説明

温水暖房装置

【目的】 貯湯式加熱缶体を用いて温水を作り、循環させて暖房を行う温水暖房装置において、貯湯槽の上部にエアーが溜まるのを防止し、エアー溜まりと水面との間で局部沸騰による異音が発生するのを防止することができる装置の提供を目的とする。
【構成】 貯湯式加熱缶体10の貯湯槽11と、暖房用放熱器20、50と、貯湯槽11からの温水を暖房用放熱器20、50を経て循環させる循環ポンプ40及び暖房水循環路30、33とを有する温水暖房装置であって、循環路30、33の途中に貯湯式加熱缶体10の貯湯槽11の位置よりも高位置に配置される補助タンク70を設けると共に貯湯槽11内の最上位置から補助タンク70内にエアー抜き管80を接続し、且つ補助タンク70のエアー抜き管80の接続位置よりも上位の一定位置に水位センサ72を設け、補助タンク70の水位が水位センサ72の位置よりも低くなると貯湯式加熱缶体10の燃焼を停止するコントローラ100 を設けた。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は温水暖房装置に関し、詳しくは、貯湯式加熱缶体を用いて温水を作り、循環させて暖房を行う温水暖房装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図2に従来の温水暖房装置の構成例を示す。先ず図2の温水暖房装置を説明する。10は貯湯式加熱缶体で、該缶体10の貯湯槽11から高温放熱器20に対して暖房水循環往路31と暖房水循環復路32とからなる暖房水循環路30が設けられており、暖房水循環復路32に循環ポンプ40が配置されている。そして循環ポンプ40より下流の暖房水循環復路32から低温暖房水循環路33を分岐して循環ポンプ40より上流の暖房水循環復路32に合流させ、その途中に低温放熱器50を配置している。前記高温放熱器20を通って温度の低下した温水が低温放熱器50を通って放熱される。前記貯湯槽11内の最上部にエアー抜き栓12を介して補水タンク60が接続し、また貯湯槽11の上部に水位電極からなる水位センサが15が設けられている。循環水に混入した空気は、貯湯式加熱缶体10の貯湯槽11に入って分離され、貯湯槽11の上部にエアー溜まりが生じる。このエアー溜まりのエアーはエアー抜き栓12を外すことによって補水タンク60内へ除去することができる。また補水タンク60に水が無くなった場合には前記貯湯槽11内にエアーが溜まってその水位が低下してくるが、水位が前記水位センサ15未満になると、安全動作が働いて燃焼運転が停止されるようにされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが上記従来の温水暖房装置においては、補水タンク60に水が無くなっても、貯湯槽11内の水位が水位センサ15の水位となるまでは、貯湯槽11の上部にエアーが溜まったまま燃焼加熱が行われることから、溜まったエアー層と水面との境界で局部沸騰が生じることによる異音が発生するという問題があった。
【0004】そこで本発明は、上記従来の装置における欠点を解消し、貯湯式加熱缶体を用いて温水を作り、循環させて暖房を行う温水暖房装置において、貯湯槽の上部にエアーが溜まるのを防止し、エアー溜まりと水面との間で局部沸騰による異音が発生するのを防止することができる温水暖房装置の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の温水暖房装置は、貯湯式加熱缶体の貯湯槽と、暖房用放熱器と、前記貯湯槽からの温水を前記暖房用放熱器を経て貯湯槽に循環させる循環ポンプ及び暖房水循環路とを有する温水暖房装置であって、前記循環路の途中に前記貯湯式加熱缶体の貯湯槽の位置よりも高位置に配置される補助タンクを設けると共に前記貯湯槽内の最上位置から前記補助タンク内にエアー抜き管を接続し、且つ前記補助タンクの前記エアー抜き管の接続位置よりも上位の一定位置に水位センサを設け、補助タンクの水位が前記水位センサの位置よりも低くなると前記貯湯式加熱缶体の燃焼を停止するコントローラを設けたことを特徴としている。
【0006】
【作用】上記本発明の特徴によれば、運転中、貯湯槽内に溜まってくるエアーはエアー抜き管を通って貯湯槽よりも高位置の補助タンクへ除去され、代わりに補助タンクの水が貯湯槽に入って該貯湯槽が満たされる。一方、補助タンク内の水位が低下して水位センサ未満になると、安全動作が働いて燃焼運転が停止される。が補助タンクの位置は貯湯槽の位置よりも高位置にあるので、前記燃焼停止前において貯湯槽の水位が満水から低下することがないので、エアーと水との境界での局部的な沸騰が生じる虞れはなく、異音も発生する余地がない。勿論、貯湯槽にエアー溜まりが生じないので、貯湯式加熱缶体の貯湯槽壁での温度ムラも小さくなり、耐久性が向上する。
【0007】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づいて説明する。図1は本発明の温水暖房装置の実施例を示す構成図である。
【0008】図1において、貯湯式加熱缶体10の貯湯槽11の比較的上部からの暖房水循環往路31を高温放熱器20へ接続し、高温放熱器20からの暖房水循環復路32を貯湯式加熱缶体11の比較的下部に接続している。暖房水循環往路31と暖房水循環復路32とで暖房水循環路30を構成する。前記暖房水循環復路32の途中に半密閉補助タンク70を配置する。半密閉補助タンク70は前記貯湯式加熱缶体10の貯湯槽11よりも高位置に配置し、またエアー抜き栓71を天井部に付属させ、補水タンク60からの補水路61をエアー抜き栓71を介して半密閉補助タンク70に接続している。前記半密閉補助タンク70への暖房水循環復路32からの入水はタンク70内上部に入水するようにしており、タンク70から暖房水循環復路32への出水はタンク70内底部から出水するようにしている。半密閉補助タンク70には水位電極としての水位センサ72が設けられている。
【0009】半密閉補助タンク70よりも下流の暖房水循環復路32に循環ポンプ40を配置し、その循環ポンプ40の吐出側、即ち循環ポンプ40の下流の暖房水循環復路32から分岐(分岐点33a )して低温暖房水循環路33を設け、該低温暖房水循環路33の途中に低温放熱器50を配して、水路33末端を前記半密閉補助タンク70よりも上流の暖房水循環復路32に合流(合流点33b )させる。前記、貯湯槽11内の前記暖房水循環往路31の接続位置13よりも高位置の最上位置14から前記半密閉補助タンク70内へエアー抜き管80を接続している。このエアー抜き管80の半密閉補助タンク70への接続位置よりも高位置の一定位置に前記水位センサ72が設けられている。前記エアー抜き管80にはオリフィス81を設けて、通路径を狭くしている。尚、前記高温放熱器20の下流位置に高温放熱器20への温水供給を停止することができる閉止用栓90を設けている。100 はコントローラで、装置各部のセンサ類からの情報を受け、図示しないリモコンからの指令に基づいて、装置各部に所定の動作制御を行う。コントローラ100 は前記水位センサ72によって半密閉補助タンク70内の水位が水位センサ72の位置よりも低くなると、前記貯湯式加熱缶体10の燃焼を停止するように構成されている。
【0010】上記温水暖房装置において、暖房運転中は、循環ポンプ40が駆動することで、貯湯槽10から温水が暖房水循環往路31を通って高温放熱器20に供給され、そこで高温暖房が行われる。高温放熱器20を通過した温水は、温度が下がり、暖房水循環復路32を半密閉補助タンク70、循環ポンプ40を経て一部は分岐点33a から低温暖房水循環路33に入り、低温放熱器50に供給されて、そこで低温暖房が行われる。残りは貯湯槽11に戻る。前記閉止用栓90を閉止すると、高温放熱器20への通路が閉止されるので、循環ポンプ40を駆動することで、貯湯槽11の温水はエアー抜き管80を通って先ず半密閉補助タンク70に入り、そこから暖房水循環復路32を循環ポンプ40に入って貯湯槽11に循環する。循環ポンプ40から吐出された温水の一部は分岐点33a から低温暖房水循環路33に入り、低温放熱器50に供給されて、そこで低温暖房が行われ、半密閉補助タンク70に戻る。尚、前記エアー抜き管80にオリフィス81が設けられるのは、貯湯槽11の温水を暖房水循環往路31を通して高温放熱器20に導く通常時の運転において、貯湯槽11の温水が前記エアー抜き管80を通って半密閉補助タンク70へあまり流れないようにするためである。
【0011】貯湯式加熱缶体10の貯湯槽11に溜まったエアーはエアー抜き管80を通って、より高位置の半密閉補助タンク70内へ移動するので、貯湯槽11内にエアーが溜まらない。半密閉補助タンク70内に溜まったエアーはエアー抜き栓71を外すことで、外部に放出排除される。さらに前記半密閉補助タンク70内の水位が低下して、水位センサ72の位置よりも低くなると、コントローラ100 は貯湯式加熱缶体10の燃焼を停止する。よって、半密閉補助タンク70内の水位が低下して燃焼がコントローラ100 によって停止される以前においては、常に貯湯槽11には温水が満杯しており、エアーが溜まった状態のまま燃焼が行われることがなくなる。
【0012】
【発明の効果】本発明は以上の構成よりなり、請求項1に記載の温水暖房装置によれば、循環路の途中に前記貯湯式加熱缶体の貯湯槽の位置よりも高位置に配置される補助タンクを設けると共に前記貯湯槽内の最上位置から前記補助タンク内にエアー抜き管を接続し、且つ前記補助タンクの前記エアー抜き管の接続位置よりも上位の一定位置に水位センサを設け、補助タンクの水位が前記水位センサの位置よりも低くなると前記貯湯式加熱缶体の燃焼を停止するコントローラを設けたので、運転中において貯湯槽内に溜まってくるエアーはエアー抜き管を通って貯湯槽よりも高位置の補助タンクへ除去することができ、補助タンク内にエアーが蓄積されることはない。しかも貯湯槽よりも高位置にある補助タンク内の水位が水位センサ未満になると、その時点で安全動作が働いて燃焼運転が停止されるので、該燃焼運転の停止時点では前記補助タンクよりも低位置にある貯湯槽の水位は常に満水状態となり、よって貯湯槽内でのエアーと水との境界での局部的な沸騰を防止し、またこれによる異音の発生も確実に防止することができる。勿論、貯湯槽にエアー溜まりが生じないので、貯湯式加熱缶体の貯湯槽壁での温度ムラも小さくなり、耐久性を向上させることかできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の温水暖房装置の実施例を示す構成図である。
【図2】従来の温水暖房装置を示す構成図である。
【符号の説明】
10 貯湯式加熱缶体
11 貯湯槽
20 高温放熱器
30 暖房水循環路
33 低温暖房水循環路
40 循環ポンプ
50 低温放熱器
70 半密閉補助タンク
72 水位センサ
80 エアー抜き管
100 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 貯湯式加熱缶体の貯湯槽と、暖房用放熱器と、前記貯湯槽からの温水を前記暖房用放熱器を経て貯湯槽に循環させる循環ポンプ及び暖房水循環路とを有する温水暖房装置であって、前記循環路の途中に前記貯湯式加熱缶体の貯湯槽の位置よりも高位置に配置される補助タンクを設けると共に前記貯湯槽内の最上位置から前記補助タンク内にエアー抜き管を接続し、且つ前記補助タンクの前記エアー抜き管の接続位置よりも上位の一定位置に水位センサを設け、補助タンクの水位が前記水位センサの位置よりも低くなると前記貯湯式加熱缶体の燃焼を停止するコントローラを設けたことを特徴とする温水暖房装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開平8−178315
【公開日】平成8年(1996)7月12日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−338097
【出願日】平成6年(1994)12月26日
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)