説明

測位方法決定装置及び測位方法決定方法

【課題】 移動端末の状況に応じて適切な測位精度及び消費電力となるように測位方法を選択する。
【解決手段】 移動端末10は、移動体通信機能とGPS測位に用いられる信号の受信機能とを有すると共に自端末10の測位方法を決定する測位方法決定装置であって、自端末10が移動体通信機能によって受信した基地局からの電波の基地局送信電力を示す情報を取得する送信電力情報取得部13と、基地局送信電力を示す情報に基づいて測位方法を選択する測位方法選択部16と、選択された測位方法を示す情報を出力する出力部17とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動端末の測位方法を決定する測位方法決定装置及び測位方法決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グローバルポジショニングシステム(GPS)技術やセルラーネットワークを利用した測位(セル測位)技術等の様々な移動端末の測位方法が普及している。GPS技術では、屋外で10m程度の誤差で高精度に測位可能だが、消費電力が大きい。セル測位は、屋内基地局の配下では高精度に測位できるが、セルサイズが大きい屋外では数百メートルの測位誤差となる。セル測位は、消費電力は小さい。以下の特許文献1には、移動端末のハンドオーバ頻度が一定以上であった場合に移動しているとみなして、移動端末と無線通信する基地局の通信エリアを示すセクタ情報を移動端末の測位情報とするセクタ測位を行い、それ以外の場合にはGPS測位を行う技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−43479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような従来の方法では、移動端末が屋内に位置している(滞在している)場合にもGPS測位を行うことになる。その場合、移動端末がGPS衛星からの信号を受信しにくいため、測位が成功しない可能性が高く、また消費電力が大きくなるという問題がある。また、通常、セルサイズの大きさがエリアにより異なるため、小さいセルに合わせた頻度を設定すると大きいセルで正常に動作しないという問題が生じる。
【0005】
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、移動端末の状況に応じて適切な測位精度及び消費電力となるように測位方法を選択することを可能とする測位方法決定装置及び測位方法決定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成する為に、本発明に係る測位方法決定装置は、移動体通信機能とGPS測位に用いられる信号の受信機能とを有する移動端末の測位方法を決定する測位方法決定装置であって、移動端末が移動体通信機能によって受信した基地局からの電波の基地局送信電力を示す情報を取得する送信電力情報取得手段と、送信電力情報取得手段によって取得された基地局送信電力を示す情報に基づいて測位方法を選択する測位方法選択手段と、測位方法選択手段によって選択された測位方法を示す情報を出力する出力手段と、を備える。
【0007】
本発明に係る測位方法決定装置では、移動端末が受信した基地局からの電波の基地局送信電力を示す情報に基づいて測位方法が決定される。従って、基地局送信電力に対応する移動端末の状況に応じて適切な測位精度及び消費電力となるように測位方法を選択することが可能になる。
【0008】
測位方法決定手段は、基地局送信電力が予め設定した閾値を超える場合には移動体通信機能によって受信された信号に基づいたGPS測位を選択し、基地局送信電力が閾値を下回る場合にはセル測位を選択することとしてもよい。この構成によればGPS測位に用いられる信号が受信しやすい状況においてGPS測位を選択し、それ以外の状況においてセル測位が選択される。従って、確実に移動端末の状況に応じて適切な測位精度及び消費電力となるように測位方法を選択することが可能になる。
【0009】
測位方法決定装置は、移動端末が移動体通信機能によって受信した電波の受信電力を示す情報を取得する受信電力情報取得手段を更に備え、測位方法決定手段は、受信電力情報取得手段によって取得された受信電力を示す情報にも基づいて測位方法を選択する、こととしてもよい。この構成によれば、受信電力に対応する移動端末の状況にも応じて適切な測位方法を選択することが可能になる。
【0010】
測位方法決定手段は、基地局における基地局送信電力と受信電力との差に基づいて測位方法を選択することとしてもよい。この構成によれば、パスロス(基地局からの電波の伝播損失)を考慮して適切に移動端末の状況に応じた測位方法を選択することができる。
【0011】
測位方法決定手段は、移動端末の在圏セルの受信電力が予め設定した閾値を超える場合に測位方法を選択することとしてもよい。この構成によれば、移動端末の移動体通信機能による通信のしやすさに応じて測位方法を選択することができる。例えば、移動端末が通信しやすい場合のみに測位方法を選択させることができる。
【0012】
測位方法選択手段は、移動体通信機能によって電波を受信した複数の基地局の中で前記受信電力が予め設定した閾値を超える基地局から、基地局送信電力を用いて、測位方法を選択する際に用いる基地局を選定することとしてもよい。あるいは、測位方法選択手段は、移動体通信機能によって電波を受信した複数の基地局から、基地局送信電力と受信電力の差を用いて、測位方法を選択する際に用いる基地局を選定することとしてもよい。これらの構成によれば、測位方法の選択に用いる基地局送信電力に係る基地局を適切に判断することができ、その結果、更に適切に移動端末の状況に応じた測位方法を選択することができる。
【0013】
測位方法決定装置は、移動端末の移動状態を示す情報を取得する移動状態情報取得手段を更に備え、測位方法決定手段は、移動状態情報取得手段によって取得された移動状態を示す情報にも基づいて測位方法を選択する、こととしてもよい。この構成によれば、移動端末の移動状態にも応じて適切な測位方法を選択することが可能になる。
【0014】
移動状態情報取得手段は、所定の時刻毎の移動状態を示す情報を取得し、測位方法決定手段は、移動状態情報取得手段によって取得された情報によって示される移動状態の遷移にも基づいて測位方法を選択する、こととしてもよい。この構成によれば、移動端末の移動状態の遷移にも応じて適切な測位方法を選択することが可能になる。
【0015】
測位方法決定装置は、出力手段によって出力された情報に係る測位方法によって測位を実行する測位手段を更に備えることとしてもよい。この構成によれば、選択された測位方法に応じた測位結果を確実に取得することができる。
【0016】
測位方法決定装置は、測位手段による測位結果をコンテンツ配信サーバに送信する送信手段と、コンテンツ配信サーバより前記測位結果に応じたコンテンツを受信する受信手段と、を更に備え、移動状態情報取得手段によって取得された前記移動状態を示す情報に応じて、受信手段によるコンテンツ受信の有無を決定する、こととしてもよい。この構成によれば、移動状態に応じて適切にコンテンツを受信することができる。
【0017】
ところで、本発明は、上記のように測位方法決定装置の発明として記述できる他に、以下のように測位方法決定方法の発明としても記述することができる。これはカテゴリ等が異なるだけで、実質的に同一の発明であり、同様の作用及び効果を奏する。
【0018】
即ち、本発明に係る測位方法決定方法は、移動体通信機能とGPS測位に用いられる信号の受信機能とを有する移動端末の測位方法を決定する測位方法決定装置による測位方法決定方法であって、移動端末が移動体通信機能によって受信した基地局からの電波の基地局送信電力を示す情報を取得する送信電力情報取得ステップと、送信電力情報取得ステップにおいて取得された基地局送信電力を示す情報に基づいて測位方法を選択する測位方法選択ステップと、測位方法選択ステップにおいて選択された測位方法を示す情報を出力する出力ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、移動端末が受信した基地局からの電波の基地局送信電力を示す情報に基づいて測位方法が決定されるため、基地局送信電力に対応する移動端末の状況に応じて適切な測位精度及び消費電力となるように測位方法を選択することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る測位方法決定装置である移動端末の機能構成、及び当該移動端末を含む通信システムの構成を示す図である。
【図2】移動端末と在圏セル及び隣接セルとの位置関係を示した図である。
【図3】在圏セルのRSSIと対象基地局の基地局送信電力とに応じて選択される測位方法を示した表である。
【図4】本発明の実施形態に係る移動端末のハードウェア構成を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る移動端末で実行される処理(測位方法決定方法)を示すフローチャートである。
【図6】移動状態を示す情報を取得する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面と共に本発明に係る測位方法決定装置及び測位方法決定方法の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0022】
図1に、本実施形態に係る測位方法決定装置である移動端末10を示す。移動端末10は、自端末10の位置を推定するための方法、即ち、自端末10の測位方法を決定する。移動端末10は、より詳細には後述するように移動体通信機能と、GPS測位に用いられる信号の受信機能とを有している。決定される測位方法は、移動体通信機能によって受信された信号に基づいたセル測位及びGPS測位から選択される。
【0023】
移動端末10は、移動体通信網Nを構成する基地局20との間で電波の送受信を行うことによって移動体通信を行う。移動端末10は、移動体通信網Nを介して、測位サーバ30及びコンテンツ配信サーバ40との間で情報の送受信を行うことができる。移動端末10は、具体的には、携帯電話機等に相当して、ユーザによって携帯される。基地局20は、通信モジュール等のハードウェアを備えて構成されている。
【0024】
測位サーバ30は、セル測位によって移動端末10の位置の推定を行う装置である。コンテンツ配信サーバ40は、移動端末10の位置を示す位置情報を受信して、移動端末10に対して当該位置情報に応じたコンテンツを提供するサーバである。例えば、移動端末10の位置の近くにある店舗に関する情報をコンテンツとして移動端末10に送信する。測位サーバ30及びコンテンツ配信サーバ40は、CPU(Central Processing Unit)及びメモリ等のハードウェアを備えるサーバ装置として構成されている。
【0025】
ここで、セル測位とGPS測位とについて説明する。セル測位は、移動体通信機能によって受信された信号に基づいた測位方法である。具体的には例えば、移動端末10が通信を行っている(在圏している、あるいは電波を受信した)基地局20の位置、あるいはセクタの位置を移動端末10の位置と推定する方法である。なお、基地局20は、通常、固定的に位置決めされて設置されており、移動体通信網Nの通信事業者等によって当該基地局20及びセクタ(の中心)の位置が把握されている。あるいは、移動端末10と基地局20との間で送受信される電波の伝送遅延(例えばRTT:Round Trip Time)や電波の減衰量を示す情報(あるいはそれらの情報を算出するために測定された情報でもよい)等から、移動端末10と基地局20との間の距離を算出して、基地局20の位置情報等を参照して、移動端末10の位置を算出するといった方法でもよい。また、それ以外にもセル測位として、移動体通信機能によって送受信された信号に基づく測位方法であればどのような方法が用いられてもよい。
【0026】
GPS測位は、移動端末10がGPS衛星(図示せず)からの信号を受信して、当該受信した信号に基づいて移動端末10の位置を算出するものである。GPS衛星は、時刻に応じて所定の場所に位置しており、当該位置から測位に用いられる測位用の信号を送信している。具体的には、GPS衛星は、高度約2万kmの6個の周回軌道上に4〜5個ずつ配置されており、時間の経過に伴って周回軌道上を移動する。GPS衛星が送信する測位用の信号には、GPS衛星を区別して特定するための識別情報、GPS衛星の軌道を示す情報、及び信号を送信した時刻を示す情報が含まれている。
【0027】
GPSの測位演算は、具体的には、移動端末10がGPS衛星からの信号を受信した情報に基づいて、その情報からGPS衛星の位置、移動端末10からGPS衛星までの距離等を算出して、移動端末10の位置を算出する。また、この算出には、移動端末10によって移動体通信網Nから取得されたGPS衛星の位置等を示すアシストデータが用いられてもよい。
【0028】
GPS測位は、移動端末10がGPS衛星からの信号を受信する必要があるため、移動端末10がGPS衛星からの信号が遮られる屋内にいる場合は、測位が失敗したり、十分な測位精度が得られなかったり、移動端末10が屋外にいる場合と比べて測位時間が長くかかり多くの電力を消費したりする場合がある。また、GPS測位は、移動端末10が一定の速度以上で移動していると、測位が失敗したり、十分な測位精度が得られなかったり、移動端末10が静止している場合と比べて測位時間が長くかかり多くの電力を消費したりする場合がある。一方で、GPS測位は、セル測位に比べて高精度に移動端末10の位置を推定することができる。
【0029】
GPS測位と比べてセル測位は、移動端末10が基地局20からの電波を受信できれば可能であるので、GPS測位に比べて移動端末10が屋内外のどちらに位置しているかの影響を受けにくい。また、GPS測位と比べてセル測位は、移動端末10の移動の影響を受けにくい。
【0030】
なお、基地局20は、屋内に設けられているものと、屋外に設けられているものとが存在する。また、基地局20は、移動体通信網Nの通信事業者等によって予め設定された送信電力で電波を送信する。送信電力が大きいほど当該基地局20によって構成されるセル(通信エリア)が広いものとなる。通常、屋内に設けられている基地局20は、屋外に設けられている基地局20と比べて、セルを大きくする必要が低いため小さい送信電力に設定されている。
【0031】
引き続いて、本実施形態に係る移動端末10の機能について説明する。図1に示すように、移動端末10は、移動体通信部11と、GPS測位部12と、送信電力情報取得部13と、受信電力情報取得部14と、移動状態情報取得部15と、測位方法選択部16と、出力部17とを備えて構成される。なお、移動端末10は、以下に説明する本実施形態に係る移動端末10の機能以外にも、携帯電話機や情報端末として通常備えている機能を備えていてもよい。
【0032】
移動体通信部11は、移動体通信網Nに含まれる複数の基地局20の何れかとの間で無線通信することにより、移動体通信を行う手段である。移動体通信部11は、移動体通信用のアンテナが設けられており、そのアンテナが用いられて移動体通信が行われる。移動体通信部11は、電話通信等の通常の移動体通信を行うと共に測位方法の選択のために用いられる移動体通信による情報を取得する。具体的にどのような情報を取得するのかについては後述する。移動体通信部11は、取得した情報を情報に応じて送信電力情報取得部13及び受信電力情報取得部14に出力する。
【0033】
また、移動体通信部11は、基地局20(移動体通信網N)を介して測位サーバ30との間で情報の送受信を行う。移動体通信部11は、後述するように出力部17からセル測位を行う旨の指示があった場合、測位サーバ30に対して自端末10のセル測位を行うように要求する。測位サーバ30では、当該要求が受信されると、基地局20から移動端末10との間の電波の送受信の情報を取得して、当該情報に基づいて移動端末10のセル測位を行う。測位結果は測位サーバ30から移動端末10に送信されて、移動体通信部11によって受信される。セル測位の測位結果は、例えば、移動端末10が位置する緯度及び経度の情報である。また、測位結果には測位精度を示す情報が含まれていてもよい。
【0034】
なお、本実施形態では、測位サーバ30においてセル測位の演算を行うこととしているが、自端末10においてセル測位を行うこととしてもよい。その場合、セル測位に必要な情報、例えば、基地局20の位置情報等は、予め移動端末10に記憶させておく。その場合、移動端末10が決定された測位方法によって測位を実行する測位手段(セル測位を行う手段)を備えることとなる。
【0035】
また、移動体通信部11は、自端末10の測位結果(自端末10の位置を示す位置情報)を、コンテンツを取得するためにコンテンツ配信サーバに送信する送信手段を構成することとしてもよい。測位結果の送信に応じてコンテンツ配信サーバからは移動端末10の位置に応じたコンテンツが送信される。また、移動体通信部11は、コンテンツ配信サーバより測位結果に応じたコンテンツを受信する受信手段を構成してもよい。移動体通信部11によって受信されたコンテンツは、移動端末10のユーザに参照される等して適宜利用される。なお、測位結果の送信は、測位精度が高いGPS測位が行われた場合のみに行われる(セル測位の場合は、測位結果の送信は行わない)こととしてもよい。更に、コンテンツの送信(あるいは、移動体通信部11によるコンテンツの受信)は、後述するように移動端末10の移動状態が「移動後停止」となってGPS測位が行われた場合のみに行われることとしてもよい。移動状態が「移動後停止」となった場合、ユーザが目的地に到着した可能性が高く、送信された当該位置に関するコンテンツを利用する可能性が高くなると推測されるためである。即ち、上記のように、移動体通信部11は、移動状態を示す情報に応じてコンテンツ受信の有無を決定することとしてもよい。
【0036】
GPS測位部12は、GPS衛星から送信される、測位に用いられる信号を受信する手段である。GPS測位部12には、GPS衛星からの信号を受信するためのアンテナが設けられており、そのアンテナが用いられて受信が行われる。GPS測位部12は、信号を受信した情報に基づいてGPS測位演算を行って、自端末10の位置を算出する。GPS測位の測位結果は、例えば、移動端末10が位置する緯度及び経度の情報である。また、測位結果には測位精度を示す情報が含まれていてもよい。
【0037】
GPS測位部12は、後述するように出力部17からGPS測位を行う旨の指示があった場合、上記のGPS測位を行う。即ち、GPS測位部12は、決定された測位方法によって測位を実行する測位手段(GPS測位を行う手段)である。GPS測位部12のGPS測位による測位結果は、適宜出力される。例えば、上述したように測位サーバ30から位置情報に応じたコンテンツが取得されるために、移動体通信部11に出力される。
【0038】
なお、本実施形態では、移動端末10においてGPS測位の演算を行うこととしているが、GPS測位の演算を行う手段は必ずしも移動端末10が備えている必要はなく、移動端末10以外の装置、例えば測位サーバ30でGPS測位演算が行われてもよい。その場合、移動端末10において受信されたGPS衛星からの電波の情報を、GPS測位演算を行う装置に送信する。その場合、移動端末10が決定された測位方法によって測位を実行する測位手段(GPS測位を行う手段)を備えないことになる。
【0039】
送信電力情報取得部13は、移動体通信部11によって受信した基地局20からの電波の基地局送信電力を示す情報を取得する送信電力情報取得手段である。具体的には、基地局送信電力は、例えばパイロットチャネルの送信電力である。パイロットチャネルの送信電力を示す情報は、通常、基地局20から一定の時間間隔で常時送信されている報知情報(パイロット信号)に含まれている。なお、基地局送信電力を示す情報としては、パイロットチャネルの送信電力以外の、セルサイズを規定しえる如何なる信号の送信電力が用いられてもよい。
【0040】
報知信号が受信可能な基地局20から、移動体通信部11によって報知信号が受信されて送信電力情報取得部13に入力される。送信電力情報取得部13は、入力された報知信号からパイロットチャネルの送信電力を示す情報を取得する。なお、取得する基地局送信電力を示す情報は、在圏セルのものに加えて、隣接セルのものも取得されてもよい(在圏セルだけ、あるいは隣接セルだけの情報が取得されても良い)。送信電力情報取得部13は、取得した基地局送信電力を示す情報を、対応する基地局20を示す情報(例えば、基地局ID)と共に測位方法選択部16に出力する。
【0041】
受信電力情報取得部14は、移動体通信部11によって受信した電波の受信電力を示す情報を取得する受信電力情報取得手段である。受信電力は、具体的には例えば、報知情報等の制御信号の電波に対して移動体通信部11によって測定される。受信電力情報取得部14は、移動体通信部11によって測定された受信電力を示す情報を入力して取得する。受信電力としては、例えば、RSSIが測定される。
【0042】
なお、受信電力を示す情報としては、報知情報の受信電力以外の信号の受信電力が用いられてもよい。また、取得する受信電力を示す情報は、在圏セルのものに加えて、隣接セルのものも取得されてもよい(在圏セルだけ、あるいは隣接セルだけの情報が取得されても良い)。受信電力情報取得部14は、取得した受信電力を示す情報を、対応する基地局20を示す情報(例えば、基地局ID)と共に測位方法選択部16に出力する。なお、後述するように測位方法の選択に受信電力を示す情報を利用しない場合には、移動端末10が必ずしも受信電力情報取得部14を備えている必要はない。
【0043】
移動状態情報取得部15は、移動端末10の移動状態を示す情報を取得する移動状態情報取得手段である。また、所定の時刻毎の移動状態を示す情報を取得することとしてもよい。移動端末10の移動状態は、例えば、「静止」「移動」「移動後停止」の3つの状態の何れかである。「静止」は、移動端末10が一定の速度以上(具体的には例えば、GPS測位に支障が生じる速度以上)で移動していない状態である。「移動」は、移動端末10が一定の速度以上で移動している状態である。「移動後静止」は、一定の速度以上で移動している状態の直後に、一定の速度以上で移動していない状態となった状態(一定の速度以上で移動していない状態の直前の移動状態が一定の速度以上で移動している状態である場合)である。
【0044】
移動端末10の移動状態は、例えば、セル測位結果及びGPS測位結果の情報を用いて判定される。この判定は、後述するように図6のフローチャートに示される。セル測位結果及びGPS測位結果を用いて、移動端末10の移動状態を判定する場合、一定の時間間隔で継続的にセル測位及びGPS測位の何れか(選択された測位方法)が行われる。一定の時間間隔は予め設定されており、例えば、数分間隔である。移動状態情報取得部15は、過去の測位結果の情報を移動体通信部11及びGPS測位部12から取得して記憶しておく。
【0045】
GPS測位やセル測位では、電波状況によってユーザが同じ位置にいても緯度及び経度が変化するといった誤差を生じる。この誤差によって、ユーザが実際には静止しているにもかかわらず、移動していると誤った判定をすることを避ける必要がある。移動状態情報取得部15は、最新の測位結果によって示される緯度及び経度それぞれと、一つ前の測位結果によって示される緯度及び経度それぞれとの差を算出して、それぞれの差の少なくとも一方がx度よりも大きければ「移動」と判定する。ここで、xは予め設定した値である。なお、最新の測位結果と一つ前の測位結果との差異としては、上記のように緯度及び経度毎の差異を用いるのではなく、それらの間の距離の差異が用いられてもよい。
【0046】
移動状態情報取得部15は、最新の測位結果によって示される緯度及び経度それぞれと、一つ前の測位結果によって示される緯度及び経度それぞれとの差が何れもx度以下であり、その前の時点の移動状態の判定結果が「移動」であれば、「移動後停止」と判定する。なお、移動状態情報取得部15は、過去の判定結果を記憶しておく。移動状態情報取得部15は、最新の測位結果によって示される緯度及び経度それぞれと、一つ前の測位結果によって示される緯度及び経度それぞれとの差が何れもx度以下であり、その前の時点の判定結果が「移動」であれば更に以下の判定を行う。その場合、移動状態情報取得部15は、最新の測位結果によって示される緯度及び経度それぞれと、それ以前に「移動後静止」と判定された時点で取得された緯度及び経度(後述するようにGPS測位によって取得された緯度及び経度)それぞれとの差を算出して、それぞれの差の少なくとも一方がx度よりも大きければ「移動」と判定する。それらの差が何れもx度以下である場合には「静止」と判定する。
【0047】
これによって、ゆっくり歩き続けている場合に「移動」していると正しく判定することが可能になる。なお、初期状態は「移動」とする。移動状態情報取得部15は、取得した移動端末10の移動状態を示す情報を測位方法選択部16に出力する。
【0048】
また、移動状態情報取得部15は、測位結果を用いる以外の方法で移動端末10の移動状態を示す情報を取得することとしてもよい。例えば、加速度センサを利用して移動状態の判定を行うこととしてもよい。なお、後述するように測位方法の選択に移動状態を示す情報を利用しない場合には、移動端末10が必ずしも受信電力情報取得部14を備えている必要はない。
【0049】
測位方法選択部16は、送信電力情報取得部13によって取得された基地局送信電力を示す情報に基づいて測位方法を選択する測位方法選択手段である。例えば、測位方法選択部16は、基地局送信電力が予め設定した閾値を超える場合にはGPS測位を選択し、基地局送信電力が当該閾値を下回る場合にはセル測位を選択する。測位方法選択部16は、基地局送信電力が当該閾値と一致する場合にはセル測位を選択する。即ち、測位方法選択部16は、基地局送信電力が当該閾値以下の場合にはセル測位を選択する。ここでの閾値は、基地局送信電力が屋内用の基地局20か否かを判断するのに適切な値を設定することとするのがよい。基地局送信電力が小さい場合、当該セルは屋内セルである可能性が高く、セルが小さいためセル測位でも高精度な測位結果(位置情報)が得られる。また、屋内ではGPS信号を受信できずにGPS測位が失敗する可能性が高い。このため、基地局送信電力が閾値以下であればセル測位を選択して、基地局送信電力が閾値を超えていればGPS測位を選択する。
【0050】
また、測位方法選択部16は、在圏セル、隣接セルを含む複数の基地局送信電力の情報の中から、以下のように測位方法を選択する上で利用する対象基地局を選定してもよい。
【0051】
具体的には、測位方法選択部16は、各基地局20の受信電力と予め設定した閾値とを比較して、移動体通信部11によって電波を受信した複数の基地局20の中で受信電力が予め設定した閾値を超える(あるいは、閾値以上の)基地局20から、これらの(受信電力が予め設定した閾値を超える)基地局20についての基地局送信電力を用いて、対象基地局として選定することとしてもよい。ここでの閾値は、例えば、移動端末10が移動体通信を行える(移動体通信に支障がない)程度の受信電力の値を設定することとするのがよい。また、受信電力が閾値を超える基地局20のうち、最も基地局送信電力が低い基地局20を測位方法の選択に用いる対象基地局としてもよい。なぜならば、隣接セルの基地局送信電力が小さく、そのセル内に移動端末10がある場合には、移動端末10が屋内にいる可能性が高くセル測位を選択することが望ましいからである。但し、受信電力(RSSI)が閾値以下の場合には、屋内から離れている可能性があるので、その隣接セルは対象としない。
【0052】
あるいは、測位方法選択部16は、各基地局20における基地局送信電力と受信電力との差を算出して、当該差に基づいて移動体通信部11によって電波を受信した複数の基地局20から対象基地局を選択することとしてもよい。例えば、在圏セル及び隣接セルの中で、上記の差で表されるパスロス(基地局からの電波の伝播損失)が低いセルを対象基地局とすることとしてもよい。在圏セルは、品質が一定以下になるまで変更されない。つまり、隣接セルのパスロスの方が在圏セルのパスロスより小さい場合にも、在圏セルが変わらない場合がある。例えば、大セルと小セルとのセル境界に移動端末10が位置していた場合には、大セルの方がパスロスが高くて距離が遠いにもかかわらず、大セルに在圏していることがある。しかし、小セルの方が移動端末10と基地局20とが近い(可能性が高い)ので、小セルの基地局送信電力で屋内外判定を行った方がよい。
【0053】
例えば、図2に示すように移動端末10が、広いセル51に在圏していて、隣接セルでもある狭いセル61内に位置していた場合(即ち、セル51,61両方の基地局送信電力及び受信電力を示す情報が取得可能である)、セル51に在圏しているが基地局送信電力が小さいセル61の基地局20を、測位方法を選択する上で利用する対象基地局とする。
【0054】
また、上述した例では、対象基地局を選択した後は、基地局送信電力を示す情報のみに基づいて測位方法を決定していたが、測位方法選択部16は、受信電力情報取得部14によって取得された受信電力を示す情報にも基づいて測位方法を選択する、こととしてもよい。例えば、基地局送信電力と受信電力との差と、予め設定した閾値とを比較して、測位方法を選択することとしてもよい。基地局送信電力と受信電力との差が小さいときには、移動端末10は基地局20の近くに位置している可能性が高い。このため、上記の差が閾値以下であればセル測位を選択して、閾値を超えていればGPS測位を選択することとしてもよい。基地局送信電力と受信電力との差が大きい場合には、セル測位の消費電力が大きく、精度が低いためである。
【0055】
また、測位方法選択部16は、移動端末10の在圏セルの受信電力が予め設定した閾値を超える場合に測位方法を選択することとしてもよい。移動端末10の測位結果が移動体通信で送受信される場合、あるいは測位の処理についての情報が移動体通信で送受信される場合、在圏セルの受信電力が十分でなければ適切に送受信が行えなかったり、送受信の時間が大きくなったり、送受信にかかる移動端末10の消費電力が大きくなったりする。従って、在圏セルの受信電力が予め設定した閾値を超える場合のみにセル測位及びGPS測位の何れかの選択を行って、在圏セルの受信電力が閾値以下である場合には測位自体を行わないこととしてもよい。ここでの閾値は、例えば、移動端末10が移動体通信を行える(移動体通信に支障がない)程度の受信電力の値を設定することとするのがよい。
【0056】
例えば、図3の表に示すように在圏セルのRSSIが閾値以下である場合には、移動体通信ができずに位置情報を取得する必要性が低いので、測位しないこととする。在圏セルのRSSIが閾値以上であり、対象基地局の基地局送信電力が閾値以下である場合には、セル測位可能である屋内の小セルの可能性が高いのでセル測位を行う。対象基地局の基地局送信電力が閾値を超える場合には、屋外の大セルの可能性が高いのでGPS測位を行う。なお、本実施形態では、GPS測位は移動端末10において行うこととしているので、在圏セルのRSSIが閾値を以下の場合であってもGPS測位を行うこととしてもよい。なお、ここでの閾値は、セル測位の消費電力の許容量から設定してもよい。
【0057】
更に、測位方法選択部16は、移動状態情報取得部15によって取得された移動状態を示す情報(移動状態の遷移を示す情報も含む)にも基づいて測位方法を選択することとしてもよい。より具体的には、測位方法選択部16は、基地局送信電力が閾値を超える場合あるいは、測位方法選択部16は、基地局送信電力と受信電力との差が閾値を超える場合(上述した例ではGPS測位が行われる場合)に、更に移動状態を示す情報を用いて測位方法を選択することとしてもよい。例えば、移動端末10の移動状態が、「移動後静止」である場合にはGPS測位を選択する。移動端末10の移動状態が「移動後静止」以外の「移動」又は「静止」である場合にはセル測位を選択する。本実施形態では、上述したように、「移動後停止」となった場合にコンテンツ配信サーバ40からコンテンツが送信されることを想定しているため、精度が要求されるコンテンツ受信時のみGPS測位を行うようにすることで、消費電力を削減することができる。
【0058】
測位方法選択部16は、上述のように選択した測位方法を示す情報を出力部17に出力する。
【0059】
出力部17は、測位方法選択部16によって選択された測位方法を示す情報を出力する出力手段である。この出力は、例えば、選択された測位方法によって測位が実行されるように測位手段に対して測位の指示を行うことによって行われる。例えば、選択された測位方法がGPS測位であった場合、GPS測位部12に対してGPS測位を行う旨の指示を行う。一方で、選択された測位方法がセル測位であった場合、移動体通信部11に対してセル測位を行う旨の指示を行う。測位方法選択部16からの入力が測位を行なわないというものであった場合は、出力部17は何の処理も行わない。
【0060】
なお、出力部17は、測位方法選択部16によってGPS測位が選択された場合に(その旨の情報が測位方法選択部16から入力された場合には)、GPS測位の測位結果をコンテンツ配信サーバ40に送信するようにGPS測位部12及び移動体通信部11に指示することとしてもよい。
【0061】
また、出力部17による出力は、上記以外の方法によって行われてもよい。例えば、表示出力等を行ったり、選択された測位方法を示す情報を他の装置に送信したりすることとしてもよい。移動端末10の機能構成である。
【0062】
引き続いて、図4に本実施形態に係る移動端末10のハードウェア構成を示す。図4に示すように、移動端末10は、CPU101、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read OnlyMemory)103、操作部104、ディスプレイ105、移動体通信モジュール106、移動体通信用アンテナ107、GPS受信モジュール108及びGPS受信用アンテナ109等のハードウェアにより構成されている。これらの構成要素が動作することにより、上述した機能が発揮される。以上が、移動端末10の構成である。
【0063】
引き続いて、図5のフローチャートを用いて、本実施形態に係る移動端末10で実行される処理である測位方法決定方法を説明する。本処理は、例えば、予め設定された一定の時間間隔(例えば、数分間隔)で継続的に行われる。
【0064】
まず、移動端末10では、送信電力情報取得部13によって、移動体通信部11によって受信した基地局20からの電波の基地局送信電力示す情報が取得される(S01、送信電力情報取得ステップ)。取得された基地局送信電力示す情報は、送信電力情報取得部13から測位方法選択部16に出力される。
【0065】
続いて、受信電力情報取得部14によって、移動体通信部11によって受信した基地局20からの電波の受信電力を示す情報が取得される(S02、受信電力情報取得ステップ)。取得された受信電力示す情報は、受信電力情報取得部14から測位方法選択部16に出力される。
【0066】
続いて、移動状態情報取得部15によって、移動端末10の移動状態を示す情報が取得される(S03、移動状態情報取得ステップ)。移動状態情報取得部15の移動状態の判定を、図6のフローチャートを用いて説明する。
【0067】
本処理では、セル測位及びGPS測位による過去の測位結果が参照される。まず、最新の測位結果によって示される緯度及び経度それぞれと、一つ前の測位結果によって示される緯度及び経度それぞれとの差が算出される。それぞれの差の少なくとも一方がx度よりも大きいか否かが判断される(S31)。それぞれの差の少なくとも一方がx度よりも大きいと判断された場合(S31のYes)、移動端末10の移動状態は「移動」と判定される(S32)。
【0068】
S31において、それぞれの差が何れもx度以下と判断された場合(S31のNo)、続いて、その前の時点の移動状態の判定結果が「移動」であるか否かが判断される。その前の時点の移動状態の判定結果が「移動」であると判断された場合(S33のYes)、移動端末10の移動状態は「移動後静止」と判定される(S34)。
【0069】
S33において、その前の時点の移動状態の判定結果が「移動」以外であると判断された場合(S33のNo)、続いて、最新の測位結果によって示される緯度及び経度それぞれと、それ以前に「移動後静止」と判定された時点で取得された緯度及び経度それぞれとの差が算出される。それぞれの差の少なくとも一方がx度よりも大きいか否かが判断される(S35)。それぞれの差の少なくとも一方がx度よりも大きいと判断された場合(S35のYes)、移動端末10の移動状態は「移動」と判定される(S36)。S35において、それぞれの差が何れもx度以下と判断された場合(S35のNo)、移動端末10の移動状態は「静止」と判定される(S37)。以上が、移動状態情報取得部15の移動状態の判定の処理である。
【0070】
図5に戻り、続いて、測位方法選択部16によって、電力情報取得部13、受信電力情報取得部14及び移動状態情報取得部15から入力された情報に基づいて、移動端末10の測位方法が選択される(S04、測位方法選択ステップ)。なお、上述したように、受信電力情報取得部14及び移動状態情報取得部15によって取得された情報については用いないで測位方法を選択する態様がある。その場合、測位方法の選択に用いない情報は取得する必要がない。選択された測位方法を示す情報は、測位方法選択部16から出力部17に出力される。
【0071】
続いて、選択された測位方法を示す情報が出力部17によって出力される(S05、出力ステップ)。具体的には例えば、選択された測位方法が実行されるように指示が行われる。選択された測位方法がGPS測位であった場合、GPS測位部12に対してGPS測位を行う旨の指示が行われる。一方で、選択された測位方法がセル測位であった場合、移動体通信部11に対してセル測位を行う旨の指示が行われる。測位方法選択部16からの入力が測位を行なわないというものであった場合は、何の処理も行われない。
【0072】
続いて、選択された測位方法に応じた測位が行われる(S06、測位ステップ)。具体的には、移動体通信部11又はGPS測位部12によって測位に係る処理が行われる。
【0073】
測位が実行されて測位結果が得られたら、測位結果が出力される(S07)。具体的には例えば、上述したようにGPS測位が行われた場合に、測位結果が移動端末10からコンテンツ配信サーバ40に送信されてもよい。また、それ以外の出力、例えば、表示出力等が行われてもよい。以上が、本実施形態に係る移動端末10で実行される処理である測位方法決定方法である。
【0074】
上述したように本実施形態では、移動端末10が受信した基地局20からの電波の基地局送信電力を示す情報に基づいて測位方法が決定される。上述したように基地局送信電力が小さい基地局20は屋内に設置された基地局である可能性が高いためGPS測位が失敗する可能性が高く、その一方、セルが小さいためセル測位でも高精度に位置情報を得ることができる。即ち、基地局送信電力は移動端末10の情報を示す情報である。従って、本実施形態によれば、基地局送信電力に対応する移動端末の状況に応じて適切な測位精度及び消費電力となるように測位方法を選択することができる。
【0075】
また、本実施形態のように基地局送信電力と閾値とを比較して、当該比較に基づいてGPS測位あるいはセル測位を選択することとできる。この構成によればGPS測位に用いられる信号が受信しやすい状況においてGPS測位を選択し、それ以外の状況においてセル測位が選択される。確実に移動端末10の状況に応じて適切な測位精度及び消費電力となるように測位方法を選択することが可能になる。
【0076】
また、本実施形態のように受信電力を考慮して、測位方法を選択することとしてもよい。この構成によれば、受信電力に対応する移動端末の状況にも応じて適切な測位方法を選択することが可能になる。
【0077】
具体的には、基地局送信電力と受信電力との差に基づいて測位方法を選択することとしてもよい。この構成によれば、パスロス(基地局20からの電波の伝播損失)を考慮して適切に移動端末10の状況に応じた測位方法を選択することができる。
【0078】
また、在圏セルの受信電力が閾値を超える場合に測位方法を選択することとしてもよい。この構成によれば、移動端末10の移動体通信機能による通信のしやすさに応じて測位方法を選択することができる。例えば、移動端末10が通信しやすい場合のみに測位方法を選択させることができる。
【0079】
また、移動体通信部11によって電波を受信した複数の基地局20の中で受信電力が予め設定した閾値を超える基地局20から、基地局送信電力を用いて、測位方法を選択する際に用いる対象基地局を選定することとしてもよい。あるいは、移動体通信部11によって電波を受信した複数の基地局20から、基地局送信電力と受信電力の差を用いて、測位方法を選択する際に用いる対象基地局を選定することとしてもよい。これらの構成によれば、測位方法の選択に用いる基地局送信電力に係る基地局20を適切に判断することができ、その結果、更に適切に移動端末10の状況に応じた測位方法を選択することができる。
【0080】
また、移動端末10の移動状態やその遷移を考慮して測位方法を選択してもよい。この構成によれば、移動端末10の移動状態にも応じて適切な測位方法を選択することが可能になる。具体的には、移動端末10が移動状態にある場合には、GPS測位を避けてセル測位を選択することができる。あるいは、移動端末10が、移動をした後、静止している状態、即ち、より正確な位置情報を得ることが望ましい状態でGPS測位を選択することができる。
【0081】
また、選択した測位方法による測位を行う手段を備えていることとしてもよい。この構成によれば、選択された測位方法に応じた測位結果を確実に取得することができる。
【0082】
また、移動端末10の移動状態が「移動後静止」と判断されてGPS測位が行われた場合のように、移動端末10の移動状態に応じて測位結果をコンテンツ配信サーバ40に送信することとしてもよい。この構成によれば、移動状態に応じて適切に測位結果をコンテンツ配信サーバ40に送信することができる。また、移動端末10の移動状態に応じてコンテンツ受信の有無を決定することとしてもよい。この構成によれば、移動状態に応じて適切にコンテンツを受信することができる。
【0083】
なお、本実施形態においては、測位方法決定装置が測位の対象である移動端末10自身であることとしたが、移動端末10以外の装置が測位方法決定装置であってもよい。例えば、測位サーバ30が、測位方法決定装置であってもよい。その場合、測位方法の決定に必要な情報が移動端末10から測位方法決定装置に送信されて、送信された情報に基づいて測位方法が決定(選択)される。
【0084】
以上、本発明は特定の実施例を参照しながら説明されてきたが、それらは単なる例示に過ぎず、当業者は様々な変形例、修正例、代替例、置換例等を理解するであろう。例えば、本発明は、適切な如何なるセルラ移動通信システムに適用されてもよい。また、セル測位は、セルラ移動通信システムに適用される如何なる測位方法に置き換えてもよい。実施例又は項目の区分けは本発明に本質的ではなく、2以上の項目に記載された事項が必要に応じて組み合わせて使用されてよいし、ある項目に記載された事項が、別の項目に記載された事項に(矛盾しない限り)適用されてよい。説明の便宜上、本発明の実施例に係る装置は機能的なブロック図を用いて説明されたが、そのような装置はハードウェアで、ソフトウェアで又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。ソフトウェアは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ(ROM)、EPROM、EEPROM、レジスタ、ハードディスク(HDD)、リムーバブルディスク、CD−ROM、データベース、サーバその他の適切な如何なる記憶媒体に用意されてもよい。本発明は上記実施例に限定されず、本発明の精神から逸脱することなく、様々な変形例、修正例、代替例、置換例等が本発明に包含される。
【符号の説明】
【0085】
10…移動端末、11…移動体通信部、12…GPS測位部、13…送信電力情報取得部、14…受信電力情報取得部、15…移動状態情報取得部、16…測位方法選択部、17…出力部、101…CPU、102…RAM、103…ROM、104…操作部、105…ディスプレイ、106…移動体通信モジュール、107…移動体通信用アンテナ、108…GPS受信モジュール、109…受信用アンテナ、20…基地局、30…測位サーバ、40…コンテンツ配信サーバ。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体通信機能とGPS測位に用いられる信号の受信機能とを有する移動端末の測位方法を決定する測位方法決定装置であって、
前記移動端末が前記移動体通信機能によって受信した基地局からの電波の基地局送信電力を示す情報を取得する送信電力情報取得手段と、
前記送信電力情報取得手段によって取得された前記基地局送信電力を示す情報に基づいて測位方法を選択する測位方法選択手段と、
前記測位方法選択手段によって選択された測位方法を示す情報を出力する出力手段と、
を備える測位方法決定装置。
【請求項2】
前記測位方法選択手段は、前記基地局送信電力が予め設定した閾値を超える場合には前記移動体通信機能によって受信された信号に基づいたGPS測位を選択し、前記基地局送信電力が前記閾値を下回る場合にはセル測位を選択する請求項1に記載の測位方法決定装置。
【請求項3】
前記移動端末が前記移動体通信機能によって受信した前記電波の受信電力を示す情報を取得する受信電力情報取得手段を更に備え、
前記測位方法選択手段は、前記受信電力情報取得手段によって取得された前記受信電力を示す情報にも基づいて測位方法を選択する、請求項1又は2の何れか一項に記載の測位方法決定装置。
【請求項4】
前記測位方法選択手段は、前記基地局における前記基地局送信電力と前記受信電力との差に基づいて測位方法を選択する請求項3に記載の測位方法決定装置。
【請求項5】
前記測位方法選択手段は、前記移動端末の在圏セルの前記受信電力が予め設定した閾値を超える場合に測位方法を選択する請求項3又は4に記載の測位方法決定装置。
【請求項6】
前記測位方法選択手段は、前記移動体通信機能によって電波を受信した複数の基地局の中で前記受信電力が予め設定した閾値を超える基地局から、前記基地局送信電力を用いて、測位方法を選択する際に用いる基地局を選定する請求項3〜5の何れか一項に記載の測位方法決定装置。
【請求項7】
前記測位方法選択手段は、前記移動体通信機能によって電波を受信した複数の基地局から、前記基地局送信電力と前記受信電力の差を用いて、測位方法を選択する際に用いる基地局を選定する請求項3〜6の何れか一項に記載の測位方法決定装置。
【請求項8】
前記移動端末の移動状態を示す情報を取得する移動状態情報取得手段を更に備え、
前記測位方法選択手段は、前記移動状態情報取得手段によって取得された前記移動状態を示す情報にも基づいて測位方法を選択する、請求項1〜7の何れか一項に記載の測位方法決定装置。
【請求項9】
前記移動状態情報取得手段は、所定の時刻毎の前記移動状態を示す情報を取得し、
前記測位方法選択手段は、前記移動状態情報取得手段によって取得された情報によって示される前記移動状態の遷移にも基づいて測位方法を選択する、請求項8に記載の測位方法決定装置。
【請求項10】
前記出力手段によって出力された情報に係る測位方法によって測位を実行する測位手段を更に備える請求項1〜9の何れか一項に記載の測位方法決定装置。
【請求項11】
前記出力手段によって出力された情報に係る測位方法によって測位を実行する測位手段と、
前記測位手段による測位結果をコンテンツ配信サーバに送信する送信手段と、
前記コンテンツ配信サーバより前記測位結果に応じたコンテンツを受信する受信手段と、を更に備え、
前記移動状態情報取得手段によって取得された前記移動状態を示す情報に応じて、前記受信手段によるコンテンツ受信の有無を決定する、請求項8又は9に記載の測位方法決定装置。
【請求項12】
移動体通信機能とGPS測位に用いられる信号の受信機能とを有する移動端末の測位方法を決定する測位方法決定装置による測位方法決定方法であって、
前記移動端末が前記移動体通信機能によって受信した基地局からの電波の基地局送信電力を示す情報を取得する送信電力情報取得ステップと、
前記送信電力情報取得ステップにおいて取得された前記基地局送信電力を示す情報に基づいて測位方法を選択する測位方法選択ステップと、
前記測位方法選択ステップにおいて選択された測位方法を示す情報を出力する出力ステップと、
を含む測位方法決定方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−108959(P2013−108959A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256643(P2011−256643)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】