説明

測位方法及び測位システム

【課題】通信機能を持たない端末での測位時間の短縮を可能とする測位方法及び測位システムを提供する。
【解決手段】測位システムは、測位支援情報4及び測位支援情報4を表示する表示部30を有する第1の装置2と、第1の装置2の表示部30に表示された測位支援情報4を撮影する撮像部、測位衛星からの測位信号を受信する受信部、及び撮像部で撮影された測位支援情報4と受信した測位信号とに基いて測位を行う測位部、を有する第2の装置3と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測位方法及び測位システムに関する。
【背景技術】
【0002】
測位用信号を利用した測位システムとしては、GPS(Global Positioning System)が広く知られており、携帯型電話機やカーナビゲーション装置等に内蔵された位置算出装置に利用されている。GPSでは、複数のGPS衛星の位置や各GPS衛星から位置算出装置までの擬似距離等の情報に基づいて位置算出装置の位置座標と時計誤差とを求める位置算出計算を行う。
【0003】
位置算出装置は、携帯型電話機やカーナビゲーション装置といった電子機器の他にも、種々の電子機器に内蔵されて利用されている。例えば、位置算出装置を搭載したデジタルカメラにおいて、撮影画像のデータと位置情報のデータとを対応付けて記録する技術が考案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−307913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
GPSを利用して位置算出計算を行うためには、GPS衛星の衛星軌道データが必要となる。しかし、衛星軌道データを保持していない状態で測位を開始する、いわゆるコールドスタート、ウォームスタートの状態では、GPS衛星から衛星軌道データを取得するために一定の時間が必要となる。一方で、上述したデジタルカメラを例に挙げると、撮影は短時間で終了する。そのため、撮影時刻に位置算出を完結させることには時間的な問題がある。他の電子機器についても同様に考えると、所与の希望時刻に位置算出を完結させることには時間的な問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]測位支援情報を有する第1の装置が、該測位支援情報を表示することと、測位衛星からの測位信号を受信する第2の装置が、前記第1の装置に表示される前記測位支援情報を撮影し、該撮影された前記測位支援情報と前記受信した測位信号とに基いて測位を行うことと、を含むことを特徴とする測位方法。
【0008】
これによれば、測位支援情報を有する第1の装置が測位支援情報を表示し、撮影機能を有しかつ測位衛星からの測位信号を受信する第2の装置が、表示された測位支援情報を撮影して測位支援情報を取得できるため、測位衛星から衛星軌道データを取得するための時間の少なくとも一部を省略することが可能となり、これによってより短い時間で位置算出を完結させることが可能となる。
【0009】
[適用例2]上記測位方法であって、前記測位支援情報は、時刻情報を含み、前記測位を行うことは、前記第2の装置が前記撮影された前記測位支援情報から前記時刻情報を得ることと、該時刻情報に基づいて測位を行うことと、をさらに含むことを特徴とする測位方法。
【0010】
これによれば、第1の装置が時刻情報を表示し、第2の装置が表示された時刻情報を撮影することにより、正確な時刻が取得でき、第2の装置の位置測位用の時刻として正確な現在時刻を設定することが可能となる。これにより、測位衛星から衛星軌道データを取得するための時間の少なくとも一部を省略すること、正確な時刻を取得することが可能となり、結果としてより短い時間で位置算出を完結させることが可能となる。以上により、屋内などの電波状態の悪い(衛星信号受信が困難)環境において、時刻、衛星軌道データを取得できることにより測位が可能となる。
【0011】
[適用例3]上記測位方法であって、前記測位支援情報は、衛星軌道情報及び初期位置の少なくとも一つを含むことを特徴とする測位方法。
【0012】
これによれば、測位支援情報が、衛星軌道情報及び初期位置の少なくとも一つを含むことにより、エフェメリス、初期位置を得ることにより、測位時間の短縮及び電波状態の悪い環境での測位が可能となる。
【0013】
[適用例4]測位支援情報と、該測位支援情報を表示する表示部と、を有する第1の装置と、前記第1の装置の前記表示部に表示された前記測位支援情報を撮影する撮像部と、測位衛星からの測位信号を受信する受信部と、該撮像部で撮影された前記測位支援情報と前記受信した測位信号とに基いて測位を行う測位部と、を有する第2の装置と、を含むことを特徴とする測位システム。
【0014】
これによれば、第1の装置に表示された測位支援情報を撮影する撮影部と、測位支援情報と測位衛星の信号とにより位置測位を行う測位部とを有する第2の装置を有する測位システムにより、第2の装置が測位支援情報を取得して、測位衛星から衛星軌道情報を取得するための時間の一部又は全てを省略することが可能となり、より短い時間で位置算出を完結させることが可能な測位システムを提供できる。
【0015】
[適用例5]上記測位システムであって、前記第1の装置は、前記表示部に時刻情報を順次表示し、前記第2の装置は、前記表示部に表示された前記時刻情報の変化を認識する認識部と、前記認識部が認識した前記時刻情報の変化に基いて時刻を設定する時計設定部と、を有することを特徴とする測位システム。
【0016】
これによれば、第1の装置の表示部は、時刻の進行と共に変化する時刻情報を順次表示し、第2の装置は、撮影部が測位支援情報を撮影し、認識部が前記時刻情報の変化を認識し、時計設定部が前記認識部が認識した前記時刻情報の変化に基いて時刻を設定する構成により、第2の装置は正確な時刻の取得が可能となり、これによってより短い時間で位置算出を完結させることが可能となる。
【0017】
[適用例6]上記測位システムであって、前記測位支援情報は、衛星軌道情報及び初期位置の少なくとも一つを含むことを特徴とする測位システム。
【0018】
これによれば、測位支援情報が、衛星軌道情報及び初期位置の少なくとも一つを含むことにより、エフェメリス、初期位置を得ることにより、測位時間の短縮及び電波状態の悪い環境での測位が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施形態に係る測位システムの概略を示す構成図。
【図2】第1の実施形態に係る携帯電話の機能構成の一例を示すブロック図。
【図3】第1の実施形態に係るデジタルカメラの機能構成の一例を示すブロック図。
【図4】第1の実施形態に係る携帯電話の処理フロー図。
【図5】第1の実施形態に係る測位支援情報を表示する画面図。
【図6】第1の実施形態に係るデジタルカメラの処理フロー図。
【図7】第2の実施形態に係る携帯電話の処理フロー図。
【図8】第2の実施形態に係るデジタルカメラの処理フロー図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、携帯電話、カーナビゲーション、デジタルカメラで構成される測位システム及び測位方法の実施形態について説明する。ただし、本発明を適用可能な実施形態が以下説明する実施形態に限定されるわけでないことは勿論である。
【0021】
(第1の実施形態)
1.システム構成
図1は、本実施形態に係る測位システムの概略を示す構成図である。本実施形態に係る測位システム1は、第1の装置としての携帯電話2と、第2の装置としてのデジタルカメラ3とを備え、携帯電話2とデジタルカメラ3とが画像を介して、測位支援情報4の転送を行うという構成である。
【0022】
測位支援情報4は、例えばエフェメリス(衛星の位置と速度)、時計バイアスパラメーターを示す値、及び正確な時刻である。エフェメリスの中には、長期間有効な衛星軌道情報も含む。
【0023】
2.機能構成
図2は、本実施形態に係る携帯電話2の機能構成の一例を示すブロック図である。携帯電話2は、処理部10と、GPS受信部70と、操作部20と、表示部30と、通信部40と、時計部(時計設定部)50と、記憶部60と、通話部80とを備えて構成される。
【0024】
携帯電話2は、携帯電話の通信によるアシストデータの取得又は自力でのエフェメリスの取得、測位による位置取得により、衛星軌道情報及び初期位置を含む測位支援情報4を保持又は取得している。そして、そのデータをデジタルカメラ3で画像取得により読み取ることが可能なグラフィックあるいはテキスト形式の表示データに変換する変換部12と、その変換されたデータを表示させる表示部30とを持っている。
【0025】
処理部10は、記憶部60に記憶されているシステムプログラム等の各種プログラムに従って携帯電話2の各部を統括的に制御する制御装置であり、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーを有して構成される。処理部10は、携帯電話2の本質的な機能を実現するために、操作部20を介して入力された指示操作に従って、通話部80、通信部40を使用し、携帯電話機能を行う。
【0026】
また、処理部10は、通信部40を用いて衛星軌道情報の取得を行う。GPS受信部70は不図示のGPSアンテナにより受信されたGPS衛星信号を、位置測位に必要な信号に変換する。測位部14は、GPS受信部70から入力されたデータ及び測位支援情報4により、携帯電話2の位置を計測する。
【0027】
操作部20は、例えばタッチパネルやボタンスイッチ等により構成される入力装置であり、押下されたキーやボタンの信号を処理部10に出力する。この操作部20の操作により、撮影指示操作や撮影画像閲覧指示操作、撮影場所解析指示操作等の各種指示操作がなされる。
【0028】
表示部30は、LCD(Liquid Crystal Display)等により構成され、処理部10から入力される表示信号に基づいた各種表示を行う表示装置である。表示部30には、携帯電話機能として、着信番号、電話帳などが表示される。本実施形態の表示もこの部分で行われる。また、本実施形態による測位支援情報4も表示される。
【0029】
時計部50は、携帯電話機能及びGPS機能で使用するものであり、GPS測位及び携帯電話2の通信により、正確な時刻を取得可能である。
【0030】
記憶部60は、ROM(Read Only Memory)やフラッシュROM、RAM(Random Access Memory)等の記憶装置によって構成され、携帯電話2のシステムプログラムや、撮影機能、撮影画像表示機能、撮影場所解析機能等の各種機能を実現するための各種プログラム、データ等を記憶している。また、各種処理の処理中データ、処理結果などを一時的に記憶するワークエリアを有する。
【0031】
図3は、本実施形態に係るデジタルカメラ3の機能構成の一例を示すブロック図である。デジタルカメラ3は、処理部110と、GPS受信部(受信部)180と、操作部120と、表示部130と、撮影機能部(撮像部)140と、時計部(時計設定部)150と、撮像画像保存部160と、記憶部170とを備えて構成される。
【0032】
処理部110は、記憶部170に記憶されているシステムプログラム等の各種プログラムに従ってデジタルカメラ3の各部を統括的に制御する制御装置であり、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーを有して構成される。処理部110は、デジタルカメラ3の本質的な機能を実現するために、操作部120を介して入力された指示操作に従って、デジタルカメラ3の正面方向の画像を撮影機能部140に撮影させる撮影処理を実行したり、撮影された画像を表示部130に表示させたりする処理を行う。
【0033】
また、処理部110は、デジタルカメラ3に位置算出機能を実現させるために、次のような処理を行う。すなわち、GPS受信部180により取得されたメジャメント情報を取得して位置測位処理を実行し、撮影処理で行った画像に位置情報を付加するために、デジタルカメラ3の位置を算出する処理を行う。また、処理部110は、撮影された画像が測位支援情報4であった場合は、測位部112が解釈できる測位支援情報4のフォーマットに変換する。また、処理部110は撮影機能部140で取り込んでいる画像の変化を認識し、タイミング取得の処理も行う機能を有する場合がある。
【0034】
GPS受信部180は、不図示のGPSアンテナにより受信されたGPS衛星信号に基づいてデジタルカメラ3の位置を計測する位置算出回路或いは位置算出装置であり、いわゆるGPS受信機に相当する機能ブロックである。図示を省略するが、GPS位置算出部は、RF受信回路部と、ベースバンド処理回路部とを備えて構成される。なお、RF受信回路部と、ベースバンド処理回路部とは、それぞれ別のLSI(Large Scale Integration)として製造することも、1チップとして製造することも可能である。
【0035】
GPS受信部180は、受信信号からGPS衛星信号を捕捉してメジャメント情報を取得し、測位支援情報4により、衛星の位置を求め、測位演算をする。
【0036】
操作部120は、例えばタッチパネルやボタンスイッチ等により構成される入力装置であり、押下されたキーやボタンの信号を処理部110に出力する。この操作部120の操作により、撮影指示操作や撮影画像閲覧指示操作、撮影場所解析指示操作等の各種指示操作がなされる。
【0037】
表示部130は、LCD(Liquid Crystal Display)等により構成され、処理部110から入力される表示信号に基づいた各種表示を行う表示装置である。表示部130には、ファインダー画像や撮影画像等が表示される。
【0038】
撮影機能部140は、処理部110からの指示信号に従って、デジタルカメラ3の正面方向(レンズが向けられている方向)の画像を撮像する回路部であり、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサー等の撮像素子を有して構成される。
【0039】
時計部150は、デジタルカメラ3の内部時計である。計時誤差の存在により、時計部150の計時時刻は時間経過に伴って正確な時刻からずれる。そのため、画像取り込みにより、時刻の補正を行ったり、位置算出計算により算出された計時誤差を用いて、時計部150の計時誤差が較正されたりして、正確な時刻を計時するように調整される。認識部116は、連続して取り込まれる画像に変化(画面切り替え)が起こったときに、そのタイミングを認識する。
【0040】
記憶部170は、ROM(Read Only Memory)やフラッシュROM、RAM(Random Access Memory)等の記憶装置によって構成され、デジタルカメラ3のシステムプログラムや、撮影機能、撮影画像表示機能、撮影場所解析機能等の各種機能を実現するための各種プログラム、データ等を記憶している。また、各種処理の処理中データ、処理結果などを一時的に記憶するワークエリアを有する。
【0041】
撮像画像保存部160は、処理部110が撮影処理を実行することで撮影した画像が蓄積的に記憶されるデータベースである。
【0042】
デジタルカメラ3は、ユーザー操作に従って、撮像素子で撮影した画像をデジタルデータとして記録し、撮影画像の表示や印刷等を実行可能に構成された電子機器である。本実施形態において、デジタルカメラ3はGPS機能を有しており、GPS衛星から発信されているGPS衛星信号を受信することによって、位置算出計算を行う。また、デジタルカメラ3は、携帯電話2の表示部30に表示された測位支援情報4を撮影することにより情報を取得し、それを測位部112が使用できるデータに変換する変換部114を保持する。
【0043】
図4は、本実施形態に係る携帯電話2の処理フロー図である。処理の流れは、ステップS10で、携帯電話2を測位支援情報出力モードにする。
【0044】
携帯電話2はステップS12で衛星軌道情報82をサーバーアシストで取得する(ATF(Always tracking function)なら、既に保持している有効な衛星軌道情報を使用する)。そしてステップS14で、取得した衛星軌道情報82と、測位衛星から受信した測位信号とに基づいて測位を行って、初期位置(現在位置)84を取得する。ステップS12で取得した衛星軌道情報82及びステップS14で求めた初期位置(現在位置)84の少なくとも一つを含む測位支援情報4をステップS20で表示用データに変換する。そして、ステップS30でその表示用データを画面に表示する。その画像に衛星軌道情報82であることを示す測位支援情報マーク及び衛星軌道情報82を示すテキスト又は二次元コードを表示すると、撮影側で他の画像と区別が可能となる。
【0045】
図5は、本実施形態に係る測位支援情報を表示する画面図である。
例えば図5に示すように、測位支援情報4を表示する画面上の所定の位置に所定の測位支援情報マークを表示し、表示されている画像が測位支援情報4であることを示す。また、測位支援情報マークの形を変えることにより、表示している測位支援情報4の種別を示すことが可能である。また、情報が複数枚あるときは、この測位支援情報マークの形を変えることによりどのページを表示しているかを示すことにより対応が可能である。
【0046】
図6は、本実施形態に係るデジタルカメラ3の処理フロー図である。まずステップS100で、携帯電話2の表示部30に表示された画面を撮影する。
次にステップS110で、撮影された画像の中に測位支援情報マークがあるかを判断する。撮影した画像が測位支援情報4の画像であると判断した場合(ステップS110:Yes)は、ステップS120でその情報を測位部112で使用できる形式の測位支援情報4に変換し、ステップS130で記憶部170に保存する。撮影した画像が測位支援情報4の画像ではないと判断した場合(ステップS110:No)は、ステップS140で写真画像を撮像画像保存部160に保存する。デジタルカメラ3では、撮影時に位置を求めるためにGPS測位処理を行う。ステップS150で、GPS受信部180が受信したGPS衛星からの測位用信号及び記憶部170に保存した測位支援情報4を用いて、測位を行う。
【0047】
例えば測位支援情報4とは、その時点で観測可能なGPS衛星の位置(衛星軌道情報82)及び大まかな現在位置(初期位置)84である。GPS衛星からの測位用信号の捕捉(サーチ)、それぞれのGPS衛星との距離(擬似距離)の計算(メジャメント)及び擬似距離に基づく現在位置の測位に際して、測位支援情報4を活用する。
【0048】
測位支援情報4に初期位置84が含まれ、デジタルカメラ3による測位が、衛星電波の受信環境が悪いことなどによりできなかった場合は、取得した初期位置84をデジタルカメラ3の撮影の位置88として使用することも可能である。
【0049】
(第2の実施形態)
デジタルカメラ3は、ユーザー操作に従って、撮像素子で撮影した画像をデジタルデータとして記録し、撮影画像の表示や印刷等を実行可能に構成された電子機器である。本実施形態において、デジタルカメラ3はGPS機能を有しており、GPS衛星から発信されているGPS衛星信号を受信することによって、位置算出計算を行う。また、デジタルカメラ3は、携帯電話2の画像に表示された測位支援情報4を撮影することにより情報を取得し、それを変換部114が、測位部112で使用できるデータに変換する。
【0050】
図7は、本実施形態に係る携帯電話2の処理フロー図である。まずステップS10で、携帯電話2を測位支援情報出力モードにする。携帯電話2は、ステップS12で衛星軌道情報82をサーバーアシストで取得する。ATF(Always tracking function)なら、既に保持している有効な衛星軌道情報を使用する。ステップS14で、衛星軌道情報82を用いて測位を行い、現在位置(初期位置)84を算出する。ステップS20で、衛星軌道情報82及び現在位置(初期位置)84の少なくとも一つを含む測位支援情報4を表示用データに変換する。そしてステップS30で、変換された表示用データを表示部30に表示する。その画像に衛星軌道情報82であることを示す測位支援情報マーク及び衛星軌道情報82を示すテキスト又は二次元コードを表示すると、撮影側で他の画像と区別が可能となる。
【0051】
図8は、本実施形態に係るデジタルカメラ3の処理フロー図である。まずステップS100で、携帯電話2の表示部30に表示された画面を撮影する。
次にステップS110で、撮影された画像の中に測位支援情報マークがあるかないかを判断する。撮影した画像の中に測位支援情報マークがあると判断すると(ステップS110:Yes)、ステップS120でその画像を測位部112で使用できる形式の測位支援情報4に変換する。そしてステップS130で記憶部170に保存する。撮影した画像の中に測位支援情報マークがないと判断した場合(ステップS110:No)は、ステップS140で写真画像を撮像画像保存部160に保存する。デジタルカメラ3では、撮影時に位置を求めるためにGPS測位処理を行う。ステップS150で、GPS受信部180が受信したGPS衛星からの測位用信号及び記憶部170に保存した測位支援情報4を用いて、測位を行う。測位支援情報4に初期位置84が含まれており、デジタルカメラ3が、GPS電波の受信環境が悪いという要因により位置測位ができなかった場合は、取得した初期位置84をデジタルカメラ3の撮影位置として使用することも可能である(ステップS140で写真画像を保存する際に位置88を付与して保存する。)。
【0052】
携帯電話2で、測位支援情報(衛星軌道情報)4を表示した後、ステップS40で画像の更新後の時刻表示を行う。(連続的に画面を切り替えて時刻を二次元コードで表示する。)更新後の時刻とは、次に画面を切り替えるタイミングの時刻のことをいう。デジタルカメラ3では携帯電話2の画面を連続して撮像している。ステップS160で、デジタルカメラ3では携帯電話2に連続で表示される二次元コードにより時刻を読み取る。実際の処理として、携帯電話2はステップS40で、次に画面を更新する時刻をセットし、ステップS50で更新時刻を二次元コード又はテキストで表示させる。デジタルカメラ3は、ステップS170で携帯電話2の画面が切り変わったタイミングを捕捉し、そのタイミングに表示部30上に表示された時刻を設定する(ステップS180)。この処理は1回でも良いが、画像の投影という人間が介する処理であるため、この処理を何回か繰り返すことによって、確実に補正するという処理も可能である。
【0053】
GPSで使用する時刻は、測位装置によって要求する精度は異なるが、一般的に正確であるほど良い。例えば、ある測位装置が50m秒の精度を要求していたとする。携帯電話側では、画面処理を行う処理にかかる時間を考慮して、早目に表示を開始する必要がある。表示処理に30m秒かかる機器(携帯電話)であるならば、30m秒早めに表示を開始するようにして、正確な時刻に画面更新が行われるようにする。又は、更新時刻表示の時刻に画面表示にかかる時間を加えて表示させる方法もある。
【0054】
またデジタルカメラ側においても、撮像から時刻を設定するまでにかかる時間を考慮して、時刻の設定を行う必要がある。デジタルカメラ側において、携帯電話が画面表示に要する時間とデジタルカメラ側での時刻設定までに要する時間との合計時間を考慮するという方法が考えられるが、機器のハード及びソフトにより性能に差が生じてしまう。そのため、表示タイミングの基準のポイントをできるだけ正確な時間にすることにより、汎用的で共通な運用が可能となる。
【符号の説明】
【0055】
1…位置測位システム 2…携帯電話(第1端末機器)(第1の装置) 3…デジタルカメラ(第2の装置) 4…測位支援情報 10…処理部 12…変換部 14…測位部 20…操作部 30…表示部 40…通信部 50…時計部(時計設定部) 60…記憶部 70…GPS受信部 80…通話部 82…衛星軌道情報 84…現在位置(初期位置) 88…位置 110…処理部 112…測位部 114…変換部 116…認識部 120…操作部 130…表示部 140…撮影機能部 150…時計部(時計設定部) 160…撮像画像保存部 170…記憶部 180…GPS受信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測位支援情報を有する第1の装置が、該測位支援情報を表示することと、
測位衛星からの測位信号を受信する第2の装置が、前記第1の装置に表示される前記測位支援情報を撮影し、該撮影された前記測位支援情報と前記受信した測位信号とに基いて測位を行うことと、
を含むことを特徴とする測位方法。
【請求項2】
請求項1に記載の測位方法において、
前記測位支援情報は、時刻情報を含み、
前記測位を行うことは、前記第2の装置が前記撮影された前記測位支援情報から前記時刻情報を得ることと、該時刻情報に基づいて測位を行うことと、
をさらに含むことを特徴とする測位方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の測位方法において、
前記測位支援情報は、衛星軌道情報及び初期位置の少なくとも一つを含むことを特徴とする測位方法。
【請求項4】
測位支援情報と、該測位支援情報を表示する表示部と、を有する第1の装置と、
前記第1の装置の前記表示部に表示された前記測位支援情報を撮影する撮像部と、測位衛星からの測位信号を受信する受信部と、該撮像部で撮影された前記測位支援情報と前記受信した測位信号とに基いて測位を行う測位部と、を有する第2の装置と、
を含むことを特徴とする測位システム。
【請求項5】
請求項4に記載の測位システムにおいて、
前記第1の装置は、前記表示部に時刻情報を順次表示し、
前記第2の装置は、
前記表示部に表示された前記時刻情報の変化を認識する認識部と、
前記認識部が認識した前記時刻情報の変化に基いて時刻を設定する時計設定部と、
を有することを特徴とする測位システム。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の測位システムにおいて、
前記測位支援情報は、衛星軌道情報及び初期位置の少なくとも一つを含むことを特徴とする測位システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−247200(P2012−247200A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116638(P2011−116638)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】