説明

温水端末器冷却システム

【課題】潜熱回収型熱源機の温水循環系統を利用した暖房用端末器冷却システムを提供する。
【解決手段】循環水は図5太線に示すように、低温循環回路B及び機内循環回路C内を循環する。さらに、給水配管7aを介して供給される冷水(水道水)が水散布ノズル7bから二次熱交換器5a表面に散布され、二次熱交換器5a内を流れる循環水から蒸発熱を奪って蒸発する。蒸発した水分は、循環ファン4cによる送風に随伴して、排気部5eを経由して外部に排出される。未蒸発の水は受け皿11aに滴下し、排水管11cを経由して最終的に不図示の排水口に導かれる。一方、二次熱交換器5aにおいて蒸発熱を奪われて露点温度近傍に冷却された循環水は、低温循環回路Bを介して床暖房パネル3に供給され、冷熱により表面パネルを冷却する。しかしながら、上述のように蒸発温度は常に室内露点温度より高くはならないため、パネル表面に結露することはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜熱回収型熱源機の温水循環系統を利用した暖房用端末器冷却システムに係る。
【背景技術】
【0002】
従来、輻射冷熱による室内冷房装置として、天井材、床材等の表面部材の内部配管に冷媒を循環させて床面等を冷却する方式が公知である。この方式は冷風を室内に吹き出す方式と比較して快適性に優れるものの、部屋の表面部材が室内空気の露点以下になると、結露発生による建材の腐食、カビの発生という問題がある。
このような問題を解消する冷房装置として、例えば特許文献1の技術が提案されている。この技術による室内冷房装置100は、多孔板や不織布等により構成される気液接触体101に往き側配管103aを介して冷却用循環水を供給し、気液接触体101上に流下させる。冷却用循環水は、ダクト105を介して気液接触体101下方に供給される室内空気と気液接触し、その過程で接触空気に蒸発潜熱を奪われて冷却される。さらに、戻り配管103bにより部屋102側に戻され、表面部材104を冷却する。一方、熱回収した空気は、ファン106、排気口107を介して屋外108に排気される。
この方式は蒸発潜熱を利用するものであるため、冷却水は接触空気の露点温度近傍まで冷却され得るものの、露点温度以下に冷却されることはなく、結露のおそれがないという特徴を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−290121号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この方式では循環水を外気と気液接触させるための専用の装置が必要となる。また、冬季の暖房システムと兼用にするためには、回路切替機構等の付随設備も必要となりコストアップ要因となる。さらに、熱交換が気液接触、すなわち開放式熱交換であるため、循環水が外気に晒されることによる水質悪化や、蒸発により失われる水の補給等の問題もある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためのものであって、専用の装置、設備を必要とすることのない温水端末器冷却システムを提供するものである。
本発明は、以下の内容をその要旨とする。すなわち、本発明に係る温水端末器冷却システムは、
【0006】
(1)一次熱交換器、二次熱交換器、シスターン、循環ポンプを含む温水循環系統を備えた潜熱回収型熱源機と、温水端末器と、を含む温水暖房システムを利用する温水端末器冷却システムであって、
該熱源機は、水散布用給水配管と水散布ノズルとを含む第一の水散布手段を、さらに備え、かつ、
燃焼停止状態において、該第一の水散布手段により二次熱交換器表面に冷水を散布して、二次熱交換器内を通過する循環水から蒸発潜熱を奪ってこれを冷却し、冷却循環水を温水端末器に供給する、冷水運転可能に構成したことを特徴とする。
【0007】
(2)上記発明において、前記温水循環系統は、機内循環回路と、往き側系統と、戻り側系統と、を備え、
該機内循環系統は、前記シスターンと、前記循環ポンプと、前記一次熱交換器と、を結ぶ機内循環配管群により構成され、
該往き側系統は、高温往き側配管と、低温往き側配管と、を備え、かつ、
該高温往き側配管は、該機内循環系統の前記一次熱交換器出側から分岐して、機外高温端末器入側に接続するように構成され、
該低温往き側配管は、該機内循環系統の前記循環ポンプ出側から分岐して、機外低温端末器入側に接続するように構成され、
該戻り側系統は、高温端末器出側と戻り側合流点を結ぶ高温戻り側配管と、低温端末器出側と戻り側合流点を結ぶ低温戻り側配管と、戻り側合流点と前記二次熱交換器を結ぶ戻り側合流配管と、により構成され、
て成ることを特徴とする。
【0008】
(3)上記発明において、前記機内循環系統の前記循環ポンプと前記一次熱交換器を結ぶ経路内の、前記低温往き側配管との分岐下流側に機内循環系統開閉弁を、さらに備え、
前記冷水運転時に、前記シスターン内の貯水を前記一次熱交換器を迂回して、直接、前記低温端末器に供給可能に構成したことを特徴とする。
【0009】
(4)上記発明において、前記温水循環系統は、前記低温往き側配管と前記高温往き側配管を結ぶバイパス配管と、該バイパス配管経路内にバイパス開閉弁と、をさらに備え、
前記冷水運転時に、前記シスターン内の貯水を前記一次熱交換器を迂回して、直接、前記高温端末器に供給可能に構成したことを特徴とする。
【0010】
(5)上記各発明において、前記循環ポンプは、前記冷水運転時に、放熱量減少を目的とする低回転数運転を可能に構成したことを特徴とする。
【0011】
(6)上記各発明において、前記散布用給水配管内を通過する給水と、前記戻り側合流配管内を流れる戻り循環水と、を熱交換させるための予冷用熱交換器を、さらに備えたことを特徴とする。
【0012】
(7)上記各発明において、前記熱源機は、前記高温往き側配管と前記高温戻り側配管とを結ぶ機内追焚配管及び風呂追焚熱交換器を含む風呂追焚系統と、該風呂追焚熱交換器内を通過する給水配管と、をさらに備え、かつ、
該給水配管内を通過する冷水と、該機内追焚配管内を通過する循環水とを、熱交換可能に構成したことを特徴とする。
【0013】
(8)上記各発明において、前記熱源機は、第二の水散布手段を、さらに備え、
該第二の水散布手段は、暖房運転時の潜熱回収に伴う凝縮水排水のためのドレン配管から分岐して、前記二次熱交換器上方に再循環するドレン再循環配管と、ドレン再循環のためのドレンポンプと、該ドレン再循環配管の末端側に第二の水散布ノズルと、をさらに備え、
前記第一の水散布手段による水散布時に生じるドレンを再循環して、該第二の水散布手段により再度水散布可能に構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、循環水冷却のための専用装置を必要とすることなく、1台の熱源機のみで端末装置について冬季の暖房と夏季の冷却を兼用することができ、システムの簡素化、低コスト化が可能となる。
また、密閉式熱交換方式であるため、外気との接触による循環水の水質悪化のおそれがなく、また蒸発水の補給も必要としないという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第一の実施形態による温水端末器冷却システム1の構成を示す図である。
【図2】温水循環回路Aの温水循環経路を示す図である。
【図3】温水循環回路Bの温水循環経路を示す図である。
【図4】温水循環回路Cの温水循環経路を示す図である。
【図5】第一の実施形態における床暖房パネル冷却時の冷水循環の態様を示す図である。
【図6】第一の実施形態における浴室内冷却時の冷水循環の態様を示す図である。
【図7】第二の実施形態(温水端末器冷却システム20)における床暖房パネル冷却時の冷水循環の態様を示す図である。
【図8】第二の実施形態における浴室内冷却時の冷水循環の態様を示す図である。
【図9】第三の実施形態による温水端末器冷却システム30の構成を示す図である。
【図10(a)】第四の実施形態による温水端末器冷却システム40の構成を示す図である。
【図10(b)】第四の実施形態における床暖房パネル冷却時の冷水循環の態様を示す図である。
【図11】第五の実施形態による温水端末器冷却システム50の構成を示す図である。
【図12】温水循環系統を利用した従来の室内冷房装置100の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る温水端末器冷却システムの実施形態について、図1乃至11を参照してさらに詳細に説明する。重複説明を避けるため、各図において同一構成には同一符号を用いて示している。なお、本発明の範囲は特許請求の範囲記載のものであって、以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0017】
<第一の実施形態>
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る温水端末器冷却システム1は、二次熱交換器への水散布手段(第一の水散布手段)7を備えた潜熱回収型熱源機2と、低温放熱端末器である床暖房パネル3と、高温放熱端末器である浴室乾燥暖房機4と、これら装置間を結ぶ温水循環系統8乃至10と、を主要構成として備えている。
熱源機2は、バーナ5c、燃焼用ファン5d、一次熱交換器5b、二次熱交換器(潜熱回収熱交換器)5a、排気部5eを一体化した暖房用燃焼部5と、温水循環配管(後述)と、を主要構成として筐体2a内部に備えている。なお、図示を省略するが、熱源機2はこの他に給湯系統、風呂追焚系統及び運転制御を行う制御部を備えている。
熱源機2は、さらに二次熱交換器5aの上方に熱交換器表面に冷水を散布するための水散布手段7を備えている。水散布手段7は散布用給水配管7a、水散布ノズル7b、水散布用開閉弁7cにより構成されている。二次熱交換器5aの下方には、暖房時の潜熱回収に伴う凝縮水及び後述する未蒸発水回収のためのドレン受け皿11aと、中和器11bを経由して凝縮水を排水口(図示せず)に導く排水管11cと、により構成されるドレン排水手段11を備えている。
【0018】
温水端末器冷却システム1の温水循環系統は、往き側系統8と、戻り側系統9と、機内循環系統10と、により構成されている。
機内循環系統10は、開放型シスターン6、循環ポンプ10b、一次熱交換器5b、及びこれらを結ぶ循環配管C1乃至C3により構成されている。シスターン6は、暖房運転時の配管内温水膨張に対するバッファタンクであり、温水が所定の水位以上に上昇すると、不図示のオーバーフロー管を介して外部に排水するように構成されている。また、シスターン6には、給水配管7aから分岐する補給水配管6a及び制御弁6bが付設されており、タンク水位を一定範囲に制御可能とするように構成されている。
【0019】
往き側系統8は、高温系統8a及び低温系統8bにより構成されている。高温系統8aは、浴室乾燥暖房機4と、分岐点P1で循環配管C1から分岐して浴室乾燥暖房機4に接続する高温往き側配管H1、H1’と、により構成されている。高温往き側配管H1’の端部には開閉弁V2が配設されている。また、低温系統8bは床暖房パネル3と、分岐点P2で循環配管C3から分岐して床暖房パネル3に接続する低温往き側配管L1、L1’と、により構成されている。機内低温往き側配管L1の端部には熱動弁V1が配設されている。
戻り側系統9は、分岐部9a及び集合部9bにより構成されている。分岐部9aは、各端末から合流点P3に至る高温戻り側配管H2と、低温戻り側配管L2と、により構成されている。また、集合部9bは、合流点P3と二次熱交換器5aとを結ぶ合流配管J1’、J1と、二次熱交換器5aとシスターン6とを結ぶ配管J2と、により構成されている。
【0020】
以上の構成により、本システム1において暖房運転時には、表1及び図2乃至図4に示す3種類の温水循環回路A乃至Cが形成される。そして、各端末器の運転条件に対応して3種類の循環回路の単独又は組み合わせによる温水循環が行われ、暖房運転される。なお、循環温水温度は暖房用燃焼部5の燃焼量制御により調整される。
【0021】
【表1】

【0022】
(床暖房パネル冷却)
温水端末器冷却システム1は以上のように構成されており、次に図5を参照して夏季等における本システムの床暖房パネル冷却の態様について説明する。この場合、各部の稼働状態は表2の通りとなる。
【表2】

【0023】
この状態で、循環水は同図太線に示すように、低温循環回路B及び機内循環回路C内を循環する。さらに、給水配管7aを介して供給される冷水(水道水)が水散布ノズル7bから二次熱交換器5a表面に散布され、二次熱交換器5a内を流れる循環水から蒸発熱を奪って蒸発する。蒸発した水分は、循環ファン4cによる送風に随伴して、排気部5eを経由して外部に排出される。未蒸発の水は受け皿11aに滴下し、排水管11cを経由して最終的に不図示の排水口に導かれる。
一方、二次熱交換器5aにおいて蒸発熱を奪われて露点温度近傍に冷却された循環水は、低温循環回路Bを介して床暖房パネル3に供給され、冷熱により表面パネルを冷却する。しかしながら、上述のように蒸発温度は常に室内露点温度より高くはならないため、パネル表面に結露することはない。
なお、冷水運転時は循環ポンプ10bの回転数を暖房運転時より下げることが望ましい。これにより、ポンプ発熱による冷却効果の低下を回避することができる(以下の各実施形態においても同様)。
【0024】
(浴室内冷却)
次に、図6を参照して浴室内冷却の態様について説明する。各部の稼働状態は表3の通りである。
【表3】

【0025】
この状態で、循環水は同図太線に示すように、高温循環回路A及び機内循環回路C内を循環する。二次熱交換器5a表面への給水散布の態様は、床暖房パネル冷却の場合と同様である。一方、二次熱交換器5aにおいて室内露点温度程度に冷却された循環水は、高温循環回路Aを通って浴室乾燥機4に供給され、ここで循環ファン4cにより浴室内空気と熱交換する。冷却された循環空気により、浴室内冷却が可能となる。なお、床暖房パネル冷却の場合と同様、蒸発温度は常に室内露点温度以上であるため、循環空気による浴室内カビ発生のおそれはない。
なお、夏季にミストサウナや衣類乾燥など温水利用が必要な場合には、冷水運転を一時待機して温水循環を優先する制御とすることもできる。
【0026】
<第二の実施形態>
次に、図7、8を参照して本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態に係る温水端末器冷却システム20の構成が、上述の温水端末器冷却システム1の構成と異なる点は、循環配管C3の分岐点P2と一次熱交換器5bの間に、開閉弁(機内循環系統開閉弁)21を備えていることである。また、低温往き側配管L1と高温往き側配管H1の分岐点P1上流側とを結ぶバイパス配管22、及び、バイパス配管22経路中に開閉弁(バイパス開閉弁)22aを備えていることである。その他の構成は温水端末器冷却システム1と同一であるので、重複説明を省略する。
【0027】
(床暖房パネル冷却)
次に、図7を参照して、本実施形態における床暖房パネル冷却の態様について説明する。各部の稼働状態については表2に加え、開閉弁21→閉、開閉弁22a→閉である。
この状態で、循環水は同図太線に示すように、低温循環回路B内のみを循環し、機内循環回路Cには流れが形成されない。二次熱交換器5a表面への給水散布については、床暖房パネル冷却の場合と同様である。
本実施形態では、二次熱交換器5aで冷却された循環水が一次熱交換器5bを通過しないため、燃焼用ファン5dにより外気による再加熱がなく、循環冷水による冷却効果がより有効に機能する。
【0028】
(浴室冷却)
次に図8を参照して、本実施形態における浴室冷却の態様について説明する。各部位の稼働状態は、表3に加えて開閉弁21→閉、開閉弁22a→開である。
この状態で、循環水は同図太線に示すように、高温循環回路A内のみを循環し、機内循環回路Cには流れが形成されない。二次熱交換器5a表面への給水散布については、床暖房パネル冷却の場合と同様である。
この場合も、上述の床暖房パネル冷却の場合と同様に、二次熱交換器5aで冷却された循環水が一次熱交換器5bを通過しないため、燃焼用ファン5dの送風による再加熱がなく、循環冷水による浴室内冷却効果がより有効に機能する。
【0029】
<第三の実施形態>
さらに、図9を参照して他の実施形態について説明する。本実施形態に係る温水端末器冷却システム30の構成が、温水端末器冷却システム1の構成と異なる点は、戻り側系統9と水散布手段7の間で熱交換を行う熱交換器31を備えていることである。具体的には、熱交換器31は、集合部9bの合流配管J1内を流れる戻り側循環水と、給水配管7aを流れる冷水とを熱交換させている。その他の構成は温水端末器冷却システム1と同一であるので、重複説明を省略する。
かかる構成により、温水端末器冷却システム30では合流配管J1を経由して二次熱交換器5aに戻る水が、給水配管7a内を流れる水道水により予冷されるため、温水端末器に供給される冷水温度をさらに低下させることができ、冷却効果をより高めることができる。
【0030】
<第四の実施形態>
さらに、図10(a)、10(b)を参照して、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態は、風呂追焚熱交換器を利用して循環水を冷却するシステムに係る。
本実施形態に係る温水端末器冷却システム40の構成が上述の温水端末器冷却システム30の構成と異なる点は、風呂追焚系統45の風呂追焚熱交換器41内に給水配管44を通過させるように構成していることである。風呂追焚系統45は、風呂追焚熱交換器41、機内追焚配管42、追焚用循環配管43及び風呂循環ポンプ43aにより構成されている。給水配管44及び機内追焚配管42には、それぞれ開閉弁44a、42aが配設されている。なお、本実施形態では、上述の実施形態において配設されている熱交換器31は不要となる。かかる構成により、風呂追焚時には表4に示す追焚循環回路Dが形成される。
その他の構成は、温水端末器冷却システム1と同一であるので説明を省略する。
【0031】
【表4】

【0032】
次に図10(b)を参照して、本実施形態における床暖房パネル冷却の態様について説明する。各部位の稼働状態は、表2に加えて開閉弁44a→開、開閉弁42a→開である。
この状態で、循環水は同図太線に示すように追焚循環回路Dを循環する。機内追焚配管42を通過して二次熱交換器5aに戻る循環水が、風呂追焚熱交換器41において給水配管44内を通過する冷水と熱交換して予冷される。これにより、上述の実施形態と同様に温水端末器に供給される冷水温度をさらに低下させることができ、冷却効果が高まる。なお、給水配管44内を通過する予冷用給水を不図示の浴槽に落とし込むことにより、予冷用給水を捨てることなく有効利用可能である。
【0033】
<第五の実施形態>
さらに、図11を参照して本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態に係る温水端末器冷却システム50の構成が上述の温水端末器冷却システム1と異なる点は、水散布手段の構成である。すなわち、温水端末器冷却システム50は第一の水散布手段7に加えて、第二の水散布手段51を備えている。水散布手段51は、排水管11cから分岐する再循環配管51a、水散布ノズル51b、水散布用開閉弁51cにより構成されている。また、排水管11cの経路中にドレンポンプ52、排水用開閉弁53を備えている。その他の構成は、温水端末器冷却システム1と同一であるので重複説明を省略する。
次に、本実施形態の温水端末器冷却時における二次熱交換器5a表面への水散布態様について説明する。各部位の稼働状態は、表2又は表3に加えてドレンポンプ52→運転、開閉弁51→開、開閉弁53→閉である。
【0034】
この状態で、給水配管7aを介して供給される給水が水散布ノズル7bから二次熱交換器5a表面に散布され、未蒸発の給水は受け皿11aに滴下し、排水管11cを経由して分岐点Pに至る。ここで開閉弁53→閉であるため、ドレンポンプ52の作用により再循環配管51aを介して水散布ノズル51bに運ばれ、二次熱交換器5a表面に再度散布される。
なお、冷水の循環形態は上述の各実施形態と同様であるので、重複説明を省略する。
このような給水再循環により未蒸発の水を繰り返し使用できるため、排水される水量を減らすことが可能となり省エネ性の向上が図られる。
【0035】
なお、本実施形態では第二の水散布手段51は、水散布ノズル7bの他に水散布ノズル41bを備える例を示したが、逆止弁等の逆流防止機構を介在させることにより、給水再循環配管51aを給水配管7aに合流させて、水散布ノズルを共用する態様とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、熱源、循環冷媒種類を問わず潜熱回収型熱交換器を備えた暖房システムに広く適用可能である。
【符号の説明】
【0037】
1、20、30、40、50・・・・温水端末器冷却システム
2・・・・・潜熱回収型熱源機
3・・・・・床暖房パネル
4・・・・・浴室乾燥暖房機
5・・・・・暖房用燃焼部
6・・・・・開放型シスターン
7、51・・・・・水散布手段
7a、44・・・・散布用給水配管
7b、51b・・・・水散布ノズル
7c、51c・・・・水散布用開閉弁
8・・・・・往き側系統
9・・・・・戻り側系統
10・・・・機内循環系統
11・・・・ドレン排水手段
21、22a、42a、44a、53、V2・・・・開閉弁
22・・・・バイパス配管
31・・・・熱交換器
41・・・・風呂追焚熱交換器
42・・・・機内追焚配管
43・・・・追焚用循環配管
43a・・・風呂循環ポンプ
45・・・・風呂追焚系統
51a・・・再循環配管
52・・・・ドレンポンプ
V1・・・・熱動弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次熱交換器、二次熱交換器、シスターン、循環ポンプを含む温水循環系統を備えた潜熱回収型熱源機と、温水端末器と、を含む温水暖房システムを利用する温水端末器冷却システムであって、
該熱源機は、水散布用給水配管と水散布ノズルとを含む第一の水散布手段を、さらに備え、かつ、
燃焼停止状態において、該第一の水散布手段により二次熱交換器表面に冷水を散布して、二次熱交換器内を通過する循環水から蒸発潜熱を奪ってこれを冷却し、冷却循環水を温水端末器に供給する、冷水運転可能に構成したことを特徴とする温水端末器冷却システム。
【請求項2】
前記温水循環系統は、機内循環回路と、往き側系統と、戻り側系統と、を備え、
該機内循環系統は、前記シスターンと、前記循環ポンプと、前記一次熱交換器と、を結ぶ機内循環配管群により構成され、
該往き側系統は、高温往き側配管と、低温往き側配管と、を備え、かつ、
該高温往き側配管は、該機内循環系統の前記一次熱交換器出側から分岐して、機外高温端末器入側に接続するように構成され、
該低温往き側配管は、該機内循環系統の前記循環ポンプ出側から分岐して、機外低温端末器入側に接続するように構成され、
該戻り側系統は、高温端末器出側と戻り側合流点を結ぶ高温戻り側配管と、低温端末器出側と戻り側合流点を結ぶ低温戻り側配管と、戻り側合流点と前記二次熱交換器を結ぶ戻り側合流配管と、により構成され、
て成ることを特徴とする請求項1に記載の温水端末器冷却システム。
【請求項3】
前記機内循環系統の前記循環ポンプと前記一次熱交換器を結ぶ経路内の、前記低温往き側配管との分岐下流側に機内循環系統開閉弁を、さらに備え、
前記冷水運転時に、前記シスターン内の貯水を前記一次熱交換器を迂回して、直接、前記低温端末器に供給可能に構成したことを特徴とする請求項2に記載の温水端末器冷却システム。
【請求項4】
前記温水循環系統は、前記低温往き側配管と前記高温往き側配管を結ぶバイパス配管と、該バイパス配管経路内にバイパス開閉弁と、をさらに備え、
前記冷水運転時に、前記シスターン内の貯水を前記一次熱交換器を迂回して、直接、前記高温端末器に供給可能に構成したことを特徴とする請求項3に記載の温水端末器冷却システム。
【請求項5】
前記循環ポンプは、前記冷水運転時に、放熱量減少を目的とする低回転数運転を可能に構成したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の温水端末器冷却システム。
【請求項6】
前記散布用給水配管内を通過する給水と、前記戻り側合流配管内を流れる戻り循環水と、を熱交換させるための予冷用熱交換器を、さらに備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の温水端末器冷却システム。
【請求項7】
前記熱源機は、前記高温往き側配管と前記高温戻り側配管とを結ぶ機内追焚配管及び風呂追焚熱交換器を含む風呂追焚系統と、該風呂追焚熱交換器内を通過する給水配管と、をさらに備え、かつ、
該給水配管内を通過する冷水と、該機内追焚配管内を通過する循環水とを、熱交換可能に構成したことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の温水端末器冷却システム。
【請求項8】
前記熱源機は、第二の水散布手段を、さらに備え、
該第二の水散布手段は、暖房運転時の潜熱回収に伴う凝縮水排水のためのドレン配管から分岐して、前記二次熱交換器上方に再循環するドレン再循環配管と、ドレン再循環のためのドレンポンプと、該ドレン再循環配管の末端側に第二の水散布ノズルと、をさらに備え、
前記第一の水散布手段による水散布時に生じるドレンを再循環して、該第二の水散布手段により再度水散布可能に構成したことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の温水端末器冷却システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10(a)】
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【図10(b)】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−163252(P2012−163252A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23678(P2011−23678)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(000129231)株式会社ガスター (277)
【Fターム(参考)】