説明

温水吐水装置

【課題】吐出口から吐出できる温水の流量を確保しつつ消費電力の低減を実現できる温水吐水装置を提供すること。
【解決手段】吐出口7から温水を吐出させる温水吐水装置1は、吐出口7と連通する水加熱器22と、吐出口7と連通し、水加熱器22からの温水を貯留する断熱構造の温水タンク3と、水加熱器22と吐出口7との間に設けられて、水加熱器22で生成された温水の供給先を、吐出口7あるいは温水タンク3のいずれか一方に切り替える温水切替弁5と、温水タンク3に貯留された温水を吐出口7から吐出させるエアポンプ4とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水使用時に温水を生成して吐出口から吐出する方式の温水洗浄便座や手洗い装置等の温水吐水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルや蛇口等の吐出口から温水を吐出する温水吐水装置がある。この種の温水吐水装置としては、例えば、洋風便器に設置されて、洗浄ノズルから温水を吐出させて人体の局部を洗浄する温水洗浄装置や、洗面台に設けられている手洗い装置などが知られている。このような温水吐水装置は、大量の温水を常時必要とせず、比較的少量の温水を瞬時に提供することが要望されている。
【0003】
ここで、温水を生成する方法としては、温水タンク貯湯方式がある。温水タンク貯湯方式は、貯湯タンクに温水を貯留するとともに、常時ヒータに通電して温水を保温する方式である。温水タンク貯湯方式は、ユーザーの使用要求に対して温水の流量を十分に確保できるが、常に温水を供給できるように所定の水温を保持した状態で待機している。このため、常時ヒータに通電している必要があることから、消費電力が増加するという問題がある。また、温水タンク貯湯方式は、温水タンク内の温水を使い切ってしまうと、湯切れが発生してしまう。
【0004】
また、瞬間湯沸かし方式もある。瞬間湯沸かし方式は、使用するとき、すなわち通水が発生するときのみ水を昇温させて温水を生成するものである。瞬間湯沸かし方式は、通水が発生するときのみ湯沸かしするので、消費電力を低減できるとともに、連続して温水を吐出できるので、湯切れも発生せず、また、使用者に待たせる感覚を抱かせることもほとんどない。しかし、瞬間湯沸かし方式は、湯沸かし器の性能から、吐出口から吐出できる温水の流量に制限があり、流量を確保することが困難であるという問題がある。
【0005】
従来では、温水タンク貯湯方式および瞬間湯沸かし方式の両方の機能を合わせた温水吐水装置が種々提案されている。例えば、特許文献1は、給湯器により生成された温水を温水混合水栓から吐出するものであり、給湯器により温水が湯水混合水栓から吐出されるようになるまで、保温タンクのヒータにより保温されていた温水を湯水混合水栓から吐出するものである。また、特許文献2は、給水源からの水を貯湯加熱部により昇温・保温する湯タンクと、給水源からの水を瞬間的に昇温する瞬間加熱部とを備え、湯タンクに貯留されている温水、あるいは瞬間加熱部により生成された温水のいずれかを吐出口から吐出するものである。また、瞬間湯沸かし方式を用いた温水吐水装置では、特許文献3,4に示すように、温水に空気を混合して吐出口から吐出させるものがある。これは、吐出口から吐出できる温水の流量に制限があっても、ユーザーに実際の流量以上の流量の温水が吐出口から吐出されているように感じさせることができる技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−275966号公報
【特許文献2】特開平7−268930号公報
【特許文献3】特開2001−32341号公報
【特許文献4】特開平9−168488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の温水吐水装置では、ユーザーの要望に応じた吐出口から吐出できる温水の流量を確保することができるが、消費電力の低減は十分ではなかった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、吐出口から吐出できる温水の流量を確保しつつ消費電力の低減を実現できる温水吐水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、吐出口から温水を吐出させる温水吐水装置であって、前記吐出口と連通する温水源と、前記吐出口と連通し、前記温水源からの温水を貯留する断熱構造の温水タンクと、前記温水源と前記吐出口との間に設けられて、前記温水源で生成された温水の供給先を、前記吐出口あるいは前記温水タンクのいずれか一方に切り替える温水切替弁と、前記温水タンクに貯留された温水を前記吐出口から吐出させるポンプと、を含むことを特徴とする。
【0010】
上記温水吐水装置では、ユーザーの使用要求に応じて、温水源からの温水を吐出口から吐出することができるので、温水源から吐水口までの間で温水を保温しておく必要がない。また、上記の温水吐水装置では、温水タンクに温水が貯留される場合は、温水タンクの断熱構造により温度低下が抑制される。従って、温水源の温水を吐出口で吐出するまでの経路において、温度維持のために温水を加熱することはなく、消費電力を低減することができる。また、温水源からの温水を温水タンクに貯留し、貯留された温水をポンプにより吐出口から吐出することができるので、温水源からの温水の流量に依存することなく、ユーザーの使用要求に応じて温水源からの温水の流量以上の温水を吐出口から吐出することができる。これらのように、上記の温水吐水装置は、吐出口から吐出できる温水の流量を確保しつつ消費電力の低減を実現することができる。
【0011】
また、上記温水吐水装置では、前記ポンプは、前記吐出口から吐出される温水に空気を混合するエアポンプであり、前記エアポンプと前記吐出口との間に設けられて、前記エアポンプで生成されたエアの供給先を、前記吐出口あるいは前記温水タンクのいずれか一方に切り替えるエア切替弁をさらに含むことが好ましい。上記温水吐水装置では、エアポンプで生成されたエアは、エア切替弁によりエアの供給先を吐出口とした場合に吐出口から直接吐出される温水源からの温水にエアを混入することができ、エアの供給先を温水タンクとした場合に温水タンク内の圧力を昇圧するので、温水タンクの温水を吐出口から吐出することができる。従って、1つのエアポンプにより、温水タンクに貯留された温水を吐出口から吐出させることができ、吐出口から吐出される温水にエアを混入させることができる。
【0012】
また、上記温水吐水装置では、前記温水源からの温水を前記吐出口から直接吐出させる場合は、前記エア切替弁により前記エアの供給先を前記吐出口とし、前記エアポンプを駆動してから、前記温水源からの温水の吐出を開始し、前記温水源からの温水の吐出を終了させる場合は、前記温水源からの温水の吐出を終了してから、前記エアポンプの駆動を停止することが好ましい。上記温水吐水装置では、温水源からの温水を吐出口から直接吐出する場合に、常に温水にエアを混入させることができる。従って、ユーザーの使用開始時から実際の流量以上の流量の温水が吐出口から吐出されているようにユーザーに感じさせることができる。また、ユーザーの使用終了時に、エアにより吐出口近傍の温水が強制的に吐出されるので、ユーザーの使用終了後に吐出口から温水が漏れることを抑制することができる。
【0013】
また、上記温水吐水装置では、前記温水タンクに貯留されている温水を排水する場合は、前記エア切替弁により、前記エアの供給先を前記温水タンクとし、前記エアポンプを駆動することが好ましい。上記温水吐水装置では、ユーザーの使用要求時に使用されなかった温水を排水し、ユーザーの新たな使用要求時に新たな温水を空の状態の温水タンクに貯留することができる。従って、ユーザーの使用要求に応じた温度よりも低下した温水が温水タンク内に貯留されたまま、新たな温水が温水タンクに貯留されることで温水タンクに貯留された温水の温度が低下することを抑制できるので、ユーザーの使用要求に応じた温度の温水を吐出口から吐出することができる。
【0014】
また、上記温水吐水装置では、前記温水源は、給水源と、前記給水源から給水される水を昇温させて温水を生成する水加熱器と、を含む事が好ましい。上記温水吐水装置では、ユーザーの使用要求があった場合にのみに水加熱器を動作させるので、温水を保温する場合と比較して、消費電力を大幅に低減することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかる温水吐水装置は、吐出口から吐出できる温水の流量を確保しつつ消費電力の低減を実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、実施形態に係る温水吐水装置の概略図である。
【図2】図2は、本実施形態に係る温水吐水装置が適用されたトイレの全体構成図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る温水吐水装置の制御の一例を示すフローチャートである。
【図4】図4は、エアポンプの駆動と温水の吐出との関係を示す図である。
【図5】図5は、温水タンクに設けられた水位検出センサを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下に説明する発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、以下に開示する構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。以下においては、人体の局部へ温水を噴射する温水洗浄装置に本発明を適用した例を説明するが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではない。
【0018】
本実施形態に係る温水吐水装置は、吐出口から温水を吐出させる温水吐水装置であって、温水源と温水タンクと温水切替弁とポンプとを備え、温水源からの温水の供給先を、温水切替弁によって吐出口または温水タンクのいずれか一方とする点に特徴がある。また、ポンプがエアポンプであり、エア切替弁をさらに備え、エアポンプからのエアの供給先を、エア切替弁によって吐出口または温水タンクのいずれか一方とする点に特徴がある。そして、本実施形態に係る温水吐水装置が吐出口から温水を吐出させる場合には、温水源で生成された温水を温水タンクへ貯留するとともに、温水タンクに所定量以上の温水が貯留されてから、エアポンプによって温水タンク内の温水を吐出口へ送り、吐出口から温水を吐出させる。また、温水が温水タンクに所定量以上貯留される前に吐出口から温水を吐出させる場合には、温水源から温水を直接吐出口へ吐出させる。
【0019】
図1は、実施形態1に係る温水吐水装置の概略図である。温水吐水装置1は、洋式便器に取り付けられる温水洗浄装置であり、例えば、用便後における人体の局部へ温水を吐出させて洗浄するものである。温水吐水装置1は、温水源2と、温水タンク3と、エアポンプ4と、温水切替弁5と、エア切替弁6とを含んで構成されており、シャワーノズルに設けられた吐出口7から温水を吐出させる。さらに、本実施形態において、温水吐水装置1は、第1温水通路8と、第2温水通路9と、第1エア通路10と、第2エア通路11と、制御装置12と、操作盤13と、を備える。
【0020】
温水源2は、温水を生成するものであり、吐出口7と連通するものである。実施の形態では、給水源21と、水加熱器22と、通水弁23と、導水通路24とを含んで構成されている。給水源21は、給水管25と、止水栓26とを含んで構成されている。導水通路24は、止水栓26を介して給水管25と接続される。ここで、給水管25は、温水吐水装置1へ水を供給するものである。導水通路24は、給水管25から温水吐水装置1へ水を導く通路であり、止水栓26が開かれると、給水管25内の水が止水栓26を通って導水通路24内へ流入する。止水栓26は、導水通路24と給水管25とが接続されると開かれて、温水吐水装置1の使用中は特段の事情がない限り開かれた状態で維持される。
【0021】
導水通路24には、通水弁23が設けられる。通水弁23は、制御装置12によって動作が制御、すなわち開閉が制御される。これによって、通水弁23は、導水通路24を開閉する。温水吐水装置1が待機状態である場合、すなわち、吐出口7から温水を吐出させない場合には通水弁23が閉じており、温水吐水装置1が吐出口7から温水を吐出させる場合には通水弁23が開き、給水管25からの水が導水通路24を介して水加熱器22へ供給される。なお、通水弁23に流量調整機能を有するものを用いて、水加熱器22へ供給される水の流量を調整してもよい。このようにすれば、通水弁23によって吐出口7から吐出される温水の流量を調整できる。
【0022】
水加熱器22は、給水源、すなわち止水栓26を介して給水管25から供給される水を加熱して昇温させる。本実施形態において、水加熱器22は、内部に加熱通路27を備えるとともに、電気が通電されることによって発熱するヒータ28が、加熱手段として加熱通路27に近接して設けてある。加熱通路27は、導水通路24と接続されており、導水通路24内の水が内部に導入される。ヒータ28は、制御装置12によって動作が制御、すなわち、通電の有無や通電量が制御される。
【0023】
本実施形態において、ヒータ28は発熱密度に優れた板状のセラミックヒータを用いるが、これに限定されるものではなく、例えば、シーズヒータやマイカヒータ等、様々な形式のヒータを用いることができる。本実施形態において、加熱通路27は、ヒータ28との接触面積を拡大するため、複数の折り返し部を有する往復の形状としてある。水加熱器22が温水を生成する場合、通水弁23が開かれて給水管25からの水が導水通路24を介して水加熱器22の加熱通路27へ導入されると、ヒータ28に通電される。そして、ヒータ28が通電されることにより生み出される熱によって加熱通路27を流れる水を昇温させる。これによって、給水管25から水加熱器22へ供給される水は、水加熱器22の加熱通路27を通過する過程で昇温する。このようにして、水加熱器22は加熱通路27の入口から出口の間で水を昇温させることにより、温水を連続して生成する。
【0024】
なお、本実施形態においては、加熱通路27の下流側に、吐出温度検知手段としてのサーミスタ29が設けられる。サーミスタ29の出力は制御装置12に入力される。そして、制御装置12は、サーミスタ29が検出した温度に基づき、水加熱器22が吐出する温水の温度と所定の目標温度との偏差が0になるように、水加熱器22が有するヒータ28へ供給する電力を制御する。なお、サーミスタ29は必ずしも設ける必要はない。この場合、制御装置12は、例えば、水温や気温に応じてヒータ28の加熱量を制御するようにしてもよい。
【0025】
水加熱器22の吐出口、すなわち水加熱器22が有する加熱通路27の出口27eと吐出口7とは、第1温水通路8で連結されている。水加熱器22によって生成され、吐出された温水は、第1温水通路8を通って吐出口7から吐出される。本実施形態において、温水吐水装置1は温水洗浄装置なので、吐出口7は、シャワーノズルの先端近傍に設けられている。温水吐水装置1を手洗い装置に適用する場合、吐出口7は蛇口となる。このように、吐出口7は、温水吐水装置1の適用対象に応じて変化する。
【0026】
第1温水通路8には、温水切替弁5が設けられる。上述したように、第1温水通路8は、水加熱器22と吐出口7とを連通するので、温水切替弁5は水加熱器22の吐出口側に配置されて、水加熱器22と吐出口7との間に設けられることになる。温水切替弁5は、制御装置12によって動作が制御される。温水切替弁5は、1個の入口5iと2個の出口5e1、5e2とを有しており、入口5iは水加熱器22側の第1温水通路8を介して、水加熱器22の吐出口と連通している。出口5e1は、吐出口7側の第1温水通路8を介して吐出口7と連通している。出口5e2は、第2温水通路9と連通している。ここで、第2温水通路9は、温水切替弁5の出口5e2と吐出口7とを連通しており、途中に温水タンク3が設けられる。つまり、第2温水通路9は、第1温水通路8をバイパスして、水加熱器22の吐出口側と吐出口7とを連通することになる。また、温水タンク3は、吐出口7と連通している。
【0027】
このように、温水切替弁5の一方の出口5e1は吐出口7と連通しており、他方の出口5e2は温水タンク3と連通しているので、温水切替弁5は、温水源2、すなわち水加熱器22で生成されて入口5iへ流入する温水の供給先を、吐出口7あるいは温水タンク3のいずれか一方に切り替えることができる。例えば、温水切替弁5が、水加熱器22から生成された温水の供給先を吐出口7にすると、水加熱器22で生成された温水は直接吐出口7へ供給されて吐出される。また、温水切替弁5が、水加熱器22で生成された温水の供給先を温水タンク3にすると、水加熱器22で生成された温水は温水タンク3へ一時的に貯留される。
【0028】
温水タンク3は、温水源2、すなわち水加熱器22で生成された温水を貯留するものである。温水タンク3は、断熱構造を有する。温水タンク3は、下部に設けられた開口、すなわち温水タンク3の出口3eと吐出口7とは、第2温水通路9で連結されている。
ここで、断熱構造とは、温水タンク3の内部と外部との間に断熱要素を介在させた構造であり、例えば温水タンク3を外壁と内壁との2重構造として、外壁と内壁との間を真空としたり、温水タンク3の外壁面を断熱材、断熱塗料などの断熱層で覆ったりすることで形成される。従って、温水タンク3は、貯留された温水の温度低下を断熱構造でないタンクと比較して抑制することができる。温水タンク3の断熱構造は、ユーザーの温水の使用タイミングを考慮して、ユーザーの使用要求に応じた温度の温水をユーザーの温水の使用時間維持できる程度の保温性能を有するように設定されている。また、温水タンク3には、本実施形態では、逆止弁31が設けられている。逆止弁31は、水加熱器22で生成された温水が温水切替弁5を介して温水タンク3に流入することのみを許容するものである。従って、温水タンク3は、密閉構造となる。ここでいう、密閉構造としては、例えば、ステンレス製の真空2重層構造がある。この場合は、40℃の湯水を500cc入れ、樹脂製の蓋で閉塞した場合に、温度低下が3時間で2〜3℃程度となる。
【0029】
エアポンプ4は、吐出口7から吐出される温水に空気を混合するポンプであるとともに、温水タンク3に貯留された温水を吐出口7から吐出させるポンプである。エアポンプ4は、外部の空気を圧縮して吐出するものであり、吐出口、すなわちエアポンプ4の出口4eと吐出口7とは、第1エア通路10で連結されている。
【0030】
第1エア通路10には、エア切替弁6が設けられる。上述したように、第1エア通路10は、エアポンプ4と吐出口7とを連通するので、エア切替弁6はエアポンプ4の吐出口側に配置されて、エアポンプ4と吐出口7との間に設けられることになる。エア切替弁6は、制御装置12によって動作が制御される。エア切替弁6は、1個の入口6iと2個の出口6e1、6e2とを有しており、入口6iはエアポンプ4側の第1エア通路10を介して、エアポンプ4の吐出口と連通している。出口6e1は、吐出口7側の第1エア通路10を介して吐出口7と連通している。出口6e2は、第2エア通路11と連通している。ここで、第2エア通路11は、エア切替弁6の出口6e2と温水タンク3とを連通している。つまり、第2エア通路11は、第1エア通路10から分岐して、エアポンプ4の吐出口側と温水タンク3とを連通することになる。なお、第2エア通路11は、温水タンク3の上部、例えば温水タンク3が満水となった場合の水位よりも上部で、温水タンク3の内部と連通している。
【0031】
このように、エア切替弁6の一方の出口6e1は吐出口7と連通しており、他方の出口6e2は温水タンク3と連通しているので、エア切替弁6は、エアポンプ4で生成されて入口6iへ吐出されるエアの供給先を、吐出口7あるいは温水タンク3のいずれか一方に切り替えることができる。例えば、エア切替弁6が、エアポンプ4で生成されたエアの供給先を吐出口7にすると、エアポンプ4で生成されたエアは直接吐出口7へ供給されて吐出される。また、エア切替弁6が、エアポンプで生成されたエアの供給先を温水タンク3にすると、エアポンプ4で生成されたエアは温水タンク3に供給される。ここで、上述のように、温水タンク3は密閉構造のため、温水タンク3にエアが供給されると温水タンク3の内部の圧力が上昇する。従って、温水タンク3に温水が貯留されている状態で温水タンク3にエアが供給されると、温水タンク3内の温水は、第2温水通路9を介して吐出口7へ供給され吐出される。従って、エアポンプ4は、温水タンク3に貯留された温水を吐出口7から吐出させる機能と、吐出口7から吐出される温水にエアを混入させる機能と、を1つのポンプで実現することができる。これにより、2つの機能を2つのポンプで実現する場合と比較して、構成の簡略化することができるとともに、消費電力を大幅に低減させることができるので、環境負荷を大幅に低減させることができる。
【0032】
また、エアポンプ4は、温水タンク3内に残った温水を排出する機能を有する。温水タンク3に貯留されている温水を排水する場合は、ユーザーによる使用要求がなくなった後に、エア切替弁6により、エアの供給先を温水タンク3とし、エアポンプ4を駆動させる。従って、温水タンク3内の温水は、第2エア通路11を介して吐出口7から吐出されることで排出される。つまり、温水吐水装置1では、ユーザーの使用要求時に使用されなかった温水を排水し、ユーザーの新たな使用要求時に新たな温水を空の状態の温水タンクに貯留することができる。従って、ユーザーの使用要求に応じた温度よりも低下した温水が温水タンク3内に貯留されたまま、新たな温水が温水タンク3に貯留されることで温水タンク3に貯留された温水の温度が低下することを抑制できるので、ユーザーの使用時に、ユーザーの使用要求に応じた温度の温水を温水タンクに貯留でき、ユーザーの使用要求に応じた温度の温水を吐出口から吐出することができる。
【0033】
制御装置12は、例えば、MCU(Micro Computer Unit)で構成されており、上述したように、水加熱器22、通水弁23、エアポンプ4、温水切替弁5、エア切替弁6の動作を制御する。温水吐水装置1は、使用者が操作盤13を用いて動作させる。操作盤13は制御装置12と電気的に接続されている。そして、使用者が操作盤13を用いて制御装置12に操作指令を入力すると、制御装置12は、上記制御対象の制御を行う。操作盤13は、温水吐水装置1の吐出口7から温水を吐出させるための開始スイッチ131と、吐出口7からの温水の吐出を停止させるための停止スイッチ132と、吐出口7から吐出させる温水の流量を調整する流量調整スイッチ133とを有する。また、制御装置12にはサーミスタ29が電気的に接続されており、サーミスタ29が取得した情報、すなわち、水加熱器22が生成した温水の温度に基づいて、水加熱器22の加熱量を制御する。
【0034】
操作盤13の流量調整スイッチ133によって、吐出口7から吐出する温水の流量を調整できる。温水タンク3内の温水を吐出口7から吐出させる場合、例えば、流量調整スイッチ133からの入力信号に応じて制御装置12がエアポンプ4の吐出能力を調整することで、吐出口7から吐出する温水の流量を調整する。また、水加熱器22で生成された温水を直接吐出口7から吐出させる場合、例えば、通水弁23に流量調整機能を設けて、給水源から水加熱器22へ供給される水の流量を調整することにより、吐出口7から吐出する温水の流量を調整してもよい。また、水加熱器22自体に流量調整機能を設けたり、水加熱器22が備える加熱通路27の出口27eの下流に流量調整弁を設けたりして、吐出口7から吐出する温水の流量を調整してもよい。
【0035】
水加熱器22は、加熱通路27を水が通過する間に、温水吐水装置1の目標とする温度(目標温度:例えば、温水吐水装置1の仕様上要求される温度であり、40℃程度)まで水を昇温させる。ここで、水加熱器22のヒータ28へ投入できる電力には制限があるので、ヒータ28の発熱量には上限がある。このため、水加熱器22が単位時間あたりに目標温度の温水を生成できる量(以下、温水流量という)には上限がある。このため、水加熱器22で実現可能な温水流量を超えて目標温度の温水を吐出口7から吐出することはできず、水加熱器22で実現可能な温水流量を超える場合には、目標温度よりも低い温度の温水となってしまう。
【0036】
そこで、本実施形態では、温水吐水装置1が水加熱器22と、温水タンク3と、エアポンプ4と、温水切替弁5とを備える。そして、ユーザーから温水の使用要求がある場合、すなわち、吐出口7から温水を吐出させる場合、温水吐水装置1の温水切替弁5は、水加熱器22が生成する温水の供給先を温水タンク3として、水加熱器22で生成された温水を温水タンク3に所定量貯留する。そして、所定量以上の温水が温水タンク3に貯留されたら、温水吐水装置1のエアポンプ4は、温水タンク3内の温水を吐出口7から吐出する。
【0037】
このように、温水吐水装置1は、自身に対する使用要求がある場合、水加熱器22で生成された温水を一旦温水タンク3に貯留してから、温水タンク3内の温水をエアポンプ4で吐出口7から吐出する。すなわち、温水吐水装置1は、バッファータンクとして機能する温水タンク3を有するので、温水タンク3が空になるまでは、水加熱器22が実現可能な温水流量を超えた流量で目標温度の温水を吐出口7から吐出させることができる。これによって、温水吐水装置1は、吐出口7から吐出される温水の流量を十分に確保できるので、使用者は、快適な洗浄感を得られる。また、小流量から中流量まで温水の流量の調整範囲を広くできるので、温水吐水装置1の使用者の多様な要求に応えることもできる。
【0038】
ここで、温水タンク3の容量を、温水吐水装置1を1回使用する場合に使用される温水の最大量としておけば、温水吐水装置1の1回の使用においては、必要十分な量の温水を吐出口7から吐出できると考えられる。なお、温水タンク3の容量は、例えば、温水吐水装置1の1回の使用で要求される最大の流量、および最大の使用時間に基づいて設定できる。
【0039】
また、本実施形態においては、空の温水タンク3に温水が供給される前(あるいは、温水タンク3に所定量以上の温水が貯留される前)に吐出口7から温水を吐出させる場合、温水吐水装置1の温水切替弁5は、水加熱器22が生成する温水の供給先を吐出口7とする。そして、温水吐水装置1は、水加熱器22が生成した温水を直接吐出口7から吐出させる。これによって、水加熱器22が実現可能な温水流量の範囲内で目標温度の温水を吐出口7から吐出させることができる。この場合、水加熱器22が実現可能な温水流量を超えた流量で目標温度の温水を吐出口7から吐出させることはできないが、温水を吐出口7から吐出させる要求があった時点から実際に温水が吐出口7から吐出されるまでの遅れ時間を極小にすることができる。その結果、温水吐水装置1の使用者が受ける、待たされる感覚を低減できる。
【0040】
従来の温水洗浄装置で広く用いられている温水タンク貯湯方式は、温水タンク内に貯留されている温水を所定の温度に保温するため、常時ヒータで温水を加熱しているので、ヒータの消費電力が増加する。この保温に要する電力は、温水タンク貯湯方式の温水洗浄装置で消費される全電力のおよそ80%であり、残りのおよそ20%が水を所定の温度まで昇温させることや温水の吐出等に必要な電力である。
【0041】
本実施形態では、ユーザーから温水の使用要求があった場合にのみ水加熱器22を動作させ、これによって生成され温水タンク3に貯留された温水をエアポンプ4で吐出口7から吐出、あるいは水加熱器22によって生成された温水を直接吐出口7から吐出する。特に、温水タンク3は、断熱構造であるので、温水タンク3内の温水を一定温度に保持するためのヒータなどを必要とせずに、温水の保温が可能となる。このため、温水吐水装置1は、単なる温水タンク貯湯方式では必要になる保温のための電力が不要になる。その結果、温水吐水装置1は、温水タンク貯湯方式と比較して消費電力を大幅に低減させることができるので、環境負荷を大幅に低減させることができる。また、温水吐水装置1を設置する場所に、給湯設備がなくても、本実施形態に係る温水吐水装置1を使用することができる。
【0042】
次に、本実施形態にかかる温水吐水装置の制御方法、すなわち動作について説明する。図2は、本実施形態に係る温水吐水装置が適用されたトイレの全体構成図である。図3は、本実施形態に係る温水吐水装置の制御の一例を示すフローチャートである。図4は、エアポンプの駆動と温水の吐出との関係を示す図である。図5は、温水タンクに設けられた水位検出センサを示す模式図である。なお、図5における(a)は開始スイッチ131に対応するタイムチャート、(b)は停止スイッチ132に対応するタイムチャート、(c)はエアポンプ4に対応するタイムチャート、(d)は吐出口7から温水の吐出に対応するタイムチャートである。
【0043】
本実施形態に係る温水吐水装置1は、図2に示すように、洋風便器14の温水洗浄器に適用される。洋風便器14は、上部に便座15が設けられ、便座15へのユーザーの着座を検出する着座センサ16を備える。着座センサ16を用いることにより、温水吐水装置1を、主として洋風便器で用いられる温水洗浄装置に適用する場合には、温水吐水装置1のユーザーを簡単に検知できるので、将来における使用要求を比較的簡単に予測できる。
【0044】
着座センサ16は、例えば、便座15へ着座したユーザーを光学的に検出する方式のものを用いることができるが、これに限定されるものではない。本実施形態では、便座15へトイレのユーザーが着座したことをもって温水吐水装置1の使用を予測し、図1に示す温水タンク3への温水の貯留を開始して、温水吐水装置1の使用に備える。本実施形態においては、着座センサ16として、便座15へ着座したユーザーを光学的に検出する方式のものを用い、便座15へ着座した使用者を検出するとON信号を出力し、それ以外の場合はOFF信号を出力するものを用いる。なお、トイレのユーザーの着座を検出する手法はこれに限定されるものではない。例えば、トイレのユーザーの接近を検知して自動で便座15や便座カバーを開閉する機構を利用して、人の接近があり、かつ便座カバーが開かれた場合には、便座15へユーザーが着座したとみなしてもよい。
【0045】
まず、図3に示すように、制御装置12は、ユーザーが便座15に着座したか否かを判断する(ステップST1)。ここでは、制御装置12は、着座センサ16からのON/OFF信号を取得し、取得されたON/OFF信号に基づいてユーザーが便座15に着座したか否か判断することで、ユーザーの将来における使用要求を判断する。
【0046】
次に、制御装置12は、着座センサ16からのON信号が検出され、着座ありと判断(ステップST1:Yes)、すなわちユーザーの将来における使用要求があると判断すると、通水弁23を開いて水加熱器22の加熱通路27へ給水源から水を供給するとともに、水加熱器22のヒータ28へ通電を行い、水の加熱を実行する(ステップST2)。給水源21から水加熱器22へ供給された水は、加熱通路27を通過する過程で加熱され、所定温度の温水が生成される。生成された温水は、加熱通路27の出口27eから流出する。ここで、本実施形態では、温水切替弁5は、初期状態においては水加熱器22で生成された温水の供給先を温水タンク3としているので、水加熱器22で生成された温水は、温水切替弁5を通過して温水タンク3に貯留される。なお、制御装置12は、着座センサ16からのOFF信号が検出され、着座なしと判断(ステップST1:No)、すなわちユーザーの将来における使用要求がない、例えば既にユーザーの使用終了後であると判断すると、ステップST11に移行し、結果、本実施形態に係る温水吐水装置の制御を終了する。これによって、ユーザーの使用要求がないと予測できる場合には温水を生成しないので、無用な電力消費を抑制して、環境負荷を低減できる。ここで、ヒータへの通電は、空焚きを防止するため、通水弁23を開いた後に行われることが好ましい。
【0047】
次に、制御装置12は、操作盤13の開始スイッチ131がONになったか否かを判断する(ステップST3)。ここでは、制御装置12は、開始スイッチ131がONになるか否かを判断することで、便座15に着座したトイレのユーザーが、温水吐水装置1を使用して吐出口7(より具体的にはシャワーノズルに設けられる吐出口)から温水を吐出させる意思、すなわち使用要求があるのか否かを判断する。
【0048】
次に、制御装置12は、開始スイッチ131がONになったと判断(ステップST3:Yes)すると、エアポンプ4を駆動させてエアポンプ4によりエアを生成するとともに、エア切替弁6を制御してエアポンプ4で生成されたエアの供給先を吐出口7に切り替える(ステップST4)。これにより、エアポンプ4からのエアは、吐出口7から吐出されることとなる。
【0049】
次に、制御装置12は、温水切替弁5を制御して水加熱器22で生成された温水の供給先を吐出口7に切り替える(ステップST5)。これにより、水加熱器22からの温水は、吐出口でエアが混入されて吐出されて、局部の洗浄が開始される。ここで、図5に示すように、温水吐水装置1は、開始スイッチ131がONされると、エアポンプ4が駆動されて吐出口7からエアが吐出する状態で、水加熱器22からの温水を直接吐出口7から吐出する。つまり、水加熱器22からの温水を吐出口7から直接吐出させる場合は、エアが吐出されてから温水が吐出され、温水の吐出開始から温水にエアを混入させることができる。エアが混入されている温水を吐出口7から吐出させると、温水のみを吐出口7から吐出させる場合と比較して温水を勢いよく吐出させることができる。これにより、ユーザーの使用開始時から勢いよく温水を吐出させることができるので、実際の流量以上の流量の温水が吐出口7から吐出されているようにユーザーに感じさせることができる。
【0050】
次に、制御装置12は、図3に示すように、操作盤13の停止スイッチ132がONになったか否かを判断する(ステップST6)。ここでは、制御装置12は、停止スイッチ132がONになるか否かを判断することで、局部の洗浄を開始したユーザーが、吐出口7から吐出している温水を停止する意思、すなわち使用要求がなくなったか否かを判断する。
【0051】
次に、制御装置12は、停止スイッチ132がONになったと判断(ステップST6:Yes)すると、温水切替弁5を制御して水加熱器22で生成された温水の供給先を温水タンク3に切り替える(ステップST7)。ここでは、制御装置12は、局部の洗浄を開始したユーザーの使用要求がなくなったと判断すると、局部の洗浄を終了する。このとき、水加熱器22からの温水は、温水切替弁5を通過して温水タンク3に貯留される。なお、制御装置12は、停止スイッチ132がONとなっていないと判断(ステップST6:No)すると、停止スイッチ132がONとなるまでステップST6を繰り返す。ここでは、制御装置12は、局部の洗浄を開始したユーザーの使用要求がなくなったと判断されるまでは、水加熱器22からの温水を吐出口7から直接吐出し続け、局部の洗浄を維持する。
【0052】
次に、制御装置12は、エアポンプ4を停止させてエアポンプ4によるエアの生成を停止するとともに、エア切替弁6を制御してエアポンプ4で生成されたエアの供給先を温水タンク3に切り替える(ステップST8)。これにより、エアポンプ4が駆動することで、エアポンプ4で生成されたエアが温水タンク3に供給されることとなる。ここで、図5に示すように、温水吐水装置1は、停止スイッチ132がONされると、水加熱器22からの温水を直接吐出口7から吐出することを終了してから、エアポンプ4の駆動を停止する。つまり、水加熱器22からの温水を吐出口7から直接吐出させることを終了させる場合は、温水が吐出するのを終了してからエアが吐出するのを終了し、温水の吐出終了まで温水にエアを混入させることができる。従って、温水の吐出終了後においてもエアは、吐出口7から吐出されるので、少なくとも吐出口7の近傍の温水、例えば吐出口7に残留している温水は、エアとともに吐出口7から強制的に吐出されることとなる。これにより、ユーザーの使用終了後に吐出口7から温水が漏れることを抑制することができる。
【0053】
次に、制御装置12は、図3に示すように、ユーザーが便座15に着座したか否かを判断する(ステップST9)。ここでは、制御装置12は、局部の洗浄を終了したユーザーが便座15から離れた否かを判断することで、ユーザーの将来における再度の使用要求を判断する。
【0054】
次に、制御装置12は、着座なしと判断(ステップST9:No)、すなわちユーザーの将来における再度の使用要求がないと判断すると、通水弁23を閉じて給水源からの水を水加熱器22の加熱通路27に供給することを停止するとともに、水加熱器22のヒータ28へ通電を終了し、水の加熱を停止し(ステップST10)、ステップST11に移行する。ここでは、制御装置12は、ユーザーの将来における再度の使用要求がないと判断すると、水加熱器22による温水の生成を終了する。なお、着座ありと判断(ステップST9:Yes)、すなわちユーザーの将来における再度の使用要求があると判断すると、ステップST3を繰り返す。
【0055】
また、制御装置12は、開始スイッチ131がONになっていないと判断(ステップST3:No)すると、温水タンク3が満水となったか否かを判断する(ステップST13)。ここでは、制御装置12は、図4に示すように、所定量(本実施形態では満水)の温水に対応する高水位Lmaxに、温水タンク3内の温水が到達した否かを高水位センサ18がONとなるか否かで判断する。なお、高水位センサ18を用いない場合は、水加熱器22が実現可能な温水流量は予め分かっているので、温水タンク3へ温水が流入した時間に温水流量を乗ずることで、温水タンク3へ温水が流入した時間における温水タンク3に貯留された温水の量を求めることができる。この量が所定量以上である場合に、所定量以上の温水が温水タンク3内に貯留されていると判定することもできる。
【0056】
次に、制御装置12は、温水タンク3が満水となった判断(ステップST13:Yes)すると、通水弁23を閉じて給水源からの水を水加熱器22の加熱通路27に供給することを停止するとともに、水加熱器22のヒータ28への通電を終了し、水の加熱を停止する(ステップST14)。ここでは、制御装置12は、ユーザーの将来における使用要求に応じることができる所定量の温水を温水タンク3により貯留することができたと判断すると、水加熱器22による温水の生成を終了する。なお、制御装置12は、温水タンク3が満水となっていないと判断(ステップST13:No)すると、ステップST26に移行する。
【0057】
次に、制御装置12は、操作盤13の開始スイッチ131がONになったか否かを判断する(ステップST15)。ここでは、制御装置12は、開始スイッチ131がONになるか否かを判断することで、ステップST3と同様に、ユーザーの使用要求があるのか否かを判断する。
【0058】
次に、制御装置12は、開始スイッチ131がONになったと判断(ステップST15:Yes)すると、エアポンプ4を駆動させてエアポンプ4によりエアを生成する(ステップST16)。ここで、本実施形態では、エア切替弁6は、初期状態においてはエアポンプで生成されたエアの供給先を温水タンク3としているので、エアポンプ4で生成された温水は、エア切替弁6を通過して温水タンク3に供給される。これにより、温水タンク3内の温水は、エアにより吐出口7から吐出されることとなる。なお、制御装置12は、開始スイッチ131がONとなっていないと判断(ステップST15:No)すると、ステップST26に移行する。
【0059】
次に、制御装置12は、温水タンク3が空となったか否かを判断する(ステップST17)。ここでは、制御装置12は、図4に示すように、限界量(本実施形態では空)の温水に対応する低水位Lminに、温水タンク3内の温水が減ったか否かを低水位センサ17がOFFとなるか否かで判断する。なお、低水位センサ17を用いない場合は、温水タンク3が実現可能なタンク吐出流量は予め分かっているので、温水タンク3から温水が流出した時間にタンク吐出流量を乗ずることで、温水タンク3から温水が流出した時間における温水タンク3に貯留された温水の減少量を求めることができる。この量が限界量未満である場合に、限界量未満まで温水タンク3内の温水が使用されたと判定することもできる。限界量とは、ユーザーの使用要求に応じた流量をエアポンプ4からエアにより温水タンク3の温水を吐出口7から吐出できる量をいう。
【0060】
次に、制御装置12は、温水タンク3が空となっていないと判断(ステップST17:No)すると、停止スイッチ132がONになったか否かを判断する(ステップST18)。ここでは、制御装置12は、停止スイッチ132がONになるか否かを判断することで、ステップST6と同様に、ユーザーの使用要求がなくなったか否かを判断する。
【0061】
次に、制御装置12は、停止スイッチ132がONになったと判断(ステップST18:Yes)すると、エアポンプ4を停止させてエアポンプ4によるエアの生成を停止し(ステップST19)、ステップST26に移行する。なお、制御装置12は、停止スイッチ132がONとなっていないと判断(ステップST18:No)すると、停止スイッチ132がONとなるまでステップST17を繰り返す。ここでは、制御装置12は、局部の洗浄を開始したユーザーの使用要求がなくなったと判断されるまでは、温水タンク3からの温水を吐出口7から吐出し続け、局部の洗浄を維持する。
【0062】
また、制御装置12は、温水タンク3が空となったと判断(ステップST17:Yes)すると、再度、通水弁23を開いて水加熱器22の加熱通路27へ給水源から水を供給するとともに、水加熱器22のヒータ28へ通電を行い、水の加熱を実行する(ステップST20)。ここでは、制御装置12は、局部の洗浄を開始したユーザーの使用要求がある状態で、温水タンク3内の温水がなくなったと判断した場合は、水加熱器22で生成された温水を吐出口7から直接吐出するために、水加熱器22による温水の生成を開始する。
【0063】
次に、エア切替弁6を制御してエアポンプ4で生成されたエアの供給先を吐出口7に切り替える(ステップST21)。ここで、エアポンプ4は駆動した状態であるので、エアポンプ4からのエアは、吐出口7から吐出されることとなる。
【0064】
次に、制御装置12は、温水切替弁5を制御して水加熱器22で生成された温水の供給先を吐出口7に切り替える(ステップST22)。これにより、水加熱器22からの温水は、吐出口7でエアが混入されて吐出されるので、温水タンク3内の温水がなくなっても、局部の洗浄を維持することができる。
【0065】
次に、制御装置12は、停止スイッチ132がONになったか否かを判断する(ステップST23)。ここでは、制御装置12は、停止スイッチ132がONになるか否かを判断することで、ステップST6と同様に、ユーザーの使用要求がなくなったか否かを判断する。
【0066】
次に、制御装置12は、停止スイッチ132がONになったと判断(ステップST23:Yes)すると、温水切替弁5を制御して水加熱器22で生成された温水の供給先を温水タンク3に切り替える(ステップST24)。ここでは、制御装置12は、局部の洗浄を開始したユーザーの使用要求がなくなったと判断すると、局部の洗浄を終了する。このとき、水加熱器22からの温水は、温水切替弁5を通過して空になった温水タンク3に貯留される。なお、制御装置12は、停止スイッチ132がONとなっていないと判断(ステップST23:No)すると、停止スイッチ132がONとなるまでステップST23を繰り返す。ここでは、制御装置12は、局部の洗浄を開始したユーザーの使用要求がなくなったと判断されるまでは、水加熱器22からの温水を吐出口7から直接吐出し続け、局部の洗浄を維持する。
【0067】
次に、制御装置12は、エアポンプ4を停止させてエアポンプ4によるエアの生成を停止するとともに、エア切替弁6を制御してエアポンプ4で生成されたエアの供給先を温水タンク3に切り替える(ステップST25)。従って、ユーザーの使用終了後に吐出口7から温水が漏れることを抑制することができる。
【0068】
次に、制御装置12は、ユーザーが便座15に着座したか否かを判断する(ステップST26)。ここでは、制御装置12は、局部の洗浄を終了したユーザーが便座15から離れたか否かを判断することで、ユーザーの将来における再度の使用要求を判断する。
【0069】
次に、制御装置12は、着座なしと判断(ステップST26:No)すると、通水弁23を閉じ、水加熱器22のヒータ28へ通電を終了し、水の加熱を停止し(ステップST10)、ステップST11に移行する。ここでは、制御装置12は、ユーザーの将来における再度の使用要求がないと判断すると、水加熱器22による温水の生成を終了する。なお、着座ありと判断(ステップST26:Yes)、すなわちユーザーの将来における再度の使用要求があると判断すると、ステップST13を繰り返す。
【0070】
次に、制御装置12は、吐出口7からの温水の吐出を停止させてから所定時間が経過したか否かを判断する(ステップST11)。この所定時間は、例えば、温水タンク3内の温水の温度が、温水吐水装置1の仕様上許容できない温度まで低下する時間とすることができる。
【0071】
次に、制御装置12は、所定時間が経過したと判断する(ステップST11:Yes)と、エアポンプ4を駆動して、温水タンク3内の温水を吐出口7から排水する(ステップST12)。ここでは、制御装置12は、エアポンプ4を所定の時間駆動した後停止し、次の使用に備える。所定の時間は、温水タンク3内の温水がエアポンプ4からのエアですべて排出できる時間であり、例えば、満水状態の温水タンク3を空にできる時間とする。なお、制御装置12は、所定時間が経過していないと判断する(ステップST11:No)と、ステップST1に移行する。この場合、温水タンク3に温水が残留していると、そのままの状態が維持される。これによって、所定時間が経過する前に温水吐水装置1が使用される場合には、温水タンク3に所定量以上の温水が貯留されるまでの時間を短縮できる。
【0072】
なお、本実施形態では、温水吐水装置1を温水洗浄装置として使用する場合について説明したが本発明はこれに限定されるものではない。洗面台に手洗い装置として本実施形態の温水吐水装置1を使用しても良い。この場合は、洗面台の前にユーザーが立つ、あるいは洗面台が設置されているスペースにユーザーが入ることを光などが検出手段である対人センサにより検出することで、ユーザーの将来の使用要求を判断する。また、手洗い装置として温水吐水装置1を使用する場合は、通常時に、水加熱器22で生成された温水を吐出口7から直接吐出させ、例えば予め設けられているスイッチをユーザーがONとすることで、ユーザーの将来の使用要求があると判断してからユーザーの使用要求があるまでに温水タンク3に貯留された温水を吐出口7から吐出するようにしても良い。水加熱器22で生成された温水を吐出口7から直接吐出させる際には、開始スイッチ131がONとなるとエアポンプ4を駆動した後に、通水弁23の開き、停止スイッチ132がONとなると通水弁23を閉じた後、エアポンプ4の駆動を停止する。また、単に、例えば予め設けられているスイッチをユーザーがONとすることで、温水タンク3に温水を貯留し、貯留後にユーザーの使用要求があると、温水タンク3に貯留された温水を吐出口7から吐出するようにしても良い。
【0073】
なお、本実施形態では、吐出口7から温水タンク3内の温水を排水するが、排水弁を設け、排水弁を開くことで温水タンク3内の温水を排水しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上のように、本発明は、温水源からの温水を吐出口から吐出する温水吐水装置に有用である。
【符号の説明】
【0075】
1 温水吐水装置
2 温水源
21 給水源
22 水加熱器
23 通水弁
3 温水タンク
4 エアポンプ
5 温水切替弁
6 エア切替弁
7 吐出口
8 第1温水通路
9 第2温水通路
10 第1エア通路
11 第2エア通路
12 制御装置
13 操作盤
131 開始スイッチ
132 停止スイッチ
14 洋風便器
15 便座
16 着座センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出口から温水を吐出させる温水吐水装置であって、
前記吐出口と連通する温水源と、
前記吐出口と連通し、前記温水源からの温水を貯留する断熱構造の温水タンクと、
前記温水源と前記吐出口との間に設けられて、前記温水源で生成された温水の供給先を、前記吐出口あるいは前記温水タンクのいずれか一方に切り替える温水切替弁と、
前記温水タンクに貯留された温水を前記吐出口から吐出させるポンプと、
を含むことを特徴とする温水吐水装置。
【請求項2】
前記ポンプは、前記吐出口から吐出される温水に空気を混合するエアポンプであり、
前記エアポンプと前記吐出口との間に設けられて、前記エアポンプで生成されたエアの供給先を、前記吐出口あるいは前記温水タンクのいずれか一方に切り替えるエア切替弁をさらに含む請求項1に記載の温水吐水装置。
【請求項3】
前記温水源からの温水を前記吐出口から直接吐出させる場合は、前記エア切替弁により前記エアの供給先を前記吐出口とし、前記エアポンプを駆動してから、前記温水源からの温水の吐出を開始し、
前記温水源からの温水の吐出を終了させる場合は、前記温水源からの温水の吐出を終了してから、前記エアポンプの駆動を停止する請求項2に記載の温水吐水装置。
【請求項4】
前記温水タンクに貯留されている温水を排水する場合は、
前記エア切替弁により、前記エアの供給先を前記温水タンクとし、前記エアポンプを駆動する請求項2または3に記載の温水吐水装置。
【請求項5】
前記温水源は、
給水源と、
前記給水源から給水される水を昇温させて温水を生成する水加熱器と、
を含む請求項1〜4のいずれか1つに記載の温水吐水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−179715(P2011−179715A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42560(P2010−42560)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】