説明

温水供給装置及び温水供給方法

【課題】頻繁なノイズの発生を減らして焼損や過熱を防止し、特に高調波の成分及びフリッカーを減少させることができる温水供給装置及び温水供給方法を提供する。
【解決手段】本発明は温水供給装置及び温水供給方法に関するものであって、具体的には本発明の温水供給装置は、第1設定容量を有するように構成されて流入された水をヒーティングする第1ヒーター;前記第1設定容量より大きい第2設定容量を有するように構成されて流入された水をヒーティングする第2ヒーター;及び水のヒーティング設定温度による前記第1ヒーター及び第2ヒーターのヒーター駆動周期を計算して、前記ヒーター駆動周期によって前記第1ヒーター及び第2ヒーターを駆動させる制御部;を含み、前記制御部は位相制御方式を用いて前記第1ヒーターのヒーター駆動周期を計算し、ゼロクロス制御方式を用いて前記第2ヒーターのヒーター駆動周期を計算することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は温水供給装置及び温水供給方法に関するものであって、特に、家庭用ビデに用いられる瞬間温水型の温水供給装置及び温水供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用ビデに用いられる温水供給装置は大きく水タンクの中にヒーターを設ける水タンク型と水道から供給される水をヒーターを用いて必要時ごとに加熱する瞬間温水型とに分けられる。
【0003】
水タンク型の温水供給装置は温水貯蔵用の水タンク内に配置されるヒーターを備え、ビデの使用可否に関係なく水タンク内の水の温度を常に設定温度に維持する。これによって、水タンク型の温水供給装置は待機電力の浪費と大きな空間を占める。
【0004】
このような理由から、最近では瞬間温水型の温水供給装置が広く使われていて、瞬間温水型の温水供給装置は使用者がビデの使用を要請し、水が給水管に抜けていく間にヒーターが排出される水に熱を加えて温度を高める。
【0005】
このような瞬間温水型の温水供給装置は、水が常に流れているのではなく、動作の安全性を確保するために必ず水が流れる間にのみヒーターが動作されるようにしなければならない。
【0006】
しかし、上述のようなヒーターを有する瞬間温水型の温水供給装置はノイズが頻繁に発生して焼損や過熱の問題が発生するだけではなく、効率が低下されるという問題点がある。
【0007】
特に、ノイズ等の高調波の成分が発生する場合、温水供給装置に電力を供給する変圧器等で温度が上昇するようになり火災を誘発する恐れがある。また、フリッカーが発生する場合には、電力供給装置にかかる負荷が瞬間的に急変するようになるため、電力供給装置に連結された他の負荷型装置の動作に問題を発生させる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の問題点を解決するための本発明の温水供給装置及び温水供給方法は、頻繁なノイズの発生を減らして焼損や過熱を防止し、特に高調波の成分及びフリッカーを減少させることができる温水供給装置及び温水供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するための本発明の一側面は、第1設定容量を有するように構成されて流入された水をヒーティングする第1ヒーター、前記第1設定容量より大きい第2設定容量を有するように構成されて流入された水をヒーティングする第2ヒーター、及び水のヒーティング設定温度による前記第1ヒーター及び第2ヒーターのヒーター駆動周期を計算して、前記ヒーター駆動周期によって前記第1ヒーター及び第2ヒーターを駆動させる制御部、を含み、前記制御部は位相制御方式を用いて前記第1ヒーターのヒーター駆動周期を計算し、ゼロクロス制御方式を用いて前記第2ヒーターのヒーター駆動周期を計算することを特徴とする温水供給装置を提供する。
【0010】
前記制御部は、第1ヒーター及び第2ヒーターに流入された水の温度が前記ヒーティング設定温度より低いかを判断した後、前記水の温度が前記ヒーティング設定温度より低い場合に前記ヒーター駆動周期を計算することを特徴とする温水供給装置を提供する。
【0011】
前記第1設定容量は0より大きく550W未満の容量であり、前記第2設定容量は550W以上1250W未満の容量であることを特徴とする温水供給装置を提供する。
【0012】
前記課題を解決するための本発明の他側面は、第1設定容量を有する第1ヒーターと、前記第1設定容量より大きい第2設定容量を有する第2ヒーターを準備する段階、位相制御方式を用いて水のヒーティング設定温度による前記第1ヒーターのヒーター駆動周期を計算し、ゼロクロス制御方式を用いて水のヒーティング設定温度による前記第2ヒーターのヒーター駆動周期を計算する段階、及び前記ヒーター駆動周期によって前記第1ヒーター及び第2ヒーターを駆動させて前記第1ヒーター及び第2ヒーターに流入される水がヒーティングされた後、出水されるようにする段階、を含むことを特徴とする温水供給方法を提供する。
【0013】
前記第1ヒーター及び第2ヒーターに流入された水の温度が前記ヒーティング設定温度より低いかを判断する段階をさらに含み、前記水の温度が前記ヒーティング設定温度より低い場合に前記ヒーター駆動周期を計算することを含むことを特徴とする温水供給方法を提供する。
【0014】
前記第1設定容量は0より大きく550W未満の容量であり、前記第2設定容量は550W以上1250W未満の容量であることを特徴とする温水供給方法を提供する。
【0015】
前記課題を解決するための本発明の他側面は、第1設定容量を有する第1ヒーターと、前記第1設定容量より大きい第2設定容量を有する第2ヒーターを準備する段階、ヒーティング設定温度及びヒーティング設定水量の入力を受ける動作設定段階、前記ヒーティング設定水量以上で入水し、入水された水の温度によるヒーティング可否の判断及びヒーティングのための必要熱量を計算する動作準備段階、及びヒーティングが必要な場合、前記必要熱量によって前記第1ヒーター及び第2ヒーターのうち一つ以上を駆動するヒーターとして選択し、前記選択したヒーターのヒーター駆動周期を計算して、前記ヒーター駆動周期によって前記選択したヒーターを駆動する制御段階を含んで、前記制御段階は位相制御方式を用いて前記第1ヒーターのヒーター駆動周期を計算し、ゼロクロス制御方式を用いて前記第2ヒーターのヒーター駆動周期を計算することを特徴とする温水供給方法を提供する。
【0016】
前記制御段階は、前記必要熱量が前記第1設定容量未満の場合には、前記第1ヒーターを駆動するヒーターとして選択し、位相制御方式を用いて前記第1ヒーターのヒーター駆動周期を計算して前記第1ヒーターを駆動させる第1制御段階を含むことを特徴とする温水供給方法を提供する。
【0017】
前記制御段階は、前記必要熱量が前記第1設定容量以上で前記第2設定容量未満の場合には、前記第2ヒーターを駆動するヒーターとして選択し、ゼロクロス方式を用いて前記第2ヒーターのヒーター駆動周期を計算して前記第2ヒーターを駆動させる第2制御段階を含むことを特徴とする温水供給方法を提供する。
【0018】
前記必要熱量が前記第2設定容量以上の場合には、前記第1ヒーター及び第2ヒーターを駆動するヒーターとして選択し、位相制御方式を用いて前記第1ヒーターのヒーター駆動周期を計算して前記第1ヒーターを駆動させ、ゼロクロス方式を用いて前記第2ヒーターのヒーター駆動周期を計算して前記第2ヒーターを駆動させる第3制御段階を含むことを特徴とする温水供給方法を提供する。
【0019】
前記第3制御段階は、前記第2ヒーターは前記第2設定容量に合わせて駆動されるようにヒーティング駆動周期を計算し、前記第1ヒーターは前記必要熱量から前記第2設定容量を差し引いた容量に合わせて駆動されるように前記ヒーティング駆動周期を計算することを特徴とする温水供給方法を提供する。
【0020】
前記動作準備段階は、ヒーティング設定水量以上で入水する段階、入水の水温を測定する段階、前記水温が前記ヒーティング設定温度未満の場合にはヒーティングのための前記必要熱量を計算する段階、及び前記水温が既設定温度以上の場合には出水して動作待機する段階を含んで、前記既設定温度は前記ヒーティング設定温度以上であり、前記水温がヒーティング設定温度以上で前記既設定温度未満の場合には前記水温を測定する段階を再度遂行することを特徴とする温水供給方法を提供する。
【0021】
前記第1設定容量は0より大きく550W未満の容量であり、前記第2設定容量は550W以上1250W未満の容量であることを特徴とする温水供給方法を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明の温水供給装置及び温水供給方法によると、ヒーターを2台で構成して夫々位相制御方式とゼロクロス制御方式を適用した温水供給装置及び温水供給方法を提供することによって、単一ヒーターを用いる場合に比べて頻繁なノイズの発生を減らし、温水供給装置の焼損や過熱を防止することができると同時に効率を増加させることができる。
【0023】
また、本発明の温水供給装置及び温水供給方法によると、ヒーターの設定容量を調節して高調波の成分及びフリッカーを減少させ、電源供給装置及び前記電源供給装置に連結された他の負荷型装置の動作に影響がを与えないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の温水供給制御システムのブロック図である。
【図2】本発明の位相制御方式を示すグラフである。
【図3】本発明のゼロクロス制御方式を示すグラフである。
【図4】本発明のヒーター容量による高調波(harmonic)試験及びフリッカー(flicker)試験の結果を示す表である。
【図5】本発明の温水供給方法のフローチャートである。
【図6】本発明の他の実施例による温水供給方法のフローチャートである。
【図7】本発明の他の実施例による温水供給方法の動作準備段階のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができて、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。図面での要素の形状及び大きさ等はより明確な説明のために誇張されることができて、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0026】
図1は本発明の温水供給制御システムのブロック図である。図1を参照すると、温水供給制御システムは大きく温水供給装置100、メイン制御装置200、給水弁300を含む。
【0027】
温水供給装置100は電力制御信号発生部10、第1ヒーター20a、第2ヒーター20b、ヒーター駆動保護部30、水量検知部40、温度検知部50、通信部60、制御部70を含む。以下で温水供給装置100の詳細構成要素に対して具体的に説明する。
【0028】
第1ヒーター20a及び第2ヒーター20bは流入された水をヒーティングして出水する。第1ヒーター20aは第1設定容量(0より大きく550W未満の容量)を有するように構成されて、第2ヒーター20bは前記第1設定容量より大きい第2設定容量(550W以上で1250W未満の容量)を有するように構成される。
【0029】
水量検知部40は第1ヒーター20a及び第2ヒーター20bに流入される水量を検知してヒーター駆動保護部30に水量に関する情報を伝送する。
【0030】
ヒーター駆動保護部30は第1ヒーター20a及び第2ヒーター20bに流入される水量が既設定値以上であるかを判断して、水量が既設定値以上であるとヒーター駆動可能信号を発生させて制御部70に伝送する。
【0031】
電力制御信号発生部10は交流電源の入力を受け、交流電源の周期とゼロ点を獲得して制御部70に伝送する。制御部70から発生するヒーター駆動信号は電力制御信号発生部10から提供された交流電源の周期とゼロ点を基準に計算されたヒーター駆動周期によって発生する。
【0032】
温度検知部50は第1ヒーター20a及び第2ヒーター20bから出水される水の温度を検知する。温度検知部50は第1ヒーター20a及び第2ヒーター20bに流入される水量が既設定値以上であると水の温度を検知する。
【0033】
制御部70は水のヒーティング設定温度による第1ヒーター20a及び第2ヒーター20bのヒーター駆動周期を計算し、ヒーター駆動周期によって第1ヒーター20a及び第2ヒーター20bを駆動させる。制御部70は第1ヒーター20a及び第2ヒーター20bに流入された水の温度がヒーティング設定温度より低いかを判断した後、水の温度がヒーティング設定温度より低い場合に、水量検知部40から通報された水量に関する情報、メイン制御装置200から提供された水のヒーティング設定温度に関する情報、温度検知部50から水の温度に関する情報を受信してヒーター駆動周期を計算する。この際、制御部70は第1ヒーター20aのヒーター駆動周期を計算する場合には位相制御方式を用いて、第2ヒーター20bのヒーター駆動周期を計算する場合にはゼロクロス制御方式を用いる。
【0034】
また、制御部70はヒーター駆動保護部30からヒーター駆動可能信号を受信したかを判断して、ヒーター駆動可能信号を受信すると流入される水をヒーティングする。このように、制御部70がヒーター駆動保護部30からヒーター駆動可能信号を受信する理由は、第1ヒーター20a及び第2ヒーター20bに水が流入されない場合にも制御部70がヒーター駆動信号を発生させることを防止するためである。
【0035】
通信部60はメイン制御装置200から受信するヒーティング設定温度の値を制御部70に伝送し、制御部70から出水される水量と、この際の水の温度をメイン制御装置200に伝送する。また、メイン制御装置200から直流電源電圧の供給を受けて電力制御信号発生部10、第1ヒーター20a、第2ヒーター20b、ヒーター駆動保護部30、水量検知部40、温度検知部50、通信部60、制御部70に伝送する。
【0036】
メイン制御装置200は使用者が特定作業(洗浄、ビデなど)を要請するとこれを検知し、給水弁300を導通させて第1ヒーター20a及び第2ヒーター20bに水が流入されるようにする。また、メイン制御装置200は温水供給装置100の制御部70にヒーティング設定温度の値を伝送して温水供給装置100がヒーティング設定温度によるヒーティング動作が遂行できるようにする。
【0037】
給水弁300はメイン制御装置200の要請に応じて弁をオン/オフして水の供給を制御する。
【0038】
上述のような本発明の温水供給装置は代表的にビデに用いられることができて、このような原理を用いる他の装置にも多様に用いられることができる。
【0039】
図2は本発明の位相制御方式を示すグラフである。図2を参照すると、上側のグラフは時間(t)による入力電源電圧(V)を示し、下側のグラフは時間(t)による位相制御電圧(V)を示す。上側のようなグラフを示す入力電源電圧に位相制御方式でヒーターを駆動する場合、下側のグラフのような位相制御電圧が出力される。
【0040】
位相制御方式はヒーターに半周期ごとに特定の位相で電源電圧を印加して零電圧で電源を遮断する方式である。この際、電源電圧が印加される位相角を導通角という。
【0041】
このような位相制御方式は高調波によるノイズを発生させる問題点があり、ヒーター容量が550W以上である場合にはCEマーキングの高調波試験に合格できなくなる。
【0042】
図3は本発明のゼロクロス制御方式を示すグラフである。図3を参照すると、上側のグラフは時間(t)による入力電源電圧(V)を示し、下側のグラフは時間(t)によるゼロクロス制御電圧(V)を示す。上側のようなグラフを示す入力電源電圧にゼロクロス制御方式でヒーターを駆動する場合、下側のグラフのようなゼロクロス制御電圧が出力される。
【0043】
ゼロクロス制御方式はヒーターに交流電源電圧を印加する時、陽の電源電圧のみを印加する方式である。
【0044】
このようなゼロクロス制御方式は高調波によるノイズを発生させなく、ヒーター容量が550W以上1250W未満の場合にはCEマーキングの高調波試験に合格できるようになる。
【0045】
図4は本発明のヒーター容量による高調波(harmonic)試験及びフリッカー(flicker)試験の結果を示す表である。ここで、Pは合格、Fは不合格を示す。
【0046】
図4を参照すると、ヒーター容量が450W、500Wである時は位相制御方式やゼロクロス制御方式のうちどの制御方式を用いても高調波試験とフリッカー試験に合格する。
【0047】
しかし、ヒーター容量が550W、650W、750Wである時はゼロクロス制御方式を用いる場合にのみ高調波試験とフリッカー試験に合格できて、位相制御方式を用いる場合にはフリッカー試験には合格できるが、高調波試験には合格できない。
【0048】
また、ヒーター容量が1250Wである時は位相制御方式を用いる場合にはフリッカー試験には合格できるが、高調波試験には合格できず、ゼロクロス制御方式を用いる場合には高調波試験には合格できるが、フリッカー試験には合格できない。
【0049】
前記CEマーキングの高調波試験の基準値は、温水供給装置によって発生する高調波ノイズが前記温水供給装置に連結された電力供給装置に影響を与えない境界値から一定部分マージン(margin)を置いて制定されたものである。
【0050】
従って、前記CEマーキングの高調波試験の基準値を満たすように温水供給装置を設計すると、高調波によって温水供給装置に電力を供給する電力供給装置が発熱される問題を防止することができる。
【0051】
また、高調波成分が増加する場合、不必要な電力が過度に消耗されるという問題も発生する。電力消耗は周波数の自乗に比例するため、高調波成分が増加すると自乗の電力浪費が増加するという問題が発生するからである。
【0052】
そして、CEマーキングのフリッカー試験の基準値は、温水供給装置により発生するフリッカー成分によって前記電力供給装置に連結された他の負荷型装置の動作が影響されないようにする境界値から一定部分マージンを置いて制定されたものである。
【0053】
特に、電灯のような装置は供給電流の変化に敏感であるため、家庭で用いられる温水供給装置でフリッカー成分の発生は使用者に不便をもたらす。また、電流供給が瞬間的に減少または増加するため、他の負荷型装置にダメージを与える可能性もある。
【0054】
従って、前記CEマーキングのフリッカー試験の基準値を満たすように温水供給装置を設計すると、前記電力供給装置に連結された他の負荷型装置の安定的な動作を保障することができる。
【0055】
図4で分かるように、温水供給装置に1台のヒーターを備えて、位相制御方式を用いてヒーターを駆動させる時、ヒーター容量が550W以上である場合にはCEマーキングのうち高調波試験に合格できない。
【0056】
従って、本発明ではこのような問題点を解決すべく、2台のヒーターを備えて温水供給を制御するようにする。即ち、ヒーター容量が1250Wが必要である場合にはヒーター容量が夫々500W、750Wである2台のヒーターを備えて、500Wのヒーターは位相制御方式を用いてヒーターを駆動させ、750Wのヒーターはゼロクロス制御方式を用いてヒーターを駆動させるようにする。
【0057】
上述のように、温水供給装置に500W、750Wの2台のヒーターを備えて高調波試験とフリッカー試験に合格できるようにすることによって、ヒーター容量が1250Wである時に位相制御方式を用いる場合にはフリッカー試験には合格できるが高調波試験には合格できなく、ゼロクロス制御方式を用いる場合には高調波試験には合格できるがフリッカー試験には合格できないという問題点を解決した。
【0058】
一方、ヒーターの構成に係り、1250Wの容量を2台のヒーターで構成する場合500W、750Wで構成する例を、1台のヒーターは第1設定容量を有するようにして他の1台のヒーターは第2設定容量を有するようにする条件さえ満たせば、ヒーターの容量を多様に有するようにすることができる。即ち、1250Wの容量を2台のヒーターで構成する場合450W、800Wで構成することも可能である。
【0059】
また、1250Wの容量を3個以上で構成して位相制御方式で駆動させる場合にも本発明の温水供給装置は高調波試験及びフリッカー試験に合格できる。但し、2台で構成する場合に比べて温水供給装置の構造が複雑になるため、温水供給装置は2台で構成することが好ましい。
【0060】
図5は本発明の一実施例による温水供給方法のフローチャートである。図5を図1とともに参照して説明することにする。
【0061】
まず、第1設定容量を有する第1ヒーター20aと、前記第1設定容量より大きい第2設定容量を有する第2ヒーター20bを準備する(S10)。
【0062】
その後、メイン制御装置200から伝送されたヒーティング設定温度が制御部70に入力されると(S20)、水量検知部40が第1ヒーター20a及び第2ヒーター20bに流入される水量を検知して(S30)、水量が既設定値以上であるかを判断する(S40)。
【0063】
その後、水量が既設定値以上であると温度検知部50が第1ヒーター20a及び第2ヒーター20bから出水される水の温度を検知する(S50)。しかし、水量が既設定値以上ではないとS40段階を繰り返す。
【0064】
その後、制御部70が第1ヒーター20a及び第2ヒーター20bに流入された水の温度がヒーティング設定温度より低いかを判断する(S60)。しかし、水の温度がヒーティング設定温度より低くないと、S50段階にフィードバック(feedback)する。
【0065】
その後、水の温度がヒーティング設定温度より低い場合、制御部70は水量検知部40から通報された水量に関する情報、メイン制御装置200から提供された水のヒーティング設定温度に関する情報、温度検知部50から水の温度に関する情報を受信して第1ヒーター20a及び第2ヒーター20bの駆動周期を計算する(S70)。この際、制御部70は第1ヒーター20aのヒーター駆動周期を計算する場合には位相制御方式を用いて、第2ヒーター20bのヒーター駆動周期を計算する場合にはゼロクロス制御方式を用いる。
【0066】
その後、制御部70がヒーター駆動保護部30から伝送されたヒーター駆動可能信号を受信したかを判断する(S80)。この際、第1ヒーター20a及び第2ヒーター20bを駆動させるためには、制御部70がヒーター駆動保護部30からヒーター駆動可能信号を受信しなければならない。このように、制御部70がヒーター駆動保護部30からヒーター駆動可能信号を受信する理由は、第1ヒーター20a及び第2ヒーター20bに水が流入されない場合にも制御部70がヒーター駆動信号を発生させることを防止するためである。
【0067】
その後、ヒーター駆動可能信号を受信すると、制御部70が電力制御信号発生部10から提供された交流電源の周期とゼロ点を基準に計算されたヒーター駆動周期によるヒーター駆動信号を発生させる(S90)。しかし、S80段階で制御部70がヒーター駆動保護部30からヒーター駆動可能信号を受信しなかった場合には、第1ヒーター20a及び第2ヒーター20bが流入される水をヒーティングすることができないため、S40段階にフィードバックする。
【0068】
その後、第1ヒーター20a及び第2ヒーター20bが流入される水をヒーティングした後出水する(S100)。
【0069】
図6は本発明の他の実施例による温水供給方法のフローチャートである。
【0070】
まず、第1設定容量を有する第1ヒーター20aと、前記第1設定容量より大きい第2設定容量を有する第2ヒーター20bを準備する。
【0071】
その後、動作設定段階(S200)では出水される水の温度の目標値になるヒーティング設定温度及び出水される水の量または水圧の目標値になるヒーティング設定水量の入力を受けることができる。動作設定段階(S200)ではヒーティング設定温度及びヒーティング設定水量を使用者によって直接入力されたりまたは既貯蔵または貯蔵された使用パターンを読んで入力されることができる。
【0072】
動作準備段階(S300)ではヒーティングする水をヒーティング設定水量以上で入水し、入水された水の温度によるヒーティング可否判断及びヒーティングのための必要熱量を計算することができる。入水された水の温度とヒーティング設定温度を比べてヒーティング可否を判断することができて、ヒーティングが必要であると判断された場合に水量及びヒーティング設定温度などを考慮してヒーティングに必要な必要熱量を計算することができる。
【0073】
必要熱量が前記第1設定容量未満の場合(S400)には第1制御段階(S500)を遂行する。第1制御段階(S500)では位相制御方式を用いて前記第1ヒーターのヒーター駆動周期を計算して前記第1ヒーターを駆動させることができる。
【0074】
必要熱量が前記第1設定容量以上で前記第2設定容量未満の場合(S600)には第2制御段階(S700)を遂行する。第2制御段階(S700)ではゼロクロス方式を用いて前記第2ヒーターのヒーター駆動周期を計算して前記第2ヒーターを駆動させることができる。
【0075】
必要熱量が前記第2設定容量以上の場合(S600)には第3制御段階(S800)を遂行する。第3制御段階(S800)では位相制御方式を用いて前記第1ヒーターのヒーター駆動周期を計算して前記第1ヒーターを駆動させ、ゼロクロス方式を用いて前記第2ヒーターのヒーター駆動周期を計算して前記第2ヒーターを駆動させることができる。
【0076】
図示はしないが、第1から第3制御段階(S500、S700、S800)の遂行中に動作のエラー発生可否及び動作時間満了可否を確認することができる。
【0077】
第1から第3制御段階(S500、S700、S800)でエラーが発生したり動作時間が満了した場合には、第1から第3制御段階(S500、S700、S800)を中断して動作待機することができる。
【0078】
また、第1から第3制御段階(S500、S700、S800)でエラーが発生せず動作時間も満了しない場合には前記動作準備段階に戻ることができる。好ましくは追加的な入水なしに入水された水の温度によるヒーティング可否判断及びヒーティングのための必要熱量計算のみを遂行することができる。
【0079】
第3制御段階(S800)では第1ヒーター20a及び第2ヒーター20bの使用優先順位によって制御方法を異なるようにすることができる。
【0080】
例えば、第2ヒーター20bの優先順位が高い場合、第3制御段階(S800)では前記第2ヒーターは前記第2設定容量に合わせて駆動されるように前記ヒーティング駆動周期を計算し、前記第1ヒーターは前記必要熱量から前記第2設定容量を差し引いた容量に合わせて駆動されるように前記ヒーティング駆動周期を計算することができる。
【0081】
第1ヒーター20aの優先順位が高い場合、第3制御段階(S800)では前記第1ヒーターは前記第1設定容量に合わせて駆動されるように前記ヒーティング駆動周期を計算し、前記第2ヒーターは前記必要熱量から前記第1設定容量を差し引いた容量に合わせて駆動されるように前記ヒーティング駆動周期を計算することができる。
【0082】
好ましくは、必要熱量による水温調節能力の変化が少ないヒーターを後順位に置くことができる。水温調節能力の変化がはげしいヒーターはヒーティングする水量が変化する場合水温制御が容易ではない。従って、ヒーティングする水量をヒーターの設定容量と同一にすることが好ましい。ヒーターの設定容量と同一である場合、ヒーティングする水量が多いため温度変化の幅が少なくなり、水温調節能力を向上させることができるからである。
【0083】
図6を参照すると、本発明の温水供給方法は第1及び第2ヒーター20a、20bを分割制御することで、ヒーターの効率的な使用が可能であり、電力を節約することができる温水供給方法である。また、第1及び第2ヒーターの分割制御を通じて精密な温度制御が可能であり、これによって不必要なエネルギー消耗を防止することができて電力消耗を最小化することができる。
【0084】
図7は本発明の他の実施例による温水供給方法の動作準備段階のフローチャートである。
【0085】
まず、ヒーティングする水を入水(S310)しながら、水量がヒーティング設定容量であるかを測定(S320)し、水量がヒーティング設定容量以上になるようにする。
【0086】
その後、入水された水の温度を測定(S330)して水温とヒーティング設定温度を比較(S340)する。
【0087】
水温がヒーティング設定温度未満の場合にはヒーティングが必要な場合であるため、ヒーティング設定温度及び水量を基に入水された水のヒーティングに必要な熱量を計算(S350)する。
【0088】
但し、ヒーティング設定温度が十分低くてヒーティングなしに出水が可能な場合にはすぐ出水が可能である。しかし、ヒーティング設定温度が低すぎて出水温度が低い場合には使用者に不便を与える可能性がある。温水供給器を使いながらヒーティング設定温度を低すぎる温度で設定することは使用者のエラーによる設定である可能性があるため、一定の水準で設定された温度以上の時のみヒーティングなしに出水されるようにすることができる。
【0089】
このような具現の一例として、水温がヒーティング設定温度以上(S340)ながら既設定された温度未満の場合(S360)には入水された水の温度を再測定し、水温がヒーティング設定温度以上ながら既設定された温度以上(S360)の場合には入水された水を出水して動作待機することができる。
【0090】
前記既設定された温度は前記ヒーティング設定温度以上であることを条件とする。前記既設定された温度の一例として摂氏41度がある。体温より高い温度であるため、ヒーティングなしに出水しても使用者に不便を与えないからである。
【0091】
本発明は、上述の実施形態及び添付の図面により限定されず、添付の請求範囲により限定されて、請求範囲に記載された本発明の技術的思想を外れない範囲内で様々な形態の置換、変形及び変更が出来るということは当技術分野の通常の知識を有する者には明白であろう。
【符号の説明】
【0092】
10 電力制御信号発生部
20a 第1ヒーター
20b 第2ヒーター
30 ヒーター駆動保護部
40 水量検知部
50 温度検知部
60 通信部
70 制御部
100 温水供給装置
200 メイン制御装置
300 給水弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1設定容量を有するように構成されて流入された水をヒーティングする第1ヒーター;
前記第1設定容量より大きい第2設定容量を有するように構成されて流入された水をヒーティングする第2ヒーター;及び
水のヒーティング設定温度による前記第1ヒーター及び第2ヒーターのヒーター駆動周期を計算して、前記ヒーター駆動周期によって前記第1ヒーター及び第2ヒーターを駆動させる制御部;を含み、
前記制御部は、位相制御方式を用いて前記第1ヒーターのヒーター駆動周期を計算し、ゼロクロス制御方式を用いて前記第2ヒーターのヒーター駆動周期を計算することを特徴とする温水供給装置。
【請求項2】
前記制御部は、第1ヒーター及び第2ヒーターに流入された水の温度が前記ヒーティング設定温度より低いかを判断した後、前記水の温度が前記ヒーティング設定温度より低い場合に前記ヒーター駆動周期を計算することを特徴とする請求項1に記載の温水供給装置。
【請求項3】
前記第1設定容量は0より大きく550W未満の容量であり、
前記第2設定容量は550W以上1250W未満の容量であることを特徴とする請求項1に記載の温水供給装置。
【請求項4】
第1設定容量を有する第1ヒーターと、前記第1設定容量より大きい第2設定容量を有する第2ヒーターを準備する段階;
位相制御方式を用いて水のヒーティング設定温度による前記第1ヒーターのヒーター駆動周期を計算し、ゼロクロス制御方式を用いて水のヒーティング設定温度による前記第2ヒーターのヒーター駆動周期を計算する段階;及び
前記ヒーター駆動周期によって前記第1ヒーター及び第2ヒーターを駆動させて前記第1ヒーター及び第2ヒーターに流入される水がヒーティングされた後、出水されるようにする段階;
を含むことを特徴とする温水供給方法。
【請求項5】
前記第1ヒーター及び第2ヒーターに流入された水の温度が前記ヒーティング設定温度より低いかを判断する段階をさらに含み、
前記水の温度が前記ヒーティング設定温度より低い場合に前記ヒーター駆動周期を計算することを含むことを特徴とする請求項4に記載の温水供給方法。
【請求項6】
前記第1設定容量は0より大きく550W未満の容量であり、
前記第2設定容量は550W以上1250W未満の容量であることを特徴とする請求項4に記載の温水供給方法。
【請求項7】
第1設定容量を有する第1ヒーターと、前記第1設定容量より大きい第2設定容量を有する第2ヒーターを準備する段階;
ヒーティング設定温度及びヒーティング設定水量の入力を受ける動作設定段階;
前記ヒーティング設定水量以上で入水し、入水された水の温度によるヒーティング可否の判断及びヒーティングのための必要熱量を計算する動作準備段階;及び
ヒーティングが必要な場合、前記必要熱量によって前記第1ヒーター及び第2ヒーターのうち一つ以上を駆動するヒーターとして選択し、前記選択したヒーターのヒーター駆動周期を計算して、前記ヒーター駆動周期によって前記選択したヒーターを駆動する制御段階を含んで、
前記制御段階は位相制御方式を用いて前記第1ヒーターのヒーター駆動周期を計算し、ゼロクロス制御方式を用いて前記第2ヒーターのヒーター駆動周期を計算することを特徴とする温水供給方法。
【請求項8】
前記制御段階は、前記必要熱量が前記第1設定容量未満の場合には、前記第1ヒーターを駆動するヒーターとして選択し、位相制御方式を用いて前記第1ヒーターのヒーター駆動周期を計算して前記第1ヒーターを駆動させる第1制御段階を含むことを特徴とする請求項7に記載の温水供給方法。
【請求項9】
前記制御段階は、前記必要熱量が前記第1設定容量以上で前記第2設定容量未満の場合には、前記第2ヒーターを駆動するヒーターとして選択し、ゼロクロス方式を用いて前記第2ヒーターのヒーター駆動周期を計算して前記第2ヒーターを駆動させる第2制御段階を含むことを特徴とする請求項7に記載の温水供給方法。
【請求項10】
前記制御段階は、前記必要熱量が前記第2設定容量以上の場合には、前記第1ヒーター及び第2ヒーターを駆動するヒーターとして選択し、位相制御方式を用いて前記第1ヒーターのヒーター駆動周期を計算して前記第1ヒーターを駆動させ、ゼロクロス方式を用いて前記第2ヒーターのヒーター駆動周期を計算して前記第2ヒーターを駆動させる第3制御段階を含むことを特徴とする請求項7に記載の温水供給方法。
【請求項11】
前記第3制御段階は、前記第2ヒーターは前記第2設定容量に合わせて駆動されるようにヒーティング駆動周期を計算し、
前記第1ヒーターは前記必要熱量から前記第2設定容量を差し引いた容量に合わせて駆動されるように前記ヒーティング駆動周期を計算することを特徴とする請求項10に記載の温水供給方法。
【請求項12】
前記動作準備段階は、ヒーティング設定水量以上で入水する段階;
入水の水温を測定する段階;
前記水温が前記ヒーティング設定温度未満の場合にはヒーティングのための前記必要熱量を計算する段階;及び
前記水温が既設定温度以上の場合には出水して動作待機する段階を含んで、
前記既設定温度は前記ヒーティング設定温度以上であり、
前記水温がヒーティング設定温度以上で前記既設定温度未満の場合には前記水温を測定する段階を再度遂行することを特徴とする請求項7に記載の温水供給方法。
【請求項13】
前記第1設定容量は0より大きく550W未満の容量であり、
前記第2設定容量は550W以上1250W未満の容量であることを特徴とする請求項7に記載の温水供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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