説明

温熱具の製造方法

【課題】温熱付与と温熱付与以外の機能とを併せ持つ高品質の温熱具を安定的に提供し得る温熱具の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の温熱具の製造方法は、被酸化性金属を含む発熱組成物8に電解質水溶液を含有させてなる発熱体2と、液保持性シート9に親油性の薬剤及び該薬剤の溶解剤を含む薬液を含有させてなる薬液含有シート3との積層体4を備えた温熱具の製造方法である。帯状の液保持性シート9´の一面に、接触型の薬液塗布手段31を用いて、薬液を塗布した後、液保持性シート9´と帯状の発熱組成物8´とを、液保持性シート9´の該一面が発熱組成物8´と対向するように重ね合わせて帯状の積層体前駆体10´を得る工程と、帯状の積層体前駆体10´を所定長さに切断して枚葉の積層体前駆体10とし、枚葉の積層体前駆体10に電解質水溶液を塗布して積層体4を得る工程とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体の所望の部位に施用され、該部位に対して温熱を付与する温熱具の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、腰痛、肩こり等の緩和のために、身体に温熱を与える温熱具が使用されている。温熱具は、一般に、シート状の発熱体が通気性を有する袋体内に収容されて構成されている。発熱体は、鉄粉等の被酸化性金属、塩化ナトリウム等の酸化反応の触媒となる電解質及び水を含んで構成されており、被酸化性金属が空気中の酸素と接触して酸化し、その酸化反応により生じる酸化熱によって発熱する。
【0003】
このような温熱具に関する技術に関し、例えば特許文献1には、発熱組成物層が封入されている袋体の外面に、香気、鎮痒、消炎、鎮痛、消臭、抗酸化、抗菌又は殺菌成分を内包するマイクロカプセルを具備する繊維層が接着又は融着されている発熱構造物が記載されている。特許文献1には、前記発熱組成物層の製造方法に関し、不織布等の繊維層を、マイクロカプセル組成物に浸漬させた後、該繊維層を取り出し、脱水及び熱風乾燥することにより、前記発熱組成物層が製造される旨記載されている。特許文献1に記載の発熱構造物によれば、使用時にマイクロカプセル内の成分が放出され、該成分による所定の作用効果が奏されるとされている。
【0004】
また、特許文献2には、発熱組成物が収容される発熱袋を構成する包装材に、抗菌剤及び蛍光剤を含む溶液を含浸させた発熱袋用包装材及びその製造方法が記載されている。特許文献2に記載の製造方法によれば、グラビアロール方式の装置を用いることで、前記包装材に所望量の抗菌剤を均一に付与することができるとされている。
【0005】
また、特許文献3には、電解質溶液を保持可能な繊維層と鉄粉等の発熱主剤を含む発熱層との積層体を備えた発熱体製造用積層体及びその製造方法が記載されている。特許文献3には、前記積層体の製造方法に関し、前記繊維層と前記発熱層との積層体を圧縮処理した後、該積層体に前記電解質溶液を噴霧する電解質溶液含浸処理を実施する旨記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−236725号公報
【特許文献2】特開2001−87301号公報
【特許文献3】特開2001−71404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
温熱具に、温熱付与以外の機能(香気発生、抗菌、消炎等)を付加しようとした場合、そのような機能を有する薬剤を温熱具に含有させる必要がある。特許文献1及び2に記載の温熱具は、そのような薬剤を、発熱体が収容され且つ使用時に人体と接触する袋体に含有させたものであるが、薬剤が肌に直接触れる場合があり、薬剤によっては使用者に不快感を与え、また肌荒れ等の不都合を引き起こすおそれがある。
【0008】
そこで、使用時に袋体内に収容されている発熱体に薬剤を含有させる方法が考えられる。しかし、薬剤を含む薬液を発熱体に塗布する場合、下記1)〜3)の不都合が生じるおそれがある。
1)発熱体に薬液を塗布後、その塗布部分が温熱具の製造装置の各部と接触し、該各部が薬液によって汚染される。
2)発熱体に薬液を直接塗布すると、薬液に起因する発熱体の発熱阻害が発生するおそれがある。例えば、発熱体に、メントールの如き親油性の薬剤を含む薬液を直接塗布した場合、該薬液が発熱体中の発熱性物質(被酸化性金属)を包み込んで該発熱性物質と空気との接触を遮断するおそれがあり、発熱阻害を招くおそれがある。
3)薬液が塗布された発熱体を袋体に収容すると、薬液が発熱体から袋体に転移して袋体を汚染し、最終製品(温熱具)の汚染に繋がる。また、例えば、袋体が通気性を有している場合、薬液が通気性の袋体に転移すると、薬液によって通気性が阻害され、製品の性能低下を招くおそれがある。
【0009】
従って本発明の課題は、前記1)〜3)の不都合を生じさせることなく、温熱付与と温熱付与以外の機能とを併せ持つ高品質の温熱具を安定的に提供し得る温熱具の製造方法及び製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、被酸化性金属を含む発熱組成物に電解質水溶液を含有させてなる発熱体と、液保持性シートに親油性の薬剤及び該薬剤の溶解剤を含む薬液を含有させてなる薬液含有シートとの積層体を備えた温熱具の製造方法であって、帯状の前記液保持性シートの一面に、接触型の塗布手段を用いて、前記薬液を塗布した後、該液保持性シートと帯状の前記発熱組成物とを、該液保持性シートの該一面が該発熱組成物と対向するように重ね合わせて帯状の積層体前駆体を得る工程と、前記帯状の積層体前駆体を所定長さに切断して枚葉の積層体前駆体とし、該枚葉の積層体前駆体に前記電解質水溶液を塗布して前記積層体を得る工程と、を備えた温熱具の製造方法を提供することにより、前記課題を解決したものである。
【0011】
また本発明は、被酸化性金属を含む発熱組成物に電解質水溶液を含有させてなる発熱体と、液保持性シートに親油性の薬剤及び該薬剤の溶解剤を含む薬液を含有させてなる薬液含有シートとの積層体を備えた温熱具の製造方法であって、帯状の前記液保持性シートの一面に、接触型の塗布手段を用いて、前記薬液と前記電解質水溶液との混合液を塗布した後、該液保持性シートと帯状の前記発熱組成物とを、該液保持性シートの該一面が該発熱組成物と対向するように重ね合わせて帯状の前記積層体を得る工程を備えた温熱具の製造方法を提供することにより、前記課題を解決したものである。
【0012】
また本発明は、被酸化性金属を含む発熱組成物に電解質水溶液を含有させてなる発熱体と、液保持性シートに親油性の薬剤及び該薬剤の溶解剤を含む薬液を含有させてなる薬液含有シートとを備えている温熱具の製造に使用可能な製造装置であって、帯状の前記液保持性シートの一面に接触した状態で塗布液を塗布するコーターヘッドを有する、接触型の塗布手段と、前記塗布手段によって前記塗布液が塗布された前記帯状の液保持性シートと、帯状の前記発熱組成物とを、該液保持性シートの前記一面が該発熱組成物と対向するように重ね合わせる重ね合わせ手段と、を備えた温熱具の製造装置を提供することにより、前記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、温熱付与と温熱付与以外の機能とを併せ持つ高品質の温熱具を安定的に提供することができる。
【0014】
具体的には、本発明によれば、薬液を、発熱組成物に直接塗布せずに、発熱組成物とは別体で温熱付与機能を有しない液保持性シートに塗布し且つ該液保持性シートと該発熱組成物とを重ね合わせることにより、前記1)〜3)の不都合の発生が効果的に防止される。また、本発明によれば、薬液の塗布を接触型の塗布手段を用いて実施することにより、薬液の塗布量のばらつきが抑えられ、所望の量の薬液を所望の位置に高精度で安定して塗布することができ、高品質の温熱具を安定的に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の温熱具の製造方法の実施によって得られる温熱具の一例の模式的断面図である。
【図2】図2は、図1に示す温熱具の使用状態の一例を示す図である。
【図3】図3は、本発明の温熱具の製造方法の実施に使用可能な本発明の製造装置の一実施形態の全体構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の温熱具の製造方法(以下、単に、製造方法ともいう)をその好ましい実施形態に基づき図面を参照して説明する。先ず、本発明の製造方法の実施によって製造される温熱具について、その好ましい一実施形態に基づき図面を参照して説明する。
【0017】
図1には、本実施形態の温熱具1が示されている。温熱具1は、使用者の肩部、腰部、頸部、腕や脚の関節、腹部などに直接貼り付けて、水蒸気を伴う熱(蒸気温熱)を付与するために用いられるもので、蒸気温熱具とも言えるものである。図2には、温熱具1を使用者の肩部に直接貼り付けて使用している状態が示されている。温熱具1の使用時間は、通常、数時間ないし6時間程度である。「熱の付与」とは、温熱具1を肌へ直接接触させて熱を付与すること、及び水蒸気の透過が可能な介在物を介して間接的に肌へ接触させて熱を付与することの双方を包含する。
【0018】
温熱具1は、発熱体2と薬液含有シート3との積層体4及び該積層体4を収容する収容体5を備えている。収容体5は、図示していないが、例えば平面視において矩形形状とすることができる。収容体5は、シート材6,7を所定位置で接合して、扁平状の密閉空間が形成されたもので、該密閉空間に積層体4を収容することができるものである。扁平な形状を有する収容体5は、使用時に使用者の肌に近い側に位置する第1の面11、及び該第1の面11と反対側に位置し且つ使用時に使用者の肌から遠い側に位置する第2の面12を有している。第1の面11は、シート材6によって形成され、第2の面12は、シート材7によって形成されている。シート材6,7は、収容体5の周縁部において熱融着や接着等の接合手段により互いに接合されており、その接合部は平面視において閉じた周状である。該接合部内は閉じた空間となっており、この閉じた空間が積層体4の収容部となっており、該収容部内に1個の積層体4が収容されている。
【0019】
発熱体2は、被酸化性金属を含む発熱組成物8に電解質水溶液を含有させてなる。つまり、発熱体2は、被酸化性金属及び電解質を含む発熱組成物8が含水状態となっているものである。発熱体2は、被酸化性金属が酸素と接触することによる酸化反応で生じた熱を利用して、所定温度に加熱された水蒸気を発生する。
【0020】
発熱体2は、100質量部の発熱組成物8に対して、2〜35質量%、特に5〜10質量%の電解質を含む電解質水溶液が20〜60質量部、特に30〜45質量部含有されて構成されていることが好ましい。電解質としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属の塩化物、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等のアルカリ土類金属の塩化物等が挙げられる。
【0021】
発熱組成物8は、被酸化性金属及び繊維状物を含む繊維シートであることが好ましい。即ち、発熱体2は、繊維シートからなるシート状物(シート状に形成された発熱シート)であることが好ましい。シート状の発熱体を用いることで、使用者がどのような姿勢になっている場合でも、被酸化性金属の偏りがなく、且つ使用者の肌へ蒸気温熱を均一に適用し得る点から好ましい。繊維シートである発熱組成物8は、公知の湿式抄造法により製造することができる。また、発熱組成物8は、反応促進剤を含んでいることが好ましい。
【0022】
繊維シートである発熱組成物8は、10〜90質量%、特に30〜85質量%の被酸化性金属と、2〜80質量%、特に5〜50質量%の繊維状物と、0.5〜60質量%、特に1〜50質量%の反応促進剤とを含んで構成されていることが好ましい。
【0023】
発熱組成物8を構成する各種材料としては、当該技術分野において通常用いられているものと同様のものを用いることができる。被酸化性金属としては、鉄、アルミニウム、亜鉛、銅等が挙げられる。繊維状物としては、木材パルプや各種合成繊維等が挙げられる。反応促進剤としては、活性炭、カーボンブラック、黒鉛等が挙げられる。発熱組成物8には、更に、保水剤(例えば、バーミキュライト、ケイ酸カルシウム、シリカゲル、シリカ系多孔質物質、アルミナ、パルプ、木紛、吸水ポリマー等)等を含有させても良い。
【0024】
薬液含有シート3は、液保持性シート9に親油性の薬剤及び該薬剤の溶解剤を含む薬液を含有させてなる。液保持性シート9に含浸されている薬液は、発熱体2による温熱付与以外の機能を有する成分を含んでおり、薬液含有シート3は、温熱付与以外の機能を有している。温熱付与以外の機能は、薬剤の種類によって異なり、例えば、香気発生、抗菌、消炎等が挙げられる。薬液含有シート3は、これらの機能の2種以上を有していても良い。
【0025】
薬液含有シート3は、100質量部の液保持性シート9に対して、薬液が10〜1000質量部、特に500〜800質量部含有されて構成されていることが好ましい。
【0026】
液保持性シート9としては、薬液の浸透性が高く、薬液(水分)の吸収保持が可能なシート材料が用いられる。そのような材料としては、例えば、繊維を原料とする紙、不織布、織物、編み物等の繊維シートが挙げられる。またスポンジ等の多孔体等が挙げられる。前記の繊維としては、例えば植物繊維及び動物繊維等の天然繊維を主成分とするものが挙げられる。植物繊維としては、例えばコットン、カボック、木材パルプ、非木材パルプ、落花生たんぱく繊維、とうもろこしたんぱく繊維、大豆たんぱく繊維、マンナン繊維、ゴム繊維、麻、マニラ麻、サイザル麻、ニュージーランド麻、羅布麻、椰子、いぐさ、麦わら等が挙げられる。動物繊維としては、例えば羊毛、やぎ毛、モヘア、カシミア、アルカパ、アンゴラ、キャメル、ビキューナ、シルク、羽毛、ダウン、フェザー、アルギン繊維、キチン繊維、ガゼイン繊維等が挙げられる。これらの繊維のうち、薬液(水分)の吸収保持性の観点から、植物繊維を用いることが好ましく、特に木材パルプを用いることが好ましい。木材パルプとしては、NBKPやLBKPなどの化学パルプを用いることが、薬液(水分)の吸収保持性及び経済性等の観点から好ましい。液保持性シート9は、公知の湿式抄造法により製造することができる。
【0027】
液保持性シート9が紙から構成される場合、該紙の強度を上げるなどの目的で、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、デンプン、ポリビニルアルコール若しくはポリ酢酸ビニル又はこれらの共重合体若しくは変性体等の単繊維や、これらの樹脂成分を鞘部に有する芯鞘構造の複合繊維を、薬液保持力を損なわない範囲で混ぜることも可能である。これら繊維を混合する場合には、シートに対し50重量%以下が好ましく、特に30重量%以下、とりわけ10重量%以下が好ましい。
【0028】
液保持性シート9は、通気性シートと非通気性シートとの積層シートで構成されていても良い。液保持性シート9が前記積層シートからなる場合、後述する温熱具1の製造方法においては、前記通気性シートに薬液を塗布し、また、温熱具1においては、薬液が塗布された前記通気性シートが発熱体2と対向するように配置され、積層体4とされる。前記通気性シートとしては、前述した「薬液の浸透性が高く、薬液(水分)の吸収保持が可能なシート材料」を用いることができる。前記非通気性シートとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンやポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ナイロン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体等の樹脂からなるシートが挙げられる。前記積層シートは、公知のラミネート加工により製造することができる。
【0029】
本発明で用いる薬液は、親油性の薬剤及び該薬剤の溶解剤を含んでいる。親油性の薬剤としては、各種香料原料等が挙げられ、例えばメントールが挙げられる。薬剤としてメントールを用いた場合、温熱具1は、発熱体2による温熱付与機能に加えて、薬液含有シート3による香気放出、麻酔効果(鎮痛)機能を有する。
【0030】
本発明で用いる薬液における薬剤の含有率は、薬剤の種類によって適宜設定される。例えば薬剤としてメントールを用いた場合、薬液におけるメントールの含有率は、好ましくは0.5〜60質量%、更に好ましくは2.5〜20質量%である。
【0031】
また、本発明で用いる薬剤の溶解剤としては、親油性の薬剤が分散又は溶解可能な溶剤を用いることができ、薬剤の種類に応じて、親油性の溶剤の中から適宜選択される。例えば、薬剤としてメントールを用いた場合、溶解剤としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エステル油、ヒマシ油、アルコール等を用いることができ、これらの2種以上を混合して用いても良い。薬液における溶解剤の含有率は、好ましくは40〜99.5質量%、更に好ましくは80〜97.5質量%である。
【0032】
本発明で用いる薬液には、親油性の薬剤及びその溶解剤に加えて、他の成分を含有させることができる。但し、本発明で用いる薬液には、被酸化性金属等の発熱性物質は含有されない。他の成分としては、例えば、水、界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤としては、公知のものを特に制限無く用いることができ、例えば、2−オクチルドデカノール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0033】
収容体5内において、図1に示すように、発熱体2と薬液含有シート3とは互いに隣接して配置されて積層体4を構成しており、両者2,3間には他の部材は介在されていない。このような積層体4の構成に起因して、また、後述する温熱具1の製造工程に起因して、発熱体2(発熱組成物8)には、薬液含有シート3(液保持性シート9)に含有されている薬液あるいはその成分の一部が含有されている場合があり、また、薬液含有シート3には、発熱体2に含有されている電解質水溶液あるいはその成分の一部が含有されている場合がある。
【0034】
薬液含有シート3は、発熱体2と温熱具1の第2の面12を形成するシート材7との間に配されており、温熱具1の使用時には、発熱体2よりも使用者の肌から遠い側に位置する。薬液含有シート3(液保持性シート9)は、発熱体2(発熱組成物8)と略同形になっている。しかしこのことは本発明において臨界的なものではなく、薬液含有シート3(液保持性シート9)は発熱体2(発熱組成物8)よりも大きいサイズのものでよく、あるいは小さいサイズのものでもよい。
【0035】
本実施形態の温熱具1における第1の面11は、少なくとも一部が空気及び水蒸気の透過が可能な通気面になっており、これと反対側に位置する第2の面12は、空気及び水蒸気の透過が実質的に不可能な非通気面になっている。温熱具1は、第1の面11の側が使用者の肌面に対向し、第2の面12の側が外方を向くように使用され、発熱体2の発熱によって発生した水蒸気は、第1の面11を通じ、対象物である肌面に付与できるように構成されている。また、薬液含有シート3に含まれている薬剤由来の有効成分が、第1の面11を通じて肌面に付与される。
【0036】
温熱具1の相対向する外面が、通気面であるか又は非通気面であるかは、JIS P8117(ISO5636/5−Part5に準拠)によって測定される通気度で判断することができる。通気度は、100mlの空気が6.42cm2の面積を通過する時間で定義される値である。通気度が大きいことは、空気の通過に時間がかかること、即ち通気性が低いことを意味し、逆に、通気度が小さいことは、通気性が高いことを意味している。このように、通気度の大小と通気性の高低とは逆の関係になっている。通気面である第1の面11の通気度は、好ましくは100000秒以下、更に好ましくは1000〜20000秒である。また、非通気面である第2の面12の通気度は、好ましくは100000秒超である。
【0037】
通気面である第1の面11を形成するシート材6としては、例えば、樹脂製シートに該シートを厚み方向に貫通する孔が多数形成されてなる、開孔シートの他、ポリオレフィン等の合成パルプ、木材パルプ、レーヨン、アセテート等の半合成繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維等から形成された不織布、織布、合成紙、紙等を用いることができ、これらの2種以上を貼り合わせてなる積層シートを用いることもできる。前記開孔シートとしては、例えば、樹脂からなるシートに機械的手段によって多数の孔を形成したもの;樹脂と無機フィラーとの混合シートを延伸により界面剥離させ、該混合シートに微孔を形成したもの;発泡成形による連続気泡を利用し微孔を連通させたもの等が挙げられる。また、前記開孔シートの形成材料となる樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィンやポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。シート材6は、複数枚を重ねて用いることもできる。
【0038】
非通気面である第2の面12を形成するシート材7としては、例えば、PE、PP等のポリオレフィンやポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ナイロン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体等の樹脂からなるシートが挙げられる。特に、発熱体の隠蔽性が必要とされる場合は、前記開孔シートの形成材料となる樹脂中に、酸化チタン等の無機フィラーを配合したシートが好適に用いられる。シート材7は、複数枚を重ねて用いることもできる。
【0039】
次に、本発明の製造方法を、前述した温熱具1の製造方法を例にとり図面を参照して説明する。図3には、本実施形態の製造方法の実施に用いる製造装置30の全体構成が示されている。製造装置30は、図3に示すように、帯状の液保持性シート9´の一面に接触した状態で塗布液(薬液W)を塗布するコーターヘッド33を有する、接触型の塗布手段(薬液塗布手段31)と、該塗布手段31によって塗布液が塗布された帯状の液保持性シート9´と、帯状の発熱組成物8´とを、液保持性シート9´の前記一面(薬液Wの塗布面)が発熱組成物8´と対向するように重ね合わせる、重ね合わせ手段とを備えている。
【0040】
より詳細には、製造装置30は、帯状の発熱組成物8´及び帯状の液保持性シート9´をそれらの長手方向に走行させる公知の走行手段(図示せず)と、液保持性シート9´に薬液Wを塗布する薬液塗布手段31と、発熱組成物8´と液保持性シート9´とを重ね合わせてなる帯状の積層体前駆体10´を一体化する一体化手段35と、一体化された帯状の積層体前駆体10´を所定長さに切断して複数の枚葉の積層体前駆体10とする切断手段としてのカッターロール38と、一方向に所定間隔を置いて配置された複数の枚葉の積層体前駆体10を該一方向に走行させる走行手段としての搬送ベルト40と、各積層体前駆体10に電解質水溶液を吐出(滴下)するノズル41を備えた電解質水溶液吐出手段(図示せず)とを備えている。また、製造装置30は、ノズル41の下流側に、積層体前駆体10に電解質水溶液を塗布して得られた積層体4(発熱体2と薬液含有シート3との積層体)上に、帯状のシート材6´を供給するシート材供給手段(図示せず)と、帯状のシート材6´,7´どうしを所定箇所で加熱圧着させる手段としてのヒートロール61と、切断手段としてのカッターロール62とを備えており、積層体4は、これら各手段によってシート材6,7で包装され、前述した構成の温熱具1とされる。
【0041】
前記走行手段は、搬送用ロール等の各種ロール等によって構成される、液保持性シート9´及び発熱組成物8´それぞれの走行路を備えており、各走行路は、薬液Wが塗布された液保持性シート9´と発熱組成物8´とを、それらの長手方向に走行させつつ、前述した形態で重ね合わせ可能に構成されている。つまり、本実施形態においては、前記走行手段(走行路)が、液保持性シート9´と発熱組成物8´とを重ね合わせる、前記重ね合わせ手段(帯状の積層体前駆体10´の形成手段)として機能する。
【0042】
薬液塗布手段31は、被塗布物である帯状の液保持性シート9´に前述した組成の薬液Wを塗布する装置であり、薬液Wを貯留する貯槽32と、被塗布物に実際に薬液を塗布するコーターヘッド33と、貯槽32に貯留されている薬液Wをコーターヘッド33に送る送液手段としてのポンプ34とを備えている。薬液塗布手段31を構成する前記各部は、フレキシブルチューブ等の管によって流体的に接続されている。尚、薬液塗布手段31が置かれている室温によっては、薬液Wの粘度変化や薬剤の析出が発生する場合があることから、斯かる不都合を防止すべく、薬液塗布手段31は、前記各部を接続している管を加温可能な加熱手段を有していることが好ましい。ポンプ34としては、この種の液体を扱う装置において通常用いられるものを特に制限なく用いることができる。貯槽32内の薬液Wは、ポンプ34によってコーターヘッド33に連続的に供給され、コーターヘッド33は、被塗布物に薬液Wを連続的に塗布する。
【0043】
薬液塗布手段31は、塗布時にコーターヘッド33が被塗布物である帯状の液保持性シート9´と接触する、接触型の塗布手段である。薬液の塗布手段としては、電解質水溶液を吐出するノズル41を備えた電解質水溶液吐出手段(図示せず)のように、塗布時に被塗布物と接触せず、被塗布物から離間した位置から被塗布物に向けて薬液を吐出する、非接触型の塗布手段もあるが、本実施形態では、薬液の塗布に接触型の塗布手段を用いる。前記電解質水溶液吐出手段の如き、非接触型の塗布手段は、被塗布物に対し薬液を間欠的に吐出(滴下)する場合に最適であるのに対し、薬液塗布手段31の如き、接触型の塗布手段は、被塗布物に対し薬液を連続的に塗布する場合に最適である。
【0044】
薬液塗布手段31として利用可能な接触型の塗布手段としては、例えば、グラビアコーター、リバースコーター、ダイコーター、コンマコーター等が挙げられる。これらの中でも特に、ダイコーターが定量性の点で好ましい。
【0045】
一体化手段35は、互いに噛み合う刃溝を有する一対の刃溝ロール36,37を含んで構成されている。即ち、両ロール36,37それぞれの周面部には、所定の高さを有し且つ各ロールの周方向に延びる複数の刃が、ロール軸線方向に所定間隔を置いて配置されており、これにより刃溝が形成されている。両ロール36,37における刃溝どうしを互いに噛み合わせると、それらの刃溝が所定の噛み合い深さで噛み合うようになされており、帯状の積層体前駆体10´を、この刃溝の噛み合い部分を通過させることで、積層体前駆体10´における、該刃溝を構成する複数の刃と当たる部分が破断し、これにより、積層体前駆体10´の表面に、MDに延びる直線状の切り込みが複数形成される。
【0046】
尚、一体化手段35において、刃溝ロール36,37のどちらか一方を、周面部に刃が形成されていない平滑なアンビルロール、又は刃溝ロールの複数の刃に対応する複数の溝を周面部に有するアンビルロールに代えても良い。このようなアンビルロールを、刃溝ロール36又は37と組み合わせて用いた場合でも、被加工物に、MDに伸びる直線状の切り込みを複数形成することができる。
【0047】
ノズル41は、前述したように、被塗布物に向けて電解質水溶液を吐出(滴下)するもので、非接触型の塗布手段である電解質水溶液吐出手段(図示せず)の一部である。電解質水溶液吐出手段は、電解質水溶液を貯留する貯槽(図示せず)と、該貯槽内の電解質水溶液をノズル41に送る送液手段としてのポンプ(図示せず)を備えており、該ポンプの動作制御によってノズル41から電解質水溶液を間欠的に吐出することができる。電解質水溶液吐出手段におけるポンプとしては、例えばプランジャー型定量ポンプを用いることができ、市販品として、株式会社イワキ製の商品名「ハイセラポンプ」が挙げられる。
【0048】
以上の構成を有する製造装置30を用いた温熱具1の製造方法について説明する。本実施形態の製造方法は、帯状の液保持性シート9´の一面に、前述した組成の薬液Wを、接触型の薬液塗布手段31を用いて塗布した後、液保持性シート9´と帯状の発熱組成物8´とを、液保持性シート9´の該一面(薬液塗布面)が発熱組成物8´と対向するように重ね合わせて帯状の積層体前駆体10´を得る工程と、帯状の積層体前駆体10´を所定長さに切断して枚葉の積層体前駆体10とし、枚葉の積層体前駆体10に、ノズル41によって電解質水溶液を塗布して、前述した発熱体2と薬液含有シート3との積層体4を得る工程とを備えている。
【0049】
本実施形態の製造方法においては、図3に示すように、先ず、帯状の発熱組成物8´と帯状の液保持性シート9´とを、互いに離間させて図中符合X1で示す方向(MD)に走行させる。そして、薬液塗布手段31のコーターヘッド33を、走行中の液保持性シート9´の一面に接触させて、該一面に塗布液Wを連続的に塗布する。コーターヘッド33には、ポンプ34を介して、貯槽32に貯留されている薬液Wが連続的に供給される。液保持性シート9´は薬液Wが塗布されることによって、薬液を含有する薬液含有シート3となる。
【0050】
次いで、薬液Wが塗布された帯状の液保持性シート9´と、該シート9´とは別の走行路を走行中の帯状の発熱組成物8´とを、液保持性シート9´における薬液Wの塗布面が発熱組成物8´と対向するように重ね合わせて帯状の積層体前駆体10´を得る。この段階では、発熱組成物8´と液保持性シート9´とは単に重ね合わされているだけであり、両者は接合されていない。液保持性シート9´における薬液Wの塗布面は、該塗布面を発熱組成物8´に重ねるまでは、搬送用ロール等の製造装置30の構成部材と接触させないことが、薬液塗布時の該塗布面の状態を維持して薬液による効果を十分に発揮させる点、及び薬液による装置各部の腐食を回避する点から好ましい。
【0051】
次いで、一体化手段35によって帯状の積層体前駆体10´を一体化する。具体的には、積層体前駆体10´を、一体化手段35を構成する上側ロール36と下側ロール37との間を通過させて、積層体前駆体10´の表面にMDに延びる直線状の切り込みを形成する。一体化手段35による積層体前駆体10´の一体化処理によって、発熱組成物8´及び液保持性シート9´それぞれの構成繊維どうしの絡み合い等が生じ、発熱組成物8´と液保持性シート9´とが剥がれにくくなり、一体化する。また、積層体前駆体10´の走行方向X1(MD)に延びる複数の切り込みが形成されることは、積層体の通気性の向上、延いては発熱特性の向上に有効である。
【0052】
一体化手段35によって一体化された帯状の積層体前駆体10´は、カッターロール38で所定長さに切断されて複数の枚葉の積層体前駆体10とされる。複数の枚葉の積層体前駆体10は、反転ロール39によって、帯状の積層体前駆体10´の走行方向X1とは逆方向X2(MD)に自走している、搬送ベルト40上の帯状のシート材7´上に、該方向X2に所定間隔を置いて列をなすように配置され、シート材7´と共に、ノズル41の下方へ搬送される。このとき、搬送ベルト40側から、帯状のシート材7´、枚葉の薬液含有シート3、枚葉の発熱組成物8の順で積層されている。
【0053】
ノズル41は、前述したように、非接触型の塗布手段である前記電解質水溶液吐出手段(図示せず)の構成部材の1つであり、ノズル41から、その下方の枚葉の積層体前駆体10に向けて電解質水溶液が吐出され、積層体前駆体10中の発熱組成物8に電解質水溶液が塗布される。これにより、発熱組成物8は、電解質水溶液を含有する発熱体2となり、積層体前駆体10は、発熱体2と薬液含有シート3との積層体4となる。
【0054】
次いで、前記シート材供給手段(図示せず)により、積層体4における電解質水溶液の塗布面(積層体4の上面)上に帯状のシート材6´を供給する。これにより、積層体4は、供給されたシート材6´と、既に積層体4の下方に配されているシート材7´とで挟まれた状態となる。次いで、ヒートロール61間にて、積層体4の周囲に位置する両シート材6´,7´をヒートシールして温熱具連続体1´を得、次いで、カッターロール62で、温熱具連続体1´を所定長さに切断する。こうして、目的とする温熱具1が得られる。
【0055】
製造装置30を用いた本実施形態の温熱具の製造方法によれば、薬液Wを、発熱組成物8´に直接塗布せずに、発熱組成物8´とは別体で温熱付与機能を有しない液保持性シート9´に塗布し且つ液保持性シート9´と発熱組成物8´とを重ね合わせているため、発熱体2の発熱阻害を生じさせずに、製造装置30及び最終製品である温熱具1の薬液による汚染を効果的に防止することができ、結果として、前記1)〜3)の不都合を生じさせることなく、温熱付与と温熱付与以外の機能とを併せ持つ高品質の温熱具1を安定的に提供することができる。
【0056】
特に、製造装置30の薬液による汚染に関し、反転ロール39やその周辺の装置各部は、反転ロール39の抱き角が大きいため、薬液Wの付着による汚染が生じ易いところ、本実施形態によれば、前述した液保持性シート9´への薬液塗布と重ね合わせとにより、斯かる汚染を効果的に防止でき、また、薬液Wと接触する可能性の高い、上側ロール36やカッターロール38の薬液付着による汚染も効果的に防止できる。
【0057】
また、本実施形態においては、薬液Wの塗布を、接触型の薬液塗布手段31を用いて実施しているため、薬液Wを所定の塗布予定位置に精度良く設定通りの塗布量で塗布することが可能であり、塗布時の薬液Wの飛散による装置の汚染や製品の品質低下等の不都合を効果的に防止することができる。本実施形態の温熱具の製造方法は、種々の薬液に適用可能である。
【0058】
ところで、前記実施形態では、接触型の薬液塗布手段31を用いて、帯状の液保持性シート9´の一面に薬液を塗布し、別途、ノズル41を備えた非接触型の塗布手段を用いて、枚葉の積層体前駆体10に電解質水溶液を塗布していたが、これに代えて、薬液塗布手段31を用いて、液保持性シート9´の一面に、薬液と電解質水溶液との混合液を塗布しても良い。その場合、ノズル41を用いた電解質水溶液の吐出は省略することができる。
【0059】
前記混合液の帯状の液保持性シート9´への塗布を採用した場合において、帯状の液保持性シート9´の一面に、薬液塗布手段31を用いて、薬液と電解質水溶液との混合液を塗布した後、帯状の液保持性シート9´と帯状の発熱組成物8´とを、液保持性シート9´の該一面(混合液塗布面)が発熱組成物8´と対向するように重ね合わせて帯状の積層体前駆体10´とすると、液保持性シート9´に塗布された電解質水溶液が発熱組成物8´に移行し、これにより発熱組成物8´に電解質水溶液が塗布される。つまり、液保持性シート9´を介して電解質水溶液が間接的に発熱組成物8´に塗布され、これにより、発熱組成物8´は、電解質水溶液を含有する帯状の発熱体となる。このような、薬液と電解質水溶液との混合液を塗布する形態によっても、両液を別々に塗布する前記実施形態と同様の効果が奏される。
【0060】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、前記実施形態では、1枚の帯状の液発熱組成物8´と1枚の帯状の液保持性シート9´と重ね合わせて帯状の積層体前駆体10´としていたが、これに代えて、複数枚の帯状の発熱組成物8´と1枚の帯状の液保持性シート9´とを重ね合わせて帯状の積層体前駆体10´としても良い。その場合、最終的に得られる温熱具1における発熱体2は、複数枚の発熱組成物8が積層してなる積層構造を有する。
【0061】
また、前記実施形態では、通気面を形成するシート材6は、相対的に発熱体2に近い側(相対的に薬液含有シート3から遠い側)に配置され、非通気面を形成するシート材7は、相対的に発熱体2から遠い側(相対的に薬液含有シート3に近い側)に配置されていたが、両シート材6,7の配置はこれと逆であっても良い。即ち、収容体5の第1の面11が非通気面、第2の面12が通気面であっても良い。更に、シート材7は、シート材6と同様に通気性シートであっても良い。
【符号の説明】
【0062】
1 温熱具
2 発熱体
3 薬液含浸シート
4 積層体
5 収容体
6,7 シート材
8 発熱組成物
9 液保持性シート
10 積層体前駆体
11 温熱具の第1の面
12 温熱具の第2の面
30 温熱具の製造装置
31 塗布手段
33 コーターヘッド
35 一体化手段
38 カッターロール
40 搬送ベルト
41 ノズル
W 薬液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被酸化性金属を含む発熱組成物に電解質水溶液を含有させてなる発熱体と、液保持性シートに親油性の薬剤及び該薬剤の溶解剤を含む薬液を含有させてなる薬液含有シートとの積層体を備えた温熱具の製造方法であって、
帯状の前記液保持性シートの一面に、接触型の塗布手段を用いて、前記薬液を塗布した後、該液保持性シートと帯状の前記発熱組成物とを、該液保持性シートの該一面が該発熱組成物と対向するように重ね合わせて帯状の積層体前駆体を得る工程と、
前記帯状の積層体前駆体を所定長さに切断して枚葉の積層体前駆体とし、該枚葉の積層体前駆体に前記電解質水溶液を塗布して前記積層体を得る工程と、を備えた温熱具の製造方法。
【請求項2】
被酸化性金属を含む発熱組成物に電解質水溶液を含有させてなる発熱体と、液保持性シートに親油性の薬剤及び該薬剤の溶解剤を含む薬液を含有させてなる薬液含有シートとの積層体を備えた温熱具の製造方法であって、
帯状の前記液保持性シートの一面に、接触型の塗布手段を用いて、前記薬液と前記電解質水溶液との混合液を塗布した後、該液保持性シートと帯状の前記発熱組成物とを、該液保持性シートの該一面が該発熱組成物と対向するように重ね合わせて帯状の前記積層体を得る工程を備えた温熱具の製造方法。
【請求項3】
前記発熱組成物は、繊維状物を含む繊維シートである請求項1又は2記載の温熱具の製造方法。
【請求項4】
前記液保持性シートは、通気性シートと非通気性シートとの積層シートで構成されており、該通気性シート側に前記薬液を塗布する請求項1〜3の何れかに記載の温熱具の製造方法。
【請求項5】
被酸化性金属を含む発熱組成物に電解質水溶液を含有させてなる発熱体と、液保持性シートに親油性の薬剤及び該薬剤の溶解剤を含む薬液を含有させてなる薬液含有シートとを備えている温熱具の製造に使用可能な製造装置であって、
前記液保持性シートの一面に接触した状態で塗布液を塗布するコーターヘッドを有する、接触型の塗布手段と、
前記塗布手段によって前記塗布液が塗布された前記液保持性シートと、前記発熱組成物とを、該液保持性シートの前記一面が該発熱組成物と対向するように重ね合わせる重ね合わせ手段と、を備えた温熱具の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−125525(P2011−125525A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287485(P2009−287485)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】