説明

温湯消毒装置

【課題】 従来の温湯消毒装置は温水機を外部に備えていたので運搬時の梱包も複数個となり、温湯の循環経路が外部空間にさらされているので、劣化や鼠の咬害による漏水が発生しやすくなっており、さらに使用しない期間の鼠及び病原菌等の侵入の不具合が生じていたので、温湯消毒装置のタンク内に全ての部品を収納して、運搬性の向上と使用しない期間における良好な衛生環境を可能とする温湯消毒装置を提供する。
【解決手段】 温湯タンク内にそれぞれの装置と、それを制御する制御部などをタンク上面から突出しないように収納し、温湯消毒装置の製品梱包を一つとすると共に、温湯タンク上面を塞ぐ蓋をタンク上面に固定できるようにして運搬時の安全性や温湯消毒装置の保管期間の、病害虫や塵埃の進入を防ぐ温湯消毒装置とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種籾の表面に付着し、また籾殻と果皮との間に潜む病原菌に温水を浴びせて殺菌、減菌または除菌する種籾の温湯消毒装置に関する。
【背景技術】
【0002】
種子を所定温度の温水に所定時間浸すことによって、種子に付着している病原菌を殺菌する方法及び装置は特許第287001号公報(特許文献1)に記載され、さらに種籾の堆積層にその下方から上方に向けて温水を噴射して、堆積する種籾に噴射温水圧による浮上作用を伴わせて攪拌しながら種籾に温水を浴びせて種籾全表面や層全体にわたって均等温度の温水を浴びせて種籾を均一に消毒する温湯消毒装置は特開2000−316321号公報(特許文献2)に記載されている。
【0003】
そして、特許文献2と特開2003−009612号公報(特許文献3)には、温湯を貯留するタンク内底部の温湯噴射部と、それに設定温度の加圧温湯を供給する温湯機を、送湯管と温湯回収管で接続して温湯循環経路とした構成が記載されており、特許文献3には温湯を貯留するタンクには折り畳み連続蓋や巻上げ蓋によって、温湯貯留部を外気から遮断できる構成が示されている。
【0004】
【特許文献1】特許第287001号公報
【特許文献2】特開2000−316321号公報
【特許文献3】特開2003−009612号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の温湯によって種籾の表面又は籾殻と果皮との間に潜む病原菌を殺菌、滅菌又は除菌をする方法と装置に、さらに特許文献2の種籾の堆積層の下方から上方に向けて温水を噴射して、噴射温水圧によって種籾を浮上攪拌させる方法と装置によってより均一に設定温水を保ち、十分な殺菌効果を促す装置が提案されている。
【0006】
ところで、特許文献2や特許文献3に示す温湯循環経路であっては、温湯を貯留するタンク内底部の温湯噴射部と温湯機を繋ぐ送湯管(送水経路)と、タンク底部と温湯機を繋ぐ温湯回収管(回収経路)によって、温湯タンク外に備える温湯機に接続されているものであって、さらに特許文献2においては温水機(温湯機)はタンクより背が高くその正面を内側に向けた配置となり、特許文献3では折り畳み連続蓋又は巻き上げの蓋でタンクの上面を塞ぎ、温湯貯留部と外気を遮断する蓋を備えた構成となっている。
【0007】
温水機は、その装置内に加熱装置と加圧装置、そして温度検知部を備えた一体構成となっているので、温水機自体をコンパクトに構成することは困難であって、しかもタンクより温水機が背を高く構成されているために、製品を梱包するうえで一つの梱包構成にすることは困難であって、2つ以上の梱包となることから販売される各地域までの運搬費と、梱包に使用される梱包材、及び作業者の作業時間及びその手間が必要とされ、さらに特許文献3に記載された、折り畳み連続蓋又は巻き上げの保温蓋も備えているので製品として販売する場合に、その保温蓋の梱包をも商品のコストに反映され、使用する農家の経営を圧迫するものとなっている。
【0008】
また、温湯消毒機を使用しない時期の保管の方法においては、移動用のキャスターによって邪魔にならない場所に移動することは可能であるが、温湯タンク外に接して備えられた温水機の出っ張りの分だけスペースを必要とし、さらにタンクより温水機が背が高いので、上方の空間も必要となるものである。そしてタンクと温水機との温湯循環経路となる送水経路と回収経路が外部空間にさらされているので、劣化や鼠の咬害による温湯の漏水が発生しやすくなっている。折り畳み連続蓋又は巻き上げの保温蓋においては、使用しない時期には、鼠等のタンク内の侵入と風による埃やゴミ等による汚れを防止するためにタンクを覆うように蓋をしておくか、丸めてタンク内に放置しておくことが多いが、使用しない時期にタンクに蓋をしておいても、風や作業者や猫等の小動物がぶつかる等の理由から、蓋がズレたり脱落したりするので、タンク内の汚れの防止を防ぐことは難しく、病原菌の発生場所になりかねない状態となっている。
【0009】
そこで、本発明においては温湯消毒装置の温湯タンク内に加熱装置、攪拌装置、温度検知部又は温度検知部を備える加熱装置及びそれぞれを制御する制御部などの装置と部品を収納できるように構成し、温湯消毒装置の製品梱包を一つとすると共に、温湯タンク上面を塞ぐ可撓性の蓋をタンク上面に固定できるように構成できるようにするとともに、温湯タンクの側面の一部若しくは可撓性の蓋の一部を梱包面にして、梱包を簡素化して梱包にかかるコストの軽減を行い、温湯消毒装置自体の価格の抑制と、梱包資材の低減を目的とする。
【0010】
さらに、温湯消毒装置を使用しない期間に、温湯タンク内に加熱装置、攪拌装置、温度検知部又は温度検知部を備える加熱装置や、それぞれを制御する制御部を収納し、可撓性の蓋をタンク上面に固定できるようにすることによって、タンク内と外部を遮断し、病害虫や塵埃の進入を防いで、温湯消毒装置自体の機能を維持すると共に清潔に保つことを可能として、次回使用時の温湯消毒作業を良好に行わせることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成すために本発明の請求項1ないし請求項4に係わる温湯消毒装置を提供する。
【0012】
即ち、請求項1に係わる温湯消毒装置は、種籾を温湯に浸して消毒する種籾の温湯消毒装置であって、種籾を温湯に浸す温湯タンク内には、加熱装置と攪拌装置と温度検知部を個別に、若しくは温度検知部を備える加熱装置と攪拌装置を配置し、前記、加熱装置と攪拌装置と温度検知部、若しくは温度検知部を備える加熱装置と攪拌装置のそれぞれを制御する制御部を、温湯タンクの外部に接して備えられるように配置された温湯消毒装置において、加熱装置と攪拌装置と温度検知部、若しくは温度検知部を備える加熱装置と攪拌装置と、それぞれを制御する制御部を、温湯タンク内に収納して運搬及び保管できるように構成したことを特徴とするものである。
【0013】
請求項2に係わる温湯消毒装置は、種籾を温湯に浸して消毒する種籾の温湯消毒装置であって、種籾を温湯に浸す温湯タンク内には、加熱装置と攪拌装置と温度検知部を個別に、若しくは温度検知部を備える加熱装置と攪拌装置を配置し、温湯タンクの上面を覆う保温蓋を備え、前記、加熱装置と攪拌装置と温度検知部、若しくは温度検知部を備える加熱装置と攪拌装置のそれぞれを制御する制御部を、温湯タンクの外部に接して備えられるように配置された温湯消毒装置において、加熱装置と攪拌装置と温度検知部、若しくは温度検知部を備える加熱装置と攪拌装置と、それぞれを制御する制御部を、温湯タンク内に収納すると共に、温湯タンク上面を保温蓋によって覆い、温湯タンク内と外部を遮断するように構成して運搬及び保管できるように構成したことを特徴とするものである。
【0014】
請求項3に係わる温湯消毒装置は、請求項1又は請求項2記載の温湯消毒装置において、温湯タンク上面を覆う保温蓋は、温湯タンク上面と固定され、温湯タンク内に収納された加熱装置、攪拌装置、温度検知部、又は温度検知部を備える加熱装置と攪拌装置と、それぞれを制御する制御部が、運搬工程で機外に放出されないように、保管過程では外部からの病害虫及び塵埃が進入しないように構成したことを特徴とするものである。
【0015】
請求項4に係わる温湯消毒装置は、請求項1ないし請求項3に係わる温湯消毒装置において、温湯タンク外周面若しくは、保温蓋の上面のいずれかが、梱包面の一部となることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、温湯消毒装置において、温湯タンク内に加熱装置、攪拌装置、温度検知部若しくは、温度検知部を備える加熱装置と、それぞれを制御する制御部を温湯タンク内に収納可能としたので、温湯消毒装置の製品の梱包を行う場合に、温湯タンクだけの梱包で済み、梱包作業の手間と、梱包材の削減が可能となる。しかも、温湯タンク上面の開放面は保温蓋によって外部と遮断され、しかも温湯タンク上面と保温蓋が固定されているので、製品を工場から購入者宅までの運搬工程で温湯タンク内に収納された温湯消毒装置の部品やそれぞれの装置が機外に放出されず、さらにはタンク上面の蓋や温湯タンク外周面のいずれかが梱包面となっているので、さらに梱包にかかるコストと手間の低減を可能とすることが出来る。
【0017】
また、温湯消毒装置を使用しない時期の保管過程においては、加熱装置、攪拌装置、温度検知部若しくは、温度検知部を備える加熱装置と、それぞれを制御する制御部を温湯タンク内に収納して、温湯タンク上面を保温蓋で固定して、タンク内部と外部を遮断し、外気の流通を遮断することによって、タンク内に収納された温湯消毒装置のそれぞれの装置と部品が、塵埃の付着や鼠の食害等による損傷や劣化を防止すると共に、病害虫及び菌類のタンク内への進入を防ぐので、次回温湯消毒装置を使用する場合に良好な使用状態を提供することが出来るものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1には本発明の形態の使用状態を示した側面略図を、図2は図1の平面図、図3は図1に示す実施の形態の他例の使用状態を示した側面略図、図4は図3の平面図、図5は本発明の実施の形態を示した側面略図、図6は本発明の実施の形態の他例を示した側面略図、図7は本発明の実施の梱包の形態を示す側面図、図8は本発明の実施の梱包の斜視図である。
【0019】
図1及び図2に示す温湯消毒装置1は本発明の形態の使用状態を示したものであって、温湯タンク2内に加熱装置3と攪拌装置4と温度検知部5が配置され、温湯タンク2の上端の縁面19より上方に突出しない範囲でその内部に収納できるようになっている。15は制御部であって温湯タンク2の外部に隣接して、その上面は縁面19と同等の高さか、それより低く備えられている。温湯タンク2は図2に示すようにその平面形状を四角として、その底面には温湯消毒作業終了後に排水を行うための排水口8を備え、縁面19より若干下方の側面には作業時に温湯タンク2内の温湯βがその縁面19からあふれ出ないようにオーバーフロー7を備えている。また移動を容易に行うためにタンク底面裏側にはキャスター9が備えられている。
【0020】
加熱装置3は電力によって水を加熱する方式のものであって、加熱装置3のヒータ17を水中に投入し、ヒータの加熱によってその付近の水を温めて水温を上昇させ、種籾の消毒に適する温湯βを生成するようになっている。攪拌装置4は温湯βを吸水口12から吸引して、噴出口11から高圧をかけて噴出す水中ポンプ10であって、その吸水口12は水中ポンプ10の脚によって生じる空間から温湯βを吸引して強力な圧力を加えて噴出口11から温湯タンク2内に噴射させている。なお、噴出口11は水平方向に温水を噴射する噴射口20が縦方向に複数設けられており、その噴射口20はそれぞれ個別に左右方向、上下方向及びその両方向にその向きを変更できるようになっていると良い。
【0021】
温度検知部5は電気的な信号を出力できるデジタル式若しくはアナログ式の温度計であり、18は折り畳み連続可能又は巻き上げ可能な可撓性の特徴を備えた保温蓋であって、加熱装置3で温湯βを温湯消毒の温度(60℃)まで加温を行う時や、種籾消毒中に縁面19を全て覆うように掛けられるようになっている。また、保温蓋18と縁面19は、填め込み式や固定ネジ22によって固定出来るようになっているので、必要に応じて保温蓋18を縁面19に固定することによって、縁面19から保温蓋18の脱落を防止することが出来る。
【0022】
13は種籾容器であって、温湯タンク2の略中央に位置してその高さは縁面19より突出しない高さで、そして図2ではその平面断面形状を円としているが、四角の形状であってもよく、その内部には種籾αを十分余裕を持たせて収納した種籾袋6が複数収納できるようになった多孔箱状で、その全面が多孔面若しくは格子状にして各孔を大きく形成しており、温湯βの流通を極力妨げない形状である。なお種籾袋6には種籾αを3分の1を目安にして収納する。
【0023】
図示はしていないが、種籾容器13の上面には縁面19から突出しない範囲で作業者が握って種籾容器13を引き上げられる取っ手と、底面には複数の脚を備えていると良く、その脚によって温湯タンク2の底面と種籾容器13の底面までの間に、温湯βを流通させる間隙を形成させている。
【0024】
図2では、加熱装置3と攪拌装置4を二個、温度検知部5を一個配置しているが、それぞれは一個や二個または四個配置されていてもよく、それぞれの配置場所は温湯タンク2の壁面に配置され、温湯タンク2の平面形状が四角である時は、その四隅に加熱装置3と攪拌装置4を一対として配置されている。なお、温度検知部は複数配置されていても良いが、温湯タンク2内の温湯βが常に流通して、温湯βの温度を的確に検知できる場所の一箇所であれば差し支えない。
【0025】
図1及び図2の温湯消毒装置1には、加熱装置3と攪拌装置4と温度検知部5をそれぞれ個別に備えているが、温度検知部を備えた加熱装置と攪拌装置4の二つの構成とすることも可能である(図示せず)。
【0026】
加熱装置3や攪拌装置4や温度検知部5は配線16によって制御部15と繋がれ、それぞれが制御されている。加熱装置3と温度検知部5と制御部15のその上方には引っ掛け材23を備えて、引っ掛け材23によって温湯消毒作業時には加熱装置3と温度検知部5をタンクの内側に、制御部15をタンクの外側に、それぞれの上端が縁面19より突出しない範囲で引っ掛けられるようになっている。
【0027】
図3又は図4に示す温湯消毒装置1は、本発明の実施の他例の使用状態を示したものであって、図1及び図2で示した構成に、種籾容器13をスノコ14と仕切板21に変更したものである。
【0028】
スノコ14は温湯タンク2の底面から間隙をもって温湯タンク2底面の全体を覆うように設けられている。このスノコ14は、その全面を多孔板か、格子状にしたものであって、その一部には水中ポンプ10の吸水口12と同径かそれ以上の径の開口部を有していて、水中ポンプ10の吸水口12と合致するようになっている。
【0029】
スノコ14の上面には垂直方向で縁面19と同等かそれ以下の高さの仕切板21が備えられている。この仕切板21もその全面が液体の流通性の高い多孔状をなしているか、格子状のものであってその位置を温湯タンク2の四隅にそなえられた加熱装置3、攪拌装置4、温度検知部5とタンクの内部中央付近とを仕切るように備えられている。
【0030】
図1に示す温湯消毒装置1では、加熱装置3、温度検知部5および制御部15には引っ掛け材23を備えていて、縁面19にその引っ掛け材23を引っ掛け、縁面19より上方に突出しないようにそれぞれの装置を温湯タンク2の側面に配置するようになっているが、図3のように、加熱装置3、温度検知部5および制御部15を固定ネジ22によって、固定する方法であってもよい。
【0031】
以上のように構成された温湯消毒装置1の温湯タンク2内にオーバーフロー7付近まで給水を行い、加熱装置3によって水が種籾の消毒に適する温湯(60℃)になるように加熱を開始する。その直後から若しくはある程度時間が経過してタンク内に給水した水の温度が上昇してから攪拌装置4を稼動させて加熱装置3付近で加熱された温水を温湯タンク2内に略均一に行きわたるよう、そして水温が均一になるように、温湯タンク2の底面付近の水を水中ポンプ10の吸水口12から吸引し、噴出口11からそれぞれの噴射口20によって温湯タンク2の内部方向に向かって噴射される。噴射口20は攪拌装置4の上下方向に対して複数設けられているので、温湯タンク内の貯水の層の略全域に対してその噴射流が流通するようになっている。そして、噴射口20から噴射される噴射流の線上の付近に加熱装置3のヒータ17が配置されていると、加熱装置3付近で加熱された温湯βをいち早く温湯タンク2内の全域に均等に攪拌することが出来る。
【0032】
温湯タンク2内の温湯βはその温度が60℃(低くても57℃)になるように温度検知部5で検出したデータを基に、制御部15で制御して加熱装置3を作動させるようになっている。噴射口20の向きは、それぞれが左右方向に調節できるものであるが、温湯βが温湯タンク2内で一定方向に回転するように噴射されるようにすると、種籾袋6が種籾容器13内を攪拌しながら回転するので、より均一に種籾に温湯βをあてることが可能となる。図2では温湯タンク2の平面の中央点を中心として攪拌装置4を180°の対称位置に二台配置して、温水を左方向に回転するように噴射しているので、種籾袋6に噴射される温水の位置を変化させ、そしてタンク内の温湯βを効率よく攪拌しながら旋回させることが可能である。
【0033】
温湯β内に投入された種籾袋6は、種籾αを余裕を持って収納しているので、噴射口20から圧力を持って噴射される温湯βによってその形状を変形させて種籾αの収納位置が常に移動し、さらに種籾袋6がタンク内を旋回することによって均一に温湯βをそれぞれの種籾αにあてることが可能となる。なお、60℃までの温湯に加熱中や温湯消毒中の10分間には、保温蓋18を縁面19を覆うように掛け、温湯タンク2内の上方の空気と温湯タンク2の外部の空気を遮断すると、放熱を防止できるので種籾を浸した時の温度低下の防止と、より早い設定温度への回復を促す効果がある。
【0034】
60℃の温湯βを10分間浸した種籾αは、早急に機外に取り出して冷却水内に投入してその温度を冷やす必要があるので、種籾袋6だけを速やかに取り出すか、種籾容器13ごと早急に引き上げてそのまま冷却水に投入するか、種籾容器13を温湯タンク2上方に引き上げた状態で保持し、種籾袋6だけを個々に取り出して、冷却水に投入しても良い。
【0035】
温湯消毒作業が終了したならば、加熱装置3、攪拌装置4および温度検知部5の動作を制御部15で電源をOFFにすることで停止し、その後排水口8から温湯βを機外に排出し、排出完了後温湯タンク2内と加熱装置3、攪拌装置4および温度検知部5を洗浄し、乾燥を行って、一連の種籾の消毒作業を終了する。
【0036】
上記の温湯消毒作業が終了し、それぞれの装置を洗浄乾燥後に排水口8や必要に応じてオーバーフロー7を閉じ、加熱装置3、攪拌装置4、温度検知部5、種籾容器13および制御部15を温湯タンク2内の底面から順に配置しながらそれぞれを重ね合わせて収納するか、引っ掛け材23を備える加熱装置3と温度検知部5と制御部15だけを縁面19に引っ掛け材23を使用してタンク内面に引っ掛けて、温湯タンク2内に全ての装置と部品を収納し、縁面19の全てを覆うように保温蓋18を縁面19の面を移動しないように固定設置する(図5)。この保温蓋18は縁面19と填め込み式になっているので多少の圧力を加えてもズレることがないので、保温蓋18が縁面19から外れないようになっている。
【0037】
また、図6のように種籾容器13の代わりに仕切板21とスノコ14であってもよく、スノコ14をタンク底面に設置後、仕切板21をタンク内に縁面19より上方に突出しない範囲に収納し、その後加熱装置3、温度検知部5および制御部15を固定ネジ22によってタンク内部に固定収納されるようになっている。さらには保温蓋18の固定も固定ネジ22による縁面19との固定であれば略隙間無く、タンク内に密閉空間を形成させて固定することが可能である。
【0038】
このように、温湯作業終了後に温湯消毒装置1とそれを構成するそれぞれの装置と部品を温湯タンク2内に収納して、保温蓋18で外部と温湯タンク2内の連通を遮ることで、温湯タンク内に密閉空間を形成して、外気の進入を防止して病原菌類のタンク内への進入と埃等の進入の防止を可能として、次回使用する間まで清潔な状態を保持することを可能とするものである。
【0039】
さらに、温湯タンク2内に全ての装置と部品を収納して保管できるので、保管過程で温湯消毒装置を移動することがあっても、温湯消毒装置を構成するそれぞれの装置と部品がバラバラに移動することがなく、紛失を防止すると共に、温湯消毒作業を行う場合に速やかに温湯消毒装置の準備を行うことを可能とするものである。
【0040】
図7および図8に示す温湯消毒装置1は、製品を出荷する場合の梱包状態を示した図である。図7のように温湯タンク2内には加熱装置3、攪拌装置4、温度検知部5および制御部15のそれぞれが、エアーキャップシートやダンボール等の簡単な梱包材24によってその回りを包まれた状態で温湯タンク2内に収納されているものである。簡単な梱包材24で包まれた加熱装置3、攪拌装置4、温度検知部5および制御部15のそれぞれの隙間に緩衝材25を配置する。
【0041】
温湯タンク2内にそれぞれの装置と部品を収納後、保温蓋18を縁面19に固定ネジ22等で固定し、その後に梱包26で温湯タンク2の外周側面や保温蓋18の上面、図示はしていないが底面を梱包26で覆い、固定紐27で梱包26を温湯タンク2のそれぞれの面に固定する。
【0042】
図7、図8では温湯タンク2の外周側面と保温蓋18の上面を覆う梱包26を用意しているが、例えば上面を有しない外周側面だけの梱包26として保温蓋18を梱包面としてもなんら差し支えない。
【0043】
温湯消毒装置1の出荷梱包を行う場合、加熱装置3、攪拌装置4、温度検知部5、制御部15や種籾容器13およびスノコ14と仕切板21をそれぞれ個別か、いくつかをまとめて梱包材24によってそれぞれの装置の外周を包み温湯タンク2の内部に収納できる形状で配置を行う。温湯タンク2内に収納された複数の梱包材24が移動時の振動によってぶつかり合わないようにするために、緩衝材25によってその隙間を埋めるようにすると、出荷や製品移動時での簡単な梱包材24で包まれた加熱装置3、攪拌装置4、温度検知部5、制御部15や種籾容器13およびスノコ14と仕切板21などの部品や装置同士がぶつかり合うことが無いので、よりいっそう温湯タンク2内に収納されたそれぞれの装置の品質を維持して出荷搬送することが出来る。
【0044】
温湯タンク2内部に梱包材24に包まれたそれぞれの装置の配置が終了後、保温蓋18を縁面19に固定ネジ22等で固定を行い、梱包26を温湯タンク2の外周面に梱包紐27によって固定するので、温湯消毒装置1の出荷時において多少の製品同士のぶつかりや運搬装置との接触で発生する傷などを防止できるものである。
【0045】
従来では、温湯タンクとそれぞれの装置や部品を別梱包として複数個の運搬物で一つの温湯消毒装置を形成していいたが、温湯タンク2内に温湯消毒装置1に使用する全ての装置や部品を収納することで、運搬個数を一つだけとすることを可能として、運搬スペースの縮小によって運搬コストの低減を行うことが可能となるほか、欠品の防止の効果も備えている。
【0046】
さらに保温蓋18と縁面19が固定されているので、内部に収納されたそれぞれの装置や部品が外部に飛び出すことがないので安全性を向上と欠品を防止を促すものである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の形態の使用状態を示した側面略図である。
【図2】図1の本発明の形態の使用状態を示した平面図である。
【図3】本発明の実施の形態の他例の使用状態を示した側面略図である。
【図4】図3に示す平面図である。
【図5】本発明の実施の形態を示した側面略図である。
【図6】本発明の実施の形態の他例を示した側面略図である。
【図7】本発明の実施の梱包の形態を示す側面図である。
【図8】本発明の実施の梱包の斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
1 温湯消毒装置
2 温湯タンク
3 加熱装置
4 攪拌装置
5 温度検知部
6 種籾袋
7 オーバーフロー
8 排水口
9 キャスター
10 水中ポンプ
11 噴出口
12 吸水口
13 種籾容器
14 スノコ
15 制御部
16 配線
17 ヒータ
18 保温蓋
19 縁面
20 噴射口
21 仕切板
22 固定ネジ
23 引っ掛け材
24 梱包材
25 緩衝材
26 梱包
27 梱包紐
α 種籾
β 温湯


【特許請求の範囲】
【請求項1】
種籾を温湯に浸して消毒する種籾の温湯消毒装置であって、種籾を温湯に浸す温湯タンク内には、加熱装置と攪拌装置と温度検知部を個別に、若しくは温度検知部を備える加熱装置と攪拌装置を配置し、
前記、加熱装置と攪拌装置と温度検知部、若しくは温度検知部を備える加熱装置と攪拌装置のそれぞれを制御する制御部を、
温湯タンクの外部に接して備えられるように配置された温湯消毒装置において、
加熱装置と攪拌装置と温度検知部、若しくは温度検知部を備える加熱装置と攪拌装置と、それぞれを制御する制御部を、温湯タンク内に収納して運搬及び保管できるように構成したことを特徴とする、温湯消毒装置。
【請求項2】
種籾を温湯に浸して消毒する種籾の温湯消毒装置であって、種籾を温湯に浸す温湯タンク内には、加熱装置と攪拌装置と温度検知部を個別に、若しくは温度検知部を備える加熱装置と攪拌装置を配置し、
温湯タンクの上面を覆う保温蓋を備え、
前記、加熱装置と攪拌装置と温度検知部、若しくは温度検知部を備える加熱装置と攪拌装置のそれぞれを制御する制御部を、
温湯タンクの外部に接して備えられるように配置された温湯消毒装置において、
加熱装置と攪拌装置と温度検知部、若しくは温度検知部を備える加熱装置と攪拌装置と、それぞれを制御する制御部を、温湯タンク内に収納すると共に、温湯タンク上面を保温蓋によって覆い、温湯タンク内と外部を遮断するように構成して運搬及び保管できるように構成したことを特徴とする、温湯消毒装置。
【請求項3】
温湯タンク上面を覆う保温蓋は、温湯タンク上面と固定され、温湯タンク内に収納された加熱装置、攪拌装置、温度検知部、又は温度検知部を備える加熱装置と攪拌装置と、それぞれを制御する制御部が、運搬工程で機外に放出されないように、保管過程では外部からの病害虫及び塵埃が進入しないように構成したことを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の、温湯消毒装置。
【請求項4】
温湯タンク外周面若しくは、保温蓋の上面のいずれかが、梱包面の一部となることを特徴とする、請求項1、2又は請求項3記載の温湯消毒装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−5755(P2008−5755A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−179161(P2006−179161)
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(000001465)金子農機株式会社 (53)
【Fターム(参考)】