説明

温水暖房・給湯システム

【課題】外部熱源を簡単に組み込むことができ、それを有効にかつ効率よく利用できるヒートポンプを主体とした温水暖房・給湯システムを提供することを目的とする。
【解決手段】温水を製造可能なヒートポンプ2と、温水を製造可能な外部熱源3と、ヒートポンプ2および/または外部熱源3で製造された温水を利用するための給湯タンク4および/または暖房用機器5とを備え、ヒートポンプ2からの温水出口回路25Bに外部熱源3が直列に接続され、該外部熱源3の下流側に給湯タンク4および/または暖房用機器5が接続されるとともに、ヒートポンプ2から取出された温水と外部熱源3を経て取出された温水とが三方弁32を介して混合されることにより目標温度とされ、該温水が給湯タンク4および/または暖房用機器5に供給可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプが主体の温水暖房・給湯システムに対して、太陽熱温水器等の外部熱源を接続して給湯、暖房の双方に有効に利用できるようにした温水暖房・給湯システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、市場において広範に販売されているヒートポンプを主体とした温水暖房・給湯システムは、外部熱源を接続して使用することを想定して作られているものが多いが、外部熱源としての太陽熱温水器は、一般に給湯のみに使用されている場合が多く、暖房用に使用されているケースは少ない。また、太陽熱温水器は、ランニングコストが掛らないことから、ヒートポンプより常に優先して使用されるべき熱源であるが、ヒートポンプに対する外部熱源の優劣やその出力に応じ、熱源機器の運転優先順位やその出力を考慮した制御技術は未だ確立されていないのが実情である。
【0003】
例えば、特許文献1には、ヒートポンプをシステム中に組み込んだヒートポンプ熱源機付き太陽熱利用給湯システムが開示されているが、このシステムは、貯湯タンクに対して太陽熱コレクターと温水ヒートポンプとが切換え弁を介して並列に接続され、双方で製造される温水を同時に暖房または給湯に利用することができない構成とされている。
また、特許文献2には、ヒートポンプと太陽熱集熱器とを用いた空調・給湯システムが開示されているが、このシステムは、太陽熱集熱器で集熱された太陽熱を給湯用の水を加熱するためだけに利用するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−90689号公報
【特許文献2】特開2009−281639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の如く、ヒートポンプを主体とした温水暖房・給湯システムに対して、太陽熱温水器(太陽熱コレクター、太陽熱集熱器とも云う。)等の外部熱源を接続し、その外部熱源からの温水と、ヒートポンプからの温水とを同時に給湯、暖房の双方に有効に活用することができるようにした温水暖房・給湯システムはなく、太陽熱温水器を始めとする多様な外部熱源を簡単に組み込むことができ、それを有効に、かつ効率よく利用することが可能なヒートポンプ主体の温水暖房・給湯システムの確立が望まれている。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、多様な外部熱源を簡単に組み込むことができ、それを有効に、かつ効率よく利用することができるヒートポンプを主体とした温水暖房・給湯システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために、本発明の温水暖房・給湯システムは、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる温水暖房・給湯システムは、温水を製造可能なヒートポンプと、温水を製造可能な外部熱源と、前記ヒートポンプおよび/または前記外部熱源で製造された温水を利用するための給湯タンクおよび/または暖房用機器とを備え、前記ヒートポンプからの温水出口回路に前記外部熱源が直列に接続され、該外部熱源の下流側に前記給湯タンクおよび/または前記暖房用機器が接続されるとともに、前記ヒートポンプから取出された温水と前記外部熱源を経て取出された温水とが三方弁を介して混合されることにより目標温度とされ、該温水が前記給湯タンクおよび/または前記暖房用機器に供給可能とされていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、温水を製造可能なヒートポンプからの温水出口回路に、温水を製造可能な外部熱源を直列に接続し、その下流側に給湯タンクおよび/または暖房用機器を接続するとともに、ヒートポンプから取出された温水と外部熱源を経て取出された温水とを三方弁を介して混合することにより目標温度となし、その温水を給湯タンクおよび/または暖房用機器に供給可能としているため、主に給湯のみに利用されていた太陽熱温水器等の外部熱源を、ヒートポンプを主体とした温水暖房・給湯システムに組み込み、ヒートポンプおよび外部熱源の双方で製造された温水を同時に給湯および/または暖房に有効に利用することが可能となる。従って、多様な外部熱源を簡単に組み込むことができ、それを有効活用することが可能なヒートポンプが主体の温水暖房・給湯システムを確立することができる。
【0009】
また、本発明の温水暖房・給湯システムは、上記の温水暖房・給湯システムにおいて、前記外部熱源が、前記ヒートポンプに対して優位な熱源または劣位な熱源の何れであるかを特定し、その優劣に応じて前記ヒートポンプと前記外部熱源との運転優先順位を入れ替えて制御する制御部を備えていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、外部熱源が、ヒートポンプに対して優位な熱源または劣位な熱源の何れであるかを特定し、その優劣に応じてヒートポンプと外部熱源との運転優先順位を入れ替えて制御する制御部を備えているため、ヒートポンプの温水出口回路に接続される外部熱源が、ヒートポンプに対し、例えばランニングコストから見て優位な熱源なのか、劣位な熱源なのかを予め特定することにより、その優劣に応じてヒートポンプと外部熱源との運転優先順位を入れ替えて運転することが可能となる。従って、外部熱源がヒートポンプに対して優位な熱源または劣位な熱源の何れであっても、そのシステムを最も効率のよい状態で運転することができる。
【0011】
また、本発明の温水暖房・給湯システムは、上記の温水暖房・給湯システムにおいて、前記制御部は、前記外部熱源の優劣を設定する機能を備えていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、制御部が、外部熱源の優劣を設定する機能を備えているため、外部熱源の種類に応じて、その外部熱源がヒートポンプに対して優位な熱源であるのか、劣位な熱源であるのかをリモコン等を用いて簡単に設定することができる。従って、外部熱源の優劣を事前に設定しておくことにより、外部熱源の種類に応じて最適な運転を行わせることができる。
【0013】
さらに、本発明の温水暖房・給湯システムは、上述のいずれかの温水暖房・給湯システムにおいて、前記制御部は、前記外部熱源からの運転信号が得られる場合、得られない場合の双方に対応して運転可能な機能を備えていることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、制御部が、外部熱源からの運転信号が得られる場合、得られない場合の双方に対応して運転可能な機能を備えているため、接続される外部熱源が運転信号を発する機能を有しているか否かにかかわらず、それが運転されているか否かを制御部で判断して、外部熱源およびヒートポンプを含む温水暖房・給湯システム全体の運転制御を行うことができる。従って、如何なる仕様の外部熱源が接続されても、それに対応してシステムを正常に運転制御することができる。
【0015】
さらに、本発明の温水暖房・給湯システムは、上述のいずれかの温水暖房・給湯システムにおいて、前記外部熱源が、太陽熱温水器、ボイラ等の少なくともいずれか1つとされており、前記太陽熱温水器が、前記ヒートポンプに対して優位な外部熱源とされ、前記ボイラが、前記ヒートポンプに対して劣位な外部熱源とされていることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、外部熱源が、太陽熱温水器、ボイラ等の少なくともいずれか1つとされており、太陽熱温水器がヒートポンプに対して優位な外部熱源とされ、ボイラがヒートポンプに対して劣位な外部熱源とされているため、外部熱源としてランニングコストが掛らない太陽熱温水器が接続された場合、これをヒートポンプに対して優位な外部熱源と見做し、ヒートポンプに優先して運転するとともに、ボイラが接続された場合、そのランニングコストがヒートポンプよりも高いことから、ヒートポンプに対して劣位な外部熱源と見做し、ヒートポンプを優先的に運転することができる。従って、外部熱源の種類に応じてランニングコストが安い方の熱源機器を優先的に運転し、ランニングコストの低減化を図ることができる。なお、ボイラは、使用する燃料の種類によりランニングコストがヒートポンプに対して優位か否かが分かれる場合があるので、実態に照らして優位または劣位の何れかに設定すればよい。
【0017】
さらに、本発明の温水暖房・給湯システムは、上述のいずれかの温水暖房・給湯システムにおいて、前記ヒートポンプには、補助熱源として前記温水出口回路に付設された電気ヒータが内蔵され、この電気ヒータが、前記ヒートポンプに対して常に最劣位の熱源として作動可能とされていることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、ヒートポンプに、補助熱源として温水出口回路に付設された電気ヒータが内蔵され、この電気ヒータがヒートポンプに対して常に最劣位の熱源として作動可能とされているため、運転状況や負荷等に応じてヒートポンプおよび外部熱源の運転を優先しながら、必要により最劣位の熱源である電気ヒータを作動することにより、暖房・給湯能力を確保することができる。従って、熱源としてヒートポンプ、外部熱源および電気ヒータの3つが接続可能で、それらを有効に、かつ効率よく利用することができるヒートポンプを主体とした温水暖房・給湯システムを提供することができる。
【0019】
さらに、本発明の温水暖房・給湯システムは、上述のいずれかの温水暖房・給湯システムにおいて、前記三方弁で混合された温水の温度を検出する水温センサが設けられ、該水温センサの検出値に基づいて前記三方弁による温水の混合割合を制御し、その温水温度が目標温度となるように制御可能とされていることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、三方弁で混合された温水の温度を検出する水温センサが設けられ、該水温センサの検出値に基づいて三方弁による温水の混合割合を制御し、その温水温度が目標温度となるように制御可能とされているため、三方弁で混合された温水を利用する側の給湯タンクおよび/または暖房用機器側が必要としている温水の温度を目標温度に、三方弁による温水の混合割合および使用熱源を決定してシステムを運転し、制御することができる。従って、どの熱源機器が使われている場合であっても、負荷側に対しては常に目標の温度とされた適正温度の温水を供給することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、主に給湯のみに利用されていた太陽熱温水器等の外部熱源を、ヒートポンプを主体とした温水暖房・給湯システムに組み込み、ヒートポンプおよび外部熱源の双方で製造された温水を同時に給湯および/または暖房に有効に利用することが可能となるため、多様な外部熱源を簡単に組み込むことができ、それを有効活用することが可能なヒートポンプが主体の温水暖房・給湯システムを確立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る温水暖房・給湯システムの構成図である。
【図2】図1に示す温水暖房・給湯システムに適用するヒートポンプの冷媒回路図である。
【図3】図1に示す温水暖房・給湯システムに、ヒートポンプより優位な外部熱源を接続した場合の外部熱源作動時の運転状態説明図(A)ないし(D)である。
【図4】図1に示す温水暖房・給湯システムに、ヒートポンプより優位な外部熱源を接続した場合の外部熱源不作動時の運転状態説明図(A)ないし(D)である。
【図5】図1に示す温水暖房・給湯システムに、ヒートポンプより劣位な外部熱源を接続した場合の外部熱源作動時の運転状態説明図(A)ないし(D)と、ヒートポンプ運転限界時の運転状態説明図(E)である。
【図6】ヒートポンプより優位な外部熱源との組み合せ時で、該熱源から運転信号が得られない場合の暖房時の制御フローチャート図である。
【図7】図6中のAないしCと繋がる制御フローチャートの継続部分である。
【図8】ヒートポンプより優位な外部熱源との組み合せ時で、該熱源から運転信号が得られる場合の暖房時の制御フローチャート図である。
【図9】図8中のDないしFと繋がる制御フローチャートの継続部分である。
【図10】ヒートポンプより劣位な外部熱源との組み合せ時における暖房時の制御フローチャート図である。
【図11】図10中のGないしIと繋がる制御フローチャートの継続部分である。
【図12】ヒートポンプより優位な外部熱源との組み合せ時で、該熱源から運転信号が得られない場合の給湯時の制御フローチャート図である。
【図13】図12中のJおよびKと繋がる制御フローチャートの継続部分である。
【図14】ヒートポンプより優位な外部熱源との組み合せ時で、該熱源から運転信号が得られる場合の給湯時の制御フローチャート図である。
【図15】図14中のLないしOと繋がる制御フローチャートの継続部分である。
【図16】ヒートポンプより劣位な外部熱源との組み合せ時における給湯時の制御フローチャート図である。
【図17】図16中のPと繋がる制御フローチャートの継続部分である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明の一実施形態について、図1ないし図17を参照して説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る温水暖房・給湯システムの構成図が示され、図2には、それに適用するヒートポンプの冷媒回路図が示されている。
本実施形態の温水暖房・給湯システム1は、温水を製造可能なヒートポンプ2と、温水を製造可能な外部熱源3としての太陽熱温水器3Aまたはボイラ3Bと、ヒートポンプ2および/または外部熱源3により製造された温水を貯湯し、それを給湯に供するための貯湯タンク4と、製造された温水を利用した暖房を行う、互いに並列に接続されている床暖房器5A、ラジエータ5Bおよびファンコイルユニット5C等の暖房用機器5と、それらを制御する集中制御部(制御部)6とから構成されている。
【0024】
なお、本実施形態において、外部熱源3として接続される太陽熱温水器3Aまたはボイラ3Bのうち、太陽熱温水器3Aは、ランニングコストが掛らないことから、ヒートポンプ2に対して優位な外部熱源3の例として、また、ボイラ3Bは、ランニングコストがヒートポンプ2よりも高いと看做されることから、ヒートポンプ2に対して劣位な外部熱源3の例として挙げられているが、本発明における外部熱源3が、これらに限定されるものでないことは云うまでもないことである。
【0025】
ヒートポンプ2は、キャビネット10を備えており、その内部には、図2に示されるように、圧縮機11、四方切換弁12、冷媒/水熱交換器13、冷房用(デフロスト用)電子膨張弁14、気液分離機能付きのレシーバ15、過冷却コイル16、暖房用電子膨張弁17、空気熱交換器18、アキュームレータ19がこの順に冷媒配管20を介して接続された閉サイクルの冷媒回路21が収容設置された構成とされている。なお、この冷媒回路21には、気液分離機能付きのレシーバ15で分離されたガス冷媒を、圧縮機11の圧縮室中にインジェクションする電磁弁22を備えたガスインジェクション回路23が設けられている。なお、ヒートポンプ2の冷媒回路21として、ガスインジェクション回路23や過冷却コイル16等は必須のものではなく、省略した回路構成としてもよい。
【0026】
このヒートポンプ2には、冷媒/水熱交換器13と貯湯タンク4との間で、水を循環可能な水循環ポンプ24を備えた水回路25が接続されている。この水回路25および冷媒回路21が接続される冷媒/水熱交換器13は、冷媒の流れと水の流れとが対向流で熱交換される構成とされており、水入口回路25A側に設けられている水循環ポンプ24を介して冷媒/水熱交換器13の下方側から供給された水が、冷媒/水熱交換器13内で冷媒により加熱されて温水とされ、温水出口回路25Bを介して貯湯タンク4側に循環されるようになっている。また、本実施形態においては、ヒートポンプ2からの温水出口回路25Bに、補助熱源としての電気ヒータ26が組み込まれた構成とされている。この電気ヒータ26は、ヒートポンプ2に内蔵されており、後述の通りヒートポンプ2に対して常に一番劣位の熱源としてON/OFF制御されるようになっている。
【0027】
外部熱源3としての太陽熱温水器3Aまたはボイラ3Bは、ヒートポンプ2に接続されている水回路25の温水出口回路25Bに対して、温水回路30A,30Bを介して直列に接続された構成とされ、その温水回路30Aには、温水を外部熱源3に循環するための水循環ポンプ31が設けられている。そして、ヒートポンプ2からの温水出口回路25Bに接続された外部熱源3の入口側の温水回路30Aと、外部熱源3からの出口側の温水回路30Bとの間に、ヒートポンプ2からの温水と外部熱源3からの温水とを混合し、その温度を目標温度に調整して下流側に接続されている貯湯タンク4および/または暖房用機器5側に供給するための三方弁(SVO1)32が設けられている。
【0028】
三方弁(SVO1)32は、温水回路30A、すなわちヒートポンプ2からの温水出口回路25Bが接続されるポートAと、温水回路30Bが接続されるポートBと、混合した温水を貯湯タンク4および/または暖房用機器5側へと供給する温水出口回路25Bが接続されるポートABとを備えた混合弁とされており、そのポートABに接続された温水出口回路25Bを流れる温水の温度を水温センサ(Twsys)33で検出し、その温度が目標温度となるように集中制御部6を介して開度割合が制御される構成とされている。
【0029】
貯湯タンク4は、タンク内部に水回路25と接続されている加熱コイル40と、該加熱コイル40とは独立して作動され、温水を加熱可能な補助ヒータ41とを備えた構成とされており、加熱コイル40および補助ヒータ41によって生成された温水を貯湯し、その温水を必要に応じてサニタリ給水配管42を経て給湯箇所に給湯可能とされている。
【0030】
暖房用機器5は、用途に対応して設置された床暖房器5A、ラジエータ5B、ファンコイルユニット5C等から構成されており、これらの各機器5A,5B,5Cに対してヒートポンプ2および/または外部熱源3で製造された温水が、温水出口回路25Bから温水回路50A,50B、水循環ポンプ51,52および三方弁53,54,55等を介して直接循環可能な構成とされている。なお、暖房用機器5は、上記の床暖房器5A、ラジエータ5B、ファンコイルユニット5Cに限らず、その設置個数や機器仕様は、必要に応じて適宜選択可能であることは云うまでもない。
【0031】
温水暖房・給湯システム1は、集中制御部(制御部)6を備えている。この集中制御部6には、リモコン60より操作信号、設定信号等が入力されるとともに、ヒートポンプ2内の冷媒/水熱交換器13の水入口回路25Aに設けられている水温センサ(Twin)27、その温水出口回路25Bに設けられている水温センサ(Twout)28、三方弁32の下流側に設けられている水温センサ(Twsys)33、貯湯タンク4に設けられているサーモセンサ43およびその他のシステム側のセンサ、更にはヒートポンプ2に設けられている各種センサ等からの検出値が入力されるようになっている。
【0032】
また、集中制御部6は、上記した各種センサ類、リモコン60および外部熱源3用のコントローラ34等から入力される操作信号、設定信号および検出信号等に基づいて各種の演算、処理を行い、その結果に基づいてヒートポンプ2、外部熱源3、貯湯タンク4、三方弁32,53,54,55および水循環ポンプ24,31,51,52等々を後述の通り制御し、温水暖房・給湯システム1を運転、制御するものである。なお、ヒートポンプ2に内蔵されている電気ヒータ26は、ヒートポンプ2に対して最劣位の熱源として作動されるものであり、集中制御部6を介して後述の通り制御されるようになっている。
次に、図3、図4および図5を用いて、上記温水暖房・給湯システム1の動作概要について説明する。なお、図3ないし図5においては、太線で示す機器が作動中であり、太線で示す矢印が温水の流れを表しているものとする。
【0033】
図3(A)ないし(D)は、ヒートポンプ2に対して優位な外部熱源3である太陽熱温水器3Aが作動時の場合の運転状態を示すものであり、図3(A)の給湯モードでは、ヒートポンプ2がOFF(但し、出口水温が不十分であればONとされる)、電気ヒータ26がOFF、太陽熱温水器3AがONとされ、水回路25により水循環ポンプ24を介してヒートポンプ2に供給された水は、そのままヒートポンプ2および電気ヒータ26を通過し、温水回路30Aから水循環ポンプ31を介して100%外部熱源3に供給され、太陽熱温水器3Aにより高温に加熱される。該温水は、温水回路30B、三方弁32,53を介して貯湯タンク4に循環され、加熱コイル40を介して貯湯タンク4内の温水を加熱することができ、これによって、給湯用の温水が貯えられるようになっている。
【0034】
一方、目標温度が比較的低い暖房モード(B)では、ヒートポンプ2がOFF、電気ヒータ26がOFF、太陽熱温水器3AがON状態で運転され、上記のように外部熱源3の太陽熱温水器3Aで高温に加熱された温水は、ヒートポンプ2および電気ヒータ26を通過した低温の温水と三方弁32を介して混合され、水温センサ(Twsys)33によって検出される温水の水温が目標温度となるように制御される。そして、この温水が三方弁53,54,55を介して所要の暖房用機器5A,5B,5C等に供給され、暖房に供されるようになっている。
【0035】
また、目標温度が中程度とされた暖房モード(C)の場合、ヒートポンプ2がON(但し、圧縮機回転数は低速)、電気ヒータ26がOFF、太陽熱温水器3AがON状態で運転され、ヒートポンプ2で加熱昇温された温水は、そのまま三方弁32を介して全量が太陽熱温水器3Aに供給されることにより、更に高温に加熱される。そして、太陽熱温水器3Aからの温水は、三方弁32で混合されることなく、全てが暖房用機器5A,5B,5C等に供給され、暖房に供されるようになっている。
【0036】
さらに、暖房負荷が増大し、目標温度が高温とされた暖房モード(D)では、ヒートポンプ2がON(但し、圧縮機回転数は高速)、電気ヒータ26がON、太陽熱温水器3AがON状態とされるため、熱源の全てが作動状態とされる。この場合、ヒートポンプ2および電気ヒータ26で加熱昇温された温水は、三方弁32を介して全量が太陽熱温水器3Aに供給され、更に高温に加熱されることにより、三方弁32で混合されることなく、三方弁53,54,55を介して暖房用機器5A,5B,5C等に供給され、暖房に供されるようになっている。
【0037】
以上がヒートポンプ2より優位な外部熱源3(太陽熱温水器3A)が作動時の場合の運転状態の概要であるが、図4(A)ないし(D)には、その太陽熱温水器3Aが不作動時の場合の運転状態の概要が示されている。
この場合の給湯モード(A)では、ヒートポンプ2がON、電気ヒータ26がOFFとされ、ヒートポンプ2で製造された温水の全てが太陽熱温水器3Aをバイパスし、三方弁32、53を介して貯湯タンク4に循環される。貯湯タンク4では、加熱コイル40を介して内部の温水を加熱することができ、これによって、給湯用の温水が貯えられるようになっている。
【0038】
また、目標温度が比較的低い暖房モード(B)では、ヒートポンプ2がON(但し、圧縮機回転数は低速)、電気ヒータ26がOFFとされ、ヒートポンプ2で製造された温水の全てが太陽熱温水器3Aをバイパスし、三方弁32、53,54,55を介して所要の暖房用機器5A,5B,5C等に供給され、暖房に供されるようになっている。同様に、目標温度が中程度とされた暖房モード(C)では、ヒートポンプ2がON(但し、圧縮機回転数は高速)、電気ヒータ26がOFFの状態で運転され、ヒートポンプ2で製造された温水の全てが太陽熱温水器3Aをバイパスし、三方弁32、53,54,55を介して所要の暖房用機器5A,5B,5Cに供給され、暖房に供されるようになっている。
【0039】
さらに、暖房負荷が増大し、目標温度が高温とされた暖房モード(D)では、ヒートポンプ2がON(但し、圧縮機回転数は高速)、電気ヒータ26がON状態で運転され、ヒートポンプ2および電気ヒータ26により製造された温水の全てが太陽熱温水器3Aをバイパスし、三方弁32、53,54,55を介して所要の暖房用機器5A,5B,5Cに供給され、暖房に供されるようになっている。このように、太陽熱温水器3Aが不作動時においても、ヒートポンプ2および電気ヒータ26を作動することによって、給湯、暖房を行うことができる。
【0040】
一方、図5(A)ないし(E)には、ヒートポンプ2に対して劣位な外部熱源3であるボイラ3Bが接続されている場合の運転状態が示されている。
図5(A)の給湯モード(循環水温<ヒートポンプ運転限界)では、ヒートポンプ2がON(但し、圧縮機回転数は低速)、電気ヒータ26がOFF、外部熱源3のボイラ3BがOFFとされ、ヒートポンプ2で製造された温水の全てが外部熱源3のボイラ3Bをバイパスし、三方弁32、53を介して貯湯タンク4に循環される。貯湯タンク4では、加熱コイル40を介して内部の温水を加熱することができ、これによって、給湯用の温水が貯えられるようになっている。
【0041】
また、目標温度が比較的低い暖房モード(B)では、ヒートポンプ2がON(但し、圧縮機回転数は低速)、電気ヒータ26がOFF、ボイラ3BがOFFとされ、ヒートポンプ2で製造された温水の全てがボイラ3Bをバイパスし、三方弁32、53,54,55を介して所要の暖房用機器5A,5B,5C等に供給され、暖房に供される。同様に、目標温度が中程度とされた暖房モード(C)では、ヒートポンプ2がON(但し、圧縮機回転数は高速)、電気ヒータ26がOFF、ボイラ3BがONとされ、ヒートポンプ2で製造された温水の一部が三方弁3を介してボイラ3Bに供給される。ボイラ3Bで加熱された温水は、ヒートポンプ2からの温水と三方弁3で混合され、水温センサ(Twsys)33によって検出される温水の水温が目標温度となるように制御される。そして、この温水が三方弁53,54,55を介して所要の暖房用機器5A,5B,5Cに供給され、暖房に供されるようになっている。
【0042】
さらに、暖房負荷が増大し、目標温度が高温とされた暖房モード(D)では、ヒートポンプ2がON(但し、圧縮機回転数は高速)、電気ヒータ26がON、ボイラ3BがON状態とされ、熱源の全てが作動状態とされる。これにより、ヒートポンプ2および電気ヒータ26で製造された温水の全てが三方弁32を介してボイラ3Bに供給され、ボイラ3Bにより更に高温状態に加熱される。この温水は、三方弁32で混合されることなく、三方弁53,54,55を介して暖房用機器5A,5B,5C等に供給され、暖房に供されるようになっている。
【0043】
また、外部熱源3がヒートポンプ2より劣位な熱源のボイラ3Bであり、「循環水温>ヒートポンプ運転限界」の場合の給湯モードEでは、ヒートポンプ2の運転により給湯モードに対応することが困難なため、図5(E)のように、ヒートポンプ2がOFF、電気ヒータ26がOFF、ボイラ3BがON状態にて運転される。この場合、ヒートポンプ2に供給された水は、電気ヒータ26を通過し、三方弁32を介して全てがボイラ3Bに供給され、ボイラ3Bにより所要温度に加熱されることになる。該温水は、三方弁32,53を介して貯湯タンク4に循環され、加熱コイル40を介して貯湯タンク4内の温水を加熱することができ、これによって、給湯用の温水が貯えられるようになっている。
【0044】
以上がヒートポンプ2より劣位な外部熱源3であるボイラ3Bが接続されている場合の運転状態の概要であるが、本実施形態においては、ヒートポンプ2より優位な外部熱源3(太陽熱温水器3A)が接続されている場合、外部熱源3が優先的に運転され、ヒートポンプ2より劣位な外部熱源3(ボイラ3B)が接続されている場合、ヒートポンプ2が優先的に運転されるように、集中制御部6において、リモコン60を介して外部熱源3のヒートポンプ2に対する優劣を特定することで、その優劣に応じてヒートポンプ2と外部熱源3との運転優先順位を、上記の如く入れ替えて運転、制御できる構成とされている。
【0045】
また、ヒートポンプ2には、最劣位の熱源としてON/OFF制御される電気ヒータ26が内蔵されており、この電気ヒータ26は、ヒートポンプ2よりも優位な太陽熱温水器3Aを外部熱源3として運転する場合、あるいはヒートポンプ2よりも劣位なボイラ3Bを外部熱源3として運転する場合に、それぞれ補助熱源として運転、制御される構成とされている。
【0046】
以下に、ヒートポンプ2より優位または劣位な外部熱源3との組み合せ時において、各々の熱源から運転信号が得られる場合、得られない場合の暖房時および給湯時における制御フローチャートを図6ないし図17に用いて説明する。
まず、図6、図7には、ヒートポンプ2より優位な外部熱源3(太陽熱温水器3A)との組み合せ時で、該熱源から運転信号が得られない場合の暖房時の制御フローチャート図が示されている。
【0047】
ステップS1において、リモコン60がONにされ、もしくはモードが変更されて暖房運転が開始されると、ステップS2に進み、「水循環ポンプ24がON」とされ、一定速で回転される。その後、ステップS3に進み、「負荷が有る?」が判定され、NOの場合、元に戻り、YESの場合、ステップS4に進み、「ヒートポンプ2の圧縮機11がOFF、外部熱源3の太陽熱温水器3AがON、三方弁(SVO1)32のポートA→ABが100%」とされてステップS5に移行する。なお、ステップS3での負荷の判定は、単に水温センサ(Twsys)33の検出値と目標温度とを比較するだけでなく、目標水温と実水温との差分の積算値など、所要暖房負荷を満たしていることを確認するために他のパラメータを用いてもよく、以下における水温センサ33の検出値と目標温度との比較の場合も同様である。
【0048】
ステップS5においては、水温センサ(Twsys)33の検出値と目標温度とが比較され、「Twsys≧目標温度?」が判定される。ここでの判定に上記の如くパラメータを用いてもよい。その結果、YESの場合、ステップS6に進み、「三方弁(SVO1)32のポートA→AB100%?」が判定され、NOであれば、ステップS7に進み、ここで三方弁(SVO1)32を「ポートA→AB方向へ開度調整」した後、ステップS5に戻る。また、YESであれば、ステップS8に進み、「外部熱源3の太陽熱温水器3AをOFF」とした後、ステップS3に戻り、以下の動作が繰り返される。
【0049】
一方、ステップS5においてNOと判定された場合、ステップS9に進み、「三方弁(SVO1)32のポートA→AB100%?」が判定され、NOの場合、ステップS10に進み、三方弁(SVO1)32を「ポートA→AB方向へ開度調整」した後、ステップS5に戻る。ステップS9でYESと判定された場合、ステップS11に進み、水温センサ(Twsys)33の検出値と、ヒートポンプ2の冷媒/水熱交換器13の温水出口回路25Bに設けられている水温センサ(Twout)28の検出値とが比較され、「Twsys≧Twout?」が判定される。
【0050】
その結果、YESであれば、ステップS12に進み、ヒートポンプ2の「圧縮機11をON」した後、通常の場合はそのままステップS14に移行し、NOであれば、ステップS13に進み、「三方弁(SVO1)32のポートA→ABを100%」とした後、通常の場合はそのままステップS14に移行する構成とされている。
然るに、本実施形態では、ステップS12とステップS14との間に、ステップS12で圧縮機11がONされてから、ステップS26で圧縮機11がOFFされるまで間における圧縮機11が運転中の如何なるステップ(破線枠で示す)からでも、外部熱源3(太陽熱温水器3A)が作動しているか否かのチェック運転を、サブルーチンとして定期的に割り込ませることが可能な構成とされている。
【0051】
このサブルーチンは、二点鎖線で表示された枠内のステップS15ないしS18から構成されており、予め設定されている要件が満たされると、該サブルーチンが実行されるようになっている。つまり、ステップS15において、例えば、「圧縮機11をONにしてから3時間経過したか、または前回のチェックから3時間経過したか、あるいはデフロスト運転回数がn回に到達したか否か」等がチェックされ、NOであれば、ステップS15の直前の運転状態(三方弁32の開度、圧縮機11に回転数)に戻され、そのままステップS14に移行する。一方、YESであれば、サブルーチンが実行され、ステップS16に進み、「ヒートポンプ2の圧縮機11をOFF、三方弁(SVO1)32のポートB→ABを100%」とした後、ステップS17に移行する。
【0052】
ステップS17では、水温センサ(Twsys)33の検出値と、ヒートポンプ2の冷媒/水熱交換器13の温水出口回路25Bに設けられている水温センサ(Twout)28の検出値とが比較され、「Twsys≧Twout?」が判定され、その結果、YESの場合、ステップS4に戻り、以下の動作が繰り返される。また、NOであれば、ステップS18に進み、上記の通り、ステップS15の直前の運転状態(三方弁32の開度、圧縮機11に回転数)に戻されてステップS14に移行されるようになっている。
【0053】
ステップS14においては、水温センサ(Twsys)33の検出値と目標温度とが比較され、「Twsys≧目標温度?」が判定される。その結果、NOであれば、ステップS19に進み、更に「圧縮機13の運転周波数Hz最高?」が判定され、NOの場合、ステップS20に進み、「圧縮機13の運転周波数Hzを上昇」させた後、上記ステップS14に戻り、YESの場合、ステップS21に進み、補助ヒータとしての「電気ヒータ26に通電」した後、上記ステップS14に戻る。
【0054】
一方、ステップS14でYESと判定された場合、ステップS22に進み、電気ヒータ(補助熱源)26に通電されているか否かが判定され、その結果、YESの場合、ステップS23に進み、「電気ヒータ26をOFF」とした後、ステップS14に戻り、NOであれば、ステップS24に進み、「圧縮機13の運転周波数Hz最低?」が判定される。その結果、NOであれば、ステップS25に進み、「圧縮機13の運転周波数Hzをダウン」させた後、上記ステップS14に戻り、YESであれば、ステップS26に進み、「圧縮機13をOFF」とした後、ステップS3に戻り、以下の動作が繰り返される。
【0055】
上述のように、外部熱源3(太陽熱温水器3A)からの運転信号が得られない場合であっても、水温センサ(Twsys)33の検出値と、ヒートポンプ2の冷媒/水熱交換器13の温水出口回路25Bに設けられている水温センサ(Twout)28の検出値とを比較し、「Twsys≧Twout?」の判定によって、外部熱源3(太陽熱温水器3A)が運転されているか否かを集中制御部6で把握し、その結果に基づいて温水暖房・給湯システム1を、外部熱源3(太陽熱温水器3A)の運転を優先しながら必要に応じて補助熱源の電気ヒータ26を作動させるように適切に運転、制御することにより、効率のよい暖房運転ができるようにしている。
【0056】
次に、図8および図9に基づいて、ヒートポンプ2より優位な外部熱源3(太陽熱温水器3A)との組み合せ時であって、該熱源から運転信号が得られる場合の暖房時の制御フローチャートについて説明する。
この場合、ステップS31において、リモコン60がONにされ、もしくはモードが変更されて暖房運転が開始されるが、このステップS31からステップS34までの動作については、図6に示されている熱源からの運転信号が得られない場合の動作と同様であるので説明は省略する。
【0057】
ステップS34での処理が終了すると、ステップS35に進み、ここで外部熱源3(太陽熱温水器3A)からの運転信号に基づいて、外部熱源3(太陽熱温水器3A)が作動しているか否かが判定され、YESの場合、ステップS36に移行し、NOの場合、ステップS42に移行する。ステップS36においては、図6に示されている熱源からの運転信号が得られない場合のステップS5と同様、水温センサ(Twsys)33の検出値と目標温度とが比較され、「Twsys≧目標温度?」が判定される。
【0058】
その結果により、図6に示されているステップS6ないしS10と同様のステップS37ないしS41の判定、処理が実行される。この間に、ステップS40において、YESと判定された場合または上記ステップS35でNOと判定された場合、ステップS42に移行し、ここでヒートポンプ2の「圧縮機11をON」とした後、ステップS43に移行する。以下のステップS43からステップS51は、上述の図7に示されているステップS14ないしS26と同様であるので説明は省略する。
なお、上記ステップS43ないしS51において、外部熱源3の太陽熱温水器3Aが稼働していない場合、つまりステップS35においてNOと判定され、ステップS42に移行した場合、常に外部熱源3の稼働信号をウォッチし、稼働信号がYESとなったら、直ちにステップS35に戻る動作が実行されるものとする。
【0059】
このように、外部熱源3(太陽熱温水器3A)から運転信号が得られる場合は、外部熱源3用のコントローラ34からの信号によって、集中制御部6で外部熱源3が運転されているか否かを判定し、それに基づいて温水暖房・給湯システム1を、外部熱源3(太陽熱温水器3A)の運転を優先しながら、必要に応じて電気ヒータ26を作動するように適切に運転、制御することにより、効率のよい暖房運転ができるようにしている。
【0060】
また、図10および図11には、ヒートポンプ2より劣位な外部熱源3(ボイラ3B)との組み合せ時における暖房時の制御フローチャート図が示されている。
この場合、ステップS61において、リモコン60がONにされ、もしくはモードが変更されて暖房運転が開始されると、ステップS62に進み、「水循環ポンプ24がON」とされ、一定速で回転される。その後、ステップS63に移行し、「負荷が有る?」が判定され、NOであれば、元に戻り、YESであれば、ステップS64に進み、「ヒートポンプ2の圧縮機11がON、外部熱源3のボイラ3BがOFF、三方弁(SVO1)32のポートA→ABが100%」とされてステップS65に移行する。
【0061】
ステップS65においては、水温センサ(Twsys)33の検出値と目標温度とが比較され、「Twsys≧目標温度?」が判定される。その結果、YESであれば、ステップS66に進み、「圧縮機13の運転周波数Hz最低?」が判定され、YESの場合、ステップS67に進み、「圧縮機13をOFF」とした後、ステップS63に戻る。また、NOの場合、ステップS68に進み、「圧縮機13の運転周波数Hzをダウン」させた後、上記ステップS65に戻り、以下の動作が繰り返される。
【0062】
また、ステップS65でNOと判定された場合、ステップS69に進み、「圧縮機13の運転周波数Hz最高?」が判定され、その結果、NOの場合、ステップS70に進み、「圧縮機13の運転周波数Hzを上昇」させた後、ステップS65に戻り、YESの場合、ステップS71に進み、ここで「外部熱源3のボイラ3BをON、三方弁(SVO1)32のポートB→AB方向に作動調整」してステップS72に移行する。更にステップS72においては、水温センサ(Twsys)33の検出値と目標温度とが比較され、「Twsys≧目標温度?」が判定される。
【0063】
上記のステップS72でNOと判定されると、ステップS73に進み、「三方弁(SVO1)32のポートB→ABが100%?」が判定され、その結果、NOであれば、ステップS74に進み、「三方弁(SVO1)32のポートB→AB方向に作動調整」してステップS72に戻り、YESであれば、ステップS75に進み、「電気ヒータ26をON」としてステップS72に戻って、以下の動作が繰り返される。
【0064】
一方、ステップS72でYESと判定された場合、ステップS76に進み、「電気ヒータ26がON?」が判定され、その結果、YESであれば、ステップS77に進み、「電気ヒータ26をOFF」としてステップS72に戻り、NOであれば、ステップS78に移行し、ここで「三方弁(SVO1)32のポートA→ABが100%?」が判定される。その結果、NOの場合、ステップS79に進み、「三方弁(SVO1)32のポートA→AB方向に作動調整」してステップS72に戻り、YESの場合、ステップS80に進み、「外部熱源3のボイラ3BをOFF」とした後、ステップS65に戻って、以下の動作が繰り返される。
【0065】
上述のように、外部熱源3がヒートポンプ2に対して劣位なボイラ3Bの場合は、外部熱源3とヒートポンプ2との運転優先順位を入れ替え、ヒートポンプ2を優先して運転しながら、暖房負荷に応じて外部熱源3のボイラ3Bあるいは補助熱源の電気ヒータ26を作動させることにより、温水暖房・給湯システム1を適切に運転、制御し、効率のよい暖房運転ができるようにしている。
【0066】
次に、図12および図13に基づいて、ヒートポンプ2より優位な外部熱源3(太陽熱温水器3A)との組み合せ時であって、該熱源から運転信号が得られない場合の給湯時の制御フローチャートについて説明する。
まず、ステップS91において、リモコン60がONにされ、もしくはモードが変更されて給湯運転が開始されると、ステップS92に進み、「負荷が有る?」が判定され、NOの場合、元に戻り、YESの場合、ステップS93に進み、「水循環ポンプ24がON(最低速)、ヒートポンプ2の圧縮機11がOFF、外部熱源3の太陽熱温水器3AがON、三方弁(SVO1)32のポートB→ABが100%」とされ、次のステップS94に移行する。
【0067】
ステップS94においては、水温センサ(Twsys)33の検出値と目標温度とが比較され、「Twsys≧目標温度?」が判定される。その結果、YESであれば、ステップS95に進み、ここで「水循環ポンプ24が最高速?」が判定され、NOの場合、ステップS96に進み、「水循環ポンプ24の回転数をアップ」してステップS94に戻り、YESの場合、ステップS97に進み、ここで、冷媒/水熱交換器13の水入口回路25Aに設けられている水温センサ(Twin)27の検出水温が「Twin≧目標温度2?」が判定される。その結果がYESの場合、ステップS98に進み、「給湯が終了」され、NOの場合、ステップS94の戻り、以下の動作が繰り返される。
【0068】
一方、ステップS94でNOと判定された場合、ステップS99に進み、「運転開始後に「Twsys≧目標温度?」となったか?」が判定され、YESであれば、ステップS100に進み、「ポンプ最低速?」が判定される。ここで、NOであれば、ステップS101の移行し、「水循環ポンプ24の回転数をダウン」してステップS94に戻り、YESであれば、ステップS102に進み、1回目のみx分後に、水温センサ(Twout)28の検出水温と水温センサ(Twsys)33の検出水温とが比較され、「Twout≧Twsys?」が判定され、その結果、YESであれば、ステップS103に移行し、NOであれば、ステップS104に移行する。
【0069】
ステップS104においては、「(Twsys−Twout)×水量≦yKW?」が判定され、NOの場合、ステップS94に戻り、以下の動作を繰り返し、YESの場合、ステップS105に進み、「Twsys≦TwHPmax?」が判定される。なお、上記の「yKW」とは、外部熱源3に期待される加熱能力、「TwHPmax」とは、ヒートポンプ2が出せる最高水温、「水量」とは、水循環ポンプ24の回転速度から概算されるシステム内の循環水量を表すものである。ステップS105において、NOと判定された場合、ステップS94に戻り、以下の動作を繰り返し、YESと判定された場合、ステップS103に移行する。
【0070】
また、ステップS103では、「ヒートポンプ2の圧縮機11がON、外部熱源の太陽熱温水器3AがOFF、三方弁(SVO1)32のポートA→ABが100%、目標温度=TwHPmax(設定目標温度>TwHPmaxの場合)」とされ、その後、ステップS106に移行される。続いて、ステップS106では、水温センサ(Twsys)33の検出値と目標温度とが比較され、「Twsys≧目標温度?」が判定され、NOの場合、ステップS107に進み、ここで「水循環ポンプ24の回転数をダウン」してステップS106に戻る。
【0071】
一方、ステップS106でYESと判定された場合、ステップS108に進み、「水循環ポンプ24が最高速?」が判定される。NOの場合、ステップS109に進み、「水循環ポンプ24の回転数をアップ」してステップS106に戻り、YESの場合、ステップS110に進み、冷媒/水熱交換器13の水入口回路25Aに設けられている水温センサ(Twin)27の検出水温が「Twin≧目標温度2?」が判定される。その結果、YESであれば、ステップS111に進み、「給湯が終了」され、NOであれば、ステップS108の戻り、以下の動作が繰り返される。
【0072】
上述のように、外部熱源3(太陽熱温水器3A)からの運転信号が得られない場合であっても、水温センサ(Twsys)33の検出値と、ヒートポンプ2の冷媒/水熱交換器13の出入口に設けられている水温センサ(Twin)27および水温センサ(Twout)28の検出値の比較結果から、外部熱源3(太陽熱温水器3A)が運転されているか否かを集中制御部6で把握し、その結果に基づいて温水暖房・給湯システム1を、外部熱源3(太陽熱温水器3A)の運転を優先しながら、必要に応じて補助熱源の電気ヒータ26を作動するように適切に運転、制御することにより、効率のよい給湯運転ができるようにしている。
【0073】
また、図14および図15には、ヒートポンプ2より優位な外部熱源3(太陽熱温水器3A)との組み合せ時であって、該熱源から運転信号が得られる場合の給湯時の制御フローチャート図が示されている。
この場合、ステップS121において、リモコン60がONにされ、もしくはモードが変更されて給湯運転が開始されるが、このステップS121からステップS123までの動作は、図12に示されている熱源から運転信号が得られない場合の動作と同様であるので説明は省略する。
【0074】
ステップS123での処理が終了すると、ステップS124に進み、外部熱源3(太陽熱温水器3A)からの運転信号に基づいて、外部熱源3(太陽熱温水器3A)が作動しているか否かが判定され、YESの場合、ステップS125に移行し、NOの場合、ステップS126に移行する。ステップS125では、図12に示されている熱源から運転信号が得られない場合のステップS94と同様、水温センサ(Twsys)33の検出値と目標温度とが比較され、「Twsys≧目標温度?」が判定される。
【0075】
その結果により、図12に示されているステップS95ないしS101と同様のステップS127ないしS133の判定、処理が実行される。そして、ステップS131でNOと判定された場合およびステップS132でYESと判定された場合、ステップS134に進み、水温センサ(Twsys)33の検出値と水温センサ(Twout)28との検出値に基づいて、「(Twsys−Twout)×水量≦yKW?」が判定される。その結果、NOであれば、ステップS125に戻り、YESであれば、次のステップS135に進み、ここで「Twsys≦TwHPmax?」が判定される。なお、「yKW」、「TwHPmax」および「水量」の定義は、上述の通りである。
【0076】
上記ステップS135でNOと判定された場合、ステップS125に戻って、以下の動作を繰り返し、YESと判定された場合、ステップS124で外部熱源3(太陽熱温水器3A)が作動されていないと判定された場合と同様、ステップS126に移行する。このステップS126においては、「水循環ポンプ24がON(最低速)、ヒートポンプ2の圧縮機11がON、外部熱源3の太陽熱温水器3AがOFF、三方弁(SVO1)32のポートA→ABが100%、目標温度=TwHPmax(設定目標温度>TwHPmaxの場合)」とされる。以下、図13に示されているステップS106ないしS111と同様の動作が実行されることになるので、ここでの説明は省略する。
【0077】
このように、外部熱源3(太陽熱温水器3A)から運転信号が得られる場合は、外部熱源3用のコントローラ34からの信号によって、集中制御部6で外部熱源3が運転されているか否かを判定し、それに基づいて温水暖房・給湯システム1を、外部熱源3(太陽熱温水器3A)の運転を優先しながら、必要に応じて補助熱源の電気ヒータ26を作動するように適切に運転、制御することにより、効率のよい給湯運転ができるようにしている。
【0078】
更に、図16および図17には、ヒートポンプ2より劣位な外部熱源3(ボイラ3B)との組み合せ時における給湯時の制御フローチャート図が示されている。
まず、ステップS141において、リモコン60がONにされ、もしくはモードが変更されて給湯運転が開始されると、ステップS142に移行し、「負荷が有る?」が判定される。ここでNOと判定された場合、元に戻り、YESと判定された場合、ステップS143に進み、「水循環ポンプ24がON(最低速)、ヒートポンプ2の圧縮機11がON、外部熱源3のボイラ3BがOFF、三方弁(SVO1)32のポートA→ABが100%」とされ、ステップS144に移行する。
【0079】
ステップS144では、「目標水温≧ヒートポンプ2の出湯限界?」が判定され、NOの場合、ステップS145に進み、YESの場合、ステップS146に進む。ステップS145では、水温センサ(Twsys)33の検出値と目標温度とが比較され、「Twsys≧目標温度?」が判定される。NOであれば、ステップS147に移行して、「水循環ポンプ24が最低速?」が判定され、NOの場合、ステップS148に移行し、「水循環ポンプ24の回転速度をダウン」してステップS145に戻り、YESの場合、ステップS149に進む。
【0080】
ステップS149では、「目標−Twsysに変化あり?」が判定される。ここでの「変化あり」とは、「目標−Twsys」が小さくなっていることを指す。ステップS149でYESと判定されると、ステップS145に戻り、NOと判定されると、ステップS161に進み、ヒートポンプ2による給湯運転が終了される。
また、上記ステップS145でYESと判定された場合、ステップS150に進み、「水循環ポンプ24が最高速?」が判定される。NOの場合、ステップS151に進み、「水循環ポンプ24の回転数をアップ」してステップS145に戻り、YESの場合、ステップS152に進み、冷媒/水熱交換器13の水入口回路25Aに設けられている水温センサ(Twin)27の検出水温が「Twin≧目標温度2?」が判定される。
【0081】
その判定結果がYESであれば、ステップS153に進み、「給湯が終了」され、またNOであれば、ステップS145に戻り、以下の動作が繰り返される。
一方、ステップS144でYESと判定され、ステップS146に移行した場合、そこで「目標水温=ヒートポンプ2の出湯限界」とされ、ステップS154に進み、水温センサ(Twsys)33の検出値と目標温度とが比較され、「Twsys≧目標温度?」が判定される。
【0082】
その結果、NOであれば、ステップS155に進み、そこで「水循環ポンプ24が最低速?」が判定される。NOの場合、ステップS156に進み、「水循環ポンプ24に回転速度をダウン」してステップS154に戻り、YESの場合、ステップS157に進み、「目標−Twsysに変化あり?」が判定される。ここで、YESと判定されると、ステップS154に戻り、NOと判定されると、ステップS161に進み、ヒートポンプ2による給湯運転が終了される。また、ステップS154での判定結果がYESであれば、ステップS158に進み、「水循環ポンプ24が最高速?」が判定される。その結果、NOの場合は、ステップS159に進み、「水循環ポンプ24に回転速度をアップ」してステップS154に戻り、YESの場合は、ステップS160に移行する。
【0083】
ステップS160では、冷媒/水熱交換器13の水入口回路25Aに設けられている水温センサ(Twin)27の検出水温が「Twin≧目標温度2?」が判定され、NOであれば、ステップS154に戻り、以下の動作が繰り返され、YESであれば、ステップS161に進み、「ヒートポンプ2による給湯運転が終了」され、ステップS162に移行する。ステップS162では「目標水温=ユーザ設定温度、ヒートポンプ2がOFF、外部熱源3のボイラ3BがON、水循環ポンプ24が最高速、三方弁(SVO1)32のポートB→ABが100%」とされた後、ステップS163に移行する。
【0084】
ステップS163においては、水温センサ(Twsys)33の検出値と目標温度とが比較され、「Twsys≧目標温度?」が判定され、NOであれば、元に戻り、YESであれば、ステップS164に進み、「給湯運転が終了」される。なお、ステップS162ないしS164については、これに替え、水循環ポンプ24の速度を再度落して、出口温水温度を高める方法を採ってもよい。
【0085】
上述のように、外部熱源3がヒートポンプ2に対して劣位なボイラ3Bの場合であっても、ヒートポンプ2を優先的に運転しながら、しかもヒートポンプ2の運転で給湯できる限界を見極めつつ、外部熱源3のボイラ3Bあるいは最劣位の熱源である電気ヒータ26を作動させて、温水暖房・給湯システム1を適切に運転、制御することにより、効率のよい給湯運転ができるようにしている。
【0086】
斯くして、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
上記の温水暖房・給湯システム1においては、ヒートポンプ2を運転し、圧縮機11から吐出された高温高圧の冷媒ガスを冷媒/水熱交換器13を導入することによって、その放熱で水回路25内を循環される水を加熱し、温水を製造することができる。なお、このようなヒートポンプ2による温水の製造は公知である。また、このヒートポンプ2により温水を製造中に、空気熱交換器18に霜が着霜した場合、四方切換弁12で冷媒循環方向を冷房サイクル(デフロストサイクル)に切換えることにより、除霜可能とされている。
【0087】
さらに、水回路25の温水出口回路25B側に、補助熱源としての電気ヒータ26を設置するとともに、ヒートポンプ2に対してランニングコストが優位な太陽熱温水器3Aや劣位なボイラ3B等の外部熱源を直列に接続した構成とし、その外部熱源2の下流側の温水出口回路25Bにヒートポンプ2から取出された温水と外部熱源3を経て取出された温水とを混合して目標温度に制御する三方弁(SVO1)32を設け、この三方弁(SVO1)32で目標温度に調整された温水を、下流側に接続されている給湯タンク4および/または床暖房器5A、ラジエータ5Bおよびファンコイルユニット5C等の暖房用機器5に供給可能な構成とされている。
【0088】
このため、主に給湯のみに利用されていた太陽熱温水器3Aやボイラ3B等の外部熱源3を、ヒートポンプ2を主体とした温水暖房・給湯システム1に組み込み、ヒートポンプ2および外部熱源3(太陽熱温水器3Aやボイラ3B等)の双方で製造された温水を同時に給湯および/または暖房に有効に利用することが可能となる。従って、多様な太陽熱温水器3Aやボイラ3B等の外部熱源3を簡単に組み込むことができ、それを有効活用できるヒートポンプ2を主体とした温水暖房・給湯システム1を確立することができる。
【0089】
また、本実施形態のシステム1は、上記外部熱源3が、ヒートポンプ2に対して優位な熱源(例えば、太陽熱温水器3A)または劣位な熱源(例えば、ボイラ3B)の何れであるかを特定し、その優劣に応じてヒートポンプ2と外部熱源3との運転優先順位を入れ替えて制御する集中制御部6を備えている。このため、ヒートポンプ2の温水出口回路25Bに接続される外部熱源3が、ヒートポンプ2に対して、例えばランニングコストから見て優位な熱源なのか、劣位な熱源なのかを予め特定し、その優劣に応じてヒートポンプ2と外部熱源3との運転優先順位を入れ替えて運転することができる。従って、外部熱源3がヒートポンプ2に対して優位な熱源または劣位な熱源の何れであっても、そのシステム1を最も効率のよい状態で運転することが可能となる。
【0090】
さらに、上記の集中制御部6には、外部熱源3の優劣を設定する機能が組み込まれており、暖房・給湯システム1に接続された外部熱源3の種類に応じて、その外部熱源3がヒートポンプ2に対して優位な熱源であるのか、劣位な熱源であるのかをリモコン60等を介して簡単に設定可能とされている。このため、外部熱源3の優劣を事前に設定しておくことにより、外部熱源3の種類に応じて最適な暖房・給湯運転を行わせることができる。
【0091】
また、本実施形態の集中制御部6は、外部熱源3からの運転信号が得られる場合、得られない場合の双方に対応して運転可能な機能を備えている。このため、接続される外部熱源3が運転信号を発する機能を有しているか否かにかかわらず、それが運転されているか否かを集中制御部6で判断して、外部熱源3およびヒートポンプ2を含む温水暖房・給湯システム1全体の運転制御を行うことができる。従って、如何なる仕様の外部熱源3が接続されても、それに対応してシステム1を正常に運転制御することができる。
【0092】
また、外部熱源3が、太陽熱温水器3A、ボイラ3B等の少なくともいずれか1つとされ、太陽熱温水器3Aがヒートポンプ2に対して優位な外部熱源3とされ、ボイラ3Bがヒートポンプ2に対して劣位な外部熱源3とされているため、外部熱源3としてランニングコストが掛らない太陽熱温水器3Aが接続された場合、これをヒートポンプ2に対して優位な外部熱源3と見做し、ヒートポンプ2に優先して運転するとともに、ボイラ3Bが接続された場合、そのランニングコストがヒートポンプ2よりも高いことから、ヒートポンプ2に対して劣位な外部熱源3と見做し、ヒートポンプ2を優先的に運転することができる。
【0093】
従って、外部熱源3の種類に応じてランニングコストが安い方の熱源機器を優先的に運転し、ランニングコストの低減化を図ることができる。なお、ボイラ3Bは、使用する燃料の種類によりランニングコストがヒートポンプ2に対して優位か否かが分かれる場合があるので、実態に照らして優位または劣位の何れかに設定すればよい。
【0094】
また、本実施形態においては、ヒートポンプ2に、補助熱源として温水出口回路25Bに付設された電気ヒータ26を内蔵し、該電気ヒータ26をヒートポンプ2に対して常に最劣位の熱源として作動可能としている。このため、運転状況や負荷等に応じてヒートポンプ2および外部熱源3の運転を優先しながら、必要により最劣位の熱源である電気ヒータ26を作動することにより、暖房・給湯能力を確保することができる。従って、熱源としてヒートポンプ2、外部熱源3および電気ヒータ26の3つが接続可能で、それらを有効に、かつ効率よく利用することができるヒートポンプ2を主体とした温水暖房・給湯システム1を提供することができる。
【0095】
さらに、本実施形態では、三方弁(SVO1)32で混合された温水の温度を検出する水温センサ(Twsys)33が設けられ、該水温センサ33の検出値に基づいて三方弁32による温水の混合割合を制御し、その温水温度が目標温度となるように制御される構成とされているため、三方弁32で混合された温水を利用する側の給湯タンク4および/または暖房用機器5側が必要としている温水の温度を目標温度に、三方弁32による温水の混合割合および使用熱源を決定してシステム1を運転し、制御することができる。これにより、どの熱源機器が使われている場合であっても、負荷側に対しては常に目標の温度とされた適正温度の温水を供給することが可能となる。
【0096】
なお、本発明は、上記実施形態にかかる発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。例えば、上記実施形態では、ヒートポンプ2として四方切換弁12を備えたリバースサイクル方式の冷凍サイクルを備えた例について説明したが、これに限らず、一方向に冷媒が循環されるタイプのヒートポンプ等、様々な構成のヒートポンプが適用可能であることは云うまでもない。また、給湯タンク4および暖房用機器5の構成やその接続構成についても、上記実施形態に限られるものではなく、種々の変形例を採用してもよいことはもちろんである。
【0097】
さらに、上記実施形態では、補助熱源として電気ヒータ26をヒートポンプ2に内蔵した例について説明したが、このヒートポンプ2に対して最劣位の熱源である電気ヒータ26の設置は、本発明において必須のものではなく、電気ヒータ26が設けられていない構成の温水暖房・給湯システムにも同様に適用できることはもちろんである。
【符号の説明】
【0098】
1 温水暖房・給湯システム
2 ヒートポンプ
3 外部熱源
3A 太陽熱温水器(外部熱源)
3B ボイラ(外部熱源)
4 貯湯タンク
5 暖房用機器
6 集中制御部(制御部)
25 水回路
25B 温水出口回路
26 電気ヒータ
30A,30B 温水回路
32 三方弁(SVO1)
33 水温センサ(Twsys)
50A,50B 温水回路
60 リモコン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水を製造可能なヒートポンプと、温水を製造可能な外部熱源と、前記ヒートポンプおよび/または前記外部熱源で製造された温水を利用するための給湯タンクおよび/または暖房用機器とを備え、
前記ヒートポンプからの温水出口回路に前記外部熱源が直列に接続され、該外部熱源の下流側に前記給湯タンクおよび/または前記暖房用機器が接続されるとともに、
前記ヒートポンプから取出された温水と前記外部熱源を経て取出された温水とが三方弁を介して混合されることにより目標温度とされ、該温水が前記給湯タンクおよび/または前記暖房用機器に供給可能とされていることを特徴とする温水暖房・給湯システム。
【請求項2】
前記外部熱源が、前記ヒートポンプに対して優位な熱源または劣位な熱源の何れであるかを特定し、その優劣に応じて前記ヒートポンプと前記外部熱源との運転優先順位を入れ替えて制御する制御部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の温水暖房・給湯システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記外部熱源の優劣を設定する機能を備えていることを特徴とする請求項2に記載の温水暖房・給湯システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記外部熱源からの運転信号が得られる場合、得られない場合の双方に対応して運転可能な機能を備えていることを特徴とする請求項2または3に記載の温水暖房・給湯システム。
【請求項5】
前記外部熱源が、太陽熱温水器、ボイラ等の少なくともいずれか1つとされ、前記太陽熱温水器が、前記ヒートポンプに対して優位な外部熱源とされ、前記ボイラが、前記ヒートポンプに対して劣位な外部熱源とされていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の温水暖房・給湯システム。
【請求項6】
前記ヒートポンプには、補助熱源として前記温水出口回路に付設された電気ヒータが内蔵まれ、この電気ヒータが、前記ヒートポンプに対して常に最劣位の熱源として作動可能とされていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の温水暖房・給湯システム。
【請求項7】
前記三方弁で混合された温水の温度を検出する水温センサが設けられ、該水温センサの検出値に基づいて前記三方弁による温水の混合割合を制御し、その温水温度が目標温度となるように制御可能とされていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の温水暖房・給湯システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−104596(P2013−104596A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247821(P2011−247821)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)