説明

測位端末及びサーバ

【課題】測位端末が定期的に測位処理を行い、測位処理によって取得された位置情報を情報提供サーバに送信する常時測位システムにおいて、測位端末の消費電力の増大を防止する。
【解決手段】本発明の測位端末は、測位端末の現在位置を示す位置情報を取得する測位処理を行う測位部103と、測位部103によって過去に取得された位置情報が示す位置ポイントを連接して構成される登録ルートを記憶するルート記憶部と、測位端末10が前記登録ルート上を移動するか否かを判定するルート一致判定部106と、前記測位端末が前記登録ルート上を移動すると判定された場合、測位部103が測位処理を行う測位間隔を、時間間隔TI1から時間間隔TI1よりも長い時間間隔TI2に変更する常時測位制御部109と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測位端末が定期的に測位処理を行い、測位処理によって取得された位置情報を情報提供サーバに送信する常時測位システムにおいて用いられる測位端末及びサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話などの測位端末が定期的にGPSによる測位処理を行い、測位処理によって取得された位置情報をコンテンツプロバイダなどの情報提供サーバに送信する「常時測位機能」を利用した常時測位システムが知られている(例えば、非特許文献1)。
【0003】
具体的には、常時測位システムでは、測位端末が、GPSによる測位処理をバックグラウンドで定期的に行い、測位処理によって取得された位置情報を情報提供サーバに送信する。情報提供サーバは、測位端末からの位置情報に応じた情報(例えば、現在位置の天気情報や観光情報、現在地からの終電案内など)を測位端末に提供する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】“「オートGPS」の概要”[online]、[平成22年1月7日検索]、インターネット<URL: http://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/page/091110_00.html#p02>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、常時測位システムでは、測位端末が、GPSによる測位処理を、バックグラウンドで定期的に行ってしまうため、測位端末の消費電力が増大してしまうという問題点があった。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、測位端末が定期的に測位処理を行い、測位処理によって取得された位置情報を情報提供サーバに送信する常時測位システムにおいて、消費電力の増大を防止することが可能な測位端末及びサーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の側面に係る測位端末は、測位端末の現在位置を示す位置情報を取得する測位処理を行う測位部と、前記測位部によって過去に取得された位置情報が示す位置ポイントを連接して構成される登録ルートを記憶する記憶部と、前記測位端末が前記登録ルート上を移動するか否かを判定する判定部と、前記判定部によって前記測位端末が前記登録ルート上を移動すると判定された場合、前記測位部が前記測位処理を行う測位間隔を、第1時間間隔から該第1時間間隔よりも長い第2時間間隔に変更する測位間隔制御部と、を具備する。
【0008】
この構成によれば、測位端末が登録ルート上を移動すると判定された場合、測位部による測位間隔を第1の時間間隔よりも長い時間間隔に変更することにより、測位部による測位処理の回数を軽減できるので、測位端末の消費電力の増大を防止できる。
【0009】
本発明の第2の側面に係る測位端末は、測位端末の現在位置を示す位置情報を取得する測位処理を行う測位部と、前記測位部によって取得された位置情報をサーバに対して送信する位置情報通知部と、前記サーバから、前記測位部によって過去に取得された位置情報を示す位置ポイントを連接して構成される登録ルート上を前記測位端末が移動するか否かの判定結果を受信する判定結果受信部と、前記判定結果受信部によって前記測位端末が前記登録ルート上を移動するとの判定結果が受信された場合に、前記測位部が前記測位処理を行う測位間隔を、第1時間間隔から該第1時間間隔よりも長い第2時間間隔に変更する測位間隔制御部と、を具備する。
【0010】
本発明の第2の側面に係るサーバは、測位端末から、該測位端末の現在位置を示す位置情報を受信する受信部と、前記受信部によって過去に受信された位置情報が示す位置ポイントを連接して構成される登録ルートを記憶する記憶部と、前記測位端末が前記登録ルート上を移動するか否かを判定する判定部と、前記判定部によって前記測位端末が前記登録ルート上を移動すると判定された場合、その旨を前記測位端末に通知する通知部と、を具備する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、測位端末が定期的に測位処理を行い、測位処理によって取得された位置情報を情報提供サーバに送信する常時測位システムにおいて、消費電力の増大を防止することが可能な測位端末及びサーバを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る常時測位システムの概略構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る測位端末のアプリケーション構成を説明するための図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る測位端末のレイヤ構造の模式図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る測位端末の機能構成図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るルート記憶部で記憶される登録ルートの模式図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るルート記憶部の登録ルートの一例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る測位端末の測位動作を示すシーケンス図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る測位端末のルート一致動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第1の実施形態に係るルート一致の判定結果と測位間隔との関係を説明するための図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係るルート一致の判定結果と測位間隔との関係を説明するための図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に係る測位端末のルート逸脱動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第1の実施形態に係るルート逸脱の判定結果と測位間隔との関係を説明するための図である。
【図13】本発明の第1の実施形態に係るルート逸脱の判定結果と測位間隔との関係を説明するための図である。
【図14】本発明の第1の実施形態に係る測位端末の位置情報の通知動作を説明するための図である。
【図15】本発明の第2の実施形態に係る情報提供サーバの機能構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
[第1の実施形態]
<常時測位システムの全体概略構成>
図1は、第1の実施形態に係る常時測位システムの概略構成図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る常時測位システムは、測位端末10と、測位端末10にGPS信号を送信するGPS衛星20と、無線基地局30及びネットワーク40を介して測位端末10の位置情報に応じた情報を測位端末10に提供する情報提供サーバ50とを含む。
【0015】
常時測位システムでは、測位端末10は、GPS衛星20からのGPS信号に基づいて測位端末の現在位置を示す位置情報を取得する測位処理を、バックグラウンドで定期的に行う。また、測位端末10は、測位処理によって取得された位置情報を無線基地局30及びネットワーク40を介して情報提供サーバ50に送信し、該位置情報に応じた情報(例えば、現在位置の天気情報や観光情報、現在地からの終電案内など)を情報提供サーバ50から取得する。
【0016】
<測位端末の構成>
次に、第1の実施形態に係る測位端末の構成について説明する。測位端末10は、「常時測位機能」に対応した端末であり、例えば、携帯電話端末、ノートパソコン、携帯ゲーム機などである。
【0017】
図2は、第1の実施形態に係る測位端末のアプリケーション構成を説明するための模式図である。図1に示すように、測位端末10は、GPS衛星20からGPS信号を受信するGPS信号受信部101、無線基地局30との間で通信信号を送受信する通信部102を具備し、GPS信号受信部101によって受信されたGPS信号に基づいて測位処理を行うGPSアプリケーション11、GPSアプリケーション11が測位処理を行う測位間隔を制御する常時測位アプリケーション12を搭載している。
【0018】
図3は、第1の実施形態に係る測位端末のレイヤ構造の模式図である。測位端末10は、CPU等のハードウェア、OS等の基盤ソフトウェア、各種アプリケーションの各レイヤからなる階層構造により処理を実行するように構成されている。測位端末10に搭載される常時測位アプリケーション12は、OS上で直に動作するネイティブアプリケーションとして構築される。このように、「常時測位機能」に対応した測位端末10では、OS上に搭載されたJava(登録商標)仮想マシン上で動作するJava(登録商標)アプリケーションとしてではなく、ネイティブアプリケーションとして常時測位アプリケーション12を構築することにより、バックグラウンド動作や間欠動作を可能とするとともに、Java(登録商標)アプリケーションに必要とされるコード変換処理や画面描画処理をなくして省電力化を図っている。
【0019】
次に、図4を参照し、上述の常時測位アプリケーション12及びGPSアプリケーション11によって実現される測位端末10の機能構成を説明する。図4は、第1の実施形態に係る測位端末の機能構成図である。図4に示すように、測位端末10は、GPS信号受信部101、通信部102に加えて、測位部103、ルート記憶部104、セル/セクタ情報取得部105、ルート一致判定部106、歩行検出部107、静動判定部108、常時測位制御部109を具備する。
【0020】
GPS信号受信部101は、測位部103からのGPS信号の受信命令に応じて、GPS衛星20からGPS信号を受信する。GPS信号受信部101は、受信したGPS信号を測位部103に出力する。
【0021】
通信部102は、無線基地局30との間で無線信号を送受信する。具体的には、通信部102(位置情報通知部)は、測位端末10の現在位置を示す位置情報を無線基地局30、ネットワーク40を介して情報提供サーバ50に送信する。なお、通信部102による位置情報の送信条件は、図14を参照して後述する。
【0022】
測位部103は、測位端末10の測位処理を行う。具体的には、測位部103は、後述する常時測位制御部109からの測位命令に応じて、GPS信号受信部101に対してGPS信号の受信命令を出力し、GPS信号受信部101からGPS信号を受信する。また、測位部103は、GPS信号受信部101から受信したGPS信号に基づいて位置情報を算出し、算出した位置情報をルート記憶部104に記憶させる。ここで、位置情報とは、測位端末10の現在位置を示す情報であり、例えば、緯度及び経度である。
【0023】
ルート記憶部104(記憶部)は、測位端末10が頻繁に通るルートとして登録される登録ルートを記憶する。図5は、ルート記憶部104によって記憶される登録ルートの模式図である。図5に示すように、登録ルートは、測位部103によって過去に取得された位置情報が示す位置ポイントを連接して構成される。
【0024】
具体的には、図5に示すように、所定期間(例えば、1週間、1か月)内に測位部103で取得された全ての位置情報が示す位置ポイントが地図上にマッピングされ、地図上における密度が所定値を超える位置ポイントP1〜Pnが抽出される。ルート記憶部104は、このように抽出された位置ポイントP1〜Pnを連接して登録ルートとして記憶してもよい。
【0025】
また、ルート記憶部104は、ユーザからのルート登録の開始命令を受け付けてから終了命令を受け付けるまでの間(すなわち、登録されるルートの出発地から目的地までの間)に、測位部103で取得された位置ポイントP1〜Pnを連接して登録ルートとして記憶してもよい。
【0026】
図6は、ルート記憶部104に記憶される登録ルートの一例を示す図である。図6に示すように、ルート記憶部104は、登録ルートを構成する位置ポイントP1〜Pnを示す位置情報と、当該位置情報が測位部103によって取得された曜日及び時間帯と、を関連付けて記憶する。
【0027】
セル/セクタ情報取得部105は、通信部102を介して、無線基地局30から報知されたセル/セクタ情報を取得する。ここで、セル/セクタ情報とは、測位端末10の在圏セル又は在圏セクタの情報である。
【0028】
ルート一致判定部106(判定部)は、測位端末10がルート記憶部104に記憶された登録ルート上を移動するか否かを判定し、判定結果を常時測位制御部109に出力する。なお、ルート一致判定部106による上記判定(すなわち、ルート一致判定)の詳細な判定条件は、図8を参照して後述する。
【0029】
また、ルート一致判定部106は、測位端末10がルート記憶部104に記憶された登録ルート上から逸脱したか否かを判定し、判定結果を常時測位制御部109に出力する。なお、ルート一致判定部106による上記判定(すなわち、ルート逸脱判定)の詳細な判定条件は、図11を参照して後述する。
【0030】
歩行検出部107は、例えば、加速度センサなどによって構成され、測位端末10の所定時間(例えば、5分)における移動距離を検出する。
【0031】
静動判定部108は、測位端末10が移動中であるか否かを判定し、判定結果を常時測位制御部109に出力する。具体的には、静動判定部108は、歩行検出部107で検出された移動距離が所定距離(例えば、30メートル)以上である場合、測位端末10が移動中であると判定する。また、静動判定部108は、歩行検出部107で検出された移動距離が所定距離未満であっても、セル/セクタ情報取得部105で取得されたセル/セクタ情報に基づいてセル又はセクタの切り替えが検出された場合、測位端末10が移動中であると判定してもよい。
【0032】
常時測位制御部109(測位間隔制御部)は、ルート一致判定部106からの判定結果に基づいて、測位部103が測位処理を行う測位間隔を制御し、制御された測位間隔で測位部103が測位処理を行うように、測位命令を出力する。
【0033】
具体的には、常時測位制御部109は、ルート一致判定部106によって測位端末10が登録ルート上を移動すると判定された場合、測位部103による測位間隔を時間間隔TI1(第1時間間隔)から時間間隔TI2(第2時間間隔)に変更する。ここで、時間間隔TI1とは、予め定められた時間間隔であり、例えば、5分に設定される。また、時間間隔TI2とは、時間間隔TI1よりも長い時間間隔であり、例えば、15分に設定される。
【0034】
一方、常時測位制御部109は、ルート一致判定部106によって測位端末10が登録ルート上から逸脱したと判定された場合、測位部103による測位間隔を時間間隔TI2から時間間隔TI1に再変更する。
【0035】
また、常時測位制御部109は、静動判定部108によって測位端末10が移動中であると判定された場合、測位部103に対して測位命令を出力してもよい。一方、常時測位制御部109は、静動判定部108によって測位端末10が移動中ではないと判定された場合、測位部103に対する測位命令の出力を中止してもよい。
【0036】
<常時測位システムの動作>
次に、以上のように構成された第1の実施形態に係る常時測位システムの動作について説明する。
(1)測位端末の測位動作
図7は、測位端末10に搭載されたGPSアプリケーション11及び常時測位アプリケーション12による測位動作を示すシーケンス図である。
【0037】
測位端末10に搭載された常時測位アプリケーション12は、時間間隔TI1で起動される(ステップS101)。起動された常時測位アプリケーション12は、GPSアプリケーション11に対して測位命令を出力する(ステップS102)。
【0038】
GPSアプリケーション11は、常時測位アプリケーション12からの測位命令に応じて、GPS信号受信部101に対してGPS信号の受信命令を出力する(ステップS103)。GPS信号受信部101は、GPSアプリケーション11からの受信命令に応じて、GPS衛星20からGPS信号を受信し、受信したGPS信号をGPSアプリケーション11に出力する(ステップS104)。
【0039】
GPSアプリケーション11は、GPS信号受信部101からのGPS信号に基づいて、測位端末10の位置情報を算出する(ステップS105)。GPSアプリケーション11は、算出した位置情報を常時測位アプリケーション12に対して送信する(ステップS106)。常時測位アプリケーション12は、GPSアプリケーション11からの位置情報を、通信部102を介して情報提供サーバ50に送信する(ステップS107)。
【0040】
常時測位アプリケーション12は、終了し(ステップS108)、所定時間経過後に再び起動される(ステップS109)。このように、常時測位アプリケーション12は、OS上で直に動作するネイティブアプリケーションとして構築されているため、間欠起動が可能である。したがって、Java(登録商標)アプリケーションとして構築される場合のように常時起動を行う必要がなく、非起動時間の消費電力を軽減できる。
【0041】
なお、以下で詳述する測位端末10の常時測位制御部109、ルート一致判定部106、測位部103等の機能は、上述のような測位動作を行う常時測位アプリケーション12及びGPSアプリケーション11によって実現される。本発明では、後述するように測位部103による測位間隔が制御されることにより、図7の常時測位アプリケーション12の非起動時間が長くなる結果、更なる省電力化が可能となる。
【0042】
(2)測位端末のルート一致判定動作
次に、図8〜10を参照し、測位端末10によるルート一致判定動作を説明する。図8は、測位端末10によるルート一致判定動作を示すフローチャートである。また、図9及び10は、図8のフローに従ったルート一致の判定結果と、測位部103による測位間隔との関係を説明するための図である。
【0043】
なお、図9及び図10に示す測位ポイントMP1〜MP8は、測位部103によって位置情報が取得される地点を示す。また、図8のフローは、目的地までの距離が所定距離未満になるまでの各地点(すなわち、図9及び図10の測位ポイントMP1〜MP5)において行われものである。
【0044】
図8に示すように、測位端末10の常時測位制御部109は、静動判定部108からの判定結果に基づいて、測位部103に測位処理を実行させる(ステップS201)。具体的には、常時測位制御部109は、静動判定部108によって測位端末10が移動中であると判定された場合にのみ、測位部103に測位命令を出力し、測位部103に測位処理を実行させる。
【0045】
ルート一致判定部106は、ステップS201で測位部103によって取得された位置情報が、ルート記憶部104で記憶された登録ルート上の位置情報と一致するか否かを判定する(ステップS202)。例えば、図9の測位ポイントMP1は登録ルート上に存在するため、測位ポイントMP1では、測位部103によって取得された位置情報が登録ルート上の位置情報と一致すると判定される。
【0046】
測位部103によって取得された位置情報が、ルート記憶部104で記憶された登録ルート上の位置情報と一致する場合(ステップS202;Yes)、ルート一致判定部106は、測位端末10が登録ルートの進行方向に所定距離以上移動したか否かを判定する(ステップS203)。例えば、図9の測位ポイントMP1では、登録ルートの進行方向に所定距離D以上移動していないと判定される。一方、測位ポイントMP2〜MP5では、登録ルートの進行方向に所定距離D以上移動したと判定される。
【0047】
測位端末10が登録ルートの進行方向に所定距離以上移動した場合(ステップS203;Yes)、ルート一致判定部106は、測位端末10が所定の測位回数以上継続して登録ルートの進行方向に移動したか否かを判定する(ステップS204)。例えば、所定の測位回数が2回に設定される場合、図9の測位ポイントMP2では、前回の測位ポイントMP1では登録ルートの進行方向に所定距離以上移動していないので、所定の測位回数以上継続して登録ルートの進行方向に移動していないと判定される。一方、測位ポイントMP3〜MP5では、2回以上登録ルートの進行方向に所定距離以上移動しているので、所定の測位回数以上継続して登録ルートの進行方向に移動していると判定される。
【0048】
測位端末10が所定の測位回数以上継続して登録ルートの進行方向に移動した場合(ステップS204;Yes)、ルート一致判定部106は、ステップS201において測位部103が位置情報を取得した曜日及び時間帯と、ルート記憶部104において登録ルート上の位置情報に関連付けて記憶されている曜日及び時間帯とが一致するか否かを判定する(ステップS205)。
【0049】
ステップS201において測位部103が位置情報を取得した曜日及び時間帯と、登録ルート上の位置情報に関連付けて記憶されている曜日及び時間帯とが一致する場合(ステップS205;Yes)、ルート一致判定部106は、測位端末10が登録ルート上を移動すると判定し、ルート一致の判定結果を常時測位制御部109に出力する。常時測位制御部109は、ルート一致判定部106からのルート一致の判定結果に応じて、測位部103による測位間隔を、時間間隔TI1から時間間隔TI1よりも長い時間間隔TI2に変更する(ステップS206)。
【0050】
例えば、図9及び図10の測位ポイントMP3において、ルート一致判定部106によって測位端末10が登録ルート上を移動すると判定された場合、常時測位制御部109は、測位部103による測位間隔を時間間隔TI1から時間間隔TI2に変更する。この結果、測位部103による測位処理の回数を軽減できるので、測位端末10の消費電力の増大を防止できる。
【0051】
なお、図8において、測位部103によって取得された位置情報が、ルート記憶部104で記憶された登録ルート上の位置情報と一致しない場合、(ステップS202;No)、測位端末10が登録ルートの進行方向に所定距離以上移動していない場合(ステップS203;No)、或いは、測位端末10が所定の測位回数以上継続して登録ルートの進行方向に移動していない場合(ステップS204;No)、或いは、ステップS201において測位部103が位置情報を取得した曜日及び時間帯と、登録ルート上の位置情報に関連付けて記憶されている曜日及び時間帯とが一致しない場合(ステップS205;No)、本動作は、ステップS201に戻る。
【0052】
また、図8のステップS203〜S205の判定は、いずれか一つの判定、或いは、すべての判定が省略されてもよい。
【0053】
また、図9及び10に示すように、常時測位制御部109は、登録ルート上の目的地までの距離が所定距離より小さくなった場合、測位部103による測位間隔を時間間隔TI2から、時間間隔TI2よりも短い時間間隔TI1に再変更する。
【0054】
(3)測位端末のルート逸脱判定動作
次に、図11乃至図13を参照し、測位端末10によるルート逸脱判定動作を説明する。図11は、測位端末10によるルート逸脱判定動作を示すフローチャートである。また、図12及び13は、図11のフローに従ったルート逸脱の判定結果と、測位部103による測位間隔との関係を説明するための図である。
【0055】
なお、図12及び13に示す測位ポイントMP1〜MP6は、測位部103によって位置情報が取得される地点を示し、スキップポイントSP1〜SP3は、測位部103による測位間隔を時間間隔TI2に変更したことにより、時間間隔TI1での測位処理が省略された地点を示す。また、図11のフローは、測位部103による測位処理が省略された各地点(すなわち、図12のスキップポイントSP1〜SP4)において行われものである。
【0056】
図11に示すように、ルート一致判定部106は、セル/セクタ情報取得部105から、測位端末10の在圏セル又は在圏セクタの情報を取得する(ステップS301)。
【0057】
ルート一致判定部106は、測位端末10の在圏セル又は在圏セクタが、ルート記憶部104に記憶された登録ルート上のセル又はセクタと一致するか否かを判定する(ステップS302)。例えば、図12のスキップポイントSP1、SP2では、測位端末10の在圏セル又は在圏セクタが、登録ルート上のセル又はセクタと一致すると判定される。一方、スキップポイントSP3では、測位端末10の在圏セル又は在圏セクタが登録ルート上のセル又はセクタと一致しないと判定される。
【0058】
測位端末10の在圏セル又は在圏セクタが登録ルート上のセル又はセクタと一致する場合(ステップS302;Yes)、ルート一致判定部106は、測位端末10が登録ルート上を逸脱していないので、本動作は、終了する。
【0059】
測位端末10の在圏セル又は在圏セクタが登録ルート上のセル又はセクタと一致しない場合(ステップS302;No)、ルート一致判定部106は、測位端末10が登録ルート上から逸脱したと判定し、ルート逸脱の判定結果を常時測位制御部109に出力する。常時測位制御部109は、ルート一致判定部106からのルート逸脱の判定結果に応じて、測位部103による測位間隔を時間間隔TI2から時間間隔TI2よりも短い時間間隔TI1に再変更する(ステップS303)。
【0060】
例えば、図12及び図13のスキップポイントSP3において、ルート一致判定部106によって測位端末10が登録ルート上から逸脱したと判定された場合、常時測位制御部109は、測位部103による測位間隔を時間間隔TI2から時間間隔TI1に再変更する。このように、測位端末10が登録ルートから逸脱した場合には、測位部103による測位間隔を元に戻すことができる。
【0061】
(4)測位端末の位置情報通知動作
次に、図14を参照し、測位端末10による情報提供サーバ50への位置情報の通知動作を説明する。図14は、測位端末10による位置情報の通知動作を説明するための図である。なお、図14では、通信部12を図示しないが、位置情報は、通信部12を介して情報提供サーバ50に送信されるものとする。
【0062】
図14に示すように、通信部102は、測位ポイントMP1〜MP4において、測位部103によって位置情報が取得された場合、取得した位置情報を情報提供サーバ50に送信する。
【0063】
ここで、上述のように、スキップポイントSP1、SP2では、測位部103による測位処理が行われないため、位置情報は取得されない。そこで、常時測位制御部109は、スキップポイントSP1、SP2における位置情報を推定し、推定した位置情報を通信部102に出力する。
【0064】
具体的には、常時測位制御部109は、測位ポイントMP1〜MP3で取得された位置情報の履歴と、ルート記憶部104に記憶された登録ルート上の位置情報とに基づいて、スキップポイントSP1、SP2における位置情報を推定する。
【0065】
通信部102は、スキップポイントSP1、SP2において、常時測位制御部109によって推定された位置情報を情報提供サーバ50に送信する。この結果、測位端末10は、測位処理が省略されても、現在位置に対応した情報を情報提供サーバ50から取得できる。
【0066】
<作用・効果>
第1の実施形態に係る常時測位システムによれば、測位端末10が登録ルート上を移動すると判定された場合、測位部103による測位間隔を時間間隔TI1から時間間隔TI1よりも長い時間間隔TI2に変更することにより、測位部103による測位処理の回数を軽減できるので、測位端末10の消費電力の増大を防止できる。
【0067】
このように、測位端末10のルート一致判定に基づいて測位処理を省略する場合、出発地から目的地までの全測位回数を削減することができる。測位端末10の動静判定のみによって測位処理を省略する場合、同じルートであっても出発地から目的地までの全測位回数は略同一である。したがって、第1の実施形態に係る常時測位システムでは、従来のように、動静判定に基づいて測位処理を省略する場合よりも測位端末10の省電力化を図ることができる。
【0068】
また、第1の実施形態に係る常時測位システムによれば、測位端末10が登録ルート上から逸脱したと判定された場合、測位部103による測位間隔を時間間隔TI2から時間間隔TI1に再変更することにより、測位端末10のユーザの利便性を害することなく、測位端末10の省電力化を図ることができる。
【0069】
また、第1の実施形態に係る常時測位システムによれば、測位部103による測位処理が省略された場合にも、情報提供サーバ50に位置情報を送信し、当該位置情報に応じた情報を情報提供サーバ50から取得できるので、測位端末10のユーザの利便性を害することなく、測位端末10の省電力化を図ることができる。
【0070】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態に係る常時測位システムについて、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。第2の実施形態では、測位端末10ではなく、情報提供サーバ50が、上述のルート一致判定とルート逸脱判定とを行う。なお、かかるルート一致判定とルート逸脱判定は、情報提供サーバ50とは別に設けられた判定用の専用サーバによって行われてもよい。
【0071】
<情報提供サーバの構成>
図15は、第2の実施形態に係る情報提供サーバ50(サーバ)の機能構成図である。図15に示すように、情報提供サーバ50は、位置情報受信部501、記憶部502、ルート一致判定部503、情報取得部504、送信部505を具備する。
【0072】
位置情報受信部501(受信部)は、測位端末10から、測位端末10の現在位置を示す位置情報を受信し、受信した位置情報を記憶部502及びルート一致判定部503に出力する。また、位置情報受信部501は、位置情報に加えて、当該位置情報が測位端末10で取得された曜日及び時間帯を受信してもよい。
【0073】
記憶部502は、位置情報受信部501によって過去に受信された位置情報が示す位置ポイントを連接して構成される登録ルートを記憶する。具体的には、図6を参照して説明したように、記憶部502は、登録ルートを記憶する。また、記憶部502は、位置情報に応じた情報(例えば、現在位置の天気情報や観光情報、現在地からの終電案内など)を記憶する。
【0074】
ルート一致判定部503(判定部)は、測位端末10が記憶部502に記憶された登録ルート上を移動するか否かを判定し、判定結果を送信部505に出力する。なお、かかるルート一致判定の詳細な判定条件は、図8を参照して説明した通りである。また、ルート一致判定部503は、測位端末10が登録ルート上から逸脱したか否かを判定し、判定結果を送信部505に出力する。なお、かかるルート逸脱判定の詳細な判定条件は、図11を参照して説明した通りである。
【0075】
情報取得部504は、記憶部502から、位置情報受信部501で受信された位置情報に応じた情報を取得し、取得した情報を送信部505に出力する。送信部505(通知部)は、ルート一致判定部503による判定結果と、情報取得部504によって取得された情報を測位端末10に送信する。
【0076】
<測位端末の構成>
第2の実施形態において、測位端末10の通信部102は、情報提供サーバ50からのルート一致判定又はルート逸脱判定の判定結果を受信する。
【0077】
常時測位制御部109は、通信部102によって測位端末10が登録ルート上を移動するとの判定結果が受信された場合、測位部103による測位間隔を時間間隔TI1から時間間隔TI1よりも長い時間間隔TI2に変更する。
【0078】
また、常時測位制御部109は、通信部102によって測位端末10が登録ルート上から逸脱したとの判定結果が受信された場合、測位部103による測位間隔を時間間隔TI2から時間間隔TI1に再変更する。
【0079】
<作用・効果>
第2の実施形態に係る常時測位システムによれば、測位端末10が、ルート一致判定及びルート逸脱判定を行う必要がないので、当該判定処理に係る測位端末10の消費電力を軽減することができる。
【0080】
[その他の実施形態]
上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。
【0081】
例えば、上述の実施形態においては、測位端末10が、GPS衛星20からのGPS信号に基づいて測位処理を行う例を説明したが、これに限られるものではなく、Wi−Fiなどの各種無線信号に基づいて測位処理を行ってもよい。
【0082】
以上のように、本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0083】
10…測位端末、20…GPS衛星、30…無線基地局、40…ネットワーク、50…情報提供サーバ、11…GPSアプリケーション、12…常時測位アプリケーション、101…GPS信号受信部、102…通信部、103…測位部、104…ルート記憶部、105…セクタ情報取得部、106…ルート一致判定部、107…歩行検出部、108…静動判定部、109…常時測位制御部、501…位置情報受信部、502…記憶部、503…ルート一致判定部、504…情報取得部、505…送信部、P1〜Pn…位置ポイント、TI1、TI2…時間間隔、MP1〜MP8…測位ポイント、SP1〜SP3…スキップポイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測位端末の現在位置を示す位置情報を取得する測位処理を行う測位部と、
前記測位部によって過去に取得された位置情報が示す位置ポイントを連接して構成される登録ルートを記憶する記憶部と、
前記測位端末が前記登録ルート上を移動するか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記測位端末が前記登録ルート上を移動すると判定された場合、前記測位部が前記測位処理を行う測位間隔を、第1時間間隔から該第1時間間隔よりも長い第2時間間隔に変更する測位間隔制御部と、
を具備することを特徴とする測位端末。
【請求項2】
前記判定部は、前記測位部によって今回取得された位置情報が前記登録ルート上の位置情報と一致する場合、前記測位端末が前記登録ルート上を移動すると判定することを特徴とする請求項1に記載の測位端末。
【請求項3】
前記判定部は、前記測位端末が所定距離以上前記登録ルートの進行方向に移動している場合、前記測位端末が前記登録ルート上を移動すると判定することを特徴とする請求項2に記載の測位端末。
【請求項4】
前記判定部は、前記測位端末が所定回数以上前記登録ルートの進行方向に移動し続けている場合、前記測位端末が前記登録ルート上を移動すると判定することを特徴とする請求項2又は3に記載の測位端末。
【請求項5】
前記記憶部は、前記登録ルート上の位置情報と、該位置情報が前記測位部によって取得された曜日及び時間帯とを関連付けて記憶し、
前記判定部は、前記測位部によって今回位置情報が取得された曜日及び時間帯が、前記記憶部において前記登録ルート上の前記位置情報に関連付けて記憶されている曜日及び時間帯と一致する場合、前記測位端末が前記登録ルート上を移動すると判定することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の測位端末。
【請求項6】
前記判定部は、前記測位間隔制御部によって前記測位間隔が前記第2時間間隔に変更され、前記第1時間間隔での前記測位処理が省略された場合、前記測位端末の在圏セル又は在圏セクタが登録ルート上のセル又はセクタであるかを判定することによって、前記測位端末が前記登録ルート上から逸脱したか否かを判定し、
前記測位間隔制御部は、前記判定部によって前記登録ルート上から逸脱したと判定された場合、前記測位間隔を前記第2時間間隔から前記第1時間間隔に再変更することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の測位端末。
【請求項7】
前記測位部によって取得された位置情報を、該位置情報に対応した情報を前記測位端末に配信する情報配信サーバに通知する位置情報通知部と、
前記測位間隔が前記第2時間間隔に変更され、前記第1時間間隔での前記測位処理が省略された場合に、前記測位端末の位置情報を推定する推定部と、を更に具備し、
前記位置情報通知部は、前記推定部によって推定された位置情報を前記情報配信サーバに送信することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の測位端末。
【請求項8】
測位端末の現在位置を示す位置情報を取得する測位処理を行う測位部と、
前記測位部によって取得された位置情報をサーバに対して送信する位置情報通知部と、
前記サーバから、前記測位部によって過去に取得された位置情報を示す位置ポイントを連接して構成される登録ルート上を前記測位端末が移動するか否かの判定結果を受信する判定結果受信部と、
前記判定結果受信部によって前記測位端末が前記登録ルート上を移動するとの判定結果が受信された場合に、前記測位部が前記測位処理を行う測位間隔を、第1時間間隔から該第1時間間隔よりも長い第2時間間隔に変更する測位間隔制御部と、
を具備することを特徴とする測位端末。
【請求項9】
測位端末から、該測位端末の現在位置を示す位置情報を受信する受信部と、
前記受信部によって過去に受信された位置情報が示す位置ポイントを連接して構成される登録ルートを記憶する記憶部と、
前記測位端末が前記登録ルート上を移動するか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記測位端末が前記登録ルート上を移動すると判定された場合、その旨を前記測位端末に通知する通知部と、
を具備することを特徴とするサーバ。











【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−180068(P2011−180068A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46506(P2010−46506)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】