ガスから凝縮物を除去し、加熱手段を出る圧縮された送給ガスが過熱ガスを含み、それにより、半透膜ガス分離しステム内での所望されざる凝縮が防止されてなる請求項1のガス分離方法。
【請求項18】 送給ガスが空気を含み、半透膜ガス分離システムが半透膜空気分離システムを含み、該半透膜空気分離システムが、酸素を送給空気のより透過性を有する成分として選択的に透過させることが可能であり、非透過の窒素が所望の生成物ガスとして回収されてなる請求項17のガス分離方法。
【請求項19】 送給ガス送達段階(c)から圧力減少段階(f)の間、半透膜ガス分離システムの入手可能な全ての半透膜表面積が維持されてなる請求項1のガス分離方法。
【請求項20】 送給ガスが空気を含んでなる請求項1のガス分離方法。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【図9】
image rotate


【図7】
image rotate


【図8】
image rotate