説明

測位システム及び測位方法

【課題】測位目標が放射する電波を複数の移動体で受信しこれらの間で生成される到来時間差、到来周波数差を用いて目標の位置を特定する測位精度のよい測位システムを得る。
【解決手段】位置が未知な電波放射源1が放射する電波を受信して観測する受信手段を搭載した少なくとも2つの移動プラットフォーム3a,3bと、各移動プラットフォームからの観測情報の受信信号、移動ベクトル情報及び位置情報から受信信号の到来時間差及び到来周波数差を求め電波放射源の位置を標定する信号処理手段35と、各移動プラットフォームからの観測情報の移動ベクトル情報に基づき各移動プラットフォームにおける次の観測における最適移動方向及び最適移動速度を計算し各移動プラットフォームへそれぞれの計算結果を送り、各移動プラットフォームへ同期した移動観測を行わせる最適移動ベクトル計算手段36と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、未知である電波放射源の位置を、自らは電波を放射することなくパッシブに測位標定するレーダ装置及び電波監視装置などからなる測位システム及び測位方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、測位目標が放射する電波を複数の受信機で受信して目標の位置等を特定する装置として、位置が未知である目標に取り付けられた信号源から送出された電波を、位置が既知である複数のアンテナで受信し、その受信信号を基に目標の位置、速度の運動諸元を推定するもので、2つのアンテナの組み合わせ毎に得られる受信信号の周波数差により、目標と当該アンテナとのラジアル速度差を計測するラジアル速度差計測手段と、ラジアル速度差計測手段により計測されたラジアル速度差に基づき、目標の位置、速度の運動諸元を推定する速度差による運動諸元推定手段を備えたものがある(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−201084号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の測位システムでは、測位精度の向上が求められている。
【0005】
この発明は、測位目標が放射する電波を複数の飛行機や衛星からなる移動プラットフォームで受信し、これらの間で生成される到来時間差、到来周波数差を用いて目標の位置等を特定する測位システムにおいて、測位精度向上を目指した測位システム及び測位方法を提供することを目的とする。
【0006】
より詳細には、後述するように、電波放射源の位置と受信機(移動プラットフォームに搭載)の配置位置により決定される幾何学的誤差増倍率を改善するための、最適な移動プラットフォームの移動方向の設定処理を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、位置が未知である電波放射源が放射する電波を受信して観測する受信手段、自らの位置を測定する自測位手段、他の無線通信手段と無線通信を行う無線通信手段、移動のための移動手段、信号処理手段、及び最適移動ベクトル計算手段、を含む1つの第1の移動プラットフォームと、前記電波放射源が放射する電波を受信して観測する受信手段、自らの位置を測定する自測位手段、他の無線通信手段と無線通信を行う無線通信手段、及び移動のための移動手段を含む少なくとも1つの第2の移動プラットフォームと、を備え、前記各第2の移動プラットフォームでは、前記無線通信手段が、前記受信手段が受信した受信信号に前記移動手段の移動プラットフォームの移動方向と移動速度を示す移動ベクトル情報及び自測位手段で測定した移動プラットフォームの位置情報を付加して観測情報として前記第1の移動プラットフォームに送信し、前記第1の移動プラットフォームでは、前記信号処理手段が、前記各第2の移動プラットフォームから送られてきた前記観測情報、第1の移動プラットフォームの前記受信手段が受信した受信信号、前記移動手段の移動プラットフォームの移動方向と移動速度を示す移動ベクトル情報及び前記自測位手段の位置情報から、受信信号の到来時間差及び到来周波数差を求め前記電波放射源の位置を標定し、前記最適移動ベクトル計算手段が、前記第1の移動プラットフォーム及び各第2の移動プラットフォームでの前記移動ベクトル情報に基づいて、第1及び各第2の移動プラットフォームの次の観測における最適移動方向及び最適移動速度を計算し、前記無線通信手段が前記各第2の移動プラットフォームへそれぞれの計算結果を送り、各第2の移動プラットフォームが同期した移動観測を行う、ことを特徴とする測位システムにある。
【発明の効果】
【0008】
この発明では、電波放射源の位置と受信機すなわち受信機を搭載した移動プラットフォームの配置位置により決定される幾何学的誤差増倍率を改善するための、最適な受信機の移動方向を求めることで、測位精度向上が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
この発明による測位システム及び測位方法の実施の形態を説明する前に、この発明の技術背景について説明する。
【0010】
GPS(Global Positioning System)の出現以来、全地球的な自己位置標定のアプリケーションが目覚しく発展した。GPSの概念は、位置が既知である電波放射源としてのGPS衛星が放出する軌道情報の送出時刻と、測位対象であるGPS受信機が情報を受信した時刻から到来時刻(TOA:Time of Arrival)を求めることにより、三角測量の原理を用いた数学的演算によりGPS受信機の位置を算出するものであるが、この際、到来時刻を正確に求めるためにGPS衛星とGPS受信機間で時刻を厳密に管理する必要性があり、この点がGPS受信機の構成を複雑にする要因の一つとなっている。
【0011】
一方、GPSの概念と対をなすものとして、電波放射源の位置が未知であり測位対象とするアプリケーションでは、位置が既知の受信機を複数用い、それぞれの受信機により得られた受信信号の到来時刻を観測情報として得ることができれば、同様に三角測量の原理で数学的演算により電波放射源の位置を特定できる。しかしレーダや電波監視装置などのアプリケーションでは、電波放射源が電波を放射した時刻などの情報は未知であるのが一般的であるため、絶対的な到来時刻を情報として得ることは困難である。
【0012】
これに対し、電波放射源が放出する同じ電波を例えば2台の受信機で観測したとすると、それぞれの受信機には電波放射源と受信機の幾何学的配置関係のみに起因した伝搬経路長差が発生するため、双方の受信機で得られた受信信号の時間相関(それぞれの受信信号を観測時間方向にスライディングしながら相関を得る)操作を行うことで、上記の電波経路長差を表す到来時間差(TDOA:Time Difference of Arrival)を検出することが可能である。受信機A、受信機Bの2台で同時に観測された信号によるTDOAは次の式(1)で求められる。ただしここでは説明を簡略化するために、電波放射源とすべての受信機間は見通し伝搬の範囲内にあると仮定する。
【0013】
【数1】

【0014】
式(1)において、(x,y,z)は電波放射源の3次元座標、(x,y,z)、(x,y,z)はそれぞれ受信機A、Bの3次元座標、cは光速を表している。TDOAABを観測し、(x,y,z)、(x,y,z)はGPSにより得られた既知データとすると、式(1)から(x,y,z)を逆算することが可能となる。
【0015】
このように2台の受信機により1通りのTDOAが観測値として得られるため、電波放射源の三次元位置(X座標、Y座標、Z座標)が未知数である場合には、3台の受信機A、B、Cを用い、受信機A−受信機BによるTDOA1、受信機A−受信機CによるTDOA2、さらに受信機B−受信機CによるTDOA3のように各受信機の組み合わせにより未知数と同じか上回る情報量が得られることを条件に、三次元位置を特定可能である。これを式(2)に示す。
【0016】
【数2】

【0017】
ただし上記の条件は受信機がすべて固定の場合であり、受信機が移動観測可能な場合にはさらに電波放射源と受信機の幾何学的配置関係と、受信機の移動方向及び移動速度からなる移動ベクトルのみに起因するドップラ周波数シフトが発生し、2台の受信機間には到来周波数差(FDOA:Frequency Difference of Arrival)が発生する。受信機A、受信機Bの2台で同時に観測された信号によるFDOAは次の式(3)で求められる。
【0018】
【数3】

【0019】
式(3)においてv、vはそれぞれ受信機A、Bの移動速度(スカラー)、θ、θはそれぞれ受信機A、Bから目標を見た角度と移動方向(速度ベクトル)とがなす角度、λは放射信号の波長を表す。
TDOAと同様にA、B、Cの3台の受信機がある場合、それぞれの組み合わせにより式(4)に示す各FDOAを得ることができる。
【0020】
【数4】

【0021】
このように受信機が移動観測可能な場合には、2台の受信機で互いに独立な情報としてTDOA、FDOAを得ることができるため、未知数と同じか上回る情報量を得るために受信機の台数が増えるという欠点を軽減することが可能である。
【0022】
図6は式(2)、式(4)によるTDOA、FDOAを用いて電波放射源の位置を標定する場合の一般的な測位システムの構成図である。図6において、1は測位対象である電波放射源、2a,2bは放射電波、3a,3bは飛行機や衛星からなる移動プラットフォーム、4a,4bは受信信号、である。また各移動プラットフォーム3a,3bにおいて、31a,31bは観測用受信アンテナ、32a,32bは受信機、33a,33bは無線通信装置、34a,34bはリンク用アンテナ、移動プラットフォーム3aの35は信号処理装置、37a,37bは移動プラットフォーム移動手段である。なお図6は簡略化のために、電波放射源や受信機などすべてを2次元平面上で考えたものであり、標定する座標も(x,y)の2次元座標であるため、2台の受信機32a,32bにより標定可能としている。また図6では、信号処理装置35は移動プラットフォーム3a側のみに搭載されている。
【0023】
電波放射源1から放射された放射電波2a,2bを、各移動プラットフォーム3a,3bで観測する。移動プラットフォーム3a,3b上の観測用受信アンテナ31a,31bで放射電波2a,2bを受信し、受信機32a,32bで目標信号を抽出し、抽出した受信信号4a,4bを信号処理装置35へ送る。この際、移動プラットフォーム3a側では受信信号4aをそのまま送り、移動プラットフォーム3b側の受信信号4bは、無線通信装置33b→リンク用アンテナ34b→リンク用アンテナ34a→無線通信装置33aを経由し、移動プラットフォーム3a内の信号処理装置35へ送られる。つまり複数の移動プラットフォーム3a,3bで観測された受信信号4a,4bを1台の信号処理装置35へ集約することを意味する。信号処理装置35では各移動プラットフォーム3a,3bの受信機32a,32bで抽出された受信信号4a,4bを元に、式(2)、式(4)に基づくTDOA、FDOAを求めることで、電波放射源1の座標(x,y)を標定する。
【0024】
ただし、図6に示す標定装置(測位システム)では、それぞれの移動プラットフォーム3a,3bにおける受信信号4a,4bの情報伝送は行っているが、移動ベクトルを決定する移動手段37a,37bは互いに同期や情報伝送など行わず、それぞれ個別の移動ベクトルにより移動を行っている。
【0025】
ここでTDOAのみによる測位システム、及びTDOAとFDOAを併用した測位システムの両方に備わる問題点が存在する。前述のようにTDOA及びFDOAは、電波放射源と受信機の幾何学的配置関係及び受信機の移動方向と移動速度のみにより決定される物理量であるため、その観測精度も幾何学的配置関係のみにより表すことができる。この代表的なものが幾何学的精度劣化係数(GDOP:Geometrical Dilution of Precision)と呼ばれる指標であり、GPSにおいても自己位置標定精度の確からしさを評価する重要な指標として用いられる。一般にGDOPが小さいほど精度劣化が少なく高精度に位置標定できることを表す。
【0026】
さらにGDOPは一般に電波放射源(標定対象:目標)を均一に取り囲むように受信機(移動プラットフォーム)が配置された場合に小さな値をとる。これを直感的に表したのが図7である。これに対し、図8のように電波放射源(標定対象:目標)に対し受信機が特定方向に固まって配置された場合には一般的にGDOPが大きくなり、精度劣化が激しくなる。
【0027】
例えば電波放射源の位置に関しての事前情報が全くない状況においては、図7のように電波放射源の周囲を取り囲むような受信機配置を取り得ることは少なく、多くの場合図8のようにGDOPの悪い状態で観測を行うことが多い。さらに例えば有事等の際の仲間側と相手側の配置関係は図8のように仲間側(一方の側)に受信機が集中する状態が一般的であり、図7のような比較的自由な受信機配置を行うことができない。このような状況では精度劣化が激しく、相手側内に存在する電波放射源の標定精度はあまり高くない。
【0028】
また、TDOAとFDOAを併用した従来の測位システムでは、受信機の移動ベクトルと標定精度に関する一般的な関係を示したものや、標定精度を改善するための移動ベクトルの導出方法を示したものがなく、受信機の移動に関する規範を得ることができなかった。
【0029】
このように、電波放射源の位置に関しての事前情報が全くない状況や、受信機の配置位置に関して厳しい制約が課されているなど、一般的に良好なGDOPが得られない状況では、式(2)、式(4)に示す複数受信機間で観測されるTDOA及びFDOAから電波放射源の座標を標定しても、標定誤差が大きく精度が悪いという課題がある。
【0030】
この発明では、この課題を解決し、電波放射源の位置と受信機の配置位置により決定される幾何学的誤差増倍率を改善するための、最適な受信機の移動方向を求め、受信機を搭載した各移動プラットフォームに指示を行う。
【0031】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る測位システムの構成を示すブロック図である。なお、以降では、各図中、同一符号は同一もしくは相当部分を示す。図1において、1は測位対象である電波放射源、3a,3bは例えば観測用の飛行機や衛星(飛翔体)である移動プラットフォームである。各移動プラットフォーム3a,3bにおいて、31a,31bは観測用受信アンテナ、32a,32bは受信機、33a,33bは無線通信装置、34a,34bはリンク用アンテナ、移動プラットフォーム3aの35は信号処理装置、36は最適移動ベクトル計算装置、37a,37bは飛行機や衛星の推進部及び推進制御部からなる移動プラットフォーム移動手段(移動手段)、38a,38bは自らの移動プラットフォームの位置を測定する(自)測位部である。なお、例えば観測用受信アンテナ31aと受信機32aが受信手段、無線通信装置33aとリンク用アンテナ34aが無線通信手段を構成する。
【0032】
2a,2bは電波放射源1からの放射電波(破線で示す)、5a,5bは移動プラットフォーム3aの最適移動ベクトル計算装置36から移動プラットフォーム3aの移動手段37aへ、また移動プラットフォーム3aの最適移動ベクトル計算装置36から無線通信装置33a、リンク用アンテナ34a、移動プラットフォーム3bのリンク用アンテナ34b、無線通信装置33bを経由して移動装置37bへ送られる最適移動ベクトル情報(一転鎖線で示される移動ベクトル指示の経路)、6a,6bは移動プラットフォーム3aの観測用受信アンテナ31aで受信されて受信機32aから信号処理装置35、最適移動ベクトル計算装置36へ、また移動プラットフォーム3bの観測用受信アンテナ31bで受信されて受信機32bから、無線通信装置33b、リンク用アンテナ34b、移動プラットフォーム3aのリンク用アンテナ34a、無線通信装置33a、信号処理装置35、最適移動ベクトル計算装置36へ送られる観測情報(実線で示す経路)である。
【0033】
図1は図6と同様、説明を簡略化して分かり易くするために、電波放射源1や受信機32a,32bなど、すべてを2次元平面上で考えたものであり、標定する座標も(x,y)の2次元座標であるため、2台の受信機32a,32b(移動プラットフォーム3a,3b)により標定可能としている。また、信号処理装置35、最適移動ベクトル計算装置36は移動プラットフォーム3a側のみに搭載されている。
【0034】
図6のものと比べ図1の測位システムでは、最適移動ベクトル計算装置36、最適移動ベクトル情報5a,5bが追加され、受信信号4a,4bが観測情報6a,6bに置き換わっている。
【0035】
動作について説明する前に、2台の受信機32a,32bによるTDOAとFDOAを併用した測位システムにおいて、上述の式(2)、(4)で導出した値を用いて、電波放射源1と受信機32a,32bの現在位置を拘束し、受信機32a,32bの移動方向を変数として電波放射源1付近の標定誤差を計算した一例を図2、図3に示すことで受信機の移動ベクトルと標定精度の関係について考察する。
【0036】
図2に示す通り、移動プラットフォーム3a,3bに搭載されたそれぞれ受信機32a,32bの移動方向が電波放射源1(評定対象)へ向くような場合は標定誤差が大きく(すなわち標定精度が悪い)、対して図3に示すように、受信機32a,32bの移動方向が電波放射源1(評定対象)を移動方向に対して真横に見るように同心円上(例えば電波放射源1付近を中心とする)を同一方向に移動した場合に標定誤差が小さく(すなわち標定精度が良い)なることが解析により求められる。
【0037】
このように標定誤差が最小になる状態について詳しく解析してみる。受信機が電波放射源1を真横に見て移動する図3の状況では、電波放射源1付近において等到来時間差線(ISO−TDOA線:等しい到来時間差となる地点を結ぶ等高線)と等到来周波数差線(ISO−FDOA線:等しい到来周波数差となる地点を結ぶ等高線)が直交状態に近くなっている。これに対して図2では、電波放射源1付近でISO−TDOA線とISO−FDOA線が並行に近い状態になっている。それぞれ独立の観測値であるTDOAとFDOAに観測誤差が含まれた場合、この誤差領域に囲まれた部分の面積が図3の方が小さくなるのは容易に理解できる。すなわち、測位対象としている電波放射源1付近において、ISO−TDOA線とISO−FDOA線が直交状態に近づくほど、高精度に位置標定できることを表している。
【0038】
上述したように、有事を想定して受信機配置については厳しい制約が課されており、通常の標定ではGDOPが悪い状況と仮定する。この状況下で標定精度を改善する方法は、図3を用いて説明したように、それぞれの受信機は電波放射源を真横に見た同心円上を同一方向に移動することである。この場合、受信機を搭載する移動プラットフォームの移動方向を全プラットフォームで同期して制御することが必要であるため、各移動プラットフォームは通信ネットワークを構築し、逐一情報をやりとりすることでこれを実現している。
【0039】
図1に示すこの実施の形態1では、電波放射源1から放射された放射電波を放射電波2a,2bとしてそれぞれの観測用受信アンテナ31a,31bさらには受信機32a,32bで受信し受信信号を得るが、この時、移動手段からの移動プラットフォーム自らが持つ移動方向と移動速度を表す移動ベクトル情報、(自)測位部からの移動プラットフォームの位置情報をそれぞれ受信信号に付加し観測情報を構成して移動プラットフォーム3aの信号処理装置35へ集約する。
【0040】
信号処理装置35及び最適移動ベクトル計算装置36を設けていない例えば移動プラットフォーム3bであれば、無線通信装置33bが、移動手段37bからの移動プラットフォーム3bの自らが持つ移動方向と移動速度を表す移動ベクトル情報、(自)測位部38bからの移動プラットフォーム3bの位置情報を受信信号に付加し観測情報6bを構成して移動プラットフォーム3aへ送る。また信号処理装置35及び最適移動ベクトル計算装置36を設けた移動プラットフォーム3aの場合は、信号処理装置35及び最適移動ベクトル計算装置36が、受信機32aから受信信号、移動手段37aから移動プラットフォーム3aの移動ベクトル情報、(自)測位部38bから移動プラットフォーム3aの位置情報を観測情報6aとして得る。
【0041】
信号処理装置35では、観測情報6に含まれる受信信号を元に、式(2)、式(4)に基づくTDOA、FDOAから電波放射源1の座標位置を標定するが、この際、最適移動ベクトル計算装置36が同じく観測情報6に含まれる各移動プラットフォーム3a,3bの移動ベクトル情報を元に、電波放射源1の標定座標位置付近における標定精度が最良となるような、各移動プラットフォーム3a,3bの最適移動ベクトル情報5a,5bを計算する。計算された最適移動ベクトル情報5a,5bは、移動プラットフォーム3aの移動手段37aと、移動プラットフォーム3bの移動手段37bへは無線通信装置33a及びリンク用アンテナ34aを介して観測情報6とは逆の経路で情報伝送される。この最適移動ベクトル情報5a,5bを元に、各移動プラットフォーム3a,3bは移動手段37a,37bにより移動を行い、次の放射電波2a,2bに対する観測を行う。このような最適移動ベクトル情報5a,5bの導出と、これを用いた移動観測を繰返し、電波放射源1の位置標定精度を向上させていく。
【0042】
なお、この実施の形態の測位システムは、上述のように、移動プラットフォーム3bと同様な移動プラットフォームを2個以上設け、それぞれの観測情報を信号処理装置35及び最適移動ベクトル計算装置36を設けた移動プラットフォーム3aに集約することで、3次元の測位等においても同様にして電波放射源1の位置標定精度を向上させられる。
【0043】
以上のように構成することで、電波放射源の位置に関しての事前情報が全くない状況や、受信機の初期配置位置に関して厳しい制約が課されているなど、一般的に良好なGDOPが得られない状況において、各受信機により観測されるTDOA、FDOAを用いて電波放射源の位置標定を行う場合でも、標定精度を向上させることが可能になる。
【0044】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係る測位システムの構成を示すブロック図は実施の形態1の図1と同様である。次に動作について説明する。実施の形態1のように最適移動ベクトル情報5a,5bを導出したとしても、受信機の配置エリアや移動エリアは厳しく制約を受ける可能性があるため、必ずしも最適移動ベクトルを選択できるとは限らない。有事想定下では受信機を搭載した移動プラットフォームに許容された移動可能範囲はある程度限られるのが実情である。
【0045】
この状態でも測位対象としている付近において、ISO−TDOAとISO−FDOAが直交状態に近づく状態を維持するには、移動可能範囲内で移動ベクトルを変化させることが有効である。この模式図を図4に示す。図4では例として非友好側の監視レーダ20が配置されており、その捜索範囲に相当するエリアは「進入禁止」エリア(図においてハッチングされた部分)に設定されていると想定する。移動プラットフォーム3a,3bに許容された活動エリアは図のように限定されており、この状況では標定対象としている電波放射源1へほぼ直線で向かう経路しか得られないと仮定する。また各移動プラットフォーム3a,3bは「×」印で示した特定地点への到達を目的としており、必要以上の遠回り経路を選定できないと仮定する。この状況(すなわち図4の一点鎖線の矢印で示す長期的に見た移動方向に移動させた状況)で得られたTDOA、FDOAを用いて電波放射源1の位置標定を行っても、図2で例示したように一般的に標定精度が良くない。
【0046】
これに対し、図4に示したように各移動プラットフォーム3a,3bの移動経路を許容された活動エリア内において、ジグザグ(実線の矢印で示す瞬時の移動ベクトルで示す)に経路を選ぶことで実施の形態1に示したように標定精度が改善される。このジグザグ移動(丸数字は観測ポイント番号を示す)は、図3で例示した、(1)標定精度が最良になる最適移動方向は電波放射源を真横に見た同心円上という最適移動と、(2)特定のエリアへの移動という目的移動の中間解と見なすことができる。
【0047】
なお、図4に示す移動プラットフォーム3a,3bのジグザグ飛行は、説明上わかりやすくするためにデフォルメ表現をしており、実際運用ではジグザグ飛行区間は全飛行行程の一部分、さらに(2)特定エリアへの移動という目的移動に沿う「長期的に見た移動方向」から逸れて、(1)標定精度が最良になる最適移動のために偏心する角度や時間も、図で示したもののより小規模でも効果が現れる場合もある。
【0048】
すなわち最適移動ベクトル計算装置36は、各移動プラットフォーム3a,3bの特定地点まで到達する移動過程において、移動可能範囲(図4においてハッチングしていない部分)を考慮してそれぞれの最適移動方向及び最適移動速度を計算して求める。移動可能範囲に関する情報や各移動プラットフォームが長期的に目指す特定地点(図4において×印で示す)の位置情報は、他の情報処理装置または測位装置(ともに図示省略)からの先行情報に基づき、最適移動ベクトル計算装置36または信号処理装置35が予めメモリ(図示省略)に格納しこれを使用する。または、各移動プラットフォーム3a,3bの特定地点の位置情報は、各移動プラットフォーム3a,3bがそれぞれ観測情報に付加して送り、これを使用するようにしてもよい。
【0049】
また、最適移動ベクトル計算装置36は、各移動プラットフォーム3a,3bの特定地点まで到達するまでの所要時間が所定時間を超えない範囲で、それぞれの最適移動方向及び最適移動速度を計算する。特定地点まで到達する制限時間(所定時間)は、最適移動ベクトル計算装置36又は信号処理装置35が予めメモリ(図示省略)に格納しこれを使用してもよいし、また各移動プラットフォーム3a,3bがそれぞれ観測情報に付加して送り、これを使用するようにしてもよい。また、所要時間は例えば、予め定められた標準的ジグザグ運転をした場合の長期的直線方向における速度(複数種でも可)を予めメモリに格納し、移動プラットフォームの現在位置と特定地点の位置の距離から残り時間を概算で求めても良い。
【0050】
以上のように構成することで、電波放射源の位置に関しての事前情報が全くない状況や、移動プラットフォームの初期配置位置に関して厳しい制約が課されているなど、一般的に良好なGDOPが得られない状況と、さらに移動プラットフォームが移動観測可能な範囲が限定されているような状況においても、電波放射源に対する位置標定精度を向上させることが可能になる。
【0051】
実施の形態3.
図5はこの発明の実施の形態3に係る測位システムの構成を示すブロック図である。この実施の形態では、図1に示す上記実施の形態の測位システムにおける信号処理装置35及び最適移動ベクトル計算装置36を信号処理用移動プラットフォーム又は固定監視局からなる(又はこれらに搭載された)統合処理部7へ移設、集約したものである。移動プラットフォーム3a,3bは、観測用受信アンテナ31a,31b、受信機32a,32b、無線通信装置33a,33b、リンク用アンテナ34a,34b、移動プラットフォーム移動手段37a,37bを備える。統合処理部7は、リンク用アンテナ34c,34d、無線通信装置33c、信号処理装置35及び最適移動ベクトル計算装置36を備える。
【0052】
電波放射源1から放射電波2a,2b(破線で示す)が放射される。観測情報(実線で示す受信信号の経路)6a,6bは、移動プラットフォーム3a,3bの観測用受信アンテナ31a,31bで受信されて受信機32a,32bから無線通信装置33a,33b、リンク用アンテナ34a,34b、統合処理部7のリンク用アンテナ34c,34d、無線通信装置33c経由で信号処理装置35、最適移動ベクトル計算装置36へ伝送される。そして上述のように観測情報6a,6bは、無線通信装置33a,33bで受信信号に移動手段37a,37bからの移動プラットフォーム3a,3bの移動ベクトル情報と(自)測位部38a,38bからの移動プラットフォーム3a,3bの位置情報が付加されて構成される。
【0053】
最適移動ベクトル情報(一転鎖線で示される移動ベクトル指示の経路)5a,5bは、統合処理部7の最適移動ベクトル計算装置36から無線通信装置33c、リンク用アンテナ34c,34dにより移動プラットフォーム3a,3bのリンク用アンテナ34a,34b、無線通信装置33a,33bを経由して移動装置37a,37bへそれぞれ伝送される。
【0054】
図5も図1と同様、説明を簡略化して分かり易くするために、電波放射源1や受信機32a,32bなど、すべてを2次元平面上で考えたものであり、標定する座標も(x,y)の2次元座標であるため、2台の受信機32a,32b(移動プラットフォーム3a,3b)により標定可能としている。
【0055】
次に動作について説明する。信号処理装置35及び最適移動ベクトル計算装置36の動作については実施の形態1、2と同様であるが、これまで移動プラットフォーム3aでは自己の搭載装置であった信号処理装置35及び最適移動ベクトル計算装置36へ送っていた観測情報6aを無線通信装置33a→リンク用アンテナ34a→リンク用アンテナ34c→無線通信装置33cの経路で統合処理部7内の信号処理装置35及び最適移動ベクトル計算装置36へと伝送する。これにより実施の形態1または2と同等の性能を確保しつつ、移動プラットフォーム3aの搭載機器を削減し、小型、軽量、低消費電力化を実現することが可能となる。通常、移動プラットフォーム3a,3bは機動性、長期活動性を確保するために観測機器搭載容量や電源容量が厳しく制約されているため、観測機器が削減されることは運用上大きな効果を持つといえる。この場合、統合処理部7は地上の固定設備、または比較的安全で機動性、長期活動性への制約が緩い移動プラットフォームに具備又は搭載され得る。
【0056】
なお、この実施の形態の測位システムでも、上述のように、移動プラットフォームを3個以上設け、それぞれの観測情報を信号処理装置35及び最適移動ベクトル計算装置36を設けた統合処理部7に集約することで、3次元の測位等においても同様にして電波放射源1の位置標定精度を向上させられる。
【0057】
以上のように構成することで、電波放射源の位置に関しての事前情報が全くない状況や、受信機の初期配置位置に関して厳しい制約が課されているなど、一般的に良好なGDOPが得られない状況と、さらに受信機が活動可能な範囲が限定されているような状況においても、電波放射源に対する位置標定精度を向上させることが可能になり、かつ、移動プラットフォームの機動性能、長期活動性能を向上させることが可能になる。
【0058】
なおこの発明は、上記各実施の形態の可能な組み合わせを含むことは云うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】この発明の実施の形態1、2に係る測位システムの構成を示すブロック図である。
【図2】電波放射源の位置及び移動プラットフォームの初期位置を拘束した条件で電波放射源の測位精度が比較的悪くなる場合の移動プラットフォームの移動ベクトルを表示した一例を示す図である。
【図3】電波放射源の位置及び移動プラットフォームの初期位置を拘束した条件で電波放射源の測位精度が最良になる場合の移動プラットフォームの移動ベクトルを表示した一例を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係る測位システムの運用環境と最適移動ベクトル導出の一例を示した図である。
【図5】この発明の実施の形態3に係る測位システムの構成を示すブロック図である。
【図6】TDOA、FDOAを用いて電波放射源の位置を標定する場合の一般的な測位システムの構成図である。
【図7】幾何学的精度劣化係数(GDOP)の比較的良い状況下における観測の概念図である。
【図8】幾何学的精度劣化係数(GDOP)の比較的悪い状況下における観測の概念図である。
【符号の説明】
【0060】
1 電波放射源、2a,2b 放射電波、3a,3b 移動プラットフォーム、4a,4b 受信信号、5a,5b 最適移動ベクトル情報、6a,6b 観測情報、7 統合処理部(信号処理用移動プラットフォーム又は固定監視局)、20 監視レーダ、31a,31b 観測用受信アンテナ、32a,32b 受信機、33a,33b,33c 無線通信装置、34a,34b,34c,34d リンク用アンテナ、35 信号処理装置、36 最適移動ベクトル計算装置、37a,37b 移動プラットフォーム移動手段、38a,38b,38b (自)測位部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置が未知である電波放射源が放射する電波を受信して観測する受信手段、自らの位置を測定する自測位手段、他の無線通信手段と無線通信を行う無線通信手段、移動のための移動手段、信号処理手段、及び最適移動ベクトル計算手段、を含む1つの第1の移動プラットフォームと、
前記電波放射源が放射する電波を受信して観測する受信手段、自らの位置を測定する自測位手段、他の無線通信手段と無線通信を行う無線通信手段、及び移動のための移動手段
を含む少なくとも1つの第2の移動プラットフォームと、
を備え、
前記各第2の移動プラットフォームでは、前記無線通信手段が、前記受信手段が受信した受信信号に前記移動手段の移動プラットフォームの移動方向と移動速度を示す移動ベクトル情報及び自測位手段で測定した移動プラットフォームの位置情報を付加して観測情報として前記第1の移動プラットフォームに送信し、
前記第1の移動プラットフォームでは、前記信号処理手段が、前記各第2の移動プラットフォームから送られてきた前記観測情報、第1の移動プラットフォームの前記受信手段が受信した受信信号、前記移動手段の移動プラットフォームの移動方向と移動速度を示す移動ベクトル情報及び前記自測位手段の位置情報から、受信信号の到来時間差及び到来周波数差を求め前記電波放射源の位置を標定し、
前記最適移動ベクトル計算手段が、前記第1の移動プラットフォーム及び各第2の移動プラットフォームでの前記移動ベクトル情報に基づいて、第1及び各第2の移動プラットフォームの次の観測における最適移動方向及び最適移動速度を計算し、前記無線通信手段が前記各第2の移動プラットフォームへそれぞれの計算結果を送り、各第2の移動プラットフォームが同期した移動観測を行う、
ことを特徴とする測位システム。
【請求項2】
位置が未知である電波放射源が放射する電波を受信して観測する受信手段、自らの位置を測定する自測位手段、他の無線通信手段と無線通信を行う無線通信手段、及び移動のための移動手段を含む少なくとも2つの移動プラットフォームと、
信号処理手段、最適移動ベクトル計算手段、及び他の無線通信手段と無線通信を行う無線通信手段を含む信号処理用移動プラットフォーム又は固定監視局と、
を備え、
前記各移動プラットフォームでは、前記無線通信手段が、前記受信手段が受信した受信信号に前記移動手段の移動プラットフォームの移動方向と移動速度を示す移動ベクトル情報及び自測位手段で測定した移動プラットフォームの位置情報を付加して観測情報として前記信号処理用移動プラットフォーム又は固定監視局に送信し、
前記信号処理用移動プラットフォーム又は固定監視局では、前記無線通信手段が各移動プラットフォームでの前記観測情報を受け、前記信号処理手段が各移動プラットフォームからの前記観測情報の受信信号、移動ベクトル情報及び位置情報から受信信号の到来時間差及び到来周波数差を求め前記電波放射源の位置を標定し、前記最適移動ベクトル計算手段が、各移動プラットフォームから送られてきた前記観測情報の移動ベクトル情報に基づいて、前記各移動プラットフォームにおける次の観測における最適移動方向及び最適移動速度を計算し、前記無線通信手段が各移動プラットフォームへそれぞれの計算結果を送り、各移動プラットフォームへ同期した移動観測を行わせる、
ことを特徴とする測位システム。
【請求項3】
最適移動ベクトル計算手段が、電波放射源位置付近で等到来時間差線と等到来周波数差線が直交状態に近くなるように前記最適移動方向及び最適移動速度を計算することを特徴とする請求項1又は2に記載の測位システム。
【請求項4】
各移動プラットフォームの移動観測可能な範囲に制約がある状況において、最適移動ベクトル計算手段が、各移動プラットフォームそれぞれの最適移動方向および最適移動速度を計算することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の測位システム。
【請求項5】
位置が未知である電波放射源が放射する電波を受信して観測する受信手段、自らの位置を測定する自測位手段と、他の無線通信手段と無線通信を行う無線通信手段、移動のための移動手段、信号処理手段、及び最適移動ベクトル計算手段と、を含む1つの第1の移動プラットフォームと、
前記電波放射源が放射する電波を受信して観測する受信手段、自らの位置を測定する自測位手段と、他の無線通信手段と無線通信を行う無線通信手段、及び移動のための移動手段を含む少なくとも1つの第2の移動プラットフォームと、
を備えた測位システムにおいて、
前記各第2の移動プラットフォームで、前記無線通信手段が、前記受信手段が受信した受信信号に前記移動手段の移動プラットフォームの移動方向と移動速度を示す移動ベクトル情報及び自測位手段で測定した移動プラットフォームの位置情報を付加して観測情報として前記第1の移動プラットフォームに送信する工程と、
前記第1の移動プラットフォームで、
前記信号処理手段が、前記各第2の移動プラットフォームから送られてきた前記観測情報と、第1の移動プラットフォームでの前記受信手段が受信した受信信号、前記移動手段の移動プラットフォームの移動方向と移動速度を示す移動ベクトル情報及び前記自測位手段の位置情報から、受信信号の到来時間差及び到来周波数差を求め前記電波放射源の位置を標定する工程と、
前記最適移動ベクトル計算手段が、前記第1の移動プラットフォーム及び各第2の移動プラットフォームでの前記移動ベクトル情報に基づいて、第1及び各第2の移動プラットフォームの次の観測における最適移動方向及び最適移動速度を計算し、前記無線通信手段が前記各第2の移動プラットフォームへそれぞれの計算結果を送る工程と、
を備え、各第2の移動プラットフォームへ同期した移動観測を行わせることを特徴とする測位方法。
【請求項6】
位置が未知である電波放射源が放射する電波を受信して観測する受信手段、自らの位置を測定する自測位手段と、他の無線通信手段と無線通信を行う無線通信手段、及び移動のための移動手段を含む少なくとも2つの移動プラットフォームと、
信号処理手段、最適移動ベクトル計算手段、及び他の無線通信手段と無線通信を行う無線通信手段を含む信号処理用移動プラットフォーム又は固定監視局と、
を備えた測位システムにおいて、
前記各移動プラットフォームにおいて、前記無線通信手段が、前記受信手段が受信した受信信号に前記移動手段の移動プラットフォームの移動方向と移動速度を示す移動ベクトル情報及び自測位手段で測定した移動プラットフォームの位置情報を付加して観測情報として前記信号処理用移動プラットフォーム又は固定監視局に送信する工程と、
前記信号処理用移動プラットフォーム又は固定監視局において、
前記無線通信手段が各移動プラットフォームでの前記観測情報を受け、前記信号処理手段が各移動プラットフォームからの前記観測情報の受信信号、移動ベクトル情報及び位置情報から受信信号の到来時間差及び到来周波数差を求め前記電波放射源の位置を標定する工程と、
前記最適移動ベクトル計算手段が、各移動プラットフォームから送られてきた前記観測情報の移動ベクトル情報に基づいて、前記各移動プラットフォームにおける次の観測における最適移動方向及び最適移動速度を計算し、前記無線通信手段が各移動プラットフォームへそれぞれの計算結果を送る工程と、
を備え、各移動プラットフォームへ同期した移動観測を行わせることを特徴とする測位方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−250865(P2009−250865A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−101276(P2008−101276)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】